10.2.3. セキュリティーアイデンティティー (ID)
Enterprise Java Bean (EJB) は、<security-identity> 要素を使用してコンポーネント上でメソッドを呼び出すときに使用する必要がある、別の EJB の ID を指定できます。
図10.2 Java EE セキュリティーアイデンティティーデータモデル
呼び出し ID は現在の呼び出し元の ID、または特定のロールを指定できます。アプリケーションアセンブラーは、<security-identity> 要素と <use-caller-identity> 子要素を使用します。そのため、現在の呼び出し元の ID は、EJB によって実行されたメソッド呼び出しのセキュリティー IDとして伝播される必要があります。呼び出し元の ID の伝播は、<security-identity> 要素が明示的に宣言されていない場合に使用されるデフォルトの動作です。
また、アプリケーションアセンブラーで <run-as> または <role-name> 子要素を使用して、<role-name> 要素値によって提供される特定のセキュリティーロールが、EJB によって実行されたメソッド呼び出しのセキュリティー ID として使用されるように指定することも可能です。
EJBContext.getCallerPrincipal()
メソッドのように呼び出し元の ID が変更されないことに注意してください。呼び出し元のセキュリティーロールは、<run-as> または <role-name> 要素値によって指定された単一のロールに設定されます。
<run-as> 要素を使用すると、外部クライアントによる内部 EJB へのアクセスを防ぐことができます。この挙動を設定するには、内部 EJB の <method-permission> 要素を割り当てます。この要素は、外部クライアントへ割り当てられていないロールへのアクセスを制限します。この後、内部 EJB を使用しなければならない EJB は、<run-as> または <role-name> が制限されたロールと同等として設定されます。以下は記述子の一部で、<security-identity> 要素の使用例になります。
<run-as> を使用して特定のロールを発信呼び出しへ割り当てると、
anonymous
という名前のプリンシパルがすべての発信呼び出しへ割り当てられます。別のプリンシパルを呼び出しに関連付けるには、<run-as-principal> を jboss-ejb3.xml
ファイルの Bean に関連付けます。以下は、internal
という名前のプリンシパルを前例の RunAsBean
に関連付けます。
<run-as> 要素は、
web.xml
ファイルのサーブレット定義にもあります。以下の例は、InternalRole
ロールをサーブレットに割り当てる方法を示しています。
このサーブレットからの呼び出しは、匿名の
principal
に関連付けられます。run-as
ロールに従う特定のプリンシパルを割り当てるため、<run-as-principal> 要素は jboss-web.xml
ファイルにあります。以下は、internal
という名前のプリンシパルを上記のサーブレットに関連付ける方法を示しています。
<servlet> <servlet-name>AServlet</servlet-name> <run-as-principal>internal</run-as-principal> </servlet>
<servlet>
<servlet-name>AServlet</servlet-name>
<run-as-principal>internal</run-as-principal>
</servlet>