Operator
OpenShift Container Platform での Operator の使用
概要
第1章 Operator の概要
Operator は OpenShift Container Platform の最も重要なコンポーネントです。Operator はコントロールプレーンでサービスをパッケージ化し、デプロイし、管理するための優先される方法です。Operator の使用は、ユーザーが実行するアプリケーションにも各種の利点があります。
Operator は kubectl
や oc
コマンドなどの Kubernetes API および CLI ツールと統合します。Operator はアプリケーションの監視、ヘルスチェックの実行、OTA (over-the-air) 更新の管理を実行し、アプリケーションが指定した状態にあることを確認するための手段となります。
どちらも同様の Operator の概念と目標に従いますが、OpenShift Container Platform の Operator は、目的に応じて 2 つの異なるシステムによって管理されます。
- Cluster Version Operator (CVO) によって管理されるクラスター Operator は、クラスター機能を実行するためにデフォルトでインストールされます。
- Operator Lifecycle Manager (OLM) によって管理されるオプションのアドオン Operator は、ユーザーがアプリケーションで実行できるようにアクセスできるようにすることができます。
Operator を使用すると、クラスター内で実行中のサービスを監視するアプリケーションを作成できます。Operator は、アプリケーション専用に設計されています。Operator は、インストールや設定などの一般的な Day 1 の操作と、自動スケーリングやバックアップの作成などの Day 2 の操作を実装および自動化します。これらのアクティビティーはすべて、クラスター内で実行されているソフトウェアの一部です。
1.1. 開発者の場合
開発者は、次の Operator タスクを実行できます。
1.2. 管理者の場合
クラスター管理者は、次の Operator タスクを実行できます。
Red Hat が提供するクラスター Operator の詳細は、クラスター Operators リファレンス を参照してください。
1.3. 次のステップ
Operator の詳細はOperator とはを参照してください。
第2章 Operator について
2.1. Operator について
概念的に言うと、Operator は人間の運用上のナレッジを使用し、これをコンシューマーと簡単に共有できるソフトウェアにエンコードします。
Operator は、ソフトウェアの他の部分を実行する運用上の複雑さを軽減するソフトウェアの特定の部分で設定されます。Operator はソフトウェアベンダーのエンジニアリングチームの拡張機能のように動作し、(OpenShift Container Platform などの) Kubernetes 環境を監視し、その最新状態に基づいてリアルタイムの意思決定を行います。高度な Operator はアップグレードをシームレスに実行し、障害に自動的に対応するように設計されており、時間の節約のためにソフトウェアのバックアッププロセスを省略するなどのショートカットを実行することはありません。
技術的に言うと、Operator は Kubernetes アプリケーションをパッケージ化し、デプロイし、管理する方法です。
Kubernetes アプリケーションは、Kubernetes にデプロイされ、Kubernetes API および kubectl
または oc
ツールを使用して管理されるアプリケーションです。Kubernetes を最大限に活用するには、Kubernetes 上で実行されるアプリケーションを提供し、管理するために拡張できるように一連の総合的な API が必要です。Operator は、Kubernetes 上でこのタイプのアプリケーションを管理するランタイムと見なすことができます。
2.1.1. Operator を使用する理由
Operator は以下を提供します。
- インストールおよびアップグレードの反復性。
- すべてのシステムコンポーネントの継続的なヘルスチェック。
- OpenShift コンポーネントおよび ISV コンテンツの OTA (Over-the-air) 更新。
- フィールドエンジニアからの知識をカプセル化し、1 または 2 ユーザーだけでなく、すべてのユーザーに展開する場所。
- Kubernetes にデプロイする理由
- Kubernetes (延長線上で考えると OpenShift Container Platform も含まれる) には、シークレットの処理、負荷分散、サービスの検出、自動スケーリングなどの、オンプレミスおよびクラウドプロバイダーで機能する、複雑な分散システムをビルドするために必要なすべてのプリミティブが含まれます。
- アプリケーションを Kubernetes API および
kubectl
ツールで管理する理由 -
これらの API は機能的に充実しており、すべてのプラットフォームのクライアントを持ち、クラスターのアクセス制御/監査機能にプラグインします。Operator は Kubernetes の拡張メカニズム、カスタムリソース定義 (CRD、Custom Resource Definition ) を使用するので、
MongoDB
などの カスタムオブジェクトは、ビルトインされたネイティブ Kubernetes オブジェクトのように表示され、機能します。 - Operator とサービスブローカーとの比較
- サービスブローカーは、アプリケーションのプログラムによる検出およびデプロイメントを行うための 1 つの手段です。ただし、これは長期的に実行されるプロセスではないため、アップグレード、フェイルオーバー、またはスケーリングなどの Day 2 オペレーションを実行できません。カスタマイズおよびチューニング可能なパラメーターはインストール時に提供されるのに対し、Operator はクラスターの最新の状態を常に監視します。クラスター外のサービスを使用する場合は、Operator もこれらのクラスター外のサービスに使用できますが、これらをサービスブローカーで使用できます。
2.1.2. Operator Framework
Operator Framework は、上記のカスタマーエクスペリエンスに関連して提供されるツールおよび機能のファミリーです。これは、コードを作成するためだけにあるのではなく、Operator のテスト、実行、および更新などの重要な機能を実行します。Operator Framework コンポーネントは、これらの課題に対応するためのオープンソースツールで設定されています。
- Operator SDK
- Operator SDK は Kubernetes API の複雑性を把握していなくても、それぞれの専門知識に基づいて独自の Operator のブートストラップ、ビルド、テストおよびパッケージ化を実行できるよう Operator の作成者を支援します。
- Operator Lifecycle Manager
- Operator Lifecycle Manager は、クラスター内の Operator のインストール、アップグレード、ロールベースのアクセス制御 (RBAC) を制御します。OpenShift Container Platform 4.7 ではデフォルトでデプロイされます。
- Operator レジストリー
- Operator レジストリーは、クラスターで作成するためのクラスターサービスバージョン (Cluster Service Version、CSV) およびカスタムリソース定義 (CRD) を保存し、パッケージおよびチャネルについての Operator メタデータを保存します。これは Kubernetes または OpenShift クラスターで実行され、この Operator カタログデータを OLM に指定します。
- OperatorHub
- OperatorHub は、クラスター管理者がクラスター上にインストールする Operator を検出し、選択するための Web コンソールです。OpenShift Container Platform ではデフォルトでデプロイされます。
これらのツールは組み立て可能なツールとして設計されているため、役に立つと思われるツールを使用できます。
2.1.3. Operator 成熟度モデル
Operator 内にカプセル化されている管理ロジックの複雑さのレベルはさまざまです。また、このロジックは通常 Operator によって表されるサービスのタイプによって大きく変わります。
ただし、大半の Operator に含まれる特定の機能セットについては、Operator のカプセル化された操作の成熟度の規模を一般化することができます。このため、以下の Operator 成熟度モデルは、 Operator の一般的な Day 2 オペレーションについての 5 つのフェーズの成熟度を定義しています。
図2.1 Operator 成熟度モデル
上記のモデルでは、これらの機能を Operator SDK の Helm、Go、および Ansible 機能で最適に開発する方法も示します。
2.2. Operator Framework パッケージ形式
以下で、OpenShift Container Platform の Operator Lifecycle Manager (OLM) によってサポートされる Operator のパッケージ形式について説明します。
2.2.1. Bundle Format
Operator の Bundle Format は、Operator Framework によって導入される新しいパッケージ形式です。スケーラビリティーを向上させ、アップストリームユーザーがより効果的に独自のカタログをホストできるようにするために、Bundle Format 仕様は Operator メタデータのディストリビューションを単純化します。
Operator バンドルは、Operator の単一バージョンを表します。ディスク上の バンドルマニフェスト は、Kubernetes マニフェストおよび Operator メタデータを保存する実行不可能なコンテナーイメージである バンドルイメージ としてコンテナー化され、提供されます。次に、バンドルイメージの保存および配布は、podman
、docker
、および Quay などのコンテナーレジストリーを使用して管理されます。
Operator メタデータには以下を含めることができます。
- Operator を識別する情報 (名前およびバージョンなど)。
- UI を駆動する追加情報 (アイコンや一部のカスタムリソース (CR) など)。
- 必須および提供される API。
- 関連するイメージ。
マニフェストを Operator レジストリーデータベースに読み込む際に、以下の要件が検証されます。
- バンドルには、アノテーションで定義された 1 つ以上のチャネルが含まれる必要がある。
- すべてのバンドルには、1 つのクラスターサービスバージョン (CSV) がある。
- CSV がクラスターリソース定義 (CRD) を所有する場合、その CRD はバンドルに存在する必要がある。
2.2.1.1. マニフェスト
バンドルマニフェストは、Operator のデプロイメントおよび RBAC モデルを定義する Kubernetes マニフェストのセットを指します。
バンドルにはディレクトリーごとに 1 つの CSV が含まれ、通常は manifest/
ディレクトリーの CSV の所有される API を定義する CRD が含まれます。
Bundle Format のレイアウトの例
etcd ├── manifests │ ├── etcdcluster.crd.yaml │ └── etcdoperator.clusterserviceversion.yaml │ └── secret.yaml │ └── configmap.yaml └── metadata └── annotations.yaml └── dependencies.yaml
その他のサポート対象のオブジェクト
以下のオブジェクトタイプは、バンドルの /manifests
ディレクトリーにオプションとして追加することもできます。
サポート対象のオプションオブジェクトタイプ
-
ClusterRole
-
clusterRoleBinding
-
ConfigMap
-
ConsoleYamlSample
-
PodDisruptionBudget
-
PriorityClass
-
PrometheusRule
-
ロール
-
RoleBinding
-
Secret
-
Service
-
ServiceAccount
-
ServiceMonitor
-
VerticalPodAutoscaler
これらのオプションオブジェクトがバンドルに含まれる場合、Operator Lifecycle Manager (OLM) はバンドルからこれらを作成し、CSV と共にそれらのライフサイクルを管理できます。
オプションオブジェクトのライフサイクル
- CSV が削除されると、OLM はオプションオブジェクトを削除します。
CSV がアップグレードされると、以下を実行します。
- オプションオブジェクトの名前が同じである場合、OLM はこれを更新します。
- オプションオブジェクトの名前がバージョン間で変更された場合、OLM はこれを削除し、再作成します。
2.2.1.2. アノテーション
バンドルには、その metadata/
ディレクトリーに annotations.yaml
ファイルも含まれます。このファイルは、バンドルをバンドルのインデックスに追加する方法についての形式およびパッケージ情報の記述に役立つ高レベルの集計データを定義します。
annotations.yaml
の例
annotations: operators.operatorframework.io.bundle.mediatype.v1: "registry+v1" 1 operators.operatorframework.io.bundle.manifests.v1: "manifests/" 2 operators.operatorframework.io.bundle.metadata.v1: "metadata/" 3 operators.operatorframework.io.bundle.package.v1: "test-operator" 4 operators.operatorframework.io.bundle.channels.v1: "beta,stable" 5 operators.operatorframework.io.bundle.channel.default.v1: "stable" 6
- 1
- Operator バンドルのメディアタイプまたは形式。
registry+v1
形式の場合、これに CSV および関連付けられた Kubernetes オブジェクトが含まれることを意味します。 - 2
- Operator マニフェストが含まれるディレクトリーへのイメージのパス。このラベルは今後使用するために予約され、現時点ではデフォの
manifests/
に設定されています。manifests.v1
の値は、バンドルに Operator マニフェストが含まれることを示します。 - 3
- バンドルについてのメタデータファイルが含まれるディレクトリーへのイメージのパス。このラベルは今後使用するために予約され、現時点ではデフォの
metadata/
に設定されています。metadata.v1
の値は、このバンドルに Operator メタデータがあることを意味します。 - 4
- バンドルのパッケージ名。
- 5
- Operator レジストリーに追加される際にバンドルがサブスクライブするチャネルの一覧。
- 6
- レジストリーからインストールされる場合に Operator がサブスクライブされるデフォルトチャネル。
一致しない場合、annotations.yaml
ファイルは、これらのアノテーションに依存するクラスター上の Operator レジストリーのみがこのファイルにアクセスできるために権威を持つファイルになります。
2.2.1.3. 依存関係ファイル
Operator の依存関係は、バンドルの metadata/
フォルダー内の dependencies.yaml
ファイルに一覧表示されます。このファイルはオプションであり、現時点では明示的な Operator バージョンの依存関係を指定するためにのみ使用されます。
依存関係の一覧には、依存関係の内容を指定するために各項目の type
フィールドが含まれます。Operator の依存関係には、サポートされる 2 つのタイプがあります。
-
olm.package
: このタイプは、特定の Operator バージョンの依存関係であることを意味します。依存関係情報には、パッケージ名とパッケージのバージョンを semver 形式で含める必要があります。たとえば、0.5.2
などの特定バージョンや>0.5.1
などのバージョンの範囲を指定することができます。 -
olm.gvk
:gvk
タイプの場合、作成者は CSV の既存の CRD および API ベースの使用方法と同様に group/version/kind (GVK) 情報で依存関係を指定できます。これは、Operator の作成者がすべての依存関係、API または明示的なバージョンを同じ場所に配置できるようにするパスです。
以下の例では、依存関係は Prometheus Operator および etcd CRD について指定されます。
dependencies.yaml
ファイルの例
dependencies: - type: olm.package value: packageName: prometheus version: ">0.27.0" - type: olm.gvk value: group: etcd.database.coreos.com kind: EtcdCluster version: v1beta2
2.2.1.4. opm について
opm
CLI ツールは、Operator Bundle Format で使用するために Operator Framework によって提供されます。このツールを使用して、ソフトウェアリポジトリーに相当する index と呼ばれるバンドルの一覧から Operator のカタログを作成し、維持することができます。結果として、インデックスイメージ というコンテナーイメージをコンテナーレジストリーに保存し、その後にクラスターにインストールできます。
インデックスには、コンテナーイメージの実行時に提供される組み込まれた API を使用してクエリーできる、Operator マニフェストコンテンツへのポインターのデータベースが含まれます。OpenShift Container Platform では、Operator Lifecycle Manager (OLM) はインデックスイメージを CatalogSource
オブジェクトで参照し、これをカタログとして使用できます。これにより、クラスター上にインストールされた Operator への頻度の高い更新を可能にするためにイメージを一定の間隔でポーリングできます。
-
opm
CLI のインストール手順については、CLI ツール を参照してください。
2.2.2. Package Manifest Format
Operator の Package Manifest Format は、Operator Framework で導入されたレガシーパッケージ形式です。この形式は OpenShift Container Platform 4.5 で非推奨となっていますが、これは引き続きサポートされ、現在 Red Hat が提供する Operator はこの方法を使用して提供されています。
この形式では、Operator のバージョンは単一のクラスターサービスバージョン (CSV) で表され、通常は追加のオブジェクトが含まれる可能性はありますが CSV の所有される API を定義するカスタムリソース定義 (CRD) で表されます。
Operator のすべてのバージョンは単一ディレクトリーにネストされます。
Package Manifest Format のレイアウトの例
etcd ├── 0.6.1 │ ├── etcdcluster.crd.yaml │ └── etcdoperator.clusterserviceversion.yaml ├── 0.9.0 │ ├── etcdbackup.crd.yaml │ ├── etcdcluster.crd.yaml │ ├── etcdoperator.v0.9.0.clusterserviceversion.yaml │ └── etcdrestore.crd.yaml ├── 0.9.2 │ ├── etcdbackup.crd.yaml │ ├── etcdcluster.crd.yaml │ ├── etcdoperator.v0.9.2.clusterserviceversion.yaml │ └── etcdrestore.crd.yaml └── etcd.package.yaml
また、パッケージ名およびチャネルの詳細を定義する package manifest である <name>.package.yaml
ファイルも含まれます。
パッケージマニフェストの例
packageName: etcd channels: - name: alpha currentCSV: etcdoperator.v0.9.2 - name: beta currentCSV: etcdoperator.v0.9.0 - name: stable currentCSV: etcdoperator.v0.9.2 defaultChannel: alpha
パッケージマニフェストを Operator レジストリーデータベースに読み込む際に、以下の要件が検証されます。
- すべてのパッケージには最低でも 1 つのチャネルがある。
- パッケージのチャネルによって参照されるすべての CSV が存在する。
- Operator のすべてのバージョンに 1 つの CSV がある。
- CSV が CRD を所有する場合、その CRD は Operator バージョンのディレクトリーに存在する必要がある。
- CSV が別の CSV を置き換える場合、新旧両方の CSV がパッケージに存在する必要がある。
2.3. Operator Framework の一般的な用語の用語集
このトピックでは、パッケージ形式 (Package Manifest Format および Bundle Format の両方) についての Operator Lifecycle Manager (OLM) および Operator SDK を含む、Operator Framework に関連する一般的な用語の用語集を提供します。
2.3.1. Common Operator Framework の一般的な用語
2.3.1.1. バンドル
Bundle Format では、バンドル は Operator CSV、マニフェスト、およびメタデータのコレクションです。さらに、それらはクラスターにインストールできる一意のバージョンの Operator を形成します。
2.3.1.2. バンドルイメージ
Bundle Format では、バンドルイメージ は Operator マニフェストからビルドされ、1 つのバンドルが含まれるコンテナーイメージです。バンドルイメージは、Quay.io または DockerHub などの Open Container Initiative (OCI) 仕様コンテナーレジストリーによって保存され、配布されます。
2.3.1.3. カタログソース
カタログソース は、CSV、CRD、およびアプリケーションを定義するパッケージのリポジトリーです。
2.3.1.4. カタログイメージ
Package Manifest Format で、カタログイメージ は、Operator メタデータのセットを記述し、OLM を使用してクラスターにインストールできるメタデータを更新するコンテナー化されたデータストアです。
2.3.1.5. チャネル
チャネル は Operator の更新ストリームを定義し、サブスクライバーの更新をロールアウトするために使用されます。ヘッドはそのチャネルの最新バージョンを参照します。たとえば stable
チャネルには、Operator のすべての安定したバージョンが最も古いものから最新のものへと編成されます。
Operator には複数のチャネルを含めることができ、特定のチャネルへのサブスクリプションのバインドはそのチャネル内の更新のみを検索します。
2.3.1.6. チャネルヘッド
チャネルヘッド は、特定のチャネル内の最新の既知の更新を指します。
2.3.1.7. クラスターサービスバージョン
クラスターサービスバージョン (CSV) は、クラスターでの Operator の実行に使用される Operator メタデータから作成される YAML マニフェストです。これは、ユーザーインターフェイスにロゴ、説明、およびバージョンなどの情報を設定するために使用される Operator コンテナーイメージに伴うメタデータです。
CSV は、Operator が必要とする RBAC ルールやそれが管理したり、依存したりするカスタムリソース (CR) などの Operator の実行に必要な技術情報の情報源でもあります。
2.3.1.8. 依存関係
Operator はクラスターに存在する別の Operator への 依存関係 を持つ場合があります。たとえば、Vault Operator にはそのデータ永続層について etcd Operator への依存関係があります。
OLM は、インストールフェーズで指定されたすべてのバージョンの Operator および CRD がクラスターにインストールされていることを確認して依存関係を解決します。この依存関係は、必要な CRD API を満たすカタログの Operator を検索し、インストールすることで解決され、パッケージまたはバンドルには関連しません。
2.3.1.9. インデックスイメージ
Bundle Format で、インデックスイメージ は、すべてのバージョンの CSV および CRD を含む Operator バンドルについての情報が含まれるデータベースのイメージ (データベーススナップショット) を指します。このインデックスは、クラスターで Operator の履歴をホストでき、opm
CLI ツールを使用して Operator を追加または削除することで維持されます。
2.3.1.10. インストール計画
インストール計画 は、CSV を自動的にインストールするか、またはアップグレードするために作成されるリソースの計算された一覧です。
2.3.1.11. Operator グループ
Operator グループ は、 OperatorGroup
オブジェクトと同じ namespace にデプロイされたすべての Operator を、namespace の一覧またはクラスター全体でそれらの CR を監視できるように設定します。
2.3.1.12. パッケージ
Bundle Format で、パッケージ は Operator のリリースされたすべての履歴をそれぞれのバージョンで囲むディレクトリーです。Operator のリリースされたバージョンは、CRD と共に CSV マニフェストに記述されます。
2.3.1.13. レジストリー
レジストリー は、Operator のバンドルイメージを保存するデータベースで、それぞれにすべてのチャネルの最新バージョンおよび過去のバージョンすべてが含まれます。
2.3.1.14. サブスクリプション
サブスクリプション は、パッケージのチャネルを追跡して CSV を最新の状態に保ちます。
2.3.1.15. 更新グラフ
更新グラフ は、他のパッケージ化されたソフトウェアの更新グラフと同様に、CSV の複数のバージョンを 1 つにまとめます。Operator を順番にインストールすることも、特定のバージョンを省略することもできます。更新グラフは、新しいバージョンが追加されている状態でヘッドでのみ拡張することが予想されます。
2.4. Operator Lifecycle Manager (OLM)
2.4.1. Operator Lifecycle Manager の概念およびリソース
以下で、OpenShift Container Platform での Operator Lifecycle Manager (OLM) に関連する概念について説明します。
2.4.1.1. Operator Lifecycle Manager について
Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用することにより、ユーザーは Kubernetes ネイティブアプリケーション (Operator) および OpenShift Container Platform クラスター全体で実行される関連サービスについてインストール、更新、およびそのライフサイクルの管理を実行できます。これは、Operator を効果的かつ自動化された拡張可能な方法で管理するために設計されたオープンソースツールキットの Operator Framework の一部です。
図2.2 Operator Lifecycle Manager ワークフロー
OLM は OpenShift Container Platform 4.7 でデフォルトで実行されます。これは、クラスター管理者がクラスターで実行されている Operator をインストールし、アップグレードし、アクセスをこれに付与するのに役立ちます。OpenShift Container Platform Web コンソールは、クラスター管理者が Operator をインストールしたり、クラスターで利用可能な Operator のカタログを使用できるように特定のプロジェクトアクセスを付与したりするのに使用する管理画面を提供します。
開発者の場合は、セルフサービスを使用することで、専門的な知識がなくてもデータベースのインスタンスのプロビジョニングや設定、またモニターリング、ビッグデータサービスなどを実行できます。 Operator にそれらに関するナレッジが織り込まれているためです。
2.4.1.2. OLM リソース
以下のカスタムリソース定義 (CRD) は Operator Lifecycle Manager (OLM) によって定義され、管理されます。
リソース | 短縮名 | 説明 |
---|---|---|
|
| アプリケーションメタデータ:例: 名前、バージョン、アイコン、必須リソース。 |
|
| CSV、CRD、およびアプリケーションを定義するパッケージのリポジトリー。 |
|
| パッケージのチャネルを追跡して CSV を最新の状態に保ちます。 |
|
| CSV を自動的にインストールするか、またはアップグレードするために作成されるリソースの計算された一覧。 |
|
|
|
| - |
OLM とそれが管理する Operator との間で通信チャネルを作成します。Operator は |
2.4.1.2.1. クラスターサービスバージョン
クラスターサービスバージョン (CSV) は、OpenShift Container Platform クラスター上で実行中の Operator の特定バージョンを表します。これは、クラスターでの Operator Lifecycle Manager (OLM) の Operator の実行に使用される Operator メタデータから作成される YAML マニフェストです。
OLM は Operator についてのこのメタデータを要求し、これがクラスターで安全に実行できるようにし、Operator の新規バージョンが公開される際に更新を適用する方法についての情報を提供します。これは従来のオペレーティングシステムのソフトウェアのパッケージに似ています。OLM のパッケージ手順を、rpm
、dep
、または apk
バンドルを作成するステージとして捉えることができます。
CSV には、ユーザーインターフェイスに名前、バージョン、説明、ラベル、リポジトリーリンクおよびロゴなどの情報を設定するために使用される Operator コンテナーイメージに伴うメタデータが含まれます。
CSV は、Operator が管理したり、依存したりするカスタムリソース (CR)、RBAC ルール、クラスター要件、およびインストールストラテジーなどの Operator の実行に必要な技術情報の情報源でもあります。この情報は OLM に対して必要なリソースの作成方法と、Operator をデプロイメントとしてセットアップする方法を指示します。
2.4.1.2.2. カタログソース
カタログソース は、通常コンテナーレジストリーに保存されている インデックスイメージ を参照してメタデータのストアを表します。Operator Lifecycle Manager(OLM) はカタログソースをクエリーし、Operator およびそれらの依存関係を検出してインストールします。OpenShift Container Platform Web コンソールの OperatorHub は、カタログソースで提供される Operator も表示します。
クラスター管理者は、Web コンソールの Administration → Cluster Settings → Global Configuration → OperatorHub ページを使用して、クラスターで有効なログソースにより提供される Operator の詳細一覧を表示できます。
CatalogSource
オブジェクトの spec
は、Pod の構築方法、または Operator レジストリー gRPC API を提供するサービスとの通信方法を示します。
例2.1 CatalogSource
オブジェクトの例
apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: CatalogSource metadata: generation: 1 name: example-catalog 1 namespace: openshift-marketplace 2 spec: displayName: Example Catalog 3 image: quay.io/example-org/example-catalog:v1 4 priority: -400 5 publisher: Example Org sourceType: grpc 6 updateStrategy: registryPoll: 7 interval: 30m0s status: connectionState: address: example-catalog.openshift-marketplace.svc:50051 lastConnect: 2021-08-26T18:14:31Z lastObservedState: READY 8 latestImageRegistryPoll: 2021-08-26T18:46:25Z 9 registryService: 10 createdAt: 2021-08-26T16:16:37Z port: 50051 protocol: grpc serviceName: example-catalog serviceNamespace: openshift-marketplace
- 1
CatalogSource
オブジェクトの名前。この値は、要求された namespace で作成される、関連の Pod 名の一部としても使用されます。- 2
- 利用可能なカタログを作成する namespace。カタログを全 namespace のクラスター全体で利用可能にするには、この値を
openshift-marketplace
に設定します。Red Hat が提供するデフォルトのカタログソースもopenshift-marketplace
namespace を使用します。それ以外の場合は、値を特定の namespace に設定し、Operator をその namespace でのみ利用可能にします。 - 3
- Web コンソールおよび CLI でのカタログの表示名。
- 4
- カタログのインデックスイメージ。
- 5
- カタログソースの重み。OLM は重みを使用して依存関係の解決時に優先順位付けします。重みが大きい場合は、カタログが重みの小さいカタログよりも優先されることを示します。
- 6
- ソースタイプには以下が含まれます。
-
image
参照のあるgrpc
: OLM はイメージをポーリングし、Pod を実行します。これにより、準拠 API が提供されることが予想されます。 -
address
フィールドのあるgrpc
: OLM は所定アドレスでの gRPC API へのアクセスを試行します。これはほとんどの場合使用することができません。 -
ConfigMap
: OLM は設定マップデータを解析し、gRPC API を提供できる Pod を実行します。
-
- 7
- 最新の状態を維持するために、特定の間隔で新しいバージョンの有無を自動的にチェックします。
- 8
- カタログ接続が最後に監視された状態。以下に例を示します。
-
READY
: 接続が正常に確立されました。 -
CONNECTING
: 接続が確立中です。 -
TRANSIENT_FAILURE
: タイムアウトなど、接続の確立時一時的な問題が発生しました。状態は最終的にCONNECTING
に戻り、再試行されます。
詳細は、gRPC ドキュメントの 接続の状態 を参照してください。
-
- 9
- カタログイメージを保存するコンテナーレジストリーがポーリングされ、イメージが最新の状態であることを確認します。
- 10
- カタログの Operator レジストリーサービスのステータス情報。
サブスクリプションの CatalogSource
オブジェクトの name
を参照すると、要求された Operator を検索する場所を、OLM に指示します。
例2.2 カタログソースを参照する Subscription
オブジェクトの例
apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: example-operator namespace: example-namespace spec: channel: stable name: example-operator source: example-catalog sourceNamespace: openshift-marketplace
2.4.1.2.3. Subscription
サブスクリプション は、Subscription
オブジェクトによって定義され、Operator をインストールする意図を表します。これは、Operator をカタログソースに関連付けるカスタムリソースです。
サブスクリプションは、サブスクライブする Operator パッケージのチャネルや、更新を自動または手動で実行するかどうかを記述します。サブスクリプションが自動に設定された場合、Operator Lifecycle Manager (OLM) が Operator を管理し、アップグレードして、最新バージョンがクラスター内で常に実行されるようにします。
Subscription
オブジェクトの例
apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: example-operator namespace: example-namespace spec: channel: stable name: example-operator source: example-catalog sourceNamespace: openshift-marketplace
この Subscription
オブジェクトは、Operator の名前および namespace および Operator データのあるカタログを定義します。alpha
、beta
、または stable
などのチャネルは、カタログソースからインストールする必要のある Operator ストリームを判別するのに役立ちます。
サブスクリプションのチャネルの名前は Operator 間で異なる可能性がありますが、命名スキームは指定された Operator 内の一般的な規則に従う必要があります。たとえば、チャネル名は Operator によって提供されるアプリケーションのマイナーリリース更新ストリーム (1.2
、1.3
) またはリリース頻度 (stable
、fast
) に基づく可能性があります。
OpenShift Container Platform Web コンソールから簡単に表示されるだけでなく、関連するサブスクリプションのステータスを確認して、Operator の新規バージョンが利用可能になるタイミングを特定できます。currentCSV
フィールドに関連付けられる値は OLM に認識される最新のバージョンであり、installedCSV
はクラスターにインストールされるバージョンです。
2.4.1.2.4. インストール計画
InstallPlan
オブジェクトによって定義される インストール計画 は、Operator Lifecycle Manager(OLM) が特定バージョンの Operator をインストールまたはアップグレードするために作成するリソースのセットを記述します。バージョンはクラスターサービスバージョン (CSV) で定義されます。
Operator、クラスター管理者、または Operator インストールパーミッションが付与されているユーザーをインストールするには、まず Subscription
オブジェクトを作成する必要があります。サブスクリプションでは、カタログソースから利用可能なバージョンの Operator のストリームにサブスクライブする意図を表します。次に、サブスクリプションは InstallPlan
オブジェクトを作成し、Operator のリソースのインストールを容易にします。
その後、インストール計画は、以下の承認ストラテジーのいずれかをもとに承認される必要があります。
-
サブスクリプションの
spec.installPlanApproval
フィールドがAutomatic
に設定されている場合には、インストール計画は自動的に承認されます。 -
サブスクリプションの
spec.installPlanApproval
フィールドがManual
に設定されている場合には、インストール計画はクラスター管理者または適切なパーミッションが割り当てられたユーザーによって手動で承認する必要があります。
インストール計画が承認されると、OLM は指定されたリソースを作成し、サブスクリプションで指定された namespace に Operator をインストールします。
例2.3 InstallPlan
オブジェクトの例
apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: InstallPlan metadata: name: install-abcde namespace: operators spec: approval: Automatic approved: true clusterServiceVersionNames: - my-operator.v1.0.1 generation: 1 status: ... catalogSources: [] conditions: - lastTransitionTime: '2021-01-01T20:17:27Z' lastUpdateTime: '2021-01-01T20:17:27Z' status: 'True' type: Installed phase: Complete plan: - resolving: my-operator.v1.0.1 resource: group: operators.coreos.com kind: ClusterServiceVersion manifest: >- ... name: my-operator.v1.0.1 sourceName: redhat-operators sourceNamespace: openshift-marketplace version: v1alpha1 status: Created - resolving: my-operator.v1.0.1 resource: group: apiextensions.k8s.io kind: CustomResourceDefinition manifest: >- ... name: webservers.web.servers.org sourceName: redhat-operators sourceNamespace: openshift-marketplace version: v1beta1 status: Created - resolving: my-operator.v1.0.1 resource: group: '' kind: ServiceAccount manifest: >- ... name: my-operator sourceName: redhat-operators sourceNamespace: openshift-marketplace version: v1 status: Created - resolving: my-operator.v1.0.1 resource: group: rbac.authorization.k8s.io kind: Role manifest: >- ... name: my-operator.v1.0.1-my-operator-6d7cbc6f57 sourceName: redhat-operators sourceNamespace: openshift-marketplace version: v1 status: Created - resolving: my-operator.v1.0.1 resource: group: rbac.authorization.k8s.io kind: RoleBinding manifest: >- ... name: my-operator.v1.0.1-my-operator-6d7cbc6f57 sourceName: redhat-operators sourceNamespace: openshift-marketplace version: v1 status: Created ...
2.4.1.2.5. Operator グループ
Operator グループ は、 OperatorGroup
リソースによって定義され、マルチテナント設定を OLM でインストールされた Operator に提供します。Operator グループは、そのメンバー Operator に必要な RBAC アクセスを生成するために使用するターゲット namespace を選択します。
ターゲット namespace のセットは、クラスターサービスバージョン (CSV) の olm.targetNamespaces
アノテーションに保存されるコンマ区切りの文字列によって指定されます。このアノテーションは、メンバー Operator の CSV インスタンスに適用され、それらのデプロインメントに展開されます。
関連情報
2.4.1.2.6. Operator 条件
Operator のライフサイクル管理のロールの一部として、Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Operator を定義する Kubernetes リソースの状態から Operator の状態を推測します。このアプローチでは、Operator が特定の状態にあることをある程度保証しますが、推測できない情報を Operator が OLM と通信して提供する必要がある場合も多々あります。続いて、OLM がこの情報を使用して、Operator のライフサイクルをより適切に管理することができます。
OLM は、Operator が OLM に条件について通信できる OperatorCondition
というカスタムリソース定義 (CRD) を提供します。OperatorCondition
リソースの Status.Conditions
配列にある場合に、OLM による Operator の管理に影響するサポートされる条件のセットがあります。
関連情報
2.4.2. Operator Lifecycle Manager アーキテクチャー
以下では、OpenShift Container Platform における Operator Lifecycle Manager (OLM) のコンポーネントのアーキテクチャーを説明します。
2.4.2.1. コンポーネントのロール
Operator Lifecycle Manager (OLM) は、OLM Operator および Catalog Operator の 2 つの Operator で設定されています。
これらの Operator はそれぞれ OLM フレームワークのベースとなるカスタムリソース定義 (CRD) を管理します。
リソース | 短縮名 | 所有する Operator | 説明 |
---|---|---|---|
|
| OLM | アプリケーションのメタデータ: 名前、バージョン、アイコン、必須リソース、インストールなど。 |
|
| カタログ | CSV を自動的にインストールするか、またはアップグレードするために作成されるリソースの計算された一覧。 |
|
| カタログ | CSV、CRD、およびアプリケーションを定義するパッケージのリポジトリー。 |
|
| カタログ | パッケージのチャネルを追跡して CSV を最新の状態に保つために使用されます。 |
|
| OLM |
|
これらの Operator のそれぞれは以下のリソースの作成も行います。
リソース | 所有する Operator |
---|---|
| OLM |
| |
| |
| |
| カタログ |
|
2.4.2.2. OLM Operator
OLM Operator は、CSV で指定された必須リソースがクラスター内にあることが確認された後に CSV リソースで定義されるアプリケーションをデプロイします。
OLM Operator は必須リソースの作成には関与せず、ユーザーが CLI またはカタログ Operator を使用してこれらのリソースを手動で作成することを選択できます。このタスクの分離により、アプリケーションに OLM フレームワークをどの程度活用するかに関連してユーザーによる追加機能の購入を可能にします。
OLM Operator は以下のワークフローを使用します。
- namespace でクラスターサービスバージョン (CSV) の有無を確認し、要件を満たしていることを確認します。
要件が満たされている場合、CSV のインストールストラテジーを実行します。
注記CSV は、インストールストラテジーの実行を可能にするために Operator グループのアクティブなメンバーである必要があります。
2.4.2.3. カタログ Operator
カタログ Operator はクラスターサービスバージョン (CSV) およびそれらが指定する必須リソースを解決し、インストールします。また、カタログソースでチャネル内のパッケージへの更新の有無を確認し、必要な場合はそれらを利用可能な最新バージョンに自動的にアップグレードします。
チャネル内のパッケージを追跡するために、必要なパッケージ、チャネル、および更新のプルに使用する CatalogSource
オブジェクトを設定して Subscription
オブジェクトを作成できます。更新が見つかると、ユーザーに代わって適切な InstallPlan
オブジェクトの namespace への書き込みが行われます。
カタログ Operator は以下のワークフローを使用します。
- クラスターの各カタログソースに接続します。
ユーザーによって作成された未解決のインストール計画の有無を確認し、これがあった場合は以下を実行します。
- 要求される名前に一致する CSV を検索し、これを解決済みリソースとして追加します。
- 管理対象または必須の CRD のそれぞれについて、これを解決済みリソースとして追加します。
- 必須 CRD のそれぞれについて、これを管理する CSV を検索します。
- 解決済みのインストール計画の有無を確認し、それについての検出されたすべてのリソースを作成します (ユーザーによって、または自動的に承認される場合)。
- カタログソースおよびサブスクリプションの有無を確認し、それらに基づいてインストール計画を作成します。
2.4.2.4. カタログレジストリー
カタログレジストリーは、クラスター内での作成用に CSV および CRD を保存し、パッケージおよびチャネルについてのメタデータを保存します。
パッケージマニフェスト は、パッケージアイデンティティーを CSV のセットに関連付けるカタログレジストリー内のエントリーです。パッケージ内で、チャネルは特定の CSV を参照します。CSV は置き換え対象の CSV を明示的に参照するため、パッケージマニフェストはカタログ Operator に対し、CSV をチャネル内の最新バージョンに更新するために必要なすべての情報を提供します (各中間バージョンをステップスルー)。
2.4.3. Operator Lifecycle Manager ワークフロー
以下では、OpenShift Container Platform における Operator Lifecycle Manager (OLM) のワークロードについて説明します。
2.4.3.1. OLM での Operator のインストールおよびアップグレードのワークフロー
Operator Lifecycle Manager (OLM) エコシステムでは、以下のリソースを使用して Operator インストールおよびアップグレードを解決します。
-
ClusterServiceVersion
(CSV) -
CatalogSource
-
サブスクリプション
CSV で定義される Operator メタデータは、カタログソースというコレクションに保存できます。OLM はカタログソースを使用します。これは Operator Registry API を使用して利用可能な Operator やインストールされた Operator のアップグレードについてクエリーします。
図2.3 カタログソースの概要
カタログソース内で、Operator は パッケージ と チャネル という更新のストリームに編成されます。これは、Web ブラウザーのような継続的なリリースサイクルの OpenShift Container Platform や他のソフトウェアで使用される更新パターンです。
図2.4 カタログソースのパッケージおよびチャネル
ユーザーは サブスクリプション の特定のカタログソースの特定のパッケージおよびチャネルを指定できます (例: etcd
パッケージおよびその alpha
チャネル)。サブスクリプションが namespace にインストールされていないパッケージに対して作成されると、そのパッケージの最新 Operator がインストールされます。
OLM では、バージョンの比較が意図的に避けられます。そのため、所定の catalog → channel → package パスから利用可能な latest または newest Operator が必ずしも最も高いバージョン番号である必要はありません。これは Git リポジトリーの場合と同様に、チャネルの Head リファレンスとして見なされます。
各 CSV には、これが置き換える Operator を示唆する replaces
パラメーターがあります。これにより、OLM でクエリー可能な CSV のグラフが作成され、更新がチャネル間で共有されます。チャネルは、更新グラフのエントリーポイントと見なすことができます。
図2.5 利用可能なチャネル更新についての OLM グラフ
パッケージのチャネルの例
packageName: example channels: - name: alpha currentCSV: example.v0.1.2 - name: beta currentCSV: example.v0.1.3 defaultChannel: alpha
カタログソース、パッケージ、チャネルおよび CSV がある状態で、OLM が更新のクエリーを実行できるようにするには、カタログが入力された CSV の置き換え (replaces
) を実行する単一 CSV を明確にかつ確定的に返すことができる必要があります。
2.4.3.1.1. アップグレードパスの例
アップグレードシナリオのサンプルについて、CSV バージョン 0.1.1
に対応するインストールされた Operator について見てみましょう。OLM はカタログソースをクエリーし、新規 CSV バージョン 0.1.3
についてサブスクライブされたチャネルのアップグレードを検出します。これは、古いバージョンでインストールされていない CSV バージョン 0.1.2
を置き換えます。その後、さらに古いインストールされた CSV バージョン 0.1.1
を置き換えます。
OLM は、チャネルヘッドから CSV で指定された replaces
フィールドで以前のバージョンに戻り、アップグレードパス 0.1.3
→ 0.1.2
→ 0.1.1
を判別します。矢印の方向は前者が後者を置き換えることを示します。OLM は、チャネルヘッドに到達するまで Operator を 1 バージョンずつアップグレードします。
このシナリオでは、OLM は Operator バージョン 0.1.2
をインストールし、既存の Operator バージョン 0.1.1
を置き換えます。その後、Operator バージョン 0.1.3
をインストールし、直前にインストールされた Operator バージョン 0.1.2
を置き換えます。この時点で、インストールされた Operator のバージョン 0.1.3
はチャネルヘッドに一致し、アップグレードは完了します。
2.4.3.1.2. アップグレードの省略
OLM のアップグレードの基本パスは以下の通りです。
- カタログソースは Operator への 1 つ以上の更新によって更新されます。
- OLM は、カタログソースに含まれる最新バージョンに到達するまで、Operator のすべてのバージョンを横断します。
ただし、この操作の実行は安全でない場合があります。公開されているバージョンの Operator がクラスターにインストールされていない場合、そのバージョンによって深刻な脆弱性が導入される可能性があるなどの理由でその Operator をがクラスターにインストールできないことがあります。
この場合、OLM は以下の 2 つのクラスターの状態を考慮に入れて、それらの両方に対応する更新グラフを提供する必要があります。
- 問題のある中間 Operator がクラスターによって確認され、かつインストールされている。
- 問題のある中間 Operator がクラスターにまだインストールされていない。
OLM は、新規カタログを送り、省略されたリリースを追加することで、クラスターの状態や問題のある更新が発見されたかどうかにかかわらず、単一の固有の更新を常に取得することができます。
省略されたリリースの CSV 例
apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: ClusterServiceVersion metadata: name: etcdoperator.v0.9.2 namespace: placeholder annotations: spec: displayName: etcd description: Etcd Operator replaces: etcdoperator.v0.9.0 skips: - etcdoperator.v0.9.1
古い CatalogSource および 新規 CatalogSource についての以下の例を見てみましょう。
図2.6 更新のスキップ
このグラフは、以下を示しています。
- 古い CatalogSource の Operator には、 新規 CatalogSource の単一の置き換えがある。
- 新規 CatalogSource の Operator には、 新規 CatalogSource の単一の置き換えがある。
- 問題のある更新がインストールされていない場合、これがインストールされることはない。
2.4.3.1.3. 複数 Operator の置き換え
説明されているように 新規 CatalogSource を作成するには、1 つの Operator を置き換える (置き換える
) が、複数バージョンを省略 (skip
) できる CSV を公開する必要があります。これは、skipRange
アノテーションを使用して実行できます。
olm.skipRange: <semver_range>
ここで <semver_range>
には、semver ライブラリー でサポートされるバージョン範囲の形式が使用されます。
カタログで更新を検索する場合、チャネルのヘッドに skipRange
アノテーションがあり、現在インストールされている Operator にその範囲内のバージョンフィールドがある場合、OLM はチャネル内の最新エントリーに対して更新されます。
以下は動作が実行される順序になります。
-
サブスクリプションの
sourceName
で指定されるソースのチャネルヘッド (省略する他の条件が満たされている場合)。 -
sourceName
で指定されるソースの現行バージョンを置き換える次の Operator。 - サブスクリプションに表示される別のソースのチャネルヘッド (省略する他の条件が満たされている場合)。
- サブスクリプションに表示されるソースの現行バージョンを置き換える次の Operator。
skipRange
を含む CSV の例
apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: ClusterServiceVersion metadata: name: elasticsearch-operator.v4.1.2 namespace: <namespace> annotations: olm.skipRange: '>=4.1.0 <4.1.2'
2.4.3.1.4. z-stream サポート
z-streamまたはパッチリリースは、同じマイナーバージョンの以前のすべての z-stream リリースを置き換える必要があります。OLM は、メジャー、マイナーまたはパッチバージョンを考慮せず、カタログ内で正確なグラフのみを作成する必要があります。
つまり、OLM では 古い CatalogSource のようにグラフを使用し、以前と同様に 新規 CatalogSource にあるようなグラフを生成する必要があります。
図2.7 複数 Operator の置き換え
このグラフは、以下を示しています。
- 古い CatalogSource の Operator には、 新規 CatalogSource の単一の置き換えがある。
- 新規 CatalogSource の Operator には、 新規 CatalogSource の単一の置き換えがある。
- 古い CatalogSource の z-stream リリースは、 新規 CatalogSource の最新 z-stream リリースに更新される。
- 使用不可のリリースは仮想グラフノードと見なされる。それらのコンテンツは存在する必要がなく、レジストリーはグラフが示すように応答することのみが必要になります。
2.4.4. Operator Lifecycle Manager の依存関係の解決
以下で、OpenShift Container Platform の Operator Lifecycle Manager (OLM) での依存関係の解決およびカスタムリソース定義 (CRD) アップグレードライフサイクルについて説明します。
2.4.4.1. 依存関係の解決
OLM は、実行中の Operator の依存関係の解決およびアップグレードライフサイクルを管理します。多くの場合、OLM が直面する問題は yum
や rpm
などの他のオペレーティングシステムパッケージマネージャーと同様です。
ただし、OLM にはあるものの、通常同様のシステムにはない 1 つの制約があります。Opearator は常に実行されており、OLM は相互に機能しない Operator のセットの共存を防ごうとします。
つまり、OLM は以下を行うことができません。
- 提供できない API を必要とする Operator のセットのインストール
- Operator と依存関係のあるものに障害を発生させる仕方での Operator の更新
2.4.4.2. 依存関係ファイル
Operator の依存関係は、バンドルの metadata/
フォルダー内の dependencies.yaml
ファイルに一覧表示されます。このファイルはオプションであり、現時点では明示的な Operator バージョンの依存関係を指定するためにのみ使用されます。
依存関係の一覧には、依存関係の内容を指定するために各項目の type
フィールドが含まれます。Operator の依存関係には、サポートされる 2 つのタイプがあります。
-
olm.package
: このタイプは、特定の Operator バージョンの依存関係であることを意味します。依存関係情報には、パッケージ名とパッケージのバージョンを semver 形式で含める必要があります。たとえば、0.5.2
などの特定バージョンや>0.5.1
などのバージョンの範囲を指定することができます。 -
olm.gvk
:gvk
タイプの場合、作成者は CSV の既存の CRD および API ベースの使用方法と同様に group/version/kind (GVK) 情報で依存関係を指定できます。これは、Operator の作成者がすべての依存関係、API または明示的なバージョンを同じ場所に配置できるようにするパスです。
以下の例では、依存関係は Prometheus Operator および etcd CRD について指定されます。
dependencies.yaml
ファイルの例
dependencies: - type: olm.package value: packageName: prometheus version: ">0.27.0" - type: olm.gvk value: group: etcd.database.coreos.com kind: EtcdCluster version: v1beta2
2.4.4.3. 依存関係の設定
Operator の依存関係を同等に満たすオプションが多数ある場合があります。Operator Lifecycle Manager (OLM) の依存関係リゾルバーは、要求された Operator の要件に最も適したオプションを判別します。Operator の作成者またはユーザーとして、依存関係の解決が明確になるようにこれらの選択方法を理解することは重要です。
2.4.4.3.1. カタログの優先順位
OpenShift Container Platform クラスターでは、OLM はカタログソースを読み取り、インストールに使用できる Operator を確認します。
CatalogSource
オブジェクトの例
apiVersion: "operators.coreos.com/v1alpha1" kind: "CatalogSource" metadata: name: "my-operators" namespace: "operators" spec: sourceType: grpc image: example.com/my/operator-index:v1 displayName: "My Operators" priority: 100
CatalogSource
オブジェクトには priority
フィールドがあります。このフィールドは、依存関係のオプションを優先する方法を把握するためにリゾルバーによって使用されます。
カタログ設定を規定する 2 つのルールがあります。
- 優先順位の高いカタログにあるオプションは、優先順位の低いカタログのオプションよりも優先されます。
- 依存オブジェクトと同じカタログにあるオプションは他のカタログよりも優先されます。
2.4.4.3.2. チャネルの順序付け
カタログの Operator パッケージは、ユーザーが OpenShift Container Platform クラスターでサブスクライブできる更新チャネルのコレクションです。チャネルは、マイナーリリース (1.2
、1.3
) またはリリース頻度 (stable
、fast
) についての特定の更新ストリームを提供するために使用できます。
同じパッケージの Operator によって依存関係が満たされる可能性がありますが、その場合、異なるチャネルの Operator のバージョンによって満たされる可能性があります。たとえば、Operator のバージョン 1.2
は stable
および fast
チャネルの両方に存在する可能性があります。
それぞれのパッケージにはデフォルトのチャネルがあり、これは常にデフォルト以外のチャネルよりも優先されます。デフォルトチャネルのオプションが依存関係を満たさない場合には、オプションは、チャネル名の辞書式順序 (lexicographic order) で残りのチャネルから検討されます。
2.4.4.3.3. チャネル内での順序
ほとんどの場合、単一のチャネル内に依存関係を満たすオプションが複数あります。たとえば、1 つのパッケージおよびチャネルの Operator は同じセットの API を提供します。
ユーザーがサブスクリプションを作成すると、それらはどのチャネルから更新を受け取るかを示唆します。これにより、すぐにその 1 つのチャネルだけに検索が絞られます。ただし、チャネル内では、多くの Operator が依存関係を満たす可能性があります。
チャネル内では、更新グラフでより上位にある新規 Operator が優先されます。チャネルのヘッドが依存関係を満たす場合、これがまず試行されます。
2.4.4.3.4. その他の制約
OLM には、パッケージの依存関係で指定される制約のほかに、必要なユーザーの状態を表し、常にメンテナンスする必要のある依存関係の解決を適用するための追加の制約が含まれます。
2.4.4.3.4.1. サブスクリプションの制約
サブスクリプションの制約は、サブスクリプションを満たすことのできる Operator のセットをフィルターします。サブスクリプションは、依存関係リゾルバーについてのユーザー指定の制約です。それらは、クラスター上にない場合は新規 Operator をインストールすることを宣言するか、または既存 Operator の更新された状態を維持することを宣言します。
2.4.4.3.4.2. パッケージの制約
namespace 内では、2 つの Operator が同じパッケージから取得されることはありません。
2.4.4.4. CRD のアップグレード
OLM は、単一のクラスターサービスバージョン (CSV) によって所有されている場合にはカスタムリソース定義 (CRD) をすぐにアップグレードします。CRD が複数の CSV によって所有されている場合、CRD は、以下の後方互換性の条件のすべてを満たす場合にアップグレードされます。
- 現行 CRD の既存の有効にされたバージョンすべてが新規 CRD に存在する。
- 検証が新規 CRD の検証スキーマに対して行われる場合、CRD の提供バージョンに関連付けられる既存インスタンスまたはカスタムリソースすべてが有効である。
2.4.4.5. 依存関係のベストプラクティス
依存関係を指定する際には、ベストプラクティスを考慮する必要があります。
- Operator の API または特定のバージョン範囲によって異なります。
-
Operator は API をいつでも追加または削除できます。Operator が必要とする API に
olm.gvk
依存関係を常に指定できます。これの例外は、olm.package
制約を代わりに指定する場合です。 - 最小バージョンの設定
API の変更に関する Kubernetes ドキュメントでは、Kubernetes 形式の Operator で許可される変更について説明しています。これらのバージョン管理規則により、Operator は API バージョンに後方互換性がある限り、API バージョンに影響を与えずに API を更新することができます。
Operator の依存関係の場合、依存関係の API バージョンを把握するだけでは、依存する Operator が確実に意図された通りに機能することを確認できないことを意味します。
以下に例を示します。
-
TestOperator v1.0.0 は、v1alpha1 API バージョンの
MyObject
リソースを提供します。 -
TestOperator v1.0.1 は新しいフィールド
spec.newfield
をMyObject
に追加しますが、v1alpha1 のままになります。
Operator では、
spec.newfield
をMyObject
リソースに書き込む機能が必要になる場合があります。olm.gvk
制約のみでは、OLM で TestOperator v1.0.0 ではなく TestOperator v1.0.1 が必要であると判断することはできません。可能な場合には、API を提供する特定の Operator が事前に分かっている場合、最小値を設定するために追加の
olm.package
制約を指定します。-
TestOperator v1.0.0 は、v1alpha1 API バージョンの
- 最大バージョンを省略するか、または幅広いバージョンを許可します。
Operator は API サービスや CRD などのクラスタースコープのリソースを提供するため、依存関係に小規模な範囲を指定する Operator は、その依存関係の他のコンシューマーの更新に不要な制約を加える可能性があります。
可能な場合は、最大バージョンを設定しないでください。または、他の Operator との競合を防ぐために、幅広いセマンティクスの範囲を設定します。例:
>1.0.0 <2.0.0
従来のパッケージマネージャーとは異なり、Operator の作成者は更新が OLM のチャネルで更新を安全に行われるように Operator を明示的にエンコードします。更新が既存のサブスクリプションで利用可能な場合、Operator の作成者がこれが以前のバージョンから更新できることを示唆していることが想定されます。依存関係の最大バージョンを設定すると、特定の上限で不必要な切り捨てが行われることにより、作成者の更新ストリームが上書きされます。
注記クラスター管理者は、Operator の作成者が設定した依存関係を上書きすることはできません。
ただし、回避する必要がある非互換性があることが分かっている場合は、最大バージョンを設定でき、およびこれを設定する必要があります。特定のバージョンは、バージョン範囲の構文 (例:
1.0.0 !1.2.1
) で省略できます。
関連情報
- Kubernetes ドキュメント: Changing the API
2.4.4.6. 依存関係に関する注意事項
依存関係を指定する際には、考慮すべき注意事項があります。
- 複合制約がない (AND)
現時点で、制約の間に AND 関係を指定する方法はありません。つまり、ある Operator が、所定の API を提供し、バージョン
>1.1.0
を持つ別の Operator に依存するように指定することはできません。依存関係を指定すると、以下のようになります。
dependencies: - type: olm.package value: packageName: etcd version: ">3.1.0" - type: olm.gvk value: group: etcd.database.coreos.com kind: EtcdCluster version: v1beta2
OLM は EtcdCluster を提供する Operator とバージョン
>3.1.0
を持つ Operator の 2 つの Operator で、上記の依存関係の例の条件を満たすことができる可能性があります。その場合や、または両方の制約を満たす Operator が選択されるかどうかは、選択できる可能性のあるオプションが参照される順序によって変わります。依存関係の設定および順序のオプションは十分に定義され、理にかなったものであると考えられますが、Operator は継続的に特定のメカニズムをベースとする必要があります。- namespace 間の互換性
- OLM は namespace スコープで依存関係の解決を実行します。ある namespace での Operator の更新が別の namespace の Operator の問題となる場合、更新のデッドロックが生じる可能性があります。
2.4.4.7. 依存関係解決のシナリオ例
以下の例で、プロバイダー は CRD または API サービスを所有する Operator です。
例: 依存 API を非推奨にする
A および B は API (CRD):
- A のプロバイダーは B によって異なる。
- B のプロバイダーにはサブスクリプションがある。
- B のプロバイダーは C を提供するように更新するが、B を非推奨にする。
この結果は以下のようになります。
- B にはプロバイダーがなくなる。
- A は機能しなくなる。
これは OLM がアップグレードストラテジーで回避するケースです。
例: バージョンのデッドロック
A および B は API である:
- A のプロバイダーは B を必要とする。
- B のプロバイダーは A を必要とする。
- A のプロバイダーは (A2 を提供し、B2 を必要とするように) 更新し、A を非推奨にする。
- B のプロバイダーは (B2 を提供し、A2 を必要とするように) 更新し、B を非推奨にする。
OLM が B を同時に更新せずに A を更新しようとする場合や、その逆の場合、OLM は、新しい互換性のあるセットが見つかったとしても Operator の新規バージョンに進むことができません。
これは OLM がアップグレードストラテジーで回避するもう 1 つのケースです。
2.4.5. Operator グループ
以下では、OpenShift Container Platform で Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用した Operator グループの使用について説明します。
2.4.5.1. Operator グループについて
Operator グループ は、 OperatorGroup
リソースによって定義され、マルチテナント設定を OLM でインストールされた Operator に提供します。Operator グループは、そのメンバー Operator に必要な RBAC アクセスを生成するために使用するターゲット namespace を選択します。
ターゲット namespace のセットは、クラスターサービスバージョン (CSV) の olm.targetNamespaces
アノテーションに保存されるコンマ区切りの文字列によって指定されます。このアノテーションは、メンバー Operator の CSV インスタンスに適用され、それらのデプロインメントに展開されます。
2.4.5.2. Operator グループメンバーシップ
Operator は、以下の条件が true の場合に Operator グループの メンバー とみなされます。
- Operator の CSV が Operator グループと同じ namespace にある。
- Operator の CSV のインストールモードは Operator グループがターゲットに設定する namespace のセットをサポートする。
CSV のインストールモードは InstallModeType
フィールドおよびブール値の Supported
フィールドで設定されます。CSV の仕様には、4 つの固有の InstallModeTypes
のインストールモードのセットを含めることができます。
InstallMode タイプ | 説明 |
---|---|
| Operator は、独自の namespace を選択する Operator グループのメンバーにすることができます。 |
| Operator は 1 つの namespace を選択する Operator グループのメンバーにすることができます。 |
| Operator は複数の namespace を選択する Operator グループのメンバーにすることができます。 |
|
Operator はすべての namespace を選択する Operator グループのメンバーにすることができます (設定されるターゲット namespace は空の文字列 |
CSV の仕様が InstallModeType
のエントリーを省略する場合、そのタイプは暗黙的にこれをサポートする既存エントリーによってサポートが示唆されない限り、サポートされないものとみなされます。
2.4.5.3. ターゲット namespace の選択
spec.targetNamespaces
パラメーターを使用して Operator グループのターゲット namespace に名前を明示的に指定することができます。
apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: my-group namespace: my-namespace spec: targetNamespaces: - my-namespace
または、spec.selector
パラメーターでラベルセレクターを使用して namespace を指定することもできます。
apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: my-group namespace: my-namespace spec: selector: cool.io/prod: "true"
spec.targetNamespaces
で複数の namespace を一覧表示したり、spec.selector
でラベルセレクターを使用したりすることは推奨されません。Operator グループの複数のターゲット namespace のサポートは今後のリリースで取り除かれる可能性があります。
spec.targetNamespaces
と spec.selector
の両方が定義されている場合、 spec.selector
は無視されます。または、spec.selector
と spec.targetNamespaces
の両方を省略し、global Operator グループを指定できます。これにより、すべての namespace が選択されます。
apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: my-group namespace: my-namespace
選択された namespace の解決済みのセットは Operator グループの status.namespaces
パラメーターに表示されます。グローバル Operator グループの status.namespace
には空の文字列 (""
) が含まれます。 これは、消費する Operator に対し、すべての namespace を監視するように示唆します。
2.4.5.4. Operator グループの CSV アノテーション
Operator グループのメンバー CSV には以下のアノテーションがあります。
アノテーション | 説明 |
---|---|
| Operator グループの名前が含まれます。 |
| Operator グループの namespace が含まれます。 |
| Operator グループのターゲット namespace 選択を一覧表示するコンマ区切りの文字列が含まれます。 |
olm.targetNamespaces
以外のすべてのアノテーションがコピーされた CSV と共に含まれます。olm.targetNamespaces
アノテーションをコピーされた CSV で省略すると、テナント間のターゲット namespace の重複が回避されます。
2.4.5.5. 提供される API アノテーション
group/version/kind(GVK) は Kubernetes API の一意の識別子です。Operator グループによって提供される GVK についての情報が olm.providedAPIs
アノテーションに表示されます。アノテーションの値は、コンマで区切られた <kind>.<version>.<group>
で設定される文字列です。Operator グループのすべてのアクティブメンバーの CSV によって提供される CRD および API サービスの GVK が含まれます。
PackageManifest
リースを提供する単一のアクティブメンバー CSV を含む OperatorGroup
オブジェクトの以下の例を確認してください。
apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: annotations: olm.providedAPIs: PackageManifest.v1alpha1.packages.apps.redhat.com name: olm-operators namespace: local ... spec: selector: {} serviceAccount: metadata: creationTimestamp: null targetNamespaces: - local status: lastUpdated: 2019-02-19T16:18:28Z namespaces: - local
2.4.5.6. ロールベースのアクセス制御
Operator グループの作成時に、3 つのクラスタールールが生成されます。それぞれには、以下に示すようにクラスターロールセレクターがラベルに一致するように設定された単一の集計ルールが含まれます。
クラスターロール | 一致するラベル |
---|---|
|
|
|
|
|
|
以下の RBAC リソースは、CSV が AllNamespaces
インストールモードのあるすべての namespace を監視しており、理由が InterOperatorGroupOwnerConflict
の失敗状態にない限り、CSV が Operator グループのアクティブメンバーになる際に生成されます。
- CRD からの各 API リソースのクラスターロール
- API サービスからの各 API リソースのクラスターロール
- 追加のロールおよびロールバインディング
クラスターロール | 設定 |
---|---|
|
集計ラベル:
|
|
集計ラベル:
|
|
集計ラベル:
|
|
Verbs on
集計ラベル:
|
クラスターロール | 設定 |
---|---|
|
集計ラベル:
|
|
集計ラベル:
|
|
集計ラベル:
|
追加のロールおよびロールバインディング
-
CSV が
*
が含まれる 1 つのターゲット namespace を定義する場合、クラスターロールと対応するクラスターロールバインディングが CSV のpermissions
フィールドに定義されるパーミッションごとに生成されます。生成されたすべてのリソースにはolm.owner: <csv_name>
およびolm.owner.namespace: <csv_namespace>
ラベルが付与されます。 -
CSV が
*
が含まれる 1 つのターゲット namespace を定義 しない 場合、olm.owner: <csv_name>
およびolm.owner.namespace: <csv_namespace>
ラベルの付いた Operator namespace にあるすべてのロールおよびロールバインディングがターゲット namespace にコピーされます。
2.4.5.7. コピーされる CSV
OLM は、それぞれの Operator グループのターゲット namespace の Operator グループのすべてのアクティブな CSV のコピーを作成します。コピーされる CSV の目的は、ユーザーに対して、特定の Operator が作成されるリソースを監視するように設定されたターゲット namespace について通知することにあります。
コピーされる CSV にはステータスの理由 Copied
があり、それらのソース CSV のステータスに一致するように更新されます。olm.targetNamespaces
アノテーションは、クラスター上でコピーされる CSV が作成される前に取られます。ターゲット namespace 選択を省略すると、テナント間のターゲット namespace の重複が回避されます。
コピーされる CSV はそれらのソース CSV が存在しなくなるか、またはそれらのソース CSV が属する Operator グループが、コピーされた CSV の namespace をターゲットに設定しなくなると削除されます。
2.4.5.8. 静的 Operator グループ
Operator グループはその spec.staticProvidedAPIs
フィールドが true
に設定されると 静的 になります。その結果、OLM は Operator グループの olm.providedAPIs
アノテーションを変更しません。つまり、これを事前に設定することができます。これは、ユーザーが Operator グループを使用して namespace のセットでリソースの競合を防ぐ必要がある場合で、それらのリソースの API を提供するアクティブなメンバーの CSV がない場合に役立ちます。
以下は、something.cool.io/cluster-monitoring: "true"
アノテーションのあるすべての namespace の Prometheus
リソースを保護する Operator グループの例です。
apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: cluster-monitoring namespace: cluster-monitoring annotations: olm.providedAPIs: Alertmanager.v1.monitoring.coreos.com,Prometheus.v1.monitoring.coreos.com,PrometheusRule.v1.monitoring.coreos.com,ServiceMonitor.v1.monitoring.coreos.com spec: staticProvidedAPIs: true selector: matchLabels: something.cool.io/cluster-monitoring: "true"
2.4.5.9. Operator グループの交差部分
2 つの Operator グループは、それらのターゲット namespace セットの交差部分が空のセットではなく、olm.providedAPIs
アノテーションで定義されるそれらの指定 API セットの交差部分が空のセットではない場合に、 交差部分のある指定 API があると見なされます。
これによって生じ得る問題として、交差部分のある指定 API を持つ複数の Operator グループは、一連の交差部分のある namespace で同じリソースに関して競合関係になる可能性があります。
交差ルールを確認すると、Operator グループの namespace は常に選択されたターゲット namespace の一部として組み込まれます。
交差のルール
アクティブメンバーの CSV が同期する際はいつでも、OLM はクラスターで、CSV の Operator グループとそれ以外のすべての間での交差部分のある指定 API のセットについてクエリーします。その後、OLM はそのセットが空のセットであるかどうかを確認します。
true
であり、CSV の指定 API が Operator グループのサブセットである場合:- 移行を継続します。
true
であり、CSV の指定 API が Operator グループのサブセット ではない 場合:Operator グループが静的である場合:
- CSV に属するすべてのデプロイメントをクリーンアップします。
-
ステータスの理由
CannotModifyStaticOperatorGroupProvidedAPIs
のある失敗状態に CSV を移行します。
Operator グループが静的 ではない 場合:
-
Operator グループの
olm.providedAPIs
アノテーションを、それ自体と CSV の指定 API の集合に置き換えます。
-
Operator グループの
false
であり、CSV の指定 API が Operator グループのサブセット ではない 場合:- CSV に属するすべてのデプロイメントをクリーンアップします。
-
ステータスの理由
InterOperatorGroupOwnerConflict
のある失敗状態に CSV を移行します。
false
であり、CSV の指定 API が Operator グループのサブセットである場合:Operator グループが静的である場合:
- CSV に属するすべてのデプロイメントをクリーンアップします。
-
ステータスの理由
CannotModifyStaticOperatorGroupProvidedAPIs
のある失敗状態に CSV を移行します。
Operator グループが静的 ではない 場合:
-
Operator グループの
olm.providedAPIs
アノテーションを、それ自体と CSV の指定 API 間の差異部分に置き換えます。
-
Operator グループの
Operator グループによって生じる失敗状態は非終了状態です。
以下のアクションは、Operator グループが同期するたびに実行されます。
- アクティブメンバーの CSV の指定 API のセットは、クラスターから計算されます。コピーされた CSV は無視されることに注意してください。
-
クラスターセットは
olm.providedAPIs
と比較され、olm.providedAPIs
に追加の API が含まれる場合は、それらの API がプルーニングされます。 - すべての namespace で同じ API を提供するすべての CSV は再びキューに入れられます。これにより、交差部分のあるグループ間の競合する CSV に対して、それらの競合が競合する CSV のサイズ変更または削除のいずれかによって解決されている可能性があることが通知されます。
2.4.5.10. マルチテナント Operator 管理の制限
OpenShift Container Platform では、クラスターに異なる Operator のバージョンを同時にインストールする場合のサポートは限定されます。Operator はコントロールプレーンの拡張機能です。すべてのテナントまたは namespace がクラスターの同じコントロールプレーンを共有します。そのため、マルチテナント環境のテナントも Operator を共有する必要があります。
Operator Lifecycle Manager(OLM) は、複数の異なる namespace に Operator を複数回インストールします。その 1 つの制約として、Operator の API バージョンは同じである必要があります。
Operator の異なるメジャーバージョンには、互換性のないカスタムリソース定義 (CRD) が含まれることがよくあります。これが原因で、OLM を迅速に検証することが困難になります。
2.4.5.10.1. 関連情報
2.4.5.11. Operator グループのトラブルシューティング
メンバーシップ
-
複数の Operator グループが単一の namespace にある場合、その namespace で作成されるすべての CSV は
TooManyOperatorGroups
の理由で失敗状態に切り替わります。この理由で失敗状態になる CSV は、それらの namespace の Operator グループ数が 1 になると保留状態に切り替わります。 -
CSV のインストールモードがその namespace で Operator グループのターゲット namespace 選択をサポートしない場合、CSV は
UnsupportedOperatorGroup
の理由で失敗状態に切り替わります。この理由で失敗した状態にある CSV は、Operator グループのターゲット namespace の選択がサポートされる設定に変更されるか、または CSV のインストールモードがターゲット namespace 選択をサポートするように変更される場合に、保留状態に切り替わります。
2.4.6. Operator 条件
以下では、Operator Lifecycle Manager (OLM) による Operator 条件の使用方法について説明します。
2.4.6.1. Operator 条件について
Operator のライフサイクル管理のロールの一部として、Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Operator を定義する Kubernetes リソースの状態から Operator の状態を推測します。このアプローチでは、Operator が特定の状態にあることをある程度保証しますが、推測できない情報を Operator が OLM と通信して提供する必要がある場合も多々あります。続いて、OLM がこの情報を使用して、Operator のライフサイクルをより適切に管理することができます。
OLM は、Operator が OLM に条件について通信できる OperatorCondition
というカスタムリソース定義 (CRD) を提供します。OperatorCondition
リソースの Status.Conditions
配列にある場合に、OLM による Operator の管理に影響するサポートされる条件のセットがあります。
2.4.6.2. サポートされる条件
Operator Lifecycle Manager (OLM) は、以下の Operator 条件をサポートします。
2.4.6.2.1. アップグレード可能な条件
Upgradeable
Operator 条件は、既存のクラスターサービスバージョン (CSV) が、新規の CSV バージョンに置き換えられることを阻止します。この条件は、以下の場合に役に立ちます。
- Operator が重要なプロセスを開始するところで、プロセスが完了するまでアップグレードしてはいけない場合
- Operator が、Operator のアップグレードの準備ができる前に完了する必要のあるカスタムリソース (CR) の移行を実行している場合
Upgradeable
Operator 条件の例
apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorCondition metadata: name: my-operator namespace: operators status: conditions: - type: Upgradeable 1 status: "False" 2 reason: "migration" message: "The Operator is performing a migration." lastTransitionTime: "2020-08-24T23:15:55Z"
2.4.6.3. 関連情報
2.4.7. Operator Lifecycle Manager メトリクス
2.4.7.1. 公開されるメトリクス
Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Prometheus ベースの OpenShift Container Platform クラスターモニターリングスタックで使用される特定の OLM 固有のリソースを公開します。
名前 | 説明 |
---|---|
| カタログソースの数。 |
|
クラスターサービスバージョン (CSV) を調整する際に、(インストールされていない場合など) CSV バージョンが |
| 正常に登録された CSV の数。 |
|
CSV を調整する際に、CSV バージョンが |
| CSV アップグレードの単調 (monotonic) カウント。 |
| インストール計画の数。 |
| サブスクリプションの数。 |
|
サブスクリプション同期の単調 (monotonic) カウント。 |
2.4.8. Operator Lifecycle Manager での Webhook の管理
Webhook により、リソースがオブジェクトストアに保存され、Operator コントローラーによって処理される前に、Operator の作成者はリソースのインターセプト、変更、許可、および拒否を実行することができます。Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Operator と共に提供される際にこれらの Webhook のライフサイクルを管理できます。
Operator 開発者がそれぞれの Operator の Webhook を定義する方法や OLM で実行される際の考慮事項についての詳細は、クラスターサービスバージョン (CSV) の生成 を参照してください。
2.4.8.1. 関連情報
- Webhook 受付プラグインのタイプ
Kubernetes ドキュメント:
2.5. OperatorHub について
2.5.1. OperatorHub について
OperatorHub は OpenShift Container Platform の Web コンソールインターフェイスであり、これを使用してクラスター管理者は Operator を検出し、インストールします。1 回のクリックで、Operator をクラスター外のソースからプルし、クラスター上でインストールおよびサブスクライブして、エンジニアリングチームが Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用してデプロイメント環境全体で製品をセルフサービスで管理される状態にすることができます。
クラスター管理者は、以下のカテゴリーにグループ化されたカタログから選択することができます。
カテゴリー | 説明 |
---|---|
Red Hat Operator | Red Hat によってパッケージ化され、出荷される Red Hat 製品。Red Hat によってサポートされます。 |
認定 Operator | 大手独立系ソフトウェアベンダー (ISV) の製品。Red Hat は ISV とのパートナーシップにより、パッケージ化および出荷を行います。ISV によってサポートされます。 |
Red Hat Marketplace | Red Hat Marketplace から購入できる認定ソフトウェア。 |
コミュニティー Operator | operator-framework/community-operators GitHub リポジトリーで関連するエンティティーによってメンテナンスされる、オプションで表示可能になるソフトウェア。正式なサポートはありません。 |
カスタム Operator | 各自でクラスターに追加する Operator。カスタム Operator を追加していない場合、カスタム カテゴリーは Web コンソールの OperatorHub 上に表示されません。 |
OperatorHub の Operator は OLM で実行されるようにパッケージ化されます。これには、Operator のインストールおよびセキュアな実行に必要なすべての CRD、RBAC ルール、デプロイメント、およびコンテナーイメージが含まれるクラスターサービスバージョン (CSV) という YAML ファイルが含まれます。また、機能の詳細やサポートされる Kubernetes バージョンなどのユーザーに表示される情報も含まれます。
Operator SDK は、開発者が OLM および OperatorHub で使用するために Operator のパッケージ化することを支援するために使用できます。お客様によるアクセスが可能な商用アプリケーションがある場合、Red Hat Partner Connect ポータル (connect.redhat.com) で提供される認定ワークフローを使用してこれを組み込むようにしてください。
2.5.2. OperatorHub アーキテクチャー
OperatorHub UI コンポーネントは、デフォルトで OpenShift Container Platform の openshift-marketplace
namespace で Marketplace Operator によって実行されます。
2.5.2.1. OperatorHub カスタムリソース
Marketplace Operator は、OperatorHub で提供されるデフォルトの CatalogSource
オブジェクトを管理する cluster
という名前の OperatorHub
カスタムリソース (CR) を管理します。このリソースを変更して、デフォルトのカタログを有効または無効にすることができます。これは、ネットワークが制限された環境で OpenShift Container Platform を設定する際に役立ちます。
OperatorHub
カスタムリースの例
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: OperatorHub metadata: name: cluster spec: disableAllDefaultSources: true 1 sources: [ 2 { name: "community-operators", disabled: false } ]
2.5.3. 関連情報
2.6. Red Hat が提供する Operator カタログ
2.6.1. Operator カタログについて
Operator カタログは、Operator Lifecycle Manager (OLM) がクエリーを行い、Operator およびそれらの依存関係をクラスターで検出し、インストールできるメタデータのリポジトリーです。OLM は最新バージョンのカタログから Operator を常にインストールします。OpenShift Container Platform 4.6 の時点で、Red Hat が提供するカタログは インデックスイメージ を使用して提供されています。
Operator Bundle Format に基づくインデックスイメージは、カタログのコンテナー化されたスナップショットです。これは、Operator マニフェストコンテンツのセットへのポインターのデータベースが含まれるイミュータブルなアーティファクトです。カタログはインデックスイメージを参照し、クラスター上の OLM のコンテンツを調達できます。
OpenShift Container Platform 4.6 以降では、Red Hat が提供するインデックスイメージは、以前のバージョンの OpenShift Container Platform 4 用に配布される非推奨の Package Manifest Format に基づいて、App Registry カタログイメージを置き換えます。OpenShift Container Platform 4.6 以降については、App Registry カタログイメージは Red Hat によって提供されませんが、Package Manifest Format に基づくカスタムカタログイメージは引き続きサポートされます。
カタログが更新されると、Operator の最新バージョンが変更され、それ以前のバージョンが削除または変更される可能性があります。さらに OLM がネットワークが制限された環境の OpenShift Container Platform クラスターで実行される場合、最新のコンテンツをプルするためにインターネットからカタログに直接アクセスすることはできません。
クラスター管理者は、Red Hat が提供するカタログをベースとして使用して、またはゼロから独自のカスタムインデックスイメージを作成できます。これを使用して、クラスターのカタログコンテンツを調達できます。独自のインデックスイメージの作成および更新により、クラスターで利用可能な Operator のセットをカスタマイズする方法が提供され、また前述のネットワークが制限された環境の問題を回避することができます。
カスタムカタログイメージを作成する場合、OpenShift Container Platform 4 の以前のバージョンでは、複数のリリースで非推奨となった oc adm catalog build
コマンドの使用が必要でした。OpenShift Container Platform 4.6 以降の Red Hat が提供するインデックスイメージの可用性により、カタログビルダーは、oc adm catalog build
コマンドが今後のリリースで削除される前に、opm index
コマンドを使用してインデックスイメージを管理できるように切り換える必要があります。
2.6.2. Red Hat が提供する Operator カタログについて
以下の Operator カタログは Red Hat によって提供されます。
カタログ | インデックスイメージ | 説明 |
---|---|---|
|
| Red Hat によってパッケージ化され、出荷される Red Hat 製品。Red Hat によってサポートされます。 |
|
| 大手独立系ソフトウェアベンダー (ISV) の製品。Red Hat は ISV とのパートナーシップにより、パッケージ化および出荷を行います。ISV によってサポートされます。 |
|
| Red Hat Marketplace から購入できる認定ソフトウェア。 |
|
| operator-framework/community-operators GitHub リポジトリーで関連するエンティティーによってメンテナーンスされるソフトウェア。正式なサポートはありません。 |
2.7. CRD
2.7.1. カスタムリソース定義による Kubernetes API の拡張
Operator は Kubernetes の拡張メカニズムであるカスタムリソース定義 (CRD) を使用するため、Operator によって管理されるカスタムオブジェクトは、組み込み済みのネイティブ Kubernetes オブジェクトのように表示され、機能します。以下では、CRD を作成し、管理することで、クラスター管理者が OpenShift Container Platform クラスターをどのように拡張できるかについて説明します。
2.7.1.1. カスタムリソース定義
Kubernetes API では、リソース は特定の種類の API オブジェクトのコレクションを保管するエンドポイントです。たとえば、ビルトインされた Pods
リソースには、Pod
オブジェクトのコレクションが含まれます。
カスタムリソース定義 (CRD) オブジェクトは、クラスター内に新規の固有オブジェクト kind を定義し、Kubernetes API サーバーにそのライフサイクル全体を処理させます。
カスタムリソース (CR) オブジェクトは、クラスター管理者によってクラスターに追加された CRD から作成され、すべてのクラスターユーザーが新規リソースタイプをプロジェクトに追加できるようにします。
クラスター管理者が新規 CRD をクラスターに追加する際に、Kubernetes API サーバーは、クラスター全体または単一プロジェクト (namespace) によってアクセスできる新規の RESTful リソースパスを作成することによって応答し、指定された CR を提供し始めます。
CRD へのアクセスを他のユーザーに付与する必要のあるクラスター管理者は、クラスターロールの集計を使用して admin
、edit
、または view
のデフォルトクラスターロールを持つユーザーにアクセスを付与できます。また、クラスターロールの集計により、カスタムポリシールールをこれらのクラスターロールに挿入することができます。この動作は、新規リソースを組み込み型のインリソースであるかのようにクラスターの RBAC ポリシーに統合します。
Operator はとりわけ CRD を必要な RBAC ポリシーおよび他のソフトウェア固有のロジックでパッケージ化することで CRD を利用します。またクラスター管理者は、Operator のライフサイクル外にあるクラスターに CRD を手動で追加でき、これらをすべてのユーザーに利用可能にすることができます。
クラスター管理者のみが CRD を作成できる一方で、開発者は CRD への読み取りおよび書き込みパーミッションがある場合には、既存の CRD から CR を作成することができます。
2.7.1.2. カスタムリソース定義の作成
カスタムリソース (CR) オブジェクトを作成するには、クラスター管理者はまずカスタムリソース定義 (CRD) を作成する必要があります。
前提条件
-
cluster-admin
ユーザー権限を使用した OpenShift Container Platform クラスターへのアクセス
手順
CRD を作成するには、以下を実行します。
以下の例のようなフィールドタイプを含む YAML ファイルを作成します。
CRD の YAML ファイルの例
apiVersion: apiextensions.k8s.io/v1 1 kind: CustomResourceDefinition metadata: name: crontabs.stable.example.com 2 spec: group: stable.example.com 3 versions: name: v1 4 scope: Namespaced 5 names: plural: crontabs 6 singular: crontab 7 kind: CronTab 8 shortNames: - ct 9
- 1
apiextensions.k8s.io/v1
API を使用します。- 2
- 定義の名前を指定します。これは
group
およびplural
フィールドの値を使用する<plural-name>.<group>
形式である必要があります。 - 3
- API のグループ名を指定します。API グループは、論理的に関連付けられるオブジェクトのコレクションです。たとえば、
Job
またはScheduledJob
などのすべてのバッチオブジェクトはバッチ API グループ (batch.api.example.com
など) である可能性があります。組織の完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用することが奨励されます。 - 4
- URL で使用されるバージョン名を指定します。それぞれの API グループは複数バージョンに存在させることができます (例:
v1alpha
、v1beta
、v1
)。 - 5
- カスタムオブジェクトがクラスター (
Cluster
) の 1 つのプロジェクト (Namespaced
) またはすべてのプロジェクトで利用可能であるかどうかを指定します。 - 6
- URL で使用される複数形の名前を指定します。
plural
フィールドは API URL のリソースと同じになります。 - 7
- CLI および表示用にエイリアスとして使用される単数形の名前を指定します。
- 8
- 作成できるオブジェクトの種類を指定します。タイプは CamelCase にすることができます。
- 9
- CLI でリソースに一致する短い文字列を指定します。
注記デフォルトで、CRD のスコープはクラスターで設定され、すべてのプロジェクトで利用可能です。
CRD オブジェクトを作成します。
$ oc create -f <file_name>.yaml
新規の RESTful API エンドポイントは以下のように作成されます。
/apis/<spec:group>/<spec:version>/<scope>/*/<names-plural>/...
たとえば、サンプルファイルを使用すると、以下のエンドポイントが作成されます。
/apis/stable.example.com/v1/namespaces/*/crontabs/...
このエンドポイント URL を使用して CR を作成し、管理できます。オブジェクト kind は、作成した CRD オブジェクトの
spec.kind
フィールドに基づいています。
2.7.1.3. カスタムリソース定義のクラスターロールの作成
クラスター管理者は、既存のクラスタースコープのカスタムリソース定義 (CRD) にパーミッションを付与できます。admin
、edit
、および view
のデフォルトクラスターロールを使用する場合、これらのルールについてクラスターロールの集計を利用できます。
これらのロールのいずれかにパーミッションを付与する際は、明示的に付与する必要があります。より多くのパーミッションを持つロールはより少ないパーミッションを持つロールからルールを継承しません。ルールをあるロールに割り当てる場合、より多くのパーミッションを持つロールにもその動詞を割り当てる必要もあります。たとえば、get crontabs
パーミッションを表示ロールに付与する場合、これを edit
および admin
ロールにも付与する必要があります。admin
または edit
ロールは通常、プロジェクトテンプレートでプロジェクトを作成したユーザーに割り当てられます。
前提条件
- CRD を作成します。
手順
CRD のクラスターロール定義ファイルを作成します。クラスターロール定義は、各クラスターロールに適用されるルールが含まれる YAML ファイルです。OpenShift Container Platform Controller はデフォルトクラスターロールに指定するルールを追加します。
カスタムロール定義の YAML ファイルサンプル
kind: ClusterRole apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1 1 metadata: name: aggregate-cron-tabs-admin-edit 2 labels: rbac.authorization.k8s.io/aggregate-to-admin: "true" 3 rbac.authorization.k8s.io/aggregate-to-edit: "true" 4 rules: - apiGroups: ["stable.example.com"] 5 resources: ["crontabs"] 6 verbs: ["get", "list", "watch", "create", "update", "patch", "delete", "deletecollection"] 7 --- kind: ClusterRole apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1 metadata: name: aggregate-cron-tabs-view 8 labels: # Add these permissions to the "view" default role. rbac.authorization.k8s.io/aggregate-to-view: "true" 9 rbac.authorization.k8s.io/aggregate-to-cluster-reader: "true" 10 rules: - apiGroups: ["stable.example.com"] 11 resources: ["crontabs"] 12 verbs: ["get", "list", "watch"] 13
- 1
rbac.authorization.k8s.io/v1
API を使用します。- 2 8
- 定義の名前を指定します。
- 3
- パーミッションを管理のデフォルトロールに付与するためにこのラベルを指定します。
- 4
- パーミッションを編集のデフォルトロールに付与するためにこのラベルを指定します。
- 5 11
- CRD のグループ名を指定します
- 6 12
- これらのルールが適用される CRD の複数形の名前を指定します。
- 7 13
- ロールに付与されるパーミッションを表す動詞を指定します。たとえば、読み取りおよび書き込みパーミッションを
admin
およびedit
ロールに適用し、読み取り専用パーミッションをview
ロールに適用します。 - 9
- このラベルを指定して、パーミッションを
view
デフォルトロールに付与します。 - 10
- このラベルを指定して、パーミッションを
cluster-reader
デフォルトロールに付与します。
クラスターロールを作成します。
$ oc create -f <file_name>.yaml
2.7.1.4. ファイルからのカスタムリソースの作成
カスタムリソース定義 (CRD) がクラスターに追加された後に、カスタムリソース (CR) は CR 仕様を使用するファイルを使って CLI で作成できます。
前提条件
- CRD がクラスター管理者によってクラスターに追加されている。
手順
CR の YAML ファイルを作成します。以下の定義例では、
cronSpec
とimage
のカスタムフィールドがKind: CronTab
の CR に設定されます。このKind
は、CRD オブジェクトのspec.kind
フィールドから取得されます。CR の YAML ファイルサンプル
apiVersion: "stable.example.com/v1" 1 kind: CronTab 2 metadata: name: my-new-cron-object 3 finalizers: 4 - finalizer.stable.example.com spec: 5 cronSpec: "* * * * /5" image: my-awesome-cron-image
ファイルの作成後に、オブジェクトを作成します。
$ oc create -f <file_name>.yaml
2.7.1.5. カスタムリソースの検査
CLI を使用してクラスターに存在するカスタムリソース (CR) オブジェクトを検査できます。
前提条件
- CR オブジェクトがアクセスできる namespace にあること。
手順
CR の特定の kind についての情報を取得するには、以下を実行します。
$ oc get <kind>
以下に例を示します。
$ oc get crontab
出力例
NAME KIND my-new-cron-object CronTab.v1.stable.example.com
リソース名では大文字と小文字が区別されず、CRD で定義される単数形または複数形のいずれか、および任意の短縮名を指定できます。以下に例を示します。
$ oc get crontabs
$ oc get crontab
$ oc get ct
CR の未加工の YAML データを確認することもできます。
$ oc get <kind> -o yaml
以下に例を示します。
$ oc get ct -o yaml
出力例
apiVersion: v1 items: - apiVersion: stable.example.com/v1 kind: CronTab metadata: clusterName: "" creationTimestamp: 2017-05-31T12:56:35Z deletionGracePeriodSeconds: null deletionTimestamp: null name: my-new-cron-object namespace: default resourceVersion: "285" selfLink: /apis/stable.example.com/v1/namespaces/default/crontabs/my-new-cron-object uid: 9423255b-4600-11e7-af6a-28d2447dc82b spec: cronSpec: '* * * * /5' 1 image: my-awesome-cron-image 2
2.7.2. カスタムリソース定義からのリソースの管理
以下では、開発者がカスタムリソース定義 (CRD) にあるカスタムリソース (CR) をどのように管理できるかについて説明します。
2.7.2.1. カスタムリソース定義
Kubernetes API では、リソース は特定の種類の API オブジェクトのコレクションを保管するエンドポイントです。たとえば、ビルトインされた Pods
リソースには、Pod
オブジェクトのコレクションが含まれます。
カスタムリソース定義 (CRD) オブジェクトは、クラスター内に新規の固有オブジェクト kind を定義し、Kubernetes API サーバーにそのライフサイクル全体を処理させます。
カスタムリソース (CR) オブジェクトは、クラスター管理者によってクラスターに追加された CRD から作成され、すべてのクラスターユーザーが新規リソースタイプをプロジェクトに追加できるようにします。
Operator はとりわけ CRD を必要な RBAC ポリシーおよび他のソフトウェア固有のロジックでパッケージ化することで CRD を利用します。またクラスター管理者は、Operator のライフサイクル外にあるクラスターに CRD を手動で追加でき、これらをすべてのユーザーに利用可能にすることができます。
クラスター管理者のみが CRD を作成できる一方で、開発者は CRD への読み取りおよび書き込みパーミッションがある場合には、既存の CRD から CR を作成することができます。
2.7.2.2. ファイルからのカスタムリソースの作成
カスタムリソース定義 (CRD) がクラスターに追加された後に、カスタムリソース (CR) は CR 仕様を使用するファイルを使って CLI で作成できます。
前提条件
- CRD がクラスター管理者によってクラスターに追加されている。
手順
CR の YAML ファイルを作成します。以下の定義例では、
cronSpec
とimage
のカスタムフィールドがKind: CronTab
の CR に設定されます。このKind
は、CRD オブジェクトのspec.kind
フィールドから取得されます。CR の YAML ファイルサンプル
apiVersion: "stable.example.com/v1" 1 kind: CronTab 2 metadata: name: my-new-cron-object 3 finalizers: 4 - finalizer.stable.example.com spec: 5 cronSpec: "* * * * /5" image: my-awesome-cron-image
ファイルの作成後に、オブジェクトを作成します。
$ oc create -f <file_name>.yaml
2.7.2.3. カスタムリソースの検査
CLI を使用してクラスターに存在するカスタムリソース (CR) オブジェクトを検査できます。
前提条件
- CR オブジェクトがアクセスできる namespace にあること。
手順
CR の特定の kind についての情報を取得するには、以下を実行します。
$ oc get <kind>
以下に例を示します。
$ oc get crontab
出力例
NAME KIND my-new-cron-object CronTab.v1.stable.example.com
リソース名では大文字と小文字が区別されず、CRD で定義される単数形または複数形のいずれか、および任意の短縮名を指定できます。以下に例を示します。
$ oc get crontabs
$ oc get crontab
$ oc get ct
CR の未加工の YAML データを確認することもできます。
$ oc get <kind> -o yaml
以下に例を示します。
$ oc get ct -o yaml
出力例
apiVersion: v1 items: - apiVersion: stable.example.com/v1 kind: CronTab metadata: clusterName: "" creationTimestamp: 2017-05-31T12:56:35Z deletionGracePeriodSeconds: null deletionTimestamp: null name: my-new-cron-object namespace: default resourceVersion: "285" selfLink: /apis/stable.example.com/v1/namespaces/default/crontabs/my-new-cron-object uid: 9423255b-4600-11e7-af6a-28d2447dc82b spec: cronSpec: '* * * * /5' 1 image: my-awesome-cron-image 2
第3章 ユーザータスク
3.1. インストールされた Operator からのアプリケーションの作成
以下では、開発者を対象に、OpenShift Container Platform Web コンソールを使用して、インストールされた Operator からアプリケーションを作成する例を示します。
3.1.1. Operator を使用した etcd クラスターの作成
この手順では、Operator Lifecycle Manager (OLM) で管理される etcd Operator を使用した新規 etcd クラスターの作成について説明します。
前提条件
- OpenShift Container Platform 4.7 クラスターへのアクセス
- 管理者によってクラスターにすでにインストールされている etcd Operator
手順
-
この手順を実行するために OpenShift Container Platform Web コンソールで新規プロジェクトを作成します。この例では、
my-etcd
というプロジェクトを使用します。 Operators → Installed Operators ページに移動します。クラスター管理者によってクラスターにインストールされ、使用可能にされた Operator がクラスターサービスバージョン (CSV) の一覧としてここに表示されます。CSV は Operator によって提供されるソフトウェアを起動し、管理するために使用されます。
ヒント以下を使用して、CLI でこの一覧を取得できます。
$ oc get csv
Installed Operators ページで、etcd Operator をクリックして詳細情報および選択可能なアクションを表示します。
Provided APIs に表示されているように、この Operator は 3 つの新規リソースタイプを利用可能にします。これには、etcd クラスター (
EtcdCluster
リソース) のタイプが含まれます。これらのオブジェクトは、Deployment
またはReplicaSet
などの組み込み済みのネイティブ Kubernetes オブジェクトと同様に機能しますが、これらには etcd を管理するための固有のロジックが含まれます。新規 etcd クラスターを作成します。
- etcd Cluster API ボックスで、Create instance をクリックします。
-
次の画面では、クラスターのサイズなど
EtcdCluster
オブジェクトのテンプレートを起動する最小条件への変更を加えることができます。ここでは Create をクリックして確定します。これにより、Operator がトリガーされ、Pod、サービス、および新規 etcd クラスターの他のコンポーネントが起動します。
example etcd クラスターをクリックしてから Resources タブをクリックして、プロジェクトに Operator によって自動的に作成され、設定された数多くのリソースが含まれることを確認します。
Kubernetes サービスが作成され、プロジェクトの他の Pod からデータベースにアクセスできることを確認します。
所定プロジェクトで
edit
ロールを持つすべてのユーザーは、クラウドサービスのようにセルフサービス方式でプロジェクトにすでに作成されている Operator によって管理されるアプリケーションのインスタンス (この例では etcd クラスター) を作成し、管理し、削除することができます。この機能を持つ追加のユーザーを有効にする必要がある場合、プロジェクト管理者は以下のコマンドを使用してこのロールを追加できます。$ oc policy add-role-to-user edit <user> -n <target_project>
これで、etcd クラスターは Pod が正常でなくなったり、クラスターのノード間で移行する際の障害に対応し、データのリバランスを行います。最も重要な点として、適切なアクセスを持つクラスター管理者または開発者は独自のアプリケーションでデータベースを簡単に使用できるようになります。
3.2. namespace への Operator のインストール
クラスター管理者が Operator のインストールパーミッションをお使いのアカウントに委任している場合、セルフサービス方式で Operator をインストールし、これを namespace にサブスクライブできます。
3.2.1. 前提条件
- クラスター管理者は、namespace へのセルフサービス Operator のインストールを許可するために OpenShift Container Platform ユーザーアカウントに特定のパーミッションを追加する必要があります。詳細は、クラスター管理者以外のユーザーによる Operator のインストールの許可 を参照してください。
3.2.2. OperatorHub を使用した Operator のインストール
OperatorHub は Operator を検出するためのユーザーインターフェイスです。これは Operator Lifecycle Manager (OLM) と連携して機能し、クラスター上で Operator をインストールし、管理します。
適切なパーミッションを持つユーザーとして、OpenShift Container Platform Web コンソールまたは CLI を使用して OperatorHub から Operator をインストールできます。
インストール時に、Operator の以下の初期設定を判別する必要があります。
- インストールモード
- Operator をインストールする特定の namespace を選択します。
- 更新チャネル
- Operator が複数のチャネルで利用可能な場合、サブスクライブするチャネルを選択できます。たとえば、(利用可能な場合に) stable チャネルからデプロイするには、これを一覧から選択します。
- 承認ストラテジー
自動 (Automatic) または手動 (Manual) のいずれかの更新を選択します。
インストールされた Operator について自動更新を選択する場合、Operator の新規バージョンが選択されたチャネルで利用可能になると、Operator Lifecycle Manager (OLM) は人の介入なしに、Operator の実行中のインスタンスを自動的にアップグレードします。
手動更新を選択する場合、Operator の新規バージョンが利用可能になると、OLM は更新要求を作成します。クラスター管理者は、Operator が新規バージョンに更新されるように更新要求を手動で承認する必要があります。
3.2.3. Web コンソールを使用した OperatorHub からのインストール
OpenShift Container Platform Web コンソールを使用して OperatorHub から Operator をインストールし、これをサブスクライブできます。
前提条件
- Operator インストールパーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。
手順
- Web コンソールで、Operators → OperatorHub ページに移動します。
スクロールするか、またはキーワードを Filter by keyword ボックスに入力し、必要な Operator を見つけます。たとえば、Advanced Cluster Management for Kubernetes Operator を検索するには
advanced
を入力します。また、インフラストラクチャー機能 でオプションをフィルターすることもできます。たとえば、非接続環境 (ネットワークが制限された環境ともしても知られる) で機能する Operator を表示するには、Disconnected を選択します。
Operator を選択して、追加情報を表示します。
注記コミュニティー Operator を選択すると、Red Hat がコミュニティー Operator を認定していないことを警告します。続行する前に警告を確認する必要があります。
- Operator についての情報を確認してから、Install をクリックします。
Install Operator ページで以下を行います。
- Operator をインストールする特定の単一 namespace を選択します。Operator は監視のみを実行し、この単一 namespace で使用されるように利用可能になります。
- Update Channel を選択します (複数を選択できる場合)。
- 前述のように、自動 (Automatic) または 手動 (Manual) の承認ストラテジーを選択します。
Install をクリックし、Operator をこの OpenShift Container Platform クラスターの選択した namespace で利用可能にします。
手動 の承認ストラテジーを選択している場合、サブスクリプションのアップグレードステータスは、そのインストール計画を確認し、承認するまで Upgrading のままになります。
Install Plan ページでの承認後に、サブスクリプションのアップグレードステータスは Up to date に移行します。
- 自動 の承認ストラテジーを選択している場合、アップグレードステータスは、介入なしに Up to date に解決するはずです。
サブスクリプションのアップグレードステータスが Up to date になった後に、Operators → Installed Operators を選択し、インストールされた Operator のクラスターサービスバージョン (CSV) が表示されることを確認します。その Status は最終的に関連する namespace で InstallSucceeded に解決するはずです。
注記All namespaces… インストールモードの場合、ステータスは
openshift-operators
namespace で InstallSucceeded になりますが、他の namespace でチェックする場合、ステータスは Copied になります。上記通りにならない場合、以下を実行します。
-
さらにトラブルシューティングを行うために問題を報告している Workloads → Pods ページで、
openshift-operators
プロジェクト (または A specific namespace… インストールモードが選択されている場合は他の関連の namespace) の Pod のログを確認します。
-
さらにトラブルシューティングを行うために問題を報告している Workloads → Pods ページで、
3.2.4. CLI を使用した OperatorHub からのインストール
OpenShift Container Platform Web コンソールを使用する代わりに、CLI を使用して OperatorHub から Operator をインストールできます。oc
コマンドを使用して、Subscription
オブジェクトを作成または更新します。
前提条件
- Operator インストールパーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。
-
oc
コマンドをローカルシステムにインストールする。
手順
OperatorHub からクラスターで利用できる Operator の一覧を表示します。
$ oc get packagemanifests -n openshift-marketplace
出力例
NAME CATALOG AGE 3scale-operator Red Hat Operators 91m advanced-cluster-management Red Hat Operators 91m amq7-cert-manager Red Hat Operators 91m ... couchbase-enterprise-certified Certified Operators 91m crunchy-postgres-operator Certified Operators 91m mongodb-enterprise Certified Operators 91m ... etcd Community Operators 91m jaeger Community Operators 91m kubefed Community Operators 91m ...
必要な Operator のカタログをメモします。
必要な Operator を検査して、サポートされるインストールモードおよび利用可能なチャネルを確認します。
$ oc describe packagemanifests <operator_name> -n openshift-marketplace
OperatorGroup
で定義される Operator グループは、Operator グループと同じ namespace 内のすべての Operator に必要な RBAC アクセスを生成するターゲット namespace を選択します。Operator をサブスクライブする namespace には、Operator のインストールモードに一致する Operator グループが必要になります (
AllNamespaces
またはSingleNamespace
モードのいずれか)。インストールする Operator がAllNamespaces
を使用する場合、openshift-operators
namespace には適切な Operator グループがすでに配置されます。ただし、Operator が
SingleNamespace
モードを使用し、適切な Operator グループがない場合、それらを作成する必要があります。注記この手順の Web コンソールバージョンでは、
SingleNamespace
モードを選択する際に、OperatorGroup
およびSubscription
オブジェクトの作成を背後で自動的に処理します。OperatorGroup
オブジェクト YAML ファイルを作成します (例:operatorgroup.yaml
)。OperatorGroup
オブジェクトのサンプルapiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: <operatorgroup_name> namespace: <namespace> spec: targetNamespaces: - <namespace>
OperatorGroup
オブジェクトを作成します。$ oc apply -f operatorgroup.yaml
Subscription
オブジェクトの YAML ファイルを作成し、namespace を Operator にサブスクライブします (例:sub.yaml
)。Subscription
オブジェクトの例apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: <subscription_name> namespace: openshift-operators 1 spec: channel: <channel_name> 2 name: <operator_name> 3 source: redhat-operators 4 sourceNamespace: openshift-marketplace 5 config: env: 6 - name: ARGS value: "-v=10" envFrom: 7 - secretRef: name: license-secret volumes: 8 - name: <volume_name> configMap: name: <configmap_name> volumeMounts: 9 - mountPath: <directory_name> name: <volume_name> tolerations: 10 - operator: "Exists" resources: 11 requests: memory: "64Mi" cpu: "250m" limits: memory: "128Mi" cpu: "500m" nodeSelector: 12 foo: bar
- 1
AllNamespaces
インストールモードの使用については、openshift-operators
namespace を指定します。それ以外の場合は、SingleNamespace
インストールモードの使用について関連する単一の namespace を指定します。- 2
- サブスクライブするチャネルの名前。
- 3
- サブスクライブする Operator の名前。
- 4
- Operator を提供するカタログソースの名前。
- 5
- カタログソースの namespace。デフォルトの OperatorHub カタログソースには
openshift-marketplace
を使用します。 - 6
env
パラメーターは、OLM によって作成される Pod のすべてのコンテナーに存在する必要がある環境変数の一覧を定義します。- 7
envFrom
パラメーターは、コンテナーの環境変数に反映するためのソースの一覧を定義します。- 8
volumes
パラメーターは、OLM によって作成される Pod に存在する必要があるボリュームの一覧を定義します。- 9
volumeMounts
パラメーターは、OLM によって作成される Pod のすべてのコンテナーに存在する必要があるボリュームマウントの一覧を定義します。volumeMount
が存在しないボリューム
を参照する場合、OLM は Operator のデプロイに失敗します。- 10
tolerations
パラメーターは、OLM によって作成される Pod の容認の一覧を定義します。- 11
resources
パラメーターは、OLM によって作成される Pod のすべてのコンテナーのリソース制約を定義します。- 12
nodeSelector
パラメーターは、OLM によって作成される Pod のノードセレクター
を定義します。
Subscription
オブジェクトを作成します。$ oc apply -f sub.yaml
この時点で、OLM は選択した Operator を認識します。Operator のクラスターサービスバージョン (CSV) はターゲット namespace に表示され、Operator で指定される API は作成用に利用可能になります。
関連情報
3.2.5. Operator の特定バージョンのインストール
Subscription
オブジェクトにクラスターサービスバージョン (CSV) を設定して Operator の特定バージョンをインストールできます。
前提条件
- Operator インストールパーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストール済みであること。
手順
startingCSV
フィールドを設定し、特定バージョンの Operator に namespace をサブスクライブするSubscription
オブジェクト YAML ファイルを作成します。installPlanApproval
フィールドをManual
に設定し、Operator の新しいバージョンがカタログに存在する場合に Operator が自動的にアップグレードされないようにします。たとえば、以下の
sub.yaml
ファイルを使用して、バージョン 3.4.0 に固有の Red Hat Quay Operator をインストールすることができます。最初にインストールする特定の Operator バージョンのあるサブスクリプション
apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: quay-operator namespace: quay spec: channel: quay-v3.4 installPlanApproval: Manual 1 name: quay-operator source: redhat-operators sourceNamespace: openshift-marketplace startingCSV: quay-operator.v3.4.0 2
Subscription
オブジェクトを作成します。$ oc apply -f sub.yaml
- 保留中のインストール計画を手動で承認し、Operator のインストールを完了します。
第4章 管理者タスク
4.1. Operator のクラスターへの追加
クラスター管理者は、OperatorHub を使用して Operator を namespace にサブスクライブすることで、Operator を OpenShift Container Platform クラスターにインストールすることができます。
4.1.1. OperatorHub を使用した Operator のインストール
OperatorHub は Operator を検出するためのユーザーインターフェイスです。これは Operator Lifecycle Manager (OLM) と連携して機能し、クラスター上で Operator をインストールし、管理します。
適切なパーミッションを持つユーザーとして、OpenShift Container Platform Web コンソールまたは CLI を使用して OperatorHub から Operator をインストールできます。
インストール時に、Operator の以下の初期設定を判別する必要があります。
- インストールモード
- Operator をインストールする特定の namespace を選択します。
- 更新チャネル
- Operator が複数のチャネルで利用可能な場合、サブスクライブするチャネルを選択できます。たとえば、(利用可能な場合に) stable チャネルからデプロイするには、これを一覧から選択します。
- 承認ストラテジー
自動 (Automatic) または手動 (Manual) のいずれかの更新を選択します。
インストールされた Operator について自動更新を選択する場合、Operator の新規バージョンが選択されたチャネルで利用可能になると、Operator Lifecycle Manager (OLM) は人の介入なしに、Operator の実行中のインスタンスを自動的にアップグレードします。
手動更新を選択する場合、Operator の新規バージョンが利用可能になると、OLM は更新要求を作成します。クラスター管理者は、Operator が新規バージョンに更新されるように更新要求を手動で承認する必要があります。
4.1.2. Web コンソールを使用した OperatorHub からのインストール
OpenShift Container Platform Web コンソールを使用して OperatorHub から Operator をインストールし、これをサブスクライブできます。
前提条件
-
cluster-admin
パーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。 - Operator インストールパーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。
手順
- Web コンソールで、Operators → OperatorHub ページに移動します。
スクロールするか、またはキーワードを Filter by keyword ボックスに入力し、必要な Operator を見つけます。たとえば、Advanced Cluster Management for Kubernetes Operator を検索するには
advanced
を入力します。また、インフラストラクチャー機能 でオプションをフィルターすることもできます。たとえば、非接続環境 (ネットワークが制限された環境ともしても知られる) で機能する Operator を表示するには、Disconnected を選択します。
Operator を選択して、追加情報を表示します。
注記コミュニティー Operator を選択すると、Red Hat がコミュニティー Operator を認定していないことを警告します。続行する前に警告を確認する必要があります。
- Operator についての情報を確認してから、Install をクリックします。
Install Operator ページで以下を行います。
以下のいずれかを選択します。
-
All namespaces on the cluster (default) は、デフォルトの
openshift-operators
namespace で Operator をインストールし、クラスターのすべての namespace を監視し、Operator をこれらの namespace に対して利用可能にします。このオプションは常に選択可能です。 - A specific namespace on the cluster では、Operator をインストールする特定の単一 namespace を選択できます。Operator は監視のみを実行し、この単一 namespace で使用されるように利用可能になります。
-
All namespaces on the cluster (default) は、デフォルトの
- Operator をインストールする特定の単一 namespace を選択します。Operator は監視のみを実行し、この単一 namespace で使用されるように利用可能になります。
- Update Channel を選択します (複数を選択できる場合)。
- 前述のように、自動 (Automatic) または 手動 (Manual) の承認ストラテジーを選択します。
Install をクリックし、Operator をこの OpenShift Container Platform クラスターの選択した namespace で利用可能にします。
手動 の承認ストラテジーを選択している場合、サブスクリプションのアップグレードステータスは、そのインストール計画を確認し、承認するまで Upgrading のままになります。
Install Plan ページでの承認後に、サブスクリプションのアップグレードステータスは Up to date に移行します。
- 自動 の承認ストラテジーを選択している場合、アップグレードステータスは、介入なしに Up to date に解決するはずです。
サブスクリプションのアップグレードステータスが Up to date になった後に、Operators → Installed Operators を選択し、インストールされた Operator のクラスターサービスバージョン (CSV) が表示されることを確認します。その Status は最終的に関連する namespace で InstallSucceeded に解決するはずです。
注記All namespaces… インストールモードの場合、ステータスは
openshift-operators
namespace で InstallSucceeded になりますが、他の namespace でチェックする場合、ステータスは Copied になります。上記通りにならない場合、以下を実行します。
-
さらにトラブルシューティングを行うために問題を報告している Workloads → Pods ページで、
openshift-operators
プロジェクト (または A specific namespace… インストールモードが選択されている場合は他の関連の namespace) の Pod のログを確認します。
-
さらにトラブルシューティングを行うために問題を報告している Workloads → Pods ページで、
4.1.3. CLI を使用した OperatorHub からのインストール
OpenShift Container Platform Web コンソールを使用する代わりに、CLI を使用して OperatorHub から Operator をインストールできます。oc
コマンドを使用して、Subscription
オブジェクトを作成または更新します。
前提条件
- Operator インストールパーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。
-
oc
コマンドをローカルシステムにインストールする。
手順
OperatorHub からクラスターで利用できる Operator の一覧を表示します。
$ oc get packagemanifests -n openshift-marketplace
出力例
NAME CATALOG AGE 3scale-operator Red Hat Operators 91m advanced-cluster-management Red Hat Operators 91m amq7-cert-manager Red Hat Operators 91m ... couchbase-enterprise-certified Certified Operators 91m crunchy-postgres-operator Certified Operators 91m mongodb-enterprise Certified Operators 91m ... etcd Community Operators 91m jaeger Community Operators 91m kubefed Community Operators 91m ...
必要な Operator のカタログをメモします。
必要な Operator を検査して、サポートされるインストールモードおよび利用可能なチャネルを確認します。
$ oc describe packagemanifests <operator_name> -n openshift-marketplace
OperatorGroup
で定義される Operator グループは、Operator グループと同じ namespace 内のすべての Operator に必要な RBAC アクセスを生成するターゲット namespace を選択します。Operator をサブスクライブする namespace には、Operator のインストールモードに一致する Operator グループが必要になります (
AllNamespaces
またはSingleNamespace
モードのいずれか)。インストールする Operator がAllNamespaces
を使用する場合、openshift-operators
namespace には適切な Operator グループがすでに配置されます。ただし、Operator が
SingleNamespace
モードを使用し、適切な Operator グループがない場合、それらを作成する必要があります。注記この手順の Web コンソールバージョンでは、
SingleNamespace
モードを選択する際に、OperatorGroup
およびSubscription
オブジェクトの作成を背後で自動的に処理します。OperatorGroup
オブジェクト YAML ファイルを作成します (例:operatorgroup.yaml
)。OperatorGroup
オブジェクトのサンプルapiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: <operatorgroup_name> namespace: <namespace> spec: targetNamespaces: - <namespace>
OperatorGroup
オブジェクトを作成します。$ oc apply -f operatorgroup.yaml
Subscription
オブジェクトの YAML ファイルを作成し、namespace を Operator にサブスクライブします (例:sub.yaml
)。Subscription
オブジェクトの例apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: <subscription_name> namespace: openshift-operators 1 spec: channel: <channel_name> 2 name: <operator_name> 3 source: redhat-operators 4 sourceNamespace: openshift-marketplace 5 config: env: 6 - name: ARGS value: "-v=10" envFrom: 7 - secretRef: name: license-secret volumes: 8 - name: <volume_name> configMap: name: <configmap_name> volumeMounts: 9 - mountPath: <directory_name> name: <volume_name> tolerations: 10 - operator: "Exists" resources: 11 requests: memory: "64Mi" cpu: "250m" limits: memory: "128Mi" cpu: "500m" nodeSelector: 12 foo: bar
- 1
AllNamespaces
インストールモードの使用については、openshift-operators
namespace を指定します。それ以外の場合は、SingleNamespace
インストールモードの使用について関連する単一の namespace を指定します。- 2
- サブスクライブするチャネルの名前。
- 3
- サブスクライブする Operator の名前。
- 4
- Operator を提供するカタログソースの名前。
- 5
- カタログソースの namespace。デフォルトの OperatorHub カタログソースには
openshift-marketplace
を使用します。 - 6
env
パラメーターは、OLM によって作成される Pod のすべてのコンテナーに存在する必要がある環境変数の一覧を定義します。- 7
envFrom
パラメーターは、コンテナーの環境変数に反映するためのソースの一覧を定義します。- 8
volumes
パラメーターは、OLM によって作成される Pod に存在する必要があるボリュームの一覧を定義します。- 9
volumeMounts
パラメーターは、OLM によって作成される Pod のすべてのコンテナーに存在する必要があるボリュームマウントの一覧を定義します。volumeMount
が存在しないボリューム
を参照する場合、OLM は Operator のデプロイに失敗します。- 10
tolerations
パラメーターは、OLM によって作成される Pod の容認の一覧を定義します。- 11
resources
パラメーターは、OLM によって作成される Pod のすべてのコンテナーのリソース制約を定義します。- 12
nodeSelector
パラメーターは、OLM によって作成される Pod のノードセレクター
を定義します。
Subscription
オブジェクトを作成します。$ oc apply -f sub.yaml
この時点で、OLM は選択した Operator を認識します。Operator のクラスターサービスバージョン (CSV) はターゲット namespace に表示され、Operator で指定される API は作成用に利用可能になります。
関連情報
4.1.4. Operator の特定バージョンのインストール
Subscription
オブジェクトにクラスターサービスバージョン (CSV) を設定して Operator の特定バージョンをインストールできます。
前提条件
- Operator インストールパーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストール済みであること。
手順
startingCSV
フィールドを設定し、特定バージョンの Operator に namespace をサブスクライブするSubscription
オブジェクト YAML ファイルを作成します。installPlanApproval
フィールドをManual
に設定し、Operator の新しいバージョンがカタログに存在する場合に Operator が自動的にアップグレードされないようにします。たとえば、以下の
sub.yaml
ファイルを使用して、バージョン 3.4.0 に固有の Red Hat Quay Operator をインストールすることができます。最初にインストールする特定の Operator バージョンのあるサブスクリプション
apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: quay-operator namespace: quay spec: channel: quay-v3.4 installPlanApproval: Manual 1 name: quay-operator source: redhat-operators sourceNamespace: openshift-marketplace startingCSV: quay-operator.v3.4.0 2
Subscription
オブジェクトを作成します。$ oc apply -f sub.yaml
- 保留中のインストール計画を手動で承認し、Operator のインストールを完了します。
4.1.5. Operator ワークロードの Pod 配置の制御
デフォルトで、Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Operator のインストールまたはオペランドのワークロードのデプロイ時に Pod を任意のワーカーノードに配置します。管理者は、ノードセレクター、テイント、および容認 (Toleration) の組み合わせを持つプロジェクトを使用して、Operator およびオペランドの特定のノードへの配置を制御できます。
Operator およびオペランドワークロードの Pod 配置の制御には以下の前提条件があります。
-
要件に応じて Pod のターゲットとするノードまたはノードのセットを判別します。利用可能な場合は、単数または複数のノードを特定する
node-role.kubernetes.io/app
などの既存ラベルをメモします。それ以外の場合は、マシンセットを使用するか、ノードを直接編集して、myoperator
などのラベルを追加します。このラベルは、後のステップでプロジェクトのノードセレクターとして使用します。 -
関連しないワークロードを他のノードに向けつつ、特定のラベルの付いた Pod のみがノードで実行されるようにする必要がある場合、マシンセットを使用するか、またはノードを直接編集してテイントをノードに追加します。テイントに一致しない新規 Pod がノードにスケジュールされないようにする effect を使用します。たとえば、
myoperator:NoSchedule
テイントは、テイントに一致しない新規 Pod がノードにスケジュールされないようにしますが、ノードの既存 Pod はそのまま残ります。 - デフォルトのノードセレクターで設定され、テイントを追加している場合に一致する容認を持つプロジェクトを作成します。
この時点で、作成したプロジェクトでは、以下のシナリオの場合に指定されたノードに Pod を導くことができます。
- Operator Pod の場合
-
管理者は、プロジェクトで
Subscription
オブジェクトを作成できます。その結果、Operator Pod は指定されたノードに配置されます。 - オペランド Pod の場合
- インストールされた Operator を使用して、ユーザーはプロジェクトにアプリケーションを作成できます。これにより、Operator が所有するカスタムリソース (CR) がプロジェクトに置かれます。その結果、Operator が他の namespace にクラスター全体のオブジェクトまたはリソースをデプロイしない限り、オペランド Pod は指定されたノードに配置されます。この場合、このカスタマイズされた Pod の配置は適用されません。
関連情報
- テイントおよび容認の追加を ノードに手動で実行、または マシンセットを使用する
- プロジェクトスコープのノードセレクターの作成
- ノードセレクターおよび容認を使用したプロジェクトの作成
4.2. インストールされた Operator のアップグレード
クラスター管理者は、OpenShift Container Platform クラスターで Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用し、以前にインストールされた Operator をアップグレードできます。
4.2.1. Operator の更新チャネルの変更
インストールされた Operator のサブスクリプションは、Operator の更新を追跡し、受信するために使用される更新チャネルを指定します。Operator をアップグレードして新規チャネルからの更新の追跡および受信を開始するために、サブスクリプションで更新チャネルを変更できます。
サブスクリプションの更新チャネルの名前は Operator 間で異なる可能性がありますが、命名スキームは指定された Operator 内の一般的な規則に従う必要があります。たとえば、チャネル名は Operator によって提供されるアプリケーションのマイナーリリース更新ストリーム (1.2
、1.3
) またはリリース頻度 (stable
、fast
) に基づく可能性があります。
インストールされた Operator は、現在のチャネルよりも古いチャネルに切り換えることはできません。
サブスクリプションの承認ストラテジーが Automatic に設定されている場合、アップグレードプロセスは、選択したチャネルで新規 Operator バージョンが利用可能になるとすぐに開始します。承認ストラテジーが Manual に設定されている場合、保留中のアップグレードを手動で承認する必要があります。
前提条件
- Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用して以前にインストールされている Operator。
手順
- OpenShift Container Platform Web コンソールの Administrator パースペクティブで、Operators → Installed Operators に移動します。
- 更新チャネルを変更する Operator の名前をクリックします。
- Subscription タブをクリックします。
- Channel の下にある更新チャネルの名前をクリックします。
- 変更する新しい更新チャネルをクリックし、Save をクリックします。
Automatic 承認ストラテジーのあるサブスクリプションの場合、アップグレードは自動的に開始します。Operators → Installed Operators ページに戻り、アップグレードの進捗をモニターします。完了時に、ステータスは Succeeded および Up to date に変更されます。
Manual 承認ストラテジーのあるサブスクリプションの場合、Subscription タブからアップグレードを手動で承認できます。
4.2.2. 保留中の Operator アップグレードの手動による承認
インストールされた Operator のサブスクリプションの承認ストラテジーが Manual に設定されている場合、新規の更新が現在の更新チャネルにリリースされると、インストールを開始する前に更新を手動で承認する必要があります。
前提条件
- Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用して以前にインストールされている Operator。
手順
- OpenShift Container Platform Web コンソールの Administrator パースペクティブで、Operators → Installed Operators に移動します。
- 更新が保留中の Operator は Upgrade available のステータスを表示します。アップグレードする Operator の名前をクリックします。
- Subscription タブをクリックします。アップグレードの承認を必要とするアップグレードは、Upgrade Status の横に表示されます。たとえば、1 requires approval が表示される可能性があります。
- 1 requires approval をクリックしてから、Preview Install Plan をクリックします。
- アップグレードに利用可能なリソースとして一覧表示されているリソースを確認します。問題がなければ、Approve をクリックします。
- Operators → Installed Operators ページに戻り、アップグレードの進捗をモニターします。完了時に、ステータスは Succeeded および Up to date に変更されます。
4.3. クラスターからの Operator の削除
以下では、OpenShift Container Platform クラスターで Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用して、以前にインストールされた Operator をアップグレードする方法を説明します。
4.3.1. Web コンソールの使用によるクラスターからの Operator の削除
クラスター管理者は Web コンソールを使用して、選択した namespace からインストールされた Operator を削除できます。
前提条件
-
cluster-admin
パーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスター Web コンソールにアクセスできること。
手順
- Operators → Installed Operators ページからスクロールするか、または Filter by name にキーワードを入力して必要な Operator を見つけます。次に、それをクリックします。
Operator Details ページの右側で、Actions 一覧から Uninstall Operator を選択します。
Uninstall Operator? ダイアログボックスが表示され、以下が通知されます。
Operator を削除しても、そのカスタムリソース定義や管理リソースは削除されません。Operator がクラスターにアプリケーションをデプロイしているか、またはクラスター外のリソースを設定している場合、それらは引き続き実行され、手動でクリーンアップする必要があります。
このアクションにより、Operator および Operator のデプロイメントおよび Pod が削除されます (ある場合)。CRD および CR を含む Operator によって管理される Operand およびリソースは削除されません。Web コンソールは、一部の Operator のダッシュボードおよびナビゲーションアイテムを有効にします。Operator のアンインストール後にこれらを削除するには、Operator CRD を手動で削除する必要があります。
- Uninstall を選択します。この Operator は実行を停止し、更新を受信しなくなります。
4.3.2. CLI の使用によるクラスターからの Operator の削除
クラスター管理者は CLI を使用して、選択した namespace からインストールされた Operator を削除できます。
前提条件
-
cluster-admin
パーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。 -
oc
コマンドがワークステーションにインストールされていること。
手順
サブスクライブされた Operator (例:
jaeger
) の現行バージョンをcurrentCSV
フィールドで確認します。$ oc get subscription jaeger -n openshift-operators -o yaml | grep currentCSV
出力例
currentCSV: jaeger-operator.v1.8.2
サブスクリプション (例:
jaeger
) を削除します。$ oc delete subscription jaeger -n openshift-operators
出力例
subscription.operators.coreos.com "jaeger" deleted
直前の手順で
currentCSV
値を使用し、ターゲット namespace の Operator の CSV を削除します。$ oc delete clusterserviceversion jaeger-operator.v1.8.2 -n openshift-operators
出力例
clusterserviceversion.operators.coreos.com "jaeger-operator.v1.8.2" deleted
4.3.3. 障害のあるサブスクリプションの更新
Operator Lifecycle Manager (OLM) で、ネットワークでアクセスできないイメージを参照する Operator をサブスクライブする場合、以下のエラーを出して失敗した openshift-marketplace
namespace でジョブを見つけることができます。
出力例
ImagePullBackOff for Back-off pulling image "example.com/openshift4/ose-elasticsearch-operator-bundle@sha256:6d2587129c846ec28d384540322b40b05833e7e00b25cca584e004af9a1d292e"
出力例
rpc error: code = Unknown desc = error pinging docker registry example.com: Get "https://example.com/v2/": dial tcp: lookup example.com on 10.0.0.1:53: no such host
その結果、サブスクリプションはこの障害のある状態のままとなり、Operator はインストールまたはアップグレードを実行できません。
サブスクリプション、クラスターサービスバージョン (CSV) その他の関連オブジェクトを削除して、障害のあるサブスクリプションを更新できます。サブスクリプションを再作成した後に、OLM は Operator の正しいバージョンを再インストールします。
前提条件
- アクセス不可能なバンドルイメージをプルできない障害のあるサブスクリプションがある。
- 正しいバンドルイメージにアクセスできることを確認している。
手順
Operator がインストールされている namespace から
Subscription
およびClusterServiceVersion
オブジェクトの名前を取得します。$ oc get sub,csv -n <namespace>
出力例
NAME PACKAGE SOURCE CHANNEL subscription.operators.coreos.com/elasticsearch-operator elasticsearch-operator redhat-operators 5.0 NAME DISPLAY VERSION REPLACES PHASE clusterserviceversion.operators.coreos.com/elasticsearch-operator.5.0.0-65 OpenShift Elasticsearch Operator 5.0.0-65 Succeeded
サブスクリプションを削除します。
$ oc delete subscription <subscription_name> -n <namespace>
クラスターサービスバージョンを削除します。
$ oc delete csv <csv_name> -n <namespace>
openshift-marketplace
namespace の失敗したジョブおよび関連する設定マップの名前を取得します。$ oc get job,configmap -n openshift-marketplace
出力例
NAME COMPLETIONS DURATION AGE job.batch/1de9443b6324e629ddf31fed0a853a121275806170e34c926d69e53a7fcbccb 1/1 26s 9m30s NAME DATA AGE configmap/1de9443b6324e629ddf31fed0a853a121275806170e34c926d69e53a7fcbccb 3 9m30s
ジョブを削除します。
$ oc delete job <job_name> -n openshift-marketplace
これにより、アクセスできないイメージのプルを試行する Pod は再作成されなくなります。
設定マップを削除します。
$ oc delete configmap <configmap_name> -n openshift-marketplace
- Web コンソールの OperatorHub を使用した Operator の再インストール
検証
Operator が正常に再インストールされていることを確認します。
$ oc get sub,csv,installplan -n <namespace>
4.4. Operator Lifecycle Manager でのプロキシーサポートの設定
グローバルプロキシーが OpenShift Container Platform クラスターで設定されている場合、Operator Lifecycle Manager (OLM) はクラスター全体のプロキシーで管理する Operator を自動的に設定します。ただし、インストールされた Operator をグローバルプロキシーを上書きするか、またはカスタム CA 証明書を挿入するように設定することもできます。
関連情報
- クラスター全体のプロキシーの設定
- カスタム PKI の設定 (カスタム CA 証明書)
4.4.1. Operator のプロキシー設定の上書き
クラスター全体の egress プロキシーが設定されている場合、Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用して実行する Operator は、デプロイメントでクラスター全体のプロキシー設定を継承します。クラスター管理者は、Operator のサブスクリプションを設定してこれらのプロキシー設定を上書きすることもできます。
Operator は、管理対象オペランドの Pod でのプロキシー設定の環境変数の設定を処理する必要があります。
前提条件
-
cluster-admin
パーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。
手順
- Web コンソールで、Operators → OperatorHub ページに移動します。
- Operator を選択し、Install をクリックします。
Install Operator ページで、
Subscription
オブジェクトを変更して以下の 1 つ以上の環境変数をspec
セクションに組み込みます。-
HTTP_PROXY
-
HTTPS_PROXY
-
NO_PROXY
以下に例を示します。
プロキシー設定の上書きのある
Subscription
オブジェクトapiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: etcd-config-test namespace: openshift-operators spec: config: env: - name: HTTP_PROXY value: test_http - name: HTTPS_PROXY value: test_https - name: NO_PROXY value: test channel: clusterwide-alpha installPlanApproval: Automatic name: etcd source: community-operators sourceNamespace: openshift-marketplace startingCSV: etcdoperator.v0.9.4-clusterwide
注記これらの環境変数については、以前に設定されたクラスター全体またはカスタムプロキシーの設定を削除するために空の値を使用してそれらの設定を解除することもできます。
OLM はこれらの環境変数を単位として処理します。それらの環境変数が 1 つ以上設定されている場合、それらはすべて上書きされているものと見なされ、クラスター全体のデフォルト値はサブスクライブされた Operator のデプロイメントには使用されません。
-
- Install をクリックし、Operator を選択された namespace で利用可能にします。
Operator の CSV が関連する namespace に表示されると、カスタムプロキシーの環境変数がデプロイメントに設定されていることを確認できます。たとえば、CLI を使用します。
$ oc get deployment -n openshift-operators \ etcd-operator -o yaml \ | grep -i "PROXY" -A 2
出力例
- name: HTTP_PROXY value: test_http - name: HTTPS_PROXY value: test_https - name: NO_PROXY value: test image: quay.io/coreos/etcd-operator@sha256:66a37fd61a06a43969854ee6d3e21088a98b93838e284a6086b13917f96b0d9c ...
4.4.2. カスタム CA 証明書の挿入
クラスター管理者が設定マップを使用してカスタム CA 証明書をクラスターに追加すると、Cluster Network Operator はユーザーによってプロビジョニングされる証明書およびシステム CA 証明書を単一バンドルにマージします。このマージされたバンドルを Operator Lifecycle Manager (OLM) で実行されている Operator に挿入することができます。これは、man-in-the-middle HTTPS プロキシーがある場合に役立ちます。
前提条件
-
cluster-admin
パーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。 - 設定マップを使用してクラスターに追加されたカスタム CA 証明書。
- 必要な Operator が OLM にインストールされ、実行される。
手順
Operator のサブスクリプションがある namespace に空の設定マップを作成し、以下のラベルを組み込みます。
apiVersion: v1 kind: ConfigMap metadata: name: trusted-ca 1 labels: config.openshift.io/inject-trusted-cabundle: "true" 2
この設定マップの作成後すぐに、設定マップにはマージされたバンドルの証明書の内容が設定されます。
Subscription
オブジェクトを更新し、trusted-ca
設定マップをカスタム CA を必要とする Pod 内の各コンテナーにボリュームとしてマウントするspec.config
セクションを追加します。apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: my-operator spec: package: etcd channel: alpha config: 1 selector: matchLabels: <labels_for_pods> 2 volumes: 3 - name: trusted-ca configMap: name: trusted-ca items: - key: ca-bundle.crt 4 path: tls-ca-bundle.pem 5 volumeMounts: 6 - name: trusted-ca mountPath: /etc/pki/ca-trust/extracted/pem readOnly: true
4.5. Operator ステータスの表示
Operator Lifecycle Manager (OLM) のシステムの状態を理解することは、インストールされた Operator についての問題について意思決定を行い、デバッグを行う上で重要です。OLM は、サブスクリプションおよびそれに関連するカタログソースリソースの状態および実行されたアクションに関する知見を提供します。これは、それぞれの Operator の正常性を把握するのに役立ちます。
4.5.1. Operator サブスクリプションの状態のタイプ
サブスクリプションは状態についての以下のタイプを報告します。
状態 | 説明 |
---|---|
| 解決に使用される一部のまたはすべてのカタログソースは正常ではありません。 |
| サブスクリプションのインストール計画がありません。 |
| サブスクリプションのインストール計画はインストールの保留中です。 |
| サブスクリプションのインストール計画が失敗しました。 |
デフォルトの OpenShift Container Platform クラスター Operator は Cluster Version Operator (CVO) によって管理され、これらの Operator には Subscription
オブジェクトがありません。アプリケーション Operator は Operator Lifecycle Manager (OLM) によって管理され、それらには Subscription
オブジェクトがあります。
関連情報
4.5.2. CLI を使用した Operator サブスクリプションステータスの表示
CLI を使用して Operator サブスクリプションステータスを表示できます。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。
手順
Operator サブスクリプションを一覧表示します。
$ oc get subs -n <operator_namespace>
oc describe
コマンドを使用して、Subscription
リソースを検査します。$ oc describe sub <subscription_name> -n <operator_namespace>
コマンド出力で、
Conditions
セクションで Operator サブスクリプションの状態タイプのステータスを確認します。以下の例では、利用可能なすべてのカタログソースが正常であるため、CatalogSourcesUnhealthy
状態タイプのステータスはfalse
になります。出力例
Conditions: Last Transition Time: 2019-07-29T13:42:57Z Message: all available catalogsources are healthy Reason: AllCatalogSourcesHealthy Status: False Type: CatalogSourcesUnhealthy
デフォルトの OpenShift Container Platform クラスター Operator は Cluster Version Operator (CVO) によって管理され、これらの Operator には Subscription
オブジェクトがありません。アプリケーション Operator は Operator Lifecycle Manager (OLM) によって管理され、それらには Subscription
オブジェクトがあります。
4.5.3. CLI を使った Operator カタログソースのステータス表示
Operator カタログソースのステータスは、CLI を使って確認できます。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。
手順
namespace のカタログソースを一覧表示します。例えば、クラスター全体のカタログソースに使用されている
openshift-marketplace
namespace を確認することができます。$ oc get catalogsources -n openshift-marketplace
出力例
NAME DISPLAY TYPE PUBLISHER AGE certified-operators Certified Operators grpc Red Hat 55m community-operators Community Operators grpc Red Hat 55m example-catalog Example Catalog grpc Example Org 2m25s redhat-marketplace Red Hat Marketplace grpc Red Hat 55m redhat-operators Red Hat Operators grpc Red Hat 55m
カタログソースの詳細やステータスを確認するには、
oc describe
コマンドを使用します。$ oc describe catalogsource example-catalog -n openshift-marketplace
出力例
Name: example-catalog Namespace: openshift-marketplace ... Status: Connection State: Address: example-catalog.openshift-marketplace.svc:50051 Last Connect: 2021-09-09T17:07:35Z Last Observed State: TRANSIENT_FAILURE Registry Service: Created At: 2021-09-09T17:05:45Z Port: 50051 Protocol: grpc Service Name: example-catalog Service Namespace: openshift-marketplace
前述の出力例では、最後に観測された状態が
TRANSIENT_FAILURE
となっています。この状態は、カタログソースの接続確立に問題があることを示しています。カタログソースが作成された namespace の Pod をリストアップします。
$ oc get pods -n openshift-marketplace
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE certified-operators-cv9nn 1/1 Running 0 36m community-operators-6v8lp 1/1 Running 0 36m marketplace-operator-86bfc75f9b-jkgbc 1/1 Running 0 42m example-catalog-bwt8z 0/1 ImagePullBackOff 0 3m55s redhat-marketplace-57p8c 1/1 Running 0 36m redhat-operators-smxx8 1/1 Running 0 36m
namespace にカタログソースを作成すると、その namespace にカタログソース用の Pod が作成されます。前述の出力例では、
example-catalog-bwt8z
Pod のステータスがImagePullBackOff
になっています。このステータスは、カタログソースのインデックスイメージのプルに問題があることを示しています。oc describe
コマンドを使用して、より詳細な情報を得るために Pod を検査します。$ oc describe pod example-catalog-bwt8z -n openshift-marketplace
出力例
Name: example-catalog-bwt8z Namespace: openshift-marketplace Priority: 0 Node: ci-ln-jyryyg2-f76d1-ggdbq-worker-b-vsxjd/10.0.128.2 ... Events: Type Reason Age From Message ---- ------ ---- ---- ------- Normal Scheduled 48s default-scheduler Successfully assigned openshift-marketplace/example-catalog-bwt8z to ci-ln-jyryyf2-f76d1-fgdbq-worker-b-vsxjd Normal AddedInterface 47s multus Add eth0 [10.131.0.40/23] from openshift-sdn Normal BackOff 20s (x2 over 46s) kubelet Back-off pulling image "quay.io/example-org/example-catalog:v1" Warning Failed 20s (x2 over 46s) kubelet Error: ImagePullBackOff Normal Pulling 8s (x3 over 47s) kubelet Pulling image "quay.io/example-org/example-catalog:v1" Warning Failed 8s (x3 over 47s) kubelet Failed to pull image "quay.io/example-org/example-catalog:v1": rpc error: code = Unknown desc = reading manifest v1 in quay.io/example-org/example-catalog: unauthorized: access to the requested resource is not authorized Warning Failed 8s (x3 over 47s) kubelet Error: ErrImagePull
前述の出力例では、エラーメッセージは、カタログソースのインデックスイメージが承認問題のために正常にプルできないことを示しています。例えば、インデックスイメージがログイン認証情報を必要とするレジストリーに保存されている場合があります。
4.6. Operator 条件の管理
クラスター管理者は、Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用して Operator 条件を管理できます。
4.6.1. Operator 条件の上書き
クラスター管理者には、Operator が報告するサポートされている Operator 条件を無視することをお勧めします。Operator 条件が存在する場合、Spec.Overrides
配列の Operator 条件は Status.Conditions
配列の条件を上書きし、これによりクラスター管理者は、Operator が Operator Lifecycle Manager (OLM) に状態を誤って報告する状況に対応することができます。
たとえば、アップグレードできないことを常に通信する Operator の既知のバージョンについて考えてみましょう。この場合、Operator がアップグレードできないと通信していますが、Operator をアップグレードすることをお勧めします。これは、条件の type
および status
を OperatorCondition
リソースの Spec.Overrides
配列に追加して Operator 条件を上書きすることによって実行できます。
前提条件
-
OLM を使用してインストールされた
OperatorCondition
リソースを含む Operator。
手順
Operator の
OperatorCondition
リソースを編集します。$ oc edit operatorcondition <name>
Spec.Overrides
配列をオブジェクトに追加します。Operator 条件の上書きの例
apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorCondition metadata: name: my-operator namespace: operators spec: overrides: - type: Upgradeable 1 status: "True" reason: "upgradeIsSafe" message: "This is a known issue with the Operator where it always reports that it cannot be upgraded." status: conditions: - type: Upgradeable status: "False" reason: "migration" message: "The operator is performing a migration." lastTransitionTime: "2020-08-24T23:15:55Z"
- 1
- クラスター管理者は、アップグレードの準備状態を
True
に変更できます。
4.6.2. Operator 条件を使用するための Operator の更新
Operator Lifecycle Manager (OLM) は、調整する ClusterServiceVersion
リソースごとに OperatorCondition
リソースを自動的に作成します。CSV のすべてのサービスアカウントには、Operator が所有する OperatorCondition
と対話するための RBAC が付与されます。
Operator の作成者は、Operator が OLM によってデプロイされた後に、独自の条件を設定できるように Operator を開発し、operator-lib
ライブラリーを使用することができます。Operator 条件を Operator 作成者として設定するためのロジックの作成についての詳細は、Operator SDK ドキュメントを参照してください。
4.6.2.1. デフォルトの設定
後方互換性を維持するために、OLM は OperatorCondition
リソースがない状態を条件からのオプトアウトとして扱います。そのため、Operator 条件の使用にオプトインする Operator は、Pod の ready プローブが true
に設定される前に、デフォルトの条件を設定する必要があります。これにより、Operator には、条件を正しい状態に更新するための猶予期間が与えられます。
4.6.3. 関連情報
4.7. クラスター管理者以外のユーザーによる Operator のインストールの許可
Operator の実行には幅広い権限が必要になる可能性があり、必要な権限はバージョン間で異なる場合があります。Operator Lifecycle Manager (OLM) は、cluster-admin
権限で実行されます。デフォルトで、Operator の作成者はクラスターサービスバージョン (CSV) で任意のパーミッションのセットを指定でき、OLM はこれを Operator に付与します。
クラスター管理者は、Operator がクラスタースコープの権限を実行できず、ユーザーが OLM を使用して権限をエスカレートできないようにするよう対策を取る必要があります。これを制限する方法として、クラスター管理者は Operator をクラスターに追加される前に監査する必要があります。また、クラスター管理者には、サービスアカウントを使用した Operator のインストールまたはアップグレード時に許可されるアクションを判別し、制限するための各種ツールが提供されます。
Operator グループ を、その権限のセットが付与されたサービスアカウントセットに関連付けることにより、クラスター管理者は Operator にポリシーを設定して、それらが RBAC ルールを使用して事前に決定された境界内でのみ動作するようにできます。Operator は、それらのルールによって明示的に許可されていないことはいずれも実行できません。
クラスター管理者以外のユーザーによるこの自己完結型の、スコープが制限された Operator のインストールによって、より多くのユーザーがさらに多くの Operator Framework ツールを利用でき、Operator によるアプリケーションのビルドのエクスペリエンスが強化されます。
4.7.1. Operator インストールポリシーについて
Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用すると、クラスター管理者は Operator グループに関連付けられたすべての Operator がデプロイされ、サービスアカウントに付与される権限に基づいてデプロイされ、実行されるように Operator グループのサービスアカウントを指定できます。
APIService
および CustomResourceDefinition
リソースは、cluster-admin
ロールを使用して OLM によって常に作成されます。Operator グループに関連付けられたサービスアカウントには、これらのリソースを作成するための権限を付与できません。
指定したサービスアカウントがインストールまたはアップグレードされる Operator についての適切なパーミッションを持たない場合、便利なコンテキスト情報がそれぞれのリソースのステータスに追加されます。これにより、管理者が問題のトラブルシューティングおよび解決が容易になります。
この Operator グループに関連付けられる Operator は、指定されたサービスアカウントに付与されるパーミッションに制限されます。Operator がサービスアカウントの範囲外のパーミッションを要求する場合、インストールは適切なエラーを出して失敗します。
4.7.1.1. インストールシナリオ
Operator をクラスターでインストールまたはアップグレードできるかどうかを決定する際に、Operator Lifecycle Manager (OLM) は以下のシナリオを検討します。
- クラスター管理者は新規の Operator グループプを作成し、サービスアカウントを指定します。この Operator グループに関連付けられるすべての Operator がサービスアカウントに付与される権限に基づいてインストールされ、実行されます。
- クラスター管理者は新規の Operator グループを作成し、サービスアカウントを指定しません。OpenShift Container Platform は後方互換性を維持します。そのため、デフォルト動作はそのまま残り、Operator のインストールおよびアップグレードは許可されます。
- サービスアカウントを指定しない既存の Operator グループの場合、デフォルトの動作は残り、Operator のインストールおよびアップグレードは許可されます。
- クラスター管理者は既存の Operator グループを更新し、サービスアカウントを指定します。OLM により、既存の Operator は現在の権限で継続して実行されます。このような既存 Operator がアップグレードされる場合、これは再インストールされ、新規 Operator のようにサービスアカウントに付与される権限に基づいて実行されます。
- Operator グループで指定されるサービスアカウントは、パーミッションの追加または削除によって変更されるか、または既存のサービスアカウントは新しいサービスアカウントに切り替わります。既存の Operator がアップグレードされる場合、これは再インストールされ、新規 Operator のように更新されたサービスアカウントに付与される権限に基づいて実行されます。
- クラスター管理者は、サービスアカウントを Operator グループから削除します。デフォルトの動作は残り、Operator のインストールおよびアップグレードは許可されます。
4.7.1.2. インストールワークフロー
Operator グループがサービスアカウントに関連付けられ、Operator がインストールまたはアップグレードされると、Operator Lifecycle Manager (OLM) は以下のワークフローを使用します。
-
指定された
Subscription
オブジェクトは OLM によって選択されます。 - OLM はこのサブスクリプションに関連する Operator グループをフェッチします。
- OLM は Operator グループにサービスアカウントが指定されていることを判別します。
- OLM はサービスアカウントにスコープが設定されたクライアントを作成し、スコープ設定されたクライアントを使用して Operator をインストールします。これにより、Operator で要求されるパーミッションは常に Operator グループのそのサービスアカウントのパーミッションに制限されるようになります。
- OLM は CSV で指定されたパーミッションセットを使用して新規サービスアカウントを作成し、これを Operator に割り当てます。Operator は割り当てられたサービスアカウントで実行されます。
4.7.2. Operator インストールのスコープ設定
Operator の Operator Lifecycle Manager (OLM) での Operator のインストールおよびアップグレードについてのスコープ設定ルールを提供するには、サービスアカウントを Operator グループに関連付けます。
この例では、クラスター管理者は一連の Operator を指定された namespace に制限できます。
手順
新規の namespace を作成します。
$ cat <<EOF | oc create -f - apiVersion: v1 kind: Namespace metadata: name: scoped EOF
Operator を制限する必要のあるパーミッションを割り当てます。これには、新規サービスアカウント、関連するロール、およびロールバインディングの作成が必要になります。
$ cat <<EOF | oc create -f - apiVersion: v1 kind: ServiceAccount metadata: name: scoped namespace: scoped EOF
以下の例では、単純化するために、サービスアカウントに対し、指定される namespace ですべてのことを実行できるパーミッションを付与します。実稼働環境では、より粒度の細かいパーミッションセットを作成する必要があります。
$ cat <<EOF | oc create -f - apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1 kind: Role metadata: name: scoped namespace: scoped rules: - apiGroups: ["*"] resources: ["*"] verbs: ["*"] --- apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1 kind: RoleBinding metadata: name: scoped-bindings namespace: scoped roleRef: apiGroup: rbac.authorization.k8s.io kind: Role name: scoped subjects: - kind: ServiceAccount name: scoped namespace: scoped EOF
指定された namespace に
OperatorGroup
オブジェクトを作成します。この Operator グループは指定された namespace をターゲットにし、そのテナンシーがこれに制限されるようにします。さらに、Operator グループはユーザーがサービスアカウントを指定できるようにします。直前の手順で作成したサービスアカウントを指定します。
$ cat <<EOF | oc create -f - apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: scoped namespace: scoped spec: serviceAccountName: scoped targetNamespaces: - scoped EOF
指定された namespace にインストールされる Operator はこの Operator グループに関連付けられ、指定されるサービスアカウントに関連付けられます。
指定された namespace で
Subscription
オブジェクトを作成し、Operator をインストールします。$ cat <<EOF | oc create -f - apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: etcd namespace: scoped spec: channel: singlenamespace-alpha name: etcd source: <catalog_source_name> 1 sourceNamespace: <catalog_source_namespace> 2 EOF
この Operator グループに関連付けられる Operator は、指定されたサービスアカウントに付与されるパーミッションに制限されます。Operator がサービスアカウントの範囲外のパーミッションを要求する場合、インストールは関連するエラーを出して失敗します。
4.7.2.1. 粒度の細かいパーミッション
Operator Lifecycle Manager (OLM) は Operator グループで指定されたサービスアカウントを使用して、インストールされる Operator に関連する以下のリソースを作成または更新します。
-
ClusterServiceVersion
-
サブスクリプション
-
Secret
-
ServiceAccount
-
Service
-
ClusterRole
およびClusterRoleBinding
-
Role
およびRoleBinding
Operator を指定された namespace に制限するため、クラスター管理者は以下のパーミッションをサービスアカウントに付与して起動できます。
以下のロールは一般的なサンプルであり、特定の Operator に基づいて追加のルールが必要になる可能性があります。
kind: Role rules: - apiGroups: ["operators.coreos.com"] resources: ["subscriptions", "clusterserviceversions"] verbs: ["get", "create", "update", "patch"] - apiGroups: [""] resources: ["services", "serviceaccounts"] verbs: ["get", "create", "update", "patch"] - apiGroups: ["rbac.authorization.k8s.io"] resources: ["roles", "rolebindings"] verbs: ["get", "create", "update", "patch"] - apiGroups: ["apps"] 1 resources: ["deployments"] verbs: ["list", "watch", "get", "create", "update", "patch", "delete"] - apiGroups: [""] 2 resources: ["pods"] verbs: ["list", "watch", "get", "create", "update", "patch", "delete"]
さらに、Operator がプルシークレットを指定する場合、以下のパーミッションも追加する必要があります。
kind: ClusterRole 1
rules:
- apiGroups: [""]
resources: ["secrets"]
verbs: ["get"]
---
kind: Role
rules:
- apiGroups: [""]
resources: ["secrets"]
verbs: ["create", "update", "patch"]
- 1
- シークレットを OLM namespace から取得するために必要です。
4.7.3. パーミッションに関する失敗のトラブルシューティング
パーミッションがないために Operator のインストールが失敗する場合は、以下の手順を使用してエラーを特定します。
手順
Subscription
オブジェクトを確認します。このステータスには、Operator の必要な[Cluster]Role[Binding]
オブジェクトの作成を試行したInstallPlan
オブジェクトをポイントするオブジェクト参照installPlanRef
があります。apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: Subscription metadata: name: etcd namespace: scoped status: installPlanRef: apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: InstallPlan name: install-4plp8 namespace: scoped resourceVersion: "117359" uid: 2c1df80e-afea-11e9-bce3-5254009c9c23
InstallPlan
オブジェクトのステータスでエラーの有無を確認します。apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: InstallPlan status: conditions: - lastTransitionTime: "2019-07-26T21:13:10Z" lastUpdateTime: "2019-07-26T21:13:10Z" message: 'error creating clusterrole etcdoperator.v0.9.4-clusterwide-dsfx4: clusterroles.rbac.authorization.k8s.io is forbidden: User "system:serviceaccount:scoped:scoped" cannot create resource "clusterroles" in API group "rbac.authorization.k8s.io" at the cluster scope' reason: InstallComponentFailed status: "False" type: Installed phase: Failed
エラーメッセージは、以下を示しています。
-
リソースの API グループを含む、作成に失敗したリソースのタイプ。この場合、これは
rbac.authorization.k8s.io
グループのclusterroles
です。 - リソースの名前。
-
エラーのタイプ:
is forbidden
は、ユーザーに操作を実行するための十分なパーミッションがないことを示します。 - リソースの作成または更新を試みたユーザーの名前。この場合、これは Operator グループで指定されたサービスアカウントを参照します。
操作の範囲が
cluster scope
かどうか。ユーザーは、不足しているパーミッションをサービスアカウントに追加してから、繰り返すことができます。
注記現時点で、Operator Lifecycle Manager (OLM) は最初の試行でエラーの詳細の一覧を提供しません。
-
リソースの API グループを含む、作成に失敗したリソースのタイプ。この場合、これは
4.8. カスタムカタログの管理
以下では、OpenShift Container Platform で Operator Lifecycle Manager (OLM) の Bundle Format またはレガシー Package Manifest Format のいずれかを使用してパッケージ化された Operator のカスタムパッケージを使用する方法について説明します。
4.8.1. Bundle Format を使用したカスタムカタログ
4.8.1.1. 前提条件
-
opm
CLI をインストールします。
4.8.1.2. インデックスイメージの作成
opm
CLI を使用してインデックスイメージを作成できます。
前提条件
-
opm
version 1.12.3+ -
podman
version 1.9.3+ Docker v2-2 をサポートするレジストリーにビルドされ、プッシュされるバンドルイメージ。
重要OpenShift Container Platform クラスターの内部レジストリーはターゲットレジストリーとして使用できません。これは、ミラーリングプロセスで必要となるタグを使わないプッシュをサポートしないためです。
手順
新しいインデックスを開始します。
$ opm index add \ --bundles <registry>/<namespace>/<bundle_image_name>:<tag> \1 --tag <registry>/<namespace>/<index_image_name>:<tag> \2 [--binary-image <registry_base_image>] 3
インデックスイメージをレジストリーにプッシュします。
必要な場合は、ターゲットレジストリーで認証します。
$ podman login <registry>
インデックスイメージをプッシュします。
$ podman push <registry>/<namespace>/test-catalog:latest
4.8.1.3. インデックスイメージからのカタログの作成
インデックスイメージから Operator カタログを作成し、これを Operator Lifecycle Manager (OLM) で使用するために OpenShift Container Platform クラスターに適用できます。
前提条件
- レジストリーにビルドされ、プッシュされるインデックスイメージ。
手順
インデックスイメージを参照する
CatalogSource
オブジェクトを作成します。仕様を以下のように変更し、これを
catalogSource.yaml
ファイルとして保存します。apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: CatalogSource metadata: name: my-operator-catalog namespace: openshift-marketplace 1 spec: sourceType: grpc image: <registry>:<port>/<namespace>/redhat-operator-index:v4.7 2 displayName: My Operator Catalog publisher: <publisher_name> 3 updateStrategy: registryPoll: 4 interval: 30m
このファイルを使用して
CatalogSource
オブジェクトを作成します。$ oc apply -f catalogSource.yaml
以下のリソースが正常に作成されていることを確認します。
Pod を確認します。
$ oc get pods -n openshift-marketplace
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE my-operator-catalog-6njx6 1/1 Running 0 28s marketplace-operator-d9f549946-96sgr 1/1 Running 0 26h
カタログソースを確認します。
$ oc get catalogsource -n openshift-marketplace
出力例
NAME DISPLAY TYPE PUBLISHER AGE my-operator-catalog My Operator Catalog grpc 5s
パッケージマニフェストを確認します。
$ oc get packagemanifest -n openshift-marketplace
出力例
NAME CATALOG AGE jaeger-product My Operator Catalog 93s
OpenShift Container Platform Web コンソールで、OperatorHub ページから Operator をインストールできるようになりました。
関連情報
- インデックスイメージがプライベートレジストリーでホストされ、認証が必要な場合は、プライベートレジストリーからの Operator のイメージへのアクセス を参照してください。
4.8.1.4. インデックスイメージの更新
カスタムインデックスイメージを参照するカタログソースを使用するように OperatorHub を設定した後に、クラスター管理者はバンドルイメージをインデックスイメージに追加して、クラスターで利用可能な Operator を最新の状態に維持することができます。
opm index add
コマンドを使用して既存インデックスイメージを更新できます。
前提条件
-
opm
version 1.12.3+ -
podman
version 1.9.3+ - レジストリーにビルドされ、プッシュされるインデックスイメージ。
- インデックスイメージを参照する既存のカタログソース。
手順
バンドルイメージを追加して、既存のインデックスを更新します。
$ opm index add \ --bundles <registry>/<namespace>/<new_bundle_image>@sha256:<digest> \1 --from-index <registry>/<namespace>/<existing_index_image>:<existing_tag> \2 --tag <registry>/<namespace>/<existing_index_image>:<updated_tag> \3 --pull-tool podman 4
ここでは、以下のようになります。
<registry>
-
quay.io
やmirror.example.com
などのレジストリーのホスト名を指定します。 <namespace>
-
ocs-dev
やabc
など、レジストリーの namespace を指定します。 <new_bundle_image>
-
ocs-operator
など、レジストリーに追加する新しいバンドルイメージを指定します。 <digest>
-
c7f11097a628f092d8bad148406aa0e0951094a03445fd4bc0775431ef683a41
などのバンドルイメージの SHA イメージ ID またはダイジェストを指定します。 <existing_index_image>
-
abc-redhat-operator-index
など、以前にプッシュされたイメージを指定します。 <existing_tag>
-
4.7
など、以前にプッシュされたイメージタグを指定します。 <updated_tag>
-
4.7.1
など、更新されたインデックスイメージに適用するイメージタグを指定します。
コマンドの例
$ opm index add \ --bundles quay.io/ocs-dev/ocs-operator@sha256:c7f11097a628f092d8bad148406aa0e0951094a03445fd4bc0775431ef683a41 \ --from-index mirror.example.com/abc/abc-redhat-operator-index:4.7 \ --tag mirror.example.com/abc/abc-redhat-operator-index:4.7.1 \ --pull-tool podman
更新されたインデックスイメージをプッシュします。
$ podman push <registry>/<namespace>/<existing_index_image>:<updated_tag>
Operator Lifecycle Manager (OLM) がカタログソースで参照されるインデックスイメージを一定間隔で自動的にポーリングした後に、新規パッケージが正常に追加されたことを確認します。
$ oc get packagemanifests -n openshift-marketplace
4.8.1.5. インデックスイメージのプルーニング
Operator Bundle Format に基づくインデックスイメージは、Operator カタログのコンテナー化されたスナップショットです。パッケージの指定された一覧以外のすべてのインデックスをプルーニングできます。これにより、必要な Operator のみが含まれるソースインデックスのコピーを作成できます。
前提条件
-
podman
version 1.9.3+ -
grpcurl
(サードパーティーのコマンドラインツール) -
opm
バージョン 1.18.0+ Docker v2-2 をサポートするレジストリーへのアクセス
重要OpenShift Container Platform クラスターの内部レジストリーはターゲットレジストリーとして使用できません。これは、ミラーリングプロセスで必要となるタグを使わないプッシュをサポートしないためです。
手順
ターゲットレジストリーで認証します。
$ podman login <target_registry>
プルーニングされたインデックスに追加するパッケージの一覧を判別します。
コンテナーでプルーニングするソースインデックスイメージを実行します。以下に例を示します。
$ podman run -p50051:50051 \ -it registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.7
出力例
Trying to pull registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.7... Getting image source signatures Copying blob ae8a0c23f5b1 done ... INFO[0000] serving registry database=/database/index.db port=50051
別のターミナルセッションで、
grpcurl
コマンドを使用して、インデックスが提供するパッケージの一覧を取得します。$ grpcurl -plaintext localhost:50051 api.Registry/ListPackages > packages.out
packages.out
ファイルを検査し、プルーニングされたインデックスに保持したいパッケージ名をこの一覧から特定します。以下に例を示します。パッケージ一覧のスニペットの例
... { "name": "advanced-cluster-management" } ... { "name": "jaeger-product" } ... { { "name": "quay-operator" } ...
-
podman run
コマンドを実行したターミナルセッションで、Ctrl と C を押してコンテナープロセスを停止します。
以下のコマンドを実行して、指定したパッケージ以外のすべてのパッケージのソースインデックスをプルーニングします。
$ opm index prune \ -f registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.7 \1 -p advanced-cluster-management,jaeger-product,quay-operator \2 [-i registry.redhat.io/openshift4/ose-operator-registry:v4.7] \3 -t <target_registry>:<port>/<namespace>/redhat-operator-index:v4.7 4
以下のコマンドを実行して、新規インデックスイメージをターゲットレジストリーにプッシュします。
$ podman push <target_registry>:<port>/<namespace>/redhat-operator-index:v4.7
ここで、
<namespace>
はレジストリー上の既存の namespace になります。
4.8.2. Package Manifest Format を使用したカスタムカタログ
4.8.2.1. Package Manifest Format カタログイメージのビルド
クラスター管理者は、Operator Lifecycle Manager (OLM) によって使用される Package Manifest Format に基づいてカスタム Operator カタログイメージをビルドできます。カタログイメージは、Docker v2-2 をサポートするコンテナーイメージレジストリーにプッシュできます。ネットワークが制限された環境のクラスターの場合、このレジストリーには、ネットワークが制限されたクラスターのインストール時に作成されたミラーレジストリーなど、クラスターにネットワークアクセスのあるレジストリーを使用できます。
OpenShift Container Platform クラスターの内部レジストリーはターゲットレジストリーとして使用できません。これは、ミラーリングプロセスで必要となるタグを使わないプッシュをサポートしないためです。
以下の例では、お使いのネットワークとインターネットの両方にアクセスできるミラーレジストリーを使用することを前提としています。
Windows および macOS のバージョンは oc adm catalog build
コマンドを提供しないため、この手順では oc
クライアントの Linux バージョンのみを使用できます。
前提条件
- ネットワークアクセスが無制限のワークステーション
-
oc
バージョン 4.3.5+ Linux クライアント -
podman
version 1.9.3+ - Docker v2-2 をサポートするミラーレジストリーへのアクセス
プライベートレジストリーを使用している場合、後続の手順で使用するために
REG_CREDS
環境変数をレジストリー認証情報のファイルパスに設定します。たとえばpodman
CLI の場合は、以下のようになります。$ REG_CREDS=${XDG_RUNTIME_DIR}/containers/auth.json
quay.io アカウントがアクセスできるプライベート namespace を使用している場合、Quay 認証トークンを設定する必要があります。quay.io 認証情報を使用してログイン API に対して要求を行うことにより、
--auth-token
フラグで使用できるAUTH_TOKEN
環境変数を設定します。$ AUTH_TOKEN=$(curl -sH "Content-Type: application/json" \ -XPOST https://quay.io/cnr/api/v1/users/login -d ' { "user": { "username": "'"<quay_username>"'", "password": "'"<quay_password>"'" } }' | jq -r '.token')
手順
ネットワークアクセスが無制限のワークステーションで、ターゲットミラーレジストリーを使用して認証を行います。
$ podman login <registry_host_name>
ビルド時にベースイメージをプルできるように、
registry.redhat.io
で認証します。$ podman login registry.redhat.io
Quay.io から
redhat-operators
カタログをベースにカタログイメージをビルドし、そのイメージにタグを付け、ミラーレジストリーにプッシュします。$ oc adm catalog build \ --appregistry-org redhat-operators \1 --from=registry.redhat.io/openshift4/ose-operator-registry:v4.7 \2 --filter-by-os="linux/amd64" \3 --to=<registry_host_name>:<port>/olm/redhat-operators:v1 \4 [-a ${REG_CREDS}] \5 [--insecure] \6 [--auth-token "${AUTH_TOKEN}"] 7
- 1
- App Registry インスタンスからのプルに使用する組織 (namespace)。
- 2
- ターゲット OpenShift Container Platform クラスターのメジャーバージョンおよびマイナーバージョンに一致するタグを使用して、
--from
を Operator レジストリーのベースイメージに設定します。 - 3
--filter-by-os
を、ターゲットの OpenShift Container Platform クラスターと一致する必要のある、ベースイメージに使用するオペレーティングシステムおよびアーキテクチャーに設定します。使用できる値は、linux/amd64
、linux/ppc64le
、およびlinux/s390x
です。- 4
- カタログイメージに名前を付け、
v1
などのタグを追加します。 - 5
- オプション: 必要な場合は、レジストリー認証情報ファイルの場所を指定します。
- 6
- オプション: ターゲットレジストリーの信頼を設定しない場合は、
--insecure
フラグを追加します。 - 7
- オプション: 公開されていない他のアプリケーションレジストリーカタログが使用されている場合、Quay 認証トークンを指定します。
出力例
INFO[0013] loading Bundles dir=/var/folders/st/9cskxqs53ll3wdn434vw4cd80000gn/T/300666084/manifests-829192605 ... Pushed sha256:f73d42950021f9240389f99ddc5b0c7f1b533c054ba344654ff1edaf6bf827e3 to example_registry:5000/olm/redhat-operators:v1
無効なマニフェストが Red Hat のカタログに誤って導入されることあります。これが実際に生じる場合には、以下のようなエラーが表示される可能性があります。
エラーのある出力の例
... INFO[0014] directory dir=/var/folders/st/9cskxqs53ll3wdn434vw4cd80000gn/T/300666084/manifests-829192605 file=4.2 load=package W1114 19:42:37.876180 34665 builder.go:141] error building database: error loading package into db: fuse-camel-k-operator.v7.5.0 specifies replacement that couldn't be found Uploading ... 244.9kB/s
通常、これらのエラーは致命的なエラーではなく、該当する Operator パッケージにインストールする予定の Operator やその依存関係が含まれない場合、それらを無視することができます。
4.8.2.2. Package Manifest Format カタログイメージのミラーリング
クラスター管理者は Package Manifest Format に基づいてカスタム Operator カタログイメージをレジストリーにミラーリングし、カタログソースを使用してコンテンツをクラスターに読み込むことができます。この例では、以前にビルドされ、サポートされているレジストリーにプッシュされたカスタム redhat-operators
カタログイメージを使用します。
前提条件
- ネットワークアクセスが無制限のワークステーション
- サポートされているレジストリーにプッシュされる Package Manifest Format に基づくカスタム Operator カタログイメージ
-
oc
version 4.3.5+ -
podman
version 1.9.3+ Docker v2-2 をサポートするミラーレジストリーへのアクセス
重要OpenShift Container Platform クラスターの内部レジストリーはターゲットレジストリーとして使用できません。これは、ミラーリングプロセスで必要となるタグを使わないプッシュをサポートしないためです。
プライベートレジストリーを使用している場合、後続の手順で使用するために
REG_CREDS
環境変数をレジストリー認証情報のファイルパスに設定します。たとえばpodman
CLI の場合は、以下のようになります。$ REG_CREDS=${XDG_RUNTIME_DIR}/containers/auth.json
手順
oc adm catalog mirror
コマンドは、カスタム Operator カタログイメージのコンテンツを抽出し、ミラーリングに必要なマニフェストを生成します。以下のいずれかを選択できます。- コマンドのデフォルト動作で、マニフェストの生成後にすべてのイメージコンテンツをミラーレジストリーに自動的にミラーリングできるようにします。または、
-
--manifests-only
フラグを追加して、ミラーリングに必要なマニフェストのみを生成しますが、これにより、イメージコンテンツがレジストリーに自動的にミラーリングされる訳ではありません。これは、ミラーリングする内容を確認するのに役立ちます。また、コンテンツのサブセットのみが必要な場合に、マッピングの一覧に変更を加えることができます。次に、そのファイルをoc image mirror
コマンドで使用し、後のステップでイメージの変更済みの一覧をミラーリングできます。
ネットワークアクセスが無制限のワークステーションで、以下のコマンドを実行します。
$ oc adm catalog mirror \ <registry_host_name>:<port>/olm/redhat-operators:v1 \ 1 <registry_host_name>:<port> \ 2 [-a ${REG_CREDS}] \ 3 [--insecure] \ 4 [--index-filter-by-os='<platform>/<arch>'] \ 5 [--manifests-only] 6
- 1
- Operator カタログイメージを指定します。
- 2
- ターゲットレジストリーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を指定します。
- 3
- オプション: 必要な場合は、レジストリー認証情報ファイルの場所を指定します。
- 4
- オプション: ターゲットレジストリーの信頼を設定しない場合は、
--insecure
フラグを追加します。 - 5
- オプション: 複数のバリアントが利用可能な場合に、選択するカタログイメージのプラットフォームおよびアーキテクチャーを指定します。イメージは
'<platform>/<arch>[/<variant>]'
として渡されます。これは、カタログイメージで参照されるイメージには適用されません。使用できる値は、linux/amd64
、linux/ppc64le
、およびlinux/s390x
です。 - 6
- オプション: ミラーリングに必要なマニフェストのみを生成し、実際にはイメージコンテンツをレジストリーにミラーリングしません。
出力例
using database path mapping: /:/tmp/190214037 wrote database to /tmp/190214037 using database at: /tmp/190214037/bundles.db 1 ...
- 1
- コマンドで生成される一時的なデータベース。
コマンドの実行後に、
manifests-<index_image_name>-<random_number>/
ディレクトリーが現在のディレクトリーに作成され、以下のファイルが生成されます。-
catalogSource.yaml
ファイルは、カタログイメージタグおよび他の関連するメタデータで事前に設定されるCatalogSource
オブジェクトの基本的な定義です。このファイルは、カタログソースをクラスターに追加するためにそのまま使用したり、変更したりできます。 これにより、
imageContentSourcePolicy.yaml
ファイルはImageContentSourcePolicy
オブジェクトを定義します。このオブジェクトは、ノードを Operator マニフェストおよびミラーリングされたレジストリーに保存されるイメージ参照間で変換できるように設定します。注記クラスターが
ImageContentSourcePolicy
オブジェクトを使用してリポジトリーのミラーリングを設定する場合、ミラーリングされたレジストリーにグローバルプルシークレットのみを使用できます。プロジェクトにプルシークレットを追加することはできません。-
mapping.txt
ファイルには、すべてのソースイメージが含まれ、これはそれらのイメージをターゲットレジストリー内のどこにマップするかを示します。このファイルはoc image mirror
コマンドと互換性があり、ミラーリング設定をさらにカスタマイズするために使用できます。
直前の手順で
--manifests-only
フラグを使用して、コンテンツのサブセットのみをミラーリングする場合は、以下を実行します。mapping.txt
ファイルのイメージの一覧を仕様に変更します。ミラーリングするイメージのサブセットの名前とバージョンが不明な場合は、以下の手順で確認します。oc adm catalog mirror
コマンドで生成された一時的なデータベースに対してsqlite3
ツールを実行し、一般的な検索クエリーに一致するイメージの一覧を取得します。出力は、後にmapping.txt
ファイルを編集する方法を通知するのに役立ちます。たとえば、
clusterlogging.4.3
の文字列のようなイメージの一覧を取得するには、以下を実行します。$ echo "select * from related_image \ where operatorbundle_name like 'clusterlogging.4.3%';" \ | sqlite3 -line /tmp/190214037/bundles.db 1
- 1
oc adm catalog mirror
コマンドの直前の出力を参照し、データベースファイルのパスを見つけます。
出力例
image = registry.redhat.io/openshift-logging/kibana6-rhel8@sha256:aa4a8b2a00836d0e28aa6497ad90a3c116f135f382d8211e3c55f34fb36dfe61 operatorbundle_name = clusterlogging.4.3.33-202008111029.p0 image = registry.redhat.io/openshift4/ose-oauth-proxy@sha256:6b4db07f6e6c962fc96473d86c44532c93b146bbefe311d0c348117bf759c506 operatorbundle_name = clusterlogging.4.3.33-202008111029.p0 ...
直前の手順で取得した結果を使用して
mapping.txt
ファイルを編集し、ミラーリングする必要のあるイメージのサブセットのみを追加します。たとえば、前述の出力例の
image
値を使用して、mapping.txt
ファイルに以下の一致する行が存在することを確認できます。mapping.txt
の一致するイメージマッピング。registry.redhat.io/openshift-logging/kibana6-rhel8@sha256:aa4a8b2a00836d0e28aa6497ad90a3c116f135f382d8211e3c55f34fb36dfe61=<registry_host_name>:<port>/kibana6-rhel8:a767c8f0 registry.redhat.io/openshift4/ose-oauth-proxy@sha256:6b4db07f6e6c962fc96473d86c44532c93b146bbefe311d0c348117bf759c506=<registry_host_name>:<port>/openshift4-ose-oauth-proxy:3754ea2b
この例では、これらのイメージのみをミラーリングする場合に、
mapping.txt
ファイルの他のすべてのエントリーを削除し、上記の 2 行のみを残します。
ネットワークアクセスが無制限のワークステーション上で、変更した
mapping.txt
ファイルを使用し、oc image mirror
コマンドを使用してイメージをレジストリーにミラーリングします。$ oc image mirror \ [-a ${REG_CREDS}] \ --filter-by-os='.*' \ -f ./manifests-redhat-operators-<random_number>/mapping.txt
警告--filter-by-os
フラグが設定されていない状態か、または.*
以外の値に設定されている場合、コマンドが複数の異なるアーキテクチャーをフィルターし、マニフェスト一覧のダイジェスト (multi-arch image イメージとしても知られる) が変更されます。ダイジェストが間違っていると、それらのイメージおよび Operator の非接続クラスターでのデプロイメントに失敗します。
ImageContentSourcePolicy
オブジェクトを作成します。$ oc create -f ./manifests-redhat-operators-<random_number>/imageContentSourcePolicy.yaml
ミラーリングされたコンテンツを参照するように CatalogSource
オブジェクトを作成できるようになりました。
関連情報
- Operator のアーキテクチャーおよびオペレーティングシステムのサポート
- カタログイメージがプライベートレジストリーでホストされ、認証が必要な場合は、プライベートレジストリーからの Operator のイメージへのアクセス を参照してください。
4.8.2.3. Package Manifest Format カタログイメージの更新
クラスター管理者がカスタム Operator カタログイメージを使用するように OperatorHub を設定した後、管理者は Red Hat の App Registry カタログに追加された更新をキャプチャーして、OpenShift Container Platform クラスターを最新の Operator と共に最新の状態に保つことができます。これは、新規 Operator カタログイメージをビルドし、プッシュしてから、既存の CatalogSource
オブジェクトの spec.image
パラメーターを新規イメージダイジェストに置き換えることによって実行されます。
この例では、カスタムの redhat-operators
カタログイメージが OperatorHub と使用するように設定されていることを前提としています。
Windows および macOS のバージョンは oc adm catalog build
コマンドを提供しないため、この手順では oc
クライアントの Linux バージョンのみを使用できます。
前提条件
- ネットワークアクセスが無制限のワークステーション
-
oc
バージョン 4.3.5+ Linux クライアント -
podman
version 1.9.3+ Docker v2-2 をサポートするミラーレジストリーへのアクセス
重要OpenShift Container Platform クラスターの内部レジストリーはターゲットレジストリーとして使用できません。これは、ミラーリングプロセスで必要となるタグを使わないプッシュをサポートしないためです。
- カスタムカタログイメージを使用するように設定されている OperatorHub
プライベートレジストリーを使用している場合、後続の手順で使用するために
REG_CREDS
環境変数をレジストリー認証情報のファイルパスに設定します。たとえばpodman
CLI の場合は、以下のようになります。$ REG_CREDS=${XDG_RUNTIME_DIR}/containers/auth.json
quay.io アカウントがアクセスできるプライベート namespace を使用している場合、Quay 認証トークンを設定する必要があります。quay.io 認証情報を使用してログイン API に対して要求を行うことにより、
--auth-token
フラグで使用できるAUTH_TOKEN
環境変数を設定します。$ AUTH_TOKEN=$(curl -sH "Content-Type: application/json" \ -XPOST https://quay.io/cnr/api/v1/users/login -d ' { "user": { "username": "'"<quay_username>"'", "password": "'"<quay_password>"'" } }' | jq -r '.token')
手順
ネットワークアクセスが無制限のワークステーションで、ターゲットミラーレジストリーを使用して認証を行います。
$ podman login <registry_host_name>
ビルド時にベースイメージをプルできるように、
registry.redhat.io
で認証します。$ podman login registry.redhat.io
Quay.io から
redhat-operators
カタログをベースに新規カタログイメージをビルドし、そのイメージにタグを付け、ミラーレジストリーにプッシュします。$ oc adm catalog build \ --appregistry-org redhat-operators \1 --from=registry.redhat.io/openshift4/ose-operator-registry:v4.7 \2 --filter-by-os="linux/amd64" \3 --to=<registry_host_name>:<port>/olm/redhat-operators:v2 \4 [-a ${REG_CREDS}] \5 [--insecure] \6 [--auth-token "${AUTH_TOKEN}"] 7
- 1
- App Registry インスタンスからのプルに使用する組織 (namespace)。
- 2
- ターゲット OpenShift Container Platform クラスターのメジャーバージョンおよびマイナーバージョンに一致するタグを使用して、
--from
を Operator レジストリーのベースイメージに設定します。 - 3
--filter-by-os
を、ターゲットの OpenShift Container Platform クラスターと一致する必要のある、ベースイメージに使用するオペレーティングシステムおよびアーキテクチャーに設定します。使用できる値は、linux/amd64
、linux/ppc64le
、およびlinux/s390x
です。- 4
- カタログイメージに名前を付け、タグを追加します (更新済みのカタログの場合は
v2
などのタグ)。 - 5
- オプション: 必要な場合は、レジストリー認証情報ファイルの場所を指定します。
- 6
- オプション: ターゲットレジストリーの信頼を設定しない場合は、
--insecure
フラグを追加します。 - 7
- オプション: 公開されていない他のアプリケーションレジストリーカタログが使用されている場合、Quay 認証トークンを指定します。
出力例
INFO[0013] loading Bundles dir=/var/folders/st/9cskxqs53ll3wdn434vw4cd80000gn/T/300666084/manifests-829192605 ... Pushed sha256:f73d42950021f9240389f99ddc5b0c7f1b533c054ba344654ff1edaf6bf827e3 to example_registry:5000/olm/redhat-operators:v2
カタログのコンテンツをターゲットレジストリーに対してミラーリングします。以下の
oc adm catalog mirror
コマンドは、カスタム Operator カタログイメージのコンテンツを抽出し、ミラーリングに必要なマニフェストを生成し、イメージをレジストリーにミラーリングします。$ oc adm catalog mirror \ <registry_host_name>:<port>/olm/redhat-operators:v2 \ 1 <registry_host_name>:<port> \ 2 [-a ${REG_CREDS}] \ 3 [--insecure] \ 4 [--index-filter-by-os='<platform>/<arch>'] 5
- 1
- 新規の Operator カタログイメージを指定します。
- 2
- ターゲットレジストリーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を指定します。
- 3
- オプション: 必要な場合は、レジストリー認証情報ファイルの場所を指定します。
- 4
- オプション: ターゲットレジストリーの信頼を設定しない場合は、
--insecure
フラグを追加します。 - 5
- オプション: 複数のバリアントが利用可能な場合に、選択するカタログイメージのプラットフォームおよびアーキテクチャーを指定します。イメージは
'<platform>/<arch>[/<variant>]'
として渡されます。これは、カタログイメージで参照されるイメージには適用されません。使用できる値は、linux/amd64
、linux/ppc64le
、およびlinux/s390x
です。
新たに生成されたマニフェストを適用します。
$ oc replace -f ./manifests-redhat-operators-<random_number>
重要imageContentSourcePolicy.yaml
マニフェストを適用する必要がない場合があります。ファイルのdiff
を完了して、変更が必要かどうかを判断します。カタログイメージを参照する
CatalogSource
オブジェクトを更新します。この
CatalogSource
オブジェクトの元のcatalogsource.yaml
ファイルがある場合:catalogsource.yaml
ファイルを編集し、spec.image
フィールドで新規カタログイメージを参照できるようにします。apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: CatalogSource metadata: name: my-operator-catalog namespace: openshift-marketplace spec: sourceType: grpc image: <registry_host_name>:<port>/olm/redhat-operators:v2 1 displayName: My Operator Catalog publisher: grpc
- 1
- 新規の Operator カタログイメージを指定します。
更新されたファイルを使用して
CatalogSource
オブジェクトを置き換えます。$ oc replace -f catalogsource.yaml
または、以下のコマンドを使用してカタログソースを編集し、
spec.image
パラメーターで新規カタログイメージを参照します。$ oc edit catalogsource <catalog_source_name> -n openshift-marketplace
更新された Operator は、OpenShift Container Platform クラスターの OperatorHub ページから利用できるようになりました。
4.8.2.4. Package Manifest Format カタログイメージのテスト
Operator カタログイメージのコンテンツは、これをコンテナーとして実行し、gRPC API をクエリーして検証できます。イメージをさらにテストするには、カタログソースでイメージを参照して Operator Lifecycle Manager (OLM) でサブスクリプションを解決できます。この例では、以前にビルドされ、サポートされているレジストリーにプッシュされたカスタム redhat-operators
カタログイメージを使用します。
前提条件
- サポートされているレジストリーにプッシュされるカスタム Package Manifest Format カタログイメージ
-
podman
version 1.9.3+ -
oc
version 4.3.5+ Docker v2-2 をサポートするミラーレジストリーへのアクセス
重要OpenShift Container Platform クラスターの内部レジストリーはターゲットレジストリーとして使用できません。これは、ミラーリングプロセスで必要となるタグを使わないプッシュをサポートしないためです。
-
grpcurl
手順
Operator カタログイメージをプルします。
$ podman pull <registry_host_name>:<port>/olm/redhat-operators:v1
イメージを実行します。
$ podman run -p 50051:50051 \ -it <registry_host_name>:<port>/olm/redhat-operators:v1
grpcurl
を使用して利用可能なパッケージの実行中のイメージをクエリーします。$ grpcurl -plaintext localhost:50051 api.Registry/ListPackages
出力例
{ "name": "3scale-operator" } { "name": "amq-broker" } { "name": "amq-online" }
チャネルの最新の Operator バンドルを取得します。
$ grpcurl -plaintext -d '{"pkgName":"kiali-ossm","channelName":"stable"}' localhost:50051 api.Registry/GetBundleForChannel
出力例
{ "csvName": "kiali-operator.v1.0.7", "packageName": "kiali-ossm", "channelName": "stable", ...
イメージのダイジェストを取得します。
$ podman inspect \ --format='{{index .RepoDigests 0}}' \ <registry_host_name>:<port>/olm/redhat-operators:v1
出力例
example_registry:5000/olm/redhat-operators@sha256:f73d42950021f9240389f99ddc5b0c7f1b533c054ba344654ff1edaf6bf827e3
Operator グループが Operator とその依存関係をサポートする namespace
my-ns
にあることを前提とし、イメージダイジェストを使用してCatalogSource
オブジェクトを作成します。以下に例を示します。apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: CatalogSource metadata: name: custom-redhat-operators namespace: my-ns spec: sourceType: grpc image: example_registry:5000/olm/redhat-operators@sha256:f73d42950021f9240389f99ddc5b0c7f1b533c054ba344654ff1edaf6bf827e3 displayName: Red Hat Operators
カタログイメージから、利用可能な最新の
servicemeshoperator
およびその依存関係を解決するサブスクリプションを作成します。apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: servicemeshoperator namespace: my-ns spec: source: custom-redhat-operators sourceNamespace: my-ns name: servicemeshoperator channel: "1.0"
4.8.3. プライベートレジストリーからの Operator のイメージへのアクセス
Operator Lifecycle Manager (OLM) によって管理される Operator に関連する特定のイメージが、認証コンテナーイメージレジストリー (別名プライベートレジストリー) でホストされる場合、OLM および OperatorHub はデフォルトではイメージをプルできません。アクセスを有効にするために、レジストリーの認証情報が含まれるプルシークレットを作成できます。カタログソースの 1 つ以上のプルシークレットを参照することで、OLM はシークレットの配置を Operator およびカタログ namespace で処理し、インストールを可能にします。
Operator またはそのオペランドで必要な他のイメージでも、プライベートレジストリーへのアクセスが必要になる場合があります。OLM は、このシナリオのターゲットテナント namespace ではシークレットの配置を処理しませんが、認証情報をグローバルクラスタープルシークレットまたは個別の namespace サービスアカウントに追加して、必要なアクセスを有効にできます。
OLM によって管理される Operator に適切なプルアクセスがあるかどうかを判別する際に、以下のタイプのイメージを考慮する必要があります。
- インデックスまたはカタログイメージ
-
CatalogSource
オブジェクトは、インデックスイメージまたはカタログイメージを参照できます。これらは、イメージレジストリーでホストされるコンテナーイメージとしてパッケージ化されるカタログソースです。インデックスイメージは Bundle Format を使用してバンドルイメージを参照し、カタログイメージは Package Manifest Format を使用します。インデックスまたはカタログイメージがプライベートレジストリーでホストされる場合、シークレットを使用してプルアクセスを有効にすることができます。 - バンドルイメージ
- Operator バンドルイメージは、Operator の一意のバージョンを表すコンテナーイメージとしてパッケージ化されるメタデータおよびマニフェストです。カタログソースで参照されるバンドルイメージが 1 つ以上のプライベートレジストリーでホストされる場合、シークレットを使用してプルアクセスを有効にすることができます。
- Operator イメージおよびオペランドイメージ
カタログソースからインストールされた Operator が、(Operator イメージ自体に、または監視するオペランドイメージの 1 つに) プライベートイメージを使用する場合、デプロイメントは必要なレジストリー認証にアクセスできないため、Operator はインストールに失敗します。カタログソースのシークレットを参照することで、OLM はオペランドがインストールされているターゲットテナント namespace にシークレットを配置することはできません。
代わりに、認証情報を
openshift-config
namespace のグローバルクラスタープルシークレットに追加できます。これにより、クラスターのすべての namespace へのアクセスが提供されます。または、クラスター全体へのアクセスの提供が許容されない場合、プルシークレットをターゲットテナント namespace のdefault
のサービスアカウントに追加できます。
前提条件
プライベートレジストリーで、以下のうち少なくとも 1 つがホストされます。
- インデックスイメージまたはカタログイメージ。
- Operator のバンドルイメージ
- Operator またはオペランドのイメージ。
手順
必要な各プライベートレジストリーのシークレットを作成します。
プライベートレジストリーにログインして、レジストリー認証情報ファイルを作成または更新します。
$ podman login <registry>:<port>
注記レジストリー認証情報のファイルパスは、レジストリーへのログインに使用されるコンテナーツールによって異なります。
podman
CLI の場合、デフォルトの場所は${XDG_RUNTIME_DIR}/containers/auth.json
です。docker
CLI の場合、デフォルトの場所は/root/.docker/config.json
です。シークレットごとに 1 つのレジストリーに対してのみ認証情報を追加し、別のシークレットで複数のレジストリーの認証情報を管理することが推奨されます。これ以降の手順で、複数のシークレットを
CatalogSource
オブジェクトに含めることができ、OpenShift Container Platform はイメージのプル時に使用する単一の仮想認証情報ファイルにシークレットをマージします。レジストリー認証情報ファイルは、デフォルトで複数のレジストリーの詳細を保存することができます。ファイルの現在の内容を確認します。以下に例を示します。
2 つのレジストリーの認証情報を保存するファイル
{ "auths": { "registry.redhat.io": { "auth": "FrNHNydQXdzclNqdg==" }, "quay.io": { "auth": "Xd2lhdsbnRib21iMQ==" } } }
これ以降の手順で、シークレットの作成にこのファイルが使用されるため、保存できる詳細は 1 つのファイルにつき 1 つのレジストリーのみであることを確認してください。これには、以下の方法の 1 つを使用します。
-
podman logout <registry>
コマンドを使用して、必要な 1 つのレジストリーのみになるまで、追加のレジストリーの認証情報を削除します。 レジストリー認証情報ファイルを編集し、レジストリーの詳細を分離して、複数のファイルに保存します。以下に例を示します。
1 つのレジストリーの認証情報を保存するファイル
{ "auths": { "registry.redhat.io": { "auth": "FrNHNydQXdzclNqdg==" } } }
別のレジストリーの認証情報を保存するファイル
{ "auths": { "quay.io": { "auth": "Xd2lhdsbnRib21iMQ==" } } }
-
プライベートレジストリーの認証情報が含まれるシークレットを
openshift-marketplace
namespace に作成します。$ oc create secret generic <secret_name> \ -n openshift-marketplace \ --from-file=.dockerconfigjson=<path/to/registry/credentials> \ --type=kubernetes.io/dockerconfigjson
この手順を繰り返して、他の必要なプライベートレジストリーの追加シークレットを作成し、
--from-file
フラグを更新して別のレジストリー認証情報ファイルのパスを指定します。
1 つ以上のシークレットを参照するように既存の
CatalogSource
オブジェクトを作成または更新します。apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: CatalogSource metadata: name: my-operator-catalog namespace: openshift-marketplace spec: sourceType: grpc secrets: 1 - "<secret_name_1>" - "<secret_name_2>" image: <registry>:<port>/<namespace>/<image>:<tag> displayName: My Operator Catalog publisher: <publisher_name> updateStrategy: registryPoll: interval: 30m
- 1
spec.secrets
セクションを追加し、必要なシークレットを指定します。
サブスクライブされた Operator によって参照される Operator イメージまたはオペランドイメージにプライベートレジストリーへのアクセスが必要な場合は、クラスター内のすべての namespace または個々のターゲットテナント namespace のいずれかにアクセスを提供できます。
クラスター内のすべての namespace へアクセスを提供するには、認証情報を
openshift-config
namespace のグローバルクラスタープルシークレットに追加します。警告クラスターリソースは新規のグローバルプルシークレットに合わせて調整する必要がありますが、これにより、クラスターのユーザービリティーが一時的に制限される可能性があります。
グローバルプルシークレットから
.dockerconfigjson
ファイルを展開します。$ oc extract secret/pull-secret -n openshift-config --confirm
.dockerconfigjson
ファイルを、必要なプライベートレジストリーまたはレジストリーの認証情報で更新し、これを新規ファイルとして保存します。$ cat .dockerconfigjson | \ jq --compact-output '.auths["<registry>:<port>/<namespace>/"] |= . + {"auth":"<token>"}' \1 > new_dockerconfigjson
- 1
<registry>:<port>/<namespace>
をプライベートレジストリーの詳細に置き換え、<token>
を認証情報に置き換えます。
新規ファイルでグローバルプルシークレットを更新します。
$ oc set data secret/pull-secret -n openshift-config \ --from-file=.dockerconfigjson=new_dockerconfigjson
個別の namespace を更新するには、ターゲットテナント namespace でアクセスが必要な Operator のサービスアカウントにプルシークレットを追加します。
テナント namespace で
openshift-marketplace
用に作成したシークレットを再作成します。$ oc create secret generic <secret_name> \ -n <tenant_namespace> \ --from-file=.dockerconfigjson=<path/to/registry/credentials> \ --type=kubernetes.io/dockerconfigjson
テナント namespace を検索して、Operator のサービスアカウントの名前を確認します。
$ oc get sa -n <tenant_namespace> 1
- 1
- Operator が個別の namespace にインストールされていた場合、その namespace を検索します。Operator がすべての namespace にインストールされていた場合、
openshift-operators
namespace を検索します。
出力例
NAME SECRETS AGE builder 2 6m1s default 2 6m1s deployer 2 6m1s etcd-operator 2 5m18s 1
- 1
- インストールされた etcd Operator のサービスアカウント。
シークレットを Operator のサービスアカウントにリンクします。
$ oc secrets link <operator_sa> \ -n <tenant_namespace> \ <secret_name> \ --for=pull
関連情報
- レジストリーの認証情報に使用されるものを含むシークレットの種類に関する詳細は、シークレットの概要 を参照してください。
- このシークレットの変更が与える影響についての詳細は、グローバルクラスタープルシークレットの更新 を参照してください。
- namespace ごとにプルシークレットをサービスアカウントにリンクする方法に関する詳細は、Pod が他のセキュリティー保護されたレジストリーからイメージを参照できるようにする設定 を参照してください。
4.8.4. デフォルトの OperatorHub ソースの無効化
Red Hat によって提供されるコンテンツを調達する Operator カタログおよびコミュニティープロジェクトは、OpenShift Container Platform のインストール時にデフォルトで OperatorHub に設定されます。クラスター管理者は、デフォルトカタログのセットを無効にすることができます。
手順
disableAllDefaultSources: true
をOperatorHub
オブジェクトに追加して、デフォルトカタログのソースを無効にします。$ oc patch OperatorHub cluster --type json \ -p '[{"op": "add", "path": "/spec/disableAllDefaultSources", "value": true}]'
または、Web コンソールを使用してカタログソースを管理できます。Administration → Cluster Settings → Global Configuration → OperatorHub ページから、Sources タブをクリックして、個別のソースを作成し、削除し、無効にし、有効にすることができます。
4.8.5. カスタムカタログの削除
クラスター管理者は、関連するカタログソースを削除して、以前にクラスターに追加されたカスタム Operator カタログを削除できます。
手順
- Web コンソールの Administrator パースペクティブで、Administration → Cluster Settings に移動します。
- Global Configuration タブをクリックしてから、OperatorHub をクリックします。
- Sources タブをクリックします。
- 削除するカタログの Options メニュー を選択し、Delete CatalogSource をクリックします。
4.9. ネットワークが制限された環境での Operator Lifecycle Manager の使用
ネットワークが制限された環境 ( 非接続クラスター としても知られる) にインストールされている OpenShift Container Platform クラスターの場合、デフォルトで Operator Lifecycle Manager (OLM) はリモートレジストリーでホストされる Red Hat が提供する OperatorHub ソースにアクセスできません。それらのリモートソースには完全なインターネット接続が必要であるためです。
ただし、クラスター管理者は、完全なインターネットアクセスのあるワークステーションがある場合には、クラスターがネットワークが制限された環境で OLM を使用できるようにできます。ワークステーションは、リモートソースのローカルミラーを準備するために使用され、コンテンツをミラーレジストリーにプッシュしますが、これにはリモートの OperatorHub コンテンツをプルするのに完全なインターネットアクセスが必要になります。
ミラーレジストリーは bastion ホストに配置することができます。bastion ホストには、ワークステーションと非接続クラスターの両方への接続、または完全に切断されたクラスター、またはミラーリングされたコンテンツを非接続環境に物理的に移動するためにリムーバブルメディアが必要な エアギャップ ホストへの接続が必要です。
以下では、ネットワークが制限された環境で OLM を有効にするために必要な以下のプロセスについて説明します。
- OLM のデフォルトのリモート OperatorHub ソースを無効にします。
- 完全なインターネットアクセスのあるワークステーションを使用して、OperatorHub コンテンツのローカルミラーを作成し、これをミラーレジストリーにプッシュします。
- OLM を、デフォルトのリモートソースからではなくミラーレジストリーのローカルソースから Operator をインストールし、管理するように設定します。
ネットワークが制限された環境で OLM を有効にした後も、引き続き制限のないワークステーションを使用して、Operator の新しいバージョンが更新されるとローカルの OperatorHub ソースを更新された状態に維持することができます。
OLM はローカルソースから Operator を管理できますが、指定された Operator がネットワークが制限された環境で正常に実行されるかどうかは Operator 自体に依存します。以下は、Operator の特長です。
-
関連するイメージ、または Operator がそれらの機能を実行するために必要となる可能性のある他のコンテナーイメージを
ClusterServiceVersion
(CSV) オブジェクトのrelatedImages
パラメーターで一覧表示します。 - 指定されたすべてのイメージを、タグではなくダイジェスト (SHA) で参照します。
非接続モードでの実行をサポートする Red Hat Operator の一覧については、以下の Red Hat ナレッジベースの記事を参照してください。
4.9.1. 前提条件
-
cluster-admin
権限を持つユーザーとして OpenShift Container Platform クラスターにログインします。 -
デフォルトカタログをプルーニングし、Operator のサブセットのみを選択的にミラーリングするには、
opm
CLI をインストールします。
IBM Z のネットワークが制限された環境で OLM を使用している場合は、レジストリーを配置するディレクトリーに 12 GB 以上を割り当てる必要があります。
4.9.2. デフォルトの OperatorHub ソースの無効化
Red Hat によって提供されるコンテンツを調達する Operator カタログおよびコミュニティープロジェクトは、OpenShift Container Platform のインストール時にデフォルトで OperatorHub に設定されます。ネットワークが制限された環境では、クラスター管理者としてデフォルトのカタログを無効にする必要があります。その後、OperatorHub をローカルカタログソースを使用するように設定できます。
手順
disableAllDefaultSources: true
をOperatorHub
オブジェクトに追加して、デフォルトカタログのソースを無効にします。$ oc patch OperatorHub cluster --type json \ -p '[{"op": "add", "path": "/spec/disableAllDefaultSources", "value": true}]'
または、Web コンソールを使用してカタログソースを管理できます。Administration → Cluster Settings → Global Configuration → OperatorHub ページから、Sources タブをクリックして、個別のソースを作成し、削除し、無効にし、有効にすることができます。
4.9.3. インデックスイメージのプルーニング
Operator Bundle Format に基づくインデックスイメージは、Operator カタログのコンテナー化されたスナップショットです。パッケージの指定された一覧以外のすべてのインデックスをプルーニングできます。これにより、必要な Operator のみが含まれるソースインデックスのコピーを作成できます。
ネットワークが制限された環境の OpenShift Container Platform クラスターでミラーリングされたコンテンツを使用するように Operator Lifecycle Manager (OLM) を設定する場合、デフォルトカタログから Operator のサブセットのみをミラーリングする必要がある場合に、このプルーニング方法を使用します。
この手順のステップでは、ターゲットレジストリーは、ネットワークアクセスが無制限のワークステーションからアクセスできる既存のミラーレジストリーです。この例では、デフォルトの redhat-operators
カタログのインデックスイメージのプルーニングも示していますが、このプロセスはすべてのインデックスイメージに対して同じです。
前提条件
- ネットワークアクセスが無制限のワークステーション
-
podman
version 1.9.3+ -
grpcurl
(サードパーティーのコマンドラインツール) -
opm
バージョン 1.18.0+ Docker v2-2 をサポートするレジストリーへのアクセス
重要OpenShift Container Platform クラスターの内部レジストリーはターゲットレジストリーとして使用できません。これは、ミラーリングプロセスで必要となるタグを使わないプッシュをサポートしないためです。
手順
registry.redhat.io
で認証します。$ podman login registry.redhat.io
ターゲットレジストリーで認証します。
$ podman login <target_registry>
プルーニングされたインデックスに追加するパッケージの一覧を判別します。
コンテナーでプルーニングするソースインデックスイメージを実行します。以下に例を示します。
$ podman run -p50051:50051 \ -it registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.7
出力例
Trying to pull registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.7... Getting image source signatures Copying blob ae8a0c23f5b1 done ... INFO[0000] serving registry database=/database/index.db port=50051
別のターミナルセッションで、
grpcurl
コマンドを使用して、インデックスが提供するパッケージの一覧を取得します。$ grpcurl -plaintext localhost:50051 api.Registry/ListPackages > packages.out
packages.out
ファイルを検査し、プルーニングされたインデックスに保持したいパッケージ名をこの一覧から特定します。以下に例を示します。パッケージ一覧のスニペットの例
... { "name": "advanced-cluster-management" } ... { "name": "jaeger-product" } ... { { "name": "quay-operator" } ...
-
podman run
コマンドを実行したターミナルセッションで、Ctrl と C を押してコンテナープロセスを停止します。
以下のコマンドを実行して、指定したパッケージ以外のすべてのパッケージのソースインデックスをプルーニングします。
$ opm index prune \ -f registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.7 \1 -p advanced-cluster-management,jaeger-product,quay-operator \2 [-i registry.redhat.io/openshift4/ose-operator-registry:v4.7] \3 -t <target_registry>:<port>/<namespace>/redhat-operator-index:v4.7 4
以下のコマンドを実行して、新規インデックスイメージをターゲットレジストリーにプッシュします。
$ podman push <target_registry>:<port>/<namespace>/redhat-operator-index:v4.7
ここで、
<namespace>
はレジストリー上の既存の namespace になります。たとえば、olm-mirror
namespace を作成し、ミラーリングされたすべてのコンテンツをプッシュすることができます。
4.9.4. Operator カタログのミラーリング
oc adm catalog mirror
コマンドを使用して、Red Hat が提供するカタログまたはカスタムカタログの Operator コンテンツをコンテナーイメージレジストリーにミラーリングできます。ターゲットレジストリーは Docker v2-2 をサポートする必要があります。ネットワークが制限された環境のクラスターの場合、このレジストリーには、ネットワークが制限されたクラスターのインストール時に作成されたミラーレジストリーなど、クラスターにネットワークアクセスのあるレジストリーを使用できます。
OpenShift Container Platform クラスターの内部レジストリーはターゲットレジストリーとして使用できません。これは、ミラーリングプロセスで必要となるタグを使わないプッシュをサポートしないためです。
oc adm catalog mirror
コマンドは、Red Hat が提供するインデックスイメージであるか、または独自のカスタムビルドされたインデックスイメージであるかに関係なく、ミラーリングプロセス中に指定されるインデックスイメージをターゲットレジストリーに自動的にミラーリングします。次に、ミラーリングされたインデックスイメージを使用して、Operator Lifecycle Manager (OLM) がミラーリングされたカタログを OpenShift Container Platform クラスターにロードできるようにするカタログソースを作成できます。
前提条件
- ネットワークアクセスが無制限のワークステーション
-
podman
バージョン 1.9.3 以降。 - Docker v2-2 をサポートするミラーレジストリーへのアクセス。
-
ミラーリングされた Operator コンテンツを保存するために使用するミラーレジストリー上の namespace を決定します。たとえば、
olm-mirror
namespace を作成できます。 - ミラーレジストリーにインターネットアクセスがない場合は、ネットワークアクセスが無制限のワークステーションにリムーバブルメディアを接続します。
registry.redhat.io
などのプライベートレジストリーを使用している場合、後続の手順で使用するためにREG_CREDS
環境変数をレジストリー認証情報のファイルパスに設定します。たとえばpodman
CLI の場合は、以下のようになります。$ REG_CREDS=${XDG_RUNTIME_DIR}/containers/auth.json
手順
Red Hat が提供するカタログをミラーリングする場合は、ネットワークアクセスが無制限のワークステーションで以下のコマンドを実行し、
registry.redhat.io
で認証します。$ podman login registry.redhat.io
oc adm catalog mirror
コマンドは、インデックスイメージのコンテンツを抽出し、ミラーリングに必要なマニフェストを生成します。コマンドのデフォルト動作で、マニフェストを生成し、インデックスイメージからのすべてのイメージコンテンツを、インデックスイメージと同様にミラーレジストリーに対して自動的にミラーリングします。または、ミラーレジストリーが完全に非接続または エアギャップ環境のホスト上にある場合、最初にコンテンツをリムーバブルメディアにミラーリングし、メディアを非接続環境に移行してから、メディアからレジストリーにコンテンツをレジストリーに対してミラーリングできます。オプション A: ミラーレジストリーがネットワークアクセスが無制限のワークステーションと同じネットワーク上にある 場合、ワークステーションで以下のアクションを実行します。
ミラーレジストリーに認証が必要な場合は、以下のコマンドを実行してレジストリーにログインします。
$ podman login <mirror_registry>
以下のコマンドを実行してコンテンツをミラーリングします。
$ oc adm catalog mirror \ <index_image> \1 <mirror_registry>:<port>/<namespace> \2 [-a ${REG_CREDS}] \3 [--insecure] \4 [--index-filter-by-os='<platform>/<arch>'] \5 [--manifests-only] 6
- 1
- ミラーリングするカタログのインデックスイメージを指定します。たとえば、これは以前に作成したプルーニングされたインデックスイメージ、または
registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.7
などのデフォルトカタログのソースインデックスイメージのいずれかである可能性があります。 - 2
- Operator コンテンツをミラーリングするターゲットレジストリーおよび namespace の完全修飾ドメイン名 (FQDN) を指定します。ここで、
<namespace>
はレジストリーの既存の namespace です。たとえば、olm-mirror
namespace を作成し、ミラーリングされたすべてのコンテンツをプッシュすることができます。 - 3
- オプション: 必要な場合は、レジストリー認証情報ファイルの場所を指定します。
registry.redhat.io
には、{REG_CREDS}
が必要です。 - 4
- オプション: ターゲットレジストリーの信頼を設定しない場合は、
--insecure
フラグを追加します。 - 5
- オプション: 複数のバリアントが利用可能な場合に、選択するインデックスイメージのプラットフォームおよびアーキテクチャーを指定します。イメージは
'<platform>/<arch>[/<variant>]'
として渡されます。これはインデックスで参照されるイメージには適用されません。使用できる値は、linux/amd64
、linux/ppc64le
、およびlinux/s390x
です。 - 6
- オプション: ミラーリングに必要なマニフェストのみを生成し、実際にはイメージコンテンツをレジストリーにミラーリングしません。このオプションは、ミラーリングする内容を確認するのに役立ちます。また、パッケージのサブセットのみが必要な場合に、マッピングの一覧に変更を加えることができます。次に、
mapping.txt
ファイルをoc image mirror
コマンドで使用し、後のステップでイメージの変更済みの一覧をミラーリングできます。このフラグは、カタログからのコンテンツの高度で選択可能なミラーリングにのみ使用することが意図されています。opm index prune
をインデックスイメージをプルーニングするために以前にしている場合、これはほとんどのカタログ管理のユースケースに適しています。
出力例
src image has index label for database path: /database/index.db using database path mapping: /database/index.db:/tmp/153048078 wrote database to /tmp/153048078 1 ... wrote mirroring manifests to manifests-redhat-operator-index-1614211642 2
注記Red Hat Quay では、ネストされたリポジトリーはサポート対象外です。その結果、
oc adm catalog mirror
コマンドを実行すると、401
unauthorized エラーで失敗します。回避策として、oc adm catalog mirror
コマンドを実行するときに--max-components = 2
オプションを使用して、ネストされたリポジトリーの作成を無効にすることができます。この回避策の詳細は、Unauthorized error thrown while using catalog mirror command with Quay registry のナレッジソリューション記事を参照してください。
オプション B: ミラーレジストリーが非接続ホストにある場合 は、以下のアクションを実行します。
ネットワークアクセスが無制限のワークステーションで以下のコマンドを実行し、コンテンツをローカルファイルにミラーリングします。
$ oc adm catalog mirror \ <index_image> \1 file:///local/index \2 [-a ${REG_CREDS}] \ [--insecure]
出力例
... info: Mirroring completed in 5.93s (5.915MB/s) wrote mirroring manifests to manifests-my-index-1614985528 1 To upload local images to a registry, run: oc adm catalog mirror file://local/index/myrepo/my-index:v1 REGISTRY/REPOSITORY 2
-
現在のディレクトリーに生成される
v2/
ディレクトリーをリムーバブルメディアにコピーします。 - メディアを物理的に削除して、これをミラーレジストリーにアクセスできる非接続環境のホストに割り当てます。
ミラーレジストリーに認証が必要な場合は、非接続環境のホストで以下のコマンドを実行し、レジストリーにログインします。
$ podman login <mirror_registry>
v2/
ディレクトリーを含む親ディレクトリーから以下のコマンドを実行し、ローカルファイルからミラーレジストリーにイメージをアップロードします。$ oc adm catalog mirror \ file://local/index/<repo>/<index_image>:<tag> \1 <mirror_registry>:<port>/<namespace> \2 [-a ${REG_CREDS}] \ [--insecure]
注記Red Hat Quay では、ネストされたリポジトリーはサポート対象外です。その結果、
oc adm catalog mirror
コマンドを実行すると、401
unauthorized エラーで失敗します。回避策として、oc adm catalog mirror
コマンドを実行するときに--max-components = 2
オプションを使用して、ネストされたリポジトリーの作成を無効にすることができます。この回避策の詳細は、Unauthorized error thrown while using catalog mirror command with Quay registry のナレッジソリューション記事を参照してください。oc adm catalogmirror
コマンドを再度実行します。新しくミラーリングされたインデックスイメージをソースとして使用し、前の手順で使用したのと同じミラーレジストリーの namespace をターゲットとして使用します。$ oc adm catalog mirror \ <mirror_registry>:<port>/<index_image> \ <mirror_registry>:<port>/<namespace> \ --manifests-only \1 [-a ${REG_CREDS}] \ [--insecure]
- 1
- コマンドがミラーリングされたすべてのコンテンツを再度コピーしないように、このステップには
--manifests-only
フラグが必要です。
重要前のステップで生成された
imageContentSourcePolicy.yaml
ファイルのイメージマッピングをローカルパスから有効なミラー位置に更新する必要があるため、このステップが必要です。そうしないと、後のステップでimageContentSourcePolicy
オブジェクトを作成するときにエラーが発生します。
コンテンツをレジストリーにミラーリングした後に、現在のディレクトリーに生成される manifests ディレクトリーを検査します。
注記manifests ディレクトリー名は後の手順で使用されます。
直前の手順で同じネットワークのレジストリーにコンテンツをミラーリングする場合、ディレクトリー名は以下の形式になります。
manifests-<index_image_name>-<random_number>
直前の手順で非接続ホストのレジストリーにコンテンツをミラーリングする場合、ディレクトリー名は以下の形式になります。
manifests-index/<namespace>/<index_image_name>-<random_number>
manifests ディレクトリーには以下のファイルが含まれており、これらの一部にはさらに変更が必要になる場合があります。
catalogSource.yaml
ファイルは、インデックスイメージタグおよび他の関連するメタデータで事前に設定されるCatalogSource
オブジェクトの基本的な定義です。このファイルは、カタログソースをクラスターに追加するためにそのまま使用したり、変更したりできます。重要ローカルファイルにコンテンツをミラーリングする場合は、
catalogSource.yaml
ファイルを変更してmetadata.name
フィールドからバックスラッシュ (/
) 文字を削除する必要があります。または、オブジェクトの作成を試みると、invalid resource name (無効なリソース名) を示すエラーを出して失敗します。これにより、
imageContentSourcePolicy.yaml
ファイルはImageContentSourcePolicy
オブジェクトを定義します。このオブジェクトは、ノードを Operator マニフェストおよびミラーリングされたレジストリーに保存されるイメージ参照間で変換できるように設定します。注記クラスターが
ImageContentSourcePolicy
オブジェクトを使用してリポジトリーのミラーリングを設定する場合、ミラーリングされたレジストリーにグローバルプルシークレットのみを使用できます。プロジェクトにプルシークレットを追加することはできません。mapping.txt
ファイルには、すべてのソースイメージが含まれ、これはそれらのイメージをターゲットレジストリー内のどこにマップするかを示します。このファイルはoc image mirror
コマンドと互換性があり、ミラーリング設定をさらにカスタマイズするために使用できます。重要ミラーリングのプロセスで
--manifests-only
フラグを使用しており、ミラーリングするパッケージのサブセットをさらにトリミングするには、mapping.txt
ファイルの変更およびoc image mirror
コマンドでのファイルの使用について、Package Manifest Format カタログイメージのミラーリングの手順を参照してください。これらの追加のアクションを実行した後に、この手順を続行できます。
非接続クラスターへのアクセスのあるホストで、以下のコマンドを実行して manifests ディレクトリーで
imageContentSourcePolicy.yaml
ファイルを指定し、ImageContentSourcePolicy
(ICSP) オブジェクトを作成します。$ oc create -f <path/to/manifests/dir>/imageContentSourcePolicy.yaml
ここで、
<path/to/manifests/dir>
は、ミラーリングされたコンテンツについての manifests ディレクトリーへのパスです。注記ICSP を適用すると、クラスター内のすべてのワーカーノードが再起動します。各ワークノードでこの再起動プロセスが完了するまで待機してから、続行してください。
ミラーリングされたインデックスイメージおよび Operator コンテンツを参照する CatalogSource
を作成できるようになりました。
4.9.5. インデックスイメージからのカタログの作成
インデックスイメージから Operator カタログを作成し、これを Operator Lifecycle Manager (OLM) で使用するために OpenShift Container Platform クラスターに適用できます。
前提条件
- レジストリーにビルドされ、プッシュされるインデックスイメージ。
手順
インデックスイメージを参照する
CatalogSource
オブジェクトを作成します。oc adm catalog mirror
コマンドを使用してカタログをターゲットレジストリーにミラーリングする場合、開始点として生成されるcatalogSource.yaml
ファイルをそのまま使用することができます。仕様を以下のように変更し、これを
catalogSource.yaml
ファイルとして保存します。apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: CatalogSource metadata: name: my-operator-catalog 1 namespace: openshift-marketplace 2 spec: sourceType: grpc image: <registry>:<port>/<namespace>/redhat-operator-index:v4.7 3 displayName: My Operator Catalog publisher: <publisher_name> 4 updateStrategy: registryPoll: 5 interval: 30m
- 1
- レジストリーにアップロードする前にローカルファイルにコンテンツをミラーリングする場合は、
metadata.name
フィールドからバックスラッシュ (/
) 文字を削除し、オブジェクトの作成時に invalid resource name エラーを回避します。 - 2
- カタログソースを全 namespace のユーザーがグローバルに利用できるようにする場合は、
openshift-marketplace
namespace を指定します。それ以外の場合は、そのカタログの別の namespace を対象とし、その namespace のみが利用できるように指定できます。 - 3
- インデックスイメージを指定します。
- 4
- カタログを公開する名前または組織名を指定します。
- 5
- カタログソースは新規バージョンの有無を自動的にチェックし、最新の状態を維持します。
このファイルを使用して
CatalogSource
オブジェクトを作成します。$ oc apply -f catalogSource.yaml
以下のリソースが正常に作成されていることを確認します。
Pod を確認します。
$ oc get pods -n openshift-marketplace
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE my-operator-catalog-6njx6 1/1 Running 0 28s marketplace-operator-d9f549946-96sgr 1/1 Running 0 26h
カタログソースを確認します。
$ oc get catalogsource -n openshift-marketplace
出力例
NAME DISPLAY TYPE PUBLISHER AGE my-operator-catalog My Operator Catalog grpc 5s
パッケージマニフェストを確認します。
$ oc get packagemanifest -n openshift-marketplace
出力例
NAME CATALOG AGE jaeger-product My Operator Catalog 93s
OpenShift Container Platform Web コンソールで、OperatorHub ページから Operator をインストールできるようになりました。
関連情報
- インデックスイメージがプライベートレジストリーでホストされ、認証が必要な場合は、プライベートレジストリーからの Operator のイメージへのアクセス を参照してください。
4.9.6. インデックスイメージの更新
カスタムインデックスイメージを参照するカタログソースを使用するように OperatorHub を設定した後に、クラスター管理者はバンドルイメージをインデックスイメージに追加して、クラスターで利用可能な Operator を最新の状態に維持することができます。
opm index add
コマンドを使用して既存インデックスイメージを更新できます。ネットワークが制限された環境の場合、更新されたコンテンツもクラスターにミラーリングする必要があります。
前提条件
-
opm
version 1.12.3+ -
podman
version 1.9.3+ - レジストリーにビルドされ、プッシュされるインデックスイメージ。
- インデックスイメージを参照する既存のカタログソース。
手順
バンドルイメージを追加して、既存のインデックスを更新します。
$ opm index add \ --bundles <registry>/<namespace>/<new_bundle_image>@sha256:<digest> \1 --from-index <registry>/<namespace>/<existing_index_image>:<existing_tag> \2 --tag <registry>/<namespace>/<existing_index_image>:<updated_tag> \3 --pull-tool podman 4
ここでは、以下のようになります。
<registry>
-
quay.io
やmirror.example.com
などのレジストリーのホスト名を指定します。 <namespace>
-
ocs-dev
やabc
など、レジストリーの namespace を指定します。 <new_bundle_image>
-
ocs-operator
など、レジストリーに追加する新しいバンドルイメージを指定します。 <digest>
-
c7f11097a628f092d8bad148406aa0e0951094a03445fd4bc0775431ef683a41
などのバンドルイメージの SHA イメージ ID またはダイジェストを指定します。 <existing_index_image>
-
abc-redhat-operator-index
など、以前にプッシュされたイメージを指定します。 <existing_tag>
-
4.7
など、以前にプッシュされたイメージタグを指定します。 <updated_tag>
-
4.7.1
など、更新されたインデックスイメージに適用するイメージタグを指定します。
コマンドの例
$ opm index add \ --bundles quay.io/ocs-dev/ocs-operator@sha256:c7f11097a628f092d8bad148406aa0e0951094a03445fd4bc0775431ef683a41 \ --from-index mirror.example.com/abc/abc-redhat-operator-index:4.7 \ --tag mirror.example.com/abc/abc-redhat-operator-index:4.7.1 \ --pull-tool podman
更新されたインデックスイメージをプッシュします。
$ podman push <registry>/<namespace>/<existing_index_image>:<updated_tag>
Operator カタログのミラーリングの手順にあるステップを再度実行し、更新されたコンテンツをミラーリングします。ただし、
ImageContentSourcePolicy
(ICSP) オブジェクトの作成手順を参照する場合、oc create
コマンドの代わりにoc replace
コマンドを使用します。以下に例を示します。$ oc replace -f ./manifests-redhat-operator-index-<random_number>/imageContentSourcePolicy.yaml
この変更は、オブジェクトがすでに存在し、更新する必要があるために必要になります。
注記通常、
oc apply
コマンドを使用して、oc apply
を使用して以前に作成された既存のオブジェクトを更新できます。ただし、ICSP オブジェクトのmetadata.annotations
フィールドのサイズに関する既知の問題により、現時点ではoc replace
コマンドをこの手順で使用する必要があります。Operator Lifecycle Manager (OLM) がカタログソースで参照されるインデックスイメージを一定間隔で自動的にポーリングした後に、新規パッケージが正常に追加されたことを確認します。
$ oc get packagemanifests -n openshift-marketplace
関連情報
第5章 Operator の開発
5.1. Operator SDK について
Operator Framework は Operator と呼ばれる Kubernetes ネイティブアプリケーションを効果的かつ自動化された拡張性のある方法で管理するためのオープンソースツールキットです。Operator は Kubernetes の拡張性を利用して、プロビジョニング、スケーリング、バックアップおよび復元などのクラウドサービスの自動化の利点を提供し、同時に Kubernetes が実行される場所であればどこでも実行することができます。
Operator により、Kubernetes の上部の複雑で、ステートフルなアプリケーションを管理することが容易になります。ただし、現時点での Operator の作成は、低レベルの API の使用、ボイラープレートの作成、モジュール化の欠如による重複の発生などの課題があるため、困難になる場合があります。
Operator Framework のコンポーネントである Operator SDK は、Operator 開発者が Operator のビルド、テストおよびデプロイに使用できるコマンドラインインターフェイス (CLI) ツールを提供します。
Operator SDK を使用する理由
Operator SDK は、詳細なアプリケーション固有の運用上の知識を必要とする可能性のあるプロセスである、Kubernetes ネイティブアプリケーションのビルドを容易にします。Operator SDK はこの障壁を低くするだけでなく、メータリングやモニターリングなどの数多くの一般的な管理機能に必要なボイラープレートコードの量を減らします。
Operator SDK は、controller-runtime ライブラリーを使用して、以下の機能を提供することで Operator を容易に作成するフレームワークです。
- 運用ロジックをより直感的に作成するための高レベルの API および抽象化
- 新規プロジェクトを迅速にブートストラップするためのスキャフォールディングツールおよびコード生成ツール
- Operator Lifecycle Manager (OLM) との統合による、クラスターでの Operator のパッケージング、インストール、および実行の単純化
- 共通する Operator ユースケースに対応する拡張機能
- Prometheus Operator がデプロイされているクラスターで使用できるように、生成された Go ベースの Operator にメトリクスが自動的にセットアップします。
Kubernetes ベースのクラスター (OpenShift Container Platform など) へのクラスター管理者のアクセスのある Operator の作成者は、Operator SDK CLI を使用して Go、Ansible、または Helm をベースに独自の Operator を開発できます。Kubebuilder は Go ベースの Operator のスキャフォールディングソリューションとして Operator SDK に組み込まれます。つまり、既存の Kubebuilder プロジェクトは Operator SDK でそのまま使用でき、引き続き機能します。
OpenShift Container Platform 4.7 は Operator SDK v1.3.0 以降をサポートします。
5.1.1. Operator について
基本的な Operator の概念および用語の概要については、Operator について を参照してください。
5.1.2. 開発ワークフロー
Operator SDK は、新規 Operator を開発するために以下のワークフローを提供します。
- Operator SDK コマンドラインインターフェイス (CLI) を使用した Operator プロジェクトの作成。
- カスタムリソース定義 (CRD) を追加することによる新規リソース API の定義。
- Operator SDK API を使用した監視対象リソースの指定。
- 指定されたハンドラーでの Operator 調整 (reconciliation) ロジックの定義、およびリソースと対話するための Operator SDK API の使用。
- Operator Deployment マニフェストをビルドし、生成するための Operator SDK CLI の使用。
図5.1 Operator SDK ワークフロー
高次元では、Operator SDK を使用する Operator は Operator の作成者が定義するハンドラーで監視対象のリソースについてのイベントを処理し、アプリケーションの状態を調整するための動作を実行します。
5.1.3. 関連情報
5.2. Operator SDK CLI のインストール
Operator SDK は、Operator 開発者が Operator のビルド、テストおよびデプロイに使用できるコマンドラインインターフェイス (CLI) ツールを提供します。ワークステーションに Operator SDK CLI をインストールして、独自の Operator のオーサリングを開始する準備を整えることができます。
OpenShift Container Platform 4.7 は Operator SDK v1.3.0 をサポートします。
5.2.1. Operator SDK CLI のインストール
OpenShift SDK CLI ツールは Linux にインストールできます。
前提条件
- Go v1.13+
-
docker
v17.03+、podman
v1.9.3+、またはbuildah
v1.7+
手順
- OpenShift ミラーサイト に移動します。
-
4.7.23
ディレクトリーから、Linux 用の最新バージョンの tarball をダウンロードします。 アーカイブを展開します。
$ tar xvf operator-sdk-v1.3.0-ocp-linux-x86_64.tar.gz
ファイルを実行可能にします。
$ chmod +x operator-sdk
展開された
operator-sdk
バイナリーをPATH
にあるディレクトリーに移動します。ヒントPATH
を確認するには、以下を実行します。$ echo $PATH
$ sudo mv ./operator-sdk /usr/local/bin/operator-sdk
検証
Operator SDK CLI のインストール後に、これが利用可能であることを確認します。
$ operator-sdk version
出力例
operator-sdk version: "v1.3.0-ocp", ...
5.3. Go ベースの Operator
5.3.1. Go ベースの Operator の Operator SDK の使用を開始する
Operator SDK によって提供されるツールおよびライブラリーを使用して Go ベースの Operator をセットアップし、実行することに関連した基本内容を示すには、Operator 開発者は Go ベースの Memcached の Operator のサンプル、分散キー/値のストアをビルドして、クラスターへデプロイすることができます。
5.3.1.1. 前提条件
- Operator SDK CLI がインストールされていること。
-
OpenShift CLI (
oc
) v4.7+ がインストールされていること。 -
cluster-admin
パーミッションを持つアカウントを使用して、oc
で OpenShift Container Platform 4.7 クラスターにログインしていること。 - クラスターがイメージをプルできるようにするには、イメージをプッシュするリポジトリーを public として設定するか、またはイメージプルシークレットを設定する必要があります。
5.3.1.2. Go ベースの Operator の作成およびデプロイ
Operator SDK を使用して Memcached の単純な Go ベースの Operator をビルドし、デプロイできます。
手順
プロジェクトを作成します。
プロジェクトディレクトリーを作成します。
$ mkdir memcached-operator
プロジェクトディレクトリーに移動します。
$ cd memcached-operator
operator-sdk init
コマンドを実行してプロジェクトを初期化します。$ operator-sdk init \ --domain=example.com \ --repo=github.com/example-inc/memcached-operator
このコマンドは、デフォルトで Go プラグインを使用します。
Go ベースの Operator を OpenShift Container Platform で実行できるようにするには、
config/manager/manager.yaml
ファイルを編集し、以下の行を置き換えます。runAsUser: 65532
以下の行に置き換えます。
runAsNonRoot: true
注記この手順は、Go ベースの Operator のみに必要な一時的な回避策です。詳細は、BZ#1914406 を参照してください。
API を作成します。
単純な Memcached API を作成します。
$ operator-sdk create api \ --resource=true \ --controller=true \ --group cache \ --version v1 \ --kind Memcached
Operator イメージをビルドし、プッシュします。
デフォルトの
Makefile
ターゲットを使用して Operator をビルドし、プッシュします。プッシュ先となるレジストリーを使用するイメージのプル仕様を使用してIMG
を設定します。$ make docker-build docker-push IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
Operator を実行します。
CRD をインストールします。
$ make install
プロジェクトをクラスターにデプロイします。
IMG
をプッシュしたイメージに設定します。$ make deploy IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
サンプルカスタムリソース (CR) を作成します。
サンプル CR を作成します。
$ oc apply -f config/samples/cache_v1_memcached.yaml \ -n memcached-operator-system
Operator を調整する CR を確認します。
$ oc logs deployment.apps/memcached-operator-controller-manager \ -c manager \ -n memcached-operator-system
クリーンアップします。
以下のコマンドを実行して、この手順の一部として作成されたリソースをクリーンアップします。
$ make undeploy
5.3.1.3. 次のステップ
- Go ベースの Operator のビルドに関する詳細な手順は、Go ベースの Operator の Operator SDK チュートリアル を参照してください。
5.3.2. Go ベースの Operator の Operator SDK チュートリアル
Operator 開発者は、Operator SDK での Go プログラミング言語のサポートを利用して、Go ベースの Memcached Operator のサンプルをビルドして、分散キー/値のストアを作成し、そのライフサイクルを管理することができます。
このプロセスは、Operator Framework の 2 つの重要な設定要素を使用して実行されます。
- Operator SDK
-
operator-sdk
CLI ツールおよびcontroller-runtime
ライブラリー API - Operator Lifecycle Manager (OLM)
- クラスター上の Operator のインストール、アップグレード、ロールベースのアクセス制御 (RBAC)
このチュートリアルでは、Go ベースの Operator の Operator SDK の使用を開始する よりも詳細に説明します。
5.3.2.1. 前提条件
- Operator SDK CLI がインストールされていること。
-
OpenShift CLI (
oc
) v4.7+ がインストールされていること。 -
cluster-admin
パーミッションを持つアカウントを使用して、oc
で OpenShift Container Platform 4.7 クラスターにログインしていること。 - クラスターがイメージをプルできるようにするには、イメージをプッシュするリポジトリーを public として設定するか、またはイメージプルシークレットを設定する必要があります。
5.3.2.2. プロジェクトの作成
Operator SDK CLI を使用して memcached-operator
というプロジェクトを作成します。
手順
プロジェクトのディレクトリーを作成します。
$ mkdir -p $HOME/projects/memcached-operator
ディレクトリーに切り替えます。
$ cd $HOME/projects/memcached-operator
Go モジュールのサポートをアクティブにします。
$ export GO111MODULE=on
operator-sdk init
コマンドを実行してプロジェクトを初期化します。$ operator-sdk init \ --domain=example.com \ --repo=github.com/example-inc/memcached-operator
注記operator-sdk init
コマンドは、デフォルトで Go プラグインを使用します。operator-sdk init
コマンドは、Go モジュール と使用するgo.mod
ファイルを生成します。生成されるファイルには有効なモジュールパスが必要であるため、$GOPATH/src/
外のプロジェクトを作成する場合は、--repo
フラグが必要です。Go ベースの Operator を OpenShift Container Platform で実行できるようにするには、
config/manager/manager.yaml
ファイルを編集し、以下の行を置き換えます。runAsUser: 65532
以下の行に置き換えます。
runAsNonRoot: true
注記この手順は、Go ベースの Operator のみに必要な一時的な回避策です。詳細は、BZ#1914406 を参照してください。
5.3.2.2.1. PROJECT ファイル
operator-sdk init
コマンドで生成されるファイルの 1 つに、Kubebuilder の PROJECT
ファイルがあります。プロジェクトルートから実行される後続の operator-sdk
コマンドおよび help
出力は、このファイルを読み取り、プロジェクトタイプが Go であることを認識しています。以下に例を示します。
domain: example.com layout: go.kubebuilder.io/v3 projectName: memcached-operator repo: github.com/example-inc/memcached-operator version: 3-alpha plugins: manifests.sdk.operatorframework.io/v2: {} scorecard.sdk.operatorframework.io/v2: {}
5.3.2.2.2. Manager について
Operator の主なプログラムは、Manager を初期化して実行する main.go
ファイルです。Manager はすべてのカスタムリソース (CR) API 定義の Scheme を自動的に登録し、コントローラーおよび Webhook を設定して実行します。
Manager は、すべてのコントローラーがリソースの監視をする namespace を制限できます。
mgr, err := ctrl.NewManager(cfg, manager.Options{Namespace: namespace})
デフォルトで、Manager は Operator が実行される namespace を監視します。すべての namespace を確認するには、namespace
オプションを空のままにすることができます。
mgr, err := ctrl.NewManager(cfg, manager.Options{Namespace: ""})
MultiNamespacedCacheBuilder
関数を使用して、特定の namespace セットを監視することもできます。
var namespaces []string 1 mgr, err := ctrl.NewManager(cfg, manager.Options{ 2 NewCache: cache.MultiNamespacedCacheBuilder(namespaces), })
5.3.2.2.3. 複数グループ API について
API およびコントローラーを作成する前に、Operator に複数の API グループが必要かどうかを検討してください。このチュートリアルでは、単一グループ API のデフォルトケースについて説明しますが、複数グループ API をサポートするようにプロジェクトのレイアウトを変更するには、以下のコマンドを実行します。
$ operator-sdk edit --multigroup=true
このコマンドにより、PROJECT
ファイルが更新されます。このファイルは、以下の例のようになります。
domain: example.com layout: go.kubebuilder.io/v3 multigroup: true ...
複数グループプロジェクトの場合、API Go タイプのファイルが apis/<group>/<version>/
ディレクトリーに作成され、コントローラーは controllers/<group>/
ディレクトリーに作成されます。続いて、Dockerfile が適宜更新されます。
追加リソース
- 複数グループのプロジェクトへの移行に関する詳細は、Kubebuilder のドキュメント を参照してください。
5.3.2.3. API およびコントローラーの作成
Operator SDK CLI を使用してカスタムリソース定義 (CRD) API およびコントローラーを作成します。
手順
以下のコマンドを実行して、グループ
cache
、バージョン、v1
、および種類Memcached
を指定して API を作成します。$ operator-sdk create api \ --group=cache \ --version=v1 \ --kind=Memcached
プロンプトが表示されたら
y
を入力し、リソースとコントローラーの両方を作成します。Create Resource [y/n] y Create Controller [y/n] y
出力例
Writing scaffold for you to edit... api/v1/memcached_types.go controllers/memcached_controller.go ...
このプロセスでは、api/v1/memcached_types.go
で Memcached
リソース API が生成され、controllers/memcached_controller.go
でコントローラーが生成されます。
5.3.2.3.1. API の定義
Memcached
カスタムリソース (CR) の API を定義します。
手順
api/v1/memcached_types.go
で Go タイプの定義を変更し、以下のspec
およびstatus
を追加します。// MemcachedSpec defines the desired state of Memcached type MemcachedSpec struct { // +kubebuilder:validation:Minimum=0 // Size is the size of the memcached deployment Size int32 `json:"size"` } // MemcachedStatus defines the observed state of Memcached type MemcachedStatus struct { // Nodes are the names of the memcached pods Nodes []string `json:"nodes"` }
リソースタイプ用に生成されたコードを更新します。
$ make generate
ヒント*_types.go
ファイルの変更後は、make generate
コマンドを実行し、該当するリソースタイプ用に生成されたコードを更新する必要があります。上記の Makefile ターゲットは
controller-gen
ユーティリティーを呼び出して、api/v1/zz_generated.deepcopy.go
ファイルを更新します。これにより、API Go タイプの定義は、すべての Kind タイプが実装する必要のあるruntime.Object
インターフェイスを実装します。
5.3.2.3.2. CRD マニフェストの生成
API が spec
フィールドと status
フィールドおよびカスタムリソース定義 (CRD) 検証マーカーで定義された後に、CRD マニフェストを生成できます。
手順
以下のコマンドを実行し、CRD マニフェストを生成して更新します。
$ make manifests
この Makefile ターゲットは
controller-gen
ユーティリティーを呼び出し、config/crd/bases/cache.example.com_memcacheds.yaml
ファイルに CRD マニフェストを生成します。
5.3.2.3.2.1. OpenAPI 検証
OpenAPIv3 スキーマは、マニフェストの生成時に spec.validation
ブロックの CRD マニフェストに追加されます。この検証ブロックにより、Kubernetes が作成または更新時に Memcached CR のプロパティーを検証できます。
API の検証を設定するには、マーカーまたはアノテーションを使用できます。これらのマーカーには、+kubebuilder:validation
接頭辞が常にあります。
関連情報
API コードでのマーカーの使用に関する詳細は、以下の Kubebuilder ドキュメントを参照してください。
- CRD の OpenAPIv3 検証スキーマに関する詳細は、Kubernetes のドキュメント を参照してください。
5.3.2.4. コントローラーの実装
新規 API およびコントローラーの作成後に、コントローラーロジックを実装することができます。
手順
この例では、生成されたコントローラーファイル
controllers/memcached_controller.go
を以下の実装例に置き換えます。例5.1
memcached_controller.go
の例/* Copyright 2020. Licensed under the Apache License, Version 2.0 (the "License"); you may not use this file except in compliance with the License. You may obtain a copy of the License at http://www.apache.org/licenses/LICENSE-2.0 Unless required by applicable law or agreed to in writing, software distributed under the License is distributed on an "AS IS" BASIS, WITHOUT WARRANTIES OR CONDITIONS OF ANY KIND, either express or implied. See the License for the specific language governing permissions and limitations under the License. */ package controllers import ( appsv1 "k8s.io/api/apps/v1" corev1 "k8s.io/api/core/v1" "k8s.io/apimachinery/pkg/api/errors" metav1 "k8s.io/apimachinery/pkg/apis/meta/v1" "k8s.io/apimachinery/pkg/types" "reflect" "context" "github.com/go-logr/logr" "k8s.io/apimachinery/pkg/runtime" ctrl "sigs.k8s.io/controller-runtime" "sigs.k8s.io/controller-runtime/pkg/client" cachev1alpha1 "github.com/example/memcached-operator/api/v1alpha1" ) // MemcachedReconciler reconciles a Memcached object type MemcachedReconciler struct { client.Client Log logr.Logger Scheme *runtime.Scheme } // +kubebuilder:rbac:groups=cache.example.com,resources=memcacheds,verbs=get;list;watch;create;update;patch;delete // +kubebuilder:rbac:groups=cache.example.com,resources=memcacheds/status,verbs=get;update;patch // +kubebuilder:rbac:groups=cache.example.com,resources=memcacheds/finalizers,verbs=update // +kubebuilder:rbac:groups=apps,resources=deployments,verbs=get;list;watch;create;update;patch;delete // +kubebuilder:rbac:groups=core,resources=pods,verbs=get;list; // Reconcile is part of the main kubernetes reconciliation loop which aims to // move the current state of the cluster closer to the desired state. // TODO(user): Modify the Reconcile function to compare the state specified by // the Memcached object against the actual cluster state, and then // perform operations to make the cluster state reflect the state specified by // the user. // // For more details, check Reconcile and its Result here: // - https://pkg.go.dev/sigs.k8s.io/controller-runtime@v0.7.0/pkg/reconcile func (r *MemcachedReconciler) Reconcile(ctx context.Context, req ctrl.Request) (ctrl.Result, error) { log := r.Log.WithValues("memcached", req.NamespacedName) // Fetch the Memcached instance memcached := &cachev1alpha1.Memcached{} err := r.Get(ctx, req.NamespacedName, memcached) if err != nil { if errors.IsNotFound(err) { // Request object not found, could have been deleted after reconcile request. // Owned objects are automatically garbage collected. For additional cleanup logic use finalizers. // Return and don't requeue log.Info("Memcached resource not found. Ignoring since object must be deleted") return ctrl.Result{}, nil } // Error reading the object - requeue the request. log.Error(err, "Failed to get Memcached") return ctrl.Result{}, err } // Check if the deployment already exists, if not create a new one found := &appsv1.Deployment{} err = r.Get(ctx, types.NamespacedName{Name: memcached.Name, Namespace: memcached.Namespace}, found) if err != nil && errors.IsNotFound(err) { // Define a new deployment dep := r.deploymentForMemcached(memcached) log.Info("Creating a new Deployment", "Deployment.Namespace", dep.Namespace, "Deployment.Name", dep.Name) err = r.Create(ctx, dep) if err != nil { log.Error(err, "Failed to create new Deployment", "Deployment.Namespace", dep.Namespace, "Deployment.Name", dep.Name) return ctrl.Result{}, err } // Deployment created successfully - return and requeue return ctrl.Result{Requeue: true}, nil } else if err != nil { log.Error(err, "Failed to get Deployment") return ctrl.Result{}, err } // Ensure the deployment size is the same as the spec size := memcached.Spec.Size if *found.Spec.Replicas != size { found.Spec.Replicas = &size err = r.Update(ctx, found) if err != nil { log.Error(err, "Failed to update Deployment", "Deployment.Namespace", found.Namespace, "Deployment.Name", found.Name) return ctrl.Result{}, err } // Spec updated - return and requeue return ctrl.Result{Requeue: true}, nil } // Update the Memcached status with the pod names // List the pods for this memcached's deployment podList := &corev1.PodList{} listOpts := []client.ListOption{ client.InNamespace(memcached.Namespace), client.MatchingLabels(labelsForMemcached(memcached.Name)), } if err = r.List(ctx, podList, listOpts...); err != nil { log.Error(err, "Failed to list pods", "Memcached.Namespace", memcached.Namespace, "Memcached.Name", memcached.Name) return ctrl.Result{}, err } podNames := getPodNames(podList.Items) // Update status.Nodes if needed if !reflect.DeepEqual(podNames, memcached.Status.Nodes) { memcached.Status.Nodes = podNames err := r.Status().Update(ctx, memcached) if err != nil { log.Error(err, "Failed to update Memcached status") return ctrl.Result{}, err } } return ctrl.Result{}, nil } // deploymentForMemcached returns a memcached Deployment object func (r *MemcachedReconciler) deploymentForMemcached(m *cachev1alpha1.Memcached) *appsv1.Deployment { ls := labelsForMemcached(m.Name) replicas := m.Spec.Size dep := &appsv1.Deployment{ ObjectMeta: metav1.ObjectMeta{ Name: m.Name, Namespace: m.Namespace, }, Spec: appsv1.DeploymentSpec{ Replicas: &replicas, Selector: &metav1.LabelSelector{ MatchLabels: ls, }, Template: corev1.PodTemplateSpec{ ObjectMeta: metav1.ObjectMeta{ Labels: ls, }, Spec: corev1.PodSpec{ Containers: []corev1.Container{{ Image: "memcached:1.4.36-alpine", Name: "memcached", Command: []string{"memcached", "-m=64", "-o", "modern", "-v"}, Ports: []corev1.ContainerPort{{ ContainerPort: 11211, Name: "memcached", }}, }}, }, }, }, } // Set Memcached instance as the owner and controller ctrl.SetControllerReference(m, dep, r.Scheme) return dep } // labelsForMemcached returns the labels for selecting the resources // belonging to the given memcached CR name. func labelsForMemcached(name string) map[string]string { return map[string]string{"app": "memcached", "memcached_cr": name} } // getPodNames returns the pod names of the array of pods passed in func getPodNames(pods []corev1.Pod) []string { var podNames []string for _, pod := range pods { podNames = append(podNames, pod.Name) } return podNames } // SetupWithManager sets up the controller with the Manager. func (r *MemcachedReconciler) SetupWithManager(mgr ctrl.Manager) error { return ctrl.NewControllerManagedBy(mgr). For(&cachev1alpha1.Memcached{}). Owns(&appsv1.Deployment{}). Complete(r) }
コントローラーのサンプルは、それぞれの
Memcached
カスタムリソース (CR) について以下の調整 (reconciliation) ロジックを実行します。- Memcached デプロイメントを作成します (ない場合)。
-
デプロイメントのサイズが、
Memcached
CR 仕様で指定されたものと同じであることを確認します。 -
Memcached
CR ステータスをmemcached
Pod の名前に置き換えます。
次のサブセクションでは、実装例のコントローラーがリソースを監視する方法と reconcile ループがトリガーされる方法を説明しています。これらのサブセクションを省略し、直接 Operator の実行 に進むことができます。
5.3.2.4.1. コントローラーによって監視されるリソース
controllers/memcached_controller.go
の SetupWithManager()
関数は、CR およびコントローラーによって所有され、管理される他のリソースを監視するようにコントローラーがビルドされる方法を指定します。
import ( ... appsv1 "k8s.io/api/apps/v1" ... ) func (r *MemcachedReconciler) SetupWithManager(mgr ctrl.Manager) error { return ctrl.NewControllerManagedBy(mgr). For(&cachev1.Memcached{}). Owns(&appsv1.Deployment{}). Complete(r) }
NewControllerManagedBy()
は、さまざまなコントローラー設定を可能にするコントローラービルダーを提供します。
For(&cachev1.Memcached{})
は、監視するプライマリーリソースとして Memcached
タイプを指定します。Memcached
タイプのそれぞれの Add、Update、または Delete イベントの場合、reconcile ループに Memcached
オブジェクトの (namespace および name キーから成る) reconcile Request
引数が送られます。
Owns(&appsv1.Deployment{})
は、監視するセカンダリーリソースとして Deployment
タイプを指定します。Add、Update、または Delete イベントの各 Deployment
タイプの場合、イベントハンドラーは各イベントを、デプロイメントのオーナーの reconcile request にマップします。この場合、デプロイメントが作成された Memcached
オブジェクトがオーナーです。
5.3.2.4.2. コントローラーの設定
多くの他の便利な設定を使用すると、コントローラーを初期化できます。以下に例を示します。
MaxConcurrentReconciles
オプションを使用して、コントローラーの同時調整の最大数を設定します。デフォルトは1
です。func (r *MemcachedReconciler) SetupWithManager(mgr ctrl.Manager) error { return ctrl.NewControllerManagedBy(mgr). For(&cachev1.Memcached{}). Owns(&appsv1.Deployment{}). WithOptions(controller.Options{ MaxConcurrentReconciles: 2, }). Complete(r) }
- 述語を使用した監視イベントをフィルターリングします。
-
EventHandler のタイプを選択し、監視イベントが reconcile ループの reconcile request に変換する方法を変更します。プライマリーリソースおよびセカンダリーリソースよりも複雑な Operator 関係の場合は、
EnqueueRequestsFromMapFunc
ハンドラーを使用して、監視イベントを任意の reconcile request のセットに変換することができます。
これらの設定およびその他の設定に関する詳細は、アップストリームの Builder および Controller の GoDocs を参照してください。
5.3.2.4.3. reconcile ループ
すべてのコントローラーには、reconcile ループを実装する Reconcile()
メソッドのある reconciler オブジェクトがあります。この reconcile ループには、キャッシュからプライマリーリソースオブジェクトの Memcached
を検索するために使用される namespace および name キーである Request
引数が渡されます。
import ( ctrl "sigs.k8s.io/controller-runtime" cachev1 "github.com/example-inc/memcached-operator/api/v1" ... ) func (r *MemcachedReconciler) Reconcile(ctx context.Context, req ctrl.Request) (ctrl.Result, error) { // Lookup the Memcached instance for this reconcile request memcached := &cachev1.Memcached{} err := r.Get(ctx, req.NamespacedName, memcached) ... }
返り値、結果、およびエラーに基づいて、Request は再度キューに入れられ、reconcile ループが再びトリガーされる可能性があります。
// Reconcile successful - don't requeue return ctrl.Result{}, nil // Reconcile failed due to error - requeue return ctrl.Result{}, err // Requeue for any reason other than an error return ctrl.Result{Requeue: true}, nil
Result.RequeueAfter
を設定して、猶予期間後にも要求を再びキューに入れることができます。
import "time" // Reconcile for any reason other than an error after 5 seconds return ctrl.Result{RequeueAfter: time.Second*5}, nil
RequeueAfter
を定期的な CR の調整に設定している Result
を返すことができます。
reconciler、クライアント、およびリソースイベントとの対話に関する詳細は、Controller Runtime Client API のドキュメントを参照してください。
5.3.2.4.4. パーミッションおよび RBAC マニフェスト
コントローラーには、管理しているリソースと対話するために特定の RBAC パーミッションが必要です。これらは、以下のような RBAC マーカーを使用して指定されます。
// +kubebuilder:rbac:groups=cache.example.com,resources=memcacheds,verbs=get;list;watch;create;update;patch;delete // +kubebuilder:rbac:groups=cache.example.com,resources=memcacheds/status,verbs=get;update;patch // +kubebuilder:rbac:groups=cache.example.com,resources=memcacheds/finalizers,verbs=update // +kubebuilder:rbac:groups=apps,resources=deployments,verbs=get;list;watch;create;update;patch;delete // +kubebuilder:rbac:groups=core,resources=pods,verbs=get;list; func (r *MemcachedReconciler) Reconcile(ctx context.Context, req ctrl.Request) (ctrl.Result, error) { ... }
config/rbac/role.yaml
の ClusterRole
オブジェクトマニフェストは、make manifests
コマンドが実行されるたびに controller-gen
ユーティリティーを使用して、以前のマーカーから生成されます。
5.3.2.5. Operator の実行
Operator SDK CLI を使用して Operator をビルドし、実行する方法は 3 つあります。
- クラスター外で Go プログラムとしてローカルに実行します。
- クラスター上のデプロイメントとして実行します。
- Operator をバンドルし、Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用してクラスター上にデプロイします。
Go ベースの Operator を OpenShift Container Platform でのデプロイメントとして、または OLM を使用するバンドルとして実行する前に、プロジェクトがサポートされているイメージを使用するように更新されていることを確認します。
5.3.2.5.1. クラスター外でローカルに実行する。
Operator プロジェクトをクラスター外の Go プログラムとして実行できます。これは、デプロイメントとテストを迅速化するという開発目的において便利です。
手順
以下のコマンドを実行して、
~/.kube/config
ファイルに設定されたクラスターにカスタムリソース定義 (CRD) をインストールし、Operator をローカルで実行します。$ make install run
出力例
... 2021-01-10T21:09:29.016-0700 INFO controller-runtime.metrics metrics server is starting to listen {"addr": ":8080"} 2021-01-10T21:09:29.017-0700 INFO setup starting manager 2021-01-10T21:09:29.017-0700 INFO controller-runtime.manager starting metrics server {"path": "/metrics"} 2021-01-10T21:09:29.018-0700 INFO controller-runtime.manager.controller.memcached Starting EventSource {"reconciler group": "cache.example.com", "reconciler kind": "Memcached", "source": "kind source: /, Kind="} 2021-01-10T21:09:29.218-0700 INFO controller-runtime.manager.controller.memcached Starting Controller {"reconciler group": "cache.example.com", "reconciler kind": "Memcached"} 2021-01-10T21:09:29.218-0700 INFO controller-runtime.manager.controller.memcached Starting workers {"reconciler group": "cache.example.com", "reconciler kind": "Memcached", "worker count": 1}
5.3.2.5.2. サポートされるイメージを使用する Operator の準備
Go ベースの Operator を OpenShift Container Platform で実行する前に、サポートされるイメージを使用するようにプロジェクトを更新します。
手順
プロジェクトの root レベルの Dockerfile をサポートされるイメージを使用するように更新します。以下のデフォルトのランナーイメージの参照を変更します。
FROM gcr.io/distroless/static:nonroot
以下のように変更してください。
FROM registry.access.redhat.com/ubi8/ubi-minimal:latest
-
Go プロジェクトのバージョンによっては、 Dockerfile に
USER 65532:65532
またはUSER nonroot:nonroot
ディレクティブが含まれる可能性があります。いずれの場合も、サポートされるランナーイメージでは必要ないため、その行を削除します。 config/default/manager_auth_proxy_patch.yaml
ファイルで、以下のimage
の値を変更します。gcr.io/kubebuilder/kube-rbac-proxy:<tag>
サポートされるイメージを使用するには、以下へ変更します。
registry.redhat.io/openshift4/ose-kube-rbac-proxy:v4.7
5.3.2.5.3. クラスター上でのデプロイメントとしての実行
Operator プロジェクトは、クラスター上でのデプロイメントとして実行することができます。
前提条件
- プロジェクトを更新してサポートされるイメージを使用することで、OpenShift Container Platform で実行する Go ベースの Operator が準備済みである。
手順
以下の
make
コマンドを実行して Operator イメージをビルドし、プッシュします。以下の手順のIMG
引数を変更して、アクセス可能なリポジトリーを参照します。Quay.io などのリポジトリーサイトにコンテナーを保存するためのアカウントを取得できます。イメージをビルドします。
$ make docker-build IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
注記Operator の SDK によって生成される Dockerfile は、
go build
についてGOARCH=amd64
を明示的に参照します。これは、AMD64 アーキテクチャー以外の場合はGOARCH=$TARGETARCH
に修正できます。Docker は、-platform
で指定された値に環境変数を自動的に設定します。Buildah では、そのために-build-arg
を使用する必要があります。詳細は、Multiple Architectures を参照してください。イメージをリポジトリーにプッシュします。
$ make docker-push IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
注記両方のコマンドのイメージの名前とタグ (例:
IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
) を Makefile に設定することもできます。IMG ?= controller:latest
の値を変更して、デフォルトのイメージ名を設定します。
以下のコマンドを実行して Operator をデプロイします。
$ make deploy IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
デフォルトで、このコマンドは
<project_name>-system
の形式で Operator プロジェクトの名前で namespace を作成し、デプロイメントに使用します。このコマンドは、config/rbac
から RBAC マニフェストもインストールします。Operator が実行されていることを確認します。
$ oc get deployment -n <project_name>-system
出力例
NAME READY UP-TO-DATE AVAILABLE AGE <project_name>-controller-manager 1/1 1 1 8m
5.3.2.5.4. Operator のバンドルおよび Operator Lifecycle Manager を使用したデプロイ
Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Kubernetes クラスターで Operator (およびそれらの関連サービス) をインストールし、更新し、通常はライフサイクルを管理するのに役立ちます。OLM はデフォルトで OpenShift Container Platform にインストールされ、Kubernetes 拡張として実行されるため、追加のツールなしにすべての Operator のライフサイクル管理機能に Web コンソールおよび OpenShift CLI (oc
) を使用できます。
Operator Bundle Format は、Operator SDK および OLM のデフォルトパッケージ方法です。Operator SDK を使用して OLM に対して Operator を準備し、OLM を使用してバンドルイメージをビルド、プッシュ、検証、および実行することができます。
前提条件
- 開発ワークステーションに Operator SDK CLI がインストールされていること。
-
OpenShift CLI (
oc
) v4.7+ がインストールされていること。 -
(OpenShift Container Platform 4.7 など、
apiextensions.k8s.io/v1
CRD を使用する場合は v1.16.0 以降の) Kubernetes ベースのクラスターに Operator Lifecycle Manager (OLM) がインストールされていること。 -
cluster-admin
パーミッションのあるアカウントを使用してoc
でクラスターへログインしていること。 - Operator プロジェクトが Operator SDK を使用して初期化されていること。
- Operator が Go ベースの場合、プロジェクトは OpenShift Container Platform で実行するためのサポートされるイメージを使用するように更新されている必要がある。
手順
以下の
make
コマンドを Operator プロジェクトディレクトリーで実行し、Operator イメージをビルドし、プッシュします。以下の手順のIMG
引数を変更して、アクセス可能なリポジトリーを参照します。Quay.io などのリポジトリーサイトにコンテナーを保存するためのアカウントを取得できます。イメージをビルドします。
$ make docker-build IMG=<registry>/<user>/<operator_image_name>:<tag>
注記Operator の SDK によって生成される Dockerfile は、
go build
についてGOARCH=amd64
を明示的に参照します。これは、AMD64 アーキテクチャー以外の場合はGOARCH=$TARGETARCH
に修正できます。Docker は、-platform
で指定された値に環境変数を自動的に設定します。Buildah では、そのために-build-arg
を使用する必要があります。詳細は、Multiple Architectures を参照してください。イメージをリポジトリーにプッシュします。
$ make docker-push IMG=<registry>/<user>/<operator_image_name>:<tag>
Operator SDK
generate bundle
およびbundle validate
のサブコマンドを含む複数のコマンドを呼び出すmake bundle
コマンドを実行し、Operator バンドルマニフェストを作成します。$ make bundle IMG=<registry>/<user>/<operator_image_name>:<tag>
Operator のバンドルマニフェストは、アプリケーションを表示し、作成し、管理する方法を説明します。
make bundle
コマンドは、以下のファイルおよびディレクトリーを Operator プロジェクトに作成します。-
ClusterServiceVersion
オブジェクトを含むbundle/manifests
という名前のバンドルマニフェストディレクトリー -
bundle/metadata
という名前のバンドルメタデータディレクトリー -
config/crd
ディレクトリー内のすべてのカスタムリソース定義 (CRD) -
Dockerfile
bundle.Dockerfile
続いて、これらのファイルは
operator-sdk bundle validate
を使用して自動的に検証され、ディスク上のバンドル表現が正しいことを確認します。-
以下のコマンドを実行し、バンドルイメージをビルドしてプッシュします。OLM は、1 つ以上のバンドルイメージを参照するインデックスイメージを使用して Operator バンドルを使用します。
バンドルイメージをビルドします。イメージをプッシュしようとするレジストリー、ユーザー namespace、およびイメージタグの詳細で
BUNDLE_IMAGE
を設定します。$ make bundle-build BUNDLE_IMG=<registry>/<user>/<bundle_image_name>:<tag>
バンドルイメージをプッシュします。
$ docker push <registry>/<user>/<bundle_image_name>:<tag>
以下の Operator SDK コマンドを使用して、クラスターで OLM のステータスを確認します。
$ operator-sdk olm status \ --olm-namespace=openshift-operator-lifecycle-manager
Operator SDK で OLM 統合を使用して、クラスターで Operator を実行します。
$ operator-sdk run bundle \ [-n <namespace>] \1 <registry>/<user>/<bundle_image_name>:<tag>
- 1
- デフォルトで、このコマンドは
~/.kube/config
ファイルの現在アクティブなプロジェクトに Operator をインストールします。-n
フラグを追加して、インストールに異なる namespace スコープを設定できます。
このコマンドは、以下の操作を実行します。
- バンドルイメージをインジェクトしてインデックスイメージを作成します。
- 新規インデックスイメージを参照するカタログソースを作成します。これにより、OperatorHub が Operator を検出できるようになります。
- Operator グループ、サブスクリプション、インストール計画、および RBAC を含むその他の必要なオブジェクトすべてを作成して、Operator をクラスターにデプロイします。
5.3.2.6. カスタムリソースの作成
Operator のインストール後に、Operator によってクラスターに提供されるカスタムリソース (CR) を作成して、これをテストできます。
前提条件
-
クラスターにインストールされている
Memcached
CR を提供する Memcached Operator の例
手順
Operator がインストールされている namespace へ変更します。たとえば、
make deploy
コマンドを使用して Operator をデプロイした場合は、以下のようになります。$ oc project memcached-operator-system
config/samples/cache_v1_memcached.yaml
でMemcached
CR マニフェストのサンプルを編集し、以下の仕様が含まれるようにします。apiVersion: cache.example.com/v1 kind: Memcached metadata: name: memcached-sample ... spec: ... size: 3
CR を作成します。
$ oc apply -f config/samples/cache_v1_memcached.yaml
Memcached
Operator が、正しいサイズで CR サンプルのデプロイメントを作成することを確認します。$ oc get deployments
出力例
NAME READY UP-TO-DATE AVAILABLE AGE memcached-operator-controller-manager 1/1 1 1 8m memcached-sample 3/3 3 3 1m
ステータスが Memcached Pod 名で更新されていることを確認するために、Pod および CR ステータスを確認します。
Pod を確認します。
$ oc get pods
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE memcached-sample-6fd7c98d8-7dqdr 1/1 Running 0 1m memcached-sample-6fd7c98d8-g5k7v 1/1 Running 0 1m memcached-sample-6fd7c98d8-m7vn7 1/1 Running 0 1m
CR ステータスを確認します。
$ oc get memcached/memcached-sample -o yaml
出力例
apiVersion: cache.example.com/v1 kind: Memcached metadata: ... name: memcached-sample ... spec: size: 3 status: nodes: - memcached-sample-6fd7c98d8-7dqdr - memcached-sample-6fd7c98d8-g5k7v - memcached-sample-6fd7c98d8-m7vn7
デプロイメントサイズを更新します。
config/samples/cache_v1_memcached.yaml
ファイルを更新し、Memcached
CR のspec.size
フィールドを3
から5
に変更します。$ oc patch memcached memcached-sample \ -p '{"spec":{"size": 5}}' \ --type=merge
Operator がデプロイメントサイズを変更することを確認します。
$ oc get deployments
出力例
NAME READY UP-TO-DATE AVAILABLE AGE memcached-operator-controller-manager 1/1 1 1 10m memcached-sample 5/5 5 5 3m
このチュートリアルの一環として作成したリソースをクリーンアップします。
Operator のテストに
make deploy
コマンドを使用した場合は、以下のコマンドを実行します。$ make undeploy
Operator のテストに
operator-sdk run bundle
コマンドを使用した場合は、以下のコマンドを実行します。$ operator-sdk cleanup <project_name>
5.3.2.7. 関連情報
- Operator SDK によって作成されるディレクトリー構造の詳細は、Go ベースの Operator のプロジェクトレイアウト を参照してください。
5.3.3. Go ベースの Operator のプロジェクトレイアウト
operator-sdk
CLI は、各 Operator プロジェクトに多数のパッケージおよびファイルを生成、または スキャフォールディング することができます。
5.3.3.1. Go ベースのプロジェクトレイアウト
operator-sdk init
コマンドを使用して生成される Go ベースの Operator プロジェクト (デフォルトタイプ) には、以下のディレクトリーおよびファイルが含まれます。
ファイルまたはディレクトリー | 目的 |
---|---|
|
Operator のメインプログラム。これは、 |
|
CRD の API を定義するディレクトリーツリー。 |
|
コントローラーの実装。 |
| クラスターにコントローラーをデプロイするために使用される Kubernetes マニフェスト (CRD、RBAC、および証明書を含む)。 |
| コントローラーのビルドおよびデプロイに使用するターゲット。 |
| コンテナーエンジンが Operator をビルドするために使用する手順。 |
| CRD の登録、RBAC のセットアップ、およびデプロイメントとして Operator のデプロイをする Kubernetes マニフェスト。 |
5.4. Ansible ベース Operator
5.4.1. Ansible ベースの Operator の Operator SDK の使用を開始する
Operator プロジェクトを生成するための Operator SDK には、Go コードを作成せずに Kubernetes リソースを統一されたアプリケーションとしてデプロイするために、既存の Ansible Playbook およびモジュールを使用するオプションがあります。
Operator SDK によって提供されるツールおよびライブラリーを使用して Ansible ベースの Operator をセットアップし、実行するための基本を示すには、Operator 開発者は Ansible ベースの Memcached Operator のサンプルをビルドして、分散キー/値のストアを作成し、クラスターへデプロイすることができます。
5.4.1.1. 前提条件
- Operator SDK CLI がインストールされていること。
-
OpenShift CLI (
oc
) v4.7+ がインストールされていること。 - Ansible バージョン v2.9.0
- Ansible Runner バージョン v1.1.0+
- Ansible Runner HTTP Event Emitter プラグイン バージョン v1.0.0+
- OpenShift Python クライアント バージョン v0.11.2+
-
cluster-admin
パーミッションを持つアカウントを使用して、oc
で OpenShift Container Platform 4.7 クラスターにログインしていること。 - クラスターがイメージをプルできるようにするには、イメージをプッシュするリポジトリーを public として設定するか、またはイメージプルシークレットを設定する必要があります。
5.4.1.2. Ansible ベース Operator の作成およびデプロイ
Operator SDK を使用して、Memcached の単純な Ansible ベースの Operator をビルドし、デプロイできます。
手順
プロジェクトを作成します。
プロジェクトディレクトリーを作成します。
$ mkdir memcached-operator
プロジェクトディレクトリーに移動します。
$ cd memcached-operator
ansible
プラグインを指定してoperator-sdk init
コマンドを実行し、プロジェクトを初期化します。$ operator-sdk init \ --plugins=ansible \ --domain=example.com
API を作成します。
単純な Memcached API を作成します。
$ operator-sdk create api \ --group cache \ --version v1 \ --kind Memcached \ --generate-role 1
- 1
- API の Ansible ロールを生成します。
Operator イメージをビルドし、プッシュします。
デフォルトの
Makefile
ターゲットを使用して Operator をビルドし、プッシュします。プッシュ先となるレジストリーを使用するイメージのプル仕様を使用してIMG
を設定します。$ make docker-build docker-push IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
Operator を実行します。
CRD をインストールします。
$ make install
プロジェクトをクラスターにデプロイします。
IMG
をプッシュしたイメージに設定します。$ make deploy IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
サンプルカスタムリソース (CR) を作成します。
サンプル CR を作成します。
$ oc apply -f config/samples/cache_v1_memcached.yaml \ -n memcached-operator-system
Operator を調整する CR を確認します。
$ oc logs deployment.apps/memcached-operator-controller-manager \ -c manager \ -n memcached-operator-system
出力例
... I0205 17:48:45.881666 7 leaderelection.go:253] successfully acquired lease memcached-operator-system/memcached-operator {"level":"info","ts":1612547325.8819902,"logger":"controller-runtime.manager.controller.memcached-controller","msg":"Starting EventSource","source":"kind source: cache.example.com/v1, Kind=Memcached"} {"level":"info","ts":1612547325.98242,"logger":"controller-runtime.manager.controller.memcached-controller","msg":"Starting Controller"} {"level":"info","ts":1612547325.9824686,"logger":"controller-runtime.manager.controller.memcached-controller","msg":"Starting workers","worker count":4} {"level":"info","ts":1612547348.8311093,"logger":"runner","msg":"Ansible-runner exited successfully","job":"4037200794235010051","name":"memcached-sample","namespace":"memcached-operator-system"}
クリーンアップします。
以下のコマンドを実行して、この手順の一部として作成されたリソースをクリーンアップします。
$ make undeploy
5.4.1.3. 次のステップ
- Ansible ベースの Operator のビルドに関する詳細な手順は、Ansible ベース Operator の Operator SDK チュートリアル を参照してください。
5.4.2. Ansible ベース Operator の Operator SDK チュートリアル
Operator 開発者は、Operator SDK での Ansible のサポートを利用して、Ansible ベースの Memcached Operator のサンプルをビルドして、分散キー/値のストアを作成し、そのライフサイクルを管理することができます。このチュートリアルでは、以下のプロセスについて説明します。
- Memcached デプロイメントを作成します。
-
デプロイメントのサイズが、
Memcached
カスタムリソース (CR) 仕様で指定されたものと同じであることを確認します。 -
ステータスライターを使用して、
Memcached
CR ステータスをmemcached
Pod の名前で更新します。
このプロセスは、Operator Framework の 2 つの重要な設定要素を使用して実行されます。
- Operator SDK
-
operator-sdk
CLI ツールおよびcontroller-runtime
ライブラリー API - Operator Lifecycle Manager (OLM)
- クラスター上の Operator のインストール、アップグレード、ロールベースのアクセス制御 (RBAC)
このチュートリアルでは、Ansible ベースの Operator の Operator SDK の使用を開始する よりも詳細に説明します。
5.4.2.1. 前提条件
- Operator SDK CLI がインストールされていること。
-
OpenShift CLI (
oc
) v4.7+ がインストールされていること。 - Ansible バージョン v2.9.0
- Ansible Runner バージョン v1.1.0+
- Ansible Runner HTTP Event Emitter プラグイン バージョン v1.0.0+
- OpenShift Python クライアント バージョン v0.11.2+
-
cluster-admin
パーミッションを持つアカウントを使用して、oc
で OpenShift Container Platform 4.7 クラスターにログインしていること。 - クラスターがイメージをプルできるようにするには、イメージをプッシュするリポジトリーを public として設定するか、またはイメージプルシークレットを設定する必要があります。
5.4.2.2. プロジェクトの作成
Operator SDK CLI を使用して memcached-operator
というプロジェクトを作成します。
手順
プロジェクトのディレクトリーを作成します。
$ mkdir -p $HOME/projects/memcached-operator
ディレクトリーに切り替えます。
$ cd $HOME/projects/memcached-operator
ansible
プラグインを指定してoperator-sdk init
コマンドを実行し、プロジェクトを初期化します。$ operator-sdk init \ --plugins=ansible \ --domain=example.com
5.4.2.2.1. PROJECT ファイル
operator-sdk init
コマンドで生成されるファイルの 1 つに、Kubebuilder の PROJECT
ファイルがあります。プロジェクトルートから実行される後続の operator-sdk
コマンドおよび help
出力は、このファイルを読み取り、プロジェクトタイプが Ansible であることを認識しています。以下に例を示します。
domain: example.com layout: ansible.sdk.operatorframework.io/v1 projectName: memcached-operator version: 3-alpha
5.4.2.3. API の作成
Operator SDK CLI を使用して Memcached API を作成します。
手順
以下のコマンドを実行して、グループ
cache
、バージョン、v1
、および種類Memcached
を指定して API を作成します。$ operator-sdk create api \ --group cache \ --version v1 \ --kind Memcached \ --generate-role 1
- 1
- API の Ansible ロールを生成します。
API の作成後に、Operator プロジェクトは以下の構造で更新します。
- Memcached CRD
-
サンプル
Memcached
リソースが含まれます。 - Manager
以下を使用して、クラスターの状態を必要な状態に調整するプログラム。
- reconciler (Ansible ロールまたは Playbook のいずれか)
-
Memcached
リソースをmemcached
Ansible ロールに接続するwatches.yaml
ファイル
5.4.2.4. マネージャーの変更
Operator プロジェクトを更新して、Ansible ロールの形式で reconcile ロジックを提供します。これは、Memcached
リソースが作成、更新、または削除されるたびに実行されます。
手順
roles/memcached/tasks/main.yml
ファイルを以下の構造で更新します。--- - name: start memcached community.kubernetes.k8s: definition: kind: Deployment apiVersion: apps/v1 metadata: name: '{{ ansible_operator_meta.name }}-memcached' namespace: '{{ ansible_operator_meta.namespace }}' spec: replicas: "{{size}}" selector: matchLabels: app: memcached template: metadata: labels: app: memcached spec: containers: - name: memcached command: - memcached - -m=64 - -o - modern - -v image: "docker.io/memcached:1.4.36-alpine" ports: - containerPort: 11211
この
memcached
ロールは、memcached
デプロイメントが存在することを確実にし、デプロイメントサイズを設定します。roles/memcached/defaults/main.yml
ファイルを編集して、Ansible ロールで使用される変数のデフォルト値を設定します。--- # defaults file for Memcached size: 1
以下の構造で、
config/samples/cache_v1_memcached.yaml
ファイルのMemcached
サンプルリソースを更新します。apiVersion: cache.example.com/v1 kind: Memcached metadata: name: memcached-sample spec: size: 3
カスタムリソース (CR) 仕様のキー/値のペアは、追加の変数として Ansible に渡されます。
spec
フィールドのすべての変数の名前は、Ansible の実行前に Operator によってスネークケース (小文字 + アンダースコア) に変換されます。たとえば、仕様の serviceAccount
は Ansible では service_account
になります。
watches.yaml
ファイルで snakeCaseParameters
オプションを false
に設定して、このケース変換を無効にすることができます。Ansible で変数についてのタイプの検証を実行し、アプリケーションが予想される入力を受信していることを確認することが推奨されます。
5.4.2.5. Operator の実行
Operator SDK CLI を使用して Operator をビルドし、実行する方法は 3 つあります。
- クラスター外で Go プログラムとしてローカルに実行します。
- クラスター上のデプロイメントとして実行します。
- Operator をバンドルし、Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用してクラスター上にデプロイします。
5.4.2.5.1. クラスター外でローカルに実行する。
Operator プロジェクトをクラスター外の Go プログラムとして実行できます。これは、デプロイメントとテストを迅速化するという開発目的において便利です。
手順
以下のコマンドを実行して、
~/.kube/config
ファイルに設定されたクラスターにカスタムリソース定義 (CRD) をインストールし、Operator をローカルで実行します。$ make install run
出力例
... {"level":"info","ts":1612589622.7888272,"logger":"ansible-controller","msg":"Watching resource","Options.Group":"cache.example.com","Options.Version":"v1","Options.Kind":"Memcached"} {"level":"info","ts":1612589622.7897573,"logger":"proxy","msg":"Starting to serve","Address":"127.0.0.1:8888"} {"level":"info","ts":1612589622.789971,"logger":"controller-runtime.manager","msg":"starting metrics server","path":"/metrics"} {"level":"info","ts":1612589622.7899997,"logger":"controller-runtime.manager.controller.memcached-controller","msg":"Starting EventSource","source":"kind source: cache.example.com/v1, Kind=Memcached"} {"level":"info","ts":1612589622.8904517,"logger":"controller-runtime.manager.controller.memcached-controller","msg":"Starting Controller"} {"level":"info","ts":1612589622.8905244,"logger":"controller-runtime.manager.controller.memcached-controller","msg":"Starting workers","worker count":8}
5.4.2.5.2. サポートされるイメージを使用する Operator の準備
Ansible ベースの Operator を OpenShift Container Platform で実行する前に、サポートされるイメージを使用するようにプロジェクトを更新します。
手順
プロジェクトの root レベルの Dockerfile をサポートされるイメージを使用するように更新します。以下のデフォルトのビルダーイメージの参照を変更します。
FROM quay.io/operator-framework/ansible-operator:v1.3.0
以下のように変更してください。
FROM registry.redhat.io/openshift4/ose-ansible-operator:v4.7
重要Operator SDK バージョンに一致するビルダーイメージのバージョンを使用します。これを実行できないと、プロジェクトのレイアウトまたは スキャフォールディング による問題や、とくに Operator SDK の新規アップストリームバージョンをダウンストリームの OpenShift Container Platform ビルダーイメージと組み合わせて使用する場合に差異による問題が生じる可能性があります。
config/default/manager_auth_proxy_patch.yaml
ファイルで、以下のimage
の値を変更します。gcr.io/kubebuilder/kube-rbac-proxy:<tag>
サポートされるイメージを使用するには、以下へ変更します。
registry.redhat.io/openshift4/ose-kube-rbac-proxy:v4.7
5.4.2.5.3. クラスター上でのデプロイメントとしての実行
Operator プロジェクトは、クラスター上でのデプロイメントとして実行することができます。
手順
以下の
make
コマンドを実行して Operator イメージをビルドし、プッシュします。以下の手順のIMG
引数を変更して、アクセス可能なリポジトリーを参照します。Quay.io などのリポジトリーサイトにコンテナーを保存するためのアカウントを取得できます。イメージをビルドします。
$ make docker-build IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
注記Operator の SDK によって生成される Dockerfile は、
go build
についてGOARCH=amd64
を明示的に参照します。これは、AMD64 アーキテクチャー以外の場合はGOARCH=$TARGETARCH
に修正できます。Docker は、-platform
で指定された値に環境変数を自動的に設定します。Buildah では、そのために-build-arg
を使用する必要があります。詳細は、Multiple Architectures を参照してください。イメージをリポジトリーにプッシュします。
$ make docker-push IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
注記両方のコマンドのイメージの名前とタグ (例:
IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
) を Makefile に設定することもできます。IMG ?= controller:latest
の値を変更して、デフォルトのイメージ名を設定します。
以下のコマンドを実行して Operator をデプロイします。
$ make deploy IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
デフォルトで、このコマンドは
<project_name>-system
の形式で Operator プロジェクトの名前で namespace を作成し、デプロイメントに使用します。このコマンドは、config/rbac
から RBAC マニフェストもインストールします。Operator が実行されていることを確認します。
$ oc get deployment -n <project_name>-system
出力例
NAME READY UP-TO-DATE AVAILABLE AGE <project_name>-controller-manager 1/1 1 1 8m
5.4.2.5.4. Operator のバンドルおよび Operator Lifecycle Manager を使用したデプロイ
Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Kubernetes クラスターで Operator (およびそれらの関連サービス) をインストールし、更新し、通常はライフサイクルを管理するのに役立ちます。OLM はデフォルトで OpenShift Container Platform にインストールされ、Kubernetes 拡張として実行されるため、追加のツールなしにすべての Operator のライフサイクル管理機能に Web コンソールおよび OpenShift CLI (oc
) を使用できます。
Operator Bundle Format は、Operator SDK および OLM のデフォルトパッケージ方法です。Operator SDK を使用して OLM に対して Operator を準備し、OLM を使用してバンドルイメージをビルド、プッシュ、検証、および実行することができます。
前提条件
- 開発ワークステーションに Operator SDK CLI がインストールされていること。
-
OpenShift CLI (
oc
) v4.7+ がインストールされていること。 -
(OpenShift Container Platform 4.7 など、
apiextensions.k8s.io/v1
CRD を使用する場合は v1.16.0 以降の) Kubernetes ベースのクラスターに Operator Lifecycle Manager (OLM) がインストールされていること。 -
cluster-admin
パーミッションのあるアカウントを使用してoc
でクラスターへログインしていること。 - Operator プロジェクトが Operator SDK を使用して初期化されていること。
手順
以下の
make
コマンドを Operator プロジェクトディレクトリーで実行し、Operator イメージをビルドし、プッシュします。以下の手順のIMG
引数を変更して、アクセス可能なリポジトリーを参照します。Quay.io などのリポジトリーサイトにコンテナーを保存するためのアカウントを取得できます。イメージをビルドします。
$ make docker-build IMG=<registry>/<user>/<operator_image_name>:<tag>
注記Operator の SDK によって生成される Dockerfile は、
go build
についてGOARCH=amd64
を明示的に参照します。これは、AMD64 アーキテクチャー以外の場合はGOARCH=$TARGETARCH
に修正できます。Docker は、-platform
で指定された値に環境変数を自動的に設定します。Buildah では、そのために-build-arg
を使用する必要があります。詳細は、Multiple Architectures を参照してください。イメージをリポジトリーにプッシュします。
$ make docker-push IMG=<registry>/<user>/<operator_image_name>:<tag>
Operator SDK
generate bundle
およびbundle validate
のサブコマンドを含む複数のコマンドを呼び出すmake bundle
コマンドを実行し、Operator バンドルマニフェストを作成します。$ make bundle IMG=<registry>/<user>/<operator_image_name>:<tag>
Operator のバンドルマニフェストは、アプリケーションを表示し、作成し、管理する方法を説明します。
make bundle
コマンドは、以下のファイルおよびディレクトリーを Operator プロジェクトに作成します。-
ClusterServiceVersion
オブジェクトを含むbundle/manifests
という名前のバンドルマニフェストディレクトリー -
bundle/metadata
という名前のバンドルメタデータディレクトリー -
config/crd
ディレクトリー内のすべてのカスタムリソース定義 (CRD) -
Dockerfile
bundle.Dockerfile
続いて、これらのファイルは
operator-sdk bundle validate
を使用して自動的に検証され、ディスク上のバンドル表現が正しいことを確認します。-
以下のコマンドを実行し、バンドルイメージをビルドしてプッシュします。OLM は、1 つ以上のバンドルイメージを参照するインデックスイメージを使用して Operator バンドルを使用します。
バンドルイメージをビルドします。イメージをプッシュしようとするレジストリー、ユーザー namespace、およびイメージタグの詳細で
BUNDLE_IMAGE
を設定します。$ make bundle-build BUNDLE_IMG=<registry>/<user>/<bundle_image_name>:<tag>
バンドルイメージをプッシュします。
$ docker push <registry>/<user>/<bundle_image_name>:<tag>
以下の Operator SDK コマンドを使用して、クラスターで OLM のステータスを確認します。
$ operator-sdk olm status \ --olm-namespace=openshift-operator-lifecycle-manager
Operator SDK で OLM 統合を使用して、クラスターで Operator を実行します。
$ operator-sdk run bundle \ [-n <namespace>] \1 <registry>/<user>/<bundle_image_name>:<tag>
- 1
- デフォルトで、このコマンドは
~/.kube/config
ファイルの現在アクティブなプロジェクトに Operator をインストールします。-n
フラグを追加して、インストールに異なる namespace スコープを設定できます。
このコマンドは、以下の操作を実行します。
- バンドルイメージをインジェクトしてインデックスイメージを作成します。
- 新規インデックスイメージを参照するカタログソースを作成します。これにより、OperatorHub が Operator を検出できるようになります。
- Operator グループ、サブスクリプション、インストール計画、および RBAC を含むその他の必要なオブジェクトすべてを作成して、Operator をクラスターにデプロイします。
5.4.2.6. カスタムリソースの作成
Operator のインストール後に、Operator によってクラスターに提供されるカスタムリソース (CR) を作成して、これをテストできます。
前提条件
-
クラスターにインストールされている
Memcached
CR を提供する Memcached Operator の例
手順
Operator がインストールされている namespace へ変更します。たとえば、
make deploy
コマンドを使用して Operator をデプロイした場合は、以下のようになります。$ oc project memcached-operator-system
config/samples/cache_v1_memcached.yaml
でMemcached
CR マニフェストのサンプルを編集し、以下の仕様が含まれるようにします。apiVersion: cache.example.com/v1 kind: Memcached metadata: name: memcached-sample ... spec: ... size: 3
CR を作成します。
$ oc apply -f config/samples/cache_v1_memcached.yaml
Memcached
Operator が、正しいサイズで CR サンプルのデプロイメントを作成することを確認します。$ oc get deployments
出力例
NAME READY UP-TO-DATE AVAILABLE AGE memcached-operator-controller-manager 1/1 1 1 8m memcached-sample 3/3 3 3 1m
ステータスが Memcached Pod 名で更新されていることを確認するために、Pod および CR ステータスを確認します。
Pod を確認します。
$ oc get pods
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE memcached-sample-6fd7c98d8-7dqdr 1/1 Running 0 1m memcached-sample-6fd7c98d8-g5k7v 1/1 Running 0 1m memcached-sample-6fd7c98d8-m7vn7 1/1 Running 0 1m
CR ステータスを確認します。
$ oc get memcached/memcached-sample -o yaml
出力例
apiVersion: cache.example.com/v1 kind: Memcached metadata: ... name: memcached-sample ... spec: size: 3 status: nodes: - memcached-sample-6fd7c98d8-7dqdr - memcached-sample-6fd7c98d8-g5k7v - memcached-sample-6fd7c98d8-m7vn7
デプロイメントサイズを更新します。
config/samples/cache_v1_memcached.yaml
ファイルを更新し、Memcached
CR のspec.size
フィールドを3
から5
に変更します。$ oc patch memcached memcached-sample \ -p '{"spec":{"size": 5}}' \ --type=merge
Operator がデプロイメントサイズを変更することを確認します。
$ oc get deployments
出力例
NAME READY UP-TO-DATE AVAILABLE AGE memcached-operator-controller-manager 1/1 1 1 10m memcached-sample 5/5 5 5 3m
このチュートリアルの一環として作成したリソースをクリーンアップします。
Operator のテストに
make deploy
コマンドを使用した場合は、以下のコマンドを実行します。$ make undeploy
Operator のテストに
operator-sdk run bundle
コマンドを使用した場合は、以下のコマンドを実行します。$ operator-sdk cleanup <project_name>
5.4.2.7. 関連情報
- Operator SDK によって作成されるディレクトリー構造の詳細は、Ansible ベース Operator のプロジェクトレイアウト を参照してください。
5.4.3. Ansible ベース Operator のプロジェクトレイアウト
operator-sdk
CLI は、各 Operator プロジェクトに多数のパッケージおよびファイルを生成、または スキャフォールディング することができます。
5.4.3.1. Ansible ベースのプロジェクトレイアウト
operator-sdk init --plugins ansible
コマンドを使用して生成される Ansible ベースの Operator プロジェクトには、以下のディレクトリーおよびファイルが含まれます。
ファイルまたはディレクトリー | 目的 |
---|---|
| Operator のコンテナーイメージをビルドするための Dockerfile。 |
| Operator バイナリーをラップするコンテナーイメージのビルド、公開、デプロイに使用するターゲット、およびカスタムリソース定義 (CRD) のインストールおよびアンインストールに使用するターゲット。 |
| Operator のメタデータ情報が含まれる YAML ファイル。 |
|
ベース CRD ファイルおよび |
|
デプロイメント用のすべての Operator マニフェストを収集します。 |
| コントローラーマネージャーデプロイメント。 |
|
Operator をモニターリングするための |
| リーダー選択および認証プロキシーのロールとロールバインディング。 |
| CRD 用に作成されたサンプルリソース。 |
| テスト用の設定例。 |
| 実行する Playbook のサブディレクトリー。 |
| 実行するロールツリーのサブディレクトリー。 |
|
監視するリソースの group/version/kind (GVK) および Ansible 呼び出しメソッド。新しいエントリーは、 |
| ビルド時にインストールする Ansible コレクションおよびロールの依存関係が含まれる YAML ファイル。 |
| ロールおよび Operator のエンドツーエンドのテストを行う Molecule シナリオ。 |
5.4.4. Operator SDK における Ansible サポート
5.4.4.1. カスタムリソースファイル
Operator は Kubernetes の拡張メカニズムであるカスタムリソース定義 (CRD) を使用するため、カスタムリソース (CR) は、組み込み済みのネイティブ Kubernetes オブジェクトのように表示され、機能します。
CR ファイル形式は Kubernetes リソースファイルです。オブジェクトには、必須およびオプションフィールドが含まれます。
フィールド | 説明 |
---|---|
| 作成される CR のバージョン。 |
| 作成される CR の種類。 |
| 作成される Kubernetes 固有のメタデータ。 |
| Ansible に渡される変数のキーと値の一覧。このフィールドは、デフォルトでは空です。 |
|
オブジェクトの現在の状態の概要を示します。Ansible ベースの Operator の場合、 |
| CR に付加する Kubernetes 固有のアノテーション。 |
CR アノテーションの以下の一覧は Operator の動作を変更します。
アノテーション | 説明 |
---|---|
|
CR の調整間隔を指定します。この値は標準的な Golang パッケージ |
Ansible ベースの Operator アノテーションの例
apiVersion: "test1.example.com/v1alpha1" kind: "Test1" metadata: name: "example" annotations: ansible.operator-sdk/reconcile-period: "30s"
5.4.4.2. watches.yaml ファイル
group/version/kind(GVK) は Kubernetes API の一意の識別子です。watches.yaml
ファイルには、その GVK によって特定される、カスタムリソース (CR) から Ansible ロールまたは Playbook へのマッピングの一覧が含まれます。Operator はこのマッピングファイルが事前に定義された場所の /opt/ansible/watches.yaml
にあることを予想します。
フィールド | 説明 |
---|---|
| 監視する CR のグループ。 |
| 監視する CR のバージョン。 |
| 監視する CR の種類。 |
|
コンテナーに追加される Ansible ロールへのパスです。たとえば、 |
|
コンテナーに追加される Ansible Playbook へのパスです。この Playbook の使用はロールを呼び出す方法になります。このフィールドは |
| ロールまたは Playbook が特定の CR について実行される調整期間および頻度。 |
|
|
watches.yaml
ファイルの例
- version: v1alpha1 1 group: test1.example.com kind: Test1 role: /opt/ansible/roles/Test1 - version: v1alpha1 2 group: test2.example.com kind: Test2 playbook: /opt/ansible/playbook.yml - version: v1alpha1 3 group: test3.example.com kind: Test3 playbook: /opt/ansible/test3.yml reconcilePeriod: 0 manageStatus: false
5.4.4.2.1. 高度なオプション
高度な機能は、それらを GVK ごとに watches.yaml
ファイルに追加して有効にできます。それらは group
、version
、kind
および playbook
または role
フィールドの下に移行できます。
一部の機能は、CR のアノテーションを使用してリソースごとに上書きできます。オーバーライドできるオプションには、以下に指定されるアノテーションが含まれます。
機能 | YAML キー | 説明 | 上書きのアノテーション | デフォルト値 |
---|---|---|---|---|
調整期間 |
| 特定の CR についての調整実行の間隔。 |
|
|
ステータスの管理 |
|
Operator は各 CR の |
| |
依存するリソースの監視 |
| Operator は Ansible によって作成されるリソースを動的に監視できます。 |
| |
クラスタースコープのリソースの監視 |
| Operator は Ansible によって作成されるクラスタースコープのリソースを監視できます。 |
| |
最大 Runner アーティファクト |
| Ansible Runner が各リソースについて Operator コンテナーに保持する アーティファクトディレクトリー の数を管理します。 |
|
|
高度なオプションを含む watches.yml ファイルの例
- version: v1alpha1 group: app.example.com kind: AppService playbook: /opt/ansible/playbook.yml maxRunnerArtifacts: 30 reconcilePeriod: 5s manageStatus: False watchDependentResources: False
5.4.4.3. Ansible に送信される追加変数
追加の変数を Ansible に送信し、Operator で管理できます。カスタマーリソース (CR) の spec
セクションでは追加変数としてキーと値のペアを渡します。これは、ansible-playbook
コマンドに渡される追加変数と同等です。
また Operator は、CR の名前および CR の namespace についての meta
フィールドの下に追加の変数を渡します。
以下は CR の例になります。
apiVersion: "app.example.com/v1alpha1" kind: "Database" metadata: name: "example" spec: message: "Hello world 2" newParameter: "newParam"
追加変数として Ansible に渡される構造は以下のとおりです。
{ "meta": { "name": "<cr_name>", "namespace": "<cr_namespace>", }, "message": "Hello world 2", "new_parameter": "newParam", "_app_example_com_database": { <full_crd> }, }
message
および newParameter
フィールドは追加変数として上部に設定され、meta
は Operator に定義されるように CR の関連メタデータを提供します。meta
フィールドは、Ansible のドット表記などを使用してアクセスできます。
--- - debug: msg: "name: {{ ansible_operator_meta.name }}, {{ ansible_operator_meta.namespace }}"
5.4.4.4. Ansible Runner ディレクトリー
Ansible Runner はコンテナーに Ansible 実行についての情報を維持します。これは /tmp/ansible-operator/runner/<group>/<version>/<kind>/<namespace>/<name>
に置かれます。
関連情報
-
runner
ディレクトリーについての詳細は、Ansible Runner ドキュメント を参照してください。
5.4.5. Kubernetes Collection for Ansible
Ansible を使用して Kubernetes でアプリケーションのライフサイクルを管理するには、Kubernetes Collection for Ansible を使用できます。この Ansible モジュールのコレクションにより、開発者は既存の Kubernetes リソースファイル (YAML で作成されている) を利用するか、またはネイティブの Ansible でライフサイクル管理を表現することができます。
Ansible を既存の Kubernetes リソースファイルと併用する最大の利点の 1 つに、Ansible のいくつかを変数のみを使う単純な方法でのリソースのカスタマイズを可能にする Jinja テンプレートを使用できる点があります。
このセクションでは、Kubernetes コレクションの使用法を詳細に説明します。使用を開始するには、Playbook を使用してローカルワークステーションにコレクションをインストールし、これをテストしてから、Operator 内での使用を開始します。
5.4.5.1. Kubernetes Collection for Ansible のインストール
Kubernetes Collection for Ansible をローカルワークステーションにインストールできます。
手順
Ansible 2.9+ をインストールします。
$ sudo dnf install ansible
OpenShift python クライアント パッケージをインストールします。
$ pip3 install openshift
以下の方法のいずれかを使用して、Kubernetes コレクションをインストールします。
コレクションは、Ansible Galaxy から直接インストールできます。
$ ansible-galaxy collection install community.kubernetes
Operator がすでに初期化されている場合は、プロジェクトのトップレベルに
requirements.yml
ファイルがあるかもしれません。このファイルは、Operator が機能するためにインストールする必要のある Ansible 依存関係を指定します。デフォルトで、このファイルはcommunity.kubernetes
コレクションとoperator_sdk.util
コレクションをインストールします。これは、Operator 固有の機能のモジュールおよびプラグインを提供します。requirements.yml
ファイルから依存モジュールをインストールするには、以下を実行します。$ ansible-galaxy collection install -r requirements.yml
5.4.5.2. Kubernetes コレクションのローカルでのテスト
Operator 開発者は、毎回 Operator を実行し、再ビルドするのではなく、Ansible コードをローカルマシンから実行することができます。
前提条件
- Ansible ベースの Operator プロジェクトを初期化し、Operator SDK を使用して、生成された Ansible ロールを持つ API を作成します。
- Kubernetes Collection for Ansible をインストールします。
手順
Ansible ベースの Operator プロジェクトディレクトリーで、必要な Ansible ロジックを使用して
roles/<kind>/tasks/main.yml
ファイルを変更します。roles/<kind>/
ディレクトリーは、API の作成時に--generate-role
フラグを使用する場合に作成されます。<kind>
を置き換え可能なものは、API に指定した kind と一致します。以下の例では、
state
という名前の変数の値に基づいた設定マップを作成し、削除します。--- - name: set ConfigMap example-config to {{ state }} community.kubernetes.k8s: api_version: v1 kind: ConfigMap name: example-config namespace: default 1 state: "{{ state }}" ignore_errors: true 2
デフォルトで
state
をpresent
に設定するように、roles/<kind>/defaults/main.yml
ファイルを変更します。--- state: present
プロジェクトディレクトリーのトップレベルに
playbook.yml
ファイルを作成して Ansible playbook を作成し、<kind>
ロールを追加します。--- - hosts: localhost roles: - <kind>
Playbook を実行します。
$ ansible-playbook playbook.yml
出力例
[WARNING]: provided hosts list is empty, only localhost is available. Note that the implicit localhost does not match 'all' PLAY [localhost] ******************************************************************************** TASK [Gathering Facts] ******************************************************************************** ok: [localhost] TASK [memcached : set ConfigMap example-config to present] ******************************************************************************** changed: [localhost] PLAY RECAP ******************************************************************************** localhost : ok=2 changed=1 unreachable=0 failed=0 skipped=0 rescued=0 ignored=0
設定マップが作成されたことを確認します。
$ oc get configmaps
出力例
NAME DATA AGE example-config 0 2m1s
state
をabsent
に設定して Playbook を再実行します。$ ansible-playbook playbook.yml --extra-vars state=absent
出力例
[WARNING]: provided hosts list is empty, only localhost is available. Note that the implicit localhost does not match 'all' PLAY [localhost] ******************************************************************************** TASK [Gathering Facts] ******************************************************************************** ok: [localhost] TASK [memcached : set ConfigMap example-config to absent] ******************************************************************************** changed: [localhost] PLAY RECAP ******************************************************************************** localhost : ok=2 changed=1 unreachable=0 failed=0 skipped=0 rescued=0 ignored=0
設定マップが削除されたことを確認します。
$ oc get configmaps
5.4.5.3. 次のステップ
- カスタムリソース (CR) の変更時に、Operator 内でカスタム Ansible ロジックをトリガーする方法については、Operator 内での Ansible の使用 参照してください。
5.4.6. Operator 内での Ansible の使用
Kubernetes Collection for Ansible をローカルで使用すること に慣れたら、カスタムリソース (CR) の変更時に Operator 内で同じ Ansible ロジックをトリガーできます。この例では、Ansible ロールを、Operator が監視する特定の Kubernetes リソースにマップします。このマッピングは watches.yaml
ファイルで実行されます。
5.4.6.1. カスタムリソースファイル
Operator は Kubernetes の拡張メカニズムであるカスタムリソース定義 (CRD) を使用するため、カスタムリソース (CR) は、組み込み済みのネイティブ Kubernetes オブジェクトのように表示され、機能します。
CR ファイル形式は Kubernetes リソースファイルです。オブジェクトには、必須およびオプションフィールドが含まれます。
フィールド | 説明 |
---|---|
| 作成される CR のバージョン。 |
| 作成される CR の種類。 |
| 作成される Kubernetes 固有のメタデータ。 |
| Ansible に渡される変数のキーと値の一覧。このフィールドは、デフォルトでは空です。 |
|
オブジェクトの現在の状態の概要を示します。Ansible ベースの Operator の場合、 |
| CR に付加する Kubernetes 固有のアノテーション。 |
CR アノテーションの以下の一覧は Operator の動作を変更します。
アノテーション | 説明 |
---|---|
|
CR の調整間隔を指定します。この値は標準的な Golang パッケージ |
Ansible ベースの Operator アノテーションの例
apiVersion: "test1.example.com/v1alpha1" kind: "Test1" metadata: name: "example" annotations: ansible.operator-sdk/reconcile-period: "30s"
5.4.6.2. Ansible ベース Operator のローカルでのテスト
Operator プロジェクトのトップレベルディレクトリーから make run
コマンドを使用して、ローカルで実行中の Ansible ベースの Operator 内でロジックをテストできます。make run
Makefile ターゲットは、ansible-operator
バイナリーをローカルで実行します。これは watches.yaml
ファイルを読み取り、~/.kube/config
ファイルを使用して k8s
モジュールが実行するように Kubernetes クラスターと通信します。
環境変数 ANSIBLE_ROLES_PATH
を設定するか、または ansible-roles-path
フラグを使用して、ロールパスをカスタマイズすることができます。ロールが ANSIBLE_ROLES_PATH
の値にない場合、Operator は {{current directory}}/roles
で検索します。
前提条件
- Ansible Runner バージョン v1.1.0+
- Ansible Runner HTTP Event Emitter プラグイン バージョン v1.0.0+
- Kubernetes コレクションをローカルでテストするための前述の手順を実施済みである。
手順
カスタムリソース定義 (CRD) およびカスタムリソース (CR) の適切なロールベースアクセス制御 (RBAC) 定義をインストールします。
$ make install
出力例
/usr/bin/kustomize build config/crd | kubectl apply -f - customresourcedefinition.apiextensions.k8s.io/memcacheds.cache.example.com created
make run
コマンドを実行します。$ make run
出力例
/home/user/memcached-operator/bin/ansible-operator run {"level":"info","ts":1612739145.2871568,"logger":"cmd","msg":"Version","Go Version":"go1.15.5","GOOS":"linux","GOARCH":"amd64","ansible-operator":"v1.3.0","commit":"1abf57985b43bf6a59dcd18147b3c574fa57d3f6"} ... {"level":"info","ts":1612739148.347306,"logger":"controller-runtime.metrics","msg":"metrics server is starting to listen","addr":":8080"} {"level":"info","ts":1612739148.3488882,"logger":"watches","msg":"Environment variable not set; using default value","envVar":"ANSIBLE_VERBOSITY_MEMCACHED_CACHE_EXAMPLE_COM","default":2} {"level":"info","ts":1612739148.3490262,"logger":"cmd","msg":"Environment variable not set; using default value","Namespace":"","envVar":"ANSIBLE_DEBUG_LOGS","ANSIBLE_DEBUG_LOGS":false} {"level":"info","ts":1612739148.3490646,"logger":"ansible-controller","msg":"Watching resource","Options.Group":"cache.example.com","Options.Version":"v1","Options.Kind":"Memcached"} {"level":"info","ts":1612739148.350217,"logger":"proxy","msg":"Starting to serve","Address":"127.0.0.1:8888"} {"level":"info","ts":1612739148.3506632,"logger":"controller-runtime.manager","msg":"starting metrics server","path":"/metrics"} {"level":"info","ts":1612739148.350784,"logger":"controller-runtime.manager.controller.memcached-controller","msg":"Starting EventSource","source":"kind source: cache.example.com/v1, Kind=Memcached"} {"level":"info","ts":1612739148.5511978,"logger":"controller-runtime.manager.controller.memcached-controller","msg":"Starting Controller"} {"level":"info","ts":1612739148.5512562,"logger":"controller-runtime.manager.controller.memcached-controller","msg":"Starting workers","worker count":8}
Operator が CR のイベントを監視していることから、CR の作成により、Ansible ロールの実行がトリガーされます。
注記config/samples/<gvk>.yaml
CR マニフェストの例を見てみましょう。apiVersion: <group>.example.com/v1alpha1 kind: <kind> metadata: name: "<kind>-sample"
spec
フィールドが設定されていないため、Ansible は追加の変数なしで起動します。CR から Ansible へ追加の変数を渡すことについては、別のセクションで説明します。Operator に妥当なデフォルトを設定することは重要です。デフォルト変数
state
をpresent
に設定し、CR インスタンスを作成します。$ oc apply -f config/samples/<gvk>.yaml
example-config
設定マップが作成されたことを確認します。$ oc get configmaps
出力例
NAME STATUS AGE example-config Active 3s
state
フィールドをabsent
に設定するように、config/samples/<gvk>.yaml
ファイルを変更します。以下に例を示します。apiVersion: cache.example.com/v1 kind: Memcached metadata: name: memcached-sample spec: state: absent
変更を適用します。
$ oc apply -f config/samples/<gvk>.yaml
設定マップが削除されていることを確認します。
$ oc get configmap
5.4.6.3. クラスター上での Ansible ベース Operator のテスト
Operator 内でカスタム Ansible ロジックをローカルでテストした後に、OpenShift Container Platform クラスターの Pod 内で Operator をテストすることができます。これは実稼働環境での使用が推奨されます。
Operator プロジェクトは、クラスター上でのデプロイメントとして実行することができます。
手順
以下の
make
コマンドを実行して Operator イメージをビルドし、プッシュします。以下の手順のIMG
引数を変更して、アクセス可能なリポジトリーを参照します。Quay.io などのリポジトリーサイトにコンテナーを保存するためのアカウントを取得できます。イメージをビルドします。
$ make docker-build IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
注記Operator の SDK によって生成される Dockerfile は、
go build
についてGOARCH=amd64
を明示的に参照します。これは、AMD64 アーキテクチャー以外の場合はGOARCH=$TARGETARCH
に修正できます。Docker は、-platform
で指定された値に環境変数を自動的に設定します。Buildah では、そのために-build-arg
を使用する必要があります。詳細は、Multiple Architectures を参照してください。イメージをリポジトリーにプッシュします。
$ make docker-push IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
注記両方のコマンドのイメージの名前とタグ (例:
IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
) を Makefile に設定することもできます。IMG ?= controller:latest
の値を変更して、デフォルトのイメージ名を設定します。
以下のコマンドを実行して Operator をデプロイします。
$ make deploy IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
デフォルトで、このコマンドは
<project_name>-system
の形式で Operator プロジェクトの名前で namespace を作成し、デプロイメントに使用します。このコマンドは、config/rbac
から RBAC マニフェストもインストールします。Operator が実行されていることを確認します。
$ oc get deployment -n <project_name>-system
出力例
NAME READY UP-TO-DATE AVAILABLE AGE <project_name>-controller-manager 1/1 1 1 8m
5.4.6.4. Ansible ログ
Ansible ベースの Operator は、Ansible の実行に関するログを提供します。これは、Ansible タスクのデバッグに役立ちます。ログには、Operator の内部および Kubernetes との対話に関する詳細情報を含めることもできます。
5.4.6.4.1. Ansible ログの表示
前提条件
- Ansible ベースの Operator が、デプロイメントとしてクラスター上で実行されている。
手順
Ansible ベースの Operator からログを表示するには、以下のコマンドを実行します。
$ oc logs deployment/<project_name>-controller-manager \ -c manager \1 -n <namespace> 2
出力例
{"level":"info","ts":1612732105.0579333,"logger":"cmd","msg":"Version","Go Version":"go1.15.5","GOOS":"linux","GOARCH":"amd64","ansible-operator":"v1.3.0","commit":"1abf57985b43bf6a59dcd18147b3c574fa57d3f6"} {"level":"info","ts":1612732105.0587437,"logger":"cmd","msg":"WATCH_NAMESPACE environment variable not set. Watching all namespaces.","Namespace":""} I0207 21:08:26.110949 7 request.go:645] Throttling request took 1.035521578s, request: GET:https://172.30.0.1:443/apis/flowcontrol.apiserver.k8s.io/v1alpha1?timeout=32s {"level":"info","ts":1612732107.768025,"logger":"controller-runtime.metrics","msg":"metrics server is starting to listen","addr":"127.0.0.1:8080"} {"level":"info","ts":1612732107.768796,"logger":"watches","msg":"Environment variable not set; using default value","envVar":"ANSIBLE_VERBOSITY_MEMCACHED_CACHE_EXAMPLE_COM","default":2} {"level":"info","ts":1612732107.7688773,"logger":"cmd","msg":"Environment variable not set; using default value","Namespace":"","envVar":"ANSIBLE_DEBUG_LOGS","ANSIBLE_DEBUG_LOGS":false} {"level":"info","ts":1612732107.7688901,"logger":"ansible-controller","msg":"Watching resource","Options.Group":"cache.example.com","Options.Version":"v1","Options.Kind":"Memcached"} {"level":"info","ts":1612732107.770032,"logger":"proxy","msg":"Starting to serve","Address":"127.0.0.1:8888"} I0207 21:08:27.770185 7 leaderelection.go:243] attempting to acquire leader lease memcached-operator-system/memcached-operator... {"level":"info","ts":1612732107.770202,"logger":"controller-runtime.manager","msg":"starting metrics server","path":"/metrics"} I0207 21:08:27.784854 7 leaderelection.go:253] successfully acquired lease memcached-operator-system/memcached-operator {"level":"info","ts":1612732107.7850506,"logger":"controller-runtime.manager.controller.memcached-controller","msg":"Starting EventSource","source":"kind source: cache.example.com/v1, Kind=Memcached"} {"level":"info","ts":1612732107.8853772,"logger":"controller-runtime.manager.controller.memcached-controller","msg":"Starting Controller"} {"level":"info","ts":1612732107.8854098,"logger":"controller-runtime.manager.controller.memcached-controller","msg":"Starting workers","worker count":4}
5.4.6.4.2. ログでの Ansible のすべての結果の有効化
環境変数 ANSIBLE_DEBUG_LOGS
を True
に設定すると、Ansible のすべての結果をログで確認できるようになります。これはデバッグの際に役立ちます。
手順
config/manager/manager.yaml
ファイルおよびconfig/default/manager_auth_proxy_patch.yaml
ファイルを編集し、以下の設定を追加します。containers: - name: manager env: - name: ANSIBLE_DEBUG_LOGS value: "True"
5.4.6.4.3. ログでの詳細デバッグの有効化
Ansible ベースの Operator の開発中は、ログでの追加のデバッグの有効化が役立つ場合があります。
手順
ansible.sdk.operatorframework.io/verbosity
アノテーションをカスタムリソースに追加して、必要な詳細レベルを有効にします。以下に例を示します。apiVersion: "cache.example.com/v1alpha1" kind: "Memcached" metadata: name: "example-memcached" annotations: "ansible.sdk.operatorframework.io/verbosity": "4" spec: size: 4
5.4.7. カスタムリソースのステータス管理
5.4.7.1. Ansible ベースの Operator でのカスタムリソースのステータスについて
Ansible ベースの Operator は、以前の Ansible 実行に関する一般的な情報を使用して、カスタムリソース (CR) ステータス
サブリソース を自動的に更新します。これには、以下のように成功したタスクおよび失敗したタスクの数と関連するエラーメッセージが含まれます。
status: conditions: - ansibleResult: changed: 3 completion: 2018-12-03T13:45:57.13329 failures: 1 ok: 6 skipped: 0 lastTransitionTime: 2018-12-03T13:45:57Z message: 'Status code was -1 and not [200]: Request failed: <urlopen error [Errno 113] No route to host>' reason: Failed status: "True" type: Failure - lastTransitionTime: 2018-12-03T13:46:13Z message: Running reconciliation reason: Running status: "True" type: Running
さらに Ansible ベースの Operator は、Operator の作成者が operator_sdk.util
コレクション に含まれる k8s_status
Ansible モジュールでカスタムのステータス値を指定できるようにします。これにより、作成者は必要に応じ、任意のキー/値のペアを使って Ansible から status
を更新できます。
デフォルトでは、Ansible ベースの Operator には、上記のように常に汎用的な Ansible 実行出力が含まれます。アプリケーションのステータスが Ansible 出力で更新 されない ようにする必要がある場合は、アプリケーションからステータスを手動で追跡することができます。
5.4.7.2. カスタムリソースステータスの手動による追跡
operator_sdk.util
コレクションを使用して Ansible ベースの Operator を変更し、アプリケーションからカスタムリソース (CR) ステータスを手動で追跡できます。
前提条件
- Operator SDK を使用して Ansible ベースの Operator プロジェクトが作成済みである。
手順
manageStatus
フィールドをfalse
に設定してwatches.yaml
ファイルを更新します。- version: v1 group: api.example.com kind: <kind> role: <role> manageStatus: false
operator_sdk.util.k8s_status
Ansible モジュールを使用して、サブリソースを更新します。たとえば、キーtest
および値data
を使用して更新するには、operator_sdk.util
を以下のように使用することができます。- operator_sdk.util.k8s_status: api_version: app.example.com/v1 kind: <kind> name: "{{ ansible_operator_meta.name }}" namespace: "{{ ansible_operator_meta.namespace }}" status: test: data
スキャフォールディングされた Ansible ベースの Operator に含まれるロールの
meta/main.yml
ファイルで、コレクションを宣言することができます。collections: - operator_sdk.util
ロールのメタでコレクションを宣言すると、
k8s_status
モジュールを直接起動することができます。k8s_status: ... status: key1: value1
5.5. Helm ベースの Operator
5.5.1. Helm ベースの Operator の Operator SDK の使用を開始する
Operator プロジェクトを生成するための Operator SDK には、Go コードを作成せずに Kubernetes リソースを統一されたアプリケーションとしてデプロイするために、既存の Helm チャートを使用するオプションがあります。
Operator SDK によって提供されるツールおよびライブラリーを使用して Helm ベースの Operator をセットアップし、実行するための基本を示すには、Operator 開発者は Helm ベースの Nginx Operator のサンプルをビルドし、これをクラスターへデプロイすることができます。
5.5.1.1. 前提条件
- Operator SDK CLI がインストールされていること。
-
OpenShift CLI (
oc
) v4.7+ がインストールされていること。 -
cluster-admin
パーミッションを持つアカウントを使用して、oc
で OpenShift Container Platform 4.7 クラスターにログインしていること。 - クラスターがイメージをプルできるようにするには、イメージをプッシュするリポジトリーを public として設定するか、またはイメージプルシークレットを設定する必要があります。
5.5.1.2. Helm ベースの Operator の作成とデプロイ
Operator SDK を使用して Nginx の単純な Helm ベースの Operator をビルドし、デプロイできます。
手順
プロジェクトを作成します。
プロジェクトディレクトリーを作成します。
$ mkdir nginx-operator
プロジェクトディレクトリーに移動します。
$ cd nginx-operator
helm
プラグインを指定してoperator-sdk init
コマンドを実行し、プロジェクトを初期化します。$ operator-sdk init \ --plugins=helm
API を作成します。
単純な Nginx API を作成します。
$ operator-sdk create api \ --group demo \ --version v1 \ --kind Nginx
この API は、
helm create
コマンドでビルトインの Helm チャートボイラープレートを使用します。Operator イメージをビルドし、プッシュします。
デフォルトの
Makefile
ターゲットを使用して Operator をビルドし、プッシュします。プッシュ先となるレジストリーを使用するイメージのプル仕様を使用してIMG
を設定します。$ make docker-build docker-push IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
Operator を実行します。
CRD をインストールします。
$ make install
プロジェクトをクラスターにデプロイします。
IMG
をプッシュしたイメージに設定します。$ make deploy IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
SCC(Security Context Constraints) を追加します。
Nginx サービスアカウントには、OpenShift Container Platform で実行する特権アクセスが必要です。以下の SCC を
nginx-sample
Pod のサービスアカウントに追加します。$ oc adm policy add-scc-to-user \ anyuid system:serviceaccount:nginx-operator-system:nginx-sample
サンプルカスタムリソース (CR) を作成します。
サンプル CR を作成します。
$ oc apply -f config/samples/demo_v1_nginx.yaml \ -n nginx-operator-system
Operator を調整する CR を確認します。
$ oc logs deployment.apps/nginx-operator-controller-manager \ -c manager \ -n nginx-operator-system
クリーンアップします。
以下のコマンドを実行して、この手順の一部として作成されたリソースをクリーンアップします。
$ make undeploy
5.5.1.3. 次のステップ
- Helm ベースの Operator のビルドに関する詳細な手順は、Helm ベースの Operator の Operator SDK チュートリアル を参照してください。
5.5.2. Helm ベースの Operator の Operator SDK チュートリアル
Operator 開発者は、Operator SDK での Helm のサポートを利用して、Helm ベースの Nginx Operator のサンプルをビルドし、そのライフサイクルを管理することができます。このチュートリアルでは、以下のプロセスについて説明します。
- Nginx デプロイメントの作成
-
デプロイメントのサイズが、
Nginx
カスタムリソース (CR) 仕様で指定されたものと同じであることを確認します。 -
ステータスライターを使用して、
Nginx
CR ステータスをnginx
Pod の名前で更新します。
このプロセスは、Operator Framework の 2 つの重要な設定要素を使用して実行されます。
- Operator SDK
-
operator-sdk
CLI ツールおよびcontroller-runtime
ライブラリー API - Operator Lifecycle Manager (OLM)
- クラスター上の Operator のインストール、アップグレード、ロールベースのアクセス制御 (RBAC)
このチュートリアルでは、Helm ベースの Operator の Operator SDK の使用を開始する よりも詳細に説明します。
5.5.2.1. 前提条件
- Operator SDK CLI がインストールされていること。
-
OpenShift CLI (
oc
) v4.7+ がインストールされていること。 -
cluster-admin
パーミッションを持つアカウントを使用して、oc
で OpenShift Container Platform 4.7 クラスターにログインしていること。 - クラスターがイメージをプルできるようにするには、イメージをプッシュするリポジトリーを public として設定するか、またはイメージプルシークレットを設定する必要があります。
5.5.2.2. プロジェクトの作成
Operator SDK CLI を使用して nginx-operator
というプロジェクトを作成します。
手順
プロジェクトのディレクトリーを作成します。
$ mkdir -p $HOME/projects/nginx-operator
ディレクトリーに切り替えます。
$ cd $HOME/projects/nginx-operator
helm
プラグインを指定してoperator-sdk init
コマンドを実行し、プロジェクトを初期化します。$ operator-sdk init \ --plugins=helm \ --domain=example.com \ --group=demo \ --version=v1 \ --kind=Nginx
注記デフォルトで、
helm
プラグインは、ボイラープレート Helm チャートを使用してプロジェクトを初期化します。--helm-chart
フラグなどの追加のフラグを使用すると、既存の Helm チャートを使用してプロジェクトを初期化できます。init
コマンドは、API バージョンexample.com/v1
および KindNginx
でのリソースの監視に特化したnginx-operator
プロジェクトを作成します。-
Helm ベースのプロジェクトの場合、
init
コマンドは、チャートのデフォルトマニフェストによってデプロイされるリソースに基づいてconfig/rbac/role.yaml
ファイルに RBAC ルールを生成します。このファイルで生成されるルールが Operator のパーミッション要件を満たしていることを確認します。
5.5.2.2.1. 既存の Helm チャート
ボイラープレート Helm チャートでプロジェクトを作成する代わりに、以下のフラグを使用してローカルファイルシステムまたはリモートチャートリポジトリーから既存のチャートを使用することもできます。
-
--helm-chart
-
--helm-chart-repo
-
--helm-chart-version
--helm-chart
フラグを指定すると、--group
、--version
、および --kind
フラグは任意となります。未設定のままにすると、以下のデフォルト値が使用されます。
フラグ | 値 |
---|---|
|
|
|
|
|
|
| 指定されたチャートからの推定値。 |
--helm-chart
フラグがローカルチャートアーカイブ (例: example-chart-1.2.0.tgz
) またはディレクトリーを指定する場合、チャートは検証され、プロジェクトに展開されるかコピーされます。そうでない場合は、Operator SDK はリモートリポジトリーからチャートの取得を試みます。
--helm-chart-repo
フラグでカスタムリポジトリーの URL が指定されない場合には、以下のチャート参照形式がサポートされます。
フォーマット | 説明 |
---|---|
|
|
| 指定された URL で Helm チャートアーカイブを取得します。 |
カスタムリポジトリーの URL が --helm-chart-repo
によって指定される場合、以下のチャート参照形式がサポートされます。
フォーマット | 説明 |
---|---|
|
|
--helm-chart-version
フラグが設定されていない場合は、Operator SDK は Helm チャートの利用可能な最新バージョンを取得します。フラグが設定されている場合は、指定したバージョンを取得します。--helm-chart
フラグで指定したチャートが特定のバージョンを参照する場合 (例: ローカルパスまたは URL の場合)、オプションの --helm-chart-version
フラグは使用されません。
詳細と例を確認するには、以下のコマンドを実行します。
$ operator-sdk init --plugins helm --help
5.5.2.2.2. PROJECT ファイル
operator-sdk init
コマンドで生成されるファイルの 1 つに、Kubebuilder の PROJECT
ファイルがあります。プロジェクトルートから実行される後続の operator-sdk
コマンドおよび help
出力は、このファイルを読み取り、プロジェクトタイプが Helm であることを認識しています。以下に例を示します。
domain: example.com layout: helm.sdk.operatorframework.io/v1 projectName: helm-operator resources: - group: demo kind: Nginx version: v1 version: 3-alpha
5.5.2.3. Operator ロジックについて
この例では、nginx-operator
はそれぞれの Nginx
カスタムリソース (CR) について以下の調整 (reconciliation) ロジックを実行します。
- Nginx デプロイメントを作成します (ない場合)。
- Nginx サービスを作成します (ない場合)。
- Nginx Ingress を作成します (有効にされているが存在しない場合)。
-
デプロイメント、サービス、およびオプションの Ingress が
Nginx
CR で指定される必要な設定 (レプリカ数、イメージ、サービスタイプなど) に一致することを確認します。
デフォルトで、nginx-operator
プロジェクトは、watches.yaml
ファイルに示されるように Nginx
リソースイベントを監視し、指定されたチャートを使用して Helm リリースを実行します。
# Use the 'create api' subcommand to add watches to this file. - group: demo version: v1 kind: Nginx chart: helm-charts/nginx # +kubebuilder:scaffold:watch
5.5.2.3.1. Helm チャートのサンプル
Helm Operator プロジェクトの作成時に、Operator SDK は、単純な Nginx リリース用のテンプレートセットが含まれる Helm チャートのサンプルを作成します。
この例では、Helm チャート開発者がリリースについての役立つ情報を伝えるために使用する NOTES.txt
テンプレートと共に、デプロイメント、サービス、および Ingress リソース用にテンプレートを利用できます。
Helm チャートの使用に慣れていない場合は、Helm 開発者用のドキュメント を参照してください。
5.5.2.3.2. カスタムリソース仕様の変更
Helm は 値 (value) という概念を使用して、values.yaml
ファイルに定義される Helm チャートのデフォルトをカスタマイズします。
カスタムリソース (CR) 仕様に必要な値を設定し、これらのデフォルトを上書きすることができます。例としてレプリカ数を使用することができます。
手順
helm-charts/nginx/values.yaml
ファイルには、デフォルトでreplicaCount
という名前の値が1
に設定されています。デプロイメントに 2 つの Nginx インスタンスを設定するには、CR 仕様にreplicaCount: 2
が含まれる必要があります。config/samples/demo_v1_nginx.yaml
ファイルを編集し、replicaCount: 2
を設定します。apiVersion: demo.example.com/v1 kind: Nginx metadata: name: nginx-sample ... spec: ... replicaCount: 2
同様に、デフォルトのサービスポートは
80
に設定されます。8080
を使用するには、config/samples/demo_v1_nginx.yaml
ファイルを編集し、spec.port: 8080
を設定します。これにより、サービスポートの上書きが追加されます。apiVersion: demo.example.com/v1 kind: Nginx metadata: name: nginx-sample spec: replicaCount: 2 service: port: 8080
Helm Operator は、helm install -f ./overrides.yaml
コマンドのように、仕様全体を values ファイルの内容のように適用します。
5.5.2.4. Operator の実行
Operator SDK CLI を使用して Operator をビルドし、実行する方法は 3 つあります。
- クラスター外で Go プログラムとしてローカルに実行します。
- クラスター上のデプロイメントとして実行します。
- Operator をバンドルし、Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用してクラスター上にデプロイします。
5.5.2.4.1. クラスター外でローカルに実行する。
Operator プロジェクトをクラスター外の Go プログラムとして実行できます。これは、デプロイメントとテストを迅速化するという開発目的において便利です。
手順
以下のコマンドを実行して、
~/.kube/config
ファイルに設定されたクラスターにカスタムリソース定義 (CRD) をインストールし、Operator をローカルで実行します。$ make install run
出力例
... {"level":"info","ts":1612652419.9289865,"logger":"controller-runtime.metrics","msg":"metrics server is starting to listen","addr":":8080"} {"level":"info","ts":1612652419.9296563,"logger":"helm.controller","msg":"Watching resource","apiVersion":"demo.example.com/v1","kind":"Nginx","namespace":"","reconcilePeriod":"1m0s"} {"level":"info","ts":1612652419.929983,"logger":"controller-runtime.manager","msg":"starting metrics server","path":"/metrics"} {"level":"info","ts":1612652419.930015,"logger":"controller-runtime.manager.controller.nginx-controller","msg":"Starting EventSource","source":"kind source: demo.example.com/v1, Kind=Nginx"} {"level":"info","ts":1612652420.2307851,"logger":"controller-runtime.manager.controller.nginx-controller","msg":"Starting Controller"} {"level":"info","ts":1612652420.2309358,"logger":"controller-runtime.manager.controller.nginx-controller","msg":"Starting workers","worker count":8}
5.5.2.4.2. サポートされるイメージを使用する Operator の準備
Helm ベースの Operator を OpenShift Container Platform で実行する前に、サポートされるイメージを使用するようにプロジェクトを更新します。
手順
プロジェクトの root レベルの Dockerfile をサポートされるイメージを使用するように更新します。以下のデフォルトのビルダーイメージの参照を変更します。
FROM quay.io/operator-framework/helm-operator:v1.3.0
以下のように変更してください。
FROM registry.redhat.io/openshift4/ose-helm-operator:v4.7
重要Operator SDK バージョンに一致するビルダーイメージのバージョンを使用します。これを実行できないと、プロジェクトのレイアウトまたは スキャフォールディング による問題や、とくに Operator SDK の新規アップストリームバージョンをダウンストリームの OpenShift Container Platform ビルダーイメージと組み合わせて使用する場合に差異による問題が生じる可能性があります。
config/default/manager_auth_proxy_patch.yaml
ファイルで、以下のimage
の値を変更します。gcr.io/kubebuilder/kube-rbac-proxy:<tag>
サポートされるイメージを使用するには、以下へ変更します。
registry.redhat.io/openshift4/ose-kube-rbac-proxy:v4.7
5.5.2.4.3. クラスター上でのデプロイメントとしての実行
Operator プロジェクトは、クラスター上でのデプロイメントとして実行することができます。
手順
以下の
make
コマンドを実行して Operator イメージをビルドし、プッシュします。以下の手順のIMG
引数を変更して、アクセス可能なリポジトリーを参照します。Quay.io などのリポジトリーサイトにコンテナーを保存するためのアカウントを取得できます。イメージをビルドします。
$ make docker-build IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
注記Operator の SDK によって生成される Dockerfile は、
go build
についてGOARCH=amd64
を明示的に参照します。これは、AMD64 アーキテクチャー以外の場合はGOARCH=$TARGETARCH
に修正できます。Docker は、-platform
で指定された値に環境変数を自動的に設定します。Buildah では、そのために-build-arg
を使用する必要があります。詳細は、Multiple Architectures を参照してください。イメージをリポジトリーにプッシュします。
$ make docker-push IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
注記両方のコマンドのイメージの名前とタグ (例:
IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
) を Makefile に設定することもできます。IMG ?= controller:latest
の値を変更して、デフォルトのイメージ名を設定します。
以下のコマンドを実行して Operator をデプロイします。
$ make deploy IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
デフォルトで、このコマンドは
<project_name>-system
の形式で Operator プロジェクトの名前で namespace を作成し、デプロイメントに使用します。このコマンドは、config/rbac
から RBAC マニフェストもインストールします。Operator が実行されていることを確認します。
$ oc get deployment -n <project_name>-system
出力例
NAME READY UP-TO-DATE AVAILABLE AGE <project_name>-controller-manager 1/1 1 1 8m
5.5.2.4.4. Operator のバンドルおよび Operator Lifecycle Manager を使用したデプロイ
Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Kubernetes クラスターで Operator (およびそれらの関連サービス) をインストールし、更新し、通常はライフサイクルを管理するのに役立ちます。OLM はデフォルトで OpenShift Container Platform にインストールされ、Kubernetes 拡張として実行されるため、追加のツールなしにすべての Operator のライフサイクル管理機能に Web コンソールおよび OpenShift CLI (oc
) を使用できます。
Operator Bundle Format は、Operator SDK および OLM のデフォルトパッケージ方法です。Operator SDK を使用して OLM に対して Operator を準備し、OLM を使用してバンドルイメージをビルド、プッシュ、検証、および実行することができます。
前提条件
- 開発ワークステーションに Operator SDK CLI がインストールされていること。
-
OpenShift CLI (
oc
) v4.7+ がインストールされていること。 -
(OpenShift Container Platform 4.7 など、
apiextensions.k8s.io/v1
CRD を使用する場合は v1.16.0 以降の) Kubernetes ベースのクラスターに Operator Lifecycle Manager (OLM) がインストールされていること。 -
cluster-admin
パーミッションのあるアカウントを使用してoc
でクラスターへログインしていること。 - Operator プロジェクトが Operator SDK を使用して初期化されていること。
手順
以下の
make
コマンドを Operator プロジェクトディレクトリーで実行し、Operator イメージをビルドし、プッシュします。以下の手順のIMG
引数を変更して、アクセス可能なリポジトリーを参照します。Quay.io などのリポジトリーサイトにコンテナーを保存するためのアカウントを取得できます。イメージをビルドします。
$ make docker-build IMG=<registry>/<user>/<operator_image_name>:<tag>
注記Operator の SDK によって生成される Dockerfile は、
go build
についてGOARCH=amd64
を明示的に参照します。これは、AMD64 アーキテクチャー以外の場合はGOARCH=$TARGETARCH
に修正できます。Docker は、-platform
で指定された値に環境変数を自動的に設定します。Buildah では、そのために-build-arg
を使用する必要があります。詳細は、Multiple Architectures を参照してください。イメージをリポジトリーにプッシュします。
$ make docker-push IMG=<registry>/<user>/<operator_image_name>:<tag>
Operator SDK
generate bundle
およびbundle validate
のサブコマンドを含む複数のコマンドを呼び出すmake bundle
コマンドを実行し、Operator バンドルマニフェストを作成します。$ make bundle IMG=<registry>/<user>/<operator_image_name>:<tag>
Operator のバンドルマニフェストは、アプリケーションを表示し、作成し、管理する方法を説明します。
make bundle
コマンドは、以下のファイルおよびディレクトリーを Operator プロジェクトに作成します。-
ClusterServiceVersion
オブジェクトを含むbundle/manifests
という名前のバンドルマニフェストディレクトリー -
bundle/metadata
という名前のバンドルメタデータディレクトリー -
config/crd
ディレクトリー内のすべてのカスタムリソース定義 (CRD) -
Dockerfile
bundle.Dockerfile
続いて、これらのファイルは
operator-sdk bundle validate
を使用して自動的に検証され、ディスク上のバンドル表現が正しいことを確認します。-
以下のコマンドを実行し、バンドルイメージをビルドしてプッシュします。OLM は、1 つ以上のバンドルイメージを参照するインデックスイメージを使用して Operator バンドルを使用します。
バンドルイメージをビルドします。イメージをプッシュしようとするレジストリー、ユーザー namespace、およびイメージタグの詳細で
BUNDLE_IMAGE
を設定します。$ make bundle-build BUNDLE_IMG=<registry>/<user>/<bundle_image_name>:<tag>
バンドルイメージをプッシュします。
$ docker push <registry>/<user>/<bundle_image_name>:<tag>
以下の Operator SDK コマンドを使用して、クラスターで OLM のステータスを確認します。
$ operator-sdk olm status \ --olm-namespace=openshift-operator-lifecycle-manager
Operator SDK で OLM 統合を使用して、クラスターで Operator を実行します。
$ operator-sdk run bundle \ [-n <namespace>] \1 <registry>/<user>/<bundle_image_name>:<tag>
- 1
- デフォルトで、このコマンドは
~/.kube/config
ファイルの現在アクティブなプロジェクトに Operator をインストールします。-n
フラグを追加して、インストールに異なる namespace スコープを設定できます。
このコマンドは、以下の操作を実行します。
- バンドルイメージをインジェクトしてインデックスイメージを作成します。
- 新規インデックスイメージを参照するカタログソースを作成します。これにより、OperatorHub が Operator を検出できるようになります。
- Operator グループ、サブスクリプション、インストール計画、および RBAC を含むその他の必要なオブジェクトすべてを作成して、Operator をクラスターにデプロイします。
5.5.2.5. カスタムリソースの作成
Operator のインストール後に、Operator によってクラスターに提供されるカスタムリソース (CR) を作成して、これをテストできます。
前提条件
-
クラスターにインストールされている
Nginx
CR を提供する Nginx Operator の例
手順
Operator がインストールされている namespace へ変更します。たとえば、
make deploy
コマンドを使用して Operator をデプロイした場合は、以下のようになります。$ oc project nginx-operator-system
config/samples/demo_v1_nginx.yaml
でNginx
CR マニフェストのサンプルを編集し、以下の仕様が含まれるようにします。apiVersion: demo.example.com/v1 kind: Nginx metadata: name: nginx-sample ... spec: ... replicaCount: 3
Nginx サービスアカウントには、OpenShift Container Platform で実行する特権アクセスが必要です。以下の SCC(Security Context Constraints) を
nginx-sample
Pod のサービスアカウントに追加します。$ oc adm policy add-scc-to-user \ anyuid system:serviceaccount:nginx-operator-system:nginx-sample
CR を作成します。
$ oc apply -f config/samples/demo_v1_nginx.yaml
Nginx
Operator が、正しいサイズで CR サンプルのデプロイメントを作成することを確認します。$ oc get deployments
出力例
NAME READY UP-TO-DATE AVAILABLE AGE nginx-operator-controller-manager 1/1 1 1 8m nginx-sample 3/3 3 3 1m
ステータスが Nginx Pod 名で更新されていることを確認するために、Pod および CR ステータスを確認します。
Pod を確認します。
$ oc get pods
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE nginx-sample-6fd7c98d8-7dqdr 1/1 Running 0 1m nginx-sample-6fd7c98d8-g5k7v 1/1 Running 0 1m nginx-sample-6fd7c98d8-m7vn7 1/1 Running 0 1m
CR ステータスを確認します。
$ oc get nginx/nginx-sample -o yaml
出力例
apiVersion: demo.example.com/v1 kind: Nginx metadata: ... name: nginx-sample ... spec: replicaCount: 3 status: nodes: - nginx-sample-6fd7c98d8-7dqdr - nginx-sample-6fd7c98d8-g5k7v - nginx-sample-6fd7c98d8-m7vn7
デプロイメントサイズを更新します。
config/samples/demo_v1_nginx.yaml
ファイルを更新して、Nginx
CR のspec.size
フィールドを3
から5
に変更します。$ oc patch nginx nginx-sample \ -p '{"spec":{"replicaCount": 5}}' \ --type=merge
Operator がデプロイメントサイズを変更することを確認します。
$ oc get deployments
出力例
NAME READY UP-TO-DATE AVAILABLE AGE nginx-operator-controller-manager 1/1 1 1 10m nginx-sample 5/5 5 5 3m
このチュートリアルの一環として作成したリソースをクリーンアップします。
Operator のテストに
make deploy
コマンドを使用した場合は、以下のコマンドを実行します。$ make undeploy
Operator のテストに
operator-sdk run bundle
コマンドを使用した場合は、以下のコマンドを実行します。$ operator-sdk cleanup <project_name>
5.5.2.6. 関連情報
- Operator SDK によって作成されるディレクトリー構造の詳細は、Helm ベースの Operator のプロジェクトレイアウト を参照してください。
5.5.3. Helm ベースの Operator のプロジェクトレイアウト
operator-sdk
CLI は、各 Operator プロジェクトに多数のパッケージおよびファイルを生成、または スキャフォールディング することができます。
5.5.3.1. Helm ベースのプロジェクトレイアウト
operator-sdk init --plugins helm
コマンドを使用して生成される Helm ベースの Operator プロジェクトには、以下のディレクトリーおよびファイルが含まれます。
ファイル/フォルダー | 目的 |
---|---|
| Kubernetes クラスターへの Operator のデプロイに使用する Kustomize マニフェスト。 |
|
|
|
|
| group/version/kind (GVK) および Helm チャートの場所。 |
| プロジェクトの管理に使用するターゲット。 |
| Operator のメタデータ情報が含まれる YAML ファイル。 |
5.5.4. Operator SDK での Helm サポート
5.5.4.1. Helm チャート
Operator プロジェクトを生成するための Operator SDK のオプションの 1 つとして、Go コードを作成せずに既存の Helm チャートを使用して Kubernetes リソースを統一されたアプリケーションとしてデプロイするオプションがあります。このような Helm ベースの Operator では、変更はチャートの一部として生成される Kubernetes オブジェクトに適用されるため、ロールアウト時にロジックをほとんど必要としないステートレスなアプリケーションを使用する際に適しています。いくらか制限があるような印象を与えるかもしれませんが、Kubernetes コミュニティーがビルドする Helm チャートが急速に増加していることからも分かるように、この Operator は数多くのユーザーケースに対応することができます。
Operator の主な機能として、アプリケーションインスタンスを表すカスタムオブジェクトから読み取り、必要な状態を実行されている内容に一致させることができます。Helm ベース Operator の場合、オブジェクトの spec
フィールドは、通常 Helm の values.yaml
ファイルに記述される設定オプションの一覧です。Helm CLI を使用してフラグ付きの値を設定する代わりに (例: helm install -f values.yaml
)、これらをカスタムリソース (CR) 内で表現することができます。 これにより、ネイティブ Kubernetes オブジェクトとして、適用される RBAC および監査証跡の利点を活用できます。
Tomcat
という単純な CR の例:
apiVersion: apache.org/v1alpha1 kind: Tomcat metadata: name: example-app spec: replicaCount: 2
この場合の replicaCount
値、2
は以下が使用されるチャートのテンプレートに伝播されます。
{{ .Values.replicaCount }}
Operator のビルドおよびデプロイ後に、CR の新規インスタンスを作成してアプリケーションの新規インスタンスをデプロイしたり、 oc
コマンドを使用してすべての環境で実行される異なるインスタンスを一覧表示したりすることができます。
$ oc get Tomcats --all-namespaces
Helm CLI を使用したり、Tiller をインストールしたりする必要はありません。Helm ベースの Operator はコードを Helm プロジェクトからインポートします。Operator のインスタンスを実行状態にし、カスタムリソース定義 (CRD) で CR を登録することのみが必要になります。これは RBAC に準拠するため、実稼働環境の変更を簡単に防止することができます。
5.6. クラスターサービスバージョン (CSV) の定義
クラスターサービスバージョン (CSV) は、ClusterServiceVersion
オブジェクトで定義され、Operator Lifecycle Manager (OLM) によるクラスターでの Operator の実行をサポートする Operator メタデータから作成される YAML マニフェストです。これは、ユーザーインターフェイスにロゴ、説明、およびバージョンなどの情報を設定するために使用される Operator コンテナーイメージに伴うメタデータです。CSV は、Operator が必要とする RBAC ルールやそれが管理したり、依存したりするカスタムリソース (CR) などの Operator の実行に必要な技術情報の情報源でもあります。
Operator SDK には、YAML マニフェストおよび Operator ソースファイルに含まれる情報を使用してカスタマイズされた現行 Operator プロジェクトの CSV を生成するための CSV ジェネレーターが含まれます。
CSV で生成されるコマンドにより、Operator の作成者が OLM について詳しく知らなくても、Operator は OLM と対話したり、メタデータをカタログレジストリーに公開したりできます。また、Kubernetes および OLM の新機能が実装される過程で CSV 仕様が変更される可能性が高いため、Operator SDK はその後の新規 CSV 機能を処理できるように更新システムを容易に拡張できるようになっています。
5.6.1. CSV 生成の仕組み
クラスターサービスバージョン (CSV) を含む Operator バンドルマニフェストは、Operator Lifecycle Manager (OLM) でアプリケーションを表示、作成、および管理する方法を説明します。generate bundle
サブコマンドによって呼び出される Operator SDK の CSV ジェネレーターは、Operator をカタログに公開し、これを OLM でデプロイする最初の手順になります。サブコマンドには、CSV マニフェストを作成するための特定の入力マニフェストが必要です。すべての入力は、コマンドが CSV ベースと共に呼び出される際に読み取られ、べき等性で CSV を生成したり、再生成したりします。
通常は、generate kustomize manifests
サブコマンドが最初に実行され、generate bundle
サブコマンドで使用される入力された Kustomize ベースを生成します。ただし、Operator SDK は make bundle
コマンドを提供します。これは、以下のサブコマンドを順番に実行するなどの複数のタスクを自動化します。
-
generate kustomize manifests
-
generate bundle
-
bundle validate
関連情報
- バンドルと CSV の生成を含む詳細な手順については、Operator のバンドルおよび Operator Lifecycle Manager を使用したデプロイ を参照してください。
5.6.1.1. 生成されるファイルおよびリソース
make bundle
コマンドは、以下のファイルおよびディレクトリーを Operator プロジェクトに作成します。
-
ClusterServiceVersion
(CSV) オブジェクトを含むbundle/manifests
という名前のバンドルマニフェストディレクトリー -
bundle/metadata
という名前のバンドルメタデータディレクトリー -
config/crd
ディレクトリー内のすべてのカスタムリソース定義 (CRD) -
Dockerfile
bundle.Dockerfile
通常、以下のリソースは CSV に含まれます。
- ロール
- namespace 内で Operator パーミッションを定義します。
- ClusterRole
- クラスター全体の Operator パーミッションを定義します。
- デプロイメント
- Operator のオペランドが Pod で実行される方法を定義します。
- CustomResourceDefinition (CRD)
- Operator が調整するカスタムリソースを定義します。
- カスタムリソースの例
- 特定の CRD の仕様に従ったリソースの例。
5.6.1.2. バージョンの管理
generate bundle
サブコマンドの --version
フラグは、バンドルの初回作成時および既存バンドルのアップグレード時に、バンドルのセマンティックバージョンを提供します。
Makefile
に VERSION
変数を設定することで、--version
フラグは、generate bundle
サブコマンドが make bundle
コマンドによって実行される際に、値を使用して自動的に呼び出されます。CSV バージョンは Operator のバージョンと同じであり、新規 CSV は Operator バージョンのアップグレード時に生成されます。
5.6.2. 手動で定義される CSV フィールド
多くの CSV フィールドは、生成された、Operator SDK に特化していない汎用マニフェストを使用して設定することはできません。これらのフィールドは、ほとんどの場合、Operator および各種のカスタムリソース定義 (CRD) に関する人間が作成するメタデータです。
Operator 作成者はそれらのクラスターサービスバージョン (CSV) YAML ファイルを直接変更する必要があり、パーソナライズ設定されたデータを以下の必須フィールドに追加します。Operator SDK は、必須フィールドのいずれかにデータが欠落していることが検出されると、CSV 生成時に警告を送信します。
以下の表は、手動で定義された CSV フィールドのうち、必須フィールドとオプションフィールドについて詳細に示しています。
フィールド | 説明 |
---|---|
|
CSV の固有名。Operator バージョンは、 |
|
Operator の成熟度モデルに応じた機能レベル。オプションには、 |
| Operator を識別するためのパブリック名。 |
| Operator の機能についての簡単な説明。 |
| Operator について記述するキーワード。 |
|
|
|
|
| Operator 内部で使用されるキー/値のペア。 |
|
Operator のセマンティクスバージョン。 例: |
|
Operator が使用する任意の CRD。このフィールドは、CRD YAML ファイルが
|
フィールド | 説明 |
---|---|
| この CSV によって置き換えられる CSV の名前。 |
|
それぞれが |
| Operator がクラスターでのリソースのペアの作成に使用するセレクター。 |
|
|
|
このバージョンでソフトウェアが達成した成熟度。オプションに、 |
上記の各フィールドが保持するデータについての詳細は、CSV spec を参照してください。
現時点で、ユーザーの介入を必要とするいくつかの YAML フィールドは、Operator コードから解析される可能性があります。
関連情報
5.6.2.1. Operator メタデータアノテーション
Operator 開発者は、クラスターサービスバージョン (CSV) のメタデータで特定のアノテーションを手動で定義し、OperatorHub などのユーザーインターフェイス (UI) の機能を有効にしたり、機能を強調したりできます。
以下の表は、metadata.annotations
フィールドを使用して、手動で定義できる Operator メタデータアノテーションを一覧表示しています。
フィールド | 説明 |
---|---|
| カスタムリソース定義 (CRD) テンプレートに最低限の設定セットを指定します。互換性のある UI は、ユーザーがさらにカスタマイズできるようにこのテンプレートの事前入力を行います。 |
| Operator のインストール時に作成する必要のある単一の必要なカスタムリソースを指定します。完全な YAML 定義が含まれるテンプレートを含める必要があります。 |
| Operator をデプロイする必要のある推奨 namespace を設定します。 |
| Operator によってサポートされるインフラストラクチャー機能。ユーザーは、Web コンソールで OperatorHub を使用して Operator を検出する際に、これらの機能で表示してフィルターを実行できます。有効で、大文字と小文字が区別される値は以下のとおりです。
重要
FIPS 検証済み/進行中のモジュール (Modules in Process) 暗号ライブラリーの使用は、
|
|
Operator を使用するために必要とされる特定のサブスクリプションを一覧表示するための自由形式の配列です。例: |
| ユーザーの操作を目的としていない UI の CRD を非表示にします。 |
使用例
Operator は非接続およびプロキシー対応をサポートします
operators.openshift.io/infrastructure-features: '["disconnected", "proxy-aware"]'
Operator には OpenShift Container Platform ライセンスが必要です。
operators.openshift.io/valid-subscription: '["OpenShift Container Platform"]'
Operator には 3scale ライセンスが必要です
operators.openshift.io/valid-subscription: '["3Scale Commercial License", "Red Hat Managed Integration"]'
Operator は非接続およびプロキシー対応をサポートします。また、OpenShift Container Platform ライセンスが必要です。
operators.openshift.io/infrastructure-features: '["disconnected", "proxy-aware"]' operators.openshift.io/valid-subscription: '["OpenShift Container Platform"]'
5.6.3. ネットワークが制限された環境についての Operator の有効化
Operator の作成者は、Operator がネットワークが制限された環境、または非接続の環境で適切に実行されるよう追加要件を満たすことを確認する必要があります。
非接続モードをサポートするための Operator の要件
Operator のクラスターサービスバージョン (CSV) で以下を行います。
- Operator がそれらの機能を実行するために必要となる可能性のある 関連イメージ または他のコンテナーを一覧表示します。
- 指定されたすべてのイメージを、タグではなくダイジェスト (SHA) で参照します。
- Operator のすべての依存関係は、非接続モードでの実行もサポートする必要があります。
- Operator にはクラスター外のリソースは必要ありません。
CSV の要件については、Operator の作成者は以下の変更を加えることができます。
前提条件
- CSV を含む Operator プロジェクト
手順
Operator の CSV の 2 つの場所で関連するイメージへの SHA 参照を使用します。
spec.relatedImages
を更新します。... spec: relatedImages: 1 - name: etcd-operator 2 image: quay.io/etcd-operator/operator@sha256:d134a9865524c29fcf75bbc4469013bc38d8a15cb5f41acfddb6b9e492f556e4 3 - name: etcd-image image: quay.io/etcd-operator/etcd@sha256:13348c15263bd8838ec1d5fc4550ede9860fcbb0f843e48cbccec07810eebb68 ...
Operator が使用する必要のあるイメージを挿入する環境変数を宣言する際に、デプロイメントの
env
セクションを更新します。spec: install: spec: deployments: - name: etcd-operator-v3.1.1 spec: replicas: 1 selector: matchLabels: name: etcd-operator strategy: type: Recreate template: metadata: labels: name: etcd-operator spec: containers: - args: - /opt/etcd/bin/etcd_operator_run.sh env: - name: WATCH_NAMESPACE valueFrom: fieldRef: fieldPath: metadata.annotations['olm.targetNamespaces'] - name: ETCD_OPERATOR_DEFAULT_ETCD_IMAGE 1 value: quay.io/etcd-operator/etcd@sha256:13348c15263bd8838ec1d5fc4550ede9860fcbb0f843e48cbccec07810eebb68 2 - name: ETCD_LOG_LEVEL value: INFO image: quay.io/etcd-operator/operator@sha256:d134a9865524c29fcf75bbc4469013bc38d8a15cb5f41acfddb6b9e492f556e4 3 imagePullPolicy: IfNotPresent livenessProbe: httpGet: path: /healthy port: 8080 initialDelaySeconds: 10 periodSeconds: 30 name: etcd-operator readinessProbe: httpGet: path: /ready port: 8080 initialDelaySeconds: 10 periodSeconds: 30 resources: {} serviceAccountName: etcd-operator strategy: deployment
注記プローブの設定時に、
timeoutSeconds
値はperiodSeconds
の値よりも低い値である必要があります。timeoutSeconds
のデフォルト値は1
です。periodSeconds
のデフォルト値は10
です。
disconnected
アノテーションを追加します。これは、Operator が非接続環境で機能することを示します。metadata: annotations: operators.openshift.io/infrastructure-features: '["disconnected"]'
Operator は、このインフラストラクチャー機能によって OperatorHub でフィルターされます。
5.6.4. 複数のアーキテクチャーおよびオペレーティングシステム用の Operator の有効化
Operator Lifecycle Manager (OLM) では、すべての Operator が Linux ホストで実行されることを前提としています。ただし、Operator の作成者は、ワーカーノードが OpenShift Container Platform クラスターで利用可能な場合に、Operator が他のアーキテクチャーでのワークロードの管理をサポートするかどうかを指定できます。
Operator が AMD64 および Linux 以外のバリアントをサポートする場合、サポートされるバリアントを一覧表示するために Operator を提供するクラスターサービスバージョン (CSV) にラベルを追加できます。サポートされているアーキテクチャーとオペレーティングシステムを示すラベルは、以下で定義されます。
labels: operatorframework.io/arch.<arch>: supported 1 operatorframework.io/os.<os>: supported 2
デフォルトチャネルのチャネルヘッドにあるラベルのみが、パッケージマニフェストをラベルでフィルターする場合に考慮されます。たとえば、デフォルト以外のチャネルで Operator の追加アーキテクチャーを提供することは可能ですが、そのアーキテクチャーは PackageManifest
API でのフィルターには使用できません。
CSV に os
ラベルが含まれていない場合、これはデフォルトで以下の Linux サポートラベルが設定されているかのように処理されます。
labels: operatorframework.io/os.linux: supported
CSV に arch
ラベルが含まれていない場合、これはデフォルトで以下の AMD64 サポートラベルが設定されているかのように処理されます。
labels: operatorframework.io/arch.amd64: supported
Operator が複数のノードアーキテクチャーまたはオペレーティングシステムをサポートする場合、複数のラベルを追加することもできます。
前提条件
- CSV を含む Operator プロジェクト
- 複数のアーキテクチャーおよびオペレーティングシステムの一覧表示をサポートするには、CSV で参照される Operator イメージはマニフェスト一覧イメージである必要があります。
- Operator がネットワークが制限された環境または非接続環境で適切に機能できるようにするには、参照されるイメージは、タグではなくダイジェスト (SHA) を使用して指定される必要もあります。
手順
Operator がサポートするサポートされるアーキテクチャーおよびオペレーティングシステムのそれぞれについて CSV の
metadata.labels
にラベルを追加します。labels: operatorframework.io/arch.s390x: supported operatorframework.io/os.zos: supported operatorframework.io/os.linux: supported 1 operatorframework.io/arch.amd64: supported 2
関連情報
- マニフェストの一覧についての詳細は、Image Manifest V 2, Schema 2 仕様を参照してください。
5.6.4.1. Operator のアーキテクチャーおよびオペレーティングシステムのサポート
以下の文字列は、複数のアーキテクチャーおよびオペレーティングシステムをサポートする Operator のラベル付けまたはフィルター時に OpenShift Container Platform の Operator Lifecycle Manager (OLM) でサポートされます。
アーキテクチャー | 文字列 |
---|---|
AMD64 |
|
64 ビット PowerPC little-endian |
|
IBM Z |
|
オペレーティングシステム | 文字列 |
---|---|
Linux |
|
z/OS |
|
OpenShift Container Platform およびその他の Kubernetes ベースのディストリビューションの異なるバージョンは、アーキテクチャーおよびオペレーティングシステムの異なるセットをサポートする可能性があります。
5.6.5. 推奨される namespace の設定
Operator が正しく機能するには、一部の Operator を特定の namespace にデプロイするか、または特定の namespace で補助リソースと共にデプロイする必要があります。サブスクリプションから解決されている場合、Operator Lifecycle Manager (OLM) は Operator の namespace を使用したリソースをそのサブスクリプションの namespace にデフォルト設定します。
Operator の作成者は、必要なターゲット namespace をクラスターサービスバージョン (CSV) の一部として表現し、それらの Operator にインストールされるリソースの最終的な namespace の制御を維持できます。OperatorHub を使用して Operator をクラスターに追加する場合、Web コンソールはインストールプロセス時にクラスター管理者に提案される namespace を自動設定します。
手順
CSV で、
operatorframework.io/suggested-namespace
アノテーションを提案される namespace に設定します。metadata: annotations: operatorframework.io/suggested-namespace: <namespace> 1
- 1
- 提案された namespace を設定します。
5.6.6. Operator 条件の有効化
Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Operator を管理する一方で OLM の動作に影響を与える複雑な状態を通信するためのチャネルを Operator に提供します。デフォルトで、OLM は Operator のインストール時に OperatorCondition
カスタムリソース定義 (CRD) を作成します。OperatorCondition
カスタムリソース (CR) に設定される条件に基づいて、OLM の動作は随時変わります。
Operator 条件をサポートするには、Operator は OLM によって作成された OperatorCondition
CR を読み取ることができ、次のタスクを完了することができる必要があります。
- 特定の条件を取得します。
- 特定の条件のステータスを設定します。
これは、operator-lib
ライブラリーを使用して実行できます。Operator の作成者は、ライブラリーがクラスター内の Operator が所有する OperatorCondition
CR にアクセスできるように Operator に controller-runtime
クライアント を指定できます。
ライブラリーは汎用的な Conditions
インターフェイスを提供します。これには、OperatorCondition
CR で conditionType
の Get
および Set
を実行するための以下のメソッドがあります。
Get
-
特定の条件を取得するために、ライブラリーは
controller-runtime
のclient.Get
機能を使用します。これには、conditionAccessor
にあるタイプがtypes.NamespacedName
のObjectKey
が必要です。 Set
-
特定の条件のステータスを更新するために、ライブラリーは
controller-runtime
のclient.Update
機能を使用します。conditionType
が CRD にない場合、エラーが生じます。
Operator は CR の status
サブリソースのみを変更することができます。Operator は status.conditions
配列を削除したり、条件を追加できるようにこれを更新したりすることができます。条件にあるフィールドの形式および説明の詳細は、アップストリームの Condition GoDocs を参照してください。
Operator SDK v1.3.0 は operator-lib
v0.3.0 をサポートします。
前提条件
- Operator プロジェクトが Operator SDK を使用して生成されている。
手順
Operator プロジェクトで Operator 条件を有効にするには、以下を実行します。
Operator プロジェクトの
go.mod
ファイルで、operator-framework/operator-lib
を必要なライブラリーとして追加します。module github.com/example-inc/memcached-operator go 1.15 require ( k8s.io/apimachinery v0.19.2 k8s.io/client-go v0.19.2 sigs.k8s.io/controller-runtime v0.7.0 operator-framework/operator-lib v0.3.0 )
Operator ロジックに独自のコンストラクターを作成すると、次の結果が得られます。
-
controller-runtime
クライアントを許可します。 -
conditionType
を受け入れます。 -
条件を更新または追加する
Condition
インターフェイスを返します。
現時点で OLM は
Upgradeable
状態をサポートするため、Upgradeable
条件にアクセスするためのメソッドを持つインターフェイスを作成できます。以下に例を示します。import ( ... apiv1 "github.com/operator-framework/api/pkg/operators/v1" ) func NewUpgradeable(cl client.Client) (Condition, error) { return NewCondition(cl, "apiv1.OperatorUpgradeable") } cond, err := NewUpgradeable(cl);
この例では、
NewUpgradeable
コンストラクターが、タイプCondition
の変数cond
を使用するためにさらに使用されます。cond
変数には、OLM のUpgradeable
条件を処理するために使用できるGet
およびSet
メソッドが含まれます。-
関連情報
5.6.7. Webhook の定義
Webhook により、リソースがオブジェクトストアに保存され、Operator コントローラーによって処理される前に、Operator の作成者はリソースのインターセプト、変更、許可、および拒否を実行することができます。Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Operator と共に提供される際にこれらの Webhook のライフサイクルを管理できます。
Operator のクラスターサービスバージョン (CSV) リソースには、以下のタイプの Webhook を定義するために webhookdefinitions
セクションを含めることができます。
- 受付 Webhook (検証および変更用)
- 変換 Webhook
手順
webhookdefinitions
セクションを Operator の CSV のspec
セクションに追加し、type
としてValidatingAdmissionWebhook
、MutatingAdmissionWebhook
、またはConversionWebhook
を使用して Webhook 定義を追加します。以下の例には、3 つのタイプの Webhook がすべて含まれます。Webhook が含まれる CSV
apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: ClusterServiceVersion metadata: name: webhook-operator.v0.0.1 spec: customresourcedefinitions: owned: - kind: WebhookTest name: webhooktests.webhook.operators.coreos.io 1 version: v1 install: spec: deployments: - name: webhook-operator-webhook ... ... ... strategy: deployment installModes: - supported: false type: OwnNamespace - supported: false type: SingleNamespace - supported: false type: MultiNamespace - supported: true type: AllNamespaces webhookdefinitions: - type: ValidatingAdmissionWebhook 2 admissionReviewVersions: - v1beta1 - v1 containerPort: 443 targetPort: 4343 deploymentName: webhook-operator-webhook failurePolicy: Fail generateName: vwebhooktest.kb.io rules: - apiGroups: - webhook.operators.coreos.io apiVersions: - v1 operations: - CREATE - UPDATE resources: - webhooktests sideEffects: None webhookPath: /validate-webhook-operators-coreos-io-v1-webhooktest - type: MutatingAdmissionWebhook 3 admissionReviewVersions: - v1beta1 - v1 containerPort: 443 targetPort: 4343 deploymentName: webhook-operator-webhook failurePolicy: Fail generateName: mwebhooktest.kb.io rules: - apiGroups: - webhook.operators.coreos.io apiVersions: - v1 operations: - CREATE - UPDATE resources: - webhooktests sideEffects: None webhookPath: /mutate-webhook-operators-coreos-io-v1-webhooktest - type: ConversionWebhook 4 admissionReviewVersions: - v1beta1 - v1 containerPort: 443 targetPort: 4343 deploymentName: webhook-operator-webhook generateName: cwebhooktest.kb.io sideEffects: None webhookPath: /convert conversionCRDs: - webhooktests.webhook.operators.coreos.io 5 ...
関連情報
- Webhook 受付プラグインのタイプ
Kubernetes ドキュメント:
5.6.7.1. OLM についての Webhook の考慮事項
Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用して Webhook で Operator をデプロイする場合、以下を定義する必要があります。
-
type
フィールドはValidatingAdmissionWebhook
、MutatingAdmissionWebhook
、またはConversionWebhook
のいずれかに設定する必要があります。そうでないと、CSV は失敗フェーズに置かれます。 -
CSV には、
webhookdefinition
のdeploymentName
フィールドに指定される値に等しい名前のデプロイメントが含まれる必要があります。
Webhook が作成されると、OLM は、Operator がデプロイされる Operator グループに一致する namespace でのみ Webhook が機能するようにします。
認証局についての制約
OLM は、各デプロイメントに単一の認証局 (CA) を提供するように設定されます。CA を生成してデプロイメントにマウントするロジックは、元々 API サービスのライフサイクルロジックで使用されていました。結果は、以下のようになります。
-
TLS 証明書ファイルは、
/apiserver.local.config/certificates/apiserver.crt
にあるデプロイメントにマウントされます。 -
TLS キーファイルは、
/apiserver.local.config/certificates/apiserver.key
にあるデプロイメントにマウントされます。
受付 Webhook ルールについての制約
Operator がクラスターをリカバリー不可能な状態に設定しないようにするため、OLM は受付 Webhook に定義されたルールが以下の要求のいずれかをインターセプトする場合に、失敗フェーズに CSV を配置します。
- すべてのグループをターゲットとする要求
-
operators.coreos.com
グループをターゲットとする要求 -
ValidatingWebhookConfigurations
またはMutatingWebhookConfigurations
リソースをターゲットとする要求
変換 Webhook の制約
OLM は、変換 Webhook 定義が以下の制約に準拠しない場合に、失敗フェーズに CSV を配置します。
-
変換 Webhook と特長とする CSV は、
AllNamespaces
インストールモードのみをサポートできます。 -
変換 Webhook がターゲットとする CRD では、
spec.preserveUnknownFields
フィールドをfalse
またはnil
に設定する必要があります。 - CSV で定義される変換 Webhook は所有 CRD をターゲットにする必要があります。
- 特定の CRD には、クラスター全体で 1 つの変換 Webhook のみを使用できます。
5.6.8. カスタムリソース定義 (CRD) について
Operator が使用できる以下の 2 つのタイプのカスタムリソース定義 (CRD) があります。1 つ目は Operator が所有する 所有 タイプと、もう 1 つは Operator が依存する 必須 タイプです。
5.6.8.1. 所有 CRD (Owned CRD)
Operator が所有するカスタムリソース定義 (CRD) は CSV の最も重要な部分です。これは Operator と必要な RBAC ルール間のリンク、依存関係の管理、および他の Kubernetes の概念を設定します。
Operator は通常、複数の CRD を使用して複数の概念を結び付けます (あるオブジェクトの最上位のデータベース設定と別のオブジェクトのレプリカセットの表現など)。それぞれは CSV ファイルに一覧表示される必要があります。
フィールド | 説明 | 必須/オプション |
---|---|---|
| CRD のフルネーム。 | 必須 |
| オブジェクト API のバージョン。 | 必須 |
| CRD の機械可読名。 | 必須 |
|
CRD 名の人間が判読できるバージョン (例: | 必須 |
| Operator がこの CRD を使用する方法についての短い説明、または CRD が提供する機能の説明。 | 必須 |
|
この CRD が所属する API グループ (例: | オプション |
|
CRD が 1 つ以上の Kubernetes オブジェクトのタイプを所有する。これらは、トラブルシューティングが必要になる可能性のあるオブジェクトや、データベースを公開するサービスまたは Ingress ルールなどのアプリケーションに接続する方法についてユーザーに知らせるために この場合、オーケストレーションするすべての一覧ではなく、重要なオブジェクトのみを一覧表示することが推奨されます。たとえば、ユーザーが変更できない内部状態を保存する設定マップを一覧表示しないでください。 | オプション |
| これらの記述子は、エンドユーザーにとって最も重要な Operator の入力および出力で UI にヒントを提供する手段になります。CRD にユーザーが指定する必要のあるシークレットまたは設定マップの名前が含まれる場合は、それをここに指定できます。これらのアイテムはリンクされ、互換性のある UI で強調表示されます。 記述子には、3 つの種類があります。
すべての記述子は以下のフィールドを受け入れます。
記述子 一般についての詳細は、openshift/console プロジェクトも参照してください。 | オプション |
以下の例は、シークレットおよび設定マップ でユーザー入力を必要とし、サービス、ステートフルセット、Pod および設定マップのオーケストレーションを行う MongoDB Standalone
CRD を示しています。
所有 CRD の例
- displayName: MongoDB Standalone group: mongodb.com kind: MongoDbStandalone name: mongodbstandalones.mongodb.com resources: - kind: Service name: '' version: v1 - kind: StatefulSet name: '' version: v1beta2 - kind: Pod name: '' version: v1 - kind: ConfigMap name: '' version: v1 specDescriptors: - description: Credentials for Ops Manager or Cloud Manager. displayName: Credentials path: credentials x-descriptors: - 'urn:alm:descriptor:com.tectonic.ui:selector:core:v1:Secret' - description: Project this deployment belongs to. displayName: Project path: project x-descriptors: - 'urn:alm:descriptor:com.tectonic.ui:selector:core:v1:ConfigMap' - description: MongoDB version to be installed. displayName: Version path: version x-descriptors: - 'urn:alm:descriptor:com.tectonic.ui:label' statusDescriptors: - description: The status of each of the pods for the MongoDB cluster. displayName: Pod Status path: pods x-descriptors: - 'urn:alm:descriptor:com.tectonic.ui:podStatuses' version: v1 description: >- MongoDB Deployment consisting of only one host. No replication of data.
5.6.8.2. 必須 CRD (Required CRD)
他の必須 CRD の使用は完全にオプションであり、これらは個別 Operator のスコープを縮小し、エンドツーエンドのユースケースに対応するために複数の Operator を一度に作成するために使用できます。
一例として、Operator がアプリケーションをセットアップし、分散ロックに使用する (etcd Operator からの) etcd クラスター、およびデータストレージ用に (Postgres Operator からの) Postgres データベースをインストールする場合があります。
Operator Lifecycle Manager (OLM) は、これらの要件を満たすためにクラスター内の利用可能な CRD および Operator に対してチェックを行います。適切なバージョンが見つかると、Operator は必要な namespace 内で起動し、サービスアカウントが各 Operator が必要な Kubernetes リソースを作成し、監視し、変更できるようにするために作成されます。
フィールド | 説明 | 必須/オプション |
---|---|---|
| 必要な CRD のフルネーム。 | 必須 |
| オブジェクト API のバージョン。 | 必須 |
| Kubernetes オブジェクトの種類。 | 必須 |
| CRD の人間による可読可能なバージョン。 | 必須 |
| 大規模なアーキテクチャーにおけるコンポーネントの位置付けについてのサマリー。 | 必須 |
必須 CRD の例
required: - name: etcdclusters.etcd.database.coreos.com version: v1beta2 kind: EtcdCluster displayName: etcd Cluster description: Represents a cluster of etcd nodes.
5.6.8.3. CRD のアップグレード
OLM は、単一のクラスターサービスバージョン (CSV) によって所有されている場合にはカスタムリソース定義 (CRD) をすぐにアップグレードします。CRD が複数の CSV によって所有されている場合、CRD は、以下の後方互換性の条件のすべてを満たす場合にアップグレードされます。
- 現行 CRD の既存の有効にされたバージョンすべてが新規 CRD に存在する。
- 検証が新規 CRD の検証スキーマに対して行われる場合、CRD の提供バージョンに関連付けられる既存インスタンスまたはカスタムリソースすべてが有効である。
5.6.8.3.1. 新規 CRD バージョンの追加
手順
CRD の新規バージョンを Operator に追加するには、以下を実行します。
CSV の
versions
セクションに CRD リソースの新規エントリーを追加します。たとえば、現在の CRD にバージョン
v1alpha1
があり、新規バージョンv1beta1
を追加し、これを新規のストレージバージョンとしてマークをする場合に、v1beta1
の新規エントリーを追加します。versions: - name: v1alpha1 served: true storage: false - name: v1beta1 1 served: true storage: true
- 1
- 新規エントリー。
CSV が新規バージョンを使用する場合、CSV の
owned
セクションの CRD の参照バージョンが更新されていることを確認します。customresourcedefinitions: owned: - name: cluster.example.com version: v1beta1 1 kind: cluster displayName: Cluster
- 1
version
を更新します。
- 更新された CRD および CSV をバンドルにプッシュします。
5.6.8.3.2. CRD バージョンの非推奨または削除
Operator Lifecycle Manager (OLM) では、カスタムリソース定義 (CRD) の提供バージョンをすぐに削除できません。その代わりに、CRD の非推奨バージョンを CRD の served
フィールドを false
に設定して無効にする必要があります。その後に、無効にされたバージョンではないバージョンを後続の CRD アップグレードで削除できます。
手順
特定バージョンの CRD を非推奨にし、削除するには、以下を実行します。
非推奨バージョンを non-serving (無効にされたバージョン) とマークして、このバージョンが使用されなくなり、後続のアップグレードで削除される可能性があることを示します。以下に例を示します。
versions: - name: v1alpha1 served: false 1 storage: true
- 1
false
に設定します。
非推奨となるバージョンが現在
storage
バージョンの場合、storage
バージョンを有効にされたバージョンに切り替えます。以下に例を示します。versions: - name: v1alpha1 served: false storage: false 1 - name: v1beta1 served: true storage: true 2
注記CRD から
storage
バージョンであるか、このバージョンであった特定のバージョンを削除するために、そのバージョンが CRD のステータスのstoredVersion
から削除される必要があります。OLM は、保存されたバージョンが新しい CRD に存在しないことを検知した場合に、この実行を試行します。- 上記の変更内容で CRD をアップグレードします。
後続のアップグレードサイクルでは、無効にされたバージョンを CRD から完全に削除できます。以下に例を示します。
versions: - name: v1beta1 served: true storage: true
-
該当バージョンが CRD から削除される場合、CSV の
owned
セクションにある CRD の参照バージョンも更新されていることを確認します。
5.6.8.4. CRD テンプレート
Operator のユーザーは、どのオプションが必須またはオプションであるかを認識している必要があります。alm-examples
という名前のアノテーションとして、設定の最小セットを使用して、各カスタムリソース定義 (CRD) のテンプレートを提供できます。互換性のある UI は、ユーザーがさらにカスタマイズできるようにこのテンプレートの事前入力を行います。
アノテーションは、Kind の一覧で設定されます (例: CRD 名および Kubernetes オブジェクトの対応する metadata
および spec
)。
以下の詳細の例では、EtcdCluster
、EtcdBackup
および EtcdRestore
のテンプレートを示しています。
metadata: annotations: alm-examples: >- [{"apiVersion":"etcd.database.coreos.com/v1beta2","kind":"EtcdCluster","metadata":{"name":"example","namespace":"default"},"spec":{"size":3,"version":"3.2.13"}},{"apiVersion":"etcd.database.coreos.com/v1beta2","kind":"EtcdRestore","metadata":{"name":"example-etcd-cluster"},"spec":{"etcdCluster":{"name":"example-etcd-cluster"},"backupStorageType":"S3","s3":{"path":"<full-s3-path>","awsSecret":"<aws-secret>"}}},{"apiVersion":"etcd.database.coreos.com/v1beta2","kind":"EtcdBackup","metadata":{"name":"example-etcd-cluster-backup"},"spec":{"etcdEndpoints":["<etcd-cluster-endpoints>"],"storageType":"S3","s3":{"path":"<full-s3-path>","awsSecret":"<aws-secret>"}}}]
5.6.8.5. 内部オブジェクトの非表示
Operator がタスクを実行するためにカスタムリソース定義 (CRD) を内部で使用する方法は一般的な方法です。これらのオブジェクトはユーザーが操作することが意図されていません。オブジェクトの操作により Operator のユーザーにとって混乱を生じさせる可能性があります。たとえば、データベース Operator には、ユーザーが replication: true
で Database オブジェクトを作成する際に常に作成される Replication
CRD が含まれる場合があります。
Operator の作成者は、operators.operatorframework.io/internal-objects
アノテーションを Operator のクラスターサービスバージョン (CSV) に追加して、ユーザー操作を目的としていないユーザーインターフェイスの CRD を非表示にすることができます。
手順
-
CRD のいずれかに internal のマークを付ける前に、アプリケーションの管理に必要となる可能性のあるデバッグ情報または設定が CR のステータスまたは
spec
ブロックに反映されていることを確認してください (使用する Opearator に該当する場合)。 operators.operatorframework.io/internal-objects
アノテーションを Operator の CSV に追加し、ユーザーインターフェイスで非表示にする内部オブジェクトを指定します。内部オブジェクのトアノテーション
apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: ClusterServiceVersion metadata: name: my-operator-v1.2.3 annotations: operators.operatorframework.io/internal-objects: '["my.internal.crd1.io","my.internal.crd2.io"]' 1 ...
- 1
- 内部 CRD を文字列の配列として設定します。
5.6.8.6. 必要なカスタムリソースの初期化
Operator では、ユーザーが Operator が完全に機能する前にカスタムリソースをインスタンス化する必要がある場合があります。ただし、ユーザーが必要な内容やリソースの定義方法を判断することが困難な場合があります。
Operator 開発者は、operatorframework.io/initialization-resource
アノテーションをクラスターサービスバージョン (CSV) に追加して Operator のインストール時に作成する必要のある単一の必要なカスタムリソースを指定できます。アノテーションには、インストール時にリソースを初期化するために必要な完全な YAML 定義が含まれるテンプレートが含まれている必要があります。
このアノテーションが定義されている場合、OpenShift Container Platform Web コンソールから Operator をインストールすると、ユーザーには CSV で提供されるテンプレートを使用してリソースを作成することを求めるプロンプトが出されます。
手順
operatorframework.io/initialization-resource
アノテーションを Operator の CSV に追加し、必要なカスタムリソースを指定します。たとえば、以下のアノテーションではStorageCluster
リソースの作成が必要であり、これは完全な YAML 定義を提供します。初期化リソースアノテーション
apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: ClusterServiceVersion metadata: name: my-operator-v1.2.3 annotations: operatorframework.io/initialization-resource: |- { "apiVersion": "ocs.openshift.io/v1", "kind": "StorageCluster", "metadata": { "name": "example-storagecluster" }, "spec": { "manageNodes": false, "monPVCTemplate": { "spec": { "accessModes": [ "ReadWriteOnce" ], "resources": { "requests": { "storage": "10Gi" } }, "storageClassName": "gp2" } }, "storageDeviceSets": [ { "count": 3, "dataPVCTemplate": { "spec": { "accessModes": [ "ReadWriteOnce" ], "resources": { "requests": { "storage": "1Ti" } }, "storageClassName": "gp2", "volumeMode": "Block" } }, "name": "example-deviceset", "placement": {}, "portable": true, "resources": {} } ] } } ...
5.6.9. API サービスについて
CRD の場合のように、Operator が使用できる API サービスの 2 つのタイプ (所有 (owned) および 必須 (required)) があります。
5.6.9.1. 所有 API サービス
CSV が API サービスを所有する場合、CSV は API サービスおよびこれが提供する group/version/kind (GVK) をサポートする拡張 api-server
のデプロイメントを記述します。
API サービスはこれが提供する group/version によって一意に識別され、提供することが予想される複数の種類を示すために複数回一覧表示できます。
フィールド | 説明 | 必須/オプション |
---|---|---|
|
API サービスが提供するグループ ( | 必須 |
|
API サービスのバージョン ( | 必須 |
| API サービスが提供することが予想される種類。 | 必須 |
| 指定された API サービスの複数形の名前 | 必須 |
|
API サービスに対応する CSV で定義されるデプロイメントの名前 (所有 API サービスに必要)。CSV の保留フェーズに、OLM Operator は CSV の | 必須 |
|
API サービス名の人間が判読できるバージョン (例: | 必須 |
| Operator がこの API サービスを使用する方法についての短い説明、または API サービスが提供する機能の説明。 | 必須 |
| API サービスは 1 つ以上の Kubernetes オブジェクトのタイプを所有します。これらは、トラブルシューティングが必要になる可能性のあるオブジェクトや、データベースを公開するサービスまたは Ingress ルールなどのアプリケーションに接続する方法についてユーザーに知らせるためにリソースセクションに一覧表示されます。 この場合、オーケストレーションするすべての一覧ではなく、重要なオブジェクトのみを一覧表示することが推奨されます。たとえば、ユーザーが変更できない内部状態を保存する設定マップを一覧表示しないでください。 | オプション |
| 所有 CRD と基本的に同じです。 | オプション |
5.6.9.1.1. API サービスリソースの作成
Operator Lifecycle Manager (OLM) はそれぞれ固有の所有 API サービスについてサービスおよび API サービスリソースを作成するか、またはこれらを置き換えます。
-
サービス Pod セレクターは API サービスの記述の
DeploymentName
フィールドに一致する CSV デプロイメントからコピーされます。 - 新規の CA キー/証明書ペアが各インストールについて生成され、base64 でエンコードされた CA バンドルがそれぞれの API サービスリソースに組み込まれます。
5.6.9.1.2. API サービス提供証明書
OLM は、所有 API サービスがインストールされるたびに、提供するキー/証明書のペアの生成を処理します。提供証明書には、生成される Service
リソースのホスト名が含まれる一般名 (CN) が含まれ、これは対応する API サービスリソースに組み込まれた CA バンドルのプライベートキーによって署名されます。
証明書は、デプロイメント namespace の kubernetes.io/tls
タイプのシークレットとして保存され、apiservice-cert
という名前のボリュームは、 API サービスの記述の DeploymentName
フィールドに一致する CSV のデプロイメントのボリュームセクションに自動的に追加されます。
存在していない場合、一致する名前を持つボリュームマウントもそのデプロイメントのすべてのコンテナーに追加されます。これにより、ユーザーは、カスタムパスの要件に対応するために、予想される名前のボリュームマウントを定義できます。生成されるボリュームマウントのパスは /apiserver.local.config/certificates
にデフォルト設定され、同じパスの既存のボリュームマウントが置き換えられます。
5.6.9.2. 必要な API サービス
OLM は、必要なすべての CSV に利用可能な API サービスがあり、すべての予想される GVK がインストールの試行前に検出可能であることを確認します。これにより、CSV は所有しない API サービスによって提供される特定の種類に依存できます。
フィールド | 説明 | 必須/オプション |
---|---|---|
|
API サービスが提供するグループ ( | 必須 |
|
API サービスのバージョン ( | 必須 |
| API サービスが提供することが予想される種類。 | 必須 |
|
API サービス名の人間が判読できるバージョン (例: | 必須 |
| Operator がこの API サービスを使用する方法についての短い説明、または API サービスが提供する機能の説明。 | 必須 |
5.7. バンドルイメージの使用
Operator SDK を使用して、Operator Lifecycle Manager (OLM) の Bundle Format で Operator をパッケージ化してデプロイし、アップグレードできます。
5.7.1. Operator のバンドルおよび Operator Lifecycle Manager を使用したデプロイ
Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Kubernetes クラスターで Operator (およびそれらの関連サービス) をインストールし、更新し、通常はライフサイクルを管理するのに役立ちます。OLM はデフォルトで OpenShift Container Platform にインストールされ、Kubernetes 拡張として実行されるため、追加のツールなしにすべての Operator のライフサイクル管理機能に Web コンソールおよび OpenShift CLI (oc
) を使用できます。
Operator Bundle Format は、Operator SDK および OLM のデフォルトパッケージ方法です。Operator SDK を使用して OLM に対して Operator を準備し、OLM を使用してバンドルイメージをビルド、プッシュ、検証、および実行することができます。
前提条件
- 開発ワークステーションに Operator SDK CLI がインストールされていること。
-
OpenShift CLI (
oc
) v4.7+ がインストールされていること。 -
(OpenShift Container Platform 4.7 など、
apiextensions.k8s.io/v1
CRD を使用する場合は v1.16.0 以降の) Kubernetes ベースのクラスターに Operator Lifecycle Manager (OLM) がインストールされていること。 -
cluster-admin
パーミッションのあるアカウントを使用してoc
でクラスターへログインしていること。 - Operator プロジェクトが Operator SDK を使用して初期化されていること。
- Operator が Go ベースの場合、プロジェクトは OpenShift Container Platform で実行するためのサポートされるイメージを使用するように更新されている必要がある。
手順
以下の
make
コマンドを Operator プロジェクトディレクトリーで実行し、Operator イメージをビルドし、プッシュします。以下の手順のIMG
引数を変更して、アクセス可能なリポジトリーを参照します。Quay.io などのリポジトリーサイトにコンテナーを保存するためのアカウントを取得できます。イメージをビルドします。
$ make docker-build IMG=<registry>/<user>/<operator_image_name>:<tag>
注記Operator の SDK によって生成される Dockerfile は、
go build
についてGOARCH=amd64
を明示的に参照します。これは、AMD64 アーキテクチャー以外の場合はGOARCH=$TARGETARCH
に修正できます。Docker は、-platform
で指定された値に環境変数を自動的に設定します。Buildah では、そのために-build-arg
を使用する必要があります。詳細は、Multiple Architectures を参照してください。イメージをリポジトリーにプッシュします。
$ make docker-push IMG=<registry>/<user>/<operator_image_name>:<tag>
Operator SDK
generate bundle
およびbundle validate
のサブコマンドを含む複数のコマンドを呼び出すmake bundle
コマンドを実行し、Operator バンドルマニフェストを作成します。$ make bundle IMG=<registry>/<user>/<operator_image_name>:<tag>
Operator のバンドルマニフェストは、アプリケーションを表示し、作成し、管理する方法を説明します。
make bundle
コマンドは、以下のファイルおよびディレクトリーを Operator プロジェクトに作成します。-
ClusterServiceVersion
オブジェクトを含むbundle/manifests
という名前のバンドルマニフェストディレクトリー -
bundle/metadata
という名前のバンドルメタデータディレクトリー -
config/crd
ディレクトリー内のすべてのカスタムリソース定義 (CRD) -
Dockerfile
bundle.Dockerfile
続いて、これらのファイルは
operator-sdk bundle validate
を使用して自動的に検証され、ディスク上のバンドル表現が正しいことを確認します。-
以下のコマンドを実行し、バンドルイメージをビルドしてプッシュします。OLM は、1 つ以上のバンドルイメージを参照するインデックスイメージを使用して Operator バンドルを使用します。
バンドルイメージをビルドします。イメージをプッシュしようとするレジストリー、ユーザー namespace、およびイメージタグの詳細で
BUNDLE_IMAGE
を設定します。$ make bundle-build BUNDLE_IMG=<registry>/<user>/<bundle_image_name>:<tag>
バンドルイメージをプッシュします。
$ docker push <registry>/<user>/<bundle_image_name>:<tag>
以下の Operator SDK コマンドを使用して、クラスターで OLM のステータスを確認します。
$ operator-sdk olm status \ --olm-namespace=openshift-operator-lifecycle-manager
Operator SDK で OLM 統合を使用して、クラスターで Operator を実行します。
$ operator-sdk run bundle \ [-n <namespace>] \1 <registry>/<user>/<bundle_image_name>:<tag>
- 1
- デフォルトで、このコマンドは
~/.kube/config
ファイルの現在アクティブなプロジェクトに Operator をインストールします。-n
フラグを追加して、インストールに異なる namespace スコープを設定できます。
このコマンドは、以下の操作を実行します。
- バンドルイメージをインジェクトしてインデックスイメージを作成します。
- 新規インデックスイメージを参照するカタログソースを作成します。これにより、OperatorHub が Operator を検出できるようになります。
- Operator グループ、サブスクリプション、インストール計画、および RBAC を含むその他の必要なオブジェクトすべてを作成して、Operator をクラスターにデプロイします。
5.7.2. Operator Lifecycle Manager での Operator アップグレードのテスト
インデックスイメージおよびカタログソースを手動で管理しなくても、Operator SDK で Operator Lifecycle Manager (OLM) 統合を使用して Operator のアップグレードを迅速にテストできます。
run bundle-upgrade
サブコマンドは、より新しいバージョンのバンドルイメージを指定することにより、インストールされた Operator をトリガーしてそのバージョンにアップグレードするプロセスを自動化します。
前提条件
-
run bundle
サブコマンドの使用による OLM でインストールされる Operator - インストールされた Operator のより新しいバージョンを表すバンドルイメージ
手順
run bundle
サブコマンドを使用して Operator を OLM にまだインストールしていない場合は、バンドルイメージを指定して以前のバージョンの Operator をインストールします。たとえば、Memcached Operator の場合は以下のようになります。$ operator-sdk run bundle <registry>/<user>/memcached-operator:v0.0.1
出力例
INFO[0009] Successfully created registry pod: quay-io-demo-memcached-operator-v0-0-1 INFO[0009] Created CatalogSource: memcached-operator-catalog INFO[0010] OperatorGroup "operator-sdk-og" created INFO[0010] Created Subscription: memcached-operator-v0-0-1-sub INFO[0013] Approved InstallPlan install-bqggr for the Subscription: memcached-operator-v0-0-1-sub INFO[0013] Waiting for ClusterServiceVersion "my-project/memcached-operator.v0.0.1" to reach 'Succeeded' phase INFO[0013] Waiting for ClusterServiceVersion "my-project/memcached-operator.v0.0.1" to appear INFO[0019] Found ClusterServiceVersion "my-project/memcached-operator.v0.0.1" phase: Succeeded
Operator のより新しいバージョンのバンドルイメージを指定して、インストールされた Operator をアップグレードします。
$ operator-sdk run bundle-upgrade <registry>/<user>/memcached-operator:v0.0.2
出力例
INFO[0002] Found existing subscription with name memcached-operator-v0-0-1-sub and namespace my-project INFO[0002] Found existing catalog source with name memcached-operator-catalog and namespace my-project INFO[0009] Successfully created registry pod: quay-io-demo-memcached-operator-v0-0-2 INFO[0009] Updated catalog source memcached-operator-catalog with address and annotations INFO[0010] Deleted previous registry pod with name "quay-io-demo-memcached-operator-v0-0-1" INFO[0041] Approved InstallPlan install-gvcjh for the Subscription: memcached-operator-v0-0-1-sub INFO[0042] Waiting for ClusterServiceVersion "my-project/memcached-operator.v0.0.2" to reach 'Succeeded' phase INFO[0042] Found ClusterServiceVersion "my-project/memcached-operator.v0.0.2" phase: InstallReady INFO[0043] Found ClusterServiceVersion "my-project/memcached-operator.v0.0.2" phase: Installing INFO[0044] Found ClusterServiceVersion "my-project/memcached-operator.v0.0.2" phase: Succeeded INFO[0044] Successfully upgraded to "memcached-operator.v0.0.2"
インストールされた Operator のクリーンアップ
$ operator-sdk cleanup memcached-operator
5.7.3. 関連情報
- Bundle Format の詳細は、Operator Framework パッケージ形式 を参照してください。
-
opm
コマンドを使用してバンドルイメージをインデックスイメージに追加する方法の詳細は、カスタムカタログの管理 を参照してください。 - インストールされた Operator のアップグレードの仕組みについての詳細は、Operator Lifecycle Manager ワークフロー を参照してください。
5.8. スコアカードツールを使用した Operator の検証
Operator の作成者は、Operator SDK でスコアカードツールを使用して以下のタスクを実行できます。
- Operator プロジェクトに構文エラーがなく、正しくパッケージ化されていることを確認します。
- Operator を強化する方法についての提案を確認します。
5.8.1. スコアカードツールについて
Operator SDK bundle validate
サブコマンドは、コンテンツおよび構造のローカルバンドルディレクトリーおよびリモートバンドルイメージを検証することができますが、scorecard
コマンドを使用して設定ファイルおよびテストイメージに基づいて Operator でテストを実行できます。これらのテストは、スコアカードによって実行されるよう設定され、ビルドされるテストイメージ内に実装されます。
スコアカードは、OpenShift Container Platform などの設定済みの Kubernetes クラスターへのアクセスと共に実行されることを前提とします。スコアカードは Pod 内で各テストを実行します。これにより Pod ログが集計され、テスト結果はコンソールに送信されます。スコアカードにはビルトインの基本的なテストおよび Operator Lifecycle Manager (OLM) テストがあり、カスタムテスト定義を実行する手段も提供します。
スコアカードのワークフロー
- 関連するカスタムリソース (CR) および Operator に必要なすべてのリソースを作成する
- プロキシーコンテナーを Operator のデプロイメントに作成し、API サーバーへの呼び出しを記録してテストを実行する
- CR のパラメーターを検査する
スコアカードテストは、テスト中の Operator の状態を想定しません。Operator の作成および Operator の CR の作成は、スコアカード自体では扱っていません。ただし、スコアカードテストは、テストがリソース作成用に設計されている場合は、必要なリソースをなんでも作成できます。
scorecard
コマンド構文
$ operator-sdk scorecard <bundle_dir_or_image> [flags]
スコアカードには、Operator バンドルへのディスク上のパスまたはバンドルイメージの名前のいずれかの位置引数が必要です。
フラグの詳細については、以下を実行します。
$ operator-sdk scorecard -h
5.8.2. スコアカードの設定
スコアカードツールでは、内部プラグインの設定を可能にする設定と、複数のグローバル設定オプションを使用します。テストは、config.yaml
という名前の設定ファイルによって実行されます。これは、bundle/
ディレクトリーにある make bundle
コマンドによって生成されます。
./bundle ... └── tests └── scorecard └── config.yaml
スコアカード設定ファイルの例
kind: Configuration apiversion: scorecard.operatorframework.io/v1alpha3 metadata: name: config stages: - parallel: true tests: - image: quay.io/operator-framework/scorecard-test:v1.3.0 entrypoint: - scorecard-test - basic-check-spec labels: suite: basic test: basic-check-spec-test - image: quay.io/operator-framework/scorecard-test:v1.3.0 entrypoint: - scorecard-test - olm-bundle-validation labels: suite: olm test: olm-bundle-validation-test
設定ファイルは、スコアカードが実行可能な各テストを定義します。スコアカード設定ファイルの以下のフィールドは、以下のようにテストを定義します。
設定フィールド | 説明 |
---|---|
| テストを実装するコンテナーイメージ名のテスト |
| テストを実行するために、テストイメージで呼び出されるコマンドおよび引数 |
| 実行するテストを選択するスコアカードで定義されたラベルまたはカスタムラベル |
5.8.3. ビルトインスコアカードのテスト
スコアカードには、スイート (基本的なテストスイートおよび Operator Lifecycle Manager (OLM) スイート) に編成される事前に定義されたテストが同梱されます。
テスト | 説明 | 短縮名 |
---|---|---|
Spec Block Exists |
このテストは、クラスターで作成されたカスタムリソース (CR) をチェックし、すべての CR に |
|
テスト | 説明 | 短縮名 |
---|---|---|
Bundle Validation | このテストは、スコアカードに渡されるバンドルにあるバンドルマニフェストを検証します。バンドルの内容にエラーが含まれる場合、テスト結果の出力には検証ログと検証ライブラリーからのエラーメッセージが含まれます。 |
|
Provided APIs Have Validation |
このテストは、提供された CR のカスタムリソース定義 (CRD) に検証セクションが含まれ、CR で検出される各 |
|
Owned CRDs Have Resources Listed |
このテストでは、 |
|
Spec Fields With Descriptors |
このテストは、CR の |
|
Status Fields With Descriptors |
このテストは、CR の |
|
5.8.4. スコアカードツールの実行
Kustomize ファイルのデフォルトセットは、init
コマンドの実行後に Operator SDK によって生成されます。生成されるデフォルトの bundle/tests/scorecard/config.yaml
ファイルは、Operator に対してスコアカードツールを実行するためにすぐに使用できます。または、このファイルをテスト仕様に変更することができます。
前提条件
- Operator プロジェクトが Operator SDK を使用して生成されていること。
手順
Operator のバンドルマニフェストおよびメタデータを生成または再生成します。
$ make bundle
このコマンドは、テストを実行するために
scorecard
コマンドが使用するバンドルメタデータに、スコアカードアノテーションを自動的に追加します。Operator バンドルへのディスク上のパスまたはバンドルイメージの名前に対してスコアカードを実行します。
$ operator-sdk scorecard <bundle_dir_or_image>
5.8.5. スコアカードの出力
scorecard
コマンドの --output
フラグは、スコアカード結果の出力形式 (text
または json
) を指定します。
例5.2 JSON 出力スニペットの例
{ "apiVersion": "scorecard.operatorframework.io/v1alpha3", "kind": "TestList", "items": [ { "kind": "Test", "apiVersion": "scorecard.operatorframework.io/v1alpha3", "spec": { "image": "quay.io/operator-framework/scorecard-test:v1.3.0", "entrypoint": [ "scorecard-test", "olm-bundle-validation" ], "labels": { "suite": "olm", "test": "olm-bundle-validation-test" } }, "status": { "results": [ { "name": "olm-bundle-validation", "log": "time=\"2020-06-10T19:02:49Z\" level=debug msg=\"Found manifests directory\" name=bundle-test\ntime=\"2020-06-10T19:02:49Z\" level=debug msg=\"Found metadata directory\" name=bundle-test\ntime=\"2020-06-10T19:02:49Z\" level=debug msg=\"Getting mediaType info from manifests directory\" name=bundle-test\ntime=\"2020-06-10T19:02:49Z\" level=info msg=\"Found annotations file\" name=bundle-test\ntime=\"2020-06-10T19:02:49Z\" level=info msg=\"Could not find optional dependencies file\" name=bundle-test\n", "state": "pass" } ] } } ] }
例5.3 テキスト出力スニペットの例
-------------------------------------------------------------------------------- Image: quay.io/operator-framework/scorecard-test:v1.3.0 Entrypoint: [scorecard-test olm-bundle-validation] Labels: "suite":"olm" "test":"olm-bundle-validation-test" Results: Name: olm-bundle-validation State: pass Log: time="2020-07-15T03:19:02Z" level=debug msg="Found manifests directory" name=bundle-test time="2020-07-15T03:19:02Z" level=debug msg="Found metadata directory" name=bundle-test time="2020-07-15T03:19:02Z" level=debug msg="Getting mediaType info from manifests directory" name=bundle-test time="2020-07-15T03:19:02Z" level=info msg="Found annotations file" name=bundle-test time="2020-07-15T03:19:02Z" level=info msg="Could not find optional dependencies file" name=bundle-test
出力形式仕様は Test
タイプのレイアウトに一致します。
5.8.6. テストの選択
スコアカードテストは、--selector
CLI フラグをラベル文字列のセットに設定して選択されます。セレクターフラグが指定されていない場合は、スコアカード設定ファイル内のすべてのテストが実行されます。
テストは、テスト結果がスコアカードによって集計され、標準出力 (stdout) に書き込まれる形で連続的に実行されます。
手順
basic-check-spec-test
などの単一のテストを選択するには、--selector
フラグを使用してテストを指定します。$ operator-sdk scorecard <bundle_dir_or_image> \ -o text \ --selector=test=basic-check-spec-test
テストのスイートを選択するには (例:
olm
)、すべての OLM テストで使用されるラベルを指定します。$ operator-sdk scorecard <bundle_dir_or_image> \ -o text \ --selector=suite=olm
複数のテストを選択するには、以下の構文を使用して
selector
フラグを使用し、テスト名を指定します。$ operator-sdk scorecard <bundle_dir_or_image> \ -o text \ --selector='test in (basic-check-spec-test,olm-bundle-validation-test)'
5.8.7. 並列テストの有効化
Operator の作成者は、スコアカード設定ファイルを使用して、テスト用の個別のステージを定義できます。ステージは、設定ファイルで定義されている順序で順次実行します。ステージには、テストの一覧と設定可能な parallel
設定が含まれます。
デフォルトで、またはステージが明示的に parallel
を false
に設定する場合は、ステージのテストは、設定ファイルで定義されている順序で順次実行されます。テストを一度に 1 つずつ実行することは、2 つのテストが対話したり、互いに競合したりしないことを保証する際に役立ちます。
ただし、テストが完全に分離されるように設計されている場合は、並列化することができます。
手順
分離されたテストのセットを並行して実行するには、これらを同じステージに追加して、
parallel
をtrue
に設定します。apiVersion: scorecard.operatorframework.io/v1alpha3 kind: Configuration metadata: name: config stages: - parallel: true 1 tests: - entrypoint: - scorecard-test - basic-check-spec image: quay.io/operator-framework/scorecard-test:v1.3.0 labels: suite: basic test: basic-check-spec-test - entrypoint: - scorecard-test - olm-bundle-validation image: quay.io/operator-framework/scorecard-test:v1.3.0 labels: suite: olm test: olm-bundle-validation-test
- 1
- 並列テストを有効にします。
並列ステージのすべてのテストは同時に実行され、スコアカードはすべてが完了するのを待ってから次のステージへ進みます。これにより、非常に迅速にテストが実行されます。
5.8.8. カスタムスコアカードのテスト
スコアカードツールは、以下の義務付けられた規則に従うカスタムテストを実行できます。
- テストはコンテナーイメージ内に実装されます。
- テストは、コマンドおよび引数を含むエントリーポイントを受け入れます。
-
テストは、テスト出力に不要なロギングがない JSON 形式で、
v1alpha3
スコアカード出力を生成します。 -
テストは、
/bundle
の共有マウントポイントでバンドルコンテンツを取得できます。 - テストは、クラスター内のクライアント接続を使用して Kubernetes API にアクセスできます。
テストイメージが上記のガイドラインに従う場合は、他のプログラミング言語でカスタムテストを作成することができます。
以下の例は、Go で書かれたカスタムテストイメージを示しています。
例5.4 カスタムスコアカードテストの例
// Copyright 2020 The Operator-SDK Authors // // Licensed under the Apache License, Version 2.0 (the "License"); // you may not use this file except in compliance with the License. // You may obtain a copy of the License at // // http://www.apache.org/licenses/LICENSE-2.0 // // Unless required by applicable law or agreed to in writing, software // distributed under the License is distributed on an "AS IS" BASIS, // WITHOUT WARRANTIES OR CONDITIONS OF ANY KIND, either express or implied. // See the License for the specific language governing permissions and // limitations under the License. package main import ( "encoding/json" "fmt" "log" "os" scapiv1alpha3 "github.com/operator-framework/api/pkg/apis/scorecard/v1alpha3" apimanifests "github.com/operator-framework/api/pkg/manifests" ) // This is the custom scorecard test example binary // As with the Redhat scorecard test image, the bundle that is under // test is expected to be mounted so that tests can inspect the // bundle contents as part of their test implementations. // The actual test is to be run is named and that name is passed // as an argument to this binary. This argument mechanism allows // this binary to run various tests all from within a single // test image. const PodBundleRoot = "/bundle" func main() { entrypoint := os.Args[1:] if len(entrypoint) == 0 { log.Fatal("Test name argument is required") } // Read the pod's untar'd bundle from a well-known path. cfg, err := apimanifests.GetBundleFromDir(PodBundleRoot) if err != nil { log.Fatal(err.Error()) } var result scapiv1alpha3.TestStatus // Names of the custom tests which would be passed in the // `operator-sdk` command. switch entrypoint[0] { case CustomTest1Name: result = CustomTest1(cfg) case CustomTest2Name: result = CustomTest2(cfg) default: result = printValidTests() } // Convert scapiv1alpha3.TestResult to json. prettyJSON, err := json.MarshalIndent(result, "", " ") if err != nil { log.Fatal("Failed to generate json", err) } fmt.Printf("%s\n", string(prettyJSON)) } // printValidTests will print out full list of test names to give a hint to the end user on what the valid tests are. func printValidTests() scapiv1alpha3.TestStatus { result := scapiv1alpha3.TestResult{} result.State = scapiv1alpha3.FailState result.Errors = make([]string, 0) result.Suggestions = make([]string, 0) str := fmt.Sprintf("Valid tests for this image include: %s %s", CustomTest1Name, CustomTest2Name) result.Errors = append(result.Errors, str) return scapiv1alpha3.TestStatus{ Results: []scapiv1alpha3.TestResult{result}, } } const ( CustomTest1Name = "customtest1" CustomTest2Name = "customtest2" ) // Define any operator specific custom tests here. // CustomTest1 and CustomTest2 are example test functions. Relevant operator specific // test logic is to be implemented in similarly. func CustomTest1(bundle *apimanifests.Bundle) scapiv1alpha3.TestStatus { r := scapiv1alpha3.TestResult{} r.Name = CustomTest1Name r.State = scapiv1alpha3.PassState r.Errors = make([]string, 0) r.Suggestions = make([]string, 0) almExamples := bundle.CSV.GetAnnotations()["alm-examples"] if almExamples == "" { fmt.Println("no alm-examples in the bundle CSV") } return wrapResult(r) } func CustomTest2(bundle *apimanifests.Bundle) scapiv1alpha3.TestStatus { r := scapiv1alpha3.TestResult{} r.Name = CustomTest2Name r.State = scapiv1alpha3.PassState r.Errors = make([]string, 0) r.Suggestions = make([]string, 0) almExamples := bundle.CSV.GetAnnotations()["alm-examples"] if almExamples == "" { fmt.Println("no alm-examples in the bundle CSV") } return wrapResult(r) } func wrapResult(r scapiv1alpha3.TestResult) scapiv1alpha3.TestStatus { return scapiv1alpha3.TestStatus{ Results: []scapiv1alpha3.TestResult{r}, } }
5.9. Prometheus による組み込みモニターリングの設定
以下では、Prometheus Operator を使用して Operator SDK いよって提供されるビルトインされたモニタリングサポートについて説明し、Operator 作成者がどのように使用できるかについて詳しく説明します。
5.9.1. Prometheus Operator のサポート
Prometheus はオープンソースのシステムモニタリングおよびアラートツールキットです。Prometheus Operator は、 OpenShift Container Platform などの Kubernetes ベースのクラスターで実行される Prometheus クラスターを作成し、設定し、管理します。
ヘルパー関数は、デフォルトで Operator SDK に存在し、Prometheus Operator がデプロイされているクラスターで使用できるように生成された Go ベースの Operator にメトリクスを自動的にセットアップします。
5.9.2. メトリクスヘルパー
Operator SDK を使用して生成される Go ベース Operator では、以下の関数が実行中のプログラムについての一般的なメトリクスを公開します。
func ExposeMetricsPort(ctx context.Context, port int32) (*v1.Service, error)
これらのメトリクスは controller-runtime
ライブラリー API から継承されます。メトリクスはデフォルトで 0.0.0.0:8383/metrics
で提供されます。
Service
オブジェクトは、メトリクスポートが公開された状態で作成されます。これはその後 Prometheus によってアクセスされます。Service
オブジェクトは、リーダー Pod の root
オーナーが削除されるとガベージコレクションの対象になります。
以下のサンプルは、Operator SDK を使用して生成されるすべての Operator の cmd/manager/main.go
ファイルにあります。
import( "github.com/operator-framework/operator-sdk/pkg/metrics" "machine.openshift.io/controller-runtime/pkg/manager" ) var ( // Change the below variables to serve metrics on a different host or port. metricsHost = "0.0.0.0" 1 metricsPort int32 = 8383 2 ) ... func main() { ... // Pass metrics address to controller-runtime manager mgr, err := manager.New(cfg, manager.Options{ Namespace: namespace, MetricsBindAddress: fmt.Sprintf("%s:%d", metricsHost, metricsPort), }) ... // Create Service object to expose the metrics port. _, err = metrics.ExposeMetricsPort(ctx, metricsPort) if err != nil { // handle error log.Info(err.Error()) } ... }
5.9.2.1. メトリクスポートの変更
Operator の作成者は、メトリクスが公開されるポートを変更できます。
前提条件
- Operator SDK を使用して生成される Go ベースの Operator
- Prometheus Operator がデプロイされた Kubernetes ベースのクラスター
手順
生成された Operator の
cmd/manager/main.go
ファイルで、以下の行のmetricsPort
の値を変更します。var metricsPort int32 = 8383
5.9.3. サービスモニター
ServiceMonitor
は、Prometheus Operator によって提供されるカスタマーリソースであり、 Service
オブジェクトで Endpoints
を検出し、Prometheus がこれらの Pod を監視するように設定します。
Operator SDK を使用して生成される Go ベースの Operator では、GenerateServiceMonitor()
ヘルパー関数は Service
オブジェクトを取り、これに基づいて ServiceMonitor
オブジェクトを生成することができます。
関連情報
-
ServiceMonitor
カスタムリソース定義 (CRD) についての詳細は、 Prometheus Operator ドキュメント を参照してください。
5.9.3.1. サービスモニターの作成
Operator の作成者は、新規に作成されるサービスを受け入れる metrics.CreateServiceMonitor()
ヘルパー関数を使用して、作成されたモニターリングサービスのサービスターゲット検出を追加できます。
前提条件
- Operator SDK を使用して生成される Go ベースの Operator
- Prometheus Operator がデプロイされた Kubernetes ベースのクラスター
手順
metrics.CreateServiceMonitor()
ヘルパー関数を Operator コードに追加します。import( "k8s.io/api/core/v1" "github.com/operator-framework/operator-sdk/pkg/metrics" "machine.openshift.io/controller-runtime/pkg/client/config" ) func main() { ... // Populate below with the Service(s) for which you want to create ServiceMonitors. services := []*v1.Service{} // Create one ServiceMonitor per application per namespace. // Change the below value to name of the Namespace you want the ServiceMonitor to be created in. ns := "default" // restConfig is used for talking to the Kubernetes apiserver restConfig := config.GetConfig() // Pass the Service(s) to the helper function, which in turn returns the array of ServiceMonitor objects. serviceMonitors, err := metrics.CreateServiceMonitors(restConfig, ns, services) if err != nil { // Handle errors here. } ... }
5.10. リーダー選択の設定
Operator のライフサイクル中は、いずれかの時点で複数のインスタンスが実行される可能性があります。たとえば、Operator のアップグレードをロールアウトしている場合などがこれに含まれます。これにより、1 つのリーダーインスタンスのみが調整を行い、他のインスタンスは非アクティブな状態であるものの、リーダーがそのロールを実行しなくなる場合に引き継げる状態にできます。
2 種類のリーダー選択の実装を選択できますが、それぞれに考慮すべきトレードオフがあります。
- Leader-for-life
-
リーダー Pod は、削除される場合にガべージコレクションを使用してリーダーシップを放棄します。この実装は (スプリットブレインとしても知られる) 2 つのインスタンスが誤ってリーダーとして実行されることを防ぎます 。しかし、この方法では、新規リーダーの選択に遅延が生じる可能性があります。たとえば、リーダー Pod が応答しないノードまたはパーティション化されたノードにある場合、
pod-eviction-timeout
はリーダー Pod がノードから削除され、リーダーシップを中止するまでの時間を判別します (デフォルトは5m
)。詳細は、Leader-for-life Go ドキュメントを参照してください。 - Leader-with-lease
- リーダー Pod は定期的にリーダーリースを更新し、リースを更新できない場合にリーダーシップを放棄します。この実装により、既存リーダーが分離される場合に新規リーダーへの迅速な移行が可能になりますが、スピリットブレインが 特定の状況 で生じる場合があります。詳細は、Leader-with-lease Go ドキュメントを参照してください。
デフォルトで、Operator SDK は Leader-for-life 実装を有効にします。実際のユースケースに適した選択ができるように両方のアプローチのトレードオフについて、関連する Go ドキュメントを参照してください。
5.10.1. Operator リーダー選出の例
次の例では、Operator のリーダー選出オプション ( Leader-for-life と Leader-with-lease) 2 つの使用方法を説明します。
5.10.1.1. Leader-for-life 選択
Leader-for-life 選択の実装の場合、leader.Become()
の呼び出しは、memcached-operator-lock
という名前の設定マップを作成して、リーダー選択までの再試行中に Operator をブロックします。
import ( ... "github.com/operator-framework/operator-sdk/pkg/leader" ) func main() { ... err = leader.Become(context.TODO(), "memcached-operator-lock") if err != nil { log.Error(err, "Failed to retry for leader lock") os.Exit(1) } ... }
Operator がクラスター内で実行されていない場合、 leader.Become()
はエラーなしに返し、Operator の名前を検出できないことからリーダー選択をスキップします。
5.10.1.2. Leader-with-lease 選択
Leader-with-lease 実装は、リーダー選択について Manager オプション を使用して有効にできます。
import ( ... "sigs.k8s.io/controller-runtime/pkg/manager" ) func main() { ... opts := manager.Options{ ... LeaderElection: true, LeaderElectionID: "memcached-operator-lock" } mgr, err := manager.New(cfg, opts) ... }
Operator がクラスターで実行されていない場合、Manager はリーダー選択用の設定マップ を作成するために Operator の namespace を検出できないことから開始時にエラーを返します。Manager の LeaderElectionNamespace
オプションを設定してこの namespace を上書きできます。
5.11. Operator SDK CLI リファレンス
Operator SDK コマンドラインインターフェイス (CLI) は、Operator の作成を容易にするために設計された開発キットです。
Operator SDK CLI 構文
$ operator-sdk <command> [<subcommand>] [<argument>] [<flags>]
Kubernetes ベースのクラスター (OpenShift Container Platform など) へのクラスター管理者のアクセスのある Operator の作成者は、Operator SDK CLI を使用して Go、Ansible、または Helm をベースに独自の Operator を開発できます。Kubebuilder は Go ベースの Operator のスキャフォールディングソリューションとして Operator SDK に組み込まれます。つまり、既存の Kubebuilder プロジェクトは Operator SDK でそのまま使用でき、引き続き機能します。
5.11.1. bundle
operator-sdk bundle
コマンドは Operator バンドルメタデータを管理します。
5.11.1.1. validate
bundle validate
サブコマンドは Operator バンドルを検証します。
フラグ | 説明 |
---|---|
|
|
|
バンドルイメージをプルおよび展開するためのツール。バンドルイメージを検証する場合にのみ使用されます。使用できるオプションは、 |
| 利用可能なすべてのオプションのバリデーターを一覧表示します。これが設定されている場合、バリデーターは実行されません。 |
|
実行するオプションのバリデーターを選択するラベルセレクター。 |
5.11.2. cleanup
operator-sdk cleanup
コマンドは、run
コマンドでデプロイされた Operator 用に作成されたリソースを破棄し、削除します。
フラグ | 説明 |
---|---|
|
|
|
CLI 要求に使用する |
| CLI 要求がある場合の CLI 要求を実行する namespace。 |
|
コマンドが失敗せずに完了するまでの待機時間。デフォルト値は |
5.11.3. completion
operator-sdk completion
コマンドは、CLI コマンドをより迅速に、より容易に実行できるようにシェル補完を生成します。
サブコマンド | 説明 |
---|---|
| bash 補完を生成します。 |
| zsh 補完を生成します。 |
フラグ | 説明 |
---|---|
| 使用方法についてのヘルプの出力。 |
以下に例を示します。
$ operator-sdk completion bash
出力例
# bash completion for operator-sdk -*- shell-script -*- ... # ex: ts=4 sw=4 et filetype=sh
5.11.4. create
operator-sdk create
コマンドは、Kubernetes API の作成または スキャフォールディング に使用されます。
5.11.4.1. api
create api
サブコマンドは Kubernetes API をスキャフォールディングします。サブコマンドは、init
コマンドで初期化されたプロジェクトで実行する必要があります。
フラグ | 説明 |
---|---|
|
|
5.11.5. generate
operator-sdk generate
コマンドは特定のジェネレーターを起動して、必要に応じてコードを生成します。
5.11.5.1. bundle
generate bundle
サブコマンドは、Operator プロジェクトのバンドルマニフェスト、メタデータ、および bundle.Dockerfile
ファイルのセットを生成します。
通常は、最初に generate kustomize manifests
サブコマンドを実行して、generate bundle
サブコマンドで使用される入力された Kustomize ベースを生成します。ただし、初期化されたプロジェクトで make bundle
コマンドを使用して、これらのコマンドの順次の実行を自動化できます。
フラグ | 説明 |
---|---|
|
バンドルが属するチャネルのコンマ区切りリスト。デフォルト値は |
|
|
| バンドルのデフォルトチャネル。 |
|
デプロイメントや RBAC などの Operator マニフェストのルートディレクトリー。このディレクトリーは、 |
|
|
|
既存のバンドルを読み取るディレクトリー。このディレクトリーは、バンドル |
|
バンドルマニフェストの Kustomize ベースおよび |
| バンドルマニフェストを生成します。 |
| バンドルメタデータと Dockerfile を生成します。 |
| バンドルを書き込むディレクトリー。 |
|
バンドルメタデータおよび Dockerfile を上書きします (ある場合)。デフォルト値は |
| バンドルのパッケージ名。 |
| quiet モードで実行します。 |
| バンドルマニフェストを標準出力に書き込みます。 |
| 生成されたバンドルの Operator のセマンティックバージョン。新規バンドルを作成するか、または Operator をアップグレードする場合にのみ設定します。 |
関連情報
-
generate bundle
サブコマンドを呼び出すためのmake bundle
コマンドの使用を含む詳細な手順については、Operator のバンドルおよび Operator Lifecycle Manager を使用したデプロイ を参照してください。
5.11.5.2. kustomize
generate kustomize
サブコマンドには、Operator の Kustomize データを生成するサブコマンドが含まれます。
5.11.5.2.1. manifests
generate kustomize manifests
は Kustomize ベースを生成または再生成し、kustomization.yaml
ファイルを config/manifests
ディレクトリーに生成または再生成します。これは、他の Operator SDK コマンドでバンドルマニフェストをビルドするために使用されます。このコマンドは、ベースがすでに存在しない場合や --interactive=false
フラグが設定されていない場合に、デフォルトでマニフェストベースの重要なコンポーネントである UI メタデータを対話的に要求します。
フラグ | 説明 |
---|---|
| API タイプ定義のルートディレクトリー。 |
|
|
| 既存の Kustomize ファイルを含むディレクトリー。 |
|
|
| Kustomize ファイルを書き込むディレクトリー。 |
| パッケージ名。 |
| quiet モードで実行します。 |
5.11.6. init
operator-sdk init
コマンドは Operator プロジェクトを初期化し、指定されたプラグインのデフォルトのプロジェクトディレクトリーレイアウトを生成または スキャフォールド します。
このコマンドは、以下のファイルを作成します。
- ボイラープレートライセンスファイル
-
ドメインおよびリポジトリーを含む
PROJECT
ファイル -
プロジェクトをビルドする
Makefile
-
プロジェクト依存関係のある
go.mod
ファイル -
マニフェストをカスタマイズするための
kustomization.yaml
ファイル - マネージャーマニフェストのイメージをカスタマイズするためのパッチファイル
- Prometheus メトリクスを有効にするためのパッチファイル
-
実行する
main.go
ファイル
フラグ | 説明 |
---|---|
|
|
|
プロジェクトを初期化するプラグインの名前およびオプションのバージョン。利用可能なプラグインは |
|
プロジェクトのバージョン。使用できる値は |
5.11.7. run
operator-sdk run
コマンドは、さまざまな環境で Operator を起動できるオプションを提供します。
5.11.7.1. bundle
run bundle
サブコマンドは、Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用してバンドル形式で Operator をデプロイします。
フラグ | 説明 |
---|---|
|
バンドルを挿入するインデックスイメージ。デフォルトのイメージは |
|
Operator のクラスターサービスバージョン (CSV) によってサポートされるインストールモード (例: |
|
インストールのタイムアウト。デフォルト値は |
|
CLI 要求に使用する |
| CLI 要求がある場合の CLI 要求を実行する namespace。 |
|
|
関連情報
- 使用可能なインストールモードに関する詳細は、Operator グループメンバーシップ を参照してください。
5.11.7.2. bundle-upgrade
run bundle-upgrade
サブコマンドは、以前に Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用してバンドル形式でインストールされた Operator をアップグレードします。
フラグ | 説明 |
---|---|
|
アップグレードのタイムアウト。デフォルト値は |
|
CLI 要求に使用する |
| CLI 要求がある場合の CLI 要求を実行する namespace。 |
|
|
5.11.8. scorecard
operator-sdk scorecard
コマンドは、スコアカードツールを実行して Operator バンドルを検証し、改善に向けた提案を提供します。このコマンドは、バンドルイメージまたはマニフェストおよびメタデータを含むディレクトリーのいずれかの引数を取ります。引数がイメージタグを保持する場合は、イメージはリモートに存在する必要があります。
フラグ | 説明 |
---|---|
|
スコアカード設定ファイルへのパス。デフォルトのパスは |
|
|
|
|
| 実行可能なテストを一覧表示します。 |
| テストイメージを実行する namespace。 |
|
結果の出力形式。使用できる値はデフォルトの |
| 実行されるテストを決定するラベルセレクター。 |
|
テストに使用するサービスアカウント。デフォルト値は |
| テストの実行後にリソースクリーンアップを無効にします。 |
|
テストが完了するのを待つ秒数 (例: |
関連情報
- スコアカードツールの実行に関する詳細は、スコアカードを使用した Operator の検証 を参照してください。
第6章 クラスター Operator のリファレンス
このリファレンスガイドは、OpenShift Container Platform のアーキテクチャー基盤として機能する、Red Hat が出荷する クラスター Operator のインデックスを作成します。クラスター Operator は、特に明記されていない限り、デフォルトでインストールされ、Cluster Version Operator (CVO) により管理されます。コントロールプレーンアーキテクチャーの詳細はOpenShift Container Platform の Operator を参照してください。
クラスター管理者は、OpenShift Container Platform Web コンソールの管理→ クラスター設定ページからクラスター Operator を表示できます。
クラスター Operator は、Operator Lifecycle Manager (OLM) および Operator Hub では管理されていません。OLM と Operator Hub は、Operator Framework の一部で、オプションのアドオン Operator のインストールおよび実行時に OpenShift Container Platform で使用されます。
6.1. Cloud Credential Operator
目的
Cloud Credential Operator (CCO) は、クラウドプロバイダーの認証情報を Kubernetes カスタムリソース定義 (CRD) として管理します。CCO は CredentialsRequest
カスタムリソース (CR) で同期し、OpenShift Container Platform コンポーネントが、クラスターの実行に必要な特定のパーミッションと共にクラウドプロバイダーの認証情報を要求できるようにします。
install-config.yaml
ファイルで credentialsMode
パラメーターに異なる値を設定すると、CCO は複数の異なるモードで動作するように設定できます。モードが指定されていない場合や、credentialsMode
パラメーターが空の文字列 (""
) に設定されている場合は、CCO はデフォルトモードで動作します。
プロジェクト
openshift-cloud-credential-operator
CRD
credentialsrequests.cloudcredential.openshift.io
- スコープ: Namespaced
-
CR:
CredentialsRequest
- 検証: Yes
設定オブジェクト
必要な設定はありません。
関連情報
6.2. Cluster Authentication Operator
目的
Cluster Authentication Operator は、クラスター内に Authentication
カスタムリソースをインストールし、維持します。これは、以下を使用して表示できます。
$ oc get clusteroperator authentication -o yaml
プロジェクト
6.3. Cluster Autoscaler Operator
目的
Cluster Autoscaler Operator は cluster-api
プロバイダーを使用して OpenShift Cluster Autoscaler のデプロイメントを管理します。
プロジェクト
CRD
-
ClusterAutoscaler
: これは、クラスターの Autoscaler インスタンスの設定を制御するシングルトンリソースです。Operator は、管理された namespace のdefault
という名前のClusterAutoscaler
リソース (WATCH_NAMESPACE
環境変数の値) のみに応答します。 -
MachineAutoscaler
: このリソースはノードグループを対象にし、アノテーションを管理してグループの自動スケーリングを有効にし、設定します (min
およびmax
サイズ)。現時点では、MachineSet
オブジェクトのみをターゲットにすることができます。
6.4. Cluster Config Operator
目的
Cluster Config Operator は、config.openshift.io
に関連する以下のタスクを実行します。
- CRD を作成する。
- 最初のカスタムリソースをレンダリングする。
- 移行を処理する。
プロジェクト
6.5. Cluster CSI Snapshot Controller Operator
目的
Cluster CSI Snapshot Controller Operator は、CSI Snapshot Controller をインストールし、維持します。CSI Snapshot Controller は VolumeSnapshot
CRD オブジェクトを監視し、ボリュームスナップショットの作成および削除のライフサイクルを管理します。
プロジェクト
6.6. Cluster Image Registry Operator
目的
Cluster Image Registry Operator は、OpenShift Container Platform レジストリーのシングルトンインスタンスを管理します。ストレージの作成を含む、レジストリーのすべての設定を管理します。
初回起動時に、Operator はクラスターで検出される設定に基づいてデフォルトの image-registry
リソースインスタンスを作成します。これは、クラウドプロバイダーに基づいて使用するクラウドストレージのタイプを示します。
完全な image-registry
リソースを定義するのに利用できる十分な情報がない場合、その不完全なリソースが定義され、Operator は足りない情報を示す情報を使ってリソースのステータスを更新します。
Cluster Image Registry Operator は openshift-image-registry
namespace で実行され、その場所のレジストリーインスタンスも管理します。レジストリーのすべての設定およびワークロードリソースはその namespace に置かれます。
プロジェクト
6.7. Cluster Machine Approver Operator
目的
Cluster Machine Approver Operator は、クラスターのインストール後に、新規ワーカーノードに要求された CSR を自動承認します。
コントロールプレーンノードの場合に、ブートストラップノードの approve-csr
サービスは、クラスターのブートストラップフェーズ時にすべての CSR を自動的に承認します。
プロジェクト
6.8. クラスターモニタリング Operator
目的
Cluster Monitoring Operator は、OpenShift Container Platform の上部にデプロイされた Prometheus ベースのクラスターモニタリングスタックを管理し、更新します。
プロジェクト
CRD
alertmanagers.monitoring.coreos.com
- スコープ: Namespaced
-
CR:
alertmanager
- 検証: Yes
prometheuses.monitoring.coreos.com
- スコープ: Namespaced
-
CR:
prometheus
- 検証: Yes
prometheusrules.monitoring.coreos.com
- スコープ: Namespaced
-
CR:
prometheusrule
- 検証: Yes
servicemonitors.monitoring.coreos.com
- スコープ: Namespaced
-
CR:
servicemonitor
- 検証: Yes
設定オブジェクト
$ oc -n openshift-monitoring edit cm cluster-monitoring-config
6.9. Cluster Network Operator
目的
Cluster Network Operator は、OpenShift Container Platform クラスターでネットワークコンポーネントをインストールし、アップグレードします。
6.10. OpenShift Controller Manager Operator
目的
OpenShift Controller Manager Operator は OpenShiftControllerManager
カスタムリソースをクラスターにインストールし、これを維持します。これは、以下で表示できます。
$ oc get clusteroperator openshift-controller-manager -o yaml
カスタムリソース定義 (CRD) openshiftcontrollermanagers.operator.openshift.io
は以下を使用してクラスターで確認できます。
$ oc get crd openshiftcontrollermanagers.operator.openshift.io -o yaml
プロジェクト
6.11. Cluster Samples Operator
目的
Cluster Samples Operator は、openshift
namespace に保存されるサンプルイメージストリームおよびテンプレートを管理します。
初回起動時に、Operator はデフォルトのサンプル設定リソースを作成し、イメージストリームおよびテンプレートの作成を開始します。設定オブジェクトは、キーが cluster
で、タイプが configs.samples
のクラスタースコープのオブジェクトです。
イメージストリームは、registry.redhat.io
のイメージを参照する Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) ベースの OpenShift Container Platform イメージストリームです。同様に、テンプレートは OpenShift Container Platform テンプレートとして分類されます。
Cluster Samples Operator デプロイメントは openshift-cluster-samples-operator
namespace 内に含まれます。起動時に、インストールプルシークレットは内部レジストリーおよび API サーバーのイメージストリームのインポートロジックによって使用され、registry.redhat.io
で認証されます。管理者は、サンプルイメージストリームに使用されるレジストリーを変更する場合、追加のシークレットを openshift
namespace に作成できます。これらのシークレットが作成される場合、これらには、イメージのインポートを容易にするために必要な docker
の config.json
のコンテンツが含まれます。
Cluster Samples Operator のイメージには、関連付けられた OpenShift Container Platform リリースのイメージストリームおよびテンプレートの定義が含まれます。Cluster Samples Operator がサンプルを作成した後に、互換性のある OpenShift Container Platform バージョンを示すアノテーションを追加します。Operator はこのアノテーションを使用して、各サンプルを互換性のあるリリースバージョンに一致させるようにします。このインベントリーの外にあるサンプルは省略されるサンプルであるために無視されます。
Operator によって管理されるサンプルへの変更は、バージョンのアノテーションが変更または削除されない限り許可されます。ただし、アップグレード時に、バージョンアノテーションが変更されると、サンプルが新しいバージョンで更新されるため、これらの変更は置き換えられる可能性があります。jenkins イメージはインストールからのイメージペイロードの一部であり、イメージストリームに直接タグ付けされます。
Samples Operator 設定リソースには、削除時に以下を消去するファイナライザーが含まれます。
- Operator 管理のイメージストリーム
- Operator 管理のテンプレート
- Operator が生成する設定リソース
- クラスターステータスのリソース
サンプルリソースの削除時に、Cluster Samples Operator はデフォルト設定を使用してリソースを再作成します。
プロジェクト
6.12. Cluster Storage Operator
目的
Cluster Storage Operator は OpenShift Container Platform のクラスター全体のストレージのデフォルト値を設定します。これにより、OpenShift Container Platform クラスターのデフォルトのストレージクラスの存在を確認できます。
プロジェクト
設定
必要な設定はありません。
注記
- Cluster Storage Operator は Amazon Web Services (AWS) および Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) をサポートします。
- 作成されたストレージクラスは、そのアノテーションを編集してデフォルト以外にすることができますが、ストレージクラスは Operator が実行される限り削除できません。
6.13. Cluster Version Operator
目的
Cluster Operator は、クラスター機能の特定の領域を管理します。Cluster Version Operator (CVO) はクラスター Operator のライフサイクルを管理し、その多くはデフォルトで OpenShift Container Platform にインストールされます。
また、CVO は OpenShift Update Service をチェックして、現在のコンポーネントのバージョンとグラフの情報に基づいて、有効な更新と更新パスを確認します。
プロジェクト
関連情報
6.14. Console Operator
目的
Console Operator は OpenShift Container Platform Web コンソールをクラスターにインストールし、維持します。
プロジェクト
6.15. DNS Operator
目的
DNS Operator は、Pod に対して名前解決サービスを提供するために CoreDNS をデプロイし、これを管理し、OpenShift Container Platform での DNS ベースの Kubernetes サービス検出を可能にします。
Operator は、クラスターの設定に基づいて作業用のデフォルトデプロイメントを作成します。
-
デフォルトのクラスタードメインは
cluster.local
です。 - CoreDNS Corefile または Kubernetes プラグインの設定はサポートされていません。
DNS Operator は、静的 IP を持つサービスとして公開される Kubernetes デーモンセットとして CoreDNS を管理します。CoreDNS は、クラスター内のすべてのノードで実行されます。
プロジェクト
6.16. etcd cluster Operator
目的
etcd cluster Operator は etcd クラスターのスケーリングを自動化し、etcd モニタリングおよびメトリクスを有効にし、障害復旧手順を単純化します。
プロジェクト
CRD
etcds.operator.openshift.io
- スコープ: Cluster
-
CR:
etcd
- 検証: Yes
設定オブジェクト
$ oc edit etcd cluster
6.17. Ingress Operator
目的
Ingress Operator は OpenShift Container Platform ルーターを設定し、管理します。
プロジェクト
CRD
clusteringresses.ingress.openshift.io
- スコープ: Namespaced
-
CR:
clusteringresses
- 検証: No
設定オブジェクト
クラスター設定
-
タイプ名:
clusteringresses.ingress.openshift.io
-
インスタンス名:
default
コマンドの表示:
$ oc get clusteringresses.ingress.openshift.io -n openshift-ingress-operator default -o yaml
-
タイプ名:
注記
Ingress Operator はルーターを openshift-ingress
プロジェクトに設定し、ルーターのデプロイメントを作成します。
$ oc get deployment -n openshift-ingress
Ingress Operator は、network/cluster
ステータスの clusterNetwork[].cidr
を使用して、管理 Ingress コントローラー (ルーター) が動作するモード (IPv4、IPv6、またはデュアルスタック) を判別します。たとえば、clusterNetwork
に v6 cidr
のみが含まれる場合、Ingress コントローラーは v6 専用モードで動作します。
以下の例では、Ingress Operator によって管理される Ingress コントローラーは、1 つのクラスターネットワークのみが存在し、ネットワークが IPv4 cidr
であるために IPv4 専用モードで実行されます。
$ oc get network/cluster -o jsonpath='{.status.clusterNetwork[*]}'
出力例
map[cidr:10.128.0.0/14 hostPrefix:23]
6.18. Insights Operator
目的
Insights Operator は OpenShift Container Platform 設定データを収集し、これを Red Hat に送信します。このデータは、クラスターで発生する可能性のある問題について、今後を見据えた上で、事前に対応できる内容に関して推奨事項を生み出します。これらの今後の対応案については、 console.redhat.comのインサイトアドバイザーを介してクラスター管理者に伝達されます。
プロジェクト
設定
必要な設定はありません。
注記
Insights Operator は、OpenShift Container Platform Telemetry を補完します。
関連情報
- Insights Operator と Telemetry の詳細は、リモートヘルスモニターリングについて を参照してください。
6.19. Kubernetes API Server Operator
目的
Kubernetes API Server Operator は、OpenShift Container Platform の上部にデプロイされた Kubernetes API サーバーを管理し、更新します。Operator は OpenShift の library-go フレームワークをベースとしており、Cluster Version Operator (CVO) を使用してインストールされます。
プロジェクト
openshift-kube-apiserver-operator
CRD
kubeapiservers.operator.openshift.io
- スコープ: Cluster
-
CR:
kubeapiserver
- 検証: Yes
設定オブジェクト
$ oc edit kubeapiserver
6.20. Kubernetes Controller Manager Operator
目的
Kubernetes Controller Manager Operator は、OpenShift Container Platform にデプロイされた Kubernetes Controller Manager を管理し、更新します。Operator は OpenShift の library-go
フレームワークをベースとしており、これは Cluster Version Operator (CVO) 経由でインストールされます。
これには、以下のコンポーネントが含まれます。
- Operator
- ブートストラップマニフェストレンダラー
- 静的 Pod をベースとするインストーラー
- 設定オブザーバー
デフォルトで、Operator は metrics
サービス経由で Prometheus メトリクスを公開します。
プロジェクト
6.21. Kubernetes Scheduler Operator
目的
Kubernetes Scheduler Operator は、OpenShift Container Platform の上部にデプロイされる Kubernetes スケジューラーを管理し、更新します。Operator は OpenShift Container Platform の library-go
フレームワークをベースとしており、Cluster Version Operator (CVO) でインストールされます。
Kubernetes Scheduler Operator には以下のコンポーネントが含まれます。
- Operator
- ブートストラップマニフェストレンダラー
- 静的 Pod をベースとするインストーラー
- 設定オブザーバー
デフォルトで、Operator はメトリクスサービス経由で Prometheus メトリクスを公開します。
プロジェクト
cluster-kube-scheduler-operator
設定
Kubernetes Scheduler の設定はマージの結果になります。
- デフォルト設定。
-
仕様
schedulers.config.openshift.io
からの観察される設定。
これらはすべてスパースな設定であり、最後に有効な設定を形成するためにマージされる無効にされた JSON スニペットです。
6.22. Kubernetes Storage Version Migrator Operator
目的
Kubernetes Storage Version Migrator Operator はデフォルトのストレージバージョンの変更を検出し、ストレージバージョンの変更時にリソースタイプの移行要求を作成し、移行要求を処理します。
プロジェクト
6.23. Machine API Operator
目的
Machine API Operator は、Kubernetes API を拡張する特定の目的のカスタムリソース定義 (CRD)、コントローラー、および RBAC オブジェクトのライフサイクルを管理します。これにより、クラスター内のマシンの必要な状態が宣言されます。
プロジェクト
CRD
-
MachineSet
-
マシン
-
MachineHealthCheck
6.24. Machine Config Operator
目的
Machine Congig Operator は、カーネルと kubelet 間のすべてのものを含め、ベースオペレーティングシステムおよびコンテナーランタイムの設定および更新を管理し、適用します。
以下の 4 つのコンポーネントがあります。
-
machine-config-server
: クラスターに参加する新規マシンに Ignition 設定を提供します。 -
machine-config-controller
: マシンのアップグレードをMachineConfig
オブジェクトで定義される必要な設定に調整します。マシンセットのアップグレードを個別に制御するオプションが提供されます。 -
machine-config-daemon
: 更新時に新規のマシン設定を適用します。マシンの状態を要求されたマシン設定に対して検証し、確認します。 -
machine-config
: インストール時のマシン設定の完全なソース、初回の起動、およびマシンの更新を提供します。
プロジェクト
6.25. Marketplace Operator
目的
Marketplace Operator はクラスター外の Operator をクラスターに入れるための経路です。
プロジェクト
6.26. Node Tuning Operator
目的
Node Tuning Operator は、Tuned デーモンのオーケストレーションによるノードレベルのチューニングの管理に役立ちます。ほとんどの高パフォーマンスアプリケーションでは、一定レベルのカーネルのチューニングが必要です。Node Tuning Operator は、ノードレベルの sysctl の統一された管理インターフェイスをユーザーに提供し、ユーザーが指定するカスタムチューニングを追加できるよう柔軟性を提供します。
Operator は、コンテナー化された OpenShift Container Platform の Tuned デーモンを Kubernetes デーモンセットとして管理します。これにより、カスタムチューニング仕様が、デーモンが認識する形式でクラスターで実行されるすべてのコンテナー化された Tuned デーモンに渡されます。デーモンは、ノードごとに 1 つずつ、クラスターのすべてのノードで実行されます。
コンテナー化された Tuned デーモンによって適用されるノードレベルの設定は、プロファイルの変更をトリガーするイベントで、または終了シグナルの受信および処理によってコンテナー化された Tuned デーモンが正常に終了する際にロールバックされます。
Node Tuning Operator は、バージョン 4.1 以降における標準的な OpenShift Container Platform インストールの一部となっています。
プロジェクト
6.27. OpenShift API Server Operator
目的
OpenShift API Server Operator は、クラスターに openshift-apiserver
をインストールし、維持します。
プロジェクト
CRD
openshiftapiservers.operator.openshift.io
- スコープ: Cluster
-
CR:
openshiftapiserver
- 検証: Yes
6.28. Operator Lifecycle Manager Operator
目的
Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用することにより、ユーザーは Kubernetes ネイティブアプリケーション (Operator) および OpenShift Container Platform クラスター全体で実行される関連サービスについてインストール、更新、およびそのライフサイクルの管理を実行できます。これは、Operator を効果的かつ自動化された拡張可能な方法で管理するために設計されたオープンソースツールキットの Operator Framework の一部です。
図6.1 Operator Lifecycle Manager ワークフロー
OLM は OpenShift Container Platform 4.7 でデフォルトで実行されます。これは、クラスター管理者がクラスターで実行されている Operator をインストールし、アップグレードし、アクセスをこれに付与するのに役立ちます。OpenShift Container Platform Web コンソールは、クラスター管理者が Operator をインストールしたり、クラスターで利用可能な Operator のカタログを使用できるように特定のプロジェクトアクセスを付与したりするのに使用する管理画面を提供します。
開発者の場合は、セルフサービスを使用することで、専門的な知識がなくてもデータベースのインスタンスのプロビジョニングや設定、またモニターリング、ビッグデータサービスなどを実行できます。 Operator にそれらに関するナレッジが織り込まれているためです。
CRD
Operator Lifecycle Manager (OLM) は、OLM Operator および Catalog Operator の 2 つの Operator で設定されています。
これらの Operator はそれぞれ OLM フレームワークのベースとなるカスタムリソース定義 (CRD) を管理します。
リソース | 短縮名 | 所有する Operator | 説明 |
---|---|---|---|
|
| OLM | アプリケーションのメタデータ: 名前、バージョン、アイコン、必須リソース、インストールなど。 |
|
| カタログ | CSV を自動的にインストールするか、またはアップグレードするために作成されるリソースの計算された一覧。 |
|
| カタログ | CSV、CRD、およびアプリケーションを定義するパッケージのリポジトリー。 |
|
| カタログ | パッケージのチャネルを追跡して CSV を最新の状態に保つために使用されます。 |
|
| OLM |
|
これらの Operator のそれぞれは以下のリソースの作成も行います。
リソース | 所有する Operator |
---|---|
| OLM |
| |
| |
| |
| カタログ |
|
OLM Operator
OLM Operator は、CSV で指定された必須リソースがクラスター内にあることが確認された後に CSV リソースで定義されるアプリケーションをデプロイします。
OLM Operator は必須リソースの作成には関与せず、ユーザーが CLI またはカタログ Operator を使用してこれらのリソースを手動で作成することを選択できます。このタスクの分離により、アプリケーションに OLM フレームワークをどの程度活用するかに関連してユーザーによる追加機能の購入を可能にします。
OLM Operator は以下のワークフローを使用します。
- namespace でクラスターサービスバージョン (CSV) の有無を確認し、要件を満たしていることを確認します。
要件が満たされている場合、CSV のインストールストラテジーを実行します。
注記CSV は、インストールストラテジーの実行を可能にするために Operator グループのアクティブなメンバーである必要があります。
カタログ Operator
カタログ Operator はクラスターサービスバージョン (CSV) およびそれらが指定する必須リソースを解決し、インストールします。また、カタログソースでチャネル内のパッケージへの更新の有無を確認し、必要な場合はそれらを利用可能な最新バージョンに自動的にアップグレードします。
チャネル内のパッケージを追跡するために、必要なパッケージ、チャネル、および更新のプルに使用する CatalogSource
オブジェクトを設定して Subscription
オブジェクトを作成できます。更新が見つかると、ユーザーに代わって適切な InstallPlan
オブジェクトの namespace への書き込みが行われます。
カタログ Operator は以下のワークフローを使用します。
- クラスターの各カタログソースに接続します。
ユーザーによって作成された未解決のインストール計画の有無を確認し、これがあった場合は以下を実行します。
- 要求される名前に一致する CSV を検索し、これを解決済みリソースとして追加します。
- 管理対象または必須の CRD のそれぞれについて、これを解決済みリソースとして追加します。
- 必須 CRD のそれぞれについて、これを管理する CSV を検索します。
- 解決済みのインストール計画の有無を確認し、それについての検出されたすべてのリソースを作成します (ユーザーによって、または自動的に承認される場合)。
- カタログソースおよびサブスクリプションの有無を確認し、それらに基づいてインストール計画を作成します。
カタログレジストリー
カタログレジストリーは、クラスター内での作成用に CSV および CRD を保存し、パッケージおよびチャネルについてのメタデータを保存します。
パッケージマニフェスト は、パッケージアイデンティティーを CSV のセットに関連付けるカタログレジストリー内のエントリーです。パッケージ内で、チャネルは特定の CSV を参照します。CSV は置き換え対象の CSV を明示的に参照するため、パッケージマニフェストはカタログ Operator に対し、CSV をチャネル内の最新バージョンに更新するために必要なすべての情報を提供します (各中間バージョンをステップスルー)。
関連情報
6.29. OpenShift Service CA Operator
目的
OpenShift Service CA Operator は、Kubernetes サービスへの証明書を作成し、提供を管理します。
プロジェクト
6.30. vSphere Problem Detector Operator
目的
vSphere Problem Detector Operator は、一般的なインストールおよびストレージに関連する正しくない設定の問題について vSphere にデプロイされたクラスターをチェックします。
vSphere でクラスターがデプロイされていることが、Cluster Storage Operator で検出された場合にのみ、Cluster Storage Operator により vSphere Problem Detector Operator が起動されます。
設定
必要な設定はありません。
注記
- Operator は、vSphere での OpenShift Container Platform のインストールをサポートします。
-
Operator は
vsphere-cloud-credentials
を使用して vSphere と通信します。 - Operator はストレージに関連するチェックを実行します。