4.10. etcd タスク


etcd のバックアップ、etcd 暗号化の有効化または無効化、または etcd データのデフラグを行います。

4.10.1. etcd 暗号化について

デフォルトで、etcd データは OpenShift Container Platform で暗号化されません。クラスターの etcd 暗号化を有効にして、データセキュリティーのレイヤーを追加で提供することができます。たとえば、etcd バックアップが正しくない公開先に公開される場合に機密データが失われないように保護することができます。

etcd の暗号化を有効にすると、以下の OpenShift API サーバーおよび Kubernetes API サーバーリソースが暗号化されます。

  • シークレット
  • 設定マップ
  • ルート
  • OAuth アクセストークン
  • OAuth 認証トークン

etcd 暗号を有効にすると、暗号化キーが作成されます。これらのキーは週ごとにローテーションされます。etcd バックアップから復元するには、これらのキーが必要です。

注記

etcd 暗号化はキーではなく値のみを暗号化することに注意してください。つまり、リソースタイプ、namespace、およびオブジェクト名は暗号化されません。

4.10.2. etcd 暗号化の有効化

etcd 暗号化を有効にして、クラスターで機密性の高いリソースを暗号化できます。

警告

初期の暗号化プロセスが完了するまでは、etcd のバックアップを取ることは推奨されません。暗号化プロセスが完了しない場合、バックアップは部分的にのみ暗号化される可能性があります。

前提条件

  • cluster-admin ロールを持つユーザーとしてのクラスターへのアクセスがあること。

手順

  1. APIServer オブジェクトを変更します。

    $ oc edit apiserver
  2. encryption フィールドタイプを aescbc に設定します。

    spec:
      encryption:
        type: aescbc 1
    1
    aescbc タイプは、暗号化を実行するために PKCS#7 パディングを実装している AES-CBC と 32 バイトのキーが使用されることを意味します。
  3. 変更を適用するためにファイルを保存します。

    暗号化プロセスが開始されます。クラスターのサイズによっては、このプロセスが完了するまで 20 分以上かかる場合があります。

  4. etcd 暗号化が正常に行われたことを確認します。

    1. OpenShift API サーバーの Encrypted ステータスを確認し、そのリソースが正常に暗号化されたことを確認します。

      $ oc get openshiftapiserver -o=jsonpath='{range .items[0].status.conditions[?(@.type=="Encrypted")]}{.reason}{"\n"}{.message}{"\n"}'

      この出力には、暗号化が正常に実行されると EncryptionCompleted が表示されます。

      EncryptionCompleted
      All resources encrypted: routes.route.openshift.io

      出力に EncryptionInProgress が表示される場合、これは暗号化が進行中であることを意味します。数分待機した後に再試行します。

    2. Kubernetes API サーバーの Encrypted ステータス状態を確認し、そのリソースが正常に暗号化されたことを確認します。

      $ oc get kubeapiserver -o=jsonpath='{range .items[0].status.conditions[?(@.type=="Encrypted")]}{.reason}{"\n"}{.message}{"\n"}'

      この出力には、暗号化が正常に実行されると EncryptionCompleted が表示されます。

      EncryptionCompleted
      All resources encrypted: secrets, configmaps

      出力に EncryptionInProgress が表示される場合、これは暗号化が進行中であることを意味します。数分待機した後に再試行します。

    3. OpenShift OAuth API サーバーの Encrypted ステータスを確認し、そのリソースが正常に暗号化されたことを確認します。

      $ oc get authentication.operator.openshift.io -o=jsonpath='{range .items[0].status.conditions[?(@.type=="Encrypted")]}{.reason}{"\n"}{.message}{"\n"}'

      この出力には、暗号化が正常に実行されると EncryptionCompleted が表示されます。

      EncryptionCompleted
      All resources encrypted: oauthaccesstokens.oauth.openshift.io, oauthauthorizetokens.oauth.openshift.io

      出力に EncryptionInProgress が表示される場合、これは暗号化が進行中であることを意味します。数分待機した後に再試行します。

4.10.3. etcd 暗号化の無効化

クラスターで etcd データの暗号化を無効にできます。

前提条件

  • cluster-admin ロールを持つユーザーとしてのクラスターへのアクセスがあること。

手順

  1. APIServer オブジェクトを変更します。

    $ oc edit apiserver
  2. encryption フィールドタイプを identity に設定します。

    spec:
      encryption:
        type: identity 1
    1
    identity タイプはデフォルト値であり、暗号化は実行されないことを意味します。
  3. 変更を適用するためにファイルを保存します。

    復号化プロセスが開始されます。クラスターのサイズによっては、このプロセスが完了するまで 20 分以上かかる場合があります。

  4. etcd の復号化が正常に行われたことを確認します。

    1. OpenShift API サーバーの Encrypted ステータス条件を確認し、そのリソースが正常に暗号化されたことを確認します。

      $ oc get openshiftapiserver -o=jsonpath='{range .items[0].status.conditions[?(@.type=="Encrypted")]}{.reason}{"\n"}{.message}{"\n"}'

      この出力には、復号化が正常に実行されると DecryptionCompleted が表示されます。

      DecryptionCompleted
      Encryption mode set to identity and everything is decrypted

      出力に DecryptionInProgress が表示される場合、これは復号化が進行中であることを意味します。数分待機した後に再試行します。

    2. Kubernetes API サーバーの Encrypted ステータス状態を確認し、そのリソースが正常に復号化されたことを確認します。

      $ oc get kubeapiserver -o=jsonpath='{range .items[0].status.conditions[?(@.type=="Encrypted")]}{.reason}{"\n"}{.message}{"\n"}'

      この出力には、復号化が正常に実行されると DecryptionCompleted が表示されます。

      DecryptionCompleted
      Encryption mode set to identity and everything is decrypted

      出力に DecryptionInProgress が表示される場合、これは復号化が進行中であることを意味します。数分待機した後に再試行します。

    3. OpenShift API サーバーの Encrypted ステータス条件を確認し、そのリソースが正常に復号化されたことを確認します。

      $ oc get authentication.operator.openshift.io -o=jsonpath='{range .items[0].status.conditions[?(@.type=="Encrypted")]}{.reason}{"\n"}{.message}{"\n"}'

      この出力には、復号化が正常に実行されると DecryptionCompleted が表示されます。

      DecryptionCompleted
      Encryption mode set to identity and everything is decrypted

      出力に DecryptionInProgress が表示される場合、これは復号化が進行中であることを意味します。数分待機した後に再試行します。

4.10.4. etcd データのバックアップ

以下の手順に従って、etcd スナップショットを作成し、静的 Pod のリソースをバックアップして etcd データをバックアップします。このバックアップは保存でき、etcd を復元する必要がある場合に後で使用することができます。

重要

単一コントロールプレーンホスト (別名マスターホスト) からのバックアップのみを保存します。クラスター内の各コントロールプレーンホストからのバックアップは取得しないでください。

前提条件

  • cluster-admin ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
  • クラスター全体のプロキシーが有効になっているかどうかを確認している。

    ヒント

    oc get proxy cluster -o yaml の出力を確認して、プロキシーが有効にされているかどうかを確認できます。プロキシーは、httpProxyhttpsProxy、および noProxy フィールドに値が設定されている場合に有効にされます。

手順

  1. コントロールプレーンノードのデバッグセッションを開始します。

    $ oc debug node/<node_name>
  2. ルートディレクトリーをホストに切り替えます。

    sh-4.2# chroot /host
  3. クラスター全体のプロキシーが有効になっている場合は、 NO_PROXYHTTP_PROXY、および HTTPS_PROXY 環境変数をエクスポートしていることを確認します。
  4. etcd-snapshot-backup.sh スクリプトを実行し、バックアップの保存先となる場所を渡します。

    ヒント

    cluster-backup.sh スクリプトは etcd Cluster Operator のコンポーネントとして維持され、etcdctl snapshot save コマンドに関連するラッパーです。

    sh-4.4# /usr/local/bin/cluster-backup.sh /home/core/assets/backup

    スクリプトの出力例

    found latest kube-apiserver: /etc/kubernetes/static-pod-resources/kube-apiserver-pod-6
    found latest kube-controller-manager: /etc/kubernetes/static-pod-resources/kube-controller-manager-pod-7
    found latest kube-scheduler: /etc/kubernetes/static-pod-resources/kube-scheduler-pod-6
    found latest etcd: /etc/kubernetes/static-pod-resources/etcd-pod-3
    ede95fe6b88b87ba86a03c15e669fb4aa5bf0991c180d3c6895ce72eaade54a1
    etcdctl version: 3.4.14
    API version: 3.4
    {"level":"info","ts":1624647639.0188997,"caller":"snapshot/v3_snapshot.go:119","msg":"created temporary db file","path":"/home/core/assets/backup/snapshot_2021-06-25_190035.db.part"}
    {"level":"info","ts":"2021-06-25T19:00:39.030Z","caller":"clientv3/maintenance.go:200","msg":"opened snapshot stream; downloading"}
    {"level":"info","ts":1624647639.0301006,"caller":"snapshot/v3_snapshot.go:127","msg":"fetching snapshot","endpoint":"https://10.0.0.5:2379"}
    {"level":"info","ts":"2021-06-25T19:00:40.215Z","caller":"clientv3/maintenance.go:208","msg":"completed snapshot read; closing"}
    {"level":"info","ts":1624647640.6032252,"caller":"snapshot/v3_snapshot.go:142","msg":"fetched snapshot","endpoint":"https://10.0.0.5:2379","size":"114 MB","took":1.584090459}
    {"level":"info","ts":1624647640.6047094,"caller":"snapshot/v3_snapshot.go:152","msg":"saved","path":"/home/core/assets/backup/snapshot_2021-06-25_190035.db"}
    Snapshot saved at /home/core/assets/backup/snapshot_2021-06-25_190035.db
    {"hash":3866667823,"revision":31407,"totalKey":12828,"totalSize":114446336}
    snapshot db and kube resources are successfully saved to /home/core/assets/backup

    この例では、コントロールプレーンホストの /home/core/assets/backup/ ディレクトリーにファイルが 2 つ作成されます。

    • snapshot_<datetimestamp>.db: このファイルは etcd スナップショットです。cluster-backup.sh スクリプトで、その有効性を確認します。
    • static_kuberesources_<datetimestamp>.tar.gz: このファイルには、静的 Pod のリソースが含まれます。etcd 暗号化が有効にされている場合、etcd スナップショットの暗号化キーも含まれます。

      注記

      etcd 暗号化が有効にされている場合、セキュリティー上の理由から、この 2 つ目のファイルを etcd スナップショットとは別に保存することが推奨されます。ただし、このファイルは etcd スナップショットから復元するために必要になります。

      etcd 暗号化はキーではなく値のみを暗号化することに注意してください。つまり、リソースタイプ、namespace、およびオブジェクト名は暗号化されません。

4.10.5. etcd データのデフラグ

etcd 履歴の圧縮および他のイベントによりディスクの断片化が生じた後にディスク領域を回収するために、手動によるデフラグを定期的に実行する必要があります。

履歴の圧縮は 5 分ごとに自動的に行われ、これによりバックエンドデータベースにギャップが生じます。この断片化された領域は etcd が使用できますが、ホストファイルシステムでは利用できません。ホストファイルシステムでこの領域を使用できるようにするには、etcd をデフラグする必要があります。

etcd はデータをディスクに書き込むため、そのパフォーマンスはディスクのパフォーマンスに大きく依存します。etcd のデフラグは、毎月、月に 2 回、またはクラスターでの必要に応じて行うことを検討してください。etcd_db_total_size_in_bytes メトリクスをモニターして、デフラグが必要であるかどうかを判別することもできます。

警告

etcd のデフラグはプロセスを阻止するアクションです。etcd メンバーはデフラグが完了するまで応答しません。このため、各 Pod のデフラグアクションごとに少なくとも 1 分間待機し、クラスターが回復できるようにします。

以下の手順に従って、各 etcd メンバーで etcd データをデフラグします。

前提条件

  • cluster-admin ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。

手順

  1. リーダーを最後にデフラグする必要があるため、どの etcd メンバーがリーダーであるかを判別します。

    1. etcd Pod の一覧を取得します。

      $ oc get pods -n openshift-etcd -o wide | grep -v quorum-guard | grep etcd

      出力例

      etcd-ip-10-0-159-225.example.redhat.com                3/3     Running     0          175m   10.0.159.225   ip-10-0-159-225.example.redhat.com   <none>           <none>
      etcd-ip-10-0-191-37.example.redhat.com                 3/3     Running     0          173m   10.0.191.37    ip-10-0-191-37.example.redhat.com    <none>           <none>
      etcd-ip-10-0-199-170.example.redhat.com                3/3     Running     0          176m   10.0.199.170   ip-10-0-199-170.example.redhat.com   <none>           <none>

    2. Pod を選択し、以下のコマンドを実行して、どの etcd メンバーがリーダーであるかを判別します。

      $ oc rsh -n openshift-etcd etcd-ip-10-0-159-225.example.redhat.com etcdctl endpoint status --cluster -w table

      出力例

      Defaulting container name to etcdctl.
      Use 'oc describe pod/etcd-ip-10-0-159-225.example.redhat.com -n openshift-etcd' to see all of the containers in this pod.
      +---------------------------+------------------+---------+---------+-----------+------------+-----------+------------+--------------------+--------+
      |         ENDPOINT          |        ID        | VERSION | DB SIZE | IS LEADER | IS LEARNER | RAFT TERM | RAFT INDEX | RAFT APPLIED INDEX | ERRORS |
      +---------------------------+------------------+---------+---------+-----------+------------+-----------+------------+--------------------+--------+
      |  https://10.0.191.37:2379 | 251cd44483d811c3 |   3.4.9 |  104 MB |     false |      false |         7 |      91624 |              91624 |        |
      | https://10.0.159.225:2379 | 264c7c58ecbdabee |   3.4.9 |  104 MB |     false |      false |         7 |      91624 |              91624 |        |
      | https://10.0.199.170:2379 | 9ac311f93915cc79 |   3.4.9 |  104 MB |      true |      false |         7 |      91624 |              91624 |        |
      +---------------------------+------------------+---------+---------+-----------+------------+-----------+------------+--------------------+--------+

      この出力の IS LEADER 列に基づいて、https://10.0.199.170:2379 エンドポイントがリーダーになります。このエンドポイントを直前の手順の出力に一致させると、リーダーの Pod 名は etcd-ip-10-0-199-170.example.redhat.com になります。

  2. etcd メンバーのデフラグ。

    1. 実行中の etcd コンテナーに接続し、リーダーでは ない Pod の名前を渡します。

      $ oc rsh -n openshift-etcd etcd-ip-10-0-159-225.example.redhat.com
    2. ETCDCTL_ENDPOINTS 環境変数の設定を解除します。

      sh-4.4# unset ETCDCTL_ENDPOINTS
    3. etcd メンバーのデフラグを実行します。

      sh-4.4# etcdctl --command-timeout=30s --endpoints=https://localhost:2379 defrag

      出力例

      Finished defragmenting etcd member[https://localhost:2379]

      タイムアウトエラーが発生した場合は、コマンドが正常に実行されるまで --command-timeout の値を増やします。

    4. データベースサイズが縮小されていることを確認します。

      sh-4.4# etcdctl endpoint status -w table --cluster

      出力例

      +---------------------------+------------------+---------+---------+-----------+------------+-----------+------------+--------------------+--------+
      |         ENDPOINT          |        ID        | VERSION | DB SIZE | IS LEADER | IS LEARNER | RAFT TERM | RAFT INDEX | RAFT APPLIED INDEX | ERRORS |
      +---------------------------+------------------+---------+---------+-----------+------------+-----------+------------+--------------------+--------+
      |  https://10.0.191.37:2379 | 251cd44483d811c3 |   3.4.9 |  104 MB |     false |      false |         7 |      91624 |              91624 |        |
      | https://10.0.159.225:2379 | 264c7c58ecbdabee |   3.4.9 |   41 MB |     false |      false |         7 |      91624 |              91624 |        | 1
      | https://10.0.199.170:2379 | 9ac311f93915cc79 |   3.4.9 |  104 MB |      true |      false |         7 |      91624 |              91624 |        |
      +---------------------------+------------------+---------+---------+-----------+------------+-----------+------------+--------------------+--------+

      この例では、この etcd メンバーのデータベースサイズは、開始時のサイズの 104 MB ではなく 41 MB です。

    5. これらの手順を繰り返して他の etcd メンバーのそれぞれに接続し、デフラグします。常に最後にリーダーをデフラグします。

      etcd Pod が回復するように、デフラグアクションごとに 1 分以上待機します。etcd Pod が回復するまで、etcd メンバーは応答しません。

  3. 領域のクォータの超過により NOSPACE アラームがトリガーされる場合、それらをクリアします。

    1. NOSPACE アラームがあるかどうかを確認します。

      sh-4.4# etcdctl alarm list

      出力例

      memberID:12345678912345678912 alarm:NOSPACE

    2. アラームをクリアします。

      sh-4.4# etcdctl alarm disarm

4.10.6. クラスターの直前の状態への復元

保存された etcd のバックアップを使用して、クラスターの以前の状態を復元したり、大多数のコントロールプレーンホスト (別名マスターホスト) が失われたクラスターを復元したりできます。

重要

クラスターを復元する際に、同じ z-stream リリースから取得した etcd バックアップを使用する必要があります。たとえば、OpenShift Container Platform 4.7.2 クラスターは、4.7.2 から取得した etcd バックアップを使用する必要があります。

前提条件

  • cluster-admin ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
  • リカバリーホストとして使用する正常なコントロールプレーンホストがあること。
  • コントロールプレーンホストへの SSH アクセス。
  • etcd スナップショットと静的 Pod のリソースの両方を含むバックアップディレクトリー (同じバックアップから取られるもの)。ディレクトリー内のファイル名は、snapshot_<datetimestamp>.db および static_kuberesources_<datetimestamp>.tar.gz の形式にする必要があります。
重要

非復元コントロールプレーンノードの場合は、SSH 接続を確立したり、静的 Pod を停止したりする必要はありません。他のリカバリー以外のコントロールプレーンマシンを 1 つずつ削除し、再作成します。

手順

  1. リカバリーホストとして使用するコントロールプレーンホストを選択します。これは、復元操作を実行するホストです。
  2. リカバリーホストを含む、各コントロールプレーンノードへの SSH 接続を確立します。

    Kubernetes API サーバーは復元プロセスの開始後にアクセスできなくなるため、コントロールプレーンノードにはアクセスできません。このため、別のターミナルで各コントロールプレーンホストに SSH 接続を確立することが推奨されます。

    重要

    この手順を完了しないと、復元手順を完了するためにコントロールプレーンホストにアクセスすることができなくなり、この状態からクラスターを回復できなくなります。

  3. etcd バックアップディレクトリーをリカバリーコントロールプレーンホストにコピーします。

    この手順では、etcd スナップショットおよび静的 Pod のリソースを含む backup ディレクトリーを、リカバリーコントロールプレーンホストの /home/core/ ディレクトリーにコピーしていることを前提としています。

  4. 他のすべてのコントロールプレーンノードで静的 Pod を停止します。

    注記

    リカバリーホストで Pod を手動で停止する必要はありません。リカバリースクリプトは、リカバリーホストの Pod を停止します。

    1. リカバリーホストではないコントロールプレーンホストにアクセスします。
    2. 既存の etcd Pod ファイルを kubelet マニフェストディレクトリーから移動します。

      $ sudo mv /etc/kubernetes/manifests/etcd-pod.yaml /tmp
    3. etcd Pod が停止していることを確認します。

      $ sudo crictl ps | grep etcd | grep -v operator

      コマンドの出力は空であるはずです。空でない場合は、数分待機してから再度確認します。

    4. 既存の Kubernetes API サーバー Pod ファイルを kubelet マニフェストディレクトリーから移動します。

      $ sudo mv /etc/kubernetes/manifests/kube-apiserver-pod.yaml /tmp
    5. Kubernetes API サーバー Pod が停止していることを確認します。

      $ sudo crictl ps | grep kube-apiserver | grep -v operator

      コマンドの出力は空であるはずです。空でない場合は、数分待機してから再度確認します。

    6. etcd データディレクトリーを別の場所に移動します。

      $ sudo mv /var/lib/etcd/ /tmp
    7. リカバリーホストではない他のコントロールプレーンホストでこの手順を繰り返します。
  5. リカバリーコントロールプレーンホストにアクセスします。
  6. クラスター全体のプロキシーが有効になっている場合は、 NO_PROXYHTTP_PROXY、および HTTPS_PROXY 環境変数をエクスポートしていることを確認します。

    ヒント

    oc get proxy cluster -o yaml の出力を確認して、プロキシーが有効にされているかどうかを確認できます。プロキシーは、httpProxyhttpsProxy、および noProxy フィールドに値が設定されている場合に有効にされます。

  7. リカバリーコントロールプレーンホストで復元スクリプトを実行し、パスを etcd バックアップディレクトリーに渡します。

    $ sudo -E /usr/local/bin/cluster-restore.sh /home/core/backup

    スクリプトの出力例

    ...stopping kube-scheduler-pod.yaml
    ...stopping kube-controller-manager-pod.yaml
    ...stopping etcd-pod.yaml
    ...stopping kube-apiserver-pod.yaml
    Waiting for container etcd to stop
    .complete
    Waiting for container etcdctl to stop
    .............................complete
    Waiting for container etcd-metrics to stop
    complete
    Waiting for container kube-controller-manager to stop
    complete
    Waiting for container kube-apiserver to stop
    ..........................................................................................complete
    Waiting for container kube-scheduler to stop
    complete
    Moving etcd data-dir /var/lib/etcd/member to /var/lib/etcd-backup
    starting restore-etcd static pod
    starting kube-apiserver-pod.yaml
    static-pod-resources/kube-apiserver-pod-7/kube-apiserver-pod.yaml
    starting kube-controller-manager-pod.yaml
    static-pod-resources/kube-controller-manager-pod-7/kube-controller-manager-pod.yaml
    starting kube-scheduler-pod.yaml
    static-pod-resources/kube-scheduler-pod-8/kube-scheduler-pod.yaml

    注記

    最後の etcd バックアップの後にノード証明書が更新された場合、復元プロセスによってノードが NotReady 状態になる可能性があります。

  8. ノードをチェックして、Ready 状態であることを確認します。

    1. 以下のコマンドを実行します。

      $ oc get nodes -w

      出力例

      NAME                STATUS  ROLES          AGE     VERSION
      host-172-25-75-28   Ready   master         3d20h   v1.23.3+e419edf
      host-172-25-75-38   Ready   infra,worker   3d20h   v1.23.3+e419edf
      host-172-25-75-40   Ready   master         3d20h   v1.23.3+e419edf
      host-172-25-75-65   Ready   master         3d20h   v1.23.3+e419edf
      host-172-25-75-74   Ready   infra,worker   3d20h   v1.23.3+e419edf
      host-172-25-75-79   Ready   worker         3d20h   v1.23.3+e419edf
      host-172-25-75-86   Ready   worker         3d20h   v1.23.3+e419edf
      host-172-25-75-98   Ready   infra,worker   3d20h   v1.23.3+e419edf

      すべてのノードが状態を報告するのに数分かかる場合があります。

    2. NotReady 状態のノードがある場合は、ノードにログインし、各ノードの /var/lib/kubelet/pki ディレクトリーからすべての PEM ファイルを削除します。ノードに SSH 接続するか、Web コンソールのターミナルウィンドウを使用できます。

      $  ssh -i <ssh-key-path> core@<master-hostname>

      サンプル pki ディレクトリー

      sh-4.4# pwd
      /var/lib/kubelet/pki
      sh-4.4# ls
      kubelet-client-2022-04-28-11-24-09.pem  kubelet-server-2022-04-28-11-24-15.pem
      kubelet-client-current.pem              kubelet-server-current.pem

  9. すべてのコントロールプレーンホストで kubelet サービスを再起動します。

    1. リカバリーホストから以下のコマンドを実行します。

      $ sudo systemctl restart kubelet.service
    2. 他のすべてのコントロールプレーンホストでこの手順を繰り返します。
  10. 保留中の CSR を承認します。

    1. 現在の CSR の一覧を取得します。

      $ oc get csr

      出力例

      NAME        AGE    SIGNERNAME                                    REQUESTOR                                                                   CONDITION
      csr-2s94x   8m3s   kubernetes.io/kubelet-serving                 system:node:<node_name>                                                     Pending 1
      csr-4bd6t   8m3s   kubernetes.io/kubelet-serving                 system:node:<node_name>                                                     Pending 2
      csr-4hl85   13m    kubernetes.io/kube-apiserver-client-kubelet   system:serviceaccount:openshift-machine-config-operator:node-bootstrapper   Pending 3
      csr-zhhhp   3m8s   kubernetes.io/kube-apiserver-client-kubelet   system:serviceaccount:openshift-machine-config-operator:node-bootstrapper   Pending 4
      ...

      1 1 2
      保留中の kubelet サービス CSR (ユーザーがプロビジョニングしたインストール用)。
      3 4
      保留中の node-bootstrapper CSR。
    2. CSR の詳細をレビューし、これが有効であることを確認します。

      $ oc describe csr <csr_name> 1
      1
      <csr_name> は、現行の CSR の一覧からの CSR の名前です。
    3. それぞれの有効な node-bootstrapper CSR を承認します。

      $ oc adm certificate approve <csr_name>
    4. ユーザーによってプロビジョニングされるインストールの場合は、それぞれの有効な kubelet 提供の CSR を承認します。

      $ oc adm certificate approve <csr_name>
  11. 単一メンバーのコントロールプレーンが正常に起動していることを確認します。

    1. リカバリーホストから etcd コンテナーが実行中であることを確認します。

      $ sudo crictl ps | grep etcd | grep -v operator

      出力例

      3ad41b7908e32       36f86e2eeaaffe662df0d21041eb22b8198e0e58abeeae8c743c3e6e977e8009                                                         About a minute ago   Running             etcd                                          0                   7c05f8af362f0

    2. リカバリーホストから、etcd Pod が実行されていることを確認します。

      $ oc get pods -n openshift-etcd | grep -v etcd-quorum-guard | grep etcd
      注記

      このコマンドを実行する前に oc login の実行を試行し、以下のエラーを受信すると、認証コントローラーが起動し、再試行するまでしばらく待機します。

      Unable to connect to the server: EOF

      出力例

      NAME                                             READY   STATUS      RESTARTS   AGE
      etcd-ip-10-0-143-125.ec2.internal                1/1     Running     1          2m47s

      ステータスが Pending の場合や出力に複数の実行中の etcd Pod が一覧表示される場合、数分待機してから再度チェックを行います。

    3. リカバリーホストではない喪失したコントロールプレーンホストで、このステップを繰り返します。
  12. 他のリカバリー以外のコントロールプレーンマシンを 1 つずつ削除し、再作成します。これらのマシンが再作成されると、新規リビジョンが強制的に実行され、etcd は自動的にスケールアップします。

    インストーラーでプロビジョニングされるインフラストラクチャーを実行している場合、またはマシン API を使用してマシンを作成している場合は、以下の手順を実行します。それ以外の場合は、最初に作成したときと同じ方法で、新しいコントロールプレーンノードを作成する必要があります。

    警告

    リカバリーホストのマシンを削除し、再作成しないでください。

    1. 失われたコントロールプレーンホストのいずれかのマシンを取得します。

      クラスターにアクセスできるターミナルで、cluster-admin ユーザーとして以下のコマンドを実行します。

      $ oc get machines -n openshift-machine-api -o wide

      出力例:

      NAME                                        PHASE     TYPE        REGION      ZONE         AGE     NODE                           PROVIDERID                              STATE
      clustername-8qw5l-master-0                  Running   m4.xlarge   us-east-1   us-east-1a   3h37m   ip-10-0-131-183.ec2.internal   aws:///us-east-1a/i-0ec2782f8287dfb7e   stopped 1
      clustername-8qw5l-master-1                  Running   m4.xlarge   us-east-1   us-east-1b   3h37m   ip-10-0-143-125.ec2.internal   aws:///us-east-1b/i-096c349b700a19631   running
      clustername-8qw5l-master-2                  Running   m4.xlarge   us-east-1   us-east-1c   3h37m   ip-10-0-154-194.ec2.internal    aws:///us-east-1c/i-02626f1dba9ed5bba  running
      clustername-8qw5l-worker-us-east-1a-wbtgd   Running   m4.large    us-east-1   us-east-1a   3h28m   ip-10-0-129-226.ec2.internal   aws:///us-east-1a/i-010ef6279b4662ced   running
      clustername-8qw5l-worker-us-east-1b-lrdxb   Running   m4.large    us-east-1   us-east-1b   3h28m   ip-10-0-144-248.ec2.internal   aws:///us-east-1b/i-0cb45ac45a166173b   running
      clustername-8qw5l-worker-us-east-1c-pkg26   Running   m4.large    us-east-1   us-east-1c   3h28m   ip-10-0-170-181.ec2.internal   aws:///us-east-1c/i-06861c00007751b0a   running
      1
      これは、失われたコントロールプレーンホストのコントロールプレーンマシンです (ip-10-0-131-183.ec2.internal)。
    2. マシン設定をファイルシステムのファイルに保存します。

      $ oc get machine clustername-8qw5l-master-0 \ 1
          -n openshift-machine-api \
          -o yaml \
          > new-master-machine.yaml
      1
      失われたコントロールプレーンホストのコントロールプレーンマシンの名前を指定します。
    3. 直前の手順で作成された new-master-machine.yaml ファイルを編集し、新しい名前を割り当て、不要なフィールドを削除します。

      1. status セクション全体を削除します。

        status:
          addresses:
          - address: 10.0.131.183
            type: InternalIP
          - address: ip-10-0-131-183.ec2.internal
            type: InternalDNS
          - address: ip-10-0-131-183.ec2.internal
            type: Hostname
          lastUpdated: "2020-04-20T17:44:29Z"
          nodeRef:
            kind: Node
            name: ip-10-0-131-183.ec2.internal
            uid: acca4411-af0d-4387-b73e-52b2484295ad
          phase: Running
          providerStatus:
            apiVersion: awsproviderconfig.openshift.io/v1beta1
            conditions:
            - lastProbeTime: "2020-04-20T16:53:50Z"
              lastTransitionTime: "2020-04-20T16:53:50Z"
              message: machine successfully created
              reason: MachineCreationSucceeded
              status: "True"
              type: MachineCreation
            instanceId: i-0fdb85790d76d0c3f
            instanceState: stopped
            kind: AWSMachineProviderStatus
      2. metadata.name フィールドを新規の名前に変更します。

        古いマシンと同じベース名を維持し、最後の番号を次に利用可能な番号に変更することが推奨されます。この例では、clustername-8qw5l-master-0clustername-8qw5l-master-3 に変更されています。

        apiVersion: machine.openshift.io/v1beta1
        kind: Machine
        metadata:
          ...
          name: clustername-8qw5l-master-3
          ...
      3. spec.providerID フィールドを削除します。

        providerID: aws:///us-east-1a/i-0fdb85790d76d0c3f
      4. metadata.annotations および metadata.generation フィールドを削除します。

        annotations:
          machine.openshift.io/instance-state: running
        ...
        generation: 2
      5. metadata.resourceVersion および metadata.uid フィールドを削除します。

        resourceVersion: "13291"
        uid: a282eb70-40a2-4e89-8009-d05dd420d31a
    4. 失われたコントロールプレーンホストのマシンを削除します。

      $ oc delete machine -n openshift-machine-api clustername-8qw5l-master-0 1
      1
      失われたコントロールプレーンホストのコントロールプレーンマシンの名前を指定します。
    5. マシンが削除されたことを確認します。

      $ oc get machines -n openshift-machine-api -o wide

      出力例:

      NAME                                        PHASE     TYPE        REGION      ZONE         AGE     NODE                           PROVIDERID                              STATE
      clustername-8qw5l-master-1                  Running   m4.xlarge   us-east-1   us-east-1b   3h37m   ip-10-0-143-125.ec2.internal   aws:///us-east-1b/i-096c349b700a19631   running
      clustername-8qw5l-master-2                  Running   m4.xlarge   us-east-1   us-east-1c   3h37m   ip-10-0-154-194.ec2.internal   aws:///us-east-1c/i-02626f1dba9ed5bba  running
      clustername-8qw5l-worker-us-east-1a-wbtgd   Running   m4.large    us-east-1   us-east-1a   3h28m   ip-10-0-129-226.ec2.internal   aws:///us-east-1a/i-010ef6279b4662ced   running
      clustername-8qw5l-worker-us-east-1b-lrdxb   Running   m4.large    us-east-1   us-east-1b   3h28m   ip-10-0-144-248.ec2.internal   aws:///us-east-1b/i-0cb45ac45a166173b   running
      clustername-8qw5l-worker-us-east-1c-pkg26   Running   m4.large    us-east-1   us-east-1c   3h28m   ip-10-0-170-181.ec2.internal   aws:///us-east-1c/i-06861c00007751b0a   running
    6. new-master-machine.yaml ファイルを使用して新規マシンを作成します。

      $ oc apply -f new-master-machine.yaml
    7. 新規マシンが作成されたことを確認します。

      $ oc get machines -n openshift-machine-api -o wide

      出力例:

      NAME                                        PHASE          TYPE        REGION      ZONE         AGE     NODE                           PROVIDERID                              STATE
      clustername-8qw5l-master-1                  Running        m4.xlarge   us-east-1   us-east-1b   3h37m   ip-10-0-143-125.ec2.internal   aws:///us-east-1b/i-096c349b700a19631   running
      clustername-8qw5l-master-2                  Running        m4.xlarge   us-east-1   us-east-1c   3h37m   ip-10-0-154-194.ec2.internal    aws:///us-east-1c/i-02626f1dba9ed5bba  running
      clustername-8qw5l-master-3                  Provisioning   m4.xlarge   us-east-1   us-east-1a   85s     ip-10-0-173-171.ec2.internal    aws:///us-east-1a/i-015b0888fe17bc2c8  running 1
      clustername-8qw5l-worker-us-east-1a-wbtgd   Running        m4.large    us-east-1   us-east-1a   3h28m   ip-10-0-129-226.ec2.internal   aws:///us-east-1a/i-010ef6279b4662ced   running
      clustername-8qw5l-worker-us-east-1b-lrdxb   Running        m4.large    us-east-1   us-east-1b   3h28m   ip-10-0-144-248.ec2.internal   aws:///us-east-1b/i-0cb45ac45a166173b   running
      clustername-8qw5l-worker-us-east-1c-pkg26   Running        m4.large    us-east-1   us-east-1c   3h28m   ip-10-0-170-181.ec2.internal   aws:///us-east-1c/i-06861c00007751b0a   running
      1
      新規マシン clustername-8qw5l-master-3 が作成され、Provisioning から Running にフェーズが変更されると準備状態になります。

      新規マシンが作成されるまでに数分の時間がかかる場合があります。etcd クラスター Operator はマシンまたはノードが正常な状態に戻ると自動的に同期します。

    8. リカバリーホストではない喪失したコントロールプレーンホストで、これらのステップを繰り返します。
  13. 別のターミナルウィンドウで、以下のコマンドを使用して cluster-admin ロールが割り当てられたユーザーとしてクラスターにログインします。

    $ oc login -u <cluster_admin> 1
    1
    <cluster_admin> については、cluster-admin ロールでユーザー名を指定します。
  14. etcd の再デプロイメントを強制的に実行します。

    クラスターにアクセスできるターミナルで、cluster-admin ユーザーとして以下のコマンドを実行します。

    $ oc patch etcd cluster -p='{"spec": {"forceRedeploymentReason": "recovery-'"$( date --rfc-3339=ns )"'"}}' --type=merge 1
    1
    forceRedeploymentReason 値は一意である必要があります。そのため、タイムスタンプが付加されます。

    etcd クラスター Operator が再デプロイメントを実行すると、初期ブートストラップのスケールアップと同様に、既存のノードが新規 Pod と共に起動します。

  15. すべてのノードが最新のリビジョンに更新されていることを確認します。

    クラスターにアクセスできるターミナルで、cluster-admin ユーザーとして以下のコマンドを実行します。

    $ oc get etcd -o=jsonpath='{range .items[0].status.conditions[?(@.type=="NodeInstallerProgressing")]}{.reason}{"\n"}{.message}{"\n"}'

    etcd の NodeInstallerProgressing 状況条件を確認し、すべてのノードが最新のリビジョンであることを確認します。更新が正常に実行されると、この出力には AllNodesAtLatestRevision が表示されます。

    AllNodesAtLatestRevision
    3 nodes are at revision 7 1
    1
    この例では、最新のリビジョン番号は 7 です。

    出力に 2 nodes are at revision 6; 1 nodes are at revision 7 などの複数のリビジョン番号が含まれる場合、これは更新が依然として進行中であることを意味します。数分待機した後に再試行します。

  16. etcd の再デプロイ後に、コントロールプレーンの新規ロールアウトを強制的に実行します。kubelet が内部ロードバランサーを使用して API サーバーに接続されているため、Kubernetes API サーバーは他のノードに再インストールされます。

    クラスターにアクセスできるターミナルで、cluster-admin ユーザーとして以下のコマンドを実行します。

    1. Kubernetes API サーバーの新規ロールアウトを強制的に実行します。

      $ oc patch kubeapiserver cluster -p='{"spec": {"forceRedeploymentReason": "recovery-'"$( date --rfc-3339=ns )"'"}}' --type=merge

      すべてのノードが最新のリビジョンに更新されていることを確認します。

      $ oc get kubeapiserver -o=jsonpath='{range .items[0].status.conditions[?(@.type=="NodeInstallerProgressing")]}{.reason}{"\n"}{.message}{"\n"}'

      NodeInstallerProgressing 状況条件を確認し、すべてのノードが最新のリビジョンであることを確認します。更新が正常に実行されると、この出力には AllNodesAtLatestRevision が表示されます。

      AllNodesAtLatestRevision
      3 nodes are at revision 7 1
      1
      この例では、最新のリビジョン番号は 7 です。

      出力に 2 nodes are at revision 6; 1 nodes are at revision 7 などの複数のリビジョン番号が含まれる場合、これは更新が依然として進行中であることを意味します。数分待機した後に再試行します。

    2. Kubernetes コントローラーマネージャーの新規ロールアウトを強制的に実行します。

      $ oc patch kubecontrollermanager cluster -p='{"spec": {"forceRedeploymentReason": "recovery-'"$( date --rfc-3339=ns )"'"}}' --type=merge

      すべてのノードが最新のリビジョンに更新されていることを確認します。

      $ oc get kubecontrollermanager -o=jsonpath='{range .items[0].status.conditions[?(@.type=="NodeInstallerProgressing")]}{.reason}{"\n"}{.message}{"\n"}'

      NodeInstallerProgressing 状況条件を確認し、すべてのノードが最新のリビジョンであることを確認します。更新が正常に実行されると、この出力には AllNodesAtLatestRevision が表示されます。

      AllNodesAtLatestRevision
      3 nodes are at revision 7 1
      1
      この例では、最新のリビジョン番号は 7 です。

      出力に 2 nodes are at revision 6; 1 nodes are at revision 7 などの複数のリビジョン番号が含まれる場合、これは更新が依然として進行中であることを意味します。数分待機した後に再試行します。

    3. Kubernetes スケジューラーの新規ロールアウトを強制的に実行します。

      $ oc patch kubescheduler cluster -p='{"spec": {"forceRedeploymentReason": "recovery-'"$( date --rfc-3339=ns )"'"}}' --type=merge

      すべてのノードが最新のリビジョンに更新されていることを確認します。

      $ oc get kubescheduler -o=jsonpath='{range .items[0].status.conditions[?(@.type=="NodeInstallerProgressing")]}{.reason}{"\n"}{.message}{"\n"}'

      NodeInstallerProgressing 状況条件を確認し、すべてのノードが最新のリビジョンであることを確認します。更新が正常に実行されると、この出力には AllNodesAtLatestRevision が表示されます。

      AllNodesAtLatestRevision
      3 nodes are at revision 7 1
      1
      この例では、最新のリビジョン番号は 7 です。

      出力に 2 nodes are at revision 6; 1 nodes are at revision 7 などの複数のリビジョン番号が含まれる場合、これは更新が依然として進行中であることを意味します。数分待機した後に再試行します。

  17. すべてのコントロールプレーンホストが起動しており、クラスターに参加していることを確認します。

    クラスターにアクセスできるターミナルで、cluster-admin ユーザーとして以下のコマンドを実行します。

    $ oc get pods -n openshift-etcd | grep -v etcd-quorum-guard | grep etcd

    出力例

    etcd-ip-10-0-143-125.ec2.internal                2/2     Running     0          9h
    etcd-ip-10-0-154-194.ec2.internal                2/2     Running     0          9h
    etcd-ip-10-0-173-171.ec2.internal                2/2     Running     0          9h

復元手順の後にすべてのワークロードが通常の動作に戻るようにするには、Kubernetes API 情報を保存している各 Pod を再起動します。これには、ルーター、Operator、サードパーティーコンポーネントなどの OpenShift Container Platform コンポーネントが含まれます。

この手順の完了後、すべてのサービスを復元するまでに数分かかる場合があります。たとえば、oc login を使用した認証は、OAuth サーバー Pod が再起動するまですぐに機能しない可能性があります。

4.10.7. 永続ストレージの状態復元に関する問題および回避策

OpenShift Container Platform クラスターがいずれかの形式の永続ストレージを使用する場合に、クラスターの状態は通常 etcd 外に保存されます。たとえば、Pod で実行されている Elasticsearch クラスター、または StatefulSet オブジェクトで実行されているデータベースなどである可能性があります。etcd バックアップから復元する場合には、OpenShift Container Platform のワークロードのステータスも復元されます。ただし、etcd スナップショットが古い場合には、ステータスは無効または期限切れの可能性があります。

重要

永続ボリューム (PV) の内容は etcd スナップショットには含まれません。etcd スナップショットから OpenShift Container Platform クラスターを復元する時に、重要ではないワークロードから重要なデータにアクセスしたり、その逆ができたりする場合があります。

以下は、古いステータスを生成するシナリオ例です。

  • MySQL データベースが PV オブジェクトでバックアップされる Pod で実行されている。etcd スナップショットから OpenShift Container Platform を復元すると、Pod の起動を繰り返し試行しても、ボリュームをストレージプロバイダーに戻したり、実行中の MySQL Pod が生成したりされるわけではありません。この Pod は、ストレージプロバイダーでボリュームを復元し、次に PV を編集して新規ボリュームを参照するように手動で復元する必要があります。
  • Pod P1 は、ノード X に割り当てられているボリューム A を使用している。別の Pod がノード Y にある同じボリュームを使用している場合に etcd スナップショットが作成された場合に、etcd の復元が実行されると、ボリュームがノード Y に割り当てられていることが原因で Pod P1 が正常に起動できなくなる可能性があります。OpenShift Container Platform はこの割り当てを認識せず、ボリュームが自動的に切り離されるわけではありません。これが生じる場合には、ボリュームをノード Y から手動で切り離し、ノード X に割り当ててることで Pod P1 を起動できるようにします。
  • クラウドプロバイダーまたはストレージプロバイダーの認証情報が etcd スナップショットの作成後に更新された。これが原因で、プロバイダーの認証情報に依存する CSI ドライバーまたは Operator が機能しなくなります。これらのドライバーまたは Operator で必要な認証情報を手動で更新する必要がある場合があります。
  • デバイスが etcd スナップショットの作成後に OpenShift Container Platform ノードから削除されたか、または名前が変更された。ローカルストレージ Operator で、/dev/disk/by-id または /dev ディレクトリーから管理する各 PV のシンボリックリンクが作成されます。この状況では、ローカル PV が存在しないデバイスを参照してしまう可能性があります。

    この問題を修正するには、管理者は以下を行う必要があります。

    1. デバイスが無効な PV を手動で削除します。
    2. 各ノードからシンボリックリンクを削除します。
    3. LocalVolume または LocalVolumeSet オブジェクトを削除します (ストレージ 永続ストレージの設定 ローカルボリュームを使用した永続ストレージ ローカルストレージ Operator のリソースの削除 を参照)。
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