1.2. テンプレート処理
設定ポリシーと Operator ポリシーは、Golang テキストテンプレートの組み込みをサポートしています。これらのテンプレートは、そのクラスターに関連する設定を使用して、ハブクラスターまたはターゲットのマネージドクラスターでランタイム時に解決されます。これにより、動的コンテンツでポリシーを定義でき、ターゲットクラスターに、カスタマイズされた Kubernetes リソースを通知したり、強制的に実行したりできます。
ポリシー定義には、ハブクラスターテンプレートとマネージドクラスターテンプレートの両方を含めることができます。ハブクラスターテンプレートは、先にハブクラスターで処理され、解決されたハブクラスターテンプレートを使用したポリシー定義がターゲットクラスターに伝播されます。マネージドクラスターのコントローラーは、ポリシー定義内のマネージドクラスターテンプレートを処理し、その後、完全に解決されたオブジェクト定義を有効にするか、検証します。
テンプレートは Golang テンプレート言語仕様に準拠し、解決されたテンプレートから生成されるリソース定義は有効な YAML である必要がある。詳細は、Golang ドキュメントの Package templates を参照してください。テンプレート検証のエラーは、ポリシー違反として認識されます。カスタムのテンプレート関数を使用する場合、値はランタイム時に置き換えられます。
重要:
-
ハブクラスターテンプレートを使用してシークレットや他の機密データを伝播すると、機密データはハブクラスターにあるマネージドクラスターの namespace か、そのポリシーが配布されているマネージドクラスター上に存在します。テンプレートの内容はポリシーで拡張され、ポリシーは OpenShift Container Platform ETCD 暗号化サポートでは暗号化されません。これに対処するには、
fromSecret
またはcopySecretData
を使用して、シークレットの値を自動的に暗号化するか、他の値を暗号化するためのprotect
を使用します。 証明書などの複数行の文字列値を追加する場合は、改行を処理するために、テンプレートパイプラインの最後に常に
| toRawJson | toLiteral
構文を追加します。たとえば、Secret
リソースから証明書をコピーしてConfigMap
リソースに含めると、テンプレートパイプラインは次の構文のようになります。ca.crt: '{{ fromSecret "openshift-config" "ca-config-map-secret" "ca.crt" | base64dec | toRawJson | toLiteral }}'
toRawJson
テンプレート関数は、YAML 構造に影響を与えないように改行をエスケープした入力値を JSON 文字列に変換します。toLiteral
テンプレート関数は、出力から外側の単一引用符を削除します。たとえば、テンプレートがkey: '{{ 'hello\nworld' | toRawJson }}'
テンプレートパイプラインに対して処理されると、出力はkey: '"hello\nworld"'
になります。key: '{{ 'hello\nworld' | toRawJson | toLiteral }}'
テンプレートパイプラインの出力は、key: "hello\nworld"
です。
ハブクラスターとマネージドクラスターのテンプレートの比較は、以下の表を参照してください。
1.2.1. ハブクラスターとマネージドクラスターテンプレートの比較
テンプレート | ハブクラスター | マネージドクラスター |
---|---|---|
構文 | Golang テキストテンプレートの仕様 | Golang テキストテンプレートの仕様 |
デリミタ | {{hub … hub}} | {{ … }} |
コンテキスト |
| コンテキスト変数はありません |
アクセス制御 |
デフォルトでは、
または、
注記: サービスアカウントには、ハブクラスターテンプレートで検索されるすべてのリソースに対する | クラスターの任意のリソースを参照できます。 |
関数 | Kubernetes リソースおよび文字列操作への動的なアクセスをサポートするテンプレート関数のセット。詳細は、Template functions を参照してください。検索制限は、アクセス制御の行を参照してください。
ハブクラスターの
同等の呼び出しは、次の構文を使用する場合があります: | テンプレート関数セットは、Kubernetes リソースおよび文字列操作への動的なアクセスをサポートします。詳細は、Template functions を参照してください。 |
関数出力ストレージ |
テンプレート関数の出力は、マネージドクラスターに同期される前に、マネージドクラスターで適用可能な各マネージドクラスター namespace の | テンプレート関数の出力は、ポリシー関連のリソースオブジェクトには保存されません。 |
ポリシーメタデータ |
| コンテキスト変数はありません |
処理 | 複製されたポリシーのクラスターへの伝播中に、ハブクラスターのランタイムで処理が発生します。ポリシーと、そのポリシー内にあるハブクラスターのテンプレートは、テンプレートの作成時または更新時にのみハブクラスターで処理されます。 | 処理はマネージドクラスターで実行されます。設定ポリシーは定期的に処理され、参照されるリソースのデータを使用して解決されたオブジェクト定義を自動的に更新します。参照されているリソースが変更されるたびに、Operator ポリシーが自動的に更新されます。 |
エラーの処理 | ハブクラスターテンプレートからのエラーは、ポリシーの適用先のマネージドクラスターの違反として表示されます。 | マネージドクラスターテンプレートからのエラーは、違反が発生した特定のターゲットクラスターの違反として表示されます。 |
次のトピックを引き続きお読みください。
1.2.2. テンプレート関数
{{hub … hub}}
区切り文字を使用してハブクラスター上のリソース固有および汎用テンプレート関数などの Kubernetes リソースを参照するか、{{ … }}
区切り文字を使用してマネージドクラスター上の Kubernetes リソースを参照します。利便性を高め、リソースのコンテンツへのアクセス性を高めるために、リソース固有の関数を使用できます。
1.2.2.1. テンプレート関数の説明
より高度な汎用関数 lookup
を使用する場合は、検索されるリソースの YAML 構造をよく理解してください。これらの関数に加えて、base64enc
、base64dec
、indent
、autoindent
、toInt
、toBool
などのユーティリティー関数も使用できます。
テンプレートを YAML 構文に準拠させるには、ポリシーリソース内のテンプレートを引用符またはブロック文字 (|
または >
) を使用して文字列として定義する必要があります。これにより、解決済みのテンプレート値も文字列になります。これをオーバーライドするには、テンプレートの最後の関数として toInt
または toBool
を使用して、値をそれぞれ整数またはブール値として強制的に解釈するさらなる処理を開始します。
サポート対象のカスタムテンプレート関数の説明と例を確認するには、以下を参照してください。
1.2.2.1.1. fromSecret
fromSecret
関数は、シークレット内にある指定のデータキーの値を返します。関数は、以下の構文を確認してください。
func fromSecret (ns string, secretName string, datakey string) (dataValue string, err error)
この関数を使用するには、Kubernetes Secret
リソースの namespace、名前、およびデータキーを入力します。ハブクラスターテンプレートの関数を使用する場合は、ポリシーに使用されるのと同じ namespace を使用する必要があります。詳細は、Template processing を参照してください。
以下で、ターゲットクラスターで Secret
リソースを有効にする設定ポリシーを確認します。
apiVersion: policy.open-cluster-management.io/v1 kind: ConfigurationPolicy metadata: name: demo-fromsecret namespace: test spec: namespaceSelector: exclude: - kube-* include: - default object-templates: - complianceType: musthave objectDefinition: apiVersion: v1 data: 1 USER_NAME: YWRtaW4= PASSWORD: '{{ fromSecret "default" "localsecret" "PASSWORD" }}' 2 kind: Secret 3 metadata: name: demosecret namespace: test type: Opaque remediationAction: enforce severity: low
重要: 証明書などの複数行の文字列値を追加する場合は、改行を処理するために、テンプレートパイプラインの最後に常に | toRawJson | toLiteral
構文を追加します。たとえば、Secret
リソースから証明書をコピーして ConfigMap
リソースに含めると、テンプレートパイプラインは次の構文のようになります。
ca.crt: '{{ fromSecret "openshift-config" "ca-config-map-secret" "ca.crt" | base64dec | toRawJson | toLiteral }}'
-
toRawJson
テンプレート関数は、YAML 構造に影響を与えないように改行をエスケープした入力値を JSON 文字列に変換します。 -
toLiteral
テンプレート関数は、出力から外側の単一引用符を削除します。たとえば、テンプレートがkey: '{{ 'hello\nworld' | toRawJson }}'
テンプレートパイプラインに対して処理されると、出力はkey: '"hello\nworld"'
になります。key: '{{ 'hello\nworld' | toRawJson | toLiteral }}'
テンプレートパイプラインの出力は、key: "hello\nworld"
です。
1.2.2.1.2. fromConfigmap
fromConfigMap
関数は、config map 内にある指定のデータキーの値を返します。この関数を使用するには、Kubernetes ConfigMap
リソースの namespace、名前、およびデータキーを入力します。ハブクラスターテンプレートの関数を使用するポリシーに使用されるのと同じ namespace を使用する必要があります。詳細は、Template processing を参照してください。
関数は、以下の構文を確認してください。
func fromConfigMap (ns string, configmapName string, datakey string) (dataValue string, err Error)
以下で、ターゲットのマネージドクラスターで Kubernetes リソースを有効にする設定ポリシーを表示します。
apiVersion: policy.open-cluster-management.io/v1 kind: ConfigurationPolicy metadata: name: demo-fromcm-lookup namespace: test-templates spec: namespaceSelector: exclude: - kube-* include: - default object-templates: - complianceType: musthave objectDefinition: kind: ConfigMap 1 apiVersion: v1 metadata: name: demo-app-config namespace: test data: 2 app-name: sampleApp app-description: "this is a sample app" log-file: '{{ fromConfigMap "default" "logs-config" "log-file" }}' 3 log-level: '{{ fromConfigMap "default" "logs-config" "log-level" }}' 4 remediationAction: enforce severity: low
1.2.2.1.3. fromClusterClaim
fromClusterClaim
関数は、ClusterClaim
リソースの Spec.Value
の値を返します。関数は、以下の構文を確認してください。
func fromClusterClaim (clusterclaimName string) (dataValue string, err Error)
以下で、ターゲットのマネージドクラスターで Kubernetes リソースを有効にする設定ポリシーの例を確認してください。
apiVersion: policy.open-cluster-management.io/v1 kind: ConfigurationPolicy metadata: name: demo-clusterclaims 1 namespace: default spec: namespaceSelector: exclude: - kube-* include: - default object-templates: - complianceType: musthave objectDefinition: kind: ConfigMap apiVersion: v1 metadata: name: sample-app-config namespace: default data: 2 platform: '{{ fromClusterClaim "platform.open-cluster-management.io" }}' 3 product: '{{ fromClusterClaim "product.open-cluster-management.io" }}' version: '{{ fromClusterClaim "version.openshift.io" }}' remediationAction: enforce severity: low
1.2.2.1.4. lookup
lookup
関数は、JSON と互換性のあるマップとして Kubernetes リソースを返します。この関数を使用する場合は、Kubernetes リソースの API バージョン、種類、namespace、名前、およびオプションのラベルセレクターを入力します。ハブクラスターテンプレート内のポリシーに使用されるものと同じ namespace を使用する必要があります。詳細は、Template processing を参照してください。
要求されたリソースが存在しない場合は、空のマップが返されます。リソースが存在せず、値が別のテンプレート関数に提供されている場合は、エラー invalid value; expected string
が発生する可能性があります。
注記: default
テンプレート関数を使用して、後のテンプレート関数に正しい型が提供されるようにします。Sprig open source セクションを参照してください。
関数は、以下の構文を確認してください。
func lookup (apiversion string, kind string, namespace string, name string, labelselector ...string) (value string, err Error)
ラベルセレクターの例は、Additional resources セクションにある Kubernetes labels and selectors ドキュメントへのリファレンスを参照してください。以下で、ターゲットのマネージドクラスターで Kubernetes リソースを有効にする設定ポリシーの例を確認してください。
apiVersion: policy.open-cluster-management.io/v1 kind: ConfigurationPolicy metadata: name: demo-lookup namespace: test-templates spec: namespaceSelector: exclude: - kube-* include: - default object-templates: - complianceType: musthave objectDefinition: kind: ConfigMap apiVersion: v1 metadata: name: demo-app-config namespace: test data: 1 app-name: sampleApp app-description: "this is a sample app" metrics-url: | 2 http://{{ (lookup "v1" "Service" "default" "metrics").spec.clusterIP }}:8080 remediationAction: enforce severity: low
1.2.2.1.5. base64enc
base64enc
関数は、入力 data string
を base64
でエンコードされた値で返します。この関数を使用する場合は、文字列値を入力します。関数は、以下の構文を確認してください。
func base64enc (data string) (enc-data string)
以下は、base64enc
関数を使用する設定ポリシーの例になります。
apiVersion: policy.open-cluster-management.io/v1 kind: ConfigurationPolicy metadata: name: demo-fromsecret namespace: test spec: namespaceSelector: exclude: - kube-* include: - default object-templates: - complianceType: musthave objectDefinition: ... data: USER_NAME: '{{ fromConfigMap "default" "myconfigmap" "admin-user" | base64enc }}'
1.2.2.1.6. base64dec
base64dec
関数は、入力 enc-data string
を base64
デコードされた値で返します。この関数を使用する場合は、文字列値を入力します。関数は、以下の構文を確認してください。
func base64dec (enc-data string) (data string)
以下は、base64dec
関数を使用する設定ポリシーの例になります。
apiVersion: policy.open-cluster-management.io/v1 kind: ConfigurationPolicy metadata: name: demo-fromsecret namespace: test spec: namespaceSelector: exclude: - kube-* include: - default object-templates: - complianceType: musthave objectDefinition: ... data: app-name: | "{{ ( lookup "v1" "Secret" "testns" "mytestsecret") .data.appname ) | base64dec }}"
1.2.2.1.7. indent
indent
関数により、パディングされた data string
が返されます。この関数を使用する場合は、特定のスペース数でデータ文字列を入力します。関数は、以下の構文を確認してください。
func indent (spaces int, data string) (padded-data string)
以下は、indent
関数を使用する設定ポリシーの例になります。
apiVersion: policy.open-cluster-management.io/v1 kind: ConfigurationPolicy metadata: name: demo-fromsecret namespace: test spec: namespaceSelector: exclude: - kube-* include: - default object-templates: - complianceType: musthave objectDefinition: ... data: Ca-cert: | {{ ( index ( lookup "v1" "Secret" "default" "mycert-tls" ).data "ca.pem" ) | base64dec | indent 4 }}
1.2.2.1.8. autoindent
autoindent
関数は、indent
関数のように機能し、テンプレートの前のスペース数に基づいて自動的に先頭のスペース数を決定します。
以下は、autoindent
関数を使用する設定ポリシーの例になります。
apiVersion: policy.open-cluster-management.io/v1 kind: ConfigurationPolicy metadata: name: demo-fromsecret namespace: test spec: namespaceSelector: exclude: - kube-* include: - default object-templates: - complianceType: musthave objectDefinition: ... data: Ca-cert: | {{ ( index ( lookup "v1" "Secret" "default" "mycert-tls" ).data "ca.pem" ) | base64dec | autoindent }}
1.2.2.1.9. toInt
toInt
関数は入力値の整数値をキャストして返します。テンプレートの最後の関数である場合は、ソースコンテンツがさらに処理されます。これは、YAML で値が整数として解釈されるようにするためです。この関数を使用する場合は、整数としてキャストする必要があるデータを入力します。関数は、以下の構文を確認してください。
func toInt (input interface{}) (output int)
以下は、toInt
関数を使用する設定ポリシーの例になります。
apiVersion: policy.open-cluster-management.io/v1 kind: ConfigurationPolicy metadata: name: demo-template-function namespace: test spec: namespaceSelector: exclude: - kube-* include: - default object-templates: - complianceType: musthave objectDefinition: ... spec: vlanid: | {{ (fromConfigMap "site-config" "site1" "vlan") | toInt }}
1.2.2.1.10. toBool
toBool
関数は、入力文字列をブール値に変換し、ブール値を返します。テンプレートの最後の関数である場合は、ソースコンテンツがさらに処理されます。これは、YAML で値がブール値として解釈されるようにするためです。この関数を使用する場合は、ブール値に変換する必要のある文字列データを入力します。関数は、以下の構文を確認してください。
func toBool (input string) (output bool)
以下は、toBool
関数を使用する設定ポリシーの例になります。
apiVersion: policy.open-cluster-management.io/v1 kind: ConfigurationPolicy metadata: name: demo-template-function namespace: test spec: namespaceSelector: exclude: - kube-* include: - default object-templates: - complianceType: musthave objectDefinition: ... spec: enabled: | {{ (fromConfigMap "site-config" "site1" "enabled") | toBool }}
1.2.2.1.11. protect
protect
機能により、ハブクラスターポリシーテンプレートで文字列を暗号化できます。これは、ポリシーの評価時にマネージドクラスターで自動的に復号化されます。以下は、protect
関数を使用する設定ポリシーの例になります。
apiVersion: policy.open-cluster-management.io/v1 kind: ConfigurationPolicy metadata: name: demo-template-function namespace: test spec: namespaceSelector: exclude: - kube-* include: - default object-templates: - complianceType: musthave objectDefinition: ... spec: enabled: | {{hub (lookup "v1" "Secret" "default" "my-hub-secret").data.message | protect hub}}
前述の YAML の例では、lookup
関数を使用するために定義した既存のハブクラスターポリシーテンプレートがあります。マネージドクラスターの namespace に複製されたポリシーでは、値は $ocm_encrypted:okrrBqt72oI+3WT/0vxeI3vGa+wpLD7Z0ZxFMLvL204=
のようになります。
それぞれの暗号化アルゴリズムは、256 ビットキーを使用した AES-CBC です。各暗号化キーはマネージドクラスターごとに一意で、30 日ごとに自動的にローテーションされます。
これにより、復号化された値がマネージドクラスターのポリシーに保存されることはありません。
即時のローテーションを強制するには、ハブクラスターのマネージドクラスター namespace の policy-encryption-key
Secret で policy.open-cluster-management.io/last-rotated
アノテーションを削除します。その後、ポリシーが再処理され、新しい暗号化キーが使用されます。
1.2.2.1.12. toLiteral
toLiteral
関数は、処理後にテンプレート文字列を囲む引用符をすべて削除します。この関数を使用して、JSON 文字列を config map フィールドからマニフェストの JSON 値に変換できます。次の関数を実行して、key
パラメーター値から引用符を削除します。
key: '{{ "[\"10.10.10.10\", \"1.1.1.1\"]" | toLiteral }}'
toLiteral
関数を使用すると、次の更新が表示されます。
key: ["10.10.10.10", "1.1.1.1"]
1.2.2.1.13. copySecretData
copySecretData
関数は、指定されたシークレットのすべての data
コンテンツをコピーします。次の関数のサンプルを確認してください。
complianceType: musthave
objectDefinition:
apiVersion: v1
kind: Secret
metadata:
name: my-secret-copy
data: '{{ copySecretData "default" "my-secret" }}' 1
1.2.2.1.14. copyConfigMapData
copyConfigMapData
関数は、指定された config map のすべての data
コンテンツをコピーします。次の関数のサンプルを確認してください。
complianceType: musthave objectDefinition: apiVersion: v1 kind: ConfigMap metadata: name: my-secret-copy data: '{{ copyConfigMapData "default" "my-configmap" }}'
1.2.2.1.15. getNodesWithExactRoles
getNodesWithExactRoles
関数は、指定したロールのみを持つノードのリストを返し、node-role.kubernetes.io/worker
ロール以外の追加のロールを持つノードは無視します。"infra"
ノードを選択し、ストレージノードを無視する次のサンプル関数を表示します。
complianceType: musthave objectDefinition: apiVersion: v1 kind: ConfigMap metadata: name: my-configmap data: infraNode: | {{- range $i,$nd := (getNodesWithExactRoles "infra").items }} node{{ $i }}: {{ $nd.metadata.name }} {{- end }} replicas: {{ len ((getNodesWithExactRoles "infra").items) | toInt }}
1.2.2.1.16. hasNodesWithExactRoles
hasNodesWithExactRoles
関数は、クラスターに指定したロールのみを持つノードが含まれている場合に true
値を返し、node-role.kubernetes.io/worker
ロール以外の追加ロールを持つノードを無視します。次の関数のサンプルを確認してください。
complianceType: musthave objectDefinition: apiVersion: v1 kind: ConfigMap metadata: name: my-configmap data: key: '{{ hasNodesWithExactRoles "infra" }}'
1.2.2.1.17. Sprig オープンソース
さらに、Red Hat Advanced Cluster Management は、sprig
オープンソースプロジェクトに含まれる以下のテンプレート関数をサポートします。
Sprig ライブラリー | 関数 |
---|---|
Cryptographic and security |
|
Date |
|
Default |
|
Dictionaries and dict |
|
Integer math |
|
Integer slice |
|
Lists |
|
String functions |
|
Version comparison |
|
1.2.2.2. 関連情報
- 詳細は、Template processing を参照してください。
- 使用例は 設定ポリシーでの高度なテンプレート処理 を参照してください。
- ラベルセレクターの例は、Kubernetes のラベルとセレクター のドキュメントを参照してください。
- Golang ドキュメント - パッケージテンプレート を参照してください。
- 詳細は、Sprig 関数のドキュメント を参照してください。
1.2.3. 設定ポリシーでの高度なテンプレート処理
マネージドクラスターとハブクラスターの両方のテンプレートを使用すると、ターゲットクラスターごとに個別のポリシーを作成したり、ポリシー定義で設定値をハードコードしたりする必要性が軽減されます。セキュリティーを確保するには、ハブクラスターテンプレートのリソース固有および一般的なルックアップ機能の両方が、ハブクラスターのポリシーの namespace に制限されます。
重要: ハブクラスターテンプレートを使用して機密データやその他の機密データを伝播すると、ハブクラスター上のマネージドクラスターの namespace と、そのポリシーが配布されているマネージドクラスターで機密データが漏洩する原因になります。テンプレートの内容はポリシーで拡張され、ポリシーは OpenShift Container Platform ETCD 暗号化サポートでは暗号化されません。これに対処するには、fromSecret
または copySecretData
を使用して、シークレットの値を自動的に暗号化するか、他の値を暗号化するための protect
を使用します。
高度なテンプレートの使用例は、引き続きお読みください。
1.2.3.1. 再処理のための特別なアノテーション
ハブクラスターテンプレートは、ポリシーの作成中、または参照されたリソースが更新されたときに、参照されたリソースのデータに解決されます。
更新を手動で開始する必要がある場合は、特別なアノテーション policy.open-cluster-management.io/trigger-update
を使用して、テンプレートによって参照されるデータの変更を示します。特別なアノテーション値を変更すると、テンプレート処理が自動的に開始されます。さらに、参照されたリソースの最新のコンテンツが読み取られ、ポリシー定義で更新されます。ポリシー定義は、マネージドクラスターでの処理のために伝達されます。このアノテーションを使用する方法の 1 つは、値を毎回 1 ずつインクリメントすることです。
1.2.3.2. オブジェクトテンプレートの処理
YAML 文字列表現を使用してオブジェクトテンプレートを設定します。object-template-raw
パラメーターは、if-else や range
関数などの高度なテンプレートのユースケースをサポートするオプションのパラメーターです。次の例は、Sea Otter
と等しい name
キーを持つ default
の namespace 内の任意の ConfigMap に species-category: mammal
ラベルを追加するように定義されています。
object-templates-raw: | {{- range (lookup "v1" "ConfigMap" "default" "").items }} {{- if eq .data.name "Sea Otter" }} - complianceType: musthave objectDefinition: kind: ConfigMap apiVersion: v1 metadata: name: {{ .metadata.name }} namespace: {{ .metadata.namespace }} labels: species-category: mammal {{- end }} {{- end }}
注記: spec.object-templates
と spec.object-templates-raw
はオプションですが、2 つのパラメーターフィールドのいずれかを設定する必要があります。
高度なテンプレートを使用して、マネージドクラスターのインフラストラクチャー MachineSet
オブジェクトを作成および設定する次のポリシーの例を参照してください。
apiVersion: policy.open-cluster-management.io/v1 kind: ConfigurationPolicy metadata: name: create-infra-machineset spec: remediationAction: enforce severity: low object-templates-raw: | {{- /* Specify the parameters needed to create the MachineSet */ -}} {{- $machineset_role := "infra" }} {{- $region := "ap-southeast-1" }} {{- $zones := list "ap-southeast-1a" "ap-southeast-1b" "ap-southeast-1c" }} {{- $infrastructure_id := (lookup "config.openshift.io/v1" "Infrastructure" "" "cluster").status.infrastructureName }} {{- $worker_ms := (index (lookup "machine.openshift.io/v1beta1" "MachineSet" "openshift-machine-api" "").items 0) }} {{- /* Generate the MachineSet for each zone as specified */ -}} {{- range $zone := $zones }} - complianceType: musthave objectDefinition: apiVersion: machine.openshift.io/v1beta1 kind: MachineSet metadata: labels: machine.openshift.io/cluster-api-cluster: {{ $infrastructure_id }} name: {{ $infrastructure_id }}-{{ $machineset_role }}-{{ $zone }} namespace: openshift-machine-api spec: replicas: 1 selector: matchLabels: machine.openshift.io/cluster-api-cluster: {{ $infrastructure_id }} machine.openshift.io/cluster-api-machineset: {{ $infrastructure_id }}-{{ $machineset_role }}-{{ $zone }} template: metadata: labels: machine.openshift.io/cluster-api-cluster: {{ $infrastructure_id }} machine.openshift.io/cluster-api-machine-role: {{ $machineset_role }} machine.openshift.io/cluster-api-machine-type: {{ $machineset_role }} machine.openshift.io/cluster-api-machineset: {{ $infrastructure_id }}-{{ $machineset_role }}-{{ $zone }} spec: metadata: labels: node-role.kubernetes.io/{{ $machineset_role }}: "" taints: - key: node-role.kubernetes.io/{{ $machineset_role }} effect: NoSchedule providerSpec: value: ami: id: {{ $worker_ms.spec.template.spec.providerSpec.value.ami.id }} apiVersion: awsproviderconfig.openshift.io/v1beta1 blockDevices: - ebs: encrypted: true iops: 2000 kmsKey: arn: '' volumeSize: 500 volumeType: io1 credentialsSecret: name: aws-cloud-credentials deviceIndex: 0 instanceType: {{ $worker_ms.spec.template.spec.providerSpec.value.instanceType }} iamInstanceProfile: id: {{ $infrastructure_id }}-worker-profile kind: AWSMachineProviderConfig placement: availabilityZone: {{ $zone }} region: {{ $region }} securityGroups: - filters: - name: tag:Name values: - {{ $infrastructure_id }}-worker-sg subnet: filters: - name: tag:Name values: - {{ $infrastructure_id }}-private-{{ $zone }} tags: - name: kubernetes.io/cluster/{{ $infrastructure_id }} value: owned userDataSecret: name: worker-user-data {{- end }}
1.2.3.3. テンプレート処理のバイパス
Red Hat Advanced Cluster Management による処理を目的としていないテンプレートを含めて、ポリシーを作成する場合があります。デフォルトでは、Red Hat Advanced Cluster Management は全テンプレートを処理します。
ハブクラスターのテンプレート処理を省略するには、{{ template content }}
を {{ `{{ template content }}`
}}
に変更する必要があります。
または、Policy
の ConfigurationPolicy
セクションに policy.open-cluster-management.io/disable-templates: "true"
のアノテーションを追加します。このアノテーションを追加する場合に、1 つ前の回避策は必要ありません。ConfigurationPolicy
のテンプレート処理はバイパスされます。
1.2.3.4. 関連情報
- 詳細は、テンプレート関数 を参照してください。
- テンプレート処理 に戻ります。
- 詳細は、Kubernetes 設定ポリシーコントローラー を参照してください。
- etcd データのバックアップ も参照してください。