第8章 設定コンプライアンスおよび脆弱性スキャンの開始
コンプライアンス監査は、指定したオブジェクトが、コンプライアンスポリシーに指定されているすべてのルールに従っているかどうかを判断するプロセスです。コンプライアンスポリシーは、コンピューティング環境で使用される必要な設定を指定するセキュリティー専門家が定義します。これは多くの場合は、チェックリストの形式を取ります。
コンプライアンスポリシーは組織により大幅に異なることがあり、同一組織内でもシステムが異なるとポリシーが異なる可能性があります。ポリシーは、各システムの目的や、組織におけるシステム重要性により異なります。カスタマイズしたソフトウェア設定や導入の特徴によっても、カスタマイズしたポリシーのチェックリストが必要になってきます。
8.1. RHEL における設定コンプライアンスツール
Red Hat Enterprise Linux は、完全に自動化されたコンプライアンス監査を可能にするツールを提供します。このツールは SCAP (Security Content Automation Protocol) 規格に基づいており、コンプライアンスポリシーの自動化に合わせるように設計されています。
- SCAP Workbench - scap-workbench グラフィカルユーティリティーは、単一のローカルシステムまたはリモートシステムで設定スキャンと脆弱性スキャンを実行するように設計されています。これらのスキャンと評価に基づくセキュリティーレポートの生成にも使用できます。
- OpenSCAP: OpenSCAP ライブラリーは、付随する oscap コマンドラインユーティリティーとともに、ローカルシステムで設定スキャンと脆弱性スキャンを実行し、設定コンプライアンスコンテンツを検証し、これらのスキャンおよび評価に基づいてレポートおよびガイドを生成するように設計されています。
- SCAP セキュリティーガイド(SSG) - scap-security-guide パッケージは、Linux システムのセキュリティーポリシーの最新コレクションを提供します。このガイダンスは、セキュリティー強化に関する実践的なアドバイスのカタログから設定されます (該当する場合は、法規制要件へのリンクが含まれます)。このプロジェクトは、一般的なポリシー要件と特定の実装ガイドラインとの間にあるギャップを埋めることを目的としています。
- Script Check Engine (SCE) - SCE は SCAP プロトコルの拡張であり、管理者は Bash、Python、Ruby などのスクリプト言語を使用してセキュリティーコンテンツを作成できます。SCE 拡張機能は、openscap-engine-sce パッケージで提供されます。SCE 自体は SCAP 環境の一部ではありません。
複数のリモートシステムで自動コンプライアンス監査を実行する必要がある場合は、Red Hat Satellite 用の OpenSCAP ソリューションを利用できます。
関連情報
oscap (8)
: oscap コマンドラインユーティリティーの man ページは、利用可能なオプションとその使用方法に関する完全な一覧を提供します。- Red Hat Security Demos: Creating Customized Security Policy Content to Automate Security Compliance - Red Hat Enterprise Linux に含まれるツールを使用してセキュリティーコンプライアンスを自動化し、業界標準のセキュリティーポリシーとカスタムセキュリティーポリシーの両方に準拠するためのハンズオンラボ。トレーニングや、このラボ演習へのアクセスを希望する場合は、Red Hat アカウントチームにお問い合わせください。
- Red Hat Security Demos: Defend Yourself with RHEL Security Technologies - OpenSCAP を含む Red Hat Enterprise Linux で利用可能な主要なセキュリティー技術を使用して、RHEL システムの全レベルでセキュリティーを実装する方法を学ぶためのハンズオンラボ。トレーニングや、このラボ演習へのアクセスを希望する場合は、Red Hat アカウントチームにお問い合わせください。
scap-workbench (8)
- SCAP Workbench アプリケーションの man ページでは、アプリケーションの基本情報と、SCAP コンテンツの潜在的なソースへのリンクが提供されます。scap-security-guide (8)-
scap-security-guide プロジェクトの man ページでは、利用可能な SCAP セキュリティープロファイルに関する詳細が記載されています。また、OpenSCAP ユーティリティーを使用して提供されたベンチマークを使用する例も含まれています。- Security Compliance Management in the Administering Red Hat Satellite Guide には、Red Hat Satellite で OpenSCAP を使用する方法の詳細が記載されています。