第4章 Microsoft Azure での Red Hat High Availability クラスターの設定
ノード障害が発生した場合に RHEL ノードがワークロードを自動的に再分配するクラスターを作成するには、Red Hat High Availability Add-On を使用します。このような高可用性 (HA) クラスターは、Microsoft Azure などのパブリッククラウドプラットフォームでもホストできます。Azure 上での RHEL HA クラスターの作成は、特定の詳細を除けば、非クラウド環境での HA クラスターの作成と同様です。
Azure 仮想マシンインスタンスをクラスターノードとして使用して Azure 上に Red Hat HA クラスターを設定するには、以下のセクションを参照してください。これらのセクションの手順では、Azure のカスタムイメージを作成していることを前提としています。クラスターに使用する RHEL 8 イメージを取得するオプションは複数あります。Azure のイメージオプションに関する詳細は、Azure における Red Hat Enterprise Linux Image オプションを参照してください。
次のセクションで説明します。
- Azure 用の環境を設定するための前提手順。環境を設定したら、Azure VM インスタンスを作成して設定できます。
- 個々のノードを Azure 上の HA ノードのクラスターに変換する、HA クラスターの作成に固有の手順。これには、各クラスターノードに高可用性パッケージおよびエージェントをインストールし、フェンシングを設定し、Azure ネットワークリソースエージェントをインストールする手順が含まれます。
前提条件
- Red Hat カスタマーポータル のアカウントにサインアップします。
- 管理者権限で Microsoft Azure アカウント にサインアップします。
- Azure コマンドラインインターフェイス (CLI) をインストールする必要があります。詳細は、Azure CLI のインストール を参照してください。
4.1. パブリッククラウドプラットフォームで高可用性クラスターを使用する利点
高可用性 (HA) クラスターは、特定のワークロードを実行するためにリンクされた一連のコンピューター (ノード と呼ばれます) です。HA クラスターの目的は、ハードウェアまたはソフトウェア障害が発生した場合に備えて、冗長性を提供することです。HA クラスター内のノードに障害が発生しても、Pacemaker クラスターリソースマネージャーがワークロードを他のノードに分散するため、クラスター上で実行されているサービスに顕著なダウンタイムが発生することはありません。
HA クラスターはパブリッククラウドプラットフォームで実行することもできます。この場合、クラウド内の仮想マシン (VM) インスタンスを個々のクラスターノードとして使用します。パブリッククラウドプラットフォームで HA クラスターを使用すると、次の利点があります。
- 可用性の向上: VM に障害が発生した場合、ワークロードがすぐに他のノードに再分散されるため、実行中のサービスが中断されません。
- スケーラビリティー: 需要が高いときに追加のノードを起動し、需要が低いときにノードを停止することができます。
- 費用対効果: 従量課金制の料金設定では、実行中のノードに対して料金を支払うだけで済みます。
- 管理の簡素化: 一部のパブリッククラウドプラットフォームでは、HA クラスターの設定を容易にする管理インターフェイスが提供されています。
Red Hat Enterprise Linux (RHEL) システムで HA を有効にするために、Red Hat は High Availability Add-On を提供しています。High Availability Add-On は、RHEL システム上で HA クラスターを作成するために必要なすべてのコンポーネントを提供します。コンポーネントには、高可用性サービス管理ツールとクラスター管理ツールが含まれます。