B.3. システム設定用キックスタートコマンド
このリストのキックスタートコマンドは、ユーザー、リポジトリー、サーバーなど、システムの詳細を設定します。
B.3.1. auth または authconfig (非推奨)
非推奨になった auth
または authconfig
Kickstart コマンドではなく、新しい authselect
コマンドを使用します。auth
および authconfig
は、一部の後方互換性としてのみ利用できます。
キックスタートコマンドの auth
または authconfig
は任意です。authconfig
ツールを使用してシステムの認証オプションを設定します。インストール完了後もコマンドラインで実行できます。このコマンドは 1 回だけ使用してください。
構文
authconfig [OPTIONS]
注記
-
キックスタートコマンドの
auth
またはauthconfig
コマンドは、以前はauthconfig
ツールと呼ばれていました。このツールは、Red Hat Enterprise Linux 8 では非推奨になりました。このキックスタートコマンドは、authselect-compat
ツールを使用して、新しいauthselect
ツールを呼び出せるようになりました。互換性層の説明と、その既知の問題は、authselect-migration(7) の man ページを参照してください。インストールプログラムが自動的に非推奨のコマンドの使用を検出し、互換性層を提供するために、システムにauthselect-compat
パッケージをインストールします。 - デフォルトでは、パスワードがシャドウ化されています。
-
安全対策上、
SSL
プロトコルで OpenLDAP を使用する場合はサーバー設定内のSSLv2
およびSSLv3
のプロトコルを必ず無効にしてください。POODLE SSL 脆弱性 (CVE-2014-3566) の影響を受けないようにするためです。詳細は、Red Hat ナレッジベースソリューション Resolution for POODLE SSLv3.0 vulnerability を参照してください。
B.3.2. authselect
キックスタートコマンドの authselect
は任意です。authselect
コマンドを使用してシステムの認証オプションを設定します。インストール完了後もコマンドラインで実行できます。このコマンドは 1 回だけ使用してください。
構文
authselect [OPTIONS]
注記
-
このコマンドは、すべてのオプションを
authselect
コマンドに渡します。詳細は、authselect(8) の man ページ、およびauthselect --help
コマンドを参照してください。 -
このコマンドは、Red Hat Enterprise Linux 8 で非推奨になった
auth
またはauthconfig
コマンドを、authconfig
ツールに置き換えます。 - デフォルトでは、パスワードがシャドウ化されています。
-
安全対策上、
SSL
プロトコルで OpenLDAP を使用する場合はサーバー設定内のSSLv2
およびSSLv3
のプロトコルを必ず無効にしてください。POODLE SSL 脆弱性 (CVE-2014-3566) の影響を受けないようにするためです。詳細は、Red Hat ナレッジベースソリューション Resolution for POODLE SSLv3.0 vulnerability を参照してください。
B.3.3. ファイアウォール (firewall)
キックスタートコマンドの firewall
は任意です。インストール済みシステムにファイアウォール設定を指定します。
構文
firewall --enabled|--disabled [incoming] [OPTIONS]
必須オプション
-
--enabled
または--enable
- DNS 応答や DHCP 要求など、発信要求に対する応答ではない着信接続を拒否します。このマシンで実行中のサービスへのアクセスが必要な場合は、特定サービスに対してファイアウォールの通過許可を選択できます。 -
--disabled
または--disable
- iptable ルールを一切設定しません。
任意のオプション
-
--trust
-em1
などのデバイスを指定することで、ファイアウォールを通過するこのデバイスへの着信トラフィックおよびこのデバイスからの発信トラフィックをすべて許可します。複数のデバイスをリスト表示するには、--trust em1 --trust em2
などのオプションをさらに使用します。--trust em1, em2
などのようなコンマ区切りは使用しないでください。 -
--remove-service
- サービスがファイアウォールを通過するのを許可しません。 incoming - 指定したサービスがファイアウォールを通過できるように、以下のいずれかに置き換えます (複数のサービスを指定できます)。
-
--ssh
-
--smtp
-
--http
-
--ftp
-
-
--port=
- port:protocol の形式で指定したポートのファイアウォール通過を許可できます。たとえば、IMAP アクセスがファイアウォールを通過できるようにする場合は、imap:tcp
と指定します。ポート番号を明示的に指定することもできます。ポート 1234 の UDP パケットを許可する場合は1234:udp
と指定します。複数のポートを指定する場合は、コンマで区切って指定します。 --service=
- このオプションは、高レベルでサービスのファイアウォール通過を許可する方法です。サービスの中には複数のポートを開く必要があったり (cups
、avahi
など)、サービスが正常に動作するように特殊な設定を必要とするものがあります。このような場合は、--port
オプションでポート単位での指定を行ったり、--service=
を使用して必要なポートをすべて一度に開くことが可能です。firewalld パッケージ内の
firewall-offline-cmd
プログラムで認識できるオプションは、すべて使用できます。firewalld
サービスを実行している場合は、firewall-cmd --get-services
を実行すると、認識できるサービス名のリストが表示されます。-
--use-system-defaults
- ファイアウォールを設定しません。このオプションにより、anaconda では何も実行せず、システムが、パッケージまたは ostree で提供されるデフォルトに依存するようになります。このオプションを他のオプションと共に使用すると、他のすべてのオプションは無視されます。
B.3.4. group
キックスタートコマンドの group
は任意です。システムに新しいユーザーグループを作成します。
group --name=name [--gid=gid]
必須オプション
-
--name=
- グループ名を指定します。
任意のオプション
-
--gid=
- グループの GID です。指定しないとシステムの GID 以外で次に使用可能な GID がデフォルト設定されます。
注記
- 指定された名前や GID を持つグループが存在すると、このコマンドは失敗します。
-
user
コマンドは、新たに作成したユーザーに新しいグループを作成するのに使用できます。
B.3.5. keyboard (必須)
キックスタートコマンド keyboard
が必要です。これは、システムに利用可能なキーボードレイアウトを 1 つまたは複数設定します。このコマンドは 1 回だけ使用してください。
構文
keyboard --vckeymap|--xlayouts OPTIONS
オプション
-
--vckeymap=
- 使用するVConsole
キーマップを指定します。/usr/lib/kbd/keymaps/xkb/
ディレクトリーの各ファイル名から.map.gz
拡張子を外したものが、有効なキーマップ名になります。 --xlayouts=
- 使用する X のレイアウトを、空白なしのコンマで区切ったリストで指定します。setxkbmap(1)
と同じ形式 (layout
形式 (cz
など)、またはlayout (variant)
形式 (cz (qwerty)
など)) の値をとります。使用できるレイアウトは、man ページ
xkeyboard-config(7)
のLayouts
を参照してください。--switch=
- レイアウト切り替えのオプションリストを指定します (複数のキーボードレイアウト切り替え用のショートカット)。複数のオプションは、空白なしのコンマで区切ってください。setxkbmap(1)
と同じ形式の値を受け取ります。使用できる切り替えオプションは、
xkeyboard-config(7)
の man ページのOptions
をご覧ください。
注記
-
--vckeymap=
オプションまたは--xlayouts=
オプションのいずれかを使用する必要があります。
例
以下の例では、--xlayouts=
オプションを使用して 2 種類のキーボードレイアウト (English (US)
と Czech (qwerty)
) を設定し、切り替えオプションは、Alt+Shift を使用するように指定しています。
keyboard --xlayouts=us,'cz (qwerty)' --switch=grp:alt_shift_toggle
B.3.6. lang (必須)
キックスタートコマンドの lang
が必要です。これは、インストール時に使用する言語と、インストール済みシステムで使用するデフォルト言語を設定します。このコマンドは 1 回だけ使用してください。
構文
lang language [--addsupport=language,...]
必須オプション
-
language
- この言語のサポートをインストールし、システムのデフォルトとして設定します。
任意のオプション
--addsupport=
- 追加言語のサポートを指定します。空白を入れずコンマで区切った形式を受け取ります。以下に例を示します。lang en_US --addsupport=cs_CZ,de_DE,en_UK
注記
-
locale -a | grep _
コマンドまたはlocalectl list-locales | grep _
コマンドは、ロケールのリストを返します。 -
テキストモードのインストールでは、特定の言語には対応していません (中国語、日本語、韓国語、インド系言語など)。
lang
コマンドでこの言語を指定しても、インストールプロセスは英語で続行します。ただし、インストール後のシステムでは選択した言語がデフォルトの言語として使用されます。
例
言語を英語に設定するには、キックスタートファイルに次の行が含まれている必要があります。
lang en_US
B.3.7. module
キックスタートコマンドの module
は任意です。このコマンドを使用すると、キックスタートスクリプトでパッケージのモジュールストリームが有効になります。
構文
module --name=NAME [--stream=STREAM]
必須オプション
--name=
- 有効にするモジュールの名前を指定します。NAME を、実際の名前に置き換えます。
任意のオプション
--stream=
有効にするモジュールストリームの名前を指定します。STREAM を、実際の名前に置き換えます。
デフォルトストリームが定義されているモジュールには、このオプションを指定する必要はありません。デフォルトストリームのないモジュールの場合、このオプションは必須であり省略するとエラーになります。異なるストリームでモジュールを複数回有効にすることはできません。
注記
-
このコマンドと
%packages
セクションを組み合わせて使用すると、モジュールとストリームを明示的に指定せずに、有効なモジュールとストリームの組み合わせで提供されるパッケージをインストールできます。モジュールは、パッケージをインストールする前に有効にする必要があります。module
コマンドでモジュールを有効にしたら、%packages
セクションにパッケージのリストを追加することで、このモジュールで有効にしたパッケージをインストールできます。 -
1 つの
module
コマンドで、1 つのモジュールとストリームの組み合わせのみを有効にできます。複数のモジュールを有効にするには、複数のmodule
コマンドを使用します。異なるストリームでモジュールを複数回有効にすることはできません。 -
Red Hat Enterprise Linux 9 では、モジュールは AppStream リポジトリーにのみ存在します。利用可能なモジュールのリストを表示するには、インストールされている Red Hat Enterprise Linux 9 システムで
dnf module list
コマンドを実行します。
B.3.8. repo
キックスタートコマンドの repo
は任意です。パッケージインストール用のソースとして使用可能な追加の dnf リポジトリーを設定します。複数の repo
行を追加できます。
構文
repo --name=repoid [--baseurl=url|--mirrorlist=url|--metalink=url] [OPTIONS]
必須オプション
-
--name=
- リポジトリー ID を入力します。このオプションは必須です。以前に追加したリポジトリーと名前が競合する場合は無視されます。インストールプログラムでは事前設定したリポジトリーのリストが使用されるため、このリストにあるリポジトリーと同じ名前のものは追加できません。
URL オプション
これらのオプションは相互排他的で、オプションです。ここでは、dnf のリポジトリーの設定ファイル内で使用できる変数はサポートされません。文字列 $releasever
および $basearch
を使用できます。これは、URL の該当する値に置き換えられます。
-
--baseurl=
- リポジトリーの URL を入力します。 -
--mirrorlist=
- リポジトリーのミラーのリストを指す URL を入力します。 -
--metalink=
- リポジトリーのメタリンクを持つ URL です。
任意のオプション
-
--install
- 指定したリポジトリーの設定を、インストールしたシステムの/etc/yum.repos.d/
ディレクトリーに保存します。このオプションを使用しない場合は、キックスタートファイルで設定したリポジトリーの使用はインストール中に限られ、インストール後のシステムでは使用できません。 -
--cost=
- このリポジトリーに割り当てるコストを整数で入力します。複数のリポジトリーで同じパッケージを提供している場合に、リポジトリーの使用優先順位がこの数値で決まります。コストの低いリポジトリーは、コストの高いリポジトリーよりも優先されます。 -
--excludepkgs=
- このリポジトリーからは読み出してはならないパッケージ名のリストをコンマ区切りで指定します。複数のリポジトリーで同じパッケージが提供されていて、特定のリポジトリーから読み出す場合に便利なオプションです。(publican
といった) 完全なパッケージ名と (gnome-*
といった) グロブの両方が使えます。 -
--includepkgs=
- このリポジトリーから取得できるパッケージ名およびグロブのリストをコンマ区切りで指定します。リポジトリーが提供するその他のパッケージは無視されます。これは、リポジトリーが提供する他のパッケージをすべて除外しながら、リポジトリーから 1 つのパッケージまたはパッケージセットをインストールする場合に便利です。 -
--proxy=[protocol://][username[:password]@]host[:port]
- このリポジトリーにだけ使用する HTTP/HTTPS/FTP プロキシーを指定します。この設定は他のリポジトリーには影響しません。また、HTTP インストールではinstall.img
の読み込みについても影響はありません。 -
--noverifyssl
-HTTPS
サーバーへの接続の際に、SSL 確認を無効にします。
注記
- インストールに使用するリポジトリーは安定した状態を維持してください。インストールが終了する前にリポジトリーに変更が加えられると、インストールが失敗する可能があります。
B.3.9. rootpw (必須)
キックスタートコマンドの rootpw
が必要です。システムの root パスワードを password 引数に設定します。このコマンドは 1 回だけ使用してください。
構文
rootpw [--iscrypted|--plaintext] [--lock] password
必須オプション
-
password - パスワード指定。プレーンテキストまたは暗号化された文字列。以下の
--iscrypted
および--plaintext
を参照してください。
オプション
--iscrypted
- このオプションを追加すると、パスワード引数はすでに暗号化済みと仮定されます。--plaintext
と相互排他的になります。暗号化したパスワードを作成する場合は python を使用します。$
python -c 'import crypt,getpass;pw=getpass.getpass();print(crypt.crypt(pw) if (pw==getpass.getpass("Confirm: ")) else exit())'
上記の例では、ランダムの salt を使用して、パスワードの sha512 暗号と互換性があるハッシュが生成されます。
-
--plaintext
- このオプションを使用すると、パスワードの引数はプレーンテキストであると仮定されます。--iscrypted
と相互排他的になります。 -
--lock
- このオプションを含めると、root アカウントはデフォルトでロックされます。つまり、root ユーザーはコンソールからログインできなくなります。また、グラフィカルおよびテキストベースの手動インストールで、Root Password ウィンドウが無効になります。 -
--allow-ssh
- このオプションを指定すると、root ユーザーは SSH でパスワードを使用してシステムにログインできます。このオプションは、RHEL 9.1 以降でのみ利用できます。
password-based SSH root logins
を有効にするには、キックスタートインストールメソッドで次の行をキックスタートファイルに追加します。RHEL 9.0 では、--allow-ssh
オプションは利用できません。
%post echo "PermitRootLogin yes" > /etc/ssh/sshd_config.d/01-permitrootlogin.conf %end
B.3.10. selinux
キックスタートコマンドの selinux
は任意です。インストール済みシステムの SELinux の状態を設定します。デフォルトの SELinux ポリシーは enforcing
です。このコマンドは 1 回だけ使用してください。
構文
selinux [--disabled|--enforcing|--permissive]
オプション
--enforcing
-
SELinux をデフォルトの対象ポリシーである
enforcing
で有効にします。 --permissive
- SELinux のポリシーに基づく警告を出力します。ただし、実際にはポリシーは実施されません。
--disabled
- システムで SELinux を完全に無効にします。
関連情報
B.3.11. services
キックスタートコマンドの services
は任意です。デフォルトの systemd ターゲット下で実行するデフォルトのサービスセットを変更します。無効にするサービスのリストは、有効にするサービスのリストの前に処理されます。したがって、サービスが両方のリストに記載されていると、そのサービスは有効になります。
構文
services [--disabled=list] [--enabled=list]
オプション
-
--disabled=
- 無効にするサービスをコンマ区切りで指定します。 -
--enabled=
- 有効にするサービスをコンマ区切りで指定します。
注記
-
services
要素を使用してsystemd
サービスを有効にする場合は、指定されたサービスファイルを含むパッケージを%packages
セクションに含めるようにしてください。 複数のサービスは、スペースを入れずにコンマで区切って含める必要があります。たとえば、4 つのサービスを無効にするには、次のように入力します。
services --disabled=auditd,cups,smartd,nfslock
スペースを含めると、最初のスペースまでのサービスだけが有効化または無効化されます。以下に例を示します。
services --disabled=auditd, cups, smartd, nfslock
この場合は、
auditd
サービスしか無効になりません。4 つのサービスをすべて無効にするには、エントリーから空白を取り除きます。
B.3.12. skipx
キックスタートコマンドの skipx
は任意です。存在する場合は、インストール済みシステムで X が設定されていません。
パッケージ選択のオプションでディスプレイマネージャーをインストールすると、このパッケージにより X の設定が作成されるため、インストールが完了したシステムは graphical.target
にデフォルト設定されることになります。これにより、skipx
オプションが無効になります。このコマンドは 1 回だけ使用してください。
構文
skipx
注記
- このコマンドにはオプションはありません。
B.3.13. sshkey
キックスタートコマンドの sshkey
は任意です。インストール済みシステムで、指定したユーザーの authorized_keys
ファイルに SSH キーを追加します。
構文
sshkey --username=user "ssh_key"
必須オプション
-
--username=
- 鍵をインストールするユーザー。 - ssh_key - 完全な SSH 鍵のフィンガープリント。引用符でラップする必要があります。
B.3.14. syspurpose
キックスタートコマンドの syspurpose
は任意です。インストール後にシステムがどのように使用されるかを説明するシステムの目的を設定します。この情報により、適切なサブスクリプションエンタイトルメントがシステムに適用されます。このコマンドは 1 回だけ使用してください。
Red Hat Enterprise Linux 9.0 以降では、1 つの subscription-manager syspurpose
モジュールで role
、service-level
、usage
、および addons
サブコマンドを利用可能にすることで、1 つのモジュールでシステムの目的の属性を管理および表示できます。以前は、システム管理者は 4 つのスタンドアロンの syspurpose
コマンドのいずれかを使用して各属性を管理していました。このスタンドアロンの syspurpose
コマンドは RHEL 9.0 以降非推奨となり、RHEL 9 以降では削除される予定です。Red Hat は、現在のリリースのライフサイクル中にバグ修正とこの機能に対するバグ修正やサポートを提供しますが、この機能は機能強化の対象外となります。RHEL 9 以降、単一の subscription-manager syspurpose
コマンドとその関連のサブコマンドは、システムの目的を使用する唯一の方法です。
構文
syspurpose [OPTIONS]
オプション
--role=
- 希望するシステムロールを設定します。利用できる値は次のとおりです。- Red Hat Enterprise Linux Server
- Red Hat Enterprise Linux Workstation
- Red Hat Enterprise Linux Compute Node
--sla=
- サービスレベルアグリーメントを設定します。利用できる値は次のとおりです。- Premium
- Standard
- Self-Support
--usage=
- システムの使用方法。利用できる値は次のとおりです。- Production
- Disaster Recovery
- Development/Test
-
--addon=
- のレイヤード製品または機能を指定します。このオプションは複数回使用できます。
注記
スペースで値を入力し、二重引用符で囲みます。
syspurpose --role="Red Hat Enterprise Linux Server"
- システムの目的を設定することが強く推奨されますが、Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムでは任意の機能です。
B.3.15. timezone (必須)
キックスタートコマンド timezone
が必要です。システムのタイムゾーンを設定します。このコマンドは 1 回だけ使用してください。
構文
timezone timezone [OPTIONS]
必須オプション
- timezone - システムに設定するタイムゾーン
任意のオプション
-
--utc
- これを指定すると、ハードウェアクロックが UTC (グリニッジ標準) 時間に設定されているとシステムは見なします。 -
--nontp
- NTP サービスの自動スタートを無効にします。このオプションは非推奨となりました。 -
--ntpservers=
- 使用する NTP サーバーを空白を入れないコンマ区切りのリストで指定します。このオプションは非推奨になりました。代わりにtimesource
コマンドを使用してください。
注記
Red Hat Enterprise Linux 9 では、タイムゾーン名は pytz パッケージにより提供される pytz.all_timezones
のリストを使用して検証されます。以前のリリースでは、名前は現在使用されているリストのサブセットである pytz.common_timezones
に対して検証されていました。グラフィックおよびテキストモードのインターフェイスには、引き続きより制限の多い pytz.common_timezones
のリストが使用される点に注意してください。別のタイムゾーン定義を使用するには、キックスタートファイルを使用する必要があります。
B.3.16. timesource(任意)
キックスタートコマンドの timesource
は任意です。これを使用して、タイムデータを提供する NTP、NTS サーバー、およびプールを設定し、システムで NTP サービスを有効または無効にするかどうかも制御します。
構文
timesource [--ntp-server NTP_SERVER | --ntp-pool NTP_POOL | --ntp-disable] [--nts]
必須オプション
timesource
コマンドを使用する場合は、以下のいずれかのオプションを指定する必要があります。
--ntp-server
- 1 つの NTP サーバーをタイムソースとして追加します。このオプションは、1 つの NTP タイムソースサーバーを追加するために、1 つのコマンドに 1 回だけ追加できます。複数のソースを追加するには、毎回それぞれ 1 つの --ntp-server オプションまたは --ntp-pool オプションを使用して、複数の timesource コマンドを追加します。たとえば、Europe のタイムゾーンに複数のソースを追加するには、以下のコマンドを実行します。timezone Europe
timesource --ntp-server 0.rhel.pool.ntp.org
timesource --ntp-server 1.rhel.pool.ntp.org
timesource --ntp-server 2.rhel.pool.ntp.org
-
--ntp-pool
- タイムソースとして NTP サーバープールを追加します。このオプションは、1 つの NTP タイムソースプールを追加するために 1 回だけ追加できます。timesource コマンドを繰り返し、複数のソースを追加します。 -
--ntp-disable
- インストール済みシステムの NTP タイムソースを無効にします。
任意のオプション
-
--nts
- このコマンドで追加されたサーバーまたはプールは NTS プロトコルを使用します。このオプションは --ntp-disable を使用しても追加できますが、効果はありません。
注記
-
timezone
コマンドの--ntpservers
オプションが非推奨になりました。Red Hat は、この新しいオプションをtimesource
コマンドの表現機能に使用することを推奨します。 -
timesource
コマンドのみが、サーバーとプールをプレーンNTP
プロトコルではなく、NTS
を使用するものとしてマークできます。
B.3.17. user
キックスタートコマンドの user
は任意です。システムに新しいユーザーを作成します。
構文
user --name=username [OPTIONS]
必須オプション
-
--name=
- ユーザー名を入力します。このオプションは必須です。
任意のオプション
-
--gecos=
- ユーザーの GECOS 情報を指定します。これは、コンマ区切りのさまざまなシステム固有フィールドの文字列です。ユーザーのフルネームやオフィス番号などを指定するのに使用されます。詳細は、passwd(5)
の man ページを参照してください。 -
--groups=
- デフォルトグループの他にもユーザーが所属すべきグループ名のコンマ区切りのリストです。このグループは、ユーザーアカウントの作成前に存在する必要があります。詳細は、group
コマンドを参照してください。 -
--homedir=
- ユーザーのホームディレクトリーです。設定しない場合は、/home/username
がデフォルトになります。 -
--lock
- このオプションを指定すると、このアカウントはデフォルトでロックされます。つまり、ユーザーはコンソールからログインできなくなります。また、グラフィカルおよびテキストベースの手動インストールで、ユーザーの作成 ウィンドウが無効になります。 -
--password=
- 新規のユーザーパスワードです。指定しないと、そのアカウントはデフォルトでロックされます。 --iscrypted
- このオプションを追加すると、パスワード引数はすでに暗号化済みと仮定されます。--plaintext
と相互排他的になります。暗号化したパスワードを作成する場合は python を使用します。$
python -c 'import crypt,getpass;pw=getpass.getpass();print(crypt.crypt(pw) if (pw==getpass.getpass("Confirm: ")) else exit())'
上記の例では、ランダムの salt を使用して、パスワードの sha512 暗号と互換性があるハッシュが生成されます。
-
--plaintext
- このオプションを使用すると、パスワードの引数はプレーンテキストであると仮定されます。--iscrypted
と相互排他的になります。 -
--shell=
- ユーザーのログインシェルです。指定しないと、システムのデフォルトが使用されます。 -
--uid=
- ユーザーの UID (User ID) です。指定しないと、次に利用可能なシステム以外の UID をデフォルトにします。 -
--gid=
- ユーザーのグループで使用される GID (Group ID) です。指定しないと、次に利用可能なシステム以外のグループ ID をデフォルトにします。
注記
-
--uid
と--gid
のオプションを使用して、通常のユーザーとそのデフォルトグループに1000
ではなく5000
から始まる範囲の ID を設定することを検討してください。これは、システムユーザーおよびグループに予約してある0
-999
の範囲が今後広がり、通常のユーザーの ID と重複する可能性があるためです。 ファイルおよびディレクトリーはさまざまなパーミッションで作成され、パーミッションは、ファイルまたはディレクトリーを作成するアプリケーションによる影響を受けます。たとえば、
mkdir
コマンドは、すべてのパーミッションを有効にしてディレクトリーを作成します。ただし、user file-creation mask
設定で指定されたように、アプリケーションは、新規に作成したファイルに特定パーミッションを付与しません。user file-creation mask
は、umask
コマンドで管理できます。新規ユーザー向けのuser file-creation mask
のデフォルト設定は、インストール済みシステムの/etc/login.defs
設定ファイルのUMASK
変数で定義されます。これを設定しない場合は、デフォルト値022
を使用します。デフォルト値を使用し、アプリケーションがファイルを作成した場合は、ファイルの所有者以外のユーザーに書き込みパーミッションが付与されません。ただし、これは他の設定やスクリプトで無効にできます。
B.3.18. xconfig
キックスタートコマンドの xconfig
は任意です。X Window System を設定します。このコマンドは 1 回だけ使用してください。
構文
xconfig [--startxonboot]
オプション
-
--startxonboot
- インストール済みシステムでグラフィカルログインを使用します。
注記
-
Red Hat Enterprise Linux 9 には KDE デスクトップ環境が含まれていないため、アップストリームに記載されている
--defaultdesktop=
を使用しないでください。