Operator


Red Hat OpenShift Service on AWS 4

Red Hat OpenShift Service on AWS の Operator

Red Hat OpenShift Documentation Team

概要

コントロールプレーンでのサービスのパッケージ化、デプロイメント、管理に Operator がどのように役立つかを説明します。

第1章 Operator の概要

Operator は、Red Hat OpenShift Service on AWS の最も重要なコンポーネントの 1 つです。これらは、コントロールプレーン上でサービスをパッケージ化、デプロイ、および管理するための推奨される方法です。Operator の使用は、ユーザーが実行するアプリケーションにも各種の利点があります。

Operator は、kubectl や OpenShift CLI (oc) などの Kubernetes API および CLI ツールと統合します。Operator はアプリケーションの監視、ヘルスチェックの実行、OTA (over-the-air) 更新の管理を実行し、アプリケーションが指定した状態にあることを確認するための手段となります。

Operator は、Kubernetes ネイティブアプリケーション向けに特別に設計されており、インストールや設定などの一般的な Day 1 オペレーションを実装および自動化します。Operator は、自動スケールアップや自動スケールダウン、バックアップの作成など、Day 2 オペレーションを自動化することもできます。これらのアクティビティーは、クラスター上で実行されているソフトウェアによってすべて制御されます。

Red Hat OpenShift Service on AWS の Operator は、目的に応じて 2 つの異なるシステムによって管理されます。どちらも同様の Operator の概念と目標に準拠しています。

クラスター Operator
Cluster Version Operator (CVO) により管理され、クラスター機能を実行するためにデフォルトでインストールされます。
オプションのアドオン Operator
Operator Lifecycle Manager (OLM) により管理され、ユーザーがアプリケーションで実行するようにアクセスを可能にします。OLM ベースの Operator とも呼ばれます。

1.1. 開発者の場合

Operator 作成者は、OLM ベースの Operator に関して、次の開発タスクを実行できます。

1.2. 管理者の場合

dedicated-admin ロールを持つ管理者は、次の Operator タスクを実行できます。

1.3. 次のステップ

第2章 Operator について

2.1. Operator について

概念的に言うと、Operator は人間の運用上のナレッジを使用し、これをコンシューマーと簡単に共有できるソフトウェアにエンコードします。

Operator は、ソフトウェアの他の部分を実行する運用上の複雑さを軽減するソフトウェアの特定の部分で設定されます。Operator はソフトウェアベンダーのエンジニアリングチームの一員のように機能し、Kubernetes 環境 (Red Hat OpenShift Service on AWS など) を監視し、その現在の状態を使用してリアルタイムで意思決定を行います。高度な Operator はアップグレードをシームレスに実行し、障害に自動的に対応するように設計されており、時間の節約のためにソフトウェアのバックアッププロセスを省略するなどのショートカットを実行することはありません。

技術的に言うと、Operator は Kubernetes アプリケーションをパッケージ化し、デプロイし、管理する方法です。

Kubernetes アプリケーションは、Kubernetes にデプロイされ、Kubernetes API および kubectl または oc ツールを使用して管理されるアプリケーションです。Kubernetes を最大限に活用するには、Kubernetes 上で実行されるアプリケーションを提供し、管理するために拡張できるように一連の総合的な API が必要です。Operator は、Kubernetes 上でこのタイプのアプリケーションを管理するランタイムと見なすことができます。

2.1.1. Operator を使用する理由

Operator は以下を提供します。

  • インストールおよびアップグレードの反復性。
  • すべてのシステムコンポーネントの継続的なヘルスチェック。
  • OpenShift コンポーネントおよび ISV コンテンツの OTA (Over-the-air) 更新。
  • フィールドエンジニアの知識を凝縮し、1 人や 2 人だけでなくすべてのユーザーに広める場所。
Kubernetes にデプロイする理由
Kubernetes (延長線上で考えると Red Hat OpenShift Service on AWS も含まれる) には、シークレットの処理、負荷分散、サービスの検出、自動スケーリングなどの、オンプレミスおよびクラウドプロバイダーで機能する、複雑な分散システムをビルドするために必要なすべてのプリミティブが含まれます。
アプリケーションを Kubernetes API および kubectl ツールで管理する理由
これらの API は機能的に充実しており、すべてのプラットフォームのクライアントを持ち、クラスターのアクセス制御/監査機能にプラグインします。Operator は Kubernetes の拡張メカニズム、カスタムリソース定義 (CRD、Custom Resource Definition ) を使用するため、MongoDB など のカスタムオブジェクトは、ビルトインされたネイティブ Kubernetes オブジェクトのように表示され、機能します。
Operator とサービスブローカーとの比較
サービスブローカーは、アプリケーションのプログラムによる検出およびデプロイメントを行うための 1 つの手段です。ただし、これは長期的に実行されるプロセスではないため、アップグレード、フェイルオーバー、またはスケーリングなどの Day 2 オペレーションを実行できません。カスタマイズおよびチューニング可能なパラメーターはインストール時に提供されるのに対し、Operator はクラスターの最新の状態を常に監視します。クラスター外のサービスを使用する場合は、Operator もこれらのクラスター外のサービスに使用できますが、これらをサービスブローカーで使用できます。

2.1.2. Operator Framework

Operator Framework は、上記のカスタマーエクスペリエンスに関連して提供されるツールおよび機能のファミリーです。これは、コードを作成するためだけにあるのではなく、Operator のテスト、実行、および更新などの重要な機能を実行します。Operator Framework コンポーネントは、これらの課題に対応するためのオープンソースツールで構成されています。

Operator Lifecycle Manager
Operator Lifecycle Manager (OLM) は、クラスター内の Operator のインストール、アップグレード、ロールベースのアクセス制御 (RBAC) を制御します。Red Hat OpenShift Service on AWS 4 ではデフォルトでデプロイされます。
Operator レジストリー
Operator レジストリーは、クラスターで作成するためのクラスターサービスバージョン (Cluster Service Version、CSV) およびカスタムリソース定義 (CRD) を保存し、パッケージおよびチャネルに関する Operator メタデータを保存します。これは Kubernetes または OpenShift クラスターで実行され、この Operator カタログデータを OLM に指定します。
OperatorHub
OperatorHub は、クラスター管理者がクラスター上にインストールする Operator を検出し、選択するための Web コンソールです。Red Hat OpenShift Service on AWS ではデフォルトでデプロイされます。

これらのツールは組み立て可能なツールとして設計されているため、役に立つと思われるツールを使用できます。

2.1.3. Operator 成熟度モデル

Operator 内にカプセル化されている管理ロジックの複雑さのレベルはさまざまです。また、このロジックは通常 Operator によって表されるサービスのタイプによって大きく変わります。

ただし、大半の Operator に含まれる特定の機能セットは、Operator のカプセル化された操作の成熟度の規模を一般化することができます。このため、以下の Operator 成熟度モデルは、Operator の一般的な Day 2 オペレーションに関する 5 つのフェーズの成熟度を定義しています。

図2.1 Operator 成熟度モデル

2.2. Operator Framework パッケージ形式

ここでは、Red Hat OpenShift Service on AWS の Operator Lifecycle Manager (OLM) によってサポートされる Operator のパッケージ形式の概要を説明します。

2.2.1. Bundle Format

Operator の Bundle Format は、Operator Framework によって導入されるパッケージ形式です。スケーラビリティーを向上させ、アップストリームユーザーがより効果的に独自のカタログをホストできるようにするために、Bundle Format 仕様は Operator メタデータのディストリビューションを単純化します。

Operator バンドルは、Operator の単一バージョンを表します。ディスク上の バンドルマニフェスト は、Kubernetes マニフェストおよび Operator メタデータを保存する実行不可能なコンテナーイメージである バンドルイメージ としてコンテナー化され、提供されます。次に、バンドルイメージの保存および配布は、podmandocker、および Quay などのコンテナーレジストリーを使用して管理されます。

Operator メタデータには以下を含めることができます。

  • Operator を識別する情報 (名前およびバージョンなど)。
  • UI を駆動する追加情報 (アイコンや一部のカスタムリソース (CR) など)。
  • 必須および提供される API。
  • 関連するイメージ。

マニフェストを Operator レジストリーデータベースに読み込む際に、以下の要件が検証されます。

  • バンドルには、アノテーションで定義された 1 つ以上のチャネルが含まれる必要がある。
  • すべてのバンドルには、1 つのクラスターサービスバージョン (CSV) がある。
  • CSV がクラスターリソース定義 (CRD) を所有する場合、その CRD はバンドルに存在する必要がある。
2.2.1.1. マニフェスト

バンドルマニフェストは、Operator のデプロイメントおよび RBAC モデルを定義する Kubernetes マニフェストのセットを指します。

バンドルにはディレクトリーごとに 1 つの CSV が含まれ、通常は manifest/ ディレクトリーの CSV の所有される API を定義する CRD が含まれます。

Bundle Format のレイアウトの例

etcd
├── manifests
│   ├── etcdcluster.crd.yaml
│   └── etcdoperator.clusterserviceversion.yaml
│   └── secret.yaml
│   └── configmap.yaml
└── metadata
    └── annotations.yaml
    └── dependencies.yaml
Copy to Clipboard Toggle word wrap

その他のサポート対象のオブジェクト

以下のオブジェクトタイプは、バンドルの /manifests ディレクトリーにオプションとして追加することもできます。

サポート対象のオプションオブジェクトタイプ

  • ClusterRole
  • ClusterRoleBinding
  • ConfigMap
  • ConsoleCLIDownload
  • ConsoleLink
  • ConsoleQuickStart
  • ConsoleYamlSample
  • PodDisruptionBudget
  • PriorityClass
  • PrometheusRule
  • Role
  • RoleBinding
  • Secret
  • Service
  • ServiceAccount
  • ServiceMonitor
  • VerticalPodAutoscaler

これらのオプションオブジェクトがバンドルに含まれる場合、Operator Lifecycle Manager (OLM) はバンドルからこれらを作成し、CSV と共にそれらのライフサイクルを管理できます。

オプションオブジェクトのライフサイクル

  • CSV が削除されると、OLM はオプションオブジェクトを削除します。
  • CSV がアップグレードされると、以下を実行します。

    • オプションオブジェクトの名前が同じである場合、OLM はこれを更新します。
    • オプションオブジェクトの名前がバージョン間で変更された場合、OLM はこれを削除し、再作成します。
2.2.1.2. アノテーション

バンドルには、その metadata/ ディレクトリーに annotations.yaml ファイルも含まれます。このファイルは、バンドルをバンドルのインデックスに追加する方法に関する形式およびパッケージ情報の記述に役立つ高レベルの集計データを定義します。

annotations.yaml の例

annotations:
  operators.operatorframework.io.bundle.mediatype.v1: "registry+v1" 
1

  operators.operatorframework.io.bundle.manifests.v1: "manifests/" 
2

  operators.operatorframework.io.bundle.metadata.v1: "metadata/" 
3

  operators.operatorframework.io.bundle.package.v1: "test-operator" 
4

  operators.operatorframework.io.bundle.channels.v1: "beta,stable" 
5

  operators.operatorframework.io.bundle.channel.default.v1: "stable" 
6
Copy to Clipboard Toggle word wrap

1
Operator バンドルのメディアタイプまたは形式。registry+v1 形式の場合、これに CSV および関連付けられた Kubernetes オブジェクトが含まれることを意味します。
2
Operator マニフェストが含まれるディレクトリーへのイメージのパス。このラベルは今後使用するために予約され、現時点ではデフォの manifests/ に設定されています。manifests.v1 の値は、バンドルに Operator マニフェストが含まれることを示します。
3
バンドルに関するメタデータファイルが含まれるディレクトリーへのイメージのパス。このラベルは今後使用するために予約され、現時点ではデフォの metadata/ に設定されています。metadata.v1 の値は、このバンドルに Operator メタデータがあることを意味します。
4
バンドルのパッケージ名。
5
Operator レジストリーに追加される際にバンドルがサブスクライブするチャネルのリスト。
6
レジストリーからインストールされる場合に Operator がサブスクライブされるデフォルトチャネル。
注記

一致しない場合、annotations.yaml ファイルは、これらのアノテーションに依存するクラスター上の Operator レジストリーのみがこのファイルにアクセスできるために権威を持つファイルになります。

2.2.1.3. Dependencies

Operator の依存関係は、バンドルの metadata/ フォルダー内の dependencies.yaml ファイルに一覧表示されます。このファイルはオプションであり、現時点では明示的な Operator バージョンの依存関係を指定するためにのみ使用されます。

依存関係の一覧には、依存関係の内容を指定するために各項目の type フィールドが含まれます。次のタイプの Operator 依存関係がサポートされています。

olm.package
このタイプは、特定の Operator バージョンの依存関係であることを意味します。依存関係情報には、パッケージ名とパッケージのバージョンを semver 形式で含める必要があります。たとえば、0.5.2 などの特定バージョンや >0.5.1 などのバージョンの範囲を指定することができます。
olm.gvk
このタイプの場合、作成者は CSV の既存の CRD および API ベースの使用方法と同様に group/version/kind (GVK) 情報で依存関係を指定できます。これは、Operator の作成者がすべての依存関係、API または明示的なバージョンを同じ場所に配置できるようにするパスです。
olm.constraint
このタイプは、任意の Operator プロパティーに対するジェネリック制約を宣言します。

以下の例では、依存関係は Prometheus Operator および etcd CRD に指定されます。

dependencies.yaml ファイルの例

dependencies:
  - type: olm.package
    value:
      packageName: prometheus
      version: ">0.27.0"
  - type: olm.gvk
    value:
      group: etcd.database.coreos.com
      kind: EtcdCluster
      version: v1beta2
Copy to Clipboard Toggle word wrap

2.2.1.4. opm CLI について

opm CLI ツールは、Operator Bundle Format で使用するために Operator Framework によって提供されます。このツールを使用して、ソフトウェアリポジトリーに相当する Operator バンドルのリストから Operator のカタログを作成し、維持することができます。結果として、コンテナーイメージをコンテナーレジストリーに保存し、その後にクラスターにインストールできます。

カタログには、コンテナーイメージの実行時に提供される組み込まれた API を使用してクエリーできる、Operator マニフェストコンテンツへのポインターのデータベースが含まれます。Red Hat OpenShift Service on AWS では、Operator Lifecycle Manager (OLM) は、CatalogSource オブジェクトが定義したカタログソース内のイメージ参照できます。これにより、クラスター上にインストールされた Operator への頻度の高い更新を可能にするためにイメージを一定の間隔でポーリングできます。

2.2.2. 主な特徴

ファイルベースのカタログ は、Operator Lifecycle Manager (OLM) の最新バージョンのカタログ形式です。この形式は、プレーンテキストベース (JSON または YAML) であり、以前の SQLite データベース形式の宣言的な設定の進化であり、完全な下位互換性があります。この形式の目標は、Operator のカタログ編集、設定可能性、および拡張性を有効にすることです。

編集

ファイルベースのカタログを使用すると、カタログの内容を操作するユーザーは、形式を直接変更し、変更が有効であることを確認できます。この形式はプレーンテキストの JSON または YAML であるため、カタログメンテナーは、一般的に知られている、サポート対象の JSON または YAML ツール (例: jq CLI) を使用して、手動でカタログメタデータを簡単に操作できます。

この編集機能により、以下の機能とユーザー定義の拡張が有効になります。

  • 既存のバンドルの新規チャネルへのプロモート
  • パッケージのデフォルトチャネルの変更
  • アップグレードパスを追加、更新、および削除するためのカスタムアルゴリズム
コンポーザービリティー

ファイルベースのカタログは、任意のディレクトリー階層に保管され、カタログの作成が可能になります。たとえば、2 つのファイルベースのカタログディレクトリー (catalogA および catalogB ) を見てみましょう。カタログメンテナーは、新規のディレクトリー catalogC を作成して catalogAcatalogB をそのディレクトリーにコピーし、新しく結合カタログを作成できます。

このコンポーザービリティーにより、カタログの分散化が可能になります。この形式により、Operator の作成者は Operator 固有のカタログを維持でき、メンテナーは個別の Operator カタログで構成されるカタログを簡単にビルドできます。ファイルベースのカタログは、他の複数のカタログを組み合わせたり、1 つのカタログのサブセットを抽出したり、またはこれらの両方を組み合わせたりすることで作成できます。

注記

パッケージ内でパッケージおよびバンドルを重複できません。opm validate コマンドは、重複が見つかった場合はエラーを返します。

Operator の作成者は Operator、その依存関係およびそのアップグレードの互換性を最も理解しているので、Operator 固有のカタログを独自のカタログに維持し、そのコンテンツを直接制御できます。ファイルベースのカタログの場合に、Operator の作成者はカタログでパッケージをビルドして維持するタスクを所有します。ただし、複合カタログメンテナーは、カタログ内のパッケージのキュレートおよびユーザーにカタログを公開するタスクのみを所有します。

拡張性

ファイルベースのカタログ仕様は、カタログの低レベル表現です。これは低レベルの形式で直接保守できますが、カタログメンテナーは、このレベルの上に任意の拡張をビルドして、独自のカスタムツールを使用して任意数の変更を加えることができます。

たとえば、(mode=semver) などの高レベルの API を、アップグレードパス用に低レベルのファイルベースのカタログ形式にツールで変換できます。または、カタログメンテナーは、特定の条件を満たすバンドルに新規プロパティーを追加して、すべてのバンドルメタデータをカスタマイズする必要がある場合があります。

このような拡張性を使用すると、今後の Red Hat OpenShift Service on AWS リリース向けに、追加の正式なツールを低レベル API 上で開発できます。主な利点としては、カタログメンテナーもこの機能を利用できる点が挙げられます。

重要

Red Hat OpenShift Service on AWS 4.11 の時点で、デフォルトの Red Hat が提供する Operator カタログは、ファイルベースのカタログ形式でリリースされます。Red Hat OpenShift Service on AWS 4.6 から 4.10 までのデフォルトの Red Hat が提供する Operator カタログは、非推奨の SQLite データベース形式でリリースされました。

opm サブコマンド、フラグ、および SQLite データベース形式に関連する機能も非推奨となり、今後のリリースで削除されます。機能は引き続きサポートされており、非推奨の SQLite データベース形式を使用するカタログに使用する必要があります。

opm index prune などの SQLite データベース形式を使用する opm サブコマンドおよびフラグの多くは、ファイルベースのカタログ形式では機能しません。ファイルベースのカタログを使用する方法の詳細は、カスタムカタログの管理 を参照してください。

2.2.2.1. ディレクトリー構造

ファイルベースのカタログは、ディレクトリーベースのファイルシステムから保存してロードできます。opm CLI は、root ディレクトリーを元に、サブディレクトリーに再帰してカタログを読み込みます。CLI は、検出されるすべてのファイルの読み込みを試行し、エラーが発生した場合には失敗します。

.gitignore ファイルとパターンと優先順位が同じ .indexignore ファイルを使用して、カタログ以外のファイルを無視できます。

例: .indexignore ファイル

# Ignore everything except non-object .json and .yaml files
**/*
!*.json
!*.yaml
**/objects/*.json
**/objects/*.yaml
Copy to Clipboard Toggle word wrap

カタログメンテナーは、必要なレイアウトを柔軟に選択できますが、各パッケージのファイルベースのカタログ Blob は別々のサブディレクトリーに保管することを推奨します。個々のファイルは JSON または YAML のいずれかをしようしてください。カタログ内のすべてのファイルが同じ形式を使用する必要はありません。

推奨される基本構造

catalog
├── packageA
│   └── index.yaml
├── packageB
│   ├── .indexignore
│   ├── index.yaml
│   └── objects
│       └── packageB.v0.1.0.clusterserviceversion.yaml
└── packageC
    └── index.json
    └── deprecations.yaml
Copy to Clipboard Toggle word wrap

この推奨の構造には、ディレクトリー階層内の各サブディレクトリーは自己完結型のカタログであるという特性があるため、カタログの作成、検出、およびナビゲーションなどのファイルシステムの操作が簡素化されます。このカタログは、親カタログのルートディレクトリーにコピーして親カタログに追加することもできます。

2.2.2.2. スキーマ

ファイルベースのカタログは、任意のスキーマで拡張できる CUE 言語仕様 に基づく形式を使用します。以下の _Meta CUE スキーマは、すべてのファイルベースのカタログ Blob が順守する必要のある形式を定義します。

_Meta スキーマ

_Meta: {
  // schema is required and must be a non-empty string
  schema: string & !=""

  // package is optional, but if it's defined, it must be a non-empty string
  package?: string & !=""

  // properties is optional, but if it's defined, it must be a list of 0 or more properties
  properties?: [... #Property]
}

#Property: {
  // type is required
  type: string & !=""

  // value is required, and it must not be null
  value: !=null
}
Copy to Clipboard Toggle word wrap

注記

この仕様にリストされている CUE スキーマは網羅されていると見なされます。opm validate コマンドには、CUE で簡潔に記述するのが困難または不可能な追加の検証が含まれます。

Operator Lifecycle Manager(OLM) カタログは、現時点で OLM の既存のパッケージおよびバンドルの概念に対応する 3 つのスキーマ (olm.packageolm.channel および olm.bundle) を使用します。

カタログの各 Operator パッケージには、olm.package Blob が 1 つ (少なくとも olm.channel Blob 1 つ、および 1 つ以上の olm.bundle Blob) が必要です。

注記

olm.* スキーマは OLM 定義スキーマ用に予約されています。カスタムスキーマには、所有しているドメインなど、一意の接頭辞を使用する必要があります。

2.2.2.2.1. olm.package スキーマ

olm.package スキーマは Operator のパッケージレベルのメタデータを定義します。これには、名前、説明、デフォルトのチャネル、およびアイコンが含まれます。

例2.1 olm.package スキーマ

#Package: {
  schema: "olm.package"

  // Package name
  name: string & !=""

  // A description of the package
  description?: string

  // The package's default channel
  defaultChannel: string & !=""

  // An optional icon
  icon?: {
    base64data: string
    mediatype:  string
  }
}
Copy to Clipboard Toggle word wrap
2.2.2.2.2. olm.channel スキーマ

olm.channel スキーマは、パッケージ内のチャネル、チャネルのメンバーであるバンドルエントリー、およびそのバンドルのアップグレードパスを定義します。

バンドルエントリーが複数の olm.channel Blob 内のエッジを表す場合、バンドルエントリーはチャネルごとに 1 つだけ指定できます。

エントリーの replaces 値が、このカタログにも別のカタログにも存在しない別のバンドル名を参照していても、有効とされます。ただし、他のすべてのチャネルの普遍条件に該当する必要があります (チャネルに複数のヘッドがない場合など)。

例2.2 olm.channel スキーマ

#Channel: {
  schema: "olm.channel"
  package: string & !=""
  name: string & !=""
  entries: [...#ChannelEntry]
}

#ChannelEntry: {
  // name is required. It is the name of an `olm.bundle` that
  // is present in the channel.
  name: string & !=""

  // replaces is optional. It is the name of bundle that is replaced
  // by this entry. It does not have to be present in the entry list.
  replaces?: string & !=""

  // skips is optional. It is a list of bundle names that are skipped by
  // this entry. The skipped bundles do not have to be present in the
  // entry list.
  skips?: [...string & !=""]

  // skipRange is optional. It is the semver range of bundle versions
  // that are skipped by this entry.
  skipRange?: string & !=""
}
Copy to Clipboard Toggle word wrap
警告

skipRange フィールドを使用すると、スキップされた Operator バージョンが更新グラフからプルーニングされ、ユーザーが Subscription オブジェクトの spec.startingCSV プロパティーを使用してそのバージョンをインストールできなくなります。

skipRange フィールドと replaces フィールドの両方を使用すると、以前にインストールしたバージョンをユーザーが将来インストールできるように維持しながら、Operator を段階的に更新できます。replaces フィールドが当該 Operator バージョンの直前のバージョンを参照していることを確認してください。

2.2.2.2.3. olm.bundle スキーマ

例2.3 olm.bundle スキーマ

#Bundle: {
  schema: "olm.bundle"
  package: string & !=""
  name: string & !=""
  image: string & !=""
  properties: [...#Property]
  relatedImages?: [...#RelatedImage]
}

#Property: {
  // type is required
  type: string & !=""

  // value is required, and it must not be null
  value: !=null
}

#RelatedImage: {
  // image is the image reference
  image: string & !=""

  // name is an optional descriptive name for an image that
  // helps identify its purpose in the context of the bundle
  name?: string & !=""
}
Copy to Clipboard Toggle word wrap
2.2.2.2.4. olm.deprecations スキーマ

オプションの olm.deprecations スキーマは、カタログ内のパッケージ、バンドル、チャネルの非推奨情報を定義します。Operator の作成者は、このスキーマを使用して、サポートステータスや推奨アップグレードパスなど、Operator に関する関連メッセージを、カタログから Operator を実行しているユーザーに提供できます。

このスキーマが定義されている場合、Red Hat OpenShift Service on AWS の Web コンソールで、OperatorHub のインストール前ページとインストール後ページの両方に、カスタムの非推奨メッセージを含め、Operator の影響を受ける要素に対する警告バッジが表示されます。

olm.deprecations スキーマエントリーには、非推奨の範囲を示す次の reference タイプが 1 つ以上含まれています。Operator がインストールされると、指定されたメッセージが、関連する Subscription オブジェクトのステータス状況として表示されます。

Expand
表2.1 非推奨の reference タイプ
スコープステータス状況

olm.package

パッケージ全体を表します。

PackageDeprecated

olm.channel

1 つのチャンネルを表します。

ChannelDeprecated

olm.bundle

1 つのバンドルバージョンを表します。

BundleDeprecated

次の例で詳しく説明するように、各 reference タイプには独自の要件があります。

例2.4 各 reference タイプを使用した olm.deprecations スキーマの例

schema: olm.deprecations
package: my-operator 
1

entries:
  - reference:
      schema: olm.package 
2

    message: | 
3

    The 'my-operator' package is end of life. Please use the
    'my-operator-new' package for support.
  - reference:
      schema: olm.channel
      name: alpha 
4

    message: |
    The 'alpha' channel is no longer supported. Please switch to the
    'stable' channel.
  - reference:
      schema: olm.bundle
      name: my-operator.v1.68.0 
5

    message: |
    my-operator.v1.68.0 is deprecated. Uninstall my-operator.v1.68.0 and
    install my-operator.v1.72.0 for support.
Copy to Clipboard Toggle word wrap
1
各非推奨スキーマには package 値が必要であり、そのパッケージ参照はカタログ全体で一意である必要があります。関連する name フィールドを含めることはできません。
2
olm.package スキーマに name フィールドを含めることはできません。このフィールドは、スキーマ内で前に定義した package フィールドによって決定されるためです。
3
すべての message フィールドは、reference タイプを問わず、長さが 0 以外である必要があり、不透明なテキスト Blob として表す必要があります。
4
olm.channel スキーマの name フィールドは必須です。
5
olm.bundle スキーマの name フィールドは必須です。
注記

非推奨機能では、パッケージ、チャネル、バンドルなど、重複する非推奨は考慮されません。

Operator の作成者は、olm.deprecations スキーマエントリーを deprecations.yaml ファイルとしてパッケージの index.yaml ファイルと同じディレクトリーに保存できます。

非推奨を含むカタログのディレクトリー構造の例

my-catalog
└── my-operator
    ├── index.yaml
    └── deprecations.yaml
Copy to Clipboard Toggle word wrap

2.2.2.3. プロパティー

プロパティーは、ファイルベースのカタログスキーマに追加できる任意のメタデータです。type フィールドは、value フィールドのセマンティックおよび構文上の意味を効果的に指定する文字列です。値には任意の JSON または YAML を使用できます。

OLM は、予約済みの olm.* 接頭辞をもう一度使用して、いくつかのプロパティータイプを定義します。

2.2.2.3.1. olm.package プロパティー

olm.package プロパティーは、パッケージ名とバージョンを定義します。これはバンドルの必須プロパティーであり、これらのプロパティーが 1 つ必要です。packageName フィールドはバンドルのファーストクラス package フィールドと同じでなければならず、version フィールドは有効なセマンティクスバージョンである必要があります。

例2.5 olm.package プロパティー

#PropertyPackage: {
  type: "olm.package"
  value: {
    packageName: string & !=""
    version: string & !=""
  }
}
Copy to Clipboard Toggle word wrap
2.2.2.3.2. olm.gvk プロパティー

olm.gvk プロパティーは、このバンドルで提供される Kubernetes API の group/version/kind(GVK) を定義します。このプロパティーは、OLM が使用して、必須の API と同じ GVK をリストする他のバンドルの依存関係として、このプロパティーでバンドルを解決します。GVK は Kubernetes GVK の検証に準拠する必要があります。

例2.6 olm.gvk プロパティー

#PropertyGVK: {
  type: "olm.gvk"
  value: {
    group: string & !=""
    version: string & !=""
    kind: string & !=""
  }
}
Copy to Clipboard Toggle word wrap
2.2.2.3.3. olm.package.required

olm.package.required プロパティーは、このバンドルが必要な別のパッケージのパッケージ名とバージョン範囲を定義します。バンドルにリストされている必要なパッケージプロパティーごとに、OLM は、リストされているパッケージのクラスターに必要なバージョン範囲で Operator がインストールされていることを確認します。versionRange フィールドは有効なセマンティクスバージョン (semver) の範囲である必要があります。

例2.7 olm.package.required プロパティー

#PropertyPackageRequired: {
  type: "olm.package.required"
  value: {
    packageName: string & !=""
    versionRange: string & !=""
  }
}
Copy to Clipboard Toggle word wrap
2.2.2.3.4. olm.gvk.required

olm.gvk.required プロパティーは、このバンドルが必要とする Kubernetes API の group/version/kind(GVK) を定義します。バンドルにリストされている必要な GVK プロパティーごとに、OLM は、提供する Operator がクラスターにインストールされていることを確認します。GVK は Kubernetes GVK の検証に準拠する必要があります。

例2.8 olm.gvk.required プロパティー

#PropertyGVKRequired: {
  type: "olm.gvk.required"
  value: {
    group: string & !=""
    version: string & !=""
    kind: string & !=""
  }
}
Copy to Clipboard Toggle word wrap
2.2.2.4. カタログの例

ファイルベースのカタログを使用すると、カタログメンテナーは Operator のキュレーションおよび互換性に集中できます。Operator の作成者は Operator 用に Operator 固有のカタログをすでに生成しているので、カタログメンテナーは、各 Operator カタログをカタログのルートディレクトリーのサブディレクトリーにレンダリングしてビルドできます。

ファイルベースのカタログをビルドする方法は多数あります。以下の手順は、単純なアプローチの概要を示しています。

  1. カタログの設定ファイルを 1 つ維持し、カタログ内に Operator ごとにイメージの参照を含めます。

    カタログ設定ファイルのサンプル

    name: community-operators
    repo: quay.io/community-operators/catalog
    tag: latest
    references:
    - name: etcd-operator
      image: quay.io/etcd-operator/index@sha256:5891b5b522d5df086d0ff0b110fbd9d21bb4fc7163af34d08286a2e846f6be03
    - name: prometheus-operator
      image: quay.io/prometheus-operator/index@sha256:e258d248fda94c63753607f7c4494ee0fcbe92f1a76bfdac795c9d84101eb317
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

  2. 設定ファイルを解析し、その参照から新規カタログを作成するスクリプトを実行します。

    スクリプトの例

    name=$(yq eval '.name' catalog.yaml)
    mkdir "$name"
    yq eval '.name + "/" + .references[].name' catalog.yaml | xargs mkdir
    for l in $(yq e '.name as $catalog | .references[] | .image + "|" + $catalog + "/" + .name + "/index.yaml"' catalog.yaml); do
      image=$(echo $l | cut -d'|' -f1)
      file=$(echo $l | cut -d'|' -f2)
      opm render "$image" > "$file"
    done
    opm generate dockerfile "$name"
    indexImage=$(yq eval '.repo + ":" + .tag' catalog.yaml)
    docker build -t "$indexImage" -f "$name.Dockerfile" .
    docker push "$indexImage"
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

2.2.2.5. ガイドライン

ファイルベースのカタログを維持する場合には、以下のガイドラインを考慮してください。

2.2.2.5.1. イミュータブルなバンドル

Operator Lifecycle Manager(OLM) に関する一般的なアドバイスとして、バンドルイメージとそのメタデータをイミュータブルとして処理する必要がある点があります。

破損したバンドルがカタログにプッシュされている場合には、少なくとも 1 人のユーザーがそのバンドルにアップグレードしたと想定する必要があります。このような想定に基づいて、破損したバンドルをインストールしたユーザーがアップグレードを確実に受け取れるように、破損したバンドルのアップグレードパスを使用して別のバンドルをリリースする必要があります。OLM は、カタログでバンドルの内容が更新された場合に、インストールされたバンドルは再インストールされません。

ただし、カタログメタデータの変更が推奨される場合があります。

  • チャネルプロモーション: バンドルをすでにリリースし、後で別のチャネルに追加することにした場合は、バンドルのエントリーを別の olm.channel Blob に追加できます。
  • 新規アップグレードパス: 1.2.z バンドルバージョンを新たにリリースしたが (例:1.2.4)、1.3.0 がすでにリリースされている場合は、1.2.4 をスキップするように 1.3.0 のカタログメタデータを更新できます。
2.2.2.5.2. ソース制御

カタログメタデータはソースコントロールに保存され、信頼できる情報源として処理される必要があります。以下の手順で、カタログイメージを更新する必要があります。

  1. ソース制御されたカタログディレクトリーを新規コミットを使用して更新します。
  2. カタログイメージをビルドし、プッシュします。ユーザーがカタログが利用可能になり次第更新を受信できるように、一貫性のあるタグ付け (:latest or :<target_cluster_version>) を使用します。
2.2.2.6. CLI の使用

opm CLI を使用してファイルベースのカタログを作成する方法は、カスタムカタログの管理 を参照してください。

2.2.2.7. 自動化

Operator の作成者およびカタログメンテナーは、CI/CD ワークフローを使用してカタログのメンテナンスを自動化することが推奨されます。カタログメンテナーは、GitOps 自動化をビルドして以下のタスクを実行し、これをさらに向上させることができます。

  • パッケージのイメージ参照の更新など、プル要求 (PR) の作成者が要求された変更を実行できることを確認します。
  • カタログの更新で opm validate コマンドが指定されていることを確認します。
  • 更新されたバンドルまたはカタログイメージの参照が存在し、カタログイメージがクラスターで正常に実行され、そのパッケージの Operator が正常にインストールされることを確認します。
  • 以前のチェックに合格した PR を自動的にマージします。
  • カタログイメージを自動的にもう一度ビルドして公開します。

2.3. 一般的な Operator Framework 用語

このトピックでは、Operator Lifecycle Manager (OLM) を含む Operator Framework に関連する一般的な用語の用語集を提供します。

2.3.1. バンドル

Bundle Format では、バンドル は Operator CSV、マニフェスト、およびメタデータのコレクションです。さらに、それらはクラスターにインストールできる一意のバージョンの Operator を形成します。

2.3.2. バンドルイメージ

Bundle Format では、バンドルイメージ は Operator マニフェストからビルドされ、1 つのバンドルが含まれるコンテナーイメージです。バンドルイメージは、Quay.io または DockerHub などの Open Container Initiative (OCI) 仕様コンテナーレジストリーによって保存され、配布されます。

2.3.3. カタログソース

カタログソース は、OLM が Operator およびそれらの依存関係を検出し、インストールするためにクエリーできるメタデータのストアを表します。

2.3.4. チャネル

チャネル は Operator の更新ストリームを定義し、サブスクライバーの更新をロールアウトするために使用されます。ヘッドはそのチャネルの最新バージョンを参照します。たとえば stable チャネルには、Operator のすべての安定したバージョンが最も古いものから最新のものへと編成されます。

Operator には複数のチャネルを含めることができ、特定のチャネルへのサブスクリプションのバインドはそのチャネル内の更新のみを検索します。

2.3.5. チャネルヘッド

チャネルヘッド は、特定のチャネル内の最新の既知の更新を指します。

2.3.6. クラスターサービスバージョン

クラスターサービスバージョン (CSV) は、クラスターでの Operator の実行に使用される Operator メタデータから作成される YAML マニフェストです。これは、ユーザーインターフェイスにロゴ、説明、およびバージョンなどの情報を設定するために使用される Operator コンテナーイメージに伴うメタデータです。

CSV は、Operator が必要とする RBAC ルールやそれが管理したり、依存したりするカスタムリソース (CR) などの Operator の実行に必要な技術情報の情報源でもあります。

2.3.7. 依存関係

Operator はクラスターに存在する別の Operator への 依存関係 を持つ場合があります。たとえば、Vault Operator にはそのデータ永続層に etcd Operator への依存関係があります。

OLM は、インストールフェーズで指定されたすべてのバージョンの Operator および CRD がクラスターにインストールされていることを確認して依存関係を解決します。この依存関係は、必要な CRD API を満たすカタログの Operator を検索し、インストールすることで解決され、パッケージまたはバンドルには関連しません。

2.3.8. エクステンション

拡張機能により、クラスター管理者は Red Hat OpenShift Service on AWS クラスター上のユーザーの機能を拡張できます。拡張機能は Operator Lifecycle Manager (OLM) v1 によって管理されます。

ClusterExtension API は、ユーザー向け API を単一のオブジェクトに統合することで、registry+v1 バンドル形式を使用した Operator を含むインストール済み拡張機能の管理を効率化します。管理者と SRE は、この API を使用してプロセスを自動化し、GitOps の原則に基づき望ましい状態を定義できます。

2.3.9. インデックスイメージ

Bundle Format で、インデックスイメージ は、すべてのバージョンの CSV および CRD を含む Operator バンドルに関する情報が含まれるデータベースのイメージ (データベーススナップショット) を指します。このインデックスは、クラスターで Operator の履歴をホストでき、opm CLI ツールを使用して Operator を追加または削除することで維持されます。

2.3.10. インストール計画

インストール計画 は、CSV を自動的にインストールするか、アップグレードするために作成されるリソースの計算された一覧です。

2.3.11. マルチテナントへの対応

Red Hat OpenShift Service on AWS の テナント は、デプロイされた一連のワークロードに対する共通のアクセス権と権限を共有するユーザーまたはユーザーのグループであり、通常は namespace またはプロジェクトで表されます。テナントを使用して、異なるグループまたはチーム間に一定レベルの分離を提供できます。

クラスターが複数のユーザーまたはグループによって共有されている場合、マルチテナント クラスターと見なされます。

2.3.12. Operator

Operator は、Kubernetes アプリケーションをパッケージ化し、デプロイし、管理する方法です。Kubernetes アプリケーションは、Kubernetes にデプロイされ、Kubernetes API および kubectl または oc ツールを使用して管理されるアプリケーションです。

Operator Lifecycle Manager (OLM) v1 では、ClusterExtension API により、registry+v1 バンドル形式を使用した Operator を含むインストール済み拡張機能の管理が効率化されます。

2.3.13. Operator グループ

Operator グループ は、OperatorGroup オブジェクトと同じ namespace にデプロイされたすべての Operator を、namespace のリストまたはクラスター全体でそれらの CR を監視できるように設定します。

2.3.14. Package

Bundle Format で、パッケージ は Operator のリリースされたすべての履歴をそれぞれのバージョンで囲むディレクトリーです。Operator のリリースされたバージョンは、CRD と共に CSV マニフェストに記述されます。

2.3.15. レジストリー

レジストリー は、Operator のバンドルイメージを保存するデータベースで、それぞれにすべてのチャネルの最新バージョンおよび過去のバージョンすべてが含まれます。

2.3.16. サブスクリプション

サブスクリプション は、パッケージのチャネルを追跡して CSV を最新の状態に保ちます。

2.3.17. 更新グラフ

更新グラフ は、他のパッケージ化されたソフトウェアの更新グラフと同様に、CSV の複数のバージョンを 1 つにまとめます。Operator を順番にインストールすることも、特定のバージョンを省略することもできます。更新グラフは、新しいバージョンが追加されている状態でヘッドでのみ拡張することが予想されます。

更新エッジ または 更新パス とも呼ばれます。

2.4. Operator Lifecycle Manager (OLM)

2.4.1. Operator Lifecycle Manager の概念およびリソース

このガイドでは、Red Hat OpenShift Service on AWS の Operator Lifecycle Manager (OLM) を支える概念の概要を説明します。

2.4.1.1. Operator Lifecycle Manager (OLM) Classic とは

Operator Lifecycle Manager (OLM) Classic を使用することにより、ユーザーは Kubernetes ネイティブアプリケーション (Operator) および Red Hat OpenShift Service on AWS クラスター全体で実行される関連サービスにインストール、更新、およびそのライフサイクルの管理を実行できます。これは、Operator を効果的かつ自動化された拡張可能な方法で管理するために設計されたオープンソースツールキットの Operator Framework の一部です。

図2.2 OLM (Classic) ワークフロー

OLM は Red Hat OpenShift Service on AWS 4 でデフォルトで実行されます。これは、クラスター管理者がクラスターで実行されている Operator をインストールし、アップグレードし、アクセスをこれに付与するのに役立ちます。Red Hat OpenShift Service on AWS Web コンソールは、クラスター管理者が Operator をインストールしたり、クラスターで利用可能な Operator のカタログを使用できるように特定のプロジェクトアクセスを付与したりするのに使用する管理画面を提供します。

開発者の場合は、セルフサービスを使用することで、専門的な知識がなくてもデータベースのインスタンスのプロビジョニングや設定、またモニタリング、ビッグデータサービスなどを実行できます。Operator にそれらに関するナレッジが織り込まれているためです。

2.4.1.2. OLM リソース

以下のカスタムリソース定義 (CRD) は Operator Lifecycle Manager (OLM) によって定義され、管理されます。

Expand
表2.2 OLM およびカタログ Operator で管理される CRD
リソース短縮名説明

ClusterServiceVersion (CSV)

csv

アプリケーションメタデータ:例: 名前、バージョン、アイコン、必須リソース。

CatalogSource

catsrc

CSV、CRD、およびアプリケーションを定義するパッケージのリポジトリー。

Subscription

sub

パッケージのチャネルを追跡して CSV を最新の状態に保ちます。

InstallPlan

ip

CSV を自動的にインストールするか、アップグレードするために作成されるリソースの計算された一覧。

OperatorGroup

og

OperatorGroup オブジェクトと同じ namespace にデプロイされたすべての Operator を、namespace のリストまたはクラスター全体でカスタムリソース (CR) を監視できるように設定します。

OperatorConditions

-

OLM とそれが管理する Operator との間で通信チャネルを作成します。Operator は Status.Conditions 配列に書き込みを行い、複雑な状態を OLM と通信できます。

2.4.1.2.1. クラスターサービスバージョン

クラスターサービスバージョン (CSV) は、Red Hat OpenShift Service on AWS クラスター上で実行中の Operator の特定バージョンを表します。これは、クラスターでの Operator Lifecycle Manager (OLM) の Operator の実行に使用される Operator メタデータから作成される YAML マニフェストです。

OLM は Operator に関するこのメタデータを要求し、これがクラスターで安全に実行できるようにし、Operator の新規バージョンが公開される際に更新を適用する方法に関する情報を提供します。これは従来のオペレーティングシステムのソフトウェアのパッケージに似ています。OLM のパッケージ手順を、rpmdeb、または apk バンドルを作成するステージとして捉えることができます。

CSV には、ユーザーインターフェイスに名前、バージョン、説明、ラベル、リポジトリーリンクおよびロゴなどの情報を設定するために使用される Operator コンテナーイメージに伴うメタデータが含まれます。

CSV は、Operator が管理したり、依存したりするカスタムリソース (CR)、RBAC ルール、クラスター要件、およびインストールストラテジーなどの Operator の実行に必要な技術情報の情報源でもあります。この情報は OLM に対して必要なリソースの作成方法と、Operator をデプロイメントとしてセットアップする方法を指示します。

2.4.1.2.2. カタログソース

カタログソース は、通常コンテナーレジストリーに保存されている インデックスイメージ を参照してメタデータのストアを表します。Operator Lifecycle Manager(OLM) はカタログソースをクエリーし、Operator およびそれらの依存関係を検出してインストールします。Red Hat OpenShift Service on AWS Web コンソールの OperatorHub には、カタログソースによって提供される Operator も表示されます。

ヒント

クラスター管理者は、Web コンソールの AdministrationCluster SettingsConfigurationOperatorHub ページを使用して、クラスターで有効なログソースにより提供される Operator の詳細一覧を表示できます。

CatalogSource オブジェクトの spec は、Pod の構築方法、または Operator レジストリー gRPC API を提供するサービスとの通信方法を示します。

例2.9 CatalogSource オブジェクトの例

apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
kind: CatalogSource
metadata:
  generation: 1
  name: example-catalog 
1

  namespace: openshift-marketplace 
2

  annotations:
    olm.catalogImageTemplate: 
3

      "quay.io/example-org/example-catalog:v{kube_major_version}.{kube_minor_version}.{kube_patch_version}"
spec:
  displayName: Example Catalog 
4

  image: quay.io/example-org/example-catalog:v1 
5

  priority: -400 
6

  publisher: Example Org
  sourceType: grpc 
7

  grpcPodConfig:
    securityContextConfig: <security_mode> 
8

    nodeSelector: 
9

      custom_label: <label>
    priorityClassName: system-cluster-critical 
10

    tolerations: 
11

      - key: "key1"
        operator: "Equal"
        value: "value1"
        effect: "NoSchedule"
  updateStrategy:
    registryPoll: 
12

      interval: 30m0s
status:
  connectionState:
    address: example-catalog.openshift-marketplace.svc:50051
    lastConnect: 2021-08-26T18:14:31Z
    lastObservedState: READY 
13

  latestImageRegistryPoll: 2021-08-26T18:46:25Z 
14

  registryService: 
15

    createdAt: 2021-08-26T16:16:37Z
    port: 50051
    protocol: grpc
    serviceName: example-catalog
    serviceNamespace: openshift-marketplace
Copy to Clipboard Toggle word wrap
1
CatalogSource オブジェクトの名前。この値は、要求された namespace で作成される、関連の Pod 名の一部としても使用されます。
2
カタログを作成する namespace。カタログを全 namespace のクラスター全体で利用可能にするには、この値を openshift-marketplace に設定します。Red Hat が提供するデフォルトのカタログソースも openshift-marketplace namespace を使用します。それ以外の場合は、値を特定の namespace に設定し、Operator をその namespace でのみ利用可能にします。
3
任意: クラスターのアップグレードにより、Operator のインストールがサポートされていない状態になったり、更新パスが継続されなかったりする可能性を回避するために、クラスターのアップグレードの一環として、Operator カタログのインデックスイメージのバージョンを自動的に変更するように有効化することができます。

olm.catalogImageTemplate アノテーションをインデックスイメージ名に設定し、イメージタグのテンプレートを作成する際に、1 つ以上の Kubernetes クラスターバージョン変数を使用します。アノテーションは、実行時に spec.image フィールドを上書きします。詳細は、「カスタムカタログソースのイメージテンプレート」のセクションを参照してください。

4
Web コンソールおよび CLI でのカタログの表示名。
5
カタログのインデックスイメージ。オプションで、olm.catalogImageTemplate アノテーションを使用して実行時のプル仕様を設定する場合には、省略できます。
6
カタログソースの重み。OLM は重みを使用して依存関係の解決時に優先順位付けします。重みが大きい場合は、カタログが重みの小さいカタログよりも優先されることを示します。
7
ソースタイプには以下が含まれます。
  • image 参照のある grpc: OLM はイメージをポーリングし、Pod を実行します。これにより、準拠 API が提供されることが予想されます。
  • address フィールドのある grpc: OLM は所定アドレスでの gRPC API へのアクセスを試行します。これはほとんどの場合使用することができません。
  • configmap: OLM は設定マップデータを解析し、gRPC API を提供できる Pod を実行します。
8
legacy または restricted の値を指定します。フィールドが設定されていない場合、デフォルト値は legacy です。今後の Red Hat OpenShift Service on AWS リリースでは、デフォルト値が restricted になる予定です。restricted 権限でカタログを実行できない場合は、このフィールドを手動で legacy に設定することを推奨します。
9
オプション: grpc タイプのカタログソースの場合は、spec.image でコンテンツを提供する Pod のデフォルトのノードセレクターをオーバーライドします (定義されている場合)。
10
オプション: grpc タイプのカタログソースの場合は、spec.image でコンテンツを提供する Pod のデフォルトの優先度クラス名をオーバーライドします (定義されている場合)。Kubernetes は、デフォルトで優先度クラス system-cluster-critical および system-node-critical を提供します。フィールドを空 ("") に設定すると、Pod にデフォルトの優先度が割り当てられます。他の優先度クラスは、手動で定義できます。
11
オプション: grpc タイプのカタログソースの場合は、spec.image でコンテンツを提供する Pod のデフォルトの Toleration をオーバーライドします (定義されている場合)。
12
最新の状態を維持するために、特定の間隔で新しいバージョンの有無を自動的にチェックします。
13
カタログ接続が最後に監視された状態。以下に例を示します。
  • READY: 接続が正常に確立されました。
  • CONNECTING: 接続が確立中です。
  • TRANSIENT_FAILURE: タイムアウトなど、接続の確立時一時的な問題が発生しました。状態は最終的に CONNECTING に戻り、再試行されます。

詳細は、gRPC ドキュメントの 接続の状態 を参照してください。

14
カタログイメージを保存するコンテナーレジストリーがポーリングされ、イメージが最新の状態であることを確認します。
15
カタログの Operator レジストリーサービスのステータス情報。

サブスクリプションの CatalogSource オブジェクトの name を参照すると、要求された Operator を検索する場所を、OLM に指示します。

例2.10 カタログソースを参照する Subscription オブジェクトの例

apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
kind: Subscription
metadata:
  name: example-operator
  namespace: example-namespace
spec:
  channel: stable
  name: example-operator
  source: example-catalog
  sourceNamespace: openshift-marketplace
Copy to Clipboard Toggle word wrap
2.4.1.2.2.1. カスタムカタログソースのイメージテンプレート

基礎となるクラスターとの Operator との互換性は、さまざまな方法でカタログソースにより表現できます。1 つの方法は、特定のプラットフォームリリース (Red Hat OpenShift Service on AWS 4 など) 用に特別に作成されたインデックスイメージのイメージタグを特定することです。この方法は、Red Hat 提供のデフォルトのカタログソースに使用されています。

クラスターのアップグレード時に、Red Hat が提供するデフォルトのカタログソースのインデックスイメージのタグは、Operator Lifecycle Manager (OLM) が最新版のカタログをプルするように、Cluster Version Operator (CVO) により自動更新されます。たとえば、Red Hat OpenShift Service on AWS 4.18 から 4 へのアップグレード時に、redhat-operators カタログの CatalogSource オブジェクトの spec.image フィールドは次のように更新されます。

registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.19
Copy to Clipboard Toggle word wrap

更新後は次のようになります。

registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.19
Copy to Clipboard Toggle word wrap

ただし、CVO ではカスタムカタログのイメージタグは自動更新されません。クラスターのアップグレード後、ユーザーが互換性があり、サポート対象の Operator のインストールを確実に行えるようにするには、カスタムカタログも更新して、更新されたインデックスイメージを参照する必要があります。

Red Hat OpenShift Service on AWS 4.9 以降、クラスター管理者は、カスタムカタログの CatalogSource オブジェクトの olm.catalogImageTemplate アノテーションを、テンプレートを含むイメージ参照に追加できます。以下の Kubernetes バージョン変数は、テンプレートで使用できるようにサポートされています。

  • kube_major_version
  • kube_minor_version
  • kube_patch_version
注記

Red Hat OpenShift Service on AWS クラスターのバージョンではなく、Kubernetes クラスターのバージョンを指定する必要があります。Red Hat OpenShift Service on AWS クラスターのバージョンは、現在テンプレートに使用できないためです。

更新された Kubernetes バージョンを指定するタグでインデックスイメージを作成してプッシュしている場合に、このアノテーションを設定すると、カスタムカタログのインデックスイメージのバージョンがクラスターのアップグレード後に自動的に変更されます。アノテーションの値は、CatalogSource オブジェクトの spec.image フィールドでイメージ参照を設定したり、更新したりするために使用されます。こうすることで、サポートなしの状態や、継続する更新パスなしの状態で Operator がインストールされないようにします。

重要

格納されているレジストリーがどれであっても、クラスターのアップグレード時に、クラスターが、更新されたタグを含むインデックスイメージにアクセスできるようにする必要があります。

例2.11 イメージテンプレートを含むカタログソースの例

apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
kind: CatalogSource
metadata:
  generation: 1
  name: example-catalog
  namespace: openshift-marketplace
  annotations:
    olm.catalogImageTemplate:
      "quay.io/example-org/example-catalog:v{kube_major_version}.{kube_minor_version}"
spec:
  displayName: Example Catalog
  image: quay.io/example-org/example-catalog:v1.32
  priority: -400
  publisher: Example Org
Copy to Clipboard Toggle word wrap
注記

spec.image フィールドおよび olm.catalogImageTemplate アノテーションの両方が設定されている場合には、spec.image フィールドはアノテーションから解決された値で上書きされます。アノテーションが使用可能なプル仕様に対して解決されない場合は、カタログソースは spec.image 値にフォールバックします。

spec.image フィールドが設定されていない場合に、アノテーションが使用可能なプル仕様に対して解決されない場合は、OLM はカタログソースの調整を停止し、人間が判読できるエラー条件に設定します。

Kubernetes 1.32 を使用する Red Hat OpenShift Service on AWS 4 クラスターの場合、前の例の olm.catalogImageTemplate アノテーションは次のイメージ参照に解決されます。

quay.io/example-org/example-catalog:v1.32
Copy to Clipboard Toggle word wrap

Red Hat OpenShift Service on AWS の今後のリリースに備えて、新しい Red Hat OpenShift Service on AWS バージョンで使用される新しい Kubernetes バージョンを対象とした、カスタムカタログの更新済みインデックスイメージを作成できます。アップグレード前に olm.catalogImageTemplate アノテーションを設定してから、クラスターを新しい Red Hat OpenShift Service on AWS バージョンにアップグレードすると、カタログのインデックスイメージも自動的に更新されます。

2.4.1.2.2.2. カタログの正常性要件

クラスター上の Operator カタログは、インストール解決の観点から相互に置き換え可能です。Subscription オブジェクトは特定のカタログを参照する場合がありますが、依存関係はクラスターのすべてのカタログを使用して解決されます。

たとえば、カタログ A が正常でない場合、カタログ A を参照するサブスクリプションはカタログ B の依存関係を解決する可能性があります。通常、B のカタログ優先度は A よりも低いため、クラスター管理者はこれおを想定していない可能性があります。

その結果、OLM では、特定のグローバル namespace (デフォルトの openshift-marketplace namespace やカスタムグローバル namespace など) を持つすべてのカタログが正常であることが必要になります。カタログが正常でない場合、その共有グローバル namespace 内のすべての Operator のインストールまたは更新操作は、CatalogSourcesUnhealthy 状態で失敗します。正常でない状態でこれらの操作が許可されている場合、OLM はクラスター管理者が想定しない解決やインストールを決定する可能性があります。

クラスター管理者が、カタログが正常でないことを確認し、無効とみなして Operator インストールを再開する必要がある場合は、「カスタムカタログの削除」または「デフォルトの OperatorHub カタログソースの無効化」セクションで、正常でないカタログの削除を確認してください。

2.4.1.2.3. サブスクリプション

サブスクリプション は、Subscription オブジェクトによって定義され、Operator をインストールする意図を表します。これは、Operator をカタログソースに関連付けるカスタムリソースです。

サブスクリプションは、サブスクライブする Operator パッケージのチャネルや、更新を自動または手動で実行するかどうかを記述します。サブスクリプションが自動に設定された場合、Operator Lifecycle Manager (OLM) が Operator を管理し、アップグレードして、最新バージョンがクラスター内で常に実行されるようにします。

Subscription オブジェクトの例

apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
kind: Subscription
metadata:
  name: example-operator
  namespace: example-namespace
spec:
  channel: stable
  name: example-operator
  source: example-catalog
  sourceNamespace: openshift-marketplace
Copy to Clipboard Toggle word wrap

この Subscription オブジェクトは、Operator の名前と namespace、および Operator データのあるカタログを定義します。alphabeta、または stable などのチャネルは、カタログソースからインストールする必要のある Operator ストリームを判別するのに役立ちます。

サブスクリプションのチャネルの名前は Operator 間で異なる可能性がありますが、命名スキームは指定された Operator 内の一般的な規則に従う必要があります。たとえば、チャネル名は Operator によって提供されるアプリケーションのマイナーリリース更新ストリーム (1.21.3) またはリリース頻度 (stablefast) に基づく可能性があります。

関連するサブスクリプションのステータスを調べると、Operator の新しいバージョンが利用可能になったことを確認できます。これは、Red Hat OpenShift Service on AWS Web コンソールからも簡単に確認できます。currentCSV フィールドに関連付けられる値は OLM に認識される最新のバージョンであり、installedCSV はクラスターにインストールされるバージョンです。

2.4.1.2.4. インストール計画

InstallPlan オブジェクトによって定義される インストール計画 は、Operator Lifecycle Manager(OLM) が特定バージョンの Operator をインストールまたはアップグレードするために作成するリソースのセットを記述します。バージョンはクラスターサービスバージョン (CSV) で定義されます。

Operator、クラスター管理者、または Operator インストールパーミッションが付与されているユーザーをインストールするには、まず Subscription オブジェクトを作成する必要があります。サブスクリプションでは、カタログソースから利用可能なバージョンの Operator のストリームにサブスクライブする意図を表します。次に、サブスクリプションは InstallPlan オブジェクトを作成し、Operator のリソースのインストールを容易にします。

その後、インストール計画は、以下の承認ストラテジーのいずれかをもとに承認される必要があります。

  • サブスクリプションの spec.installPlanApproval フィールドが Automatic に設定されている場合には、インストール計画は自動的に承認されます。
  • サブスクリプションの spec.installPlanApproval フィールドが Manual に設定されている場合には、インストール計画はクラスター管理者または適切なパーミッションが割り当てられたユーザーによって手動で承認する必要があります。

インストール計画が承認されると、OLM は指定されたリソースを作成し、サブスクリプションで指定された namespace に Operator をインストールします。

例2.12 InstallPlan オブジェクトの例

apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
kind: InstallPlan
metadata:
  name: install-abcde
  namespace: operators
spec:
  approval: Automatic
  approved: true
  clusterServiceVersionNames:
    - my-operator.v1.0.1
  generation: 1
status:
  ...
  catalogSources: []
  conditions:
    - lastTransitionTime: '2021-01-01T20:17:27Z'
      lastUpdateTime: '2021-01-01T20:17:27Z'
      status: 'True'
      type: Installed
  phase: Complete
  plan:
    - resolving: my-operator.v1.0.1
      resource:
        group: operators.coreos.com
        kind: ClusterServiceVersion
        manifest: >-
        ...
        name: my-operator.v1.0.1
        sourceName: redhat-operators
        sourceNamespace: openshift-marketplace
        version: v1alpha1
      status: Created
    - resolving: my-operator.v1.0.1
      resource:
        group: apiextensions.k8s.io
        kind: CustomResourceDefinition
        manifest: >-
        ...
        name: webservers.web.servers.org
        sourceName: redhat-operators
        sourceNamespace: openshift-marketplace
        version: v1beta1
      status: Created
    - resolving: my-operator.v1.0.1
      resource:
        group: ''
        kind: ServiceAccount
        manifest: >-
        ...
        name: my-operator
        sourceName: redhat-operators
        sourceNamespace: openshift-marketplace
        version: v1
      status: Created
    - resolving: my-operator.v1.0.1
      resource:
        group: rbac.authorization.k8s.io
        kind: Role
        manifest: >-
        ...
        name: my-operator.v1.0.1-my-operator-6d7cbc6f57
        sourceName: redhat-operators
        sourceNamespace: openshift-marketplace
        version: v1
      status: Created
    - resolving: my-operator.v1.0.1
      resource:
        group: rbac.authorization.k8s.io
        kind: RoleBinding
        manifest: >-
        ...
        name: my-operator.v1.0.1-my-operator-6d7cbc6f57
        sourceName: redhat-operators
        sourceNamespace: openshift-marketplace
        version: v1
      status: Created
      ...
Copy to Clipboard Toggle word wrap
2.4.1.2.5. Operator グループ

Operator グループ は、OperatorGroup リソースによって定義され、マルチテナント設定を OLM でインストールされた Operator に提供します。Operator グループは、そのメンバー Operator に必要な RBAC アクセスを生成するために使用するターゲット namespace を選択します。

ターゲット namespace のセットは、クラスターサービスバージョン (CSV) の olm.targetNamespaces アノテーションに保存されるコンマ区切りの文字列によって指定されます。このアノテーションは、メンバー Operator の CSV インスタンスに適用され、それらのデプロインメントに展開されます。

関連情報

2.4.1.2.6. Operator 条件

Operator のライフサイクル管理のロールの一部として、Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Operator を定義する Kubernetes リソースの状態から Operator の状態を推測します。このアプローチでは、Operator が特定の状態にあることをある程度保証しますが、推測できない情報を Operator が OLM と通信して提供する必要がある場合も多々あります。続いて、OLM がこの情報を使用して、Operator のライフサイクルをより適切に管理することができます。

OLM は、Operator が OLM に条件を通信できる OperatorCondition というカスタムリソース定義 (CRD) を提供します。OperatorCondition リソースの Spec.Conditions 配列にある場合に、OLM による Operator の管理に影響するサポートされる条件のセットがあります。

注記

デフォルトでは、Spec.Conditions 配列は、ユーザーによって追加されるか、カスタム Operator ロジックの結果として追加されるまで、OperatorCondition オブジェクトに存在しません。

2.4.2. Operator Lifecycle Manager アーキテクチャー

ここでは、Red Hat OpenShift Service on AWS における Operator Lifecycle Manager (OLM) のコンポーネントアーキテクチャーの概要を説明します。

2.4.2.1. コンポーネントの役割

Operator Lifecycle Manager (OLM) は、OLM Operator および Catalog Operator の 2 つの Operator で構成されています。

OLM Operator と Catalog Operator は、それぞれ OLM フレームワークの基礎となるカスタムリソース定義 (CRD) を管理します。

Expand
表2.3 OLM およびカタログ Operator で管理される CRD
リソース短縮名所有者説明

ClusterServiceVersion (CSV)

csv

OLM

アプリケーションのメタデータ: 名前、バージョン、アイコン、必須リソース、インストールなど。

InstallPlan

ip

Catalog

CSV を自動的にインストールするか、アップグレードするために作成されるリソースの計算された一覧。

CatalogSource

catsrc

Catalog

CSV、CRD、およびアプリケーションを定義するパッケージのリポジトリー。

Subscription

sub

Catalog

パッケージのチャネルを追跡して CSV を最新の状態に保つために使用されます。

OperatorGroup

og

OLM

OperatorGroup オブジェクトと同じ namespace にデプロイされたすべての Operator を、namespace のリストまたはクラスター全体でカスタムリソース (CR) を監視できるように設定します。

これらの Operator のそれぞれは以下のリソースの作成も行います。

Expand
表2.4 OLM およびカタログ Operator によって作成されるリソース
リソース所有者

Deployments

OLM

ServiceAccounts

(Cluster)Roles

(Cluster)RoleBindings

CustomResourceDefinitions (CRDs)

Catalog

ClusterServiceVersions

2.4.2.2. OLM Operator

OLM Operator は、CSV で指定された必須リソースがクラスター内にあることが確認された後に CSV リソースで定義されるアプリケーションをデプロイします。

OLM Operator は必須リソースの作成には関与せず、ユーザーが CLI またはカタログ Operator を使用してこれらのリソースを手動で作成することを選択できます。このタスクの分離により、アプリケーションに OLM フレームワークをどの程度活用するかに関連してユーザーによる追加機能の購入を可能にします。

OLM Operator は以下のワークフローを使用します。

  1. namespace でクラスターサービスバージョン (CSV) の有無を確認し、要件を満たしていることを確認します。
  2. 要件が満たされている場合、CSV のインストールストラテジーを実行します。

    注記

    CSV は、インストールストラテジーの実行を可能にするために Operator グループのアクティブなメンバーである必要があります。

2.4.2.3. Catalog Operator

Catalog Operator はクラスターサービスバージョン (CSV) およびそれらが指定する必須リソースを解決し、インストールします。また、カタログソースでチャネル内のパッケージへの更新の有無を確認し、必要な場合はそれらを利用可能な最新バージョンに自動的にアップグレードします。

チャネル内のパッケージを追跡するために、必要なパッケージ、チャネル、および更新のプルに使用する CatalogSource オブジェクトを設定して Subscription オブジェクトを作成できます。更新が見つかると、ユーザーに代わって適切な InstallPlan オブジェクトの namespace への書き込みが行われます。

Catalog Operator は以下のワークフローを使用します。

  1. クラスターの各カタログソースに接続します。
  2. ユーザーによって作成された未解決のインストール計画の有無を確認し、これがあった場合は以下を実行します。

    1. 要求される名前に一致する CSV を検索し、これを解決済みリソースとして追加します。
    2. マネージドまたは必須の CRD のそれぞれについて、これを解決済みリソースとして追加します。
    3. 必須 CRD のそれぞれについて、これを管理する CSV を検索します。
  3. 解決済みのインストール計画の有無を確認し、それに関する検出されたすべてのリソースを作成します (ユーザーによって、または自動的に承認される場合)。
  4. カタログソースおよびサブスクリプションの有無を確認し、それらに基づいてインストール計画を作成します。
2.4.2.4. カタログレジストリー

カタログレジストリーは、クラスター内での作成用に CSV および CRD を保存し、パッケージおよびチャネルに関するメタデータを保存します。

パッケージマニフェスト は、パッケージアイデンティティーを CSV のセットに関連付けるカタログレジストリー内のエントリーです。パッケージ内で、チャネルは特定の CSV を参照します。CSV は置き換え対象の CSV を明示的に参照するため、パッケージマニフェストは Catalog Operator に対し、CSV をチャネル内の最新バージョンに更新するために必要なすべての情報を提供します (各中間バージョンをステップスルー)。

2.4.3. Operator Lifecycle Manager ワークフロー

ここでは、Red Hat OpenShift Service on AWS における Operator Lifecycle Manager (OLM) のワークフローの概要を説明します。

2.4.3.1. OLM での Operator のインストールおよびアップグレードのワークフロー

Operator Lifecycle Manager (OLM) エコシステムでは、以下のリソースを使用して Operator インストールおよびアップグレードを解決します。

  • ClusterServiceVersion (CSV)
  • CatalogSource
  • Subscription

CSV で定義される Operator メタデータは、カタログソースというコレクションに保存できます。OLM はカタログソースを使用します。これは Operator Registry API を使用して利用可能な Operator やインストールされた Operator のアップグレードをクエリーします。

図2.3 カタログソースの概要

カタログソース内では、Operator は パッケージ と、チャネル と呼ばれる更新のストリームに編成されています。これは、Red Hat OpenShift Service on AWS や、Web ブラウザーなどの継続的なリリースサイクルを持つその他のソフトウェアでもよく見られる更新パターンです。

図2.4 カタログソースのパッケージおよびチャネル

ユーザーは サブスクリプション の特定のカタログソースの特定のパッケージおよびチャネルを指定できます (例: etcd パッケージおよびその alpha チャネル)。サブスクリプションが namespace にインストールされていないパッケージに対して作成されると、そのパッケージの最新 Operator がインストールされます。

注記

OLM では、バージョンの比較が意図的に避けられます。そのため、所定の catalogchannelpackage パスから利用可能な "latest" または "newest" Operator が必ずしも最も高いバージョン番号である必要はありません。これは Git リポジトリーの場合と同様に、チャネルの Head リファレンスとして見なされます。

各 CSV には、これが置き換える Operator を示唆する replaces パラメーターがあります。これにより、OLM でクエリー可能な CSV のグラフが作成され、更新がチャネル間で共有されます。チャネルは、更新グラフのエントリーポイントと見なすことができます。

図2.5 利用可能なチャネル更新に関する OLM グラフ

パッケージのチャネルの例

packageName: example
channels:
- name: alpha
  currentCSV: example.v0.1.2
- name: beta
  currentCSV: example.v0.1.3
defaultChannel: alpha
Copy to Clipboard Toggle word wrap

カタログソース、パッケージ、チャネルおよび CSV がある状態で、OLM が更新のクエリーを実行できるようにするには、カタログが入力された CSV の置き換え (replaces) を実行する単一 CSV を明確にかつ確定的に返すことができる必要があります。

2.4.3.1.1. アップグレードパスの例

アップグレードシナリオのサンプルについて、CSV バージョン 0.1.1 に対応するインストールされた Operator を見てみましょう。OLM はカタログソースをクエリーし、新規 CSV バージョン 0.1.3 について、サブスクライブされたチャネルのアップグレードを検出します。これは、古いバージョンでインストールされていない CSV バージョン 0.1.2 を置き換えます。その後、さらに古いインストールされた CSV バージョン 0.1.1 を置き換えます。

OLM は、チャネルヘッドから CSV で指定された replaces フィールドで以前のバージョンに戻り、アップグレードパス 0.1.30.1.20.1.1 を判別します。矢印の方向は前者が後者を置き換えることを示します。OLM は、チャネルヘッドに到達するまで Operator を 1 バージョンずつアップグレードします。

このシナリオでは、OLM は Operator バージョン 0.1.2 をインストールし、既存の Operator バージョン 0.1.1 を置き換えます。その後、Operator バージョン 0.1.3 をインストールし、直前にインストールされた Operator バージョン 0.1.2 を置き換えます。この時点で、インストールされた Operator のバージョン 0.1.3 はチャネルヘッドに一致し、アップグレードは完了します。

2.4.3.1.2. アップグレードの省略

OLM のアップグレードの基本パスは以下の通りです。

  • カタログソースは Operator への 1 つ以上の更新によって更新されます。
  • OLM は、カタログソースに含まれる最新バージョンに到達するまで、Operator のすべてのバージョンを横断します。

ただし、この操作の実行は安全でない場合があります。公開されているバージョンの Operator がクラスターにインストールされていない場合、そのバージョンによって深刻な脆弱性が導入される可能性があるなどの理由で、その Operator をクラスターにインストールできないことがあります。

この場合、OLM は以下の 2 つのクラスターの状態を考慮に入れて、それらの両方に対応する更新グラフを提供する必要があります。

  • "問題のある" 中間 Operator がクラスターによって確認され、かつインストールされている。
  • "問題のある" 中間 Operator がクラスターにまだインストールされていない。

OLM は、新規カタログを送り、省略された リリースを追加することで、クラスターの状態や問題のある更新が発見されたかどうかにかかわらず、単一の固有の更新を常に取得することができます。

省略されたリリースの CSV 例

apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
kind: ClusterServiceVersion
metadata:
  name: etcdoperator.v0.9.2
  namespace: placeholder
  annotations:
spec:
    displayName: etcd
    description: Etcd Operator
    replaces: etcdoperator.v0.9.0
    skips:
    - etcdoperator.v0.9.1
Copy to Clipboard Toggle word wrap

古い CatalogSource および 新規 CatalogSource に関する以下の例を見てみましょう。

図2.6 更新のスキップ

このグラフは、以下を示しています。

  • 古い CatalogSource の Operator には、新規 CatalogSource の単一の置き換えがある。
  • 新規 CatalogSource の Operator には、新規 CatalogSource の単一の置き換えがある。
  • 問題のある更新がインストールされていない場合、これがインストールされることはない。
2.4.3.1.3. 複数 Operator の置き換え

説明されているように 新規 CatalogSource を作成するには、1 つの Operator を置き換える (置き換える) が、複数バージョンを省略 (skip) できる CSV を公開する必要があります。これは、skipRange アノテーションを使用して実行できます。

olm.skipRange: <semver_range>
Copy to Clipboard Toggle word wrap

ここで <semver_range> には、semver ライブラリー でサポートされるバージョン範囲の形式が使用されます。

カタログで更新を検索する場合、チャネルのヘッドに skipRange アノテーションがあり、現在インストールされている Operator にその範囲内のバージョンフィールドがある場合、OLM はチャネル内の最新エントリーに対して更新されます。

以下は動作が実行される順序になります。

  1. サブスクリプションの sourceName で指定されるソースのチャネルヘッド (省略する他の条件が満たされている場合)。
  2. sourceName で指定されるソースの現行バージョンを置き換える次の Operator。
  3. サブスクリプションに表示される別のソースのチャネルヘッド (省略する他の条件が満たされている場合)。
  4. サブスクリプションに表示されるソースの現行バージョンを置き換える次の Operator。

skipRange を含む CSV の例

apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
kind: ClusterServiceVersion
metadata:
    name: elasticsearch-operator.v4.1.2
    namespace: <namespace>
    annotations:
        olm.skipRange: '>=4.1.0 <4.1.2'
Copy to Clipboard Toggle word wrap

2.4.3.1.4. z-stream サポート

z-stream またはパッチリリースは、同じマイナーバージョンの以前のすべての z-stream リリースを置き換える必要があります。OLM は、メジャー、マイナーまたはパッチバージョンを考慮せず、カタログ内で正確なグラフのみを作成する必要があります。

つまり、OLM では 古い CatalogSource のようにグラフを使用し、以前と同様に 新規 CatalogSource にあるようなグラフを生成する必要があります。

図2.7 複数 Operator の置き換え

このグラフは、以下を示しています。

  • 古い CatalogSource の Operator には、新規 CatalogSource の単一の置き換えがある。
  • 新規 CatalogSource の Operator には、新規 CatalogSource の単一の置き換えがある。
  • 古い CatalogSource の z-stream リリースは、新規 CatalogSource の最新 z-stream リリースに更新される。
  • 使用不可のリリースは "仮想" グラフノードと見なされる。それらのコンテンツは存在する必要がなく、レジストリーはグラフが示すように応答することのみが必要になります。

2.4.4. Operator Lifecycle Manager の依存関係の解決

ここでは、Red Hat OpenShift Service on AWS における Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用した依存関係の解決とカスタムリソース定義 (CRD) のアップグレードライフサイクルの概要を説明します。

2.4.4.1. 依存関係の解決

Operator Lifecycle Manager (OLM) は、実行中の Operator の依存関係の解決とアップグレードのライフサイクルを管理します。多くの場合、OLM が直面する問題は、yumrpm などの他のシステムまたは言語パッケージマネージャーと同様です。

ただし、OLM にはあるものの、通常同様のシステムにはない 1 つの制約があります。Operator は常に実行されており、OLM は相互に機能しない Operator のセットの共存を防ごうとします。

その結果、以下のシナリオで OLM を使用しないでください。

  • 提供できない API を必要とする Operator のセットのインストール
  • Operator と依存関係のあるものに障害を発生させる仕方での Operator の更新

これは、次の 2 種類のデータで可能になります。

プロパティー

Operator に関する型付きのメタデータ。これは、依存関係のリゾルバーで Operator の公開インターフェイスを構成します。例としては、Operator が提供する API の group/version/kind (GVK) や Operator のセマンティックバージョン (semver) などがあります。

制約または依存関係

ターゲットクラスターにすでにインストールされているかどうかに関係なく、他の Operator が満たす必要のある Operator の要件。これらは、使用可能なすべての Operator に対するクエリーまたはフィルターとして機能し、依存関係の解決およびインストール中に選択を制限します。クラスターで特定の API が利用できる状態にする必要がある場合や、特定のバージョンに特定の Operator をインストールする必要がある場合など、例として挙げられます。

OLM は、これらのプロパティーと制約をブール式のシステムに変換して SAT ソルバーに渡します。これは、ブールの充足可能性を確立するプログラムであり、インストールする Operator を決定する作業を行います。

2.4.4.2. Operator のプロパティー

カタログ内の Operator にはすべて、次のプロパティーが含まれます。

olm.package
パッケージの名前と Operator のバージョンを含めます。
olm.gvk
クラスターサービスバージョン (CSV) から提供された API ごとに 1 つのプロパティー

追加のプロパティーは、Operator バンドルの metadata/ ディレクトリーに properties.yaml ファイルを追加して、Operator 作成者が直接宣言することもできます。

任意のプロパティーの例

properties:
- type: olm.kubeversion
  value:
    version: "1.16.0"
Copy to Clipboard Toggle word wrap

2.4.4.2.1. 任意のプロパティー

Operator の作成者は、Operator バンドルの metadata/ ディレクトリーにある properties.yaml ファイルで任意のプロパティーを宣言できます。これらのプロパティーは、実行時に Operator Lifecycle Manager (OLM) リゾルバーへの入力として使用されるマップデータ構造に変換されます。

これらのプロパティーはリゾルバーには不透明です。リゾルバーはプロパティーを理解しませんが、これらのプロパティーに対する一般的な制約を評価して、プロパティーリストを指定することで制約を満たすことができるかどうかを判断します。

任意のプロパティーの例

properties:
  - property:
      type: color
      value: red
  - property:
      type: shape
      value: square
  - property:
      type: olm.gvk
      value:
        group: olm.coreos.io
        version: v1alpha1
        kind: myresource
Copy to Clipboard Toggle word wrap

この構造を使用して、ジェネリック制約の Common Expression Language (CEL) 式を作成できます。

2.4.4.3. Operator の依存関係

Operator の依存関係は、バンドルの metadata/ フォルダー内の dependencies.yaml ファイルに一覧表示されます。このファイルはオプションであり、現時点では明示的な Operator バージョンの依存関係を指定するためにのみ使用されます。

依存関係の一覧には、依存関係の内容を指定するために各項目の type フィールドが含まれます。次のタイプの Operator 依存関係がサポートされています。

olm.package
このタイプは、特定の Operator バージョンの依存関係であることを意味します。依存関係情報には、パッケージ名とパッケージのバージョンを semver 形式で含める必要があります。たとえば、0.5.2 などの特定バージョンや >0.5.1 などのバージョンの範囲を指定することができます。
olm.gvk
このタイプの場合、作成者は CSV の既存の CRD および API ベースの使用方法と同様に group/version/kind (GVK) 情報で依存関係を指定できます。これは、Operator の作成者がすべての依存関係、API または明示的なバージョンを同じ場所に配置できるようにするパスです。
olm.constraint
このタイプは、任意の Operator プロパティーに対するジェネリック制約を宣言します。

以下の例では、依存関係は Prometheus Operator および etcd CRD に指定されます。

dependencies.yaml ファイルの例

dependencies:
  - type: olm.package
    value:
      packageName: prometheus
      version: ">0.27.0"
  - type: olm.gvk
    value:
      group: etcd.database.coreos.com
      kind: EtcdCluster
      version: v1beta2
Copy to Clipboard Toggle word wrap

2.4.4.4. 一般的な制約

olm.constraint プロパティーは、特定のタイプの依存関係制約を宣言し、非制約プロパティーと制約プロパティーを区別します。その フィールドは、制約メッセージの文字列表現を保持する failureMessage フィールドを含むオブジェクトです。このメッセージは、実行時に制約が満たされない場合に、ユーザーへの参考のコメントとして表示されます。

次のキーは、使用可能な制約タイプを示します。

gvk
値と解釈が olm.gvk タイプと同じタイプ
package
値と解釈が olm.package タイプと同じタイプ
cel
任意のバンドルプロパティーとクラスター情報に対して Operator Lifecycle Manager (OLM) リゾルバーによって実行時に評価される Common Expression Language (CEL) 式
allanynot
gvk やネストされた複合制約など、1 つ以上の具体的な制約を含む、論理積、論理和、否定の制約。
2.4.4.4.1. Common Expression Language (CEL) の制約

cel 制約型は、式言語として Common Expression Language (CEL) をサポートしています。cel 構造には、Operator が制約を満たしているかどうかを判断するために、実行時に Operator プロパティーに対して評価される CEL 式文字列を含む rule フィールドがあります。

cel 制約の例

type: olm.constraint
value:
  failureMessage: 'require to have "certified"'
  cel:
    rule: 'properties.exists(p, p.type == "certified")'
Copy to Clipboard Toggle word wrap

CEL 構文は、ANDOR などの幅広い論理演算子をサポートします。その結果、単一の CEL 式は、これらの論理演算子で相互にリンクされる複数の条件に対して複数のルールを含めることができます。これらのルールは、バンドルまたは任意のソースからの複数の異なるプロパティーのデータセットに対して評価され、出力は、単一の制約内でこれらのルールのすべてを満たす単一のバンドルまたは Operator に対して解決されます。

複数のルールが指定された cel 制約の例

type: olm.constraint
value:
  failureMessage: 'require to have "certified" and "stable" properties'
  cel:
    rule: 'properties.exists(p, p.type == "certified") && properties.exists(p, p.type == "stable")'
Copy to Clipboard Toggle word wrap

2.4.4.4.2. 複合制約 (all, any, not)

複合制約タイプは、論理定義に従って評価されます。

以下は、2 つのパッケージと 1 つの GVK の接続制約 (all) の例です。つまり、インストールされたバンドルがすべての制約を満たす必要があります。

all 制約の例

schema: olm.bundle
name: red.v1.0.0
properties:
- type: olm.constraint
  value:
    failureMessage: All are required for Red because...
    all:
      constraints:
      - failureMessage: Package blue is needed for...
        package:
          name: blue
          versionRange: '>=1.0.0'
      - failureMessage: GVK Green/v1 is needed for...
        gvk:
          group: greens.example.com
          version: v1
          kind: Green
Copy to Clipboard Toggle word wrap

以下は、同じ GVK の 3 つのバージョンの選言的制約 (any) の例です。つまり、インストールされたバンドルが少なくとも 1 つの制約を満たす必要があります。

any 制約の例

schema: olm.bundle
name: red.v1.0.0
properties:
- type: olm.constraint
  value:
    failureMessage: Any are required for Red because...
    any:
      constraints:
      - gvk:
          group: blues.example.com
          version: v1beta1
          kind: Blue
      - gvk:
          group: blues.example.com
          version: v1beta2
          kind: Blue
      - gvk:
          group: blues.example.com
          version: v1
          kind: Blue
Copy to Clipboard Toggle word wrap

以下は、GVK の 1 つのバージョンの否定制約 (not) の例です。つまり、この結果セットのバンドルでは、この GVK を提供できません。

not の制約例

schema: olm.bundle
name: red.v1.0.0
properties:
- type: olm.constraint
  value:
  all:
    constraints:
    - failureMessage: Package blue is needed for...
      package:
        name: blue
        versionRange: '>=1.0.0'
    - failureMessage: Cannot be required for Red because...
      not:
        constraints:
        - gvk:
            group: greens.example.com
            version: v1alpha1
            kind: greens
Copy to Clipboard Toggle word wrap

否定のセマンティクスは、not 制約のコンテキストで不明確であるように見える場合があります。つまり、この否定では、特定の GVK、あるバージョンのパッケージを含むソリューション、または結果セットからの子の複合制約を満たすソリューションを削除するように、リゾルバーに対して指示を出しています。

当然の結果として、最初に可能な依存関係のセットを選択せずに否定することは意味がないため、複合では not 制約は all または any 制約内でのみ使用する必要があります。

2.4.4.4.3. ネストされた複合制約

ネストされた複合制約 (少なくとも 1 つの子複合制約と 0 個以上の単純な制約を含む制約) は、前述の各制約タイプの手順に従って、下から上に評価されます。

以下は、接続詞の論理和の例で、one、the other、または both が制約を満たすことができます。

ネストされた複合制約の例

schema: olm.bundle
name: red.v1.0.0
properties:
- type: olm.constraint
  value:
    failureMessage: Required for Red because...
    any:
      constraints:
      - all:
          constraints:
          - package:
              name: blue
              versionRange: '>=1.0.0'
          - gvk:
              group: blues.example.com
              version: v1
              kind: Blue
      - all:
          constraints:
          - package:
              name: blue
              versionRange: '<1.0.0'
          - gvk:
              group: blues.example.com
              version: v1beta1
              kind: Blue
Copy to Clipboard Toggle word wrap

注記

olm.constraint タイプの最大 raw サイズは 64KB に設定されており、リソース枯渇攻撃を制限しています。

2.4.4.5. 依存関係の設定

Operator の依存関係を同等に満たすオプションが多数ある場合があります。Operator Lifecycle Manager (OLM) の依存関係リゾルバーは、要求された Operator の要件に最も適したオプションを判別します。Operator の作成者またはユーザーとして、依存関係の解決が明確になるようにこれらの選択方法を理解することは重要です。

2.4.4.5.1. カタログの優先順位

Red Hat OpenShift Service on AWS クラスターでは、OLM がカタログソースを読み取り、どの Operator がインストール可能であるかを確認します。

CatalogSource オブジェクトの例

apiVersion: "operators.coreos.com/v1alpha1"
kind: "CatalogSource"
metadata:
  name: "my-operators"
  namespace: "operators"
spec:
  sourceType: grpc
  grpcPodConfig:
    securityContextConfig: <security_mode> 
1

  image: example.com/my/operator-index:v1
  displayName: "My Operators"
  priority: 100
Copy to Clipboard Toggle word wrap

1
legacy または restricted の値を指定します。フィールドが設定されていない場合、デフォルト値は legacy です。今後の Red Hat OpenShift Service on AWS リリースでは、デフォルト値が restricted になる予定です。restricted 権限でカタログを実行できない場合は、このフィールドを手動で legacy に設定することを推奨します。

CatalogSource オブジェクトには priority フィールドがあります。このフィールドは、依存関係のオプションを優先する方法を把握するためにリゾルバーによって使用されます。

カタログ設定を規定する 2 つのルールがあります。

  • 優先順位の高いカタログにあるオプションは、優先順位の低いカタログのオプションよりも優先されます。
  • 依存オブジェクトと同じカタログにあるオプションは他のカタログよりも優先されます。
2.4.4.5.2. チャネルの順序付け

カタログ内の Operator パッケージは、Red Hat OpenShift Service on AWS クラスターでユーザーがサブスクライブできる更新チャネルのコレクションです。チャネルは、マイナーリリース (1.21.3) またはリリース頻度 (stablefast) に関する特定の更新ストリームを提供するために使用できます。

同じパッケージの Operator によって依存関係が満たされる可能性がありますが、その場合、異なるチャネルの Operator のバージョンによって満たされる可能性があります。たとえば、Operator のバージョン 1.2stable および fast チャネルの両方に存在する可能性があります。

それぞれのパッケージにはデフォルトのチャネルがあり、これは常にデフォルト以外のチャネルよりも優先されます。デフォルトチャネルのオプションが依存関係を満たさない場合には、オプションは、チャネル名の辞書式順序 (lexicographic order) で残りのチャネルから検討されます。

2.4.4.5.3. チャネル内での順序

ほとんどの場合、単一のチャネル内に依存関係を満たすオプションが複数あります。たとえば、1 つのパッケージおよびチャネルの Operator は同じセットの API を提供します。

ユーザーがサブスクリプションを作成すると、それらはどのチャネルから更新を受け取るかを示唆します。これにより、すぐにその 1 つのチャネルだけに検索が絞られます。ただし、チャネル内では、多くの Operator が依存関係を満たす可能性があります。

チャネル内では、更新グラフでより上位にある新規 Operator が優先されます。チャネルのヘッドが依存関係を満たす場合、これがまず試行されます。

2.4.4.5.4. その他の制約

OLM には、パッケージの依存関係で指定される制約のほかに、必要なユーザーの状態を表し、常にメンテナンスする必要のある依存関係の解決を適用するための追加の制約が含まれます。

2.4.4.5.4.1. サブスクリプションの制約

サブスクリプションの制約は、サブスクリプションを満たすことのできる Operator のセットをフィルターします。サブスクリプションは、依存関係リゾルバーに関するユーザー指定の制約です。それらは、クラスター上にない場合は新規 Operator をインストールすることを宣言するか、既存 Operator の更新された状態を維持することを宣言します。

2.4.4.5.4.2. パッケージの制約

namespace 内では、2 つの Operator が同じパッケージから取得されることはありません。

2.4.4.6. CRD のアップグレード

OLM は、単一のクラスターサービスバージョン (CSV) によって所有されている場合にはカスタムリソース定義 (CRD) をすぐにアップグレードします。CRD が複数の CSV によって所有されている場合、CRD は、以下の後方互換性の条件のすべてを満たす場合にアップグレードされます。

  • 現行 CRD の既存の有効にされたバージョンすべてが新規 CRD に存在する。
  • 検証が新規 CRD の検証スキーマに対して行われる場合、CRD の提供バージョンに関連付けられる既存インスタンスまたはカスタムリソースすべてが有効である。
2.4.4.7. 依存関係のベストプラクティス

依存関係を指定する際には、ベストプラクティスを考慮する必要があります。

Operator の API または特定のバージョン範囲によって異なります。
Operator は API をいつでも追加または削除できます。Operator が必要とする API に olm.gvk 依存関係を常に指定できます。これの例外は、olm.package 制約を代わりに指定する場合です。
最小バージョンの設定

API の変更に関する Kubernetes ドキュメントでは、Kubernetes 形式の Operator で許可される変更を説明しています。これらのバージョン管理規則により、Operator は API バージョンに後方互換性がある限り、API バージョンに影響を与えずに API を更新することができます。

Operator の依存関係の場合、依存関係の API バージョンを把握するだけでは、依存する Operator が確実に意図された通りに機能することを確認できないことを意味します。

以下に例を示します。

  • TestOperator v1.0.0 は、v1alpha1 API バージョンの MyObject リソースを提供します。
  • TestOperator v1.0.1 は新しいフィールド spec.newfieldMyObject に追加しますが、v1alpha1 のままになります。

Operator では、spec.newfieldMyObject リソースに書き込む機能が必要になる場合があります。olm.gvk 制約のみでは、OLM で TestOperator v1.0.0 ではなく TestOperator v1.0.1 が必要であると判断することはできません。

可能な場合には、API を提供する特定の Operator が事前に分かっている場合、最小値を設定するために追加の olm.package 制約を指定します。

最大バージョンを省略するか、幅広いバージョンを許可します。

Operator は API サービスや CRD などのクラスタースコープのリソースを提供するため、依存関係に小規模な範囲を指定する Operator は、その依存関係の他のコンシューマーの更新に不要な制約を加える可能性があります。

可能な場合は、最大バージョンを設定しないでください。または、他の Operator との競合を防ぐために、幅広いセマンティクスの範囲を設定します。例: >1.0.0 <2.0.0

従来のパッケージマネージャーとは異なり、Operator の作成者は更新が OLM のチャネルで更新を安全に行われるように Operator を明示的にエンコードします。更新が既存のサブスクリプションで利用可能な場合、Operator の作成者がこれが以前のバージョンから更新できることを示唆していることが想定されます。依存関係の最大バージョンを設定すると、特定の上限で不必要な切り捨てが行われることにより、作成者の更新ストリームが上書きされます。

注記

クラスター管理者は、Operator の作成者が設定した依存関係を上書きすることはできません。

ただし、回避する必要がある非互換性があることが分かっている場合は、最大バージョンを設定でき、およびこれを設定する必要があります。特定のバージョンは、バージョン範囲の構文 (例: 1.0.0 !1.2.1) で省略できます。

2.4.4.8. 依存関係に関する注意事項

依存関係を指定する際には、考慮すべき注意事項があります。

複合制約がない (AND)

現時点で、制約の間に AND 関係を指定する方法はありません。つまり、ある Operator が、所定の API を提供し、バージョン >1.1.0 を持つ別の Operator に依存するように指定することはできません。

依存関係を指定すると、以下のようになります。

dependencies:
- type: olm.package
  value:
    packageName: etcd
    version: ">3.1.0"
- type: olm.gvk
  value:
    group: etcd.database.coreos.com
    kind: EtcdCluster
    version: v1beta2
Copy to Clipboard Toggle word wrap

OLM は EtcdCluster を提供する Operator とバージョン >3.1.0 を持つ Operator の 2 つの Operator で、上記の依存関係の例の条件を満たすことができる可能性があります。その場合や、または両方の制約を満たす Operator が選択されるかどうかは、選択できる可能性のあるオプションが参照される順序によって変わります。依存関係の設定および順序のオプションは十分に定義され、理にかなったものであると考えられますが、Operator は継続的に特定のメカニズムをベースとする必要があります。

namespace 間の互換性
OLM は namespace スコープで依存関係の解決を実行します。ある namespace での Operator の更新が別の namespace の Operator の問題となる場合、更新のデッドロックが生じる可能性があります。
2.4.4.9. 依存関係解決のシナリオ例

以下の例で、プロバイダー は CRD または API サービスを "所有" する Operator です。

2.4.4.9.1. 例: 依存 API を非推奨にする

A および B は API (CRD):

  • A のプロバイダーは B によって異なる。
  • B のプロバイダーにはサブスクリプションがある。
  • B のプロバイダーは C を提供するように更新するが、B を非推奨にする。

この結果は以下のようになります。

  • B にはプロバイダーがなくなる。
  • A は機能しなくなる。

これは OLM がアップグレードストラテジーで回避するケースです。

2.4.4.9.2. 例: バージョンのデッドロック

A および B は API である:

  • A のプロバイダーは B を必要とする。
  • B のプロバイダーは A を必要とする。
  • A のプロバイダーは (A2 を提供し、B2 を必要とするように) 更新し、A を非推奨にする。
  • B のプロバイダーは (B2 を提供し、A2 を必要とするように) 更新し、B を非推奨にする。

OLM が B を同時に更新せずに A を更新しようとする場合や、その逆の場合、OLM は、新しい互換性のあるセットが見つかったとしても Operator の新規バージョンに進むことができません。

これは OLM がアップグレードストラテジーで回避するもう 1 つのケースです。

2.4.5. Operator グループ

ここでは、Red Hat OpenShift Service on AWS における Operator Lifecycle Manager (OLM) での Operator グループの使用を概説します。

2.4.5.1. Operator グループについて

Operator グループ は、OperatorGroup リソースによって定義され、マルチテナント設定を OLM でインストールされた Operator に提供します。Operator グループは、そのメンバー Operator に必要な RBAC アクセスを生成するために使用するターゲット namespace を選択します。

ターゲット namespace のセットは、クラスターサービスバージョン (CSV) の olm.targetNamespaces アノテーションに保存されるコンマ区切りの文字列によって指定されます。このアノテーションは、メンバー Operator の CSV インスタンスに適用され、それらのデプロインメントに展開されます。

2.4.5.2. Operator グループメンバーシップ

Operator は、以下の条件が true の場合に Operator グループの メンバー とみなされます。

  • Operator の CSV が Operator グループと同じ namespace にある。
  • Operator の CSV のインストールモードは Operator グループがターゲットに設定する namespace のセットをサポートする。

CSV のインストールモードは InstallModeType フィールドおよびブール値の Supported フィールドで構成されます。CSV の仕様には、4 つの固有の InstallModeTypes のインストールモードのセットを含めることができます。

Expand
表2.5 インストールモードおよびサポートされる Operator グループ
InstallModeType説明

OwnNamespace

Operator は、独自の namespace を選択する Operator グループのメンバーにすることができます。

SingleNamespace

Operator は 1 つの namespace を選択する Operator グループのメンバーにすることができます。

MultiNamespace

Operator は複数の namespace を選択する Operator グループのメンバーにすることができます。

AllNamespaces

Operator はすべての namespace を選択する Operator グループのメンバーにすることができます (設定されるターゲット namespace は空の文字列 "" です)。

注記

CSV の仕様が InstallModeType のエントリーを省略する場合、そのタイプは暗黙的にこれをサポートする既存エントリーによってサポートが示唆されない限り、サポートされないものとみなされます。

2.4.5.3. ターゲット namespace の選択

spec.targetNamespaces パラメーターを使用して Operator グループのターゲット namespace に名前を明示的に指定することができます。

apiVersion: operators.coreos.com/v1
kind: OperatorGroup
metadata:
  name: my-group
  namespace: my-namespace
spec:
  targetNamespaces:
  - my-namespace
Copy to Clipboard Toggle word wrap

または、spec.selector パラメーターでラベルセレクターを使用して namespace を指定することもできます。

apiVersion: operators.coreos.com/v1
kind: OperatorGroup
metadata:
  name: my-group
  namespace: my-namespace
spec:
  selector:
    cool.io/prod: "true"
Copy to Clipboard Toggle word wrap
重要

spec.targetNamespaces で複数の namespace をリスト表示したり、spec.selector でラベルセレクターを使用したりすることは推奨されません。Operator グループの複数のターゲット namespace のサポートは今後のリリースで取り除かれる可能性があります。

spec.targetNamespacesspec.selector の両方が定義されている場合、spec.selector は無視されます。または、spec.selectorspec.targetNamespaces の両方を省略し、global Operator グループを指定できます。これにより、すべての namespace が選択されます。

apiVersion: operators.coreos.com/v1
kind: OperatorGroup
metadata:
  name: my-group
  namespace: my-namespace
Copy to Clipboard Toggle word wrap

選択された namespace の解決済みのセットは Operator グループの status.namespaces パラメーターに表示されます。グローバル Operator グループの status.namespace には空の文字列 ("") が含まれます。これは、消費する Operator に対し、すべての namespace を監視するように示唆します。

2.4.5.4. Operator グループの CSV アノテーション

Operator グループのメンバー CSV には以下のアノテーションがあります。

Expand
アノテーション説明

olm.operatorGroup=<group_name>

Operator グループの名前が含まれます。

olm.operatorNamespace=<group_namespace>

Operator グループの namespace が含まれます。

olm.targetNamespaces=<target_namespaces>

Operator グループのターゲット namespace 選択をリスト表示するコンマ区切りの文字列が含まれます。

注記

olm.targetNamespaces 以外のすべてのアノテーションがコピーされた CSV と共に含まれます。olm.targetNamespaces アノテーションをコピーされた CSV で省略すると、テナント間のターゲット namespace の重複が回避されます。

2.4.5.5. 提供される API アノテーション

group/version/kind(GVK) は Kubernetes API の一意の識別子です。Operator グループによって提供される GVK に関する情報が olm.providedAPIs アノテーションに表示されます。アノテーションの値は、コンマで区切られた <kind>.<version>.<group> で構成される文字列です。Operator グループのすべてのアクティブメンバーの CSV によって提供される CRD および API サービスの GVK が含まれます。

PackageManifest リースを提供する単一のアクティブメンバー CSV を含む OperatorGroup オブジェクトの以下の例を確認してください。

apiVersion: operators.coreos.com/v1
kind: OperatorGroup
metadata:
  annotations:
    olm.providedAPIs: PackageManifest.v1alpha1.packages.apps.redhat.com
  name: olm-operators
  namespace: local
  ...
spec:
  selector: {}
  serviceAccountName:
    metadata:
      creationTimestamp: null
  targetNamespaces:
  - local
status:
  lastUpdated: 2019-02-19T16:18:28Z
  namespaces:
  - local
Copy to Clipboard Toggle word wrap
2.4.5.6. ロールベースのアクセス制御

Operator グループの作成時に、3 つのクラスタールールが生成されます。クラスターロールが生成されると、各クラスターロールが一意になるように、ハッシュ値が自動的に末尾に付加されます。各 Operator グループには、次の表に示すように、ラベルに一致するように設定されたクラスターロールセレクターを持つ 1 つの集約ルールが含まれています。

Expand
クラスターロール一致するラベル

olm.og.<operatorgroup_name>-admin-<hash_value>

olm.opgroup.permissions/aggregate-to-admin: <operatorgroup_name>

olm.og.<operatorgroup_name>-edit-<hash_value>

olm.opgroup.permissions/aggregate-to-edit: <operatorgroup_name>

olm.og.<operatorgroup_name>-view-<hash_value>

olm.opgroup.permissions/aggregate-to-view: <operatorgroup_name>

注記

Operator グループのクラスターロールを使用してリソースにロールベースのアクセス制御 (RBAC) を割り当てるには、次のコマンドを実行して、クラスターロールの完全な名前とハッシュ値を取得します。

$ oc get clusterroles | grep <operatorgroup_name>
Copy to Clipboard Toggle word wrap

ハッシュ値は Operator グループの作成時に生成されるため、クラスターロールの完全な名前を検索するには、先に Operator グループを作成する必要があります。

以下の RBAC リソースは、CSV が AllNamespaces インストールモードのあるすべての namespace を監視しており、理由が InterOperatorGroupOwnerConflict の失敗状態にない限り、CSV が Operator グループのアクティブメンバーになる際に生成されます。

  • CRD からの各 API リソースのクラスターロール
  • API サービスからの各 API リソースのクラスターロール
  • 追加のロールおよびロールバインディング
Expand
表2.6 CRD からの各 API リソース用に生成されたクラスターロール
クラスターロール設定

<kind>.<group>-<version>-admin

<kind> の動詞

  • *

集計ラベル:

  • rbac.authorization.k8s.io/aggregate-to-admin: true
  • olm.opgroup.permissions/aggregate-to-admin: <operatorgroup_name>

<kind>.<group>-<version>-edit

<kind> の動詞

  • create
  • update
  • patch
  • delete

集計ラベル:

  • rbac.authorization.k8s.io/aggregate-to-edit: true
  • olm.opgroup.permissions/aggregate-to-edit: <operatorgroup_name>

<kind>.<group>-<version>-view

<kind> の動詞

  • get
  • list
  • watch

集計ラベル:

  • rbac.authorization.k8s.io/aggregate-to-view: true
  • olm.opgroup.permissions/aggregate-to-view: <operatorgroup_name>

<kind>.<group>-<version>-view-crdview

Verbs on apiextensions.k8s.io customresourcedefinitions <crd-name>:

  • get

集計ラベル:

  • rbac.authorization.k8s.io/aggregate-to-view: true
  • olm.opgroup.permissions/aggregate-to-view: <operatorgroup_name>
Expand
表2.7 API サービスから各 API リソース用に生成されたクラスターロール
クラスターロール設定

<kind>.<group>-<version>-admin

<kind> の動詞

  • *

集計ラベル:

  • rbac.authorization.k8s.io/aggregate-to-admin: true
  • olm.opgroup.permissions/aggregate-to-admin: <operatorgroup_name>

<kind>.<group>-<version>-edit

<kind> の動詞

  • create
  • update
  • patch
  • delete

集計ラベル:

  • rbac.authorization.k8s.io/aggregate-to-edit: true
  • olm.opgroup.permissions/aggregate-to-edit: <operatorgroup_name>

<kind>.<group>-<version>-view

<kind> の動詞

  • get
  • list
  • watch

集計ラベル:

  • rbac.authorization.k8s.io/aggregate-to-view: true
  • olm.opgroup.permissions/aggregate-to-view: <operatorgroup_name>

追加のロールおよびロールバインディング

  • CSV が * が含まれる 1 つのターゲット namespace を定義する場合、クラスターロールと対応するクラスターロールバインディングが CSV の permissions フィールドに定義されるパーミッションごとに生成されます。生成されたすべてのリソースには olm.owner: <csv_name> および olm.owner.namespace: <csv_namespace> ラベルが付与されます。
  • CSV が * が含まれる 1 つのターゲット namespace を定義 しない 場合、olm.owner: <csv_name> および olm.owner.namespace: <csv_namespace> ラベルの付いた Operator namespace にあるすべてのロールおよびロールバインディングがターゲット namespace にコピーされます。
2.4.5.7. コピーされる CSV

OLM は、それぞれの Operator グループのターゲット namespace の Operator グループのすべてのアクティブな CSV のコピーを作成します。コピーされる CSV の目的は、ユーザーに対して、特定の Operator が作成されるリソースを監視するように設定されたターゲット namespace を通知することにあります。

コピーされる CSV にはステータスの理由 Copied があり、それらのソース CSV のステータスに一致するように更新されます。olm.targetNamespaces アノテーションは、クラスター上でコピーされる CSV が作成される前に取られます。ターゲット namespace 選択を省略すると、テナント間のターゲット namespace の重複が回避されます。

コピーされる CSV はそれらのソース CSV が存在しなくなるか、それらのソース CSV が属する Operator グループが、コピーされた CSV の namespace をターゲットに設定しなくなると削除されます。

注記

デフォルトでは、disableCopiedCSVs フィールドは無効になっています。disableCopiedCSVs フィールドを有効にすると、OLM はクラスター上の既存のコピーされた CSV を削除します。disableCopiedCSVs フィールドが無効になると、OLM はコピーされた CSV を再度追加します。

  • disableCopiedCSVs フィールドを無効にします。

    $ cat << EOF | oc apply -f -
    apiVersion: operators.coreos.com/v1
    kind: OLMConfig
    metadata:
      name: cluster
    spec:
      features:
        disableCopiedCSVs: false
    EOF
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  • disableCopiedCSVs フィールドを有効にします。

    $ cat << EOF | oc apply -f -
    apiVersion: operators.coreos.com/v1
    kind: OLMConfig
    metadata:
      name: cluster
    spec:
      features:
        disableCopiedCSVs: true
    EOF
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
2.4.5.8. 静的 Operator グループ

Operator グループはその spec.staticProvidedAPIs フィールドが true に設定されると 静的 になります。その結果、OLM は Operator グループの olm.providedAPIs アノテーションを変更しません。つまり、これを事前に設定することができます。これは、ユーザーが Operator グループを使用して namespace のセットでリソースの競合を防ぐ必要がある場合で、それらのリソースの API を提供するアクティブなメンバーの CSV がない場合に役立ちます。

以下は、something.cool.io/cluster-monitoring: "true" アノテーションのあるすべての namespace の Prometheus リソースを保護する Operator グループの例です。

apiVersion: operators.coreos.com/v1
kind: OperatorGroup
metadata:
  name: cluster-monitoring
  namespace: cluster-monitoring
  annotations:
    olm.providedAPIs: Alertmanager.v1.monitoring.coreos.com,Prometheus.v1.monitoring.coreos.com,PrometheusRule.v1.monitoring.coreos.com,ServiceMonitor.v1.monitoring.coreos.com
spec:
  staticProvidedAPIs: true
  selector:
    matchLabels:
      something.cool.io/cluster-monitoring: "true"
Copy to Clipboard Toggle word wrap
2.4.5.9. Operator グループの交差部分

2 つの Operator グループは、それらのターゲット namespace セットの交差部分が空のセットではなく、olm.providedAPIs アノテーションで定義されるそれらの指定 API セットの交差部分が空のセットではない場合に、交差部分のある指定 API があると見なされます。

これによって生じ得る問題として、交差部分のある指定 API を持つ複数の Operator グループは、一連の交差部分のある namespace で同じリソースに関して競合関係になる可能性があります。

注記

交差ルールを確認すると、Operator グループの namespace は常に選択されたターゲット namespace の一部として組み込まれます。

2.4.5.9.1. 交差のルール

アクティブメンバーの CSV が同期する際はいつでも、OLM はクラスターで、CSV の Operator グループとそれ以外のすべての間での交差部分のある指定 API のセットをクエリーします。その後、OLM はそのセットが空のセットであるかどうかを確認します。

  • true であり、CSV の指定 API が Operator グループのサブセットである場合:

    • 移行を継続します。
  • true であり、CSV の指定 API が Operator グループのサブセット ではない 場合:

    • Operator グループが静的である場合:

      • CSV に属するすべてのデプロイメントをクリーンアップします。
      • ステータスの理由 CannotModifyStaticOperatorGroupProvidedAPIs のある失敗状態に CSV を移行します。
    • Operator グループが静的 ではない 場合:

      • Operator グループの olm.providedAPIs アノテーションを、それ自体と CSV の指定 API の集合に置き換えます。
  • false であり、CSV の指定 API が Operator グループのサブセット ではない 場合:

    • CSV に属するすべてのデプロイメントをクリーンアップします。
    • ステータスの理由 InterOperatorGroupOwnerConflict のある失敗状態に CSV を移行します。
  • false であり、CSV の指定 API が Operator グループのサブセットである場合:

    • Operator グループが静的である場合:

      • CSV に属するすべてのデプロイメントをクリーンアップします。
      • ステータスの理由 CannotModifyStaticOperatorGroupProvidedAPIs のある失敗状態に CSV を移行します。
    • Operator グループが静的 ではない 場合:

      • Operator グループの olm.providedAPIs アノテーションを、それ自体と CSV の指定 API 間の差異部分に置き換えます。
注記

Operator グループによって生じる失敗状態は非終了状態です。

以下のアクションは、Operator グループが同期するたびに実行されます。

  • アクティブメンバーの CSV の指定 API のセットは、クラスターから計算されます。コピーされた CSV は無視されることに注意してください。
  • クラスターセットは olm.providedAPIs と比較され、olm.providedAPIs に追加の API が含まれる場合は、それらの API がプルーニングされます。
  • すべての namespace で同じ API を提供するすべての CSV は再びキューに入れられます。これにより、交差部分のあるグループ間の競合する CSV に対して、それらの競合が競合する CSV のサイズ変更または削除のいずれかによって解決されている可能性があることが通知されます。
2.4.5.10. マルチテナント Operator 管理の制限事項

Red Hat OpenShift Service on AWS では、同じクラスターに異なる Operator のバージョンを同時にインストールした場合、サポートが限定的になります。Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Operator を異なる namespace に複数回インストールします。その 1 つの制約として、Operator の API バージョンは同じである必要があります。

Operator は、Kubernetes のグローバルリソースである CustomResourceDefinition オブジェクト (CRD) を使用するため、コントロールプレーンの拡張機能です。多くの場合、Operator の異なるメジャーバージョンには互換性のない CRD があります。これにより、クラスター上の異なる namespace に同時にインストールするのに互換性がなくなります。

すべてのテナントまたは namespace がクラスターの同じコントロールプレーンを共有します。したがって、マルチテナントクラスター内のテナントはグローバル CRD も共有するため、同じクラスターで同じ Operator の異なるインスタンスを並行して使用できるシナリオが制限されます。

サポートされているシナリオは次のとおりです。

  • まったく同じ CRD 定義を提供する異なるバージョンの Operator (バージョン管理された CRD の場合は、まったく同じバージョンのセット)
  • CRD を同梱せず、代わりに OperatorHub の別のバンドルで CRD を利用できる異なるバージョンの Operator

他のすべてのシナリオはサポートされていません。これは、異なる Operator バージョンからの複数の競合または重複する CRD が同じクラスター上で調整される場合、クラスターデータの整合性が保証されないためです。

2.4.5.11. Operator グループのトラブルシューティング
2.4.5.11.1. メンバーシップ
  • インストールプランの namespace には、Operator グループを 1 つだけ含める必要があります。namespace でクラスターサービスバージョン (CSV) を生成しようとすると、インストールプランでは、以下のシナリオの Operator グループが無効であると見なされます。

    • インストールプランの namespace に Operator グループが存在しない。
    • インストールプランの namespace に複数の Operator グループが存在する。
    • Operator グループに、正しくないサービスアカウント名または存在しないサービスアカウント名が指定されている。

    インストールプランで無効な Operator グループが検出された場合には、CSV は生成されず、InstallPlan リソースは関連するメッセージを出力して、インストールを続行します。たとえば、複数の Operator グループが同じ namespace に存在する場合に以下のメッセージが表示されます。

    attenuated service account query failed - more than one operator group(s) are managing this namespace count=2
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    ここでは、count= は、namespace 内の Operator グループの数を指します。

  • CSV のインストールモードがその namespace で Operator グループのターゲット namespace 選択をサポートしない場合、CSV は UnsupportedOperatorGroup の理由で失敗状態に切り替わります。この理由で失敗した状態にある CSV は、Operator グループのターゲット namespace の選択がサポートされる設定に変更されるか、CSV のインストールモードがターゲット namespace 選択をサポートするように変更される場合に、保留状態に切り替わります。

2.4.6. マルチテナント対応と Operator のコロケーション

このガイドでは、Operator Lifecycle Manager (OLM) のマルチテナント対応と Operator のコロケーションを説明します。

2.4.6.1. namespace 内での Operator コロケーション

Operator Lifecycle Manager (OLM) は、同じ namespace にインストールされている OLM 管理 Operator を処理します。つまり、それらの Subscription リソースは、関連する Operator として同じ namespace に配置されます。それらが実際には関連していなくても、いずれかが更新されると、OLM はバージョンや更新ポリシーなどの状態を考慮します。

このデフォルトの動作は、次の 2 つの方法で現れます。

  • 保留中の更新の InstallPlan リソースには、同じ namespace にある他のすべての Operator の ClusterServiceVersion (CSV) リソースが含まれます。
  • 同じ namespace 内のすべての Operator は、同じ更新ポリシーを共有します。たとえば、1 つの Operator が手動更新に設定されている場合は、他のすべての Operator の更新ポリシーも手動に設定されます。

これらのシナリオは、次の問題につながる可能性があります。

  • 更新された Operator だけでなく、より多くのリソースが定義されているため、Operator 更新のインストール計画を推論するのは難しくなります。
  • namespace 内の一部の Operator を自動で更新し、他の Operator を手動で更新するという、多くのクラスター管理者が求めていることが不可能になります。

通常、これらの問題が明らかになるのは、Red Hat OpenShift Service on AWS を使用して Operator をインストールするときに、デフォルトの動作により、All namespaces インストールモードをサポートする Operator が、デフォルトの openshift-operators グローバル namespace にインストールされるためです。

クラスター管理者は、次のワークフローを使用して、このデフォルトの動作を手動でバイパスできます。

  1. Operator のインストール用の namespace を作成します。
  2. すべての namespace を監視する Operator グループである、カスタム グローバル Operator グループ を作成します。この Operator グループを作成した namespace に関連付けることで、インストール namespace がグローバル namespace になり、そこにインストールされた Operator がすべての namespace で使用できるようになります。
  3. 必要な Operator をインストール namespace にインストールします。

Operator に依存関係がある場合、依存関係は事前に作成された namespace に自動的にインストールされます。その結果、依存関係 Operator が同じ更新ポリシーと共有インストールプランを持つことが有効になります。詳細な手順は、「カスタム namespace へのグローバル Operator のインストール」を参照してください。

2.4.7. Operator 条件

以下では、Operator Lifecycle Manager (OLM) による Operator 条件の使用方法を説明します。

2.4.7.1. Operator 条件について

Operator のライフサイクル管理のロールの一部として、Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Operator を定義する Kubernetes リソースの状態から Operator の状態を推測します。このアプローチでは、Operator が特定の状態にあることをある程度保証しますが、推測できない情報を Operator が OLM と通信して提供する必要がある場合も多々あります。続いて、OLM がこの情報を使用して、Operator のライフサイクルをより適切に管理することができます。

OLM は、Operator が OLM に条件を通信できる OperatorCondition というカスタムリソース定義 (CRD) を提供します。OperatorCondition リソースの Spec.Conditions 配列にある場合に、OLM による Operator の管理に影響するサポートされる条件のセットがあります。

注記

デフォルトでは、Spec.Conditions 配列は、ユーザーによって追加されるか、カスタム Operator ロジックの結果として追加されるまで、OperatorCondition オブジェクトに存在しません。

2.4.7.2. サポートされる条件

Operator Lifecycle Manager (OLM) は、以下の Operator 条件をサポートします。

2.4.7.2.1. アップグレード可能な条件

Upgradeable Operator 条件は、既存のクラスターサービスバージョン (CSV) が、新規の CSV バージョンに置き換えられることを阻止します。この条件は、以下の場合に役に立ちます。

  • Operator が重要なプロセスを開始するところで、プロセスが完了するまでアップグレードしてはいけない場合
  • Operator が、Operator のアップグレードの準備ができる前に完了する必要のあるカスタムリソース (CR) の移行を実行している場合
重要

Upgradeable Operator の条件を False 値に設定しても、Pod の中断は回避できません。Pod が中断されないようにする必要がある場合は、「追加リソース」セクションの「Pod 中断バジェットを使用して稼働させなければならない Pod の数を指定する」と「正常な終了」を参照してください。

Upgradeable Operator 条件の例

apiVersion: operators.coreos.com/v1
kind: OperatorCondition
metadata:
  name: my-operator
  namespace: operators
spec:
  conditions:
  - type: Upgradeable 
1

    status: "False" 
2

    reason: "migration"
    message: "The Operator is performing a migration."
    lastTransitionTime: "2020-08-24T23:15:55Z"
Copy to Clipboard Toggle word wrap

1
条件の名前。
2
False 値は、Operator のアップグレードの準備ができていないことを示します。OLM は、Operator の既存の CSV を置き換える CSV が Pending フェーズでなくなることを阻止します。False 値はクラスターのアップグレードをブロックしません。

2.4.8. Operator Lifecycle Manager メトリクス

2.4.8.1. 公開されるメトリクス

Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Prometheus ベースの Red Hat OpenShift Service on AWS クラスターモニタリングスタックで使用される特定の OLM 固有のリソースを公開します。

Expand
表2.8 OLM によって公開されるメトリクス
名前説明

catalog_source_count

カタログソースの数。

catalogsource_ready

カタログソースの状態。値 1 は、カタログソースが READY 状態であることを示します。値 0 は、カタログソースが READY 状態ではないことを示します。

csv_abnormal

クラスターサービスバージョン (CSV) を調整する際に、(インストールされていない場合など) CSV バージョンが Succeeded 以外の状態にあることを表します。namenamespacephasereason、および version ラベルが含まれます。Prometheus アラートは、このメトリクスが存在する場合に作成されます。

csv_count

正常に登録された CSV の数。

csv_succeeded

CSV を調整する際に、CSV バージョンが Succeeded 状態 (値 1) にあるか、そうでないか (値 0) を表します。namenamespace、および version ラベルが含まれます。

csv_upgrade_count

CSV アップグレードの単調 (monotonic) カウント。

install_plan_count

インストール計画の数。

installplan_warnings_total

インストール計画に含まれる非推奨のリソースなど、リソースによって生成される警告の個数。

olm_resolution_duration_seconds

依存関係解決の試行期間。

subscription_count

サブスクリプションの数。

subscription_sync_total

サブスクリプション同期の単調 (monotonic) カウント。channelinstalled CSV、およびサブスクリプション name ラベルが含まれます。

2.4.9. Operator Lifecycle Manager での Webhook の管理

Webhook により、リソースがオブジェクトストアに保存され、Operator コントローラーによって処理される前に、Operator の作成者はリソースのインターセプト、変更、許可、および拒否を実行することができます。Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Operator と共に提供される際にこれらの Webhook のライフサイクルを管理できます。

2.5. OperatorHub について

2.5.1. OperatorHub について

OperatorHub は Red Hat OpenShift Service on AWS の Web コンソールインターフェイスです。クラスター管理者はこれを使用して Operator を検出し、インストールします。1 回のクリックで、Operator をクラスター外のソースからプルし、クラスター上でインストールおよびサブスクライブして、エンジニアリングチームが Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用してデプロイメント環境全体で製品をセルフサービスで管理される状態にすることができます。

クラスター管理者は、以下のカテゴリーにグループ化されたカタログから選択することができます。

Expand
カテゴリー説明

Red Hat Operator

Red Hat によってパッケージ化され、出荷される Red Hat 製品。Red Hat によってサポートされます。

認定 Operator

大手独立系ソフトウェアベンダー (ISV) の製品。Red Hat は ISV とのパートナーシップにより、パッケージ化および出荷を行います。ISV によってサポートされます。

コミュニティー Operator

redhat-openshift-ecosystem/community-operators-prod/operators GitHub リポジトリーで関連する担当者によって保守されているオプションで表示可能なソフトウェア。正式なサポートはありません。

カスタム Operator

各自でクラスターに追加する Operator。カスタム Operator を追加していない場合、カスタム カテゴリーは Web コンソールの OperatorHub 上に表示されません。

OperatorHub の Operator は OLM で実行されるようにパッケージ化されます。これには、Operator のインストールおよびセキュアな実行に必要なすべての CRD、RBAC ルール、デプロイメント、およびコンテナーイメージが含まれるクラスターサービスバージョン (CSV) という YAML ファイルが含まれます。また、機能の詳細やサポートされる Kubernetes バージョンなどのユーザーに表示される情報も含まれます。

2.5.2. OperatorHub アーキテクチャー

OperatorHub UI コンポーネントは、デフォルトで、Red Hat OpenShift Service on AWS の openshift-marketplace namespace で Marketplace Operator によって実行されます。

2.5.2.1. OperatorHub カスタムリソース

Marketplace Operator は、OperatorHub で提供されるデフォルトの CatalogSource オブジェクトを管理する cluster という名前の OperatorHub カスタムリソース (CR) を管理します。このリソースを変更して、デフォルトのカタログを有効または無効にすることができます。これは、制限されたネットワーク環境で Red Hat OpenShift Service on AWS を設定する場合に便利です。

OperatorHub カスタムリースの例

apiVersion: config.openshift.io/v1
kind: OperatorHub
metadata:
  name: cluster
spec:
  disableAllDefaultSources: true 
1

  sources: [ 
2

    {
      name: "community-operators",
      disabled: false
    }
  ]
Copy to Clipboard Toggle word wrap

1
disableAllDefaultSources は、Red Hat OpenShift Service on AWS のインストール中にデフォルトで設定されるすべてのデフォルトカタログの可用性を制御するオーバーライドです。
2
ソースごとに disabled パラメーター値を変更して、デフォルトのカタログを個別に無効にします。

2.6. Red Hat が提供する Operator カタログ

Red Hat は、Red Hat OpenShift Service on AWS にデフォルトで含まれる複数の Operator カタログを提供します。

重要

Red Hat OpenShift Service on AWS 4.11 の時点で、デフォルトの Red Hat が提供する Operator カタログは、ファイルベースのカタログ形式でリリースされます。Red Hat OpenShift Service on AWS 4.6 から 4.10 までのデフォルトの Red Hat が提供する Operator カタログは、非推奨の SQLite データベース形式でリリースされました。

opm サブコマンド、フラグ、および SQLite データベース形式に関連する機能も非推奨となり、今後のリリースで削除されます。機能は引き続きサポートされており、非推奨の SQLite データベース形式を使用するカタログに使用する必要があります。

opm index prune などの SQLite データベース形式を使用する opm サブコマンドおよびフラグの多くは、ファイルベースのカタログ形式では機能しません。ファイルベースのカタログを使用する方法の詳細は、カスタムカタログの管理 および Operator Framework パッケージ形式 を参照してください。

2.6.1. Operator カタログについて

Operator カタログは、Operator Lifecycle Manager (OLM) がクエリーを行い、Operator およびそれらの依存関係をクラスターで検出し、インストールできるメタデータのリポジトリーです。OLM は最新バージョンのカタログから Operator を常にインストールします。

Operator Bundle Format に基づくインデックスイメージは、カタログのコンテナー化されたスナップショットです。これは、Operator マニフェストコンテンツのセットへのポインターのデータベースが含まれるイミュータブルなアーティファクトです。カタログはインデックスイメージを参照し、クラスター上の OLM のコンテンツを調達できます。

カタログが更新されると、Operator の最新バージョンが変更され、それ以前のバージョンが削除または変更される可能性があります。また、制限されたネットワーク環境の Red Hat OpenShift Service on AWS クラスター上で OLM が実行されている場合、インターネットからカタログに直接アクセスして最新のコンテンツをプルすることはできません。

クラスター管理者は、Red Hat が提供するカタログをベースとして使用して、またはゼロから独自のカスタムインデックスイメージを作成できます。これを使用して、クラスターのカタログコンテンツを調達できます。独自のインデックスイメージの作成および更新により、クラスターで利用可能な Operator のセットをカスタマイズする方法が提供され、また前述のネットワークが制限された環境の問題を回避することができます。

重要

Kubernetes は定期的に特定の API を非推奨とし、後続のリリースで削除します。そのため、Red Hat OpenShift Service on AWS のバージョンで、API が削除された Kubernetes バージョンが採用されると、Operator がその API を使用できなくなります。

注記

Operator のレガシー パッケージマニフェスト形式 (レガシー形式を使用していたカスタムカタログを含む) のサポートは、Red Hat OpenShift Service on AWS 4.8 以降で削除されました。

カスタムカタログイメージを作成する場合、Red Hat OpenShift Service on AWS 4 の以前のバージョンでは oc adm catalog build コマンドを使用する必要がありました。このコマンドはいくつかのリリースで非推奨となり、現在は削除されています。Red Hat OpenShift Service on AWS 4.6 以降、Red Hat 提供のインデックスイメージが利用可能になったため、カタログ作成者は opm index コマンドを使用してインデックスイメージを管理する必要があります。

2.6.2. Red Hat が提供する Operator カタログについて

Red Hat が提供するカタログソースは、デフォルトで openshift-marketplace namespace にインストールされます。これにより、すべての namespace でクラスター全体でカタログを利用できるようになります。

以下の Operator カタログは Red Hat によって提供されます。

Expand
Catalogインデックスイメージ説明

redhat-operators

registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4

Red Hat によってパッケージ化され、出荷される Red Hat 製品。Red Hat によってサポートされます。

certified-operators

registry.redhat.io/redhat/certified-operator-index:v4

大手独立系ソフトウェアベンダー (ISV) の製品。Red Hat は ISV とのパートナーシップにより、パッケージ化および出荷を行います。ISV によってサポートされます。

community-operators

registry.redhat.io/redhat/community-operator-index:v4

redhat-openshift-ecosystem/community-operators-prod/operators GitHub リポジトリーで、関連する担当者によって保守されているソフトウェア。正式なサポートはありません。

クラスターのアップグレード時に、Red Hat が提供するデフォルトのカタログソースのインデックスイメージのタグは、Operator Lifecycle Manager (OLM) が最新版のカタログをプルするように、Cluster Version Operator (CVO) により自動更新されます。たとえば、Red Hat OpenShift Service on AWS 4.8 から 4.9 へのアップグレード時に、redhat-operators カタログの CatalogSource オブジェクトの spec.image フィールドは次のように更新されます。

registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.8
Copy to Clipboard Toggle word wrap

更新後は次のようになります。

registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.9
Copy to Clipboard Toggle word wrap

2.7. マルチテナントクラスター内の Operator

Operator Lifecycle Manager (OLM) のデフォルトの動作は、Operator のインストール時に簡素化することを目的としています。ただし、この動作は、特にマルチテナントクラスターでは柔軟性に欠ける場合があります。Red Hat OpenShift Service on AWS クラスター上の複数のテナントが Operator を使用するには、OLM のデフォルトの動作では、管理者が Operator を All namespaces モードでインストールする必要がありますが、これは最小特権の原則に違反すると考えられます。

以下のシナリオを考慮して、環境と要件に最適な Operator インストールワークフローを決定してください。

2.7.1. デフォルトの Operator インストールモードと動作

管理者として Web コンソールを使用して Operator をインストールする場合、通常、Operator の機能に応じて、インストールモードに 2 つの選択肢があります。

単一の namespace
選択した単一の namespace に Operator をインストールし、Operator が要求するすべての権限をその namespace で使用できるようにします。
すべての namespace
デフォルトの openshift-operators namespace で Operator をインストールし、クラスターのすべての namespace を監視し、Operator をこれらの namespace に対して利用可能にします。Operator が要求するすべてのアクセス許可をすべての namespace で使用できるようにします。場合によっては、Operator の作成者はメタデータを定義して、その Operator が提案する namespace の 2 番目のオプションをユーザーに提供できます。

この選択は、影響を受ける namespace のユーザーが、namespace でのロールに応じて、所有するカスタムリソース (CR) を活用できる Operators API にアクセスできることも意味します。

  • namespace-admin および namespace-edit ロールは、Operator API の読み取り/書き込みが可能です。つまり、Operator API を使用できます。
  • namespace-view ロールは、その Operator の CR オブジェクトを読み取ることができます。

Single namespace モードの場合、Operator 自体が選択した namespace にインストールされるため、その Pod とサービスアカウントもそこに配置されます。All namespaces モードの場合、Operator の権限はすべて自動的にクラスターロールに昇格されます。つまり、Operator はすべての namespace でこれらの権限を持ちます。

2.7.2. マルチテナントクラスターの推奨ソリューション

Multinamespace インストールモードは存在しますが、サポートされている Operator はほとんどありません。標準 All namespacesSingle namespace インストールモードの中間的なソリューションとして、次のワークフローを使用して、テナントごとに 1 つずつ、同じ Operator の複数のインスタンスをインストールできます。

  1. テナントの namespace とは別のテナント Operator の namespace を作成します。
  2. テナントの namespace のみを対象とするテナント Operator の Operator グループを作成します。
  3. テナント Operator namespace に Operator をインストールします。

その結果、Operator はテナントの Operator namespace に存在し、テナントの namespace を監視しますが、Operator の Pod もそのサービスアカウントも、テナントによって表示または使用できません。

このソリューションは、より優れたテナント分離、リソースの使用を犠牲にした最小特権の原則、および制約が確実に満たされるようにするための追加のオーケストレーションを提供します。詳細な手順は、「マルチテナントクラスター用の Operator の複数インスタンスの準備」を参照してください。

制限および考慮事項

このソリューションは、次の制約が満たされている場合にのみ機能します。

  • 同じ Operator のすべてのインスタンスは、同じバージョンである必要があります。
  • Operator は、他の Operator に依存することはできません。
  • Operator は CRD 変換 Webhook を出荷できません。
重要

同じクラスターで同じ Operator の異なるバージョンを使用することはできません。最終的に、Operator の別のインスタンスのインストールは、以下の条件を満たす場合にブロックされます。

  • インスタンスは Operator の最新バージョンではありません。
  • インスタンスは、クラスターですでに使用されている新しいリビジョンに含まれる情報またはバージョンを欠いている CRD の古いリビジョンを出荷します。
警告

「非クラスター管理者による Operator のインストールの許可」で説明されているように、非クラスター管理者が自給自足で Operator をインストールできるようにする場合は、管理者として注意してください。これらのテナントは、依存関係がないことがわかっている Operator の精選されたカタログにのみアクセスできる必要があります。これらのテナントは、CRD が変更されないようにするために、Operator の同じバージョンラインを使用することを強制する必要もあります。これには、ネームスペーススコープのカタログを使用し、グローバルなデフォルトカタログを無効にする必要があります。

2.7.3. Operator のコロケーションと Operator グループ

Operator Lifecycle Manager (OLM) は、同じ namespace にインストールされている OLM 管理 Operator を処理します。つまり、それらの Subscription リソースは、関連する Operator として同じ namespace に配置されます。それらが実際には関連していなくても、いずれかが更新されると、OLM はバージョンや更新ポリシーなどの状態を考慮します。

Operator のコロケーションと Operator グループの効果的な使用の詳細は、Operator Lifecycle Manager (OLM) → マルチテナント対応と Operator のコロケーション を参照してください。

2.8. CRD

2.8.1. カスタムリソース定義からのリソースの管理

以下では、開発者がカスタムリソース定義 (CRD) にあるカスタムリソース (CR) をどのように管理できるかを説明します。

2.8.1.1. カスタムリソース定義

Kubernetes API では、リソース は特定の種類の API オブジェクトのコレクションを保管するエンドポイントです。たとえば、ビルトインされた Pods リソースには、Pod オブジェクトのコレクションが含まれます。

カスタムリソース定義 (CRD) オブジェクトは、クラスター内に新規の固有オブジェクト kind を定義し、Kubernetes API サーバーにそのライフサイクル全体を処理させます。

カスタムリソース (CR) オブジェクトは、クラスター管理者によってクラスターに追加された CRD から作成され、すべてのクラスターユーザーが新規リソースタイプをプロジェクトに追加できるようにします。

Operator はとりわけ CRD を必要な RBAC ポリシーおよび他のソフトウェア固有のロジックでパッケージ化することで CRD を利用します。

2.8.1.2. ファイルからのカスタムリソースの作成

カスタムリソース定義 (CRD) がクラスターに追加された後に、クラスターリソース (CR) は CR 仕様を使用するファイルを使って CLI で作成できます。

手順

  1. CR の YAML ファイルを作成します。以下の定義例では、cronSpecimage のカスタムフィールドが Kind: CronTab の CR に設定されます。この Kind は、CRD オブジェクトの spec.kind フィールドから取得されます。

    CR の YAML ファイルサンプル

    apiVersion: "stable.example.com/v1" 
    1
    
    kind: CronTab 
    2
    
    metadata:
      name: my-new-cron-object 
    3
    
      finalizers: 
    4
    
      - finalizer.stable.example.com
    spec: 
    5
    
      cronSpec: "* * * * /5"
      image: my-awesome-cron-image
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    1
    CRD からグループ名および API バージョン (name/version) を指定します。
    2
    CRD にタイプを指定します。
    3
    オブジェクトの名前を指定します。
    4
    オブジェクトの ファイナライザー を指定します (ある場合)。ファイナライザーは、コントローラーがオブジェクトの削除前に完了する必要のある条件を実装できるようにします。
    5
    オブジェクトのタイプに固有の条件を指定します。
  2. ファイルの作成後に、オブジェクトを作成します。

    $ oc create -f <file_name>.yaml
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
2.8.1.3. カスタムリソースの検査

CLI を使用してクラスターに存在するカスタムリソース (CR) オブジェクトを検査できます。

前提条件

  • CR オブジェクトがアクセスできる namespace にあること。

手順

  1. CR の特定の kind に関する情報を取得するには、以下を実行します。

    $ oc get <kind>
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    以下に例を示します。

    $ oc get crontab
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    出力例

    NAME                 KIND
    my-new-cron-object   CronTab.v1.stable.example.com
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    リソース名では大文字と小文字が区別されず、CRD で定義される単数形または複数形のいずれか、および任意の短縮名を指定できます。以下に例を示します。

    $ oc get crontabs
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
    $ oc get crontab
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
    $ oc get ct
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  2. CR の未加工の YAML データを確認することもできます。

    $ oc get <kind> -o yaml
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    以下に例を示します。

    $ oc get ct -o yaml
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    出力例

    apiVersion: v1
    items:
    - apiVersion: stable.example.com/v1
      kind: CronTab
      metadata:
        clusterName: ""
        creationTimestamp: 2017-05-31T12:56:35Z
        deletionGracePeriodSeconds: null
        deletionTimestamp: null
        name: my-new-cron-object
        namespace: default
        resourceVersion: "285"
        selfLink: /apis/stable.example.com/v1/namespaces/default/crontabs/my-new-cron-object
        uid: 9423255b-4600-11e7-af6a-28d2447dc82b
      spec:
        cronSpec: '* * * * /5' 
    1
    
        image: my-awesome-cron-image 
    2
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    1 2
    オブジェクトの作成に使用した YAML からのカスタムデータが表示されます。

第3章 ユーザータスク

3.1. インストールされた Operator からのアプリケーションの作成

以下では、開発者を対象に、Red Hat OpenShift Service on AWS Web コンソールを使用して、インストールされた Operator からアプリケーションを作成する例を示します。

3.1.1. Operator を使用した etcd クラスターの作成

この手順では、Operator Lifecycle Manager (OLM) で管理される etcd Operator を使用した新規 etcd クラスターの作成を説明します。

前提条件

  • Red Hat OpenShift Service on AWS 4 クラスターへアクセスできる。
  • 管理者によってクラスター全体に etcd Operator がすでにインストールされている。

手順

  1. この手順を実行するために Red Hat OpenShift Service on AWS Web コンソールで新規プロジェクトを作成します。この例では、my-etcd というプロジェクトを使用します。
  2. Operators → Installed Operators ページに移動します。クラスター管理者によってクラスターにインストールされ、使用可能にされた Operator がクラスターサービスバージョン (CSV) のリストとしてここに表示されます。CSV は Operator によって提供されるソフトウェアを起動し、管理するために使用されます。

    ヒント

    以下を使用して、CLI でこのリストを取得できます。

    $ oc get csv
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  3. Installed Operators ページで、etcd Operator をクリックして詳細情報および選択可能なアクションを表示します。

    Provided APIs に表示されているように、この Operator は 3 つの新規リソースタイプを利用可能にします。これには、etcd クラスター (EtcdCluster リソース) のタイプが含まれます。これらのオブジェクトは、Deployment または ReplicaSet などの組み込み済みのネイティブ Kubernetes オブジェクトと同様に機能しますが、これらには etcd を管理するための固有のロジックが含まれます。

  4. 新規 etcd クラスターを作成します。

    1. etcd Cluster API ボックスで、Create instance をクリックします。
    2. 次のページでは、EtcdCluster オブジェクト (クラスターのサイズなど) のテンプレートを起動する最小条件を変更できます。ここでは Create をクリックして確定します。これにより、Operator がトリガーされ、Pod、サービス、および新規 etcd クラスターの他のコンポーネントが起動します。
  5. example etcd クラスター、Resources タブの順にクリックし、Operator が自動的に作成および設定した多数のリソースが含まれていることを確認します。

    Kubernetes サービスが作成され、プロジェクトの他の Pod からデータベースにアクセスできることを確認します。

  6. 所定プロジェクトで edit ロールを持つすべてのユーザーは、クラウドサービスのようにセルフサービス方式でプロジェクトにすでに作成されている Operator によって管理されるアプリケーションのインスタンス (この例では etcd クラスター) を作成し、管理し、削除することができます。この機能を持つ追加のユーザーを有効にする必要がある場合、プロジェクト管理者は以下のコマンドを使用してこのロールを追加できます。

    $ oc policy add-role-to-user edit <user> -n <target_project>
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

これで、etcd クラスターは Pod が正常でなくなったり、クラスターのノード間で移行する際の障害に対応し、データのリバランスを行います。最も重要な点として、適切なアクセスを持つクラスター管理者または開発者は独自のアプリケーションでデータベースを簡単に使用できるようになります。

第4章 管理者タスク

4.1. Operator のクラスターへの追加

dedicated-admin ロールを持つ管理者は、Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用して、OLM ベースの Operator を Red Hat OpenShift Service on AWS クラスターにインストールできます。

注記

OLM が同一 namespace に配置されたインストール済み Operator の更新を処理する方法や、カスタムグローバル Operator グループで Operator をインストールする別の方法は、マルチテナント対応と Operator のコロケーション を参照してください。

4.1.1. OperatorHub を使用した Operator のインストールについて

OperatorHub は Operator を検出するためのユーザーインターフェイスです。これは Operator Lifecycle Manager (OLM) と連携し、クラスター上で Operator をインストールし、管理します。

クラスター管理者は、Red Hat OpenShift Service on AWS を使用して OperatorHub からオペレーターをインストールできます。

インストール時に、Operator の以下の初期設定を判別する必要があります。

更新チャネル
Operator が複数のチャネルで利用可能な場合、サブスクライブするチャネルを選択できます。たとえば、(利用可能な場合に) stable チャネルからデプロイするには、これをリストから選択します。
承認ストラテジー

自動 (Automatic) または手動 (Manual) のいずれかの更新を選択します。

インストールされた Operator に自動更新を選択する場合、Operator の新規バージョンが選択されたチャネルで利用可能になると、Operator Lifecycle Manager (OLM) は人の介入なしに、Operator の実行中のインスタンスを自動的にアップグレードします。

手動更新を選択する場合、Operator の新規バージョンが利用可能になると、OLM は更新要求を作成します。クラスター管理者は、Operator が新規バージョンに更新されるように更新要求を手動で承認する必要があります。

4.1.2. Web コンソールを使用して OperatorHub からインストールする

Red Hat OpenShift Service on AWS Web コンソールを使用して、OperatorHub から Operator をインストールしてサブスクライブできます。

前提条件

  • 以下のアカウントを使用して Red Hat OpenShift Service on AWS クラスターにアクセスしておく。

手順

  1. Web コンソールで、Operators → OperatorHub ページに移動します。
  2. スクロールするか、キーワードを Filter by keyword ボックスに入力し、必要な Operator を見つけます。たとえば、Advanced Cluster Management for Kubernetes Operator を検索するには advanced を入力します。

    また、インフラストラクチャー機能 でオプションをフィルターすることもできます。たとえば、非接続環境 (ネットワークが制限された環境ともしても知られる) で機能する Operator を表示するには、Disconnected を選択します。

  3. Operator を選択して、追加情報を表示します。

    注記

    コミュニティー Operator を選択すると、Red Hat がコミュニティー Operator を認定していないことを警告します。続行する前に警告を確認する必要があります。

  4. Operator の情報を確認してから、Install をクリックします。
  5. Install Operator ページで、Operator のインストールを設定します。

    1. 特定のバージョンの Operator をインストールする場合は、リストから Update channelVersion を選択します。Operator のすべてのチャネルから Operator のさまざまなバージョンを参照し、そのチャネルとバージョンのメタデータを表示して、インストールする正確なバージョンを選択できます。

      注記

      バージョン選択のデフォルトは、選択したチャネルの最新バージョンです。チャネルの最新バージョンが選択されている場合は、自動 承認戦略がデフォルトで有効になります。それ以外の場合、選択したチャネルの最新バージョンをインストールしない場合は、手動 による承認が必要です。

      手動 承認を使用して Operator をインストールすると、namespace 内にインストールされたすべての Operator が 手動 承認戦略で機能し、すべての Operator が一緒に更新されます。Operator を個別に更新する場合は、Operator を別の namespace にインストールします。

    2. Operator のインストールモードを確認します。

      • All namespaces on the cluster (default) は、デフォルトの openshift-operators namespace で Operator をインストールし、クラスターのすべての namespace を監視し、Operator をこれらの namespace に対して利用可能にします。このオプションは常に選択可能です。
      • A specific namespace on the cluster では、Operator をインストールする特定の単一 namespace を選択できます。Operator は監視のみを実行し、この単一 namespace で使用されるように利用可能になります。
    3. トークン認証が有効になっているクラウドプロバイダー上のクラスターの場合:

      • クラスターで AWS Security Token Service (Web コンソールの STS Mode) を使用する場合は、role ARN フィールドに、サービスアカウントの AWS IAM ロールの Amazon Resource Name (ARN) を入力します。ロールの ARN を作成するには、AWS アカウントの準備 で説明されている手順に従います。
      • クラスターで Microsoft Entra Workload ID (Web コンソールの Workload Identity / Federated Identity Mode) を使用する場合は、適切なフィールドに、クライアント ID、テナント ID、サブスクリプション ID を追加します。
      • クラスターで Google Cloud Platform Workload Identity (Web コンソールの GCP Workload Identity / Federated Identity Mode) を使用する場合は、適切なフィールドに、プロジェクト番号、プール ID、プロバイダー ID、サービスアカウントのメールアドレスを追加します。
    4. Update approval で、承認ストラテジー Automatic または Manual を選択します。

      重要

      Web コンソールに、クラスターが AWS STS、Microsoft Entra Workload ID、または GCP Workload Identity を使用していることが示されている場合は、Update approvalManual に設定する必要があります。

      更新の自動承認を使用したサブスクリプションは推奨されません。更新前に権限の変更が必要な場合があるためです。更新の手動承認を使用したサブスクリプションであれば、管理者が新しいバージョンの権限を確認し、必要な手順を実行してから更新できます。

  6. Install をクリックして、この Red Hat OpenShift Service on AWS クラスターで選択した namespace で Operator を使用できるようにします。

    1. 手動 の承認ストラテジーを選択している場合、サブスクリプションのアップグレードステータスは、そのインストール計画を確認し、承認するまで Upgrading のままになります。

      Install Plan ページでの承認後に、サブスクリプションのアップグレードステータスは Up to date に移行します。

    2. 自動 の承認ストラテジーを選択している場合、アップグレードステータスは、介入なしに Up to date に解決するはずです。

検証

  • サブスクリプションのアップグレードステータスが Up to date になった後に、OperatorsInstalled Operators を選択し、インストールされた Operator のクラスターサービスバージョン (CSV) が表示されることを確認します。Status は、関連する namespace で最終的に Succeeded に解決されるはずです。

    注記

    All namespaces…​ インストールモードの場合、ステータスは openshift-operators namespace で Succeeded になりますが、他の namespace でチェックする場合、ステータスは Copied になります。

    上記通りにならない場合、以下を実行します。

    • さらにトラブルシューティングを行うために問題を報告している WorkloadsPods ページで、openshift-operators プロジェクト (または A specific namespace…​ インストールモードが選択されている場合は他の関連の namespace) の Pod のログを確認します。
  • Operator をインストールすると、メタデータに、インストールされているチャネルとバージョンが示されます。

    注記

    ドロップダウンメニュー Channel および Version は、このカタログコンテキストで他のバージョンのメタデータを表示するために引き続き使用できます。

4.1.3. CLI を使用して OperatorHub からインストールする

Red Hat OpenShift Service on AWS Web コンソールを使用する代わりに、CLI を使用して OperatorHub から Operator をインストールできます。oc コマンドを使用して、Subscription オブジェクトを作成または更新します。

SingleNamespace インストールモードの場合は、関連する namespace に適切な Operator グループが存在することも確認する必要があります。OperatorGroup で定義される Operator グループは、Operator グループと同じ namespace 内のすべての Operator に必要な RBAC アクセスを生成するターゲット namespace を選択します。

ヒント

ほとんどの場合は、この手順の Web コンソール方式が推奨されます。これは、SingleNamespace モードを選択したときに OperatorGroup オブジェクトおよび Subscription オブジェクトの作成を自動的に処理するなど、バックグラウンドでタスクが自動化されるためです。

前提条件

  • 以下のアカウントを使用して Red Hat OpenShift Service on AWS クラスターにアクセスしておく。
  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。

手順

  1. OperatorHub からクラスターで利用できる Operator のリストを表示します。

    $ oc get packagemanifests -n openshift-marketplace
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    例4.1 出力例

    NAME                               CATALOG               AGE
    3scale-operator                    Red Hat Operators     91m
    advanced-cluster-management        Red Hat Operators     91m
    amq7-cert-manager                  Red Hat Operators     91m
    # ...
    couchbase-enterprise-certified     Certified Operators   91m
    crunchy-postgres-operator          Certified Operators   91m
    mongodb-enterprise                 Certified Operators   91m
    # ...
    etcd                               Community Operators   91m
    jaeger                             Community Operators   91m
    kubefed                            Community Operators   91m
    # ...
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    必要な Operator のカタログをメモします。

  2. 必要な Operator を検査して、サポートされるインストールモードおよび利用可能なチャネルを確認します。

    $ oc describe packagemanifests <operator_name> -n openshift-marketplace
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    例4.2 出力例

    # ...
    Kind:         PackageManifest
    # ...
          Install Modes: 
    1
    
            Supported:  true
            Type:       OwnNamespace
            Supported:  true
            Type:       SingleNamespace
            Supported:  false
            Type:       MultiNamespace
            Supported:  true
            Type:       AllNamespaces
    # ...
        Entries:
          Name:       example-operator.v3.7.11
          Version:    3.7.11
          Name:       example-operator.v3.7.10
          Version:    3.7.10
        Name:         stable-3.7 
    2
    
    # ...
       Entries:
          Name:         example-operator.v3.8.5
          Version:      3.8.5
          Name:         example-operator.v3.8.4
          Version:      3.8.4
        Name:           stable-3.8 
    3
    
      Default Channel:  stable-3.8 
    4
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
    1
    サポートされているインストールモードを示します。
    2 3
    チャネル名の例。
    4
    指定されていない場合にデフォルトで選択されるチャネル。
    ヒント

    次のコマンドを実行すると、Operator のバージョンとチャネル情報を YAML 形式で出力できます。

    $ oc get packagemanifests <operator_name> -n <catalog_namespace> -o yaml
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  3. namespace に複数のカタログがインストールされている場合は、次のコマンドを実行して、特定のカタログから Operator の使用可能なバージョンとチャネルを検索します。

    $ oc get packagemanifest \
       --selector=catalog=<catalogsource_name> \
       --field-selector metadata.name=<operator_name> \
       -n <catalog_namespace> -o yaml
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
    重要

    Operator のカタログを指定しない場合、oc get packagemanifest および oc describe packagemanifest コマンドを実行すると、次の条件が満たされると予期しないカタログからパッケージが返される可能性があります。

    • 複数のカタログが同じ namespace にインストールされます。
    • カタログには、同じ Operator、または同じ名前の Operator が含まれています。
  4. インストールする Operator が AllNamespaces インストールモードをサポートしており、このモードを使用することを選択した場合は、openshift-operators namespace に global-operators と呼ばれる適切な Operator グループがデフォルトですでに配置されているため、この手順をスキップしてください。

    インストールする Operator が SingleNamespace インストールモードをサポートしており、このモードを使用することを選択した場合は、関連する namespace に適切な Operator グループが存在することを確認する必要があります。存在しない場合は、次の手順に従って作成できます。

    重要

    namespace ごとに Operator グループを 1 つだけ持つことができます。詳細は、「Operator グループ」を参照してください。

    1. SingleNamespace インストールモード用に、OperatorGroup オブジェクト YAML ファイル (例: operatorgroup.yaml) を作成します。

      SingleNamespace インストールモードの OperatorGroup オブジェクトの例

      apiVersion: operators.coreos.com/v1
      kind: OperatorGroup
      metadata:
        name: <operatorgroup_name>
        namespace: <namespace> 
      1
      
      spec:
        targetNamespaces:
        - <namespace> 
      2
      Copy to Clipboard Toggle word wrap

      1 2
      SingleNamespace インストールモードの場合は、metadata.namespace フィールドと spec.targetNamespaces フィールドの両方に同じ <namespace> 値を使用します。
    2. OperatorGroup オブジェクトを作成します。

      $ oc apply -f operatorgroup.yaml
      Copy to Clipboard Toggle word wrap
  5. namespace を Operator にサブスクライブするための Subscription オブジェクトを作成します。

    1. Subscription オブジェクトの YAML ファイル (例: subscription.yaml) を作成します。

      注記

      特定のバージョンの Operator をサブスクライブする場合は、startingCSV フィールドを目的のバージョンに設定し、installPlanApproval フィールドを Manual に設定して、カタログに新しいバージョンが存在する場合に Operator が自動的にアップグレードされないようにします。詳細は、次の「特定の開始 Operator バージョンを持つ Subscription オブジェクトの例」を参照してください。

      例4.3 Subscription オブジェクトの例

      apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
      kind: Subscription
      metadata:
        name: <subscription_name>
        namespace: <namespace_per_install_mode> 
      1
      
      spec:
        channel: <channel_name> 
      2
      
        name: <operator_name> 
      3
      
        source: <catalog_name> 
      4
      
        sourceNamespace: <catalog_source_namespace> 
      5
      
        config:
          env: 
      6
      
          - name: ARGS
            value: "-v=10"
          envFrom: 
      7
      
          - secretRef:
              name: license-secret
          volumes: 
      8
      
          - name: <volume_name>
            configMap:
              name: <configmap_name>
          volumeMounts: 
      9
      
          - mountPath: <directory_name>
            name: <volume_name>
          tolerations: 
      10
      
          - operator: "Exists"
          resources: 
      11
      
            requests:
              memory: "64Mi"
              cpu: "250m"
            limits:
              memory: "128Mi"
              cpu: "500m"
          nodeSelector: 
      12
      
            foo: bar
      Copy to Clipboard Toggle word wrap
      1
      デフォルトの AllNamespaces インストールモードの使用は、openshift-operators namespace を指定します。カスタムグローバル namespace を作成している場合はこれを指定できます。SingleNamespace インストールモードを使用する場合は、関連する単一の namespace を指定します。
      2
      サブスクライブするチャネルの名前。
      3
      サブスクライブする Operator の名前。
      4
      Operator を提供するカタログソースの名前。
      5
      カタログソースの namespace。デフォルトの OperatorHub カタログソースには openshift-marketplace を使用します。
      6
      env パラメーターは、OLM によって作成される Pod のすべてのコンテナーに存在する必要がある環境変数の一覧を定義します。
      7
      envFrom パラメーターは、コンテナーの環境変数に反映するためのソースの一覧を定義します。
      8
      volumes パラメーターは、OLM によって作成される Pod に存在する必要があるボリュームの一覧を定義します。
      9
      volumeMounts パラメーターは、OLM によって作成される Pod のすべてのコンテナーに存在する必要があるボリュームマウントの一覧を定義します。volumeMount が存在しない ボリューム を参照する場合、OLM は Operator のデプロイに失敗します。
      10
      tolerations パラメーターは、OLM によって作成される Pod の toleration の一覧を定義します。
      11
      resources パラメーターは、OLM によって作成される Pod のすべてのコンテナーのリソース制約を定義します。
      12
      nodeSelector パラメーターは、OLM によって作成される Pod の NodeSelector を定義します。

      例4.4 特定の開始 Operator バージョンを持つ Subscription オブジェクトの例

      apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
      kind: Subscription
      metadata:
        name: example-operator
        namespace: example-operator
      spec:
        channel: stable-3.7
        installPlanApproval: Manual 
      1
      
        name: example-operator
        source: custom-operators
        sourceNamespace: openshift-marketplace
        startingCSV: example-operator.v3.7.10 
      2
      Copy to Clipboard Toggle word wrap
      1
      指定したバージョンがカタログの新しいバージョンに置き換えられる場合に備えて、承認ストラテジーを Manual に設定します。これにより、新しいバージョンへの自動アップグレードが阻止され、最初の CSV のインストールが完了する前に手動での承認が必要となります。
      2
      Operator CSV の特定バージョンを設定します。
    2. Amazon Web Services (AWS) Security Token Service (STS)、Microsoft Entra Workload ID、Google Cloud Platform Workload Identity など、トークン認証が有効なクラウドプロバイダー上のクラスターの場合は、次の手順に従って Subscription オブジェクトを設定します。

      1. Subscription オブジェクトが手動更新承認に設定されていることを確認します。

        例4.5 更新の手動承認を使用した Subscription オブジェクトの例

        kind: Subscription
        # ...
        spec:
          installPlanApproval: Manual 
        1
        Copy to Clipboard Toggle word wrap
        1
        更新の自動承認を使用したサブスクリプションは推奨されません。更新前に権限の変更が必要な場合があるためです。更新の手動承認を使用したサブスクリプションであれば、管理者が新しいバージョンの権限を確認し、必要な手順を実行してから更新できます。
      2. 関連するクラウドプロバイダー固有のフィールドを Subscription オブジェクトの config セクションに含めます。

        クラスターが AWS STS モードの場合は、次のフィールドを含めます。

        例4.6 AWS STS の変数を使用した Subscription オブジェクトの例

        kind: Subscription
        # ...
        spec:
          config:
            env:
            - name: ROLEARN
              value: "<role_arn>" 
        1
        Copy to Clipboard Toggle word wrap
        1
        ロール ARN の詳細を含めます。

        クラスターが Workload ID モードの場合は、次のフィールドを含めます。

        例4.7 Workload ID の変数を使用した Subscription オブジェクトの例

        kind: Subscription
        # ...
        spec:
         config:
           env:
           - name: CLIENTID
             value: "<client_id>" 
        1
        
           - name: TENANTID
             value: "<tenant_id>" 
        2
        
           - name: SUBSCRIPTIONID
             value: "<subscription_id>" 
        3
        Copy to Clipboard Toggle word wrap
        1
        クライアント ID を含めます。
        2
        テナント ID を含めます。
        3
        サブスクリプション ID を含めます。

        クラスターが GCP Workload Identity モードの場合は、次のフィールドを含めます。

        例4.8 GCP Workload Identity の変数を使用した Subscription オブジェクトの例

        kind: Subscription
        # ...
        spec:
         config:
           env:
           - name: AUDIENCE
             value: "<audience_url>" 
        1
        
           - name: SERVICE_ACCOUNT_EMAIL
             value: "<service_account_email>" 
        2
        Copy to Clipboard Toggle word wrap

        ここでは、以下のようになります。

        <audience>

        AUDIENCE 値は、管理者が GCP Workload Identity を設定するときに GCP で作成し、次の形式で事前にフォーマットした URL である必要があります。

        //iam.googleapis.com/projects/<project_number>/locations/global/workloadIdentityPools/<pool_id>/providers/<provider_id>
        Copy to Clipboard Toggle word wrap
        <service_account_email>

        SERVICE_ACCOUNT_EMAIL 値は、Operator 操作中に権限を借用する GCP サービスアカウントのメールアドレスです。次に例を示します。

        <service_account_name>@<project_id>.iam.gserviceaccount.com
        Copy to Clipboard Toggle word wrap
    3. 以下のコマンドを実行して Subscription オブジェクトを作成します。

      $ oc apply -f subscription.yaml
      Copy to Clipboard Toggle word wrap
  6. installPlanApproval フィールドを Manual に設定する場合は、保留中のインストールプランを手動で承認して Operator のインストールを完了します。詳細は、「保留中の Operator 更新の手動による承認」を参照してください。

この時点で、OLM は選択した Operator を認識します。Operator のクラスターサービスバージョン (CSV) はターゲット namespace に表示され、Operator で指定される API は作成用に利用可能になります。

検証

  1. 次のコマンドを実行して、インストールされている Operator の Subscription オブジェクトのステータスを確認します。

    $ oc describe subscription <subscription_name> -n <namespace>
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  2. SingleNamespace インストールモードの Operator グループを作成した場合は、次のコマンドを実行して OperatorGroup オブジェクトのステータスを確認します。

    $ oc describe operatorgroup <operatorgroup_name> -n <namespace>
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

4.1.4. マルチテナントクラスター用の Operator の複数インスタンスの準備

クラスター管理者は、マルチテナントクラスターで使用する Operator の複数のインスタンスを追加できます。これは、最小特権の原則に違反していると見なされる標準の All namespaces インストールモード、または広く採用されていない Multinamespace モードのいずれかを使用する代替ソリューションです。詳細は、「マルチテナントクラスター内の Operator」を参照してください。

次の手順では、テナント は、デプロイされた一連のワークロードに対する共通のアクセス権と特権を共有するユーザーまたはユーザーのグループです。テナント Operator は、そのテナントのみによる使用を意図した Operator のインスタンスです。

前提条件

  • インストールする Operator のすべてのインスタンスは、特定のクラスター全体で同じバージョンである必要があります。

    重要

    この制限およびその他の制限の詳細は、「マルチテナントクラスター内の Operator」を参照してください。

手順

  1. Operator をインストールする前に、テナントの namespace とは別のテナント Operator の namespace を作成します。たとえば、テナントの namespace が team1 の場合、team1-operator namespace を作成できます。

    1. Namespace リソースを定義し、YAML ファイル (例: team1-operator.yaml) を保存します。

      apiVersion: v1
      kind: Namespace
      metadata:
        name: team1-operator
      Copy to Clipboard Toggle word wrap
    2. 以下のコマンドを実行して namespace を作成します。

      $ oc create -f team1-operator.yaml
      Copy to Clipboard Toggle word wrap
  2. spec.targetNamespaces リストにその 1 つの namespace エントリーのみを使用して、テナントの namespace をスコープとするテナント Operator の Operator グループを作成します。

    1. OperatorGroup リソースを定義し、YAML ファイル (例: team1-operatorgroup.yaml) を保存します。

      apiVersion: operators.coreos.com/v1
      kind: OperatorGroup
      metadata:
        name: team1-operatorgroup
        namespace: team1-operator
      spec:
        targetNamespaces:
        - team1 
      1
      Copy to Clipboard Toggle word wrap
      1 1
      spec.targetNamespaces リストでテナントの namespace のみを定義します。
    2. 以下のコマンドを実行して Operator グループを作成します。

      $ oc create -f team1-operatorgroup.yaml
      Copy to Clipboard Toggle word wrap

次のステップ

  • テナント Operator namespace に Operator をインストールします。このタスクは、CLI の代わりに Web コンソールで OperatorHub を使用することにより、より簡単に実行できます。詳細な手順は、「Web コンソールを使用した OperatorHub からのインストール」を参照してください。

    注記

    Operator のインストールが完了すると、Operator はテナントの Operator namespace に存在し、テナントの namespace を監視しますが、Operator の Pod もそのサービスアカウントも、テナントによって表示または使用されません。

4.1.5. カスタム namespace にグローバル Operator をインストールする

Red Hat OpenShift Service on AWS を使用して Operator をインストールする場合、デフォルトの動作では、All namespaces インストールモードをサポートする Operator がデフォルトの openshift-operators グローバル namespace にインストールされます。これにより、namespace 内のすべての Operator 間で共有インストールプランと更新ポリシーに関連する問題が発生する可能性があります。これらの制限の詳細は、「マルチテナント対応と Operator のコロケーション」を参照してください。

クラスター管理者は、カスタムグローバル namespace を作成し、その namespace を使用して、個々のまたは範囲指定された一連の Operator とその依存関係をインストールすることにより、このデフォルトの動作を手動でバイパスできます。

前提条件

  • cluster-admin ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。

手順

  1. Operator をインストールする前に、目的の Operator をインストールするための namespace を作成します。このインストール namespace は、カスタムグローバル namespace になります。

    1. Namespace リソースを定義し、YAML ファイル (例: global-operators.yaml) を保存します。

      apiVersion: v1
      kind: Namespace
      metadata:
        name: global-operators
      Copy to Clipboard Toggle word wrap
    2. 以下のコマンドを実行して namespace を作成します。

      $ oc create -f global-operators.yaml
      Copy to Clipboard Toggle word wrap
  2. すべての namespace を監視する Operator グループである、カスタム global Operator group を作成します。

    1. OperatorGroup リソースを定義し、global-operatorgroup.yaml などの YAML ファイルを保存します。spec.selector フィールドと spec.targetNamespaces フィールドの両方を省略して、すべての namespace を選択する global Operator group にします。

      apiVersion: operators.coreos.com/v1
      kind: OperatorGroup
      metadata:
        name: global-operatorgroup
        namespace: global-operators
      Copy to Clipboard Toggle word wrap
      注記

      作成されたグローバル Operator グループの status.namespaces には、空の文字列 ("") が含まれています。これは、すべての namespace を監視する必要があることを消費する Operator に通知します。

    2. 以下のコマンドを実行して Operator グループを作成します。

      $ oc create -f global-operatorgroup.yaml
      Copy to Clipboard Toggle word wrap

次のステップ

  • 必要な Operator をカスタムのグローバル namespace にインストールします。Web コンソールでは、Operator のインストール時に、カスタムのグローバル namespace が Installed Namespace メニューに追加されません。そのため、このインストールタスクを実行するには、OpenShift CLI (oc) を使用する必要があります。詳細なインストール手順は、「CLI を使用して OperatorHub からインストールする」を参照してください。

    注記

    Operator のインストールを開始すると、Operator に依存関係がある場合、その依存関係もカスタムグローバル namespace に自動的にインストールされます。その結果、依存関係 Operator が同じ更新ポリシーと共有インストールプランを持つことが有効になります。

4.1.6. Operator ワークロードの Pod の配置

デフォルトで、Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Operator のインストールまたはオペランドのワークロードのデプロイ時に Pod を任意のワーカーノードに配置します。管理者は、ノードセレクター、taint、および toleration の組み合わせを持つプロジェクトを使用して、Operator およびオペランドの特定のノードへの配置を制御できます。

Operator およびオペランドワークロードの Pod 配置の制御には以下の前提条件があります。

  1. 要件に応じて Pod のターゲットとするノードまたはノードのセットを判別します。利用可能な場合は、単数または複数のノードを特定する node-role.kubernetes.io/app などの既存ラベルをメモします。それ以外の場合は、コンピュートマシンセットを使用するか、ノードを直接編集して、myoperator などのラベルを追加します。このラベルは、後のステップでプロジェクトのノードセレクターとして使用します。
  2. 関連しないワークロードを他のノードに向けつつ、特定のラベルの付いた Pod のみがノードで実行されるようにする必要がある場合、コンピュートマシンセットを使用するか、ノードを直接編集して taint をノードに追加します。taint に一致しない新規 Pod がノードにスケジュールされないようにする effect を使用します。たとえば、myoperator:NoSchedule taint は、taint に一致しない新規 Pod がノードにスケジュールされないようにしますが、ノードの既存 Pod はそのまま残ります。
  3. デフォルトのノードセレクターで設定され、taint を追加している場合に一致する toleration を持つプロジェクトを作成します。

この時点で、作成したプロジェクトでは、以下のシナリオの場合に指定されたノードに Pod を導くことができます。

Operator Pod の場合
管理者は、次のセクションで説明するように、プロジェクトに Subscription オブジェクトを作成できます。その結果、Operator Pod は指定されたノードに配置されます。
オペランド Pod の場合
インストールされた Operator を使用して、ユーザーはプロジェクトにアプリケーションを作成できます。これにより、Operator が所有するカスタムリソース (CR) がプロジェクトに置かれます。その結果、Operator が他の namespace にクラスター全体のオブジェクトまたはリソースをデプロイしない限り、オペランド Pod は指定されたノードに配置されます。この場合、このカスタマイズされた Pod の配置は適用されません。

4.1.7. Operator のインストール場所の制御

デフォルトでは、Operator をインストールすると、Red Hat OpenShift Service on AWS は Operator Pod をワーカーノードの 1 つにランダムにインストールします。ただし、特定のノードまたはノードのセットでその Pod をスケジュールする必要がある場合があります。

以下の例では、Operator Pod を特定のノードまたはノードのセットにスケジュールする状況を説明します。

  • Operator が amd64arm64 などの特定のプラットフォームを必要とする場合
  • オペレータが Linux や Windows などの特定のオペレーティングシステムを必要とする場合
  • 同じホストまたは同じラックに配置されたホストでスケジュールされた一緒に動作する Operator が必要な場合
  • ネットワークまたはハードウェアの問題によるダウンタイムを回避するために、Operator をインフラストラクチャー全体に分散させたい場合

Operator の Subscription オブジェクトにノードアフィニティー、Pod アフィニティー、または Pod 非アフィニティー制約を追加することで、Operator Pod がインストールされる場所を制御できます。ノードアフィニティーは、Pod の配置場所を判別するためにスケジューラーによって使用されるルールのセットです。Pod アフィニティーを使用すると、関連する Pod が同じノードにスケジュールされていることを確認できます。Pod 非アフィニティーを使用すると、ノードで Pod がスケジュールされないようにすることができます。

次の例は、ノードアフィニティーまたは Pod 非アフィニティーを使用して、Custom Metrics Autoscaler Operator のインスタンスをクラスター内の特定のノードにインストールする方法を示しています。

Operator Pod を特定のノードに配置するノードアフィニティーの例

apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
kind: Subscription
metadata:
  name: openshift-custom-metrics-autoscaler-operator
  namespace: openshift-keda
spec:
  name: my-package
  source: my-operators
  sourceNamespace: operator-registries
  config:
    affinity:
      nodeAffinity: 
1

        requiredDuringSchedulingIgnoredDuringExecution:
          nodeSelectorTerms:
          - matchExpressions:
            - key: kubernetes.io/hostname
              operator: In
              values:
              - ip-10-0-163-94.us-west-2.compute.internal
#...
Copy to Clipboard Toggle word wrap

1
Operator の Pod を ip-10-0-163-94.us-west-2.compute.internal という名前のノードでスケジュールする必要があるノードアフィニティー。

Operator Pod を特定のプラットフォームのノードに配置するノードアフィニティーの例

apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
kind: Subscription
metadata:
  name: openshift-custom-metrics-autoscaler-operator
  namespace: openshift-keda
spec:
  name: my-package
  source: my-operators
  sourceNamespace: operator-registries
  config:
    affinity:
      nodeAffinity: 
1

        requiredDuringSchedulingIgnoredDuringExecution:
          nodeSelectorTerms:
          - matchExpressions:
            - key: kubernetes.io/arch
              operator: In
              values:
              - arm64
            - key: kubernetes.io/os
              operator: In
              values:
              - linux
#...
Copy to Clipboard Toggle word wrap

1
Operator の Pod を kubernetes.io/arch=arm64 および kubernetes.io/os=linux ラベルを持つノードでスケジュールする必要があるノードアフィニティー。

Operator Pod を 1 つ以上の特定のノードに配置する Pod アフィニティーの例

apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
kind: Subscription
metadata:
  name: openshift-custom-metrics-autoscaler-operator
  namespace: openshift-keda
spec:
  name: my-package
  source: my-operators
  sourceNamespace: operator-registries
  config:
    affinity:
      podAffinity: 
1

        requiredDuringSchedulingIgnoredDuringExecution:
        - labelSelector:
            matchExpressions:
            - key: app
              operator: In
              values:
              - test
          topologyKey: kubernetes.io/hostname
#...
Copy to Clipboard Toggle word wrap

1
app=test ラベルを持つ Pod を持つノードに Operator の Pod を配置する Pod アフィニティー。

Operator Pod が 1 つ以上の特定のノードからアクセスできないようにする Pod 非アフィニティーの例

apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
kind: Subscription
metadata:
  name: openshift-custom-metrics-autoscaler-operator
  namespace: openshift-keda
spec:
  name: my-package
  source: my-operators
  sourceNamespace: operator-registries
  config:
    affinity:
      podAntiAffinity: 
1

        requiredDuringSchedulingIgnoredDuringExecution:
        - labelSelector:
            matchExpressions:
            - key: cpu
              operator: In
              values:
              - high
          topologyKey: kubernetes.io/hostname
#...
Copy to Clipboard Toggle word wrap

1
Operator の Pod が cpu=high ラベルの Pod を持つノードでスケジュールされないようにする Pod 非アフィニティー。

手順

Operator Pod の配置を制御するには、次の手順を実行します。

  1. 通常どおり Operator をインストールします。
  2. 必要に応じて、ノードがアフィニティーに適切に応答するようにラベル付けされていることを確認してください。
  3. Operator Subscription オブジェクトを編集してアフィニティーを追加します。

    apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
    kind: Subscription
    metadata:
      name: openshift-custom-metrics-autoscaler-operator
      namespace: openshift-keda
    spec:
      name: my-package
      source: my-operators
      sourceNamespace: operator-registries
      config:
        affinity: 
    1
    
          nodeAffinity:
            requiredDuringSchedulingIgnoredDuringExecution:
              nodeSelectorTerms:
              - matchExpressions:
                - key: kubernetes.io/hostname
                  operator: In
                  values:
                  - ip-10-0-185-229.ec2.internal
    #...
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
    1
    nodeAffinitypodAffinity、または podAntiAffinity を追加します。アフィニティーの作成は、以下のその他のリソースセクションを参照してください。

検証

  • Pod が特定のノードにデプロイされていることを確認するには、次のコマンドを実行します。

    $ oc get pods -o wide
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    出力例

    NAME                                                  READY   STATUS    RESTARTS   AGE   IP            NODE                           NOMINATED NODE   READINESS GATES
    custom-metrics-autoscaler-operator-5dcc45d656-bhshg   1/1     Running   0          50s   10.131.0.20   ip-10-0-185-229.ec2.internal   <none>           <none>
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

4.2. インストール済み Operator の更新

dedicated-admin ロールを持つ管理者は、Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用して Red Hat OpenShift Service on AWS クラスターに以前インストールした Operator を更新できます。

注記

OLM が同一 namespace に配置されたインストール済み Operator の更新を処理する方法や、カスタムグローバル Operator グループで Operator をインストールする別の方法は、マルチテナント対応と Operator のコロケーション を参照してください。

4.2.1. Operator 更新の準備

インストールされた Operator のサブスクリプションは、Operator の更新を追跡および受信する更新チャネルを指定します。更新チャネルを変更して、新しいチャネルからの更新の追跡と受信を開始できます。

サブスクリプションの更新チャネルの名前は Operator 間で異なる可能性がありますが、命名スキーム通常、特定の Operator 内の共通の規則に従います。たとえば、チャネル名は Operator によって提供されるアプリケーションのマイナーリリース更新ストリーム (1.21.3) またはリリース頻度 (stablefast) に基づく可能性があります。

注記

インストールされた Operator は、現在のチャネルよりも古いチャネルに切り換えることはできません。

Red Hat Customer Portal Labs には、管理者が Operator の更新を準備するのに役立つ以下のアプリケーションが含まれています。

このアプリケーションを使用すると、Red Hat OpenShift Service on AWS のさまざまなバージョンを対象に、Operator Lifecycle Manager ベースの Operator を検索し、更新チャネルごとに利用可能な Operator のバージョンを確認できます。Cluster Version Operator ベースの Operator は含まれません。

4.2.2. Operator の更新チャネルの変更

Red Hat OpenShift Service on AWS を使用して、Operator の更新チャネルを変更できます。

ヒント

サブスクリプションの承認ストラテジーが Automatic に設定されている場合、アップグレードプロセスは、選択したチャネルで新規 Operator バージョンが利用可能になるとすぐに開始します。承認ストラテジーが Manual に設定されている場合は、保留中のアップグレードを手動で承認する必要があります。

前提条件

  • Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用して以前にインストールされている Operator。

手順

  1. Web コンソールの Administrator パースペクティブで、Operators → Installed Operators に移動します。
  2. 更新チャネルを変更する Operator の名前をクリックします。
  3. Subscription タブをクリックします。
  4. Update channel の下にある更新チャネルの名前をクリックします。
  5. 変更する新しい更新チャネルをクリックし、Save をクリックします。
  6. Automatic 承認ストラテジーのあるサブスクリプションの場合、更新は自動的に開始します。Operators → Installed Operators ページに戻り、更新の進捗をモニターします。完了時に、ステータスは Succeeded および Up to date に変更されます。

    Manual 承認ストラテジーのあるサブスクリプションの場合、Subscription タブから更新を手動で承認できます。

4.2.3. 保留中の Operator 更新の手動による承認

インストールされた Operator のサブスクリプションの承認ストラテジーが Manual に設定されている場合、新規の更新が現在の更新チャネルにリリースされると、インストールを開始する前に更新を手動で承認する必要があります。

前提条件

  • Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用して以前にインストールされている Operator。

手順

  1. Red Hat OpenShift Service on AWS Web コンソールの Administrator パースペクティブで、Operators → Installed Operators に移動します。
  2. 更新が保留中の Operator は Upgrade available のステータスを表示します。更新する Operator の名前をクリックします。
  3. Subscription タブをクリックします。承認が必要な更新は、Upgrade status の横に表示されます。たとえば、1 requires approval が表示される可能性があります。
  4. 1 requires approval をクリックしてから、Preview Install Plan をクリックします。
  5. 更新に利用可能なリソースとして一覧表示されているリソースを確認します。問題がなければ、Approve をクリックします。
  6. Operators → Installed Operators ページに戻り、更新の進捗をモニターします。完了時に、ステータスは Succeeded および Up to date に変更されます。

4.3. クラスターからの Operator の削除

以下では、Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用して Red Hat OpenShift Service on AWS クラスターに以前インストールした Operator を削除またはアンインストールする方法を説明します。

重要

同じ Operator の再インストールを試行する前に、Operator を正常かつ完全にアンインストールする必要があります。Operator を適切かつ完全にアンインストールできていない場合、プロジェクトや namespace などのリソースが "Terminating" ステータスでスタックし、Operator を再インストールしようとすると "error resolving resource" メッセージが表示される可能性があります。

4.3.1. Web コンソールの使用によるクラスターからの Operator の削除

クラスター管理者は Web コンソールを使用して、選択した namespace からインストールされた Operator を削除できます。

前提条件

  • dedicated-admin 権限を持つアカウントを使用して、Red Hat OpenShift Service on AWS にアクセスできる。

手順

  1. OperatorsInstalled Operators ページに移動します。
  2. スクロールするか、キーワードを Filter by name フィールドに入力して、削除する Operator を見つけます。次に、それをクリックします。
  3. Operator Details ページの右側で、Actions 一覧から Uninstall Operator を選択します。

    Uninstall Operator? ダイアログボックスが表示されます。

  4. Uninstall を選択し、Operator、Operator デプロイメント、および Pod を削除します。このアクションの後には、Operator は実行を停止し、更新を受信しなくなります。

    注記

    このアクションは、カスタムリソース定義 (CRD) およびカスタムリソース (CR) など、Operator が管理するリソースは削除されません。Web コンソールおよび継続して実行されるクラスター外のリソースによって有効にされるダッシュボードおよびナビゲーションアイテムには、手動でのクリーンアップが必要になる場合があります。Operator のアンインストール後にこれらを削除するには、Operator CRD を手動で削除する必要があります。

4.3.2. CLI の使用によるクラスターからの Operator の削除

クラスター管理者は CLI を使用して、選択した namespace からインストールされた Operator を削除できます。

前提条件

  • Red Hat OpenShift Service on AWS クラスターに、以下のアカウントを使用してアクセスできます。
  • OpenShift CLI (oc) がワークステーションにインストールされている。

手順

  1. サブスクライブした Operator の最新バージョン (serverless-operator など) が、currentCSV フィールドで識別されていることを確認します。

    $ oc get subscription.operators.coreos.com serverless-operator -n openshift-serverless -o yaml | grep currentCSV
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    出力例

      currentCSV: serverless-operator.v1.28.0
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

  2. サブスクリプション (serverless-operator など) を削除します。

    $ oc delete subscription.operators.coreos.com serverless-operator -n openshift-serverless
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    出力例

    subscription.operators.coreos.com "serverless-operator" deleted
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

  3. 直前の手順で currentCSV 値を使用し、ターゲット namespace の Operator の CSV を削除します。

    $ oc delete clusterserviceversion serverless-operator.v1.28.0 -n openshift-serverless
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    出力例

    clusterserviceversion.operators.coreos.com "serverless-operator.v1.28.0" deleted
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

4.3.3. 障害のあるサブスクリプションの更新

Operator Lifecycle Manager (OLM) で、ネットワークでアクセスできないイメージを参照する Operator をサブスクライブする場合、以下のエラーを出して失敗した openshift-marketplace namespace でジョブを見つけることができます。

出力例

ImagePullBackOff for
Back-off pulling image "example.com/openshift4/ose-elasticsearch-operator-bundle@sha256:6d2587129c846ec28d384540322b40b05833e7e00b25cca584e004af9a1d292e"
Copy to Clipboard Toggle word wrap

出力例

rpc error: code = Unknown desc = error pinging docker registry example.com: Get "https://example.com/v2/": dial tcp: lookup example.com on 10.0.0.1:53: no such host
Copy to Clipboard Toggle word wrap

その結果、サブスクリプションはこの障害のある状態のままとなり、Operator はインストールまたはアップグレードを実行できません。

サブスクリプション、クラスターサービスバージョン (CSV) その他の関連オブジェクトを削除して、障害のあるサブスクリプションを更新できます。サブスクリプションを再作成した後に、OLM は Operator の正しいバージョンを再インストールします。

前提条件

  • アクセス不可能なバンドルイメージをプルできない障害のあるサブスクリプションがある。
  • 正しいバンドルイメージにアクセスできることを確認している。

手順

  1. Operator がインストールされている namespace から Subscription および ClusterServiceVersion オブジェクトの名前を取得します。

    $ oc get sub,csv -n <namespace>
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    出力例

    NAME                                                       PACKAGE                  SOURCE             CHANNEL
    subscription.operators.coreos.com/elasticsearch-operator   elasticsearch-operator   redhat-operators   5.0
    
    NAME                                                                         DISPLAY                            VERSION    REPLACES   PHASE
    clusterserviceversion.operators.coreos.com/elasticsearch-operator.5.0.0-65   OpenShift Elasticsearch Operator   5.0.0-65              Succeeded
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

  2. サブスクリプションを削除します。

    $ oc delete subscription <subscription_name> -n <namespace>
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  3. クラスターサービスバージョンを削除します。

    $ oc delete csv <csv_name> -n <namespace>
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  4. openshift-marketplace namespace の失敗したジョブおよび関連する config map の名前を取得します。

    $ oc get job,configmap -n openshift-marketplace
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    出力例

    NAME                                                                        COMPLETIONS   DURATION   AGE
    job.batch/1de9443b6324e629ddf31fed0a853a121275806170e34c926d69e53a7fcbccb   1/1           26s        9m30s
    
    NAME                                                                        DATA   AGE
    configmap/1de9443b6324e629ddf31fed0a853a121275806170e34c926d69e53a7fcbccb   3      9m30s
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

  5. ジョブを削除します。

    $ oc delete job <job_name> -n openshift-marketplace
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    これにより、アクセスできないイメージのプルを試行する Pod は再作成されなくなります。

  6. 設定マップを削除します。

    $ oc delete configmap <configmap_name> -n openshift-marketplace
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  7. Web コンソールの OperatorHub を使用した Operator の再インストール

検証

  • Operator が正常に再インストールされていることを確認します。

    $ oc get sub,csv,installplan -n <namespace>
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

4.4. Operator Lifecycle Manager でのプロキシーサポートの設定

グローバルプロキシーが Red Hat OpenShift Service on AWS クラスターに設定されている場合、Operator Lifecycle Manager (OLM) は、クラスター全体のプロキシーで管理する Operator を自動的に設定します。ただし、インストールされた Operator をグローバルプロキシーを上書きするか、カスタム CA 証明書を挿入するように設定することもできます。

4.4.2. カスタム CA 証明書の挿入

クラスター管理者が設定マップを使用してカスタム CA 証明書をクラスターに追加すると、Cluster Network Operator はユーザーによってプロビジョニングされる証明書およびシステム CA 証明書を単一バンドルにマージします。このマージされたバンドルを Operator Lifecycle Manager (OLM) で実行されている Operator に挿入することができます。これは、man-in-the-middle HTTPS プロキシーがある場合に役立ちます。

前提条件

  • 以下のアカウントを使用して Red Hat OpenShift Service on AWS クラスターにアクセスしておく。
  • 設定マップを使用してクラスターに追加されたカスタム CA 証明書。
  • 必要な Operator が OLM にインストールされ、実行される。

手順

  1. Operator のサブスクリプションがある namespace に空の設定マップを作成し、以下のラベルを組み込みます。

    apiVersion: v1
    kind: ConfigMap
    metadata:
      name: trusted-ca 
    1
    
      labels:
        config.openshift.io/inject-trusted-cabundle: "true" 
    2
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
    1
    設定マップの名前。
    2
    Cluster Network Operator に対してマージされたバンドルを挿入するように要求します。

    この設定マップの作成後すぐに、設定マップにはマージされたバンドルの証明書の内容が設定されます。

  2. Subscription オブジェクトを更新し、trusted-ca 設定マップをカスタム CA を必要とする Pod 内の各コンテナーにボリュームとしてマウントする spec.config セクションを追加します。

    apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
    kind: Subscription
    metadata:
      name: my-operator
    spec:
      package: etcd
      channel: alpha
      config: 
    1
    
        selector:
          matchLabels:
            <labels_for_pods> 
    2
    
        volumes: 
    3
    
        - name: trusted-ca
          configMap:
            name: trusted-ca
            items:
              - key: ca-bundle.crt 
    4
    
                path: tls-ca-bundle.pem 
    5
    
        volumeMounts: 
    6
    
        - name: trusted-ca
          mountPath: /etc/pki/ca-trust/extracted/pem
          readOnly: true
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
    1
    config セクションがない場合に、これを追加します。
    2
    Operator が所有する Pod に一致するラベルを指定します。
    3
    trusted-ca ボリュームを作成します。
    4
    ca-bundle.crt は設定マップキーとして必要になります。
    5
    tls-ca-bundle.pem は設定マップパスとして必要になります。
    6
    trusted-ca ボリュームマウントを作成します。
    注記

    Operator のデプロイメントは認証局の検証に失敗し、x509 certificate signed by unknown authority エラーが表示される可能性があります。このエラーは、Operator のサブスクリプションの使用時にカスタム CA を挿入した後でも発生する可能性があります。この場合、Operator のサブスクリプションを使用して、trusted-ca の mountPath/etc/ssl/certs として設定できます。

4.5. Operator ステータスの表示

Operator Lifecycle Manager (OLM) のシステムの状態を理解することは、インストールされた Operator に関する問題について意思決定を行い、デバッグを行う上で重要です。OLM は、サブスクリプションおよびそれに関連するカタログソースリソースの状態および実行されたアクションに関する知見を提供します。これは、それぞれの Operator の正常性を把握するのに役立ちます。

4.5.1. Operator サブスクリプションの状態のタイプ

サブスクリプションは状態に関する以下のタイプを報告します。

Expand
表4.1 サブスクリプションの状態のタイプ
状態説明

CatalogSourcesUnhealthy

解決に使用される一部のまたはすべてのカタログソースは正常ではありません。

InstallPlanMissing

サブスクリプションのインストール計画がありません。

InstallPlanPending

サブスクリプションのインストール計画はインストールの保留中です。

InstallPlanFailed

サブスクリプションのインストール計画が失敗しました。

ResolutionFailed

サブスクリプションの依存関係の解決に失敗しました。

注記

デフォルトの Red Hat OpenShift Service on AWS クラスター Operator は、Cluster Version Operator (CVO) によって管理されます。この Operator には Subscription オブジェクトがありません。アプリケーション Operator は、Operator Lifecycle Manager (OLM) によって管理されます。この Operator には Subscription オブジェクトがあります。

4.5.2. CLI を使用した Operator サブスクリプションステータスの表示

CLI を使用して Operator サブスクリプションステータスを表示できます。

前提条件

  • dedicated-admin ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。

手順

  1. Operator サブスクリプションをリスト表示します。

    $ oc get subs -n <operator_namespace>
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  2. oc describe コマンドを使用して、Subscription リソースを検査します。

    $ oc describe sub <subscription_name> -n <operator_namespace>
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  3. コマンド出力で、Conditions セクションで Operator サブスクリプションの状態タイプのステータスを確認します。以下の例では、利用可能なすべてのカタログソースが正常であるため、CatalogSourcesUnhealthy 状態タイプのステータスは false になります。

    出力例

    Name:         cluster-logging
    Namespace:    openshift-logging
    Labels:       operators.coreos.com/cluster-logging.openshift-logging=
    Annotations:  <none>
    API Version:  operators.coreos.com/v1alpha1
    Kind:         Subscription
    # ...
    Conditions:
       Last Transition Time:  2019-07-29T13:42:57Z
       Message:               all available catalogsources are healthy
       Reason:                AllCatalogSourcesHealthy
       Status:                False
       Type:                  CatalogSourcesUnhealthy
    # ...
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

注記

デフォルトの Red Hat OpenShift Service on AWS クラスター Operator は、Cluster Version Operator (CVO) によって管理されます。この Operator には Subscription オブジェクトがありません。アプリケーション Operator は、Operator Lifecycle Manager (OLM) によって管理されます。この Operator には Subscription オブジェクトがあります。

4.5.3. CLI を使用した Operator カタログソースのステータス表示

Operator カタログソースのステータスは、CLI を使用して確認できます。

前提条件

  • dedicated-admin ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。

手順

  1. namespace のカタログソースをリスト表示します。たとえば、クラスター全体のカタログソースに使用されている openshift-marketplace namespace を確認することができます。

    $ oc get catalogsources -n openshift-marketplace
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    出力例

    NAME                  DISPLAY               TYPE   PUBLISHER   AGE
    certified-operators   Certified Operators   grpc   Red Hat     55m
    community-operators   Community Operators   grpc   Red Hat     55m
    example-catalog       Example Catalog       grpc   Example Org 2m25s
    redhat-operators      Red Hat Operators     grpc   Red Hat     55m
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

  2. カタログソースの詳細やステータスを確認するには、oc describe コマンドを使用します。

    $ oc describe catalogsource example-catalog -n openshift-marketplace
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    出力例

    Name:         example-catalog
    Namespace:    openshift-marketplace
    Labels:       <none>
    Annotations:  operatorframework.io/managed-by: marketplace-operator
                  target.workload.openshift.io/management: {"effect": "PreferredDuringScheduling"}
    API Version:  operators.coreos.com/v1alpha1
    Kind:         CatalogSource
    # ...
    Status:
      Connection State:
        Address:              example-catalog.openshift-marketplace.svc:50051
        Last Connect:         2021-09-09T17:07:35Z
        Last Observed State:  TRANSIENT_FAILURE
      Registry Service:
        Created At:         2021-09-09T17:05:45Z
        Port:               50051
        Protocol:           grpc
        Service Name:       example-catalog
        Service Namespace:  openshift-marketplace
    # ...
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    前述の出力例では、最後に観測された状態が TRANSIENT_FAILURE となっています。この状態は、カタログソースの接続確立に問題があることを示しています。

  3. カタログソースが作成された namespace の Pod をリストアップします。

    $ oc get pods -n openshift-marketplace
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    出力例

    NAME                                    READY   STATUS             RESTARTS   AGE
    certified-operators-cv9nn               1/1     Running            0          36m
    community-operators-6v8lp               1/1     Running            0          36m
    marketplace-operator-86bfc75f9b-jkgbc   1/1     Running            0          42m
    example-catalog-bwt8z                   0/1     ImagePullBackOff   0          3m55s
    redhat-operators-smxx8                  1/1     Running            0          36m
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    namespace にカタログソースを作成すると、その namespace にカタログソース用の Pod が作成されます。前述の出力例では、example-catalog-bwt8z Pod のステータスが ImagePullBackOff になっています。このステータスは、カタログソースのインデックスイメージのプルに問題があることを示しています。

  4. oc describe コマンドを使用して、より詳細な情報を得るために Pod を検査します。

    $ oc describe pod example-catalog-bwt8z -n openshift-marketplace
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    出力例

    Name:         example-catalog-bwt8z
    Namespace:    openshift-marketplace
    Priority:     0
    Node:         ci-ln-jyryyg2-f76d1-ggdbq-worker-b-vsxjd/10.0.128.2
    ...
    Events:
      Type     Reason          Age                From               Message
      ----     ------          ----               ----               -------
      Normal   Scheduled       48s                default-scheduler  Successfully assigned openshift-marketplace/example-catalog-bwt8z to ci-ln-jyryyf2-f76d1-fgdbq-worker-b-vsxjd
      Normal   AddedInterface  47s                multus             Add eth0 [10.131.0.40/23] from openshift-sdn
      Normal   BackOff         20s (x2 over 46s)  kubelet            Back-off pulling image "quay.io/example-org/example-catalog:v1"
      Warning  Failed          20s (x2 over 46s)  kubelet            Error: ImagePullBackOff
      Normal   Pulling         8s (x3 over 47s)   kubelet            Pulling image "quay.io/example-org/example-catalog:v1"
      Warning  Failed          8s (x3 over 47s)   kubelet            Failed to pull image "quay.io/example-org/example-catalog:v1": rpc error: code = Unknown desc = reading manifest v1 in quay.io/example-org/example-catalog: unauthorized: access to the requested resource is not authorized
      Warning  Failed          8s (x3 over 47s)   kubelet            Error: ErrImagePull
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    前述の出力例では、エラーメッセージは、カタログソースのインデックスイメージが承認問題のために正常にプルできないことを示しています。例えば、インデックスイメージがログイン認証情報を必要とするレジストリーに保存されている場合があります。

4.6. Operator 条件の管理

dedicated-admin ロールを持つ管理者は、Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用して Operator 条件を管理できます。

4.6.1. Operator 条件のオーバーライド

クラスター管理者には、Operator が報告するサポートされている Operator 条件を無視することを推奨します。Operator 条件が存在する場合、Spec.Overrides 配列の Operator 条件は Spec.Conditions 配列の条件を上書きし、これによりクラスター管理者は、Operator が Operator Lifecycle Manager (OLM) に状態を誤って報告する状況に対応することができます。

注記

デフォルトでは、Spec.Overrides 配列は、クラスター管理者によって追加されるまで、OperatorCondition オブジェクトには存在しません。Spec.Conditions 配列も、ユーザーが追加するか、カスタム Operator ロジックの結果として追加されるまで存在しません。

たとえば、アップグレードできないことを常に通信する Operator の既知のバージョンを考えてみましょう。この場合、Operator がアップグレードできないと通信していますが、Operator をアップグレードすることを推奨します。これは、条件の type および statusOperatorCondition オブジェクトの Spec.Overrides 配列に追加して Operator 条件をオーバーライドすることによって実行できます。

前提条件

  • cluster-admin ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
  • OperatorCondition オブジェクトを持つ Operator が OLM を使用してインストールされている。

手順

  1. Operator の OperatorCondition オブジェクトを編集します。

    $ oc edit operatorcondition <name>
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  2. Spec.Overrides 配列をオブジェクトに追加します。

    Operator 条件の上書きの例

    apiVersion: operators.coreos.com/v2
    kind: OperatorCondition
    metadata:
      name: my-operator
      namespace: operators
    spec:
      overrides:
      - type: Upgradeable 
    1
    
        status: "True"
        reason: "upgradeIsSafe"
        message: "This is a known issue with the Operator where it always reports that it cannot be upgraded."
      conditions:
      - type: Upgradeable
        status: "False"
        reason: "migration"
        message: "The operator is performing a migration."
        lastTransitionTime: "2020-08-24T23:15:55Z"
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    1
    クラスター管理者は、アップグレードの準備状態を True に変更できます。

4.6.2. Operator 条件を使用するための Operator の更新

Operator Lifecycle Manager (OLM) は、調整する ClusterServiceVersion リソースごとに OperatorCondition リソースを自動的に作成します。CSV のすべてのサービスアカウントには、Operator が所有する OperatorCondition と対話するための RBAC が付与されます。

Operator の作成者は、Operator が OLM によってデプロイされた後に、独自の条件を設定できるように Operator を開発し、operator-lib ライブラリーを使用することができます。Operator 作成者として Operator 条件を設定する方法の詳細は、Operator 条件の有効化 ページを参照してください。

4.6.2.1. デフォルトの設定

後方互換性を維持するために、OLM は OperatorCondition リソースがない状態を条件からのオプトアウトとして扱います。そのため、Operator 条件の使用にオプトインする Operator は、Pod の ready プローブが true に設定される前に、デフォルトの条件を設定する必要があります。これにより、Operator には、条件を正しい状態に更新するための猶予期間が与えられます。

4.7. カスタムカタログの管理

dedicated-admin ロールを持つ管理者と Operator カタログメンテナーは、Red Hat OpenShift Service on AWS の Operator Lifecycle Manager (OLM) で バンドル形式 を使用してパッケージ化したカスタムカタログを作成および管理できます。

重要

Kubernetes は定期的に特定の API を非推奨とし、後続のリリースで削除します。そのため、Red Hat OpenShift Service on AWS のバージョンで、API が削除された Kubernetes バージョンが採用されると、Operator がその API を使用できなくなります。

4.7.1. 前提条件

4.7.2. ファイルベースのカタログ

ファイルベースのカタログ は、Operator Lifecycle Manager (OLM) の最新バージョンのカタログ形式です。この形式は、プレーンテキストベース (JSON または YAML) であり、以前の SQLite データベース形式の宣言的な設定の進化であり、完全な下位互換性があります。

重要

Red Hat OpenShift Service on AWS 4.11 の時点で、デフォルトの Red Hat が提供する Operator カタログは、ファイルベースのカタログ形式でリリースされます。Red Hat OpenShift Service on AWS 4.6 から 4.10 までのデフォルトの Red Hat が提供する Operator カタログは、非推奨の SQLite データベース形式でリリースされました。

opm サブコマンド、フラグ、および SQLite データベース形式に関連する機能も非推奨となり、今後のリリースで削除されます。機能は引き続きサポートされており、非推奨の SQLite データベース形式を使用するカタログに使用する必要があります。

opm index prune などの SQLite データベース形式を使用する opm サブコマンドおよびフラグの多くは、ファイルベースのカタログ形式では機能しません。ファイルベースのカタログを使用する方法の詳細は、Operator Framework パッケージ形式 を参照してください。

4.7.2.1. ファイルベースのカタログイメージの作成

opm CLI を使用して、非推奨の SQLite データベース形式を置き換えるプレーンテキストの ファイルベースのカタログ 形式 (JSON または YAML) を使用するカタログイメージを作成できます。

前提条件

  • opm CLI がインストールされている。
  • podman バージョン 1.9.3 以降がある。
  • バンドルイメージがビルドされ、Docker v2-2 をサポートするレジストリーにプッシュされている。

手順

  1. カタログを初期化します。

    1. 次のコマンドを実行して、カタログ用のディレクトリーを作成します。

      $ mkdir <catalog_dir>
      Copy to Clipboard Toggle word wrap
    2. opm generate dockerfile コマンドを実行して、カタログイメージを構築できる Dockerfile を生成します。

      $ opm generate dockerfile <catalog_dir> \
          -i registry.redhat.io/openshift4/ose-operator-registry-rhel9:v4 
      1
      Copy to Clipboard Toggle word wrap
      1
      -i フラグを使用して公式の Red Hat ベースイメージを指定します。それ以外の場合、Dockerfile はデフォルトのアップストリームイメージを使用します。

      Dockerfile は、直前の手順で作成したカタログディレクトリーと同じ親ディレクトリーに存在する必要があります。

      ディレクトリー構造の例

      . 
      1
      
      ├── <catalog_dir> 
      2
      
      └── <catalog_dir>.Dockerfile 
      3
      Copy to Clipboard Toggle word wrap

      1
      親ディレクトリー
      2
      カタログディレクトリー
      3
      opm generate dockerfile コマンドによって生成された Dockerfile
    3. opm init コマンドを実行して、カタログに Operator のパッケージ定義を追加します。

      $ opm init <operator_name> \ 
      1
      
          --default-channel=preview \ 
      2
      
          --description=./README.md \ 
      3
      
          --icon=./operator-icon.svg \ 
      4
      
          --output yaml \ 
      5
      
          > <catalog_dir>/index.yaml 
      6
      Copy to Clipboard Toggle word wrap
      1
      Operator、またはパッケージ、名前。
      2
      指定されていない場合にサブスクリプションがデフォルトで使用するチャネル
      3
      Operator の README.md またはその他のドキュメントへのパス。
      4
      Operator のアイコンへのパス。
      5
      出力形式: JSON または YAML。
      6
      カタログ設定ファイルを作成するパス。

      このコマンドは、指定されたカタログ設定ファイルに olm.package 宣言型設定 blob を生成します。

  2. opm render コマンドを実行して、バンドルをカタログに追加します。

    $ opm render <registry>/<namespace>/<bundle_image_name>:<tag> \ 
    1
    
        --output=yaml \
        >> <catalog_dir>/index.yaml 
    2
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
    1
    バンドルイメージのプル仕様。
    2
    カタログ設定ファイルへのパス。
    注記

    チャネルには、1 つ以上のバンドルが含まれる必要があります。

  3. バンドルのチャネルエントリーを追加します。たとえば、次の例を仕様に合わせて変更し、<catalog_dir>/index.yaml ファイルに追加します。

    チャネルエントリーの例

    ---
    schema: olm.channel
    package: <operator_name>
    name: preview
    entries:
      - name: <operator_name>.v0.1.0 
    1
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    1
    <operator_name> の後、かつ、バージョンの v の前に、ピリオド (.) を追加するようにしてください。それ以外の場合、エントリーが opm validate コマンドに合格できません。
  4. ファイルベースのカタログを検証します。

    1. カタログディレクトリーに対して opm validate コマンドを実行します。

      $ opm validate <catalog_dir>
      Copy to Clipboard Toggle word wrap
    2. エラーコードが 0 であることを確認します。

      $ echo $?
      Copy to Clipboard Toggle word wrap

      出力例

      0
      Copy to Clipboard Toggle word wrap

  5. podman build コマンドを実行して、カタログイメージをビルドします。

    $ podman build . \
        -f <catalog_dir>.Dockerfile \
        -t <registry>/<namespace>/<catalog_image_name>:<tag>
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  6. カタログイメージをレジストリーにプッシュします。

    1. 必要に応じて、podman login コマンドを実行してターゲットレジストリーで認証します。

      $ podman login <registry>
      Copy to Clipboard Toggle word wrap
    2. podman push コマンドを実行して、カタログイメージをプッシュします。

      $ podman push <registry>/<namespace>/<catalog_image_name>:<tag>
      Copy to Clipboard Toggle word wrap

4.7.3. SQLite ベースのカタログ

重要

Operator カタログの SQLite データベース形式は非推奨の機能です。非推奨の機能は依然として Red Hat OpenShift Service on AWS に含まれており、引き続きサポートされますが、この製品の今後のリリースで削除されるため、新規デプロイメントでの使用は推奨されません。

Red Hat OpenShift Service on AWS で非推奨化または削除された主な機能の最新のリストは、Red Hat OpenShift Service on AWS リリースノートの 非推奨および削除された機能 セクションを参照してください。

4.7.3.1. SQLite ベースのインデックスイメージの作成

opm CLI を使用して、SQLite データベース形式に基づいてインデックスイメージを作成できます。

前提条件

  • opm CLI がインストールされている。
  • podman バージョン 1.9.3 以降がある。
  • バンドルイメージがビルドされ、Docker v2-2 をサポートするレジストリーにプッシュされている。

手順

  1. 新しいインデックスを開始します。

    $ opm index add \
        --bundles <registry>/<namespace>/<bundle_image_name>:<tag> \
    1
    
        --tag <registry>/<namespace>/<index_image_name>:<tag> \
    2
    
        [--binary-image <registry_base_image>] 
    3
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
    1
    インデックスに追加するバンドルイメージのコンマ区切りのリスト。
    2
    インデックスイメージで使用するイメージタグ。
    3
    オプション: カタログを提供するために使用する代替レジストリーベースイメージ。
  2. インデックスイメージをレジストリーにプッシュします。

    1. 必要な場合は、ターゲットレジストリーで認証します。

      $ podman login <registry>
      Copy to Clipboard Toggle word wrap
    2. インデックスイメージをプッシュします。

      $ podman push <registry>/<namespace>/<index_image_name>:<tag>
      Copy to Clipboard Toggle word wrap
4.7.3.2. SQLite ベースのインデックスイメージの更新

カスタムインデックスイメージを参照するカタログソースを使用するように OperatorHub を設定した後に、クラスター管理者はバンドルイメージをインデックスイメージに追加して、クラスターで利用可能な Operator を最新の状態に維持することができます。

opm index add コマンドを使用して既存インデックスイメージを更新できます。

前提条件

  • opm CLI がインストールされている。
  • podman バージョン 1.9.3 以降がある。
  • インデックスイメージがビルドされ、レジストリーにプッシュされている。
  • インデックスイメージを参照する既存のカタログソースがある。

手順

  1. バンドルイメージを追加して、既存のインデックスを更新します。

    $ opm index add \
        --bundles <registry>/<namespace>/<new_bundle_image>@sha256:<digest> \
    1
    
        --from-index <registry>/<namespace>/<existing_index_image>:<existing_tag> \
    2
    
        --tag <registry>/<namespace>/<existing_index_image>:<updated_tag> \
    3
    
        --pull-tool podman 
    4
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
    1
    --bundles フラグは、インデックスに追加する他のバンドルイメージのコンマ区切りリストを指定します。
    2
    --from-index フラグは、以前にプッシュされたインデックスを指定します。
    3
    --tag フラグは、更新されたインデックスイメージに適用するイメージタグを指定します。
    4
    --pull-tool フラグは、コンテナーイメージのプルに使用されるツールを指定します。

    ここでは、以下のようになります。

    <registry>
    quay.iomirror.example.com などのレジストリーのホスト名を指定します。
    <namespace>
    ocs-devabc など、レジストリーの namespace を指定します。
    <new_bundle_image>
    ocs-operator など、レジストリーに追加する新しいバンドルイメージを指定します。
    <digest>
    c7f11097a628f092d8bad148406aa0e0951094a03445fd4bc0775431ef683a41 などのバンドルイメージの SHA イメージ ID またはダイジェストを指定します。
    <existing_index_image>
    abc-redhat-operator-index など、以前にプッシュされたイメージを指定します。
    <existing_tag>
    以前にプッシュしたイメージのタグ (4 など) を指定します。
    <updated_tag>
    更新されたインデックスイメージに適用するイメージタグ (4.1 など) を指定します。

    コマンドの例

    $ opm index add \
        --bundles quay.io/ocs-dev/ocs-operator@sha256:c7f11097a628f092d8bad148406aa0e0951094a03445fd4bc0775431ef683a41 \
        --from-index mirror.example.com/abc/abc-redhat-operator-index:4 \
        --tag mirror.example.com/abc/abc-redhat-operator-index:4.1 \
        --pull-tool podman
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

  2. 更新されたインデックスイメージをプッシュします。

    $ podman push <registry>/<namespace>/<existing_index_image>:<updated_tag>
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  3. Operator Lifecycle Manager (OLM) がカタログソースで参照されるインデックスイメージを一定間隔で自動的にポーリングした後に、新規パッケージが正常に追加されたことを確認します。

    $ oc get packagemanifests -n openshift-marketplace
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
4.7.3.3. SQLite ベースのインデックスイメージのフィルタリング

Operator Bundle Format に基づくインデックスイメージは、Operator カタログのコンテナー化されたスナップショットです。パッケージの指定された一覧以外のすべてのインデックスを プルーニング できます。これにより、必要な Operator のみが含まれるソースインデックスのコピーを作成できます。

前提条件

  • podman バージョン 1.9.3 以降がある。
  • grpcurl (サードパーティーのコマンドラインツール) がある。
  • opm CLI がインストールされている。
  • Docker v2-2 をサポートするレジストリーにアクセスできる。

手順

  1. ターゲットレジストリーで認証します。

    $ podman login <target_registry>
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  2. プルーニングされたインデックスに追加するパッケージのリストを判別します。

    1. コンテナーでプルーニングするソースインデックスイメージを実行します。以下に例を示します。

      $ podman run -p50051:50051 \
          -it registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4
      Copy to Clipboard Toggle word wrap

      出力例

      Trying to pull registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4...
      Getting image source signatures
      Copying blob ae8a0c23f5b1 done
      ...
      INFO[0000] serving registry                              database=/database/index.db port=50051
      Copy to Clipboard Toggle word wrap

    2. 別のターミナルセッションで、grpcurl コマンドを使用して、インデックスが提供するパッケージのリストを取得します。

      $ grpcurl -plaintext localhost:50051 api.Registry/ListPackages > packages.out
      Copy to Clipboard Toggle word wrap
    3. packages.out ファイルを検査し、プルーニングされたインデックスに保持したいパッケージ名をこのリストから特定します。以下に例を示します。

      パッケージリストのスニペットの例

      ...
      {
        "name": "advanced-cluster-management"
      }
      ...
      {
        "name": "jaeger-product"
      }
      ...
      {
      {
        "name": "quay-operator"
      }
      ...
      Copy to Clipboard Toggle word wrap

    4. podman run コマンドを実行したターミナルセッションで、CtrlC を押してコンテナープロセスを停止します。
  3. 以下のコマンドを実行して、指定したパッケージ以外のすべてのパッケージのソースインデックスをプルーニングします。

    $ opm index prune \
        -f registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4 \
    1
    
        -p advanced-cluster-management,jaeger-product,quay-operator \
    2
    
        [-i registry.redhat.io/openshift4/ose-operator-registry-rhel9:v4] \
    3
    
        -t <target_registry>:<port>/<namespace>/redhat-operator-index:v4 
    4
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
    1
    プルーニングするインデックス。
    2
    保持するパッケージのコンマ区切りリスト。
    3
    IBM Power® および IBM Z® イメージにのみ必要: Red Hat OpenShift Service on AWS クラスターのターゲットのメジャーバージョンとマイナーバージョンに一致するタグを持つ Operator Registry ベースイメージ。
    4
    ビルドされる新規インデックスイメージのカスタムタグ。
  4. 以下のコマンドを実行して、新規インデックスイメージをターゲットレジストリーにプッシュします。

    $ podman push <target_registry>:<port>/<namespace>/redhat-operator-index:v4
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    ここで、<namespace> はレジストリー上の既存の namespace になります。

4.7.4. カタログソースと Pod セキュリティーアドミッション

Pod のセキュリティー標準を確保するために、Pod セキュリティーアドミッション が Red Hat OpenShift Service on AWS 4.11 で導入されました。SQLite ベースのカタログ形式と、Red Hat OpenShift Service on AWS 4.11 より前にリリースされたバージョンの opm CLI ツールを使用してビルドされたカタログソースは、制限付き Pod セキュリティーの適用下では実行できません。

Red Hat OpenShift Service on AWS 4 では、制限付き Pod セキュリティーが namespace にデフォルトで適用されず、カタログソースのデフォルトセキュリティーモードが legacy に設定されています。

すべての namespace に対するデフォルトの制限付き適用は、今後の Red Hat OpenShift Service on AWS リリースに組み込まれる予定です。制限付き適用が発生した場合、カタログソース Pod の Pod 仕様のセキュリティーコンテキストは、制限付き Pod のセキュリティー標準に一致する必要があります。カタログソースイメージで別の Pod セキュリティー標準が必要な場合は、namespace の Pod セキュリティーアドミッションラベルを明示的に設定する必要があります。

注記

SQLite ベースのカタログソース Pod を制限付きで実行する必要がない場合は、Red Hat OpenShift Service on AWS 4 でカタログソースを更新する必要はありません。

ただし、制限付きの Pod セキュリティー適用下でカタログソースが確実に実行されるように、今すぐ対策を講じることを推奨します。制限付き Pod セキュリティー適用下でカタログソースが確実に実行されるように対策を講じないと、今後の Red Hat OpenShift Service on AWS リリースでカタログソースが動作しなくなる可能性があります。

カタログの作成者は、次のいずれかのアクションを実行することで、制限付き Pod セキュリティー適用との互換性を有効にできます。

  • カタログをファイルベースのカタログ形式に移行します。
  • Red Hat OpenShift Service on AWS 4.11 以降でリリースされた opm CLI ツールのバージョンを使用してカタログイメージを更新します。
注記

SQLite データベースカタログ形式は非推奨ですが、Red Hat では引き続きサポートされています。将来のリリースでは、SQLite データベース形式はサポートされなくなり、カタログはファイルベースのカタログ形式に移行する必要があります。Red Hat OpenShift Service on AWS 4.11 以降、デフォルトの Red Hat 提供の Operator カタログは、ファイルベースのカタログ形式でリリースされます。ファイルベースのカタログは、制限付き Pod セキュリティー適用と互換性があります。

SQLite データベースカタログイメージを更新したり、カタログをファイルベースのカタログ形式に移行したりしたくない場合は、昇格されたアクセス許可で実行するようにカタログを設定できます。

4.7.4.2. SQLite データベースカタログイメージの再ビルド

Red Hat OpenShift Service on AWS のお使いのバージョンでリリースされた opm CLI ツールの最新バージョンを使用して、SQLite データベースカタログイメージを再ビルドできます。

前提条件

  • SQLite データベースカタログソースがある。
  • cluster-admin ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
  • Red Hat OpenShift Service on AWS 4 でリリースされた opm CLI ツールの最新バージョンが、ワークステーションにインストールされている。

手順

  • 次のコマンドを実行して、最新バージョンの opm CLI ツールでカタログを再構築します。

    $ opm index add --binary-image \
      registry.redhat.io/openshift4/ose-operator-registry-rhel9:v4 \
      --from-index <your_registry_image> \
      --bundles "" -t \<your_registry_image>
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
4.7.4.3. 昇格された権限で実行するためのカタログの設定

SQLite データベースカタログイメージを更新したり、カタログをファイルベースのカタログ形式に移行したりしたくない場合は、次のアクションを実行して、デフォルトの Pod セキュリティー適用が制限付きに変更されたときにカタログソースが確実に実行されるようにすることができます。

  • カタログソース定義でカタログセキュリティーモードをレガシーに手動で設定します。このアクションにより、デフォルトのカタログセキュリティーモードが制限付きに変更された場合でも、カタログが従来のアクセス許可で実行されることが保証されます。
  • ベースラインまたは特権付き Pod のセキュリティー適用のために、カタログソースの namespace にラベルを付けます。
注記

SQLite データベースカタログ形式は非推奨ですが、Red Hat では引き続きサポートされています。将来のリリースでは、SQLite データベース形式はサポートされなくなり、カタログはファイルベースのカタログ形式に移行する必要があります。ファイルベースのカタログは、制限付き Pod セキュリティー適用と互換性があります。

前提条件

  • SQLite データベースカタログソースがある。
  • cluster-admin ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
  • Pod Security Admission 標準が baseline または privileged に昇格された実行中の Pod をサポートするターゲット namespace がある。

手順

  1. 次の例に示すように、spec.grpcPodConfig.securityContextConfig ラベルを legacy に設定して、CatalogSource 定義を編集します。

    CatalogSource 定義の例

    apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
    kind: CatalogSource
    metadata:
      name: my-catsrc
      namespace: my-ns
    spec:
      sourceType: grpc
      grpcPodConfig:
        securityContextConfig: legacy
      image: my-image:latest
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    ヒント

    Red Hat OpenShift Service on AWS 4 では、spec.grpcPodConfig.securityContextConfig フィールドはデフォルトで legacy に設定されています。Red Hat OpenShift Service on AWS の今後のリリースでは、デフォルト設定が restricted に変更される予定です。カタログを制限付き適用で実行できない場合は、このフィールドを手動で legacy に設定することを推奨します。

  2. 次の例に示すように、<namespace>.yaml ファイルを編集して、上位の Pod Security Admission 標準をカタログソース namespace に追加します。

    <namespace>.yaml ファイルの例

    apiVersion: v1
    kind: Namespace
    metadata:
    ...
      labels:
        security.openshift.io/scc.podSecurityLabelSync: "false" 
    1
    
        openshift.io/cluster-monitoring: "true"
        pod-security.kubernetes.io/enforce: baseline 
    2
    
      name: "<namespace_name>"
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    1
    security.openshift.io/scc.podSecurityLabelSync=false ラベルを namespace に追加して、Pod のセキュリティーラベルの同期をオフにします。
    2
    Pod セキュリティーアドミッションの pod-security.kubernetes.io/enforce ラベルを適用します。ラベルを baseline または privileged に設定します。namespace 内の他のワークロードが privileged プロファイルを必要としないかぎり、baseline Pod セキュリティープロファイルを使用します。

4.7.5. クラスターへのカタログソースの追加

Red Hat OpenShift Service on AWS クラスターにカタログソースを追加すると、ユーザーが Operator を検出してインストールできるようになります。クラスター管理者は、インデックスイメージを参照する CatalogSource オブジェクトを作成できます。OperatorHub はカタログソースを使用してユーザーインターフェイスを設定します。

ヒント

または、Web コンソールを使用してカタログソースを管理できます。AdministrationCluster SettingsConfigurationOperatorHub ページから、Sources タブをクリックして、個別のソースを作成、更新、削除、無効化、有効化できます。

前提条件

  • インデックスイメージをビルドしてレジストリーにプッシュしている。
  • cluster-admin ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。

手順

  1. インデックスイメージを参照する CatalogSource オブジェクトを作成します。

    1. 仕様を以下のように変更し、これを catalogSource.yaml ファイルとして保存します。

      apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
      kind: CatalogSource
      metadata:
        name: my-operator-catalog
        namespace: openshift-marketplace 
      1
      
        annotations:
          olm.catalogImageTemplate: 
      2
      
            "<registry>/<namespace>/<index_image_name>:v{kube_major_version}.{kube_minor_version}.{kube_patch_version}"
      spec:
        sourceType: grpc
        grpcPodConfig:
          securityContextConfig: <security_mode> 
      3
      
        image: <registry>/<namespace>/<index_image_name>:<tag> 
      4
      
        displayName: My Operator Catalog
        publisher: <publisher_name> 
      5
      
        updateStrategy:
          registryPoll: 
      6
      
            interval: 30m
      Copy to Clipboard Toggle word wrap
      1
      カタログソースを全 namespace のユーザーがグローバルに利用できるようにする場合は、openshift-marketplace namespace を指定します。それ以外の場合は、そのカタログの別の namespace を対象とし、その namespace のみが利用できるように指定できます。
      2
      任意: olm.catalogImageTemplate アノテーションをカタログイメージ名に設定し、イメージタグのテンプレートを作成する際に、1 つ以上の Kubernetes クラスターバージョン変数を使用します。
      3
      legacy または restricted の値を指定します。フィールドが設定されていない場合、デフォルト値は legacy です。今後の Red Hat OpenShift Service on AWS リリースでは、デフォルト値が restricted になる予定です。restricted 権限でカタログを実行できない場合は、このフィールドを手動で legacy に設定することを推奨します。
      4
      インデックスイメージを指定します。イメージ名の後にタグを指定すると (:v4 など)、カタログソース Pod が Always イメージプルポリシーを使用します。つまり、Pod がコンテナーを起動する前に常にイメージをプルするようになります。@sha256:<id> などのダイジェストを指定した場合、イメージプルポリシーは IfNotPresent になります。これは、イメージがノード上にまだ存在しない場合にのみ、Pod がイメージをプルすることを意味します。
      5
      カタログを公開する名前または組織名を指定します。
      6
      カタログソースは新規バージョンの有無を自動的にチェックし、最新の状態を維持します。
    2. このファイルを使用して CatalogSource オブジェクトを作成します。

      $ oc apply -f catalogSource.yaml
      Copy to Clipboard Toggle word wrap
  2. 以下のリソースが正常に作成されていることを確認します。

    1. Pod を確認します。

      $ oc get pods -n openshift-marketplace
      Copy to Clipboard Toggle word wrap

      出力例

      NAME                                    READY   STATUS    RESTARTS  AGE
      my-operator-catalog-6njx6               1/1     Running   0         28s
      marketplace-operator-d9f549946-96sgr    1/1     Running   0         26h
      Copy to Clipboard Toggle word wrap

    2. カタログソースを確認します。

      $ oc get catalogsource -n openshift-marketplace
      Copy to Clipboard Toggle word wrap

      出力例

      NAME                  DISPLAY               TYPE PUBLISHER  AGE
      my-operator-catalog   My Operator Catalog   grpc            5s
      Copy to Clipboard Toggle word wrap

    3. パッケージマニフェストを確認します。

      $ oc get packagemanifest -n openshift-marketplace
      Copy to Clipboard Toggle word wrap

      出力例

      NAME                          CATALOG               AGE
      jaeger-product                My Operator Catalog   93s
      Copy to Clipboard Toggle word wrap

これで Red Hat OpenShift Service on AWS Web コンソールの OperatorHub ページから Operator をインストールできるようになりました。

4.7.6. カスタムカタログの削除

dedicated-admin ロールを持つ管理者は、関連するカタログソースを削除することで、以前にクラスターに追加したカスタム Operator カタログを削除できます。

前提条件

  • dedicated-admin ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。

手順

  1. Web コンソールの Administrator パースペクティブで、HomeSearch に移動します。
  2. Project: リストからプロジェクトを選択します。
  3. Resources リストから CatalogSource を選択します。
  4. 削除するカタログの Options メニュー kebab を選択し、Delete CatalogSource をクリックします。

4.8. カタログソース Pod のスケジューリング

ソースタイプ grpc の Operator Lifecycle Manager (OLM) カタログソースが spec.image を定義すると、Catalog Operator は、定義されたイメージコンテンツを提供する Pod を作成します。デフォルトでは、この Pod は、その仕様で以下を定義します。

  • kubernetes.io/os=linux ノードセレクターのみ
  • デフォルトの優先クラス名: system-cluster-critical
  • toleration なし

管理者は、CatalogSource オブジェクトのオプションの spec.grpcPodConfig セクションのフィールドを変更すると、これらの値をオーバーライドできます。

重要

Marketplace Operator の openshift-marketplace は、デフォルトの OperatorHub カスタムリソース (CR) を管理します。この CR は CatalogSource オブジェクトを管理します。CatalogSource オブジェクトの spec.grpcPodConfig セクションのフィールドを変更しようとすると、Marketplace Operator はこれらの変更を自動的に元に戻します。デフォルトでは、CatalogSource オブジェクトの spec.grpcPodConfig セクションのフィールドを変更すると、Marketplace Operator はこれらの変更を自動的に元に戻します。

CatalogSource オブジェクトに永続的な変更を適用するには、まずデフォルトの CatalogSource オブジェクトを無効にする必要があります。

4.8.1. ローカルレベルでのデフォルト CatalogSource オブジェクトの無効化

デフォルトの CatalogSource オブジェクトを無効にすることで、カタログソース Pod などの永続的な変更をローカルレベルで CatalogSource オブジェクトに適用できます。デフォルトの CatalogSource オブジェクトの設定が組織のニーズを満たさない場合は、デフォルト設定を検討してください。デフォルトでは、CatalogSource オブジェクトの spec.grpcPodConfig セクションのフィールドを変更すると、Marketplace Operator はこれらの変更を自動的に元に戻します。

Marketplace Operator の openshift-marketplace は、OperatorHub のデフォルトのカスタムリソース (CR) を管理します。OperatorHubCatalogSource オブジェクトを管理します。

CatalogSource オブジェクトに永続的な変更を適用するには、まずデフォルトの CatalogSource オブジェクトを無効にする必要があります。

手順

  • すべてのデフォルトの CatalogSource オブジェクトをローカルレベルで無効にするには、次のコマンドを入力します。

    $ oc patch operatorhub cluster -p '{"spec": {"disableAllDefaultSources": true}}' --type=merge
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
    注記

    また、デフォルトの OperatorHub CR を設定して、すべての CatalogSource オブジェクトを無効にするか、または特定のオブジェクトを無効にすることもできます。

4.8.2. カタログソース Pod のノードセレクターのオーバーライド

前提条件

  • spec.image を持つソースタイプ grpcCatalogSource オブジェクトが定義されている。

手順

  • CatalogSource オブジェクトを編集し、spec.grpcPodConfig セクションを追加または変更して、以下を含めます。

      grpcPodConfig:
        nodeSelector:
          custom_label: <label>
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    <label> は、カタログソース Pod がスケジュールに使用するノードセレクターのラベルです。

4.8.3. カタログソース Pod の優先度クラス名のオーバーライド

前提条件

  • spec.image を持つソースタイプ grpcCatalogSource オブジェクトが定義されている。

手順

  • CatalogSource オブジェクトを編集し、spec.grpcPodConfig セクションを追加または変更して、以下を含めます。

      grpcPodConfig:
        priorityClassName: <priority_class>
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    <priority_class> は次のいずれかです。

    • Kubernetes によって提供されるデフォルトの優先度クラスの 1 つ: system-cluster-critical または system-node-critical
    • デフォルトの優先度を割り当てる空のセット ("")
    • 既存およびカスタム定義の優先度クラス
注記

以前は、オーバーライドできる唯一の Pod スケジューリングパラメーターは priorityClassName でした。これは、operatorframework.io/priorityclass アノテーションを CatalogSource オブジェクトに追加することによって行われました。以下に例を示します。

apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
kind: CatalogSource
metadata:
  name: example-catalog
  namespace: openshift-marketplace
  annotations:
    operatorframework.io/priorityclass: system-cluster-critical
Copy to Clipboard Toggle word wrap

CatalogSource オブジェクトがアノテーションと spec.grpcPodConfig.priorityClassName の両方を定義する場合、アノテーションは設定パラメーターよりも優先されます。

4.8.4. カタログソース Pod の Toleration のオーバーライド

前提条件

  • spec.image を持つソースタイプ grpcCatalogSource オブジェクトが定義されている。

手順

  • CatalogSource オブジェクトを編集し、spec.grpcPodConfig セクションを追加または変更して、以下を含めます。

      grpcPodConfig:
        tolerations:
          - key: "<key_name>"
            operator: "<operator_type>"
            value: "<value>"
            effect: "<effect>"
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

4.9. Operator 関連の問題のトラブルシューティング

Operator に問題が発生した場合には、Operator Subscription のステータスを確認します。クラスター全体で Operator Pod の正常性を確認し、診断用に Operator ログを収集します。

4.9.1. Operator サブスクリプションの状態のタイプ

サブスクリプションは状態に関する以下のタイプを報告します。

Expand
表4.2 サブスクリプションの状態のタイプ
状態説明

CatalogSourcesUnhealthy

解決に使用される一部のまたはすべてのカタログソースは正常ではありません。

InstallPlanMissing

サブスクリプションのインストール計画がありません。

InstallPlanPending

サブスクリプションのインストール計画はインストールの保留中です。

InstallPlanFailed

サブスクリプションのインストール計画が失敗しました。

ResolutionFailed

サブスクリプションの依存関係の解決に失敗しました。

注記

デフォルトの Red Hat OpenShift Service on AWS クラスター Operator は、Cluster Version Operator (CVO) によって管理されます。この Operator には Subscription オブジェクトがありません。アプリケーション Operator は、Operator Lifecycle Manager (OLM) によって管理されます。この Operator には Subscription オブジェクトがあります。

4.9.2. CLI を使用した Operator サブスクリプションステータスの表示

CLI を使用して Operator サブスクリプションステータスを表示できます。

前提条件

  • dedicated-admin ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。

手順

  1. Operator サブスクリプションをリスト表示します。

    $ oc get subs -n <operator_namespace>
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  2. oc describe コマンドを使用して、Subscription リソースを検査します。

    $ oc describe sub <subscription_name> -n <operator_namespace>
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  3. コマンド出力で、Conditions セクションで Operator サブスクリプションの状態タイプのステータスを確認します。以下の例では、利用可能なすべてのカタログソースが正常であるため、CatalogSourcesUnhealthy 状態タイプのステータスは false になります。

    出力例

    Name:         cluster-logging
    Namespace:    openshift-logging
    Labels:       operators.coreos.com/cluster-logging.openshift-logging=
    Annotations:  <none>
    API Version:  operators.coreos.com/v1alpha1
    Kind:         Subscription
    # ...
    Conditions:
       Last Transition Time:  2019-07-29T13:42:57Z
       Message:               all available catalogsources are healthy
       Reason:                AllCatalogSourcesHealthy
       Status:                False
       Type:                  CatalogSourcesUnhealthy
    # ...
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

注記

デフォルトの Red Hat OpenShift Service on AWS クラスター Operator は、Cluster Version Operator (CVO) によって管理されます。この Operator には Subscription オブジェクトがありません。アプリケーション Operator は、Operator Lifecycle Manager (OLM) によって管理されます。この Operator には Subscription オブジェクトがあります。

4.9.3. CLI を使用した Operator カタログソースのステータス表示

Operator カタログソースのステータスは、CLI を使用して確認できます。

前提条件

  • dedicated-admin ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。

手順

  1. namespace のカタログソースをリスト表示します。たとえば、クラスター全体のカタログソースに使用されている openshift-marketplace namespace を確認することができます。

    $ oc get catalogsources -n openshift-marketplace
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    出力例

    NAME                  DISPLAY               TYPE   PUBLISHER   AGE
    certified-operators   Certified Operators   grpc   Red Hat     55m
    community-operators   Community Operators   grpc   Red Hat     55m
    example-catalog       Example Catalog       grpc   Example Org 2m25s
    redhat-operators      Red Hat Operators     grpc   Red Hat     55m
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

  2. カタログソースの詳細やステータスを確認するには、oc describe コマンドを使用します。

    $ oc describe catalogsource example-catalog -n openshift-marketplace
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    出力例

    Name:         example-catalog
    Namespace:    openshift-marketplace
    Labels:       <none>
    Annotations:  operatorframework.io/managed-by: marketplace-operator
                  target.workload.openshift.io/management: {"effect": "PreferredDuringScheduling"}
    API Version:  operators.coreos.com/v1alpha1
    Kind:         CatalogSource
    # ...
    Status:
      Connection State:
        Address:              example-catalog.openshift-marketplace.svc:50051
        Last Connect:         2021-09-09T17:07:35Z
        Last Observed State:  TRANSIENT_FAILURE
      Registry Service:
        Created At:         2021-09-09T17:05:45Z
        Port:               50051
        Protocol:           grpc
        Service Name:       example-catalog
        Service Namespace:  openshift-marketplace
    # ...
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    前述の出力例では、最後に観測された状態が TRANSIENT_FAILURE となっています。この状態は、カタログソースの接続確立に問題があることを示しています。

  3. カタログソースが作成された namespace の Pod をリストアップします。

    $ oc get pods -n openshift-marketplace
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    出力例

    NAME                                    READY   STATUS             RESTARTS   AGE
    certified-operators-cv9nn               1/1     Running            0          36m
    community-operators-6v8lp               1/1     Running            0          36m
    marketplace-operator-86bfc75f9b-jkgbc   1/1     Running            0          42m
    example-catalog-bwt8z                   0/1     ImagePullBackOff   0          3m55s
    redhat-operators-smxx8                  1/1     Running            0          36m
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    namespace にカタログソースを作成すると、その namespace にカタログソース用の Pod が作成されます。前述の出力例では、example-catalog-bwt8z Pod のステータスが ImagePullBackOff になっています。このステータスは、カタログソースのインデックスイメージのプルに問題があることを示しています。

  4. oc describe コマンドを使用して、より詳細な情報を得るために Pod を検査します。

    $ oc describe pod example-catalog-bwt8z -n openshift-marketplace
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    出力例

    Name:         example-catalog-bwt8z
    Namespace:    openshift-marketplace
    Priority:     0
    Node:         ci-ln-jyryyg2-f76d1-ggdbq-worker-b-vsxjd/10.0.128.2
    ...
    Events:
      Type     Reason          Age                From               Message
      ----     ------          ----               ----               -------
      Normal   Scheduled       48s                default-scheduler  Successfully assigned openshift-marketplace/example-catalog-bwt8z to ci-ln-jyryyf2-f76d1-fgdbq-worker-b-vsxjd
      Normal   AddedInterface  47s                multus             Add eth0 [10.131.0.40/23] from openshift-sdn
      Normal   BackOff         20s (x2 over 46s)  kubelet            Back-off pulling image "quay.io/example-org/example-catalog:v1"
      Warning  Failed          20s (x2 over 46s)  kubelet            Error: ImagePullBackOff
      Normal   Pulling         8s (x3 over 47s)   kubelet            Pulling image "quay.io/example-org/example-catalog:v1"
      Warning  Failed          8s (x3 over 47s)   kubelet            Failed to pull image "quay.io/example-org/example-catalog:v1": rpc error: code = Unknown desc = reading manifest v1 in quay.io/example-org/example-catalog: unauthorized: access to the requested resource is not authorized
      Warning  Failed          8s (x3 over 47s)   kubelet            Error: ErrImagePull
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    前述の出力例では、エラーメッセージは、カタログソースのインデックスイメージが承認問題のために正常にプルできないことを示しています。例えば、インデックスイメージがログイン認証情報を必要とするレジストリーに保存されている場合があります。

4.9.4. Operator Pod ステータスのクエリー

クラスター内の Operator Pod およびそれらのステータスをリスト表示できます。詳細な Operator Pod の要約を収集することもできます。

前提条件

  • dedicated-admin ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
  • API サービスが機能している。
  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。

手順

  1. クラスターで実行されている Operator をリスト表示します。出力には、Operator バージョン、可用性、およびアップタイムの情報が含まれます。

    $ oc get clusteroperators
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  2. Operator の namespace で実行されている Operator Pod をリスト表示し、Pod のステータス、再起動、および経過時間をリスト表示します。

    $ oc get pod -n <operator_namespace>
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  3. 詳細な Operator Pod の要約を出力します。

    $ oc describe pod <operator_pod_name> -n <operator_namespace>
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

4.9.5. Operator ログの収集

Operator の問題が発生した場合、Operator Pod ログから詳細な診断情報を収集できます。

前提条件

  • dedicated-admin ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
  • API サービスが機能している。
  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。
  • コントロールプレーンまたはコントロールプレーンマシンの完全修飾ドメイン名がある。

手順

  1. Operator の namespace で実行されている Operator Pod、Pod のステータス、再起動、および経過時間をリスト表示します。

    $ oc get pods -n <operator_namespace>
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  2. Operator Pod のログを確認します。

    $ oc logs pod/<pod_name> -n <operator_namespace>
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    Operator Pod に複数のコンテナーがある場合、前述のコマンドにより各コンテナーの名前が含まれるエラーが生成されます。個別のコンテナーに対して、ログのクエリーを実行します。

    $ oc logs pod/<operator_pod_name> -c <container_name> -n <operator_namespace>
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

Legal Notice

Copyright © 2025 Red Hat

OpenShift documentation is licensed under the Apache License 2.0 (https://www.apache.org/licenses/LICENSE-2.0).

Modified versions must remove all Red Hat trademarks.

Portions adapted from https://github.com/kubernetes-incubator/service-catalog/ with modifications by Red Hat.

Red Hat, Red Hat Enterprise Linux, the Red Hat logo, the Shadowman logo, JBoss, OpenShift, Fedora, the Infinity logo, and RHCE are trademarks of Red Hat, Inc., registered in the United States and other countries.

Linux® is the registered trademark of Linus Torvalds in the United States and other countries.

Java® is a registered trademark of Oracle and/or its affiliates.

XFS® is a trademark of Silicon Graphics International Corp. or its subsidiaries in the United States and/or other countries.

MySQL® is a registered trademark of MySQL AB in the United States, the European Union and other countries.

Node.js® is an official trademark of Joyent. Red Hat Software Collections is not formally related to or endorsed by the official Joyent Node.js open source or commercial project.

The OpenStack® Word Mark and OpenStack logo are either registered trademarks/service marks or trademarks/service marks of the OpenStack Foundation, in the United States and other countries and are used with the OpenStack Foundation’s permission. We are not affiliated with, endorsed or sponsored by the OpenStack Foundation, or the OpenStack community.

All other trademarks are the property of their respective owners.

トップに戻る
Red Hat logoGithubredditYoutubeTwitter

詳細情報

試用、購入および販売

コミュニティー

Red Hat ドキュメントについて

Red Hat をお使いのお客様が、信頼できるコンテンツが含まれている製品やサービスを活用することで、イノベーションを行い、目標を達成できるようにします。 最新の更新を見る.

多様性を受け入れるオープンソースの強化

Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。このような変更は、段階的に実施される予定です。詳細情報: Red Hat ブログ.

会社概要

Red Hat は、企業がコアとなるデータセンターからネットワークエッジに至るまで、各種プラットフォームや環境全体で作業を簡素化できるように、強化されたソリューションを提供しています。

Theme

© 2025 Red Hat