2.5. ネットワーク
このセクションでは、Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Networking サービスの主な新機能の概要を説明します。
- OVN への移行に失敗した後、OVS メカニズムドライバーに戻す
- RHOSP 17.1.3 以降では、最初に適切なバックアップ手順と元に戻す手順に従うと、失敗した移行または中断された移行を元に戻すことができます。元に戻された OVS 環境は元の環境から変更されている可能性があります。たとえば、OVN メカニズムドライバーに移行し、インスタンスを別のコンピュートノードに移行してから、OVN 移行を元に戻すと、インスタンスは元のコンピュートノード上に置かれます。また、元に戻す操作により、データプレーンへの接続が中断されます。
- TLS 終端ロードバランサーの HTTP/2 リスナーのサポート
RHOSP 17.1.2 では、TLS 終端 HTTP/2 リスナーのサポートが導入されています。HTTP/2 リスナーを使用すると、Web ページの読み込みを高速化し、ロードバランサーがクライアントとネゴシエートするときに TLS 拡張の Application-Layer Protocol Negotiation (ALPN) を採用することにより、ユーザーエクスペリエンスを向上できます。
HTTP/2 リスナーのサポートの詳細は、サービスとしての負荷分散の設定 の HTTP/2 リスナーを使用した TLS 終端ロードバランサーの作成 を参照してください。
- OVN メカニズムドライバーへの移行
RHOSP 17.0 では、RHOSP 17.0 へのアップグレードがサポートされていなかったため、OVS メカニズムドライバーから OVN メカニズムドライバーへの移行はサポートされていませんでした。
RHOSP 17.1 GA では、OVN 移行がサポートされるようになりました。
16.2 または 17.1 では、ML2/OVS からの移行を選択できます。RHOSP 17.1 では機能が強化され、移行機能も改善されているため、ほとんどの場合において ML2/OVN に移行する前に RHOSP 17.1 にアップグレードすることを Red Hat は推奨します。
- ステートレスセキュリティーグループ
この RHOSP リリースでは、ML2/OVN メカニズムドライバーを使用した OpenStack ステートレスセキュリティーグループ API のサポートが導入されています。ステートレスセキュリティーグループは、ML2/OVS メカニズムドライバーを使用する RHOSP デプロイメントではサポートされません。
ステートレスセキュリティーグループは、基盤となるファイアウォールでの接続追跡をバイパスするため、conntrack 関連の OpenFlow ルールをハードウェアにオフロードすることを選択できます。これは、パフォーマンス上の利点となります。
ステートレスセキュリティーグループの詳細は、セキュリティーグループの設定 を参照してください。
- セキュリティーグループのロギング
トラフィックフローとインスタンスに対する入出力の試行を監視するには、セキュリティーグループのパケットログを作成します。各ログは、イベントに関するデータストリームを生成し、それをインスタンスが起動されたコンピュートホスト上の共通ログファイルに追加します。
インスタンスの任意のポートを 1 つ以上のセキュリティーグループに関連付け、各セキュリティーグループに 1 つ以上のルールを定義できます。たとえば、finance という名前のセキュリティーグループ内における任意のインスタンスへの受信 SSH トラフィックを許可するルールを作成できます。同じセキュリティーグループ内に別のルールを作成して、そのグループ内のインスタンスが ICMP (ping) メッセージを送信および応答できるようにすることができます。
次に、パケットログを作成して、パケットフローイベントと関連するセキュリティーグループの組み合わせを記録できます。
- ハードウェアオフロードポートでの出力の Quality of Service (QoS)
- RHOSP 17.1 以降、ML2/OVN デプロイメントでは、ハードウェアオフロードポートの最小帯域幅および帯域幅の制限出力ポリシーを有効にできます。ハードウェアオフロードポートの Ingress ポリシーは有効にできません。詳細は、QoS ポリシーのネットワーキングサービスの設定 を参照してください。
- Open vSwitch (OVS) ポーリングモードドライバー (PMD) 自動ロードバランス
RHOSP 17.1 以降、OVS PMD はテクノロジープレビューからフルサポートに移行します。Open vSwitch (OVS) の Poll Mode Driver (PMD) スレッドを使用して、ユーザースペースのコンテキスト切り替えのために以下のタスクを実行できます。
- 入力ポートを連続的にポーリングしてパケットを取得する。
- 受信したパケットを分類する。
分類後のパケットに対してアクションを実行する。
詳細は、ノードのプロビジョニングのための DPDK パラメーターの設定 を参照してください。