第6章 新しいセルフホストエンジンでのバックアップの復元
hosted-engine
スクリプトを新規ホストで実行し、デプロイメント中に --restore-from-file=path/to/file_name
オプションを使用して Manager バックアップを復元します。
iSCSI ストレージを使用し、イニシエーターの ACL に従い iSCSI ターゲットフィルターを使用して接続をフィルタリングすると、デプロイメントは STORAGE_DOMAIN_UNREACHABLE
エラーで失敗する可能性があります。これを回避するには、セルフホストエンジンのデプロイメントを開始する前に iSCSI 設定を更新する必要があります。
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既存のホストに再デプロイする場合は、
/etc/iscsi/initiatorname.iscsi
でホストの iSCSI イニシエーター設定を更新する必要があります。イニシエーター IQN は、iSCSI ターゲットで以前にマッピングされていたものと同じか、必要に応じて新しい IQN に更新する必要があります。 - 新規ホストにデプロイする場合は、iSCSI ターゲット設定を更新して、ホストからの接続を受け入れる必要があります。
IQN はホスト側 (iSCSI イニシエーター) またはストレージ側 (iSCSI ターゲット) で更新できることに注意してください。
手順
バックアップファイルを新規ホストにコピーします。以下の例では、
host.example.com
はホストの FQDN、/backup/
は指定されたフォルダーまたはパスです。# scp -p file_name host.example.com:/backup/
- 新しいホストにログインします。
Red Hat Virtualization Host にデプロイする場合、
ovirt-hosted-engine-setup
はすでにインストールされているため、この手順を省略します。Red Hat Enterprise Linux にデプロイする場合は、ovirt-hosted-engine-setup
パッケージをインストールします。# dnf install ovirt-hosted-engine-setup
ネットワークやターミナルが切断された場合などにセッションが失われないように、
tmux
ウィンドウマネージャーを使用してスクリプトを実行します。tmux
をインストールし、実行します。# dnf -y install tmux # tmux
バックアップファイルへのパスを指定して
hosted-engine
スクリプトを実行します。# hosted-engine --deploy --restore-from-file=backup/file_name
任意のタイミングでスクリプトをエスケープするには、CTRL+D を使用してデプロイメントを中止します。
- Yes を選択してデプロイメントを開始します。
- ネットワークを設定します。スクリプトにより、環境の管理ブリッジとして使用する NIC 候補が検出されます。
- 仮想マシンのインストールにカスタムアプライアンスを使用する場合は、OVA アーカイブへのパスを入力します。使用しない場合は、このフィールドを空欄のままにして RHV-M Appliance を使用します。
- Manager の root パスワードを入力します。
- root ユーザーとして Manager にログインできる SSH 公開鍵を入力し、root ユーザーの SSH アクセスを有効にするかどうかを指定します。
仮想マシンの CPU およびメモリー設定を入力します。
注記仮想マシンには、Manager の移行元の物理マシンと同じ RAM が必要です。Manager の移行元の物理マシンより RAM が少ない仮想マシンに移行する必要がある場合は、Configuring the amount of RAM in Red Hat Virtualization Hosted Engine を参照してください。
- Manager 用仮想マシンの MAC アドレスを入力するか、無作為に生成される MAC アドレスを適用します。Manager 用仮想マシンへの IP アドレス割り当てに DHCP を使用する場合は、この MAC アドレスに有効な DHCP 予約があることを確認してください。デプロイメントスクリプトは、DHCP サーバーの設定は行いません。
仮想マシンのネットワーク情報を入力します。Static を指定する場合は、Manager の IP アドレスを入力します。
重要静的 IP アドレスは、ホストと同じサブネットに属している必要があります。たとえばホストが 10.1.1.0/24 内にある場合、Manager 用仮想マシンの IP は同じサブネット範囲 (10.1.1.1-254/24) になければなりません。
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Manager 用仮想マシンおよびベースホストのエントリーを、仮想マシンの
/etc/hosts
ファイルに追加するかどうかを指定します。ホスト名は解決可能でなければなりません。 - SMTP サーバーの名前と TCP ポート番号、メール通知を送信するメールアドレス、メール通知を受信するメールアドレス (複数ある場合はコンマ区切りリスト) を指定します。
管理ポータルにアクセスする際に使用する
admin@internal
ユーザーのパスワードを入力します。スクリプトにより仮想マシンが作成されます。RHV-M Appliance をインストールする必要がある場合は、時間がかかることがあります。
注記必要なネットワークがないなどの理由でホストが動作しなくなると、デプロイが一時停止し、次のようなメッセージが表示されます。
[ INFO ] You can now connect to https://<host name>:6900/ovirt-engine/ and check the status of this host and eventually remediate it, please continue only when the host is listed as 'up' [ INFO ] TASK [ovirt.ovirt.hosted_engine_setup : include_tasks] [ INFO ] ok: [localhost] [ INFO ] TASK [ovirt.ovirt.hosted_engine_setup : Create temporary lock file] [ INFO ] changed: [localhost] [ INFO ] TASK [ovirt.ovirt.hosted_engine_setup : Pause execution until /tmp/ansible.<random>_he_setup_lock is removed, delete it once ready to proceed]
プロセスを一時停止すると、以下が可能になります。
- 提供された URL を使用して管理ポータルに接続します。
- 状況を評価し、ホストが動作していない理由を調べ、必要に応じて修正します。たとえば、このデプロイメントがバックアップから復元され、ホストクラスターに 必要なネットワーク がバックアップに含まれている場合は、ネットワークを設定し、関連するホスト NIC をこれらのネットワークに接続します。
- すべてが正常に見え、ホストのステータスが Up になったら、上記のメッセージに表示されているロックファイルを削除します。デプロイメントは続行されます。
使用するストレージのタイプを選択します。
- NFS の場合は、バージョン、完全なアドレス、およびストレージへのパスならびにマウントオプションを入力します。
iSCSI の場合は、ポータルの詳細を入力し、自動検出された一覧からターゲットおよび LUN を選択します。デプロイメント時に選択できる iSCSI ターゲットは 1 つだけですが、マルチパスがサポートされているので、同じポータルグループのポータルをすべて接続できます。
注記複数の iSCSI ターゲットを指定するには、セルフホストエンジンをデプロイする前にマルチパスを有効にする必要があります。詳細は、Red Hat Enterprise Linux DM マルチパス を参照してください。Multipath Helper ツールを使用して、さまざまなオプションでマルチパスをインストールおよび設定するスクリプトを生成することもできます。
Gluster ストレージの場合は、完全なアドレスおよびストレージへのパスならびにマウントオプションを入力します。
重要レプリカ 1 およびレプリカ 3 Gluster ストレージのみがサポートされます。必ず以下のようにボリュームを設定します。
gluster volume set VOLUME_NAME group virt gluster volume set VOLUME_NAME performance.strict-o-direct on gluster volume set VOLUME_NAME network.remote-dio off gluster volume set VOLUME_NAME storage.owner-uid 36 gluster volume set VOLUME_NAME storage.owner-gid 36 gluster volume set VOLUME_NAME network.ping-timeout 30
- ファイバーチャネルの場合は、自動検出された一覧から LUN を選択します。ホストのバスアダプターが設定および接続されている必要があります。また、LUN には既存のデータが含まれないようにする必要があります。既存の LUN を再利用するには、管理ガイド の LUN の再利用 を参照してください。
Manager のディスクサイズを入力します。
スクリプトはデプロイメントが完了するまで続行されます。
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デプロイメントプロセスでは Manager の SSH キーが変更されます。クライアントマシンが SSH エラーなしで新規の Manager にアクセスできるようにするには、元の Manager にアクセスするクライアントマシンの
.ssh/known_hosts
ファイルから元の Manager のエントリーを削除します。
デプロイメントが完了したら、新しい Manager 仮想マシンにログインし、必要なリポジトリーを有効にします。