6.12. Red Hat Virtualization 4.4 バッチ更新 2 (ovirt-4.4.3)
6.12.1. バグ修正
以下のバグは、Red Hat Virtualization の本リリースで修正されました。
- BZ#1702016
以前は、Manager では、すべてのセルフホストエンジンホストが同じデータセンターとクラスターになければならないにもかかわらず、セルフホストエンジンホストとして設定されたホストを、セルフホストエンジンの仮想マシンを実行しているもの以外のデータセンターまたはクラスターへ追加および移行することが許可されていました。ホストの ID は、初回のデプロイメント時と同じであったため、Sanlock エラーが発生しました。これにより、エージェントは起動できませんでした。
今回の更新で、新しいセルフホストエンジンホストを追加する際に、またはセルフホストエンジンを実行しているもの以外のデータセンターまたはクラスターに既存のホストを移行する際に、エラーが表示されるようになりました。
セルフホストエンジンホストを、セルフホストエンジンを実行しているもの以外のデータセンターまたはクラスターに追加するか、または移行するには、ホストを再インストールして、ホストがセルフホストエンジンホストにならないように無効にする必要があります。管理ポータルで以下の手順を実行します。
- ホストをメンテナンスモードに切り替えます。
-
Hosted Engine UNDEPLOY オプションを選択して、再インストールを開始します。REST API を使用する場合は、
undeploy_hosted_engine
パラメーターを使用します。 - ホストを編集して、ターゲットのデータセンターおよびクラスターを選択します。
ホストをアクティブ化します。
詳細は Administration Guide または REST API Guide を参照してください。
- BZ#1760170
- 以前は、MAC プール検索機能では、未使用のアドレスの検索に失敗していました。その結果、vNIC の作成に失敗していました。本リリースでは、MAC プール検索がプール内の未使用のアドレスを特定でき、未使用のアドレスすべてがプールから割り当てられるようになりました。
- BZ#1808320
- 以前は、特定のデータセンターまたはクラスターパーミッションを持つユーザーは、アクセス可能なクラスターを編集できませんでした。本リリースでは、特定のデータセンターまたはクラスターパーミッションを持つユーザーは、クラスターに関連付けられた MAC プールを変更しないか、または新しい MAC プールを追加しようとしない場合、アクセス可能なクラスターを編集できます。
- BZ#1821425
- 以前は、セルフホストエンジンをデプロイする際に Appliance のサイズが正しく計算されていなかったため、十分な容量が割り当てられず、Appliance の展開に失敗していました。本リリースでは、Appliance サイズの推定および割り当てられた容量の展開が正常に行われ、デプロイメントは成功します。
- BZ#1835550
- 以前は、RHV Manager が ovirt-provider-ovn から利用可能なポートの一覧を要求すると、実装のスケーリングシナリオが最適化されませんでした。その結果、仮想マシン上に数多くのアクティブな OVN vNIC があるシナリオで、OVN vNIC を使用した仮想マシンの起動は遅くなり、タイムアウトすることもありました。今回のリリースでは、アクティブな OVN vNIC が多数ある OVN vNIC での仮想マシンの起動が速くなることから、一覧表示されたポートの実装のスケーリングが最適化されました。
- BZ#1855305
- 以前は、ホストパススルーディスクデバイスに割り当てられているアドレスが、ディスクに割り当てられている場合には、ディスクの仮想マシンへのホットプラグに失敗することがありました。本リリースでは、ホストパススルーディスクデバイスに割り当てられているアドレスが、仮想マシンにホットプラグされたディスクに割り当てられないようにすることで、競合を回避しています。
- BZ#1859314
- 以前は、Python3 への移植後の rhv-log-collector-analyzer による unicode 文字列の処理は適切に行われていませんでした。本リリースでは、unicode 文字列が適切に処理されるようになりました。
- BZ#1866862
- 以前のリリースでは、NUMA を有効化せずに AMD EPYC ホストにデプロイされた仮想マシンは起動に失敗する場合があり、サポート対象外の設定エラーが報告されていました。本リリースでは、AMD EPYC ホストで仮想マシンが正常に起動されるようになりました。
- BZ#1866981
- 以前は、Python3 への移植後の ovirt-engine-db-query による unicode 文字列の処理は適切に行われていませんでした。本リリースでは、unicode 文字列が適切に処理されるようになりました。
- BZ#1871694
- 以前は、クラスターの bios タイプを UEFI または UEFI+SecureBoot に変更すると、そのクラスター内で実行されるセルフホストエンジンの仮想マシンも変更されていました。その結果、セルフホストエンジンの仮想マシンは再起動できませんでした。本リリースでは、セルフホストエンジンの仮想マシンはカスタム bios タイプで設定され、クラスターの bios タイプが変更されてもこの設定は変更されません。
- BZ#1871819
- 以前は、論理ネットワークに変更が加えられると、ホストの ovn-controller が再計算時にタイムアウトの間隔を超え、計算が繰り返しトリガーされていました。その結果、OVN ネットワークは失敗していました。本リリースでは、ovn-controller による再計算は変更ごとに 1 回のみトリガーされ、OVN ネットワークは維持されます。
- BZ#1877632
- 以前は、仮想マシンの移行時に、移行先のホストで VDSM が再起動されると、仮想マシンの正確なステータスを確認することができませんでした。本リリースでは、VDSM は正確な移行先のステータスを確認します。
- BZ#1878005
- 以前は、CloudForms 5 を使用して、RHV-H 4.4 ホストをインフラストラクチャー移行 (IMS) の変換ホストとして準備する際に、不明な libcgroup-tools パッケージの依存関係が原因で、v2v-conversion-host-wrapper のインストールに失敗していました。現在のリリースではこの問題は修正されています。rhvh-4-for-rhel-8-x86_64-rpms リポジトリーで不足していたパッケージが同梱されます。
6.12.2. 機能拡張
Red Hat Virtualization の今回のリリースでは、以下の機能拡張が提供されています。
- BZ#1613514
- 今回の機能拡張により、‘nowait' オプションがドメイン統計に追加されました。これにより、VDSM で応答しないインスタンスを回避できるようになりました。これにより、libvirt は応答しない状態にならないように、‘nowait' オプションを受け取るようになりました。
- BZ#1657294
- 今回の機能拡張により、ユーザーはデプロイメント後に HostedEngine の仮想マシン名を変更できるようになりました。
- BZ#1745024
- 今回の機能拡張により、4.4 および 4.5 の互換性レベルで Intel Icelake サーバーファミリーがサポートされるようになりました。
- BZ#1752751
今回の機能拡張により、管理ポータルの仮想マシンテーブルに表示される列のカスタマイズが可能になりました。
- 仮想マシンテーブルに、‘vCPUs' (の数) および ‘Memory (MB)' の 2 つの新しい列が追加されました。これらの列は、デフォルトでは表示されません。
- テーブルのコラム設定をリセットしたり、表示から列を追加または削除できるように、新しいポップアップメニューが仮想マシンテーブルに追加されました。
- 選択した列の表示設定 (列の表示と順序) は、デフォルトでサーバーで永続的になり、サーバーに移行 (アップロード) されます。この機能は、ユーザー > オプション のポップアップで、'Persist grid settings' オプションの選択を解除することで無効にできます。
- BZ#1797717
- 今回の機能拡張により、内部で定義されたキーワードが含まれる管理ポータルで、フリーテキスト検索を実行できるようになりました。
- BZ#1812316
- 今回の機能拡張により、ピニングされた NUMA ノードを持つ仮想マシンをスケジュールする際に、利用可能なメモリーと NUMA ノードに割り当てられるヒュージページを考慮してメモリー要件が正しく計算されるようになりました。
- BZ#1828347
- 以前は、Windows ゲストツールを使用して、Microsoft Windows を実行している仮想マシンに必要なドライバーをインストールしていました。RHV バージョン 4.4 は VirtIO-Win を使用して、これらのドライバーを提供するようになりました。互換性レベル 4.4 以降のクラスターの場合、ゲストエージェントのエンジンサインは、利用可能な VirtIO-Win に応じて異なります。Microsoft Windows の更新が優先されるため、ドライバー ISO の自動割り当ては削除されます。ただし、初期インストールは手動で行う必要があります。
- BZ#1845397
- 今回の機能拡張により、VDSM ログの移行転送速度が Mbps (メガビット/秒) と表示されます。
- BZ#1854888
- 今回の機能拡張により、OVA のインポートおよびエクスポート操作のエラー処理が追加され、qemu-img プロセスの完了に失敗した場合に Red Hat Virtualization Manager に正常な検出およびレポートが提供されるようになりました。
- BZ#1862968
-
今回の機能拡張により、新しい設定パラメーター auto_pinning_policy を導入することで、仮想マシンの CPU と NUMA ピニングを自動的に設定する新しいオプションが導入されました。このオプションは、仮想マシンの CPU の現在のトポロジーを使用して
existing
に設定、または専用のホストの CPU トポロジーを使用してadjust
に設定し、仮想マシンに従って変更することができます。 - BZ#1879280
- Red Hat Virtualization のインストール時に作成されるデフォルトのデータセンターおよびデフォルトのクラスターは、Red Hat Virtualization 4.4.3 では、デフォルトで 4.5 の互換性レベルで作成されます。互換性レベル 4.5 では、Advanced Virtualization 8.3 を備えた RHEL 8.3 が必要な点に留意してください。
6.12.3. テクノロジープレビュー
本セクションに記載する項目は、テクノロジープレビューとして提供しています。テクノロジープレビューステータスのスコープに関する詳細情報およびそれに伴うサポートへの影響については、Technology Preview Features Support Scope を参照してください。
- BZ#1361718
- 今回の機能拡張では、ホストマシンで NVDIMM がサポートする仮想マシンに、エミュレーションされた NVDIMM をアタッチするためのサポートを提供します。詳細は、Virtual Machine Management Guide を参照してください。
6.12.4. リリースノート
このセクションでは、Red Hat Virtualization の注目すべき変更点や推奨プラクティスなど、今回のリリースに関する重要な情報を記載しています。お使いのデプロイメントに最大限の効果をもたらすために、以下の情報を考慮する必要があります。
6.12.5. 既知の問題
Red Hat Virtualization には、現時点で以下のような既知の問題があります。
- BZ#1886487
- RHV-H 4.4.3 は、新しいバージョンの Anaconda (BZ#1691319) を使用する RHEL 8.3 をベースにしています。この新しい組み合わせにより、BZ#1777886 "[RFE] Support minimal storage layout for RHVH" が RHV-H 4.4 GA に追加した機能が中断されるリグレッションが発生しています。このリグレッションは、RHV-H 4.4.3 の新規インストールのみが影響を受けます。この問題を回避するには、最初に RHV-H 4.4 GA ISO をインストールしてから、ホストを RHV-H 4.4.3 にアップグレードします。
6.12.6. 削除された機能
- BZ#1884146
- ovirt-engine-api-explorer パッケージは非推奨となり、Red Hat Virtualization Manager 4.4.3 で削除されました。代わりに、ovirt-engine-api-explorer と同じ情報を提供する公式の REST API Guide を使用する必要があります。Red Hat Virtualization REST API Guide を参照してください。