6.10. Red Hat Virtualization 4.4 バッチ更新 4 (ovirt-4.4.5)
6.10.1. バグ修正
以下のバグは、Red Hat Virtualization の本リリースで修正されました。
- BZ#1145658
- 本リリースでは、メモリーダンプを別のストレージドメインに移動するか、スナップショットからメモリーダンプを削除することで、メモリーダンプが含まれるストレージドメインを正しく削除できます。
- BZ#1815589
- 以前は、セルフホストエンジンで移行が正常に完了した後、ソースホストの HA エージェントは即座に EngineDown 状態に移行し、移行先ホストが共有ストレージを迅速に更新しなかった場合は、その後すぐにローカルでエンジンを開始しようとし、これにより、Manager 仮想マシンは稼働中としてマークされていました。そのため、移行先ホストが保持する共有ロックが原因で、仮想マシンの起動に失敗していました。また、これにより、誤ったアラームと通知も生成されていました。本リリースでは、HA エージェントは最初に EngineMaybeAway 状態に移行し、移行先ホストが更新された状態で共有ストレージを更新するためのより多くの時間を提供します。その結果、通知や誤アラームは生成されなくなりました。注記: ソースホストで仮想マシンを起動する必要があるシナリオでは、この修正により、ソースホスト上の Manager 仮想マシンの起動にかかる時間がわずかに長くなります。
- BZ#1860492
- 以前は、Linux 仮想マシンのテンプレートの作成時に Seal オプションが使用された場合は、元のホスト名はテンプレートから削除されませんでした。本リリースでは、ホスト名は localhost または新しい仮想マシンのホスト名に設定されます。
- BZ#1895217
- 以前は、仮想マシンが固定されたホストが削除されると、Manager は起動できませんでした。その結果、セルフホストエンジンのセットアップは失敗していました。本リリースでは、ホストが削除されると、仮想マシンはそのホストに固定されたままにはならず、Manager は正常に起動できるようになりました。
- BZ#1905108
- 以前は、短時間の間隔で実行中の仮想マシンに複数の仮想ディスクをプラグすると、一部のディスクのプラグに失敗し、エラーメッセージ Domain already contains a disk with that address というエラーメッセージが表示されていました。本リリースでは、以前に仮想マシンにプラグされていた別のディスクにすでに割り当てられているアドレスが、実行中の仮想マシンにプラグされているディスクに割り当てられないようにすることで回避されています。
- BZ#1916032
- 以前は、セルフホストエンジンのホストの ID の数が 64 よりも大きい場合、他のホストがそのホストを認識しないため、ホストは hosted-engine --vm-status に表示されませんでした。本リリースでは、セルフホストエンジンのホスト ID 数を 2000 まで許可しています。
- BZ#1916519
- 以前は、ホストの使用済みメモリーでは、SReclaimable メモリーを考慮していませんでした。一方で、空きメモリーに対しては考慮していました。そのため、ホストの統計に差異が生じていました。本リリースでは、SReclaimable メモリーは使用済みメモリーの計算の一部になります。
- BZ#1921119
- 以前は、実際にはすべてのネットワークが同期していても、クラスターページは非同期クラスターを示していました。これは、ホスト QoS が同じホストの 2 つのネットワークに割り当てられた場合に、コードの論理エラーによって生じていました。本リリースでは、このセットアップの非同期はクラスターページに表示されません。
- BZ#1931786
-
以前は、Red Hat Virtualization Manager は 4.5 クラスターの
SkuToAVLevel
設定を利用できませんでした。本リリースでは、これらのクラスターでSkuToAVLevel
が利用可能となり、Windows の更新でゲストホストの Red Hat 関連のドライバーを更新することができます。 - BZ#1940672
- 以前は、Red Hat Virtualization Manager 4.4.3+ が Skylake/Cascadelake の CPU タイプと互換性レベル 4.4 (以下) で設定されたクラスター内のホストをアップグレードすると、ホストは動作しなくなる可能性がありました。本リリースでは、クラスターが安全な Skylake/Cascadelake CPU タイプ 1 (Secure Intel Skylake Client Family、Secure Intel Skylake Server Family、または Secure Intel Cascadelake Server Family) で設定されている場合、アップグレードにより、ホストが動作不能になる可能性があるため、Red Hat Virtualization Manager はホストのアップグレードをブロックします。クラスターが安全でない Skylake/Cascadelake CPU タイプ 2 (Intel Skylake Client Family、Intel Skylake Server Family、または Intel Cascadelake Server Family) で設定されている場合、クラスターを安全な Skylake/Cascadelake CPU タイプへ変更するよう推奨する通知がユーザーに出されますが、ホストのアップグレードは続行できるようになっています。アップグレードしたホストで動作できるようにするには、ユーザーはオペレーティングシステムレベルで TSX を有効にする必要があります。
6.10.2. 機能拡張
Red Hat Virtualization の今回のリリースでは、以下の機能拡張が提供されています。
LUN のディスクサイズをリフレッシュするには : 1.管理ポータルで Compute>Virtual Machines の順に移動し、仮想マシンを選択します。2.Disks タブで、Refresh LUN をクリックします。
実行中ではない接続されている仮想マシンの場合は、実行中の仮想マシンのディスクを更新してください。
- BZ#1431792
- この機能により、エミュレートされた TPM (Trusted Platform Module) デバイスを仮想マシンに追加できます。TPM デバイスは、暗号化操作 (暗号化キー、乱数、ハッシュなどの生成) や、ソフトウェア設定を安全に検証するために使用できるデータの保存に役立ちます。QEMU および libvirt は、エミュレートされた TPM 2.0 デバイスのサポートを実装します。これは、Red Hat Virtualization が TPM デバイスを仮想マシンに追加するために使用するものです。
エミュレートされた TPM デバイスが仮想マシンに追加されると、ゲスト OS で通常の TPM 2.0 デバイスとして使用できます。
- BZ#1688186
- 以前は、CPU と NUMA 固定は、新しい仮想マシンの追加時に REST API を使用してのみ手動または自動的に実行されていました。
今回の更新により、管理ポータルを使用して仮想マシンを更新する際に、CPU および NUMA 固定を更新できるようになりました。
- BZ#1755156
- 本リリースでは、cockpit-ovirt UI を使用して、ローカルアプライアンスをインストールするための OVA アーカイブへのパスを入力できるようになりました。
- BZ#1836661
- 以前は、マウントされたファイルシステムがないディスクの論理名は、Red Hat Virtualization Manager に表示されていませんでした。本リリースでは、このようなディスクの論理名は、仮想マシンの QEMU ゲストエージェントのバージョンが 5.2 以降であれば、適切に報告されます。
- BZ#1837221
- 以前は、Manager は SSH 接続の RSA 公開鍵のみを使用してハイパーバイザーに接続できました。今回の更新により、Manager は SSH に EcDSA 公開鍵および EdDSA 公開鍵も使用できるようになりました。
以前は、RHV は SSH 公開鍵のフィンガープリントのみを使用してホストを検証していました。RHV が SSH に EcDSA 公開鍵および EdDSA 公開鍵を使用できるようになっことから、SSH 公開鍵全体を RHV データベースに保存する必要があります。これにより、SSH 公開鍵のフィンガープリントの使用は非推奨となりました。
新たなホストを Manager に追加する際に、管理者が別の特定の公開鍵を提供する場合を除き、Manager はホストが提供する最も強力な公開鍵を常に使用します。
既存のホストの場合は、Manager は次の SSH 接続で、RSA 公開鍵全体をデータベースに保存します。たとえば、管理者がホストをメンテナンスモードに移行し、証明書の登録を実行するか、ホストを再インストールする場合、ホストに別の公開鍵を使用するには、管理者は、REST API を使用して、または管理ポータルの Edit host ダイアログの最強の公開鍵を取得して、カスタム公開鍵を提供できます。
- BZ#1884233
- authz 名は、RHVM (Red hat Virtualization Manager) のホームページ上のユーザードメインとして使用されるようになりました。これは、プロファイル名を置き換えます。さらに、承認/認証フローに関連するいくつかのログステートメントは、該当する場合、ユーザー authz 名とプロファイル名の両方を表示することで一貫性が保たれています。本リリースでは、ユーザーが RHVM に正常にログインすると、<username>@<authz name> がホームページに表示されます。さらに、ログステートメントには、authz 名とプロファイル名の両方のほか、ユーザー名も含まれるようになりました。
- BZ#1899583
- 今回の更新により、仮想 NIC フィルターパラメーターのライブ更新が可能になりました。Manager で仮想マシンの仮想 NIC のフィルターパラメーターを追加/削除/編集する場合、変更は仮想マシンのデバイスに対してすぐに適用されます。
- BZ#1910302
- 以前は、Storage Pool Manager (SPM) に不明なタスクがある場合に、SPM は別のホストに切り替えることができませんでした。今回の機能拡張により、完了したタスクのクリーンアップを可能にするための新しい UI メニューが追加されました。
- BZ#1922200
-
以前は、
event_notification_hist
テーブル内のレコードは、audit_log
テーブルの定期的なクリーンアップ中にのみ削除されていました。デフォルトでは、30 日を経過したaudit_log
テーブルレコードが削除されます。
今回の更新により、event_notification_hist
テーブルのレコードが 7 日間保持されるようになりました。この制限は、以下のコンテンツでカスタム設定ファイル /etc/ovirt-engine/notifier/notifier.conf.d/history.conf
を作成して上書きできます。
DAYS_TO_KEEP_HISTORY=<number_of_days>
ここで、<number_of_days> は event_notification_hist
テーブルでレコードを保持する日数になります。このファイルを最初に追加した後、またはこの値の変更後に追加した後は、ovirt-engine-notifier サービスを再起動する必要があります。
# systemctl restart ovirt-engine-notifier
- BZ#1927851
- キャンベラ、メルボルンおよびシドニーのサマータイムに対応するために、オーストラリア東部標準時のタイムゾーンが追加されました。
6.10.3. テクノロジープレビュー
本セクションに記載する項目は、テクノロジープレビューとして提供しています。テクノロジープレビューステータスのスコープに関する詳細情報およびそれに伴うサポートへの影響については、Technology Preview Features Support Scope を参照してください。
- BZ#1919805
- 今回の更新で、UEFI ゲストマシンに Bochs ディスプレイビデオカードエミュレーターへのサポートが追加されました。この機能は、クラスターレベル 4.6 以上を使用するゲスト UEFI サーバーのデフォルトになりました。ここでは、BOCHS は Video Type のデフォルト値になります。
6.10.4. リリースノート
このセクションでは、Red Hat Virtualization の注目すべき変更点や推奨プラクティスなど、今回のリリースに関する重要な情報を記載しています。お使いのデプロイメントに最大限の効果をもたらすために、以下の情報を考慮する必要があります。
- BZ#1917409
- Red Hat Virtualization (RHV) 4.4.5+ には、独自のチャンネル内に Ansible が含まれています。したがって、ansible-2.9-for-rhel-8-x86_64-rpms チャネルは、RHV Manager または RHEL-H ホストで有効にする必要はありません。RHV リリース 4.4.0 から 4.4.4 または 4.3.z にアップグレードするお客様は、そのチャネルを RHV Manager および RHEL-H ホストから削除する必要があります。
- BZ#1921104
- Red Hat Virtualization Manager 4.4.5 の適切なセットアップおよび機能には、Ansible-2.9.17 が必要です。
- BZ#1921108
- ovirt-hosted-engine-setup には Ansible-2.9.17 が必要になりました。
6.10.5. 既知の問題
Red Hat Virtualization には、現時点で以下のような既知の問題があります。
- BZ#1923169
- Red Hat Virtualization 4.4.5 インストールでは、パッケージサブスクリプションを Ansible 2.9 チャネルに限定する必要はありません。回避策: Red Hat Virtualization バージョン 4.4.4 以前からアップグレードする際に、Red Hat Virtualization Manager および Red Hat Virtualization ホストの Ansible 2.9 チャネルサブスクリプションを削除します。