11.15. 仮想化
AMD SEV-SNP が有効な仮想マシンでローカル kdump が失敗しなくなりました
この更新前は、Secure Nested Paging (SNP) 機能が有効な AMD Secure Encrypted Virtualization (SEV) を使用する RHEL 10 仮想マシン (VM) で、ローカル kdump が失敗していました。その結果、AMD SEV-SNP が有効な仮想マシンでは、カーネルクラッシュダンプを取得できませんでした。
このリリースでは、基盤となるコードが修正されました。その結果、AMD SEV-SNP が有効な仮想マシンでローカル kdump が失敗しなくなりました。
Jira:RHEL-67539[1]
--migrate-disks-detect-zeroes オプションが仮想マシン移行で失敗しなくなりました
この更新前は、RHEL 10 で仮想マシン (VM) を移行するときに、--migrate-disks-detect-zeroes オプションが機能せず、指定されたディスクに対してゼロブロック検出が実行されないまま、移行が続行されることがありました。この問題は QEMU のバグによって発生していました。そのバグとは、ミラーリングジョブがパンチホール操作に依存していたために、宛先ファイルがスパースファイルになるというものでした。
このリリースでは、QEMU が修正されました。これにより、すべてゼロであると宛先システムが読み取った場合、かつイメージをさらにスパース化するための追加処理が行われていない場合に、スパース性が維持されるようになりました。その結果、仮想マシンの移行で --migrate-disks-detect-zeroes オプションが期待どおりに機能するようになりました。
不整合な破棄 I/O 要求を送信する仮想マシンが、discard_granularity が設定されていない場合でも一時停止しなくなりました
この更新前は、ホストカーネルが不整合な破棄 I/O 要求を失敗させていました。QEMU はそのような失敗に対応するために、werror= policy パラメーターを使用していました。werror が stop: werror=stop に設定されている場合、破棄要求が失敗し、仮想マシン (VM) が一時停止していました。その結果、この状況を修正して仮想マシンを再開することができませんでした。
このリリースでは、QEMU が更新され、不整合な破棄 I/O 要求をサイレントに無視するようになりました。これにより、正しい discard_granularity 値を持たないゲストが一時停止しなくなりました。その結果、discard_granularity が設定されていない場合でも、破棄 I/O 要求を送信する仮想マシンが一時停止しなくなりました。ただし、不整合が発生した際に、破棄要求を無視するのではなく、破棄要求が本来の効果を発揮できるように、discard_granularity の値を設定することを推奨します。
Jira:RHEL-87642[1]
開いているファイルが大量にある共有ディレクトリーにアクセスしても virtiofsd がクラッシュしなくなりました
この更新前は、開いているファイルが大量にある virtiofs 共有ディレクトリーに仮想マシン (VM) からアクセスすると、Too many open files エラーが発生して操作が失敗し、virtiofsd プロセスがクラッシュすることがありました。
このリリースでは、基盤となるコードが修正されました。その結果、仮想マシンから多数のファイルが開いている virtiofs 共有ディレクトリーにアクセスすると、仮想マシンでエラーが発生する可能性はありますが、virtiofsd プロセスはクラッシュしなくなり、仮想マシンで virtiofs 共有ディレクトリーにアクセスできる状態が維持されるようになりました。
Jira:RHEL-87161[1]
QEMU は SEV-SNP の使用を防止しない
以前は、AMD SEV-SNP が有効になっている仮想マシンを起動しようとすると、QEMU が KVM の誤った機能をチェックするため、ゲストの起動に失敗していました。その結果、RHEL10 では AMD SEV-SNP が設定された仮想マシンを実行することはできませんでした。この問題は修正され、SEV-SNP を使用した仮想マシンの実行が期待どおりに動作するようになりました。
Jira:RHEL-58928[1]
仮想マシンのネットワークブートが RNG デバイスなしでも正常に動作するようになる
以前は、仮想マシン (VM) に RNG デバイスが設定されておらず、その CPU モデルが RDRAND 機能をサポートしていない場合、ネットワークから仮想マシンを起動することはできませんでした。この更新により、この問題は修正され、RDRAND をサポートしていない仮想マシンは、RNG デバイスが設定されていなくてもネットワークから起動できるようになりました。
ただし、ネットワークからの起動時のセキュリティーを強化するために、RDRAND をサポートしていない CPU モデルを使用する仮想マシンには RNG デバイスを追加することが強く推奨される点に注意してください。
Google Cloud と Alibaba で RHEL 10 ゲストが再起動時にクラッシュしなくなりました
Google Cloud または Alibaba Cloud で RHEL 10.0 インスタンスを使用する場合、以前は virtio-net ドライバーが使用されていると、インスタンスの再起動時にゲストオペレーティングシステムでカーネルパニックが発生していました。この問題は修正され、前述の状況で RHEL 10 ゲストがクラッシュしなくなりました。
Jira:RHEL-56981[1]
Secure Execution 仮想マシンがファイルベースのメモリーバッキングを使用して起動できるようになりました
以前は、Secure Execution を有効にしてファイルベースのメモリーバッキングを使用するように仮想マシン (VM) を設定すると、仮想マシンが起動に失敗し、Protected boot has failed というエラーが表示されていました。現在は、仮想マシンが期待どおりに起動します。
3D サポートを有効にしても、ESXi に RHEL 10 ゲストをインストールできない問題が修正されました
この更新前は、RHEL 10 ゲストオペレーティングシステムをインストールするために、VMware ESXI で 3D サポートを有効にするオプションを選択すると、インストールが正しく開始されず、空白の画面が表示されていました。この問題は修正され、前述の状況で RHEL 10 ゲストをインストールできるようになりました。
Jira:RHEL-88668[1]