第6章 新機能および機能拡張
このバージョンでは、次の主要な新機能および機能拡張が追加されています。
6.1. インストーラーおよびイメージの作成 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
fips=1 用の新しいブートメニューエントリーが ISO インストールに追加されました
この更新により、DVD およびブート ISO イメージによるインストールにおいて、カーネルブートオプション fips=1 を設定するための新しいブートメニューエントリーが使用可能になりました。これにより、プロセスが簡素化されます。RHEL のインストール時に FIPS モードを有効にすると、システムが FIPS で承認されたアルゴリズムと継続的な監視テストを使用してすべての鍵を生成するようになるためです。このブートオプションを使用すると、fips=1 カーネルパラメーターを使用してインストールを開始し、Federal Information Processing Standards (FIPS) 140 の要件にシステムを準拠させることができます。
RHEL でソフトリブートが利用可能になりました
systemd が、完全なシステム停止を必要とせずにユーザー空間を再起動 (rebooting) できる機能であるソフトリブートを提供するようになりました。主な機能拡張は次のとおりです。
- ダウンタイムの短縮: 時間のかかるプロセスである完全な再起動を実行せずにソフトリブートを実行して、システムの状態を更新します。これにより、定期的なメンテナンスやトラブルシューティングが容易になります。
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柔軟なパッチ適用: システム全体を再起動せずに、
openssl、glibc、dbus-brokerなどの特定のユーザー空間の更新を適用します。 - イメージモードの統合: イメージモードでは、ソフトリブートは、適用待ちの更新がない場合はユーザー空間を再起動し、適用待ちの更新がある場合は、カーネルの変更を除き、その更新へシームレスに切り替えます。
- イミュータブルなエクスペリエンスの向上: ソフトリブートにより、完全な再起動を頻繁に行う必要性が減り、イミュータブルなシステムにおける新しいイメージバージョンの導入が簡素化されます。
既知の制限
- カーネルモジュール: カーネルモジュールを変更すると、ソフトリブート後に実行中のカーネルとの不一致が発生する可能性があります。
- カーネルとファームウェアの更新: ソフトリブートでは、カーネル、kpatch、またはファームウェア初期化に関する変更は適用されません。
Jira:RHELDOCS-20453[1]
rpm コマンドがインストール環境で利用可能になりました
以前は、rpm コマンドがインストール環境に含まれていませんでした。この更新により、rpm コマンドが含まれるようになりました。ユーザーは、たとえば %post キックスタートスクリプトで RHEL をインストールするときにこのコマンドを使用できます。
Jira:RHEL-101695[1]
ブループリントファイルのカスタマイズで、外部ソースからのファイルを参照するための URI フィールドがサポートされるようになりました
この更新により、ブループリントファイルのカスタマイズ構造に URI フィールドのサポートが追加されます。その結果、ブループリントに直接含まれているファイルだけでなく、外部の場所にあるファイルを参照して取得できるようになりました。これにより、ビルドシステムのカスタマイズの柔軟性が向上し、より適応性の高いビルドエクスペリエンスが実現します。
Jira:RHELDOCS-21016[1]
RHEL Image Builder は、Vagrant 用の新しいイメージタイプ vagrant-libvirt をサポートするようになりました
この更新により、RHEL Image Builder が libvirt ハイパーバイザーをサポートするようになり、ユーザーが Vagrant を使用して RHEL 仮想マシンを簡単に実行できるようになりました。この機能拡張により、事前設定されたイメージが提供され、一貫性のある効率的なセットアップが実現します。また、Vagrant 環境内の vagrant ユーザーに sudo 特権が付与されるため、管理タスクの管理と実行が容易になります。これらの機能拡張により、Vagrant 環境で RHEL 仮想マシンを操作する際のエクスペリエンスが、より効率的かつシームレスなものになります。
Jira:RHELDOCS-21025[1]
RHEL Image Builder が WSL2 イメージをサポートするようになりました
RHEL Image Builder を使用して Windows Subsystem for Linux (WSL2) を作成できるようになりました。このイメージタイプは wsl 形式で使用できます。イメージを使用するには、生成されたファイルをダブルクリックしてデプロイします。
Jira:RHELDOCS-20633[1]
RHEL Image Builder GUI がモジュール化されたコンテンツの検出をサポートするようになりました
RHEL 9.7 以降の RHEL Image Builder のグラフィカルユーザーインターフェイス (GUI) では、モジュール化されたコンテンツの検出がサポートされています。この機能により、次の機能拡張が導入されます。
- RHEL OS イメージを作成するときに、RHEL Image Builder GUI を使用して、RHEL AppStream やサードパーティーのリポジトリー (たとえば、Extra Packages for Enterprise Linux (EPEL)) など、さまざまなリポジトリーからモジュール化されたコンテンツを検出して組み込むことができます。
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RHEL のモジュール機能のサポートが強化されました。Application Streams は、DNF のモジュール機能と
modulemdメタデータを活用して、柔軟なパッケージ管理を実現します。モジュールでは、バージョンストリームとユースケースプロファイルを指定でき、デフォルトのストリームとプロファイルもサポートされています。 -
DNF モジュール実装の更新。RPM グループを指定する際に使用する
@文字構文で、モジュールストリームを有効化およびインストールできます。これにより、キックスタートファイルとの互換性が確保されます。
Jira:RHELDOCS-21026[1]
image-installer で fips=1 用の新しいブートメニューエントリーが使用可能になりました
この更新により、image-installer ISO イメージタイプで、インストール時にカーネルブートオプション fips=1 を設定するための新しいブートメニューエントリーが使用可能になりました。これによりプロセスが簡素化されます。RHEL 10 では、インストール済みのシステムを FIPS モードに切り替えることはできず、インストールを開始するときにカーネルコマンドラインに fips=1 を追加する必要があります。インストール時に fips=1 を設定すると、システムを Federal Information Processing Standards (FIPS) 140 要件に準拠させることができます。
/etc/fstab 内の論理ボリュームデバイスで、fs_spec フィールドに UUID が使用されるようになりました
インストール後、システムが論理ボリューム (LV) デバイスを /etc/fstab に書き込む際、fs_spec フィールドに UUID を使用するようになりました。この変更により、次の利点が得られます。
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/etc/fstab内のデバイスエントリーすべての一貫性が確保されます。 -
/etc/fstabを変更せずに、LV またはボリュームグループ (VG) の名前を変更することが可能です。 -
LUKS を使用してデバイスを再暗号化した後も
/etc/fstabが有効なままになります。 - デバイスマッパーのパスが変更された場合でも、再プロビジョニングの前後で、ルート (/) とその他のマウントの正しいマッピングが維持されます。
- 予測可能かつ移植可能な設定が得られます。UUID は、ファイルシステムのスーパーブロックに保存されるグローバルに一意の識別子であるためです。
Jira:RHEL-87651[1]