25.3. トランザクションリカバリー
トランザクションマネージャーはリカバリー処理を調整し、操作の完了に手作業の介入が必要となるトランザクションを判断するため Red Hat JBoss Data Grid と共に動作します。この処理はトランザクションリカバリーと呼ばれます。
JBoss Data Grid は、トランザクションのコミットまたはロールバックを明示的に強制する操作に対して JMX を使用します。これらのメソッドは関連するトランザクションに関連付けられた数の代わりに XID を定義するバイトアレイを受け取ります。
システム管理者はこのような JMX 操作を使用して、手動介入が必要なトランザクションに対して自動的にジョブを完了できます。このプロセスでは、トランザクションマネージャーのトランザクションリカバリープロセスを使用し、トランザクションマネージャーの XID オブジェクトにアクセスできます。
25.3.1. トランザクションリカバリーのプロセス
次のプロセスは、Red Hat JBoss Data Grid のトランザクションリカバリーのプロセスを簡単に説明しています。
手順25.3 トランザクションリカバリーのプロセス
- トランザクションマネージャーは介入が必要なトランザクションの一覧を作成します。
- 電子メールまたはログを使用して、JMX を使用して JBoss Data Grid に接続するシステム管理者へトランザクション (トランザクション ID を含む) の一覧を提供します。各トランザクションの状態は
COMMITTED
かPREPARED
になります。COMMITTED
とPREPARED
の両方の状態であるトランザクションがある場合、トランザクションがあるノード上でコミットされている一方、他のノードで準備状態のトランザクションがあることを示しています。 - システム管理者は、トランザクションマネージャーより受信した XID を JBoss Data Grid の内部 ID へ視覚的にマッピングします。XID (バイトアレイ) を JMX ツールに渡し、このマッピングがない状態で JBoss Data Grid によって再アセンブルすることはできないため、この手順が必要となります。
- マッピングされた内部 ID を基に、システム管理者はトランザクションに対してコミットまたはロールバックプロセスを強制します。
25.3.2. トランザクションリカバリーの例
以下の例は、現金がデータベースに格納された口座から Red Hat JBoss Data Grid に格納された口座に転送される状況でどのようにトランザクションが使用されるかを示しています。
例25.2 データベースに格納された口座から JBoss Data Grid 内の口座への送金
- 送信元 (データベース) と送信先 (JBoss Data Grid) リソース間の 2 フェーズコミットプロトコルを実行するために、
TransactionManager.commit()
メソッドが呼び出されます。 TransactionManager
が、準備フェーズ (2 フェーズコミットの最初のフェーズ) を開始するようデータベースと JBoss Data Grid に指示します。
コミットフェーズ中、データベースは変更を適用しますが、JBoss Data Grid はトランザクションマネージャーのコミット要求を受け取る前に失敗します。結果として、不完全なトランザクションのため、システムは不整合な状態になります。特に、送金される金額はデータベースから引かれますが、準備された変更を適用できないため、JBoss Data Grid に表示されません。
ここでは、トランザクションリカバリーは、データベースと JBoss Data Grid エントリー間の不整合を調整するために使用されます。
注記
JMX を使用してトランザクションリカバリーを管理するには、JMX サポートを明示的に有効にする必要があります。