検索

7.8. サポートしている kdump の設定とダンプ出力先

download PDF

7.8.1. kdump メモリー要件

kdump でカーネルクラッシュダンプをキャプチャーしてさらに分析ができるように保存するにはシステムメモリーの一部をキャプチャーカーネル用に永続的に予約する必要があります。

コマンドラインでメモリー設定を変更する方法は、「メモリー使用量の設定」 を参照してください。グラフィカルユーザーインターフェイスで予約メモリーの設定を変更する方法は、「メモリー使用量の設定」 を参照してください。

表 7.1 では、kernel および kernel-alt パッケージで kdump が自動的に予約されているメモリーをリストします。kdump は自動的に、CPU アーキテクチャーに基づくメモリーと、利用可能な物理メモリーの合計を確保します。

表7.1 kdump によって自動的に予約されているクラッシュメモリーの合計
CPU アーキテクチャー使用可能なメモリークラッシュメモリーは自動的に予約されています

AMD64 および Intel 64 (x86_64)

2 GB 以上

161 MB + 64 MB (1 TB あたり)

64 ビット ARM アーキテクチャー (arm64)

2 GB 以上

512 MB

IBM POWER ppc64/ppc64le

2 GB から 4 GB

384 MB

4 GB から 16 GB

512 MB

16 GB から 64 GB

1 GB

64 GB から 128 GB

2 GB

128 GB 以上

4 GB

IBM Z (s390x)

4 GB 以上

161 MB + 64 MB (1 TB あたり)
[1] 160 MB (RHEL-ALT-7.6)

さまざまな Red Hat Enterprise Linux テクノロジーの機能や制限に関する詳しい情報は、https://access.redhat.com/articles/rhel-limits を参照してください。

7.8.2. メモリー自動予約の最小しきい値

一部のシステムでは、ブートローダーの設定ファイルで crashkernel=auto パラメーターを使用するか、グラフィカル設定ユーティリティーで自動割り当ての設定を有効にすると、kdump 用のメモリーを自動的に割り当てることができます。ただし、この自動予約が機能するには、合計メモリーの特定量のメモリーを利用できる必要があります。この容量はシステムのアーキテクチャーによって異なります。

次の表は、kernel および kernel-alt パッケージの自動メモリー割り当てのしきい値のリストです。システムのメモリーが以下に示すしきい値を下回る場合は手動でメモリー予約を行う必要があります。

コマンドラインで設定を変更する方法は、「メモリー使用量の設定」 を参照してください。グラフィカルユーザーインターフェイスで予約メモリーのサイズを変更する方法は、「メモリー使用量の設定」 を参照してください。

表7.2 自動メモリー予約に必要な最小メモリーサイズ
アーキテクチャー必要なメモリー

AMD64 と Intel 64 (x86_64)

2 GB

IBM POWER (ppc64)

2 GB

IBM Z (s390x)

4 GB

64 ビット ARM アーキテクチャー (arm64)

2 GB

7.8.3. サポートしている kdump のダンプ出力先

カーネルクラッシュをキャプチャーする際、コアダンプを直接デバイスに書き込んでローカルファイルシステムにファイルとして保存するか、ネットワーク経由で送信することができます。現在サポートしているダンプ出力先および kdump による非サポートが明確なダンプ出力先の全リストを以下に示します。

コマンドラインでターゲットタイプを設定する方法は、「kdump ターゲットの設定」 を参照してください。グラフィカルユーザーインターフェイスでデフォルト動作を設定する方法は、「kdump ターゲットの設定」 を参照してください。

表7.3 対応している kdump のダンプ出力先
Type対応しているダンプ出力先対応していないダンプ出力先

Raw デバイス

ローカルで添付されたすべての raw ディスクとパーティション

 

ローカルファイルシステム

直接接続されているディスクドライブ、ハードウェア RAID 論理ドライブ、LVM デバイス、mdraid アレイ上の ext2ext 3ext4、および xfs ファイルシステム。

auto タイプ (自動ファイルシステム検出) など、この表で明示的にサポート対象とされていないローカルファイルシステム。

リモートディレクトリー

IPv4NFS または SSH プロトコルを使用してアクセスしたリモートディレクトリー。

NFS プロトコルを使用してアクセスした rootfs ファイルシステム上のリモートディレクトリー。

FCoE (Fibre Channel over Ethernet) プロトコルを使用してアクセスするリモートディレクトリー。

qla2xxxlpfcbfa ハードウェア FCoE ターゲット。bnx2fc および ixgbe ソフトウェア FCoE ターゲット。

 

ハードウェアおよびソフトウェアイニシエーター上で iSCSI プロトコルを使用してアクセスするリモートディレクトリー。

be2iscsi ハードウェア上で iSCSI プロトコルを使用してアクセスするリモートディレクトリー。

マルチパスベースのストレージ

 

IPv6 上でアクセスするリモートディレクトリー

 

SMB または CIFS を使用してアクセスするリモートディレクトリー。

 

ワイヤレスネットワークインターフェイスを使用してアクセスするリモートディレクトリー

注記

ソフトウェア FCoE のダンプ出力先へダンプすると、OOM (Out of Memory) エラーが発生します。この場合は、デフォルトの crashkernel=auto パラメーターの値を大きくします。このカーネルブートパラメーターを設定する方法は、「メモリー使用量の設定」 を参照してください。

7.8.4. 対応している kdump のフィルターレベル

ダンプファイルのサイズを縮小させるため kdump では makedumpfile コアコレクターを使用してデータを圧縮して必要に応じて関連性のない情報を除外します。以下の表に、makedumpfile ユーティリティーで現在対応しているフィルターレベルの完全なリストを示します。

コマンドラインでコアコレクターを設定する方法は、「コアコレクターの設定」 を参照してください。グラフィカルユーザーインターフェイスでデフォルト動作を設定する方法は、「コアコレクターの設定」 を参照してください。

表7.4 サポートしているフィルターレベル
オプション説明

1

ゼロページ

2

キャッシュページ

4

キャッシュプライベート

8

ユーザーページ

16

フリーページ

注記

makedumpfile コマンドは、Red Hat Enterprise Linux 7.3 以降の透過的なヒュージページおよび hugetlbfs ページの削除をサポートします。これらのタイプの hugepages User Page の両方を考えて、-8 レベルを使用して削除します。

7.8.5. サポートしているデフォルトの動作

kdump がコアダンプの作成に失敗すると、デフォルトでは、オペレーティングシステムが再起動します。第 1 ダンプ出力先へのコアダンプの保存に失敗した場合、kdump に別の動作を行うよう設定することができます。kdump で現在サポートしているデフォルト動作を以下に示します。

コマンドラインでデフォルト動作を設定する方法は、「デフォルト動作の設定」 を参照してください。グラフィカルユーザーインターフェイスでデフォルト動作を設定する方法は、「デフォルト動作の設定」 を参照してください。

表7.5 サポートしているデフォルトの動作
オプション説明

dump_to_rootfs

root ファイルシステムにコアダンプの保存を試行します。ネットワーク上のダンプ出力先と併用する場合に特に便利なオプションです。ネットワーク上のダンプ出力先にアクセスできない場合、ローカルにコアダンプを保存するよう kdump の設定を行います。システムは、後で再起動します。

reboot

システムを再起動します。コアダンプは失われます。

halt

システムを停止します。コアダンプは失われます。

poweroff

システムの電源を切ります。コアダンプは失われます。

shell

initramfs 内から shell セッションを実行して、ユーザーが手動でコアダンプを記録できるようにします。

7.8.6. kdump サイズの見積もり

kdump 環境のプランニングや構築の際に、ダンプファイルに必要な容量がどれくらいか把握してから作成する必要があります。これには、makedumpfile コマンドを使用すると役立ちます。

以下のように、--mem-usage 機能を使用して、ダンプファイルに必要な領域を見積もります。

# makedumpfile -f --mem-usage /proc/kcore

注記

-f オプションを使用した --mem-usage 機能は、カーネルバージョン v4.11 以降で動作します。

v4.11 よりも前のバージョンのカーネルでは、--mem-usage にオプション -f を指定して実行する前に、カーネルにアップストリームのコミット 464920104bf7 でパッチが当てられていることを確認します。

--mem-usage オプションでは、除外可能なページに関する有用なレポートが提供され、これを使用して、割り当てるダンプレベルを判断することができます。このコマンドは、システムに典型的な負荷をかけた状態で実行する必要があります。 そうでないと、makedumpfile は実稼動環境で必要とされる値よりも小さい値を返します。

[root@hostname ~]# makedumpfile -f --mem-usage /proc/kcore

TYPE            PAGES                   EXCLUDABLE      DESCRIPTION
----------------------------------------------------------------------
ZERO            501635                  yes             Pages filled with zero
CACHE           51657                   yes             Cache pages
CACHE_PRIVATE   5442                    yes             Cache pages + private
USER            16301                   yes             User process pages
FREE            77738211                yes             Free pages
KERN_DATA       1333192                 no              Dumpable kernel data
重要

makedumpfile コマンドは pages にレポートを出します。つまり、カーネルページサイズ (Red Hat Enterprise Linux カーネルの場合、AMD64 および Intel 64 のアーキテクチャーでは 4 キロバイト、IBM POWER アーキテクチャーの場合は 64 キロバイト) に対して使用中のメモリーのサイズを計算する必要があります。

7.8.7. kernel および kernel-alt パッケージでのアーキテクチャーのサポート

以下の表は、kernel および kernel-alt パッケージでのアーキテクチャーおよび利用可能なメモリーサポートの概要を示しています。

表7.6 kernel および kernel-alt パッケージでサポートされるアーキテクチャー
CPU アーキテクチャー使用可能なメモリーRHEL 7.5 以前RHEL 7.6 以降RHEL-ALT-7.4RHEL-ALT-7.5 以降

AMD64 および Intel 64 (x86_64)

2GB 以上

161MB + 64MB (1TB あたり)

161MB + 64MB/1TB

2GB から 160MB

2GB から 160MB

64 ビット ARM アーキテクチャー (arm64)

2GB 以上

該当なし

該当なし

2GB から 512MB

2GB から 512MB

IBM POWER ppc64/ppc64le (Upto POWER8)

2GB から 4GB

384MB

384MB

該当なし

該当なし

4GB から 16GB

512MB

512MB

該当なし

該当なし

16GB から 64GB

1GB

1GB

該当なし

該当なし

64GB から 128GB

2GB

2GB

該当なし

該当なし

128GB 以上

4GB

4GB

該当なし

該当なし

IBM POWER ppc64/ppc64le (Upto POWER9)

2GB から 4GB

384MB

384MB

384MB

384MB

4GB から 16GB

512MB

512MB

512MB

512MB

16GB から 64GB

1GB

1GB

1GB

1GB

64GB から 128GB

2GB

2GB

2GB

2GB

128GB 以上

4GB

4GB

4GB

4GB

IBM POWER ppc64le (POWER9)

2GB から 4GB

該当なし

該当なし

384MB

384MB

4GB から 16GB

該当なし

該当なし

512MB

512MB

16GB から 64GB

該当なし

該当なし

1GB

1GB

64GB から 128GB

該当なし

該当なし

2GB

2GB

128GB 以上

該当なし

該当なし

4GB

4GB

IBM Z (s390x)

4GB 以上

161MB + 64MB (1TB あたり)

161MB + 64MB (1TB あたり)

161MB + 64MB (1TB あたり)

160MB

Red Hat logoGithubRedditYoutubeTwitter

詳細情報

試用、購入および販売

コミュニティー

Red Hat ドキュメントについて

Red Hat をお使いのお客様が、信頼できるコンテンツが含まれている製品やサービスを活用することで、イノベーションを行い、目標を達成できるようにします。

多様性を受け入れるオープンソースの強化

Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。このような変更は、段階的に実施される予定です。詳細情報: Red Hat ブログ.

会社概要

Red Hat は、企業がコアとなるデータセンターからネットワークエッジに至るまで、各種プラットフォームや環境全体で作業を簡素化できるように、強化されたソリューションを提供しています。

© 2024 Red Hat, Inc.