検索

8.12. Identity Management

download PDF

通常のユーザーによるページ検索はパフォーマンスに影響を与えなくなる

以前は、Directory Server に検索負荷がかかっている場合、ロックがネットワークイベントをポーリングするスレッドと競合するため、通常のユーザーからのページ検索がサーバーのパフォーマンスに影響を与える可能性がありました。さらに、ページ検索の送信中にネットワークの問題が発生した場合、nsslapd-iotimeout パラメーターの期限が切れるまでサーバー全体が応答しなくなっていました。今回の更新では、ネットワークイベントとの競合を避けるために、ロックがいくつかの部分に分割されました。その結果、一般ユーザーからのページ検索中のパフォーマンスへの影響はありません。

Bugzilla:1974242

スキーマのレプリケーションが Directory Server で正しく機能するようになる

以前は、Directory Server がスキーマを新しいサーバーに複製するときに、すべてのスキーマがリモートレプリカ上の 99user.ldif ファイルに追加されました。X-ORIGIN キーワードがすべての定義で user defined に設定されているため、すべてカスタムスキーマであるように見えました。その結果、Web コンソールに問題が発生する可能性があり、スキーマを監視し、X-ORIGIN キーワードに特定の値が含まれることを期待するお客様にも問題が発生する可能性がありました。この更新により、スキーマのレプリケーションが期待どおりに機能するようになりました。

Bugzilla:1759941

Directory Server で referral モードが正しく動作するようになる

以前は、CLI は nsslapd-referral 設定属性をマッピングツリーではなくバックエンドに設定していました。その結果、referral モードは機能しませんでした。この更新により、nsslapd-referral 属性が正しく設定され、referral モードが期待どおりに機能するようになりました。

Bugzilla:2053204

LMDB インポートがより高速に動作するようになる

以前は、entryrdn インデックスを構築するために、LMDB インポートワーカースレッドは、親エントリーが確実に処理されるように他のワーカースレッドを待機していました。これによりロック競合が発生し、インポートが大幅に遅くなりました。今回の更新により、LMDB データベースを介した LDIF インポートが再設計され、プロバイダースレッドは、エントリー RDN とその親に関するデータを、ワーカースレッドが entryrdn インデックスの構築に使用する一時データベースに保存します。その結果、ワーカースレッドの同期が必要なくなり、平均インポート速度が向上しました。

LMDB は同時書き込みトランザクションをサポートしていないため、LMDB インポートのインポート速度は依然として BDB インポートより 3 倍遅いことに注意してください。

Bugzilla:2116948

再起動後に dirsrv サービスが正しく開始されるようになる

以前は、dirsrv サービスが systemd-tmpfiles-setup.service の終了を明示的に待機しなかったため、再起動後に dirsrv サービスの起動に失敗することがありました。これにより競合状態が発生しました。今回の更新により、dirsrv サービスは systemd-tmpfiles-setup.service が完了するまで待機し、再起動後に起動に失敗することがなくなりました。

Bugzilla:2179278

セキュリティーパラメーターの変更が正しく機能するようになる

以前は、dsconf instance_name security set コマンドを使用してセキュリティーパラメーターを変更すると、次のエラーが発生して操作が失敗していました。

Name 'log' is not defined

この更新により、セキュリティーパラメーターの変更が期待どおりに機能するようになりました。

Bugzilla:2189717

SSSD が GPO ベースのアクセス制御を評価するときに sAMAccountName を使用するようになる

以前は、AD クライアントで ldap_user_namesAMAccountName 以外の値に設定されている場合、GPO ベースのアクセス制御が失敗しました。今回の更新により、SSSD が GPO ベースのアクセス制御を評価するときに常に sAMAccountName を使用するようになりました。ldap_user_name が AD クライアントの sAMAccountName とは異なる値に設定されている場合でも、GPO ベースのアクセス制御が正しく機能するようになりました。

Jira:SSSD-6107

SSSD は、ユーザーを取得するときに user_attributes オプションで重複した属性を処理するようになる

以前は、sssd.confuser_attributes オプションに重複した属性を含んでいた場合、SSSD はこれらの重複を正しく処理しませんでした。その結果、それらの属性を持つユーザーを取得できませんでした。この更新により、SSSD は重複を正しく処理できるようになりました。その結果、重複した属性を持つユーザーを取得できるようになりました。

Jira:SSSD-6177

動的 Kerberos PAC チケット署名強制メカニズムにより、IdM でのバージョン間の非互換性が修正される

以前は、Identity Management (IdM) デプロイメントのサーバーが RHEL 9 と RHEL 8 の両方で実行されている場合、特権属性証明書 (PAC) チケット署名サポートのアップストリーム実装によって生じる非互換性により、特定の操作が失敗していました。今回の更新では、RHEL 9 に動的チケット署名強制メカニズムの機能が実装され、このバージョン間の非互換性が修正されました。この機能を実際に有効にするには、以下を行う必要があります。

  1. ドメイン内のすべてのサーバーを更新します。
  2. すべての IdM Kerberos Distribution Center (KDC) サービスを再起動します。

これら 2 つの操作の順序は重要です。KDC は起動時に、ドメイン内の他のすべてのサーバーのメタデータに対してクエリーを実行し、それらのサーバーがすべて PAC チケット署名をサポートしているかどうかを確認します。サポートしていない場合、署名は強制されません。

制約付き委任リクエストの例など、動的な Kerberos PAC チケット署名強制メカニズムの詳細については、こちらの ナレッジベースの記事 を参照してください。

Jira:RHELDOCS-17011[1], Bugzilla:2182683, Bugzilla:2178298

SHA-1 署名検証が FIPS モードで許可されるようになる

以前は、Identity Management (IdM) が FIPS モードの場合、SHA-1 署名検証の使用を許可できませんでした。これは、IdM が、SHA-1 署名を許可しない FIPS-140-3 標準を使用しているためです。この状況により、Active Directory (AD) の相互運用性に問題が発生していました。AD は古い FIPS-140-2 標準にのみ準拠しており、SHA-1 署名を必要とするためです。

この更新により、PKINIT 署名検証に FIPS 例外が導入されました。IdM で FIPS モードが有効になっている場合、当該制約は無視されます。デフォルトモードの制約のみが適用され、FIPS モードの場合でも SHA1 暗号化モジュールの使用が許可されます。その結果、FIPS モードでの AD の相互運用性は意図したとおりに機能します。

IdM/AD 信頼のシナリオ、または RHEL 9.2 以降のホストを AD クライアントとして使用するシナリオにおいて FIPS モードで PKINIT をサポートするには、暗号化ポリシーを FIPS:AD-SUPPORT:SHA1 に設定する必要があります。

Bugzilla:2155607

IdM admin ユーザーの削除が許可されなくなる

以前は、admin グループのメンバーであれば、Identity Management (IdM) の admin ユーザーを削除できました。admin ユーザーが存在しないと、IdM と Active Directory (AD) の間の信頼が正しく機能しません。この更新により、admin ユーザーを削除できなくなりました。結果として、IdM-AD 信頼は正しく機能します。

Bugzilla:2229712

ipa-kdb に起因する krb5kdc の障害が発生しなくなる

以前は、ipa-kdb ドライバーはサーバーホストオブジェクトの欠如と接続の失敗を区別していませんでした。その結果、LDAP サーバーとの接続の問題によって生成された NULL LDAP コンテキストが原因で、krb5kdc サーバーが予期せず停止することがありました。

今回の更新により、ipa-kdb ドライバーは接続の失敗を正しく識別し、接続の失敗とサーバーホストオブジェクトの欠如を区別できるようになりました。その結果、krb5kdc サーバーで障害が発生しなくなりました。

Bugzilla:2227831

IdM クライアントインストーラーは、ldap.conf ファイルで TLS CA 設定を指定しなくなる

以前は、IdM クライアントインストーラーは ldap.conf ファイルで TLS CA 設定を指定していました。この更新により、OpenLDAP はデフォルトのトラストストアを使用し、IdM クライアントインストーラーは ldap.conf ファイルに TLS CA 設定をセットアップしません。

Bugzilla:2094673

IdM クライアントは、信頼できる AD ユーザーの名前に大文字と小文字が混在している場合でも、当該 AD ユーザーの情報を適切に取得する

以前は、ユーザーの検索または認証を試行した際に、その信頼できる Active Directory (AD) ユーザーの名前に大文字と小文字が混在しており、かつ IdM でオーバーライドが設定されていた場合、エラーが返され、ユーザーは IdM リソースにアクセスできませんでした。

RHBA-2023:4359 のリリースにより、大文字と小文字を区別する比較は、大文字と小文字を区別しない比較に置き換えられました。その結果、IdM クライアントは、ユーザー名に大文字と小文字が混在しており、IdM でオーバーライドが設定されている場合でも、AD の信頼済みドメインのユーザーを検索できるようになりました。

Jira:SSSD-6096

Red Hat logoGithubRedditYoutubeTwitter

詳細情報

試用、購入および販売

コミュニティー

Red Hat ドキュメントについて

Red Hat をお使いのお客様が、信頼できるコンテンツが含まれている製品やサービスを活用することで、イノベーションを行い、目標を達成できるようにします。

多様性を受け入れるオープンソースの強化

Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。このような変更は、段階的に実施される予定です。詳細情報: Red Hat ブログ.

会社概要

Red Hat は、企業がコアとなるデータセンターからネットワークエッジに至るまで、各種プラットフォームや環境全体で作業を簡素化できるように、強化されたソリューションを提供しています。

© 2024 Red Hat, Inc.