第6章 コンテナー化された Ceph デーモンのコロケーション
本セクションでは、以下を説明します。
6.1. コロケーションの仕組みとその利点
コンテナー化された Ceph デーモンを同じノードの同じ場所に配置できます。Ceph のサービスの一部を共存する利点を以下に示します。
- 小規模での総所有コスト (TCO) の大幅な改善
- 最小設定の場合は、6 ノードから 3 ノードまで削減
- より簡単なアップグレード
- リソース分離の改善
Red Hat Ceph Storage クラスターのデーモンのコロケーションに関する詳細は、ナレッジベースの記事 Red Hat Ceph Storage: Supported Configurations を参照してください。
コロケーションの仕組み
Ansible インベントリーファイルの適切なセクションに同じノードを追加することで、次のリストから 1 つのデーモンを OSD デーモン (ceph-osd
) と同じ場所に配置できます。
-
Ceph メタデータサーバー (
ceph-mds
) -
Ceph Monitor (
ceph-mon
) および Ceph Manager (ceph-mgr
) デーモン -
NFS Ganesha (
nfs-ganesha
) -
RBD ミラー (
rbd-mirror
) -
iSCSI Gateway (
iscsigw
)
Red Hat Ceph Storage 4.2 以降、Metadata Server (MDS) を 1 つの追加のスケールアウトデーモンと同じ場所に配置できます。
さらに、Ceph Object Gateway (radosgw
) または Grafana の場合、RBD mirror.z を除く、OSD デーモンと上記のリストのデーモンのいずれかを共存させることができます。たとえば、以下は有効な 5 ノードの共存設定です。
ノード | デーモン | デーモン | デーモン |
---|---|---|---|
node1 | OSD | Monitor | Grafana |
node2 | OSD | Monitor | RADOS Gateway |
node3 | OSD | Monitor | RADOS Gateway |
node4 | OSD | メタデータサーバー | |
node5 | OSD | メタデータサーバー |
上記の設定のように 5 つのノードクラスターをデプロイするには、以下のように Ansible インベントリーファイルを設定します。
同じ場所に配置されたデーモンを含む Ansible インベントリーファイル
[grafana-server] node1 [mons] node[1:3] [mgrs] node[1:3] [osds] node[1:5] [rgws] node[2:3] [mdss] node[4:5]
ceph-mon
と ceph-mgr
は密接に連携するため、コロケーションのために、2 つの別のデーモンとしてカウントしません。
Grafana と他のデーモンのコロケーションは、Cockpit ベースのインストールではサポートされません。ceph-ansible
を使用してストレージクラスターを設定します。
Red Hat は、Ceph Object Gateway を OSD コンテナーと併置してパフォーマンスを向上することを推奨します。追加コストを発生せずに最高のパフォーマンスを実現するには、group_vars/all.yml
で radosgw_num_instances: 2
に設定して、2 つのゲートウェイを使用します。詳細は、Red Hat Ceph Storage RGW deployment strategies and sizing guidance を参照してください。
Grafana を他の 2 つのコンテナーと同じ場所に配置するには、適切な CPU とネットワークリソースが必要です。リソースの枯渇が発生した場合は、Grafana と Monitor のみを同じ場所に配置し、それでもリソースの枯渇が発生した場合は、専用ノードで Grafana を実行します。
図6.1「同じ場所に配置されたデーモン」 イメージおよび 図6.2「同じ場所に配置されていないデーモン」 イメージは、同じ場所に置かれたデーモンと、同じ場所に置かれていないデーモンの相違点を示しています。
図6.1 同じ場所に配置されたデーモン
図6.2 同じ場所に配置されていないデーモン
複数のコンテナー化された Ceph デーモンを同じノードにコロケートする場合、Playbook ceph-ansible
は専用の CPU および RAM リソースをそれぞれに予約します。デフォルトでは、ceph-ansible
は、Red Hat Ceph Storage ハードウェアガイドの 推奨される最小ハードウェア の章に記載される値を使用します。デフォルト値の変更方法は、同じ場所に配置されたデーモンの専用リソースの設定 セクションを参照してください。