11.4. HA for CephFS/NFS サービスの実装 (テクノロジープレビュー)
--ingress
フラグを使用し、仮想 IP アドレスを指定することで、高可用性 (HA) フロントエンド、仮想 IP、およびロードバランサーを備えた NFS をデプロイできます。これにより、keepalived
と haproxy
の組み合わせがデプロイされ、NFS サービスに高可用性の NFS フロントエンドが提供されます。
--ingress
フラグを指定してクラスターを作成すると、NFS サーバーの負荷分散と高可用性を提供するために、Ingress サービスが追加でデプロイされます。仮想 IP は、すべての NFS クライアントがマウントに使用できる既知の安定した NFS エンドポイントを提供するために使用されます。Ceph は、仮想 IP 上の NFS トラフィックを適切なバックエンド NFS サーバーにリダイレクトする詳細を処理し、失敗した場合に NFS サーバーを再デプロイします。
既存のサービスに Ingress サービスをデプロイすると、以下が提供されます。
- NFS サーバーへのアクセスに使用できる安定した仮想 IP。
- 複数の NFS ゲートウェイに負荷を分散します。
- ホストに障害が発生した場合のホスト間のフェイルオーバー。
HA for CephFS/NFS はテクノロジープレビュー機能のみになります。テクノロジープレビュー機能は、実稼働環境での Red Hat サービスレベルアグリーメント (SLA) ではサポートされておらず、機能的に完全ではない可能性があるため、Red Hat では実稼働環境での使用を推奨していません。テクノロジープレビューの機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。詳細は、Red Hat テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
ingress
サービスが NFS クラスターの前にデプロイされると、バックエンドの NFS-ganesha サーバーは、クライアントの IP アドレスではなく、haproxy の IP アドレスを認識します。その結果、IP アドレスに基づいてクライアントアクセスを制限している場合、NFS エクスポートのアクセス制限は想定どおりに機能しません。
クライアントにサービスを提供しているアクティブな NFS サーバーがダウンした場合、クライアントの I/O は、アクティブな NFS サーバーの代替サーバーがオンラインになり、NFS クラスターが再びアクティブになるまで中断されます。
前提条件
- 稼働中の Red Hat Ceph Storage クラスターがある。
- ホストがクラスターに追加されている。
- すべてのマネージャー、モニター、および OSD デーモンがデプロイされている。
- NFS モジュールが有効になっていることを確認している。
手順
Cephadm シェルにログインします。
例
[root@host01 ~]# cephadm shell
--ingress
フラグを使用して NFS クラスターを作成します。構文
ceph nfs cluster create CLUSTER_ID [PLACEMENT] [--port PORT_NUMBER] [--ingress --virtual-ip IP_ADDRESS/CIDR_PREFIX]
- CLUSTER_ID を一意の文字列に置き換えて、NFS Ganesha クラスターに名前を付けます。
- PLACEMENT を、デプロイする NFS サーバーの数と、NFS Ganesha デーモンコンテナーをデプロイするホスト (1 つまたは複数) に置き換えます。
--port
PORT_NUMBER フラグを使用して、デフォルトのポート 12049 以外のポートに NFS をデプロイします。注記ingress モードでは、高可用性プロキシーはポート 2049 を使用し、NFS サービスは 12049 にデプロイされます。
-
--ingress
フラグを--virtual-ip
フラグと組み合わせると、高可用性フロントエンド (仮想 IP およびロードバランサー) を使用して NFS がデプロイされます。 --virtual-ip
IP_ADDRESS を IP アドレスに置き換えて、すべてのクライアントが NFS エクスポートをマウントするために使用できる既知の安定した NFS エンドポイントを提供します。--virtual-ip
には、CIDR 接頭辞長を含める必要があります。仮想 IP は通常、同じサブネット内に既存の IP を持つ最初に識別されたネットワークインターフェイスで設定されます。注記NFS サービスに割り当てるホストの数は、デプロイを要求するアクティブな NFS サーバーの数 (
placement: count
パラメーターで指定) よりも大きくする必要があります。以下の例では、1 つのアクティブな NFS サーバーが要求され、2 つのホストが割り当てられます。例
[ceph: root@host01 /]# ceph nfs cluster create mycephnfs "1 host02 host03" --ingress --virtual-ip 10.10.128.75/22
注記NFS デーモンと Ingress サービスのデプロイメントは非同期であり、サービスが完全に開始される前にコマンドが返される場合があります。
サービスが正常に開始されたことを確認します。
構文
ceph orch ls --service_name=nfs.CLUSTER_ID ceph orch ls --service_name=ingress.nfs.CLUSTER_ID
例
[ceph: root@host01 /]# ceph orch ls --service_name=nfs.mycephnfs NAME PORTS RUNNING REFRESHED AGE PLACEMENT nfs.mycephnfs ?:12049 2/2 0s ago 20s host02;host03 [ceph: root@host01 /]# ceph orch ls --service_name=ingress.nfs.mycephnfs NAME PORTS RUNNING REFRESHED AGE PLACEMENT ingress.nfs.mycephnfs 10.10.128.75:2049,9049 4/4 46s ago 73s count:2
検証
IP エンドポイント、個々の NFS デーモンの IP、および
ingress
サービスの仮想 IP を表示します。構文
ceph nfs cluster info CLUSTER_NAME
例
[ceph: root@host01 /]# ceph nfs cluster info mycephnfs { "mycephnfs": { "virtual_ip": "10.10.128.75", "backend": [ { "hostname": "host02", "ip": "10.10.128.69", "port": 12049 }, { "hostname": "host03", "ip": "10.10.128.70", "port": 12049 } ], "port": 2049, "monitor_port": 9049 } }
ホストおよびプロセスをリスト表示します。
例
[ceph: root@host01 /]# ceph orch ps | grep nfs haproxy.nfs.cephnfs.host01.rftylv host01 *:2049,9000 running (11m) 10m ago 11m 23.2M - 2.2.19-7ea3822 5e6a41d77b38 f8cc61dc827e haproxy.nfs.cephnfs.host02.zhtded host02 *:2049,9000 running (11m) 53s ago 11m 21.3M - 2.2.19-7ea3822 5e6a41d77b38 4cad324e0e23 keepalived.nfs.cephnfs.host01.zktmsk host01 running (11m) 10m ago 11m 2349k - 2.1.5 18fa163ab18f 66bf39784993 keepalived.nfs.cephnfs.host02.vyycvp host02 running (11m) 53s ago 11m 2349k - 2.1.5 18fa163ab18f 1ecc95a568b4 nfs.cephnfs.0.0.host02.fescmw host02 *:12049 running (14m) 3m ago 14m 76.9M - 3.5 cef6e7959b0a bb0e4ee9484e nfs.cephnfs.1.0.host03.avaddf host03 *:12049 running (14m) 3m ago 14m 74.3M - 3.5 cef6e7959b0a ea02c0c50749
関連情報
- クライアントホストに NFS エクスポートをマウントする方法の詳細は、Red Hat Ceph Storage ファイルシステムガイド の NFS プロトコルを介した Ceph File System 名前空間のエクスポート セクションを参照してください。