第1章 Pacemaker を使用した Red Hat High Availability クラスターの作成
本章では、pcs コマンドを使用して 2 ノードの Red Hat High Availability クラスターを作成する手順を説明します。クラスターの作成後、必要なリソースやリソースグループを設定できます。
本章で説明しているクラスターを設定する場合には次のコンポーネントが必要になります。
- クラスターを作成するのに使用する 2 つのノード。この例では、使用されるノードは
z1.example.com
およびz2.example.com
です。 - プライベートネットワーク用のネットワークスイッチ、クラスター同士の通信およびネットワーク電源スイッチやファイバーチャンネルスイッチなどのクラスターハードウェアとの通信に必要になります。
- 各ノード用の電源フェンスデバイス、ここでは APC 電源スイッチの 2 ポートを使用しています。この例では、APC 電源スイッチの 2 ポートを使用します。ホスト名は
zapc.example.com
です。
本章は 3 つの項に分かれています。
- 「クラスターソフトウェアのインストール」 では、クラスターソフトウェアのインストール手順を説明します。
- 「クラスターの作成」 では、2 ノードクラスターの設定手順を説明します。
- 「排他処理の設定」 では、クラスターの各ノードにフェンスデバイスを設定する手順を説明します。
1.1. クラスターソフトウェアのインストール
クラスターのインストールおよび設定手順を以下に示します。
- クラスターの各ノードに、Red Hat High Availability Add-On ソフトウェアパッケージと、使用可能なすべてのフェンスエージェントを、High Availability チャンネルからインストールします。
#
yum install pcs pacemaker fence-agents-all
- firewalld デーモンを実行している場合は、以下のコマンドを実行して Red Hat High Availability Add-On が必要とするポートを有効にします。注記firewalld デーモンがシステムにインストールされているかどうかを確認するには、rpm -q firewalld コマンドを実行します。firewalld デーモンがインストールされている場合は、firewall-cmd --state コマンドを使用して実行されているかどうかを確認できます。
#
firewall-cmd --permanent --add-service=high-availability
#firewall-cmd --add-service=high-availability
pcs
を使用してクラスターの設定やノード間の通信を行うため、pcs
の管理アカウントとなるユーザー IDhacluster
のパスワードを各ノードに設定する必要があります。hacluster
ユーザーのパスワードは、各ノードで同じにすることが推奨されます。#
passwd hacluster
Changing password for user hacluster. New password: Retype new password: passwd: all authentication tokens updated successfully.- クラスターを設定する前に、各ノードで起動時にブートするよう pcsd デーモンが起動および有効化されている必要があります。このデーモンは pcs コマンドで動作し、クラスターのノード全体で設定を管理します。クラスターの各ノードで次のコマンドを実行して、システムの起動時に
pcsd
サービスが起動し、pcsd
が有効になるように設定します。#
systemctl start pcsd.service
#systemctl enable pcsd.service
- pcs を実行するノードでクラスター内の各ノードの pcs ユーザー
hacluster
を認証します。次のコマンドは、z1.example.com
とz2.example.com
で設定される 2 ノードクラスターの両ノードに対して、z1.example.com
のhacluster
ユーザーを認証します。[root@z1 ~]#
pcs cluster auth z1.example.com z2.example.com
Username:hacluster
Password: z1.example.com: Authorized z2.example.com: Authorized