第3章 Red Hat High Availability クラスターのアクティブ/パッシブな NFS サーバー
本章では、共有ストレージを使用して 2 ノードの Red Hat Enterprise Linux High Availability Add-On クラスターで高可用性アクティブ/パッシブ NFS サーバーを設定する方法について説明します。この手順では、Pacemaker クラスターリソースの設定に pcs を使用します。このユースケースでは、クライアントが、フローティング IP アドレスから NFS ファイルシステムにアクセスします。NFS サービスは、クラスターにある 2 つのノードのいずれかで実行します。NFS サーバーが実行しているノードが正常に動作しなくなると、NFS サーバーはクラスターの 2 番目のノードで再起動し、サービスの中断が最小限に抑えられます。
このユースケースでは、システムに以下のコンポーネントが必要です。
- Apache HTTP サーバーを実行するクラスターを作成するために使用される 2 つのノード。この例では、使用されるノードは
z1.example.com
およびz2.example.com
です。 - 各ノード用の電源フェンスデバイス、ここでは APC 電源スイッチの 2 ポートを使用しています。この例では、APC 電源スイッチの 2 ポートを使用します。ホスト名は
zapc.example.com
です。 - NFS サーバーに必要なパブリック仮想 IP アドレス。
- iSCSI、ファイバーチャネル、またはその他の共有ネットワークデバイスを使用する、クラスター内のノードの共有ストレージ。
2 ノード Red Hat Enterprise Linux で高可用性アクティブ/パッシブ NFS サーバーを設定するには、以下の手順を実行する必要があります。
- 「NFS クラスターの作成」 の説明に従って、NFS サーバーを実行するクラスターを作成し、クラスターの各ノードにフェンシングを設定します。
- 「LVM ボリュームを ext4 ファイルシステムで設定」 の説明に従って、クラスターのノードに対する共有ストレージの LVM 論理ボリューム
my_lv
にマウントされたext4
ファイルシステムを設定します。 - 「NFS 共有の設定」 の説明に従って、LVM 論理ボリュームの共有ストレージで NFS 共有を設定します。
- 「ボリュームグループのアクティブ化をクラスター内に限定」 の説明に従って、論理ボリューム
my_lv
が含まれる LVM ボリュームグループをクラスターのみがアクティブ化できるようにし、ボリュームグループが起動時にクラスターの外部でアクティブ化されないようにします。 - 「クラスターリソースの設定」 の説明に従って、クラスターリソースを作成します。
- 「リソース設定のテスト」 に従って、設定した NFS サーバーをテストします。
3.1. NFS クラスターの作成
以下の手順に従って、NFS クラスターをインストールおよび作成します。
- 「クラスターの作成」 で説明されている手順を使用して、
z1.example.com
およびz2.example.com
で設定される 2 ノードクラスターを作成します。この手順の例と同様に、クラスターにはmy_cluster
という名前が付けられます。 - 「排他処理の設定」 の説明に従って、クラスターの各ノードにフェンスデバイスを設定します。この例では、ホスト名が
zapc.example.com
という APC 電源スイッチの 2 つのポートを使用してフェンシングが設定されます。