3.5. クラスターリソースの設定
このセクションでは、このユースケースで、クラスターリソースを設定する手順を説明します。
注記
pcs resource create コマンドを使用してクラスターリソースを作成する場合、作成直後に pcs status コマンドを実行してリソースが稼働していることを検証することが推奨されます。「排他処理の設定」 の手順でクラスターにフェンスデバイスを設定していないとリソースはデフォルトでは起動しないので注意してください。
設定したリソースが実行されていない場合は、pcs resource debug-start resource コマンドを実行してリソースの設定をテストできます。このコマンドは、クラスターの制御や認識の範囲外でサービスを起動します。設定したリソースが再度実行されたら、pcs resource cleanup resource コマンドを実行してクラスターが更新を認識するようにします。pcs resource debug-start コマンドの詳細は 『High Availability Add-On リファレンス』 を参照してください。
以下の手順では、システムリソースを設定します。これらのリソースがすべて同じノードで実行するように、これらのリソースはリソースグループ
nfsgroup
に含まれます。リソースは、グループに追加された順序で起動し、その逆の順序で停止します。この手順は、クラスター内のいずれかのノードで実行してください。
- 以下のコマンドは
my_lvm
という名前の LVM リソースを作成します。このコマンドは、exclusive=true
パラメーターを指定し、クラスターのみが LVM 論理ボリュームをアクティブ化できるようにします。リソースグループmy_lvm
は存在しないため、このコマンドによりリソースグループが作成されます。[root@z1 ~]#
pcs resource create my_lvm LVM volgrpname=my_vg
\exclusive=true --group nfsgroup
クラスターのステータスを確認し、リソースが実行していることを確認します。root@z1 ~]#
pcs status
Cluster name: my_cluster Last updated: Thu Jan 8 11:13:17 2015 Last change: Thu Jan 8 11:13:08 2015 Stack: corosync Current DC: z2.example.com (2) - partition with quorum Version: 1.1.12-a14efad 2 Nodes configured 3 Resources configured Online: [ z1.example.com z2.example.com ] Full list of resources: myapc (stonith:fence_apc_snmp): Started z1.example.com Resource Group: nfsgroup my_lvm (ocf::heartbeat:LVM): Started z1.example.com PCSD Status: z1.example.com: Online z2.example.com: Online Daemon Status: corosync: active/enabled pacemaker: active/enabled pcsd: active/enabled - クラスターに
Filesystem
リソースを設定します。注記options=options
パラメーターを使用すると、Filesystem
リソースのリソース設定の一部としてマウントオプションを指定できます。すべての設定オプションを確認する場合は、pcs resource describe Filesystem コマンドを実行します。以下のコマンドは、ext4 のFilesystem
リソースnfsshare
を、nfsgroup
リソースグループに追加します。このファイルシステムは、「LVM ボリュームを ext4 ファイルシステムで設定」 で作成された LVM ボリュームグループと ext4 ファイルシステムを使用します。このファイルシステムは 「NFS 共有の設定」 で作成された/nfsshare
ディレクトリーにマウントされます。[root@z1 ~]#
pcs resource create nfsshare Filesystem
\device=/dev/my_vg/my_lv directory=/nfsshare
\fstype=ext4 --group nfsgroup
my_lvm
リソースおよびnfsshare
リソースが実行していることを確認します。[root@z1 ~]#
pcs status
... Full list of resources: myapc (stonith:fence_apc_snmp): Started z1.example.com Resource Group: nfsgroup my_lvm (ocf::heartbeat:LVM): Started z1.example.com nfsshare (ocf::heartbeat:Filesystem): Started z1.example.com ... nfsgroup
リソースグループの一部であるnfs-daemon
という名前のnfsserver
リソースを作成します。注記nfsserver
リソースを使用して、nfs_shared_infodir
パラメーターを指定できます。これは、NFS デーモンが NFS 関連のステートフル情報の格納に使用するディレクトリーです。この属性は、このエクスポートのコレクションで作成したFilesystem
リソースのいずれかのサブディレクトリーに設定することが推奨されます。これにより、NFS デーモンは、このリソースグループを再配置する必要がある場合に別のノードで使用できるデバイスに、ステートフル情報を保存します。これにより、NFS デーモンは、このリソースグループを再度移動する必要が生じた場合に、別のノードで利用可能になるステートフル情報をデバイスに保存します。この例では、/nfsshare
はFilesystem
リソースで管理される共有ストレージディレクトリーで、/nfsshare/exports/export1
および/nfsshare/exports/export2
はエクスポートディレクトリーです。/nfsshare/nfsinfo
は、nfsserver
リソースの共有情報ディレクトリーです。[root@z1 ~]#
pcs resource create nfs-daemon nfsserver
\nfs_shared_infodir=/nfsshare/nfsinfo nfs_no_notify=true
\--group nfsgroup
[root@z1 ~]#pcs status
...exportfs
リソースを追加して/nfsshare/exports
ディレクトリーをエクスポートします。このリソースは、nfsgroup
リソースグループに含まれます。これにより、NFSv4 クライアントの仮想ディレクトリーが構築されます。このエクスポートには、NFSv3 クライアントもアクセスできます。[root@z1 ~]#
pcs resource create nfs-root exportfs
\clientspec=192.168.122.0/255.255.255.0
\options=rw,sync,no_root_squash
\directory=/nfsshare/exports
\fsid=0 --group nfsgroup
[root@z1 ~]# #pcs resource create nfs-export1 exportfs
\clientspec=192.168.122.0/255.255.255.0
\options=rw,sync,no_root_squash directory=/nfsshare/exports/export1
\fsid=1 --group nfsgroup
[root@z1 ~]# #pcs resource create nfs-export2 exportfs
\clientspec=192.168.122.0/255.255.255.0
\options=rw,sync,no_root_squash directory=/nfsshare/exports/export2
\fsid=2 --group nfsgroup
- NFS 共有にアクセスするために、NFS クライアントが使用するフローティング IP アドレスリソースを追加します。指定するフローティング IP アドレスには DNS リバースルックアップが必要になりますが、クラスターのすべてのノードで
/etc/hosts
にフローティング IP アドレスを指定して対処することもできます。このリソースは、リソースグループnfsgroup
に含まれます。このデプロイメント例では、192.168.122.200 をフローティング IP アドレスとして使用します。[root@z1 ~]#
pcs resource create nfs_ip IPaddr2
\ip=192.168.122.200 cidr_netmask=24 --group nfsgroup
- NFS デプロイメント全体が初期化されたら、NFSv3 の再起動通知を送信する
nfsnotify
リソースを追加します。このリソースは、リソースグループnfsgroup
に含まれます。注記NFS の通知が適切に処理されるようにするには、フローティング IP アドレスにホスト名が関連付けられており、それが NFS サーバーと NFS クライアントで同じである必要があります。[root@z1 ~]#
pcs resource create nfs-notify nfsnotify
\source_host=192.168.122.200 --group nfsgroup
リソースとリソースの制約を作成したら、クラスターのステータスを確認できます。すべてのリソースが同じノードで実行していることに注意してください。
[root@z1 ~]# pcs status
...
Full list of resources:
myapc (stonith:fence_apc_snmp): Started z1.example.com
Resource Group: nfsgroup
my_lvm (ocf::heartbeat:LVM): Started z1.example.com
nfsshare (ocf::heartbeat:Filesystem): Started z1.example.com
nfs-daemon (ocf::heartbeat:nfsserver): Started z1.example.com
nfs-root (ocf::heartbeat:exportfs): Started z1.example.com
nfs-export1 (ocf::heartbeat:exportfs): Started z1.example.com
nfs-export2 (ocf::heartbeat:exportfs): Started z1.example.com
nfs_ip (ocf::heartbeat:IPaddr2): Started z1.example.com
nfs-notify (ocf::heartbeat:nfsnotify): Started z1.example.com
...