5.18. 接続がトンネルを回避しないように VPN 接続を専用ルーティングテーブルに割り当てる


DHCP サーバーとステートレスアドレス自動設定 (SLAAC) はどちらも、クライアントのルーティングテーブルにルートを追加できます。悪意のある DHCP サーバーがこの機能を使用すると、たとえば、VPN 接続を使用するホストに対して、VPN トンネルではなく物理インターフェイス経由でトラフィックをリダイレクトするように強制できます。この脆弱性は TunnelVision とも呼ばれ、CVE-2024-3661 の脆弱性に関する記事で説明されています。

この脆弱性を軽減するために、VPN 接続を専用のルーティングテーブルに割り当てることができます。これを行うと、DHCP 設定または SLAAC が、VPN トンネル宛のネットワークパケットに関するルーティング決定を操作できなくなります。

次の条件が 1 つ以上環境に当てはまる場合は、この手順を実行してください。

  • 少なくとも 1 つのネットワークインターフェイスが DHCP または SLAAC を使用している。
  • ネットワークで、不正な DHCP サーバーを防ぐ DHCP スヌーピングなどのメカニズムが使用されていない。
重要

トラフィック全体を VPN 経由でルーティングすると、ホストがローカルネットワークリソースにアクセスできなくなります。

前提条件

  • NetworkManager 1.48.10-5 以降を使用している。

手順

  1. 使用するルーティングテーブルを決定します。次の手順ではテーブル 75 を使用します。デフォルトでは、RHEL はテーブル 1 - 254 を使用しないため、それらのテーブルのうちどれでも使用できます。
  2. VPN ルートを専用のルーティングテーブルに割り当てるように VPN 接続プロファイルを設定します。

    # nmcli connection modify <vpn_connection_profile> ipv4.route-table 75 ipv6.route-table 75
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  3. 上記のコマンドで使用したテーブルに低い優先度値を設定します。

    # nmcli connection modify <vpn_connection_profile> ipv4.routing-rules "priority 32345 from all table 75" ipv6.routing-rules "priority 32345 from all table 75"
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    優先度の値は 1 - 32766 の範囲で指定できます。値が低いほど、優先度が高くなります。

  4. VPN 接続を再接続します。

    # nmcli connection down <vpn_connection_profile>
    # nmcli connection up <vpn_connection_profile>
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検証

  1. テーブル 75 の IPv4 ルートを表示します。

    # ip route show table 75
    ...
    192.0.2.0/24 via 192.0.2.254 dev vpn_device proto static metric 50
    default dev vpn_device proto static scope link metric 50
    Copy to Clipboard

    この出力から、リモートネットワークへのルートとデフォルトゲートウェイの両方がルーティングテーブル 75 に割り当てられており、すべてのトラフィックがトンネルを介してルーティングされることを確認できます。VPN 接続プロファイルで ipv4.never-default true を設定すると、デフォルトルートが作成されず、この出力には表示されません。

  2. テーブル 75 の IPv6 ルートを表示します。

    # ip -6 route show table 75
    ...
    2001:db8:1::/64 dev vpn_device proto kernel metric 50 pref medium
    default dev vpn_device proto static metric 50 pref medium
    Copy to Clipboard

    この出力から、リモートネットワークへのルートとデフォルトゲートウェイの両方がルーティングテーブル 75 に割り当てられており、すべてのトラフィックがトンネルを介してルーティングされることを確認できます。VPN 接続プロファイルで ipv4.never-default true を設定すると、デフォルトルートが作成されず、この出力には表示されません。

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