23.4. 点字ディスプレイデバイスの有効化
点字ディスプレイは、brltty
サービスを使用して視覚障害のあるユーザーに触覚出力を提供するデバイスです。
点字ディスプレイを正しく機能させるためには、以下の手順を実行します。
23.4.1. サポートされている点字ディスプレイデバイスのタイプ
RHEL 8 では、以下のタイプの点字表示デバイスがサポートされています。
点字デバイスのタイプ | タイプの構文 | 注記 |
---|---|---|
シリアルデバイス |
|
相対パスは |
USB デバイス |
|
ここでの括弧 ( |
Bluetooth デバイス |
|
23.4.2. brltty サービスの有効化
点字ディスプレイを有効にするには、システムの起動時に brltty
サービスが自動的に起動するように設定します。デフォルトでは、brltty
は無効になっています。
前提条件
brltty
パッケージがインストールされていることを確認します。# yum install brltty
オプションで、
brltty
の音声合成サポートをインストールできます。# yum install brltty-espeak-ng
手順
システムの起動時に
brltty
サービスが起動するように設定します。# systemctl enable --now brltty
検証手順
- システムを再起動します。
brltty
サービスが実行されていることを確認します。# systemctl status brltty ● brltty.service - Braille display driver for Linux/Unix Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/brltty.service; enabled; vendor pres> Active: active (running) since Tue 2019-09-10 14:13:02 CEST; 39s ago Process: 905 ExecStart=/usr/bin/brltty (code=exited, status=0/SUCCESS) Main PID: 914 (brltty) Tasks: 3 (limit: 11360) Memory: 4.6M CGroup: /system.slice/brltty.service └─914 /usr/bin/brltty
23.4.3. 点字ディスプレイデバイスのユーザーの許可
点字ディスプレイデバイスを使用するには、点字ディスプレイデバイスの使用を許可するユーザーを設定する必要があります。
手順
/etc/brltty.conf
ファイルで、keyfile
が/etc/brlapi.key
に設定されていることを確認します。api-parameters Auth=keyfile:/etc/brlapi.key
これはデフォルト値です。組織によっては変更されている可能性があります。
選択したユーザーを
brlapi
グループに追加して許可します。# usermod --append -G brlapi user-name
23.4.4. 点字ディスプレイデバイスのドライバーの設定
brltty
サービスは、点字ディスプレイデバイスのドライバーを自動的に選択します。自動検出に失敗したり、時間がかかりすぎる場合は、ドライバーを手動で設定できます。
前提条件
- ドライバーの自動検出に失敗したか、時間がかかりすぎている。
手順
-
/etc/brltty.conf
設定ファイルを開きます。 -
点字ディスプレイデバイスのドライバーを指定する
braille-driver
ディレクティブを見つけます。 braille-driver
ディレクティブで、必要なドライバーの識別コードを指定します。/etc/brltty.conf
で提供されるリストから、必要なドライバーの識別コードを選択します。たとえば、XWindow ドライバーを使用するには、次のようにします。# XWindow braille-driver xw
複数のドライバーを設定するには、コンマで区切ってリストします。すると、自動検出により、リストされたドライバーから選択されます。
23.4.5. 点字ディスプレイデバイスの接続
brltty
サービスは、点字ディスプレイデバイスに自動的に接続します。自動検出に失敗した場合は、接続方法を手動で設定できます。
前提条件
- 点字ディスプレイデバイスがシステムに物理的に接続されている。
- 自動接続に失敗した。
手順
デバイスがシリアル USB 変換アダプターで接続されている場合は、デバイスプラグのカーネルメッセージで実際のデバイス名を見つけます。
# journalctl --dmesg | fgrep ttyUSB
-
/etc/brltty.conf
設定ファイルを開きます。 -
braille-device
ディレクティブを見つけます。 braille-device
ディレクティブで、接続を指定します。また、複数のデバイスをコンマで区切って設定することもできます。その場合、各デバイスが順番に検索されます。
以下に例を示します。
例23.1 最初のシリアルデバイスの設定
braille-device serial:ttyS0
例23.2 点字ドライバーに一致する最初の USB デバイスの設定
braille-device usb:
例23.3 シリアル番号による特定の USB デバイスの設定
braille-device usb:nnnnn
例23.4 シリアル USB 変換アダプターの設定
以前にカーネルメッセージで見つけたデバイス名を使用します。
braille-device serial:ttyUSB0
注記braille-device
をusb:
に設定しても、シリアル USB 変換アダプターでは機能しません。例23.5 アドレスによる特定の Bluetooth デバイスの設定
braille-device bluetooth:xx:xx:xx:xx:xx:xx
23.4.6. テキストテーブルの設定
brltty
サービスは、システム言語に基づいて、テキストテーブルを自動的に選択します。システム言語が、読み上げるドキュメントの言語と同じでない場合は、テキストテーブルを手動で設定できます。
手順
-
/etc/brltty.conf
ファイルを編集します。 選択したテキストテーブルのコードを特定します。
/etc/brltty/Text/
ディレクトリーに、利用可能なすべてのテキストテーブルがあります。コードは、ファイル接尾辞を除いたテキストテーブルのファイル名です。選択したテキストテーブルのコードを
text-table
ディレクティブで指定します。たとえば、アメリカ英語のテキストテーブルを使用するには、次を指定します。
text-table en_US # English (United States)
23.4.7. 短縮形テーブルの設定
点字ディスプレイデバイスで短縮形をエンコードするために使用するテーブルを選択できます。特定の短縮形テーブルへの相対パスは、/etc/brltty/Contraction/
ディレクトリー内に保存されます。
テーブルが指定されていない場合、brltty
サービスは短縮形テーブルを使用しません。
手順
/etc/brltty.conf
ファイルのリストから短縮形テーブルを選択します。たとえば、グレード 2 のアメリカ英語の短縮形テーブルを使用するには、次を指定します。
contraction-table en-us-g2 # English (US, grade 2)