5.4. パイプとフィルター
概要
図5.4「Pipes and Filters パターン」 に記載されている Pipes and Filters パターンは、フィルターチェーンを作成してルートを構築する方法を表しています。フィルターの出力は、パイプラインの次のフィルターの入力に取り込まれます (UNIX の pipe
コマンドに似ています)。パイプラインアプローチの利点は、サービス (Apache Camel アプリケーションの外部にあるものもあります) を作成して、より複雑な形式のメッセージ処理を作成できることです。
図5.4 Pipes and Filters パターン
![Pipes and Filters パターン](https://access.redhat.com/webassets/avalon/d/Red_Hat_Fuse-7.8-Apache_Camel_Development_Guide-ja-JP/images/e29eae04f7f66ceab684a05c212323d9/pipes_and_filters.gif)
InOut 交換パターンのパイプライン
通常、パイプラインのすべてのエンドポイントには、入力 (In メッセージ) および出力 (Out メッセージ) があります。これは、InOut メッセージ交換パターンと互換性があることを意味しています。InOut パイプラインを経由する通常のメッセージフローを 図5.5「InOut エクスチェンジのパイプライン」 に示します。
図5.5 InOut エクスチェンジのパイプライン
![InOut エクスチェンジのパイプライン](https://access.redhat.com/webassets/avalon/d/Red_Hat_Fuse-7.8-Apache_Camel_Development_Guide-ja-JP/images/70a79cb4db59e9756254d22bd9e8ffff/messaging_systems_01.gif)
パイプラインは、各エンドポイントの出力を次のエンドポイントの入力に接続します。最終的なエンドポイントからの Out メッセージは、元の呼び出し元に返されます。以下のように、このパイプラインのルートを定義できます。
from("jms:RawOrders").pipeline("cxf:bean:decrypt", "cxf:bean:authenticate", "cxf:bean:dedup", "jms:CleanOrders");
以下のように XML で同じルートを設定できます。
<camelContext id="buildPipeline" xmlns="http://camel.apache.org/schema/spring"> <route> <from uri="jms:RawOrders"/> <to uri="cxf:bean:decrypt"/> <to uri="cxf:bean:authenticate"/> <to uri="cxf:bean:dedup"/> <to uri="jms:CleanOrders"/> </route> </camelContext>
XML には専用の pipeline 要素がありません。前述の from
と to
要素の組み合わせは、意味的にはパイプラインと同等です。「pipeline() および to() DSL コマンドの比較」 を参照してください。
InOnly および RobustInOnly 交換パターンのパイプライン
パイプラインのエンドポイントから利用可能な Out メッセージがない場合 (InOnly
および RobustInOnly
交換パターンの場合)、パイプラインは通常の方法で接続できません。この場合、パイプラインは 図5.6「InOnly エクスチェンジのパイプライン」 に示すように、元の In メッセージのコピーをパイプラインの各エンドポイントに渡して構築されます。このタイプのパイプラインは、固定の宛先を持つ受信者リストと同等です (「受信者リスト」 を参照)。
図5.6 InOnly エクスチェンジのパイプライン
![InOnly エクスチェンジのパイプライン](https://access.redhat.com/webassets/avalon/d/Red_Hat_Fuse-7.8-Apache_Camel_Development_Guide-ja-JP/images/141b66898734eb696f74fcc6cee5526a/messaging_systems_02.gif)
このパイプラインのルートは、InOut パイプラインと同じ構文を使用して定義されます (Java DSL または XML)。
pipeline() および to() DSL コマンドの比較
Java DSL では、以下の構文のいずれかを使用してパイプラインルートを定義できます。
pipeline () プロセッサーコマンドの使用: 以下のように、パイプラインプロセッサーを使用してパイプラインルートを構築します。
from(SourceURI).pipeline(FilterA, FilterB, TargetURI);
Using the to() command: 以下のように、
to()
コマンドを使用してパイプラインルートを構築します。from(SourceURI).to(FilterA, FilterB, TargetURI);
または、同等の構文を使用することもできます。
from(SourceURI).to(FilterA).to(FilterB).to(TargetURI);
to()
コマンド構文を使用する場合は、パイプラインプロセッサーと常に同等では ない ため注意が必要です。Java DSL では、ルートの直前のコマンドで to()
の意味を変更できます。たとえば、to()
コマンドの前に multicast()
コマンドがある場合は、上記のエンドポイントをパイプラインパターンではなく Multicast パターンにバインドします (「Multicast」 を参照)。