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第10章 Pacemaker クラスターのプロパティ

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クラスター動作中に起こる可能性がある状況に直面した場合にクラスターのプロパティでクラスターの動作を制御します。

10.1. クラスタープロパティとオプションの要約

Pacemaker クラスターのプロパティのデフォルト値および設定可能な値などを 表10.1「クラスターのプロパティ」 で簡単に示します。

注記

表に記載しているプロパティ以外にもクラスターソフトウェアで公開されるクラスタープロパティがあります。このようなプロパティについては、そのデフォルト値を別の値には変更しないよう推奨しています。
表10.1 クラスターのプロパティ
オプションデフォルト説明
batch-limit30
TE (Transition Engine) に並列実行を許可するジョブ数 (ネットワークおよびクラスターノードの負荷および速度により正しい値は異なる)
migration-limit-1 (無制限)
一つのノードで TE に並列実行を許可する移行ジョブ数
no-quorum-policystop
クラスターが定足数を持たない場合に行う動作、使用できる値:
* ignore - 全リソースの管理を続行
* freeze - リソースの管理は続行するが、影響を受けるパーティション外のノードのリソースは復帰させない
* stop - 影響を受けるクラスターパーティション内の全リソースを停止する
* suicide - 影響を受けるクラスターパーティション内の全ノードを排他処理する
symmetric-clustertrue
デフォルトでいずれのノード上でもリソースの実行を許可するかどうかを指定
stonith-enabledtrue
障害が発生しているノードおよび停止できないリソースがあるノードを排他処理するかどうかを指定、データ保護が必要な場合は true に設定すること
true または未設定の場合、STONITH リソースが設定されていない限りクラスターによりリソースの起動が拒否される
stonith-actionreboot
STONITH デバイスに送信する動作、使用できる値: rebootoff (poweroff の値も使用できるがレガシーデバイスでの使用に限定)
cluster-delay60s
ネットワーク経由の往復遅延 (動作の実行は除く)、ネットワークおよびクラスターノードの負荷および速度により正しい値は異なる
stop-orphan-resourcestrue
削除したリソースの停止を行うかどうかを指定
stop-orphan-actionstrue
削除した動作の取り消しを行うかどうかを指定
start-failure-is-fataltrue
起動の失敗をリソースに対して致命的と処理するかどうかを指定、false に設定するとリソースの failcountmigration-threshold の値を使用する (リソース用の migration-threshold オプションの設定は 「障害発生のためリソースを移動する」 を参照)
pe-error-series-max-1 (all)
ERROR で保存する PE インプットの数、問題の報告時に使用
pe-warn-series-max-1 (all)
WARNING で保存する PE インプットの数、問題の報告時に使用
pe-input-series-max-1 (all)
保存する通常の PE インプットの数、問題の報告時に使用
cluster-infrastructure 
Pacemaker が現在実行中のメッセージングスタック、情報および診断目的で使用 (ユーザー設定不可)
dc-version 
クラスターの DC (Designated Controller) 上にある Pacemaker のバージョン、診断目的で使用 (ユーザー設定不可)
last-lrm-refresh 
Local Resource Manager による最後のリフレッシュ (epoca のため秒単位)、診断目的で使用 (ユーザー設定不可)
cluster-recheck-interval60
オプション、リソースのパラメーター、制約に対する時間ベースの変更のポーリング間隔、使用できる値: ゼロの場合ポーリング無効、正の値の場合は秒単位の間隔 (5min など他の SI 単位の指定がない限り)
default-action-timeout20s
Pacemaker 動作のタイムアウト値、クラスターオプションとして設定されるデフォルト値よりリソース自体の動作に対するセッティングの方が常に優先される
maintenance-modefalse
クラスターに無干渉モードになり別途指示があるまでサービスの起動や停止を行わないよう指示、メンテナンスモードが完了するとサービスの現在の状態に関する整合性チェックを行ってから必要に応じてそのサービスの停止または起動を行う
shutdown-escalation20min
指定した時間を過ぎると正しいシャットダウンの試行を中断し終了 (高度な使用目的に限定)
stonith-timeout60s
STONITH 動作の完了まで待機する時間
stop-all-resourcesfalse
クラスターによる全リソースの停止
default-resource-stickiness5000
リソースを現在の場所に優先的に留まらせる値 (この値はクラスターオプションではなくリソースまたは動作として設定することを推奨)
is-managed-defaulttrue
リソースの起動および停止をクラスターに許可するかどうかを指定 (この値はクラスターオプションではなくリソースまたは動作として設定することを推奨)
enable-aclfalse
(Red Hat Enterprise Linux 6.6 以降) クラスターに pcs acl コマンドで設定したアクセス制御リストの使用を許可するかどうかを指定
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