第4章 新機能
ここでは、Red Hat Enterprise Linux 9.3 に追加された新機能および主要な機能拡張を説明します。
4.1. インストーラーおよびイメージの作成
AWS EC2 イメージのレガシーブートと UEFI ブートの両方をサポート
以前は、RHEL Image Builder は、レガシーブートタイプのみをサポートする EC2 AMD または Intel 64 ビットアーキテクチャーの AMI イメージを作成していました。その結果、セキュアブートなど、UEFI ブートを必要とする特定の AWS 機能を利用できませんでした。この機能拡張により、AWS EC2 AMD または Intel 64 ビットアーキテクチャーの AMI イメージが拡張され、レガシー BIOS ブートに加えて UEFI ブートもサポートされるようになりました。その結果、UEFI でイメージをブートする必要がある AWS の機能を利用できるようになりました。
Jira:RHELDOCS-16339[1]
キックスタートファイルまたはカーネルドライバーをロードするための待機時間を追加する新しいブートオプション inst.wait_for_disks=
場合によっては、ブートプロセス中に OEMDRV
ラベルが付いたデバイスからキックスタートファイルまたはカーネルドライバーをロードするのに数秒かかることがあります。待機時間を調整するために、新しいブートオプション inst.wait_for_disks=
を使用できるようになりました。このオプションを使用すると、インストール前に待機する秒数を指定できます。デフォルト時間は 5
秒に設定されていますが、0
秒を使用して遅延を最小限に抑えることができます。このオプションの詳細は、ストレージブートオプション を参照してください。
GUI と TUI を使用して RHEL on ARM をインストールする際に、必要なカーネルを選択する機能
以前は、kernel-64k ページサイズの RHEL on ARM をインストールする場合、キックスタート方法以外の選択肢がありませんでした。この更新により、GUI または TUI を使用し、必要なカーネルバージョンを選択して RHEL on ARM をインストールできるようになりました。必要なカーネルを選択するオプションは、Kernel Options の Software Selection 画面で利用できます。
Bugzilla:2164819[1]
VMware vSphere (OVA) のサポート
この更新により、RHEL Image Builder を使用して VMware vSphere OVA ファイルをビルドするためのサポートが追加されました。Open Virtual Appliance (OVA) ファイルは、VMware vSphere 仮想化アプリケーションが使用する仮想アプライアンスです。OVA ファイルには、OVF 記述子ファイル、1 つ以上の仮想マシンディスクイメージファイル (VMDK)、オプションのマニフェストファイル (MF)、および証明書ファイルなどの仮想マシンを記述するために使用されるファイルが含まれます。VMware vSphere (.ova) を使用することで、vSphere GUI クライアントを使用して、イメージを VMware vSphere により簡単にデプロイできます。イメージを起動する前に、結果として得られる仮想マシンをさらにカスタマイズできます。
Jira:RHELDOCS-16877[1]
DNS 処理を制御するための新しい network
キックスタートオプション
次の新しいオプションを指定した network
キックスタートコマンドを使用して、DNS 処理を制御できるようになりました。これらの新しいオプションは --device
オプションと一緒に使用します。
--ipv4-dns-search
および--ipv6-dns-search
オプションを使用すると、DNS 検索ドメインを手動で設定できます。これらのオプションは、NetworkManager プロパティーをミラーリングします。次に例を示します。network --device ens3 --ipv4-dns-search domain1.example.com,domain2.example.com
-
--ipv4-ignore-auto-dns
および--ipv6-ignore-auto-dns
オプションを使用すると、DHCP からの DNS 設定を無視できます。引数は必要ありません。
Bugzilla:2065754[1]
最小限の RHEL インストールでは、s390utils-core
パッケージのみがインストールされるようになる
RHEL 8.4 以降では、s390utils-base
パッケージは、s390utils-core
パッケージと補助 s390utils-base
パッケージに分割されています。そのため、RHEL インストールを minimal-environment
に設定すると、必要な s390utils-core
パッケージのみがインストールされ、補助 s390utils-base
パッケージはインストールされません。最小限の RHEL インストールで s390utils-base
パッケージを使用する場合は、RHEL インストールの完了後にパッケージを手動でインストールするか、キックスタートファイルを使用して s390utils-base
を明示的にインストールする必要があります。
Bugzilla:1932480[1]