4.10. ファイルシステムおよびストレージ
NFS サーバーは、nfsd
用の Courteous Server コードを実装するようになる
この更新では、RHEL カーネル NFS サーバーに nfsd
用の Courteous Server コードの実装が導入されています。この新機能により、NFS サーバーは、クライアントが接続していないときにアクセスの競合がない限り、サーバーとの接続が長期間失われたクライアントのリースを取り消さなくなります。
DAX マウントオプションと reflink が互換性を持つようになりました
この更新により、reflink されたファイルは一般的に DAX モードと互換性を持つようになりました。ファイルシステムの DAX マウントオプション -o dax=always
は、reflink が有効なファイルシステムと互換性があります。reflink されたファイルは、inode フラグを使用して DAX モードに設定できます。詳細は、xfs(5)
の man ページを参照してください。
Bugzilla:2192730[1]
RPCSEC GSS Kerberos V5 の新しい暗号化タイプ
RPCSEC GSS Kerberos V5 メカニズムは、RFC 6803 (Kerberos 5 の Camellia Encryption) および RFC 8009 (Kerberos 5 の HMAC-SHA2 を使用した AES 暗号化) で定義された暗号化タイプをサポートするようになりました。
次の暗号化タイプが追加されました。
-
camellia128-cts-cmac
-
camellia256-cts-cmac
-
aes128-cts-hmac-sha256-128
-
aes256-cts-hmac-sha384-192
これにより、NFS クライアントと NFS サーバーは、GSS コンテキストをネゴシエートするときに、より強力な暗号化タイプを使用できるようになります。
fuse3
では、umount
をトリガーせずにディレクトリーエントリーを無効にできるようになる
この更新により、新しいメカニズムが fuse3
パッケージに追加されました。これにより、エントリーに存在するマウントの umount
を自動的にトリガーすることなく、ディレクトリーエントリーを無効にすることができます。
Stratis ストレージマネージャーが利用可能になる
Stratis はローカルストレージマネージャーです。ユーザーへの追加機能を備えたストレージプールに管理されたファイルシステムを提供します。
- スナップショットおよびシンプロビジョニングを管理する
- 必要に応じてファイルシステムのサイズを自動的に大きくする
- ファイルシステムを維持する
- プールレベルの暗号化
- TMP2 および NBDE のサポート
Stratis ストレージを管理するには、バックグランドサービス stratisd
と通信する stratis
ユーティリティーを使用します。
詳細は、Stratis ドキュメントの Setting up Stratis file systems を参照してください。
GFS2 ファイルシステムの設定と操作の改善
GFS2 ファイルシステムに対して次の更新が実装されました。
-
mkfs.gfs2
コマンドは、新しい-U
オプションをサポートするようになりました。これにより、作成するファイルシステムのファイルシステム UUID を指定できるようになります。このオプションを省略した場合、ファイルシステムの UUID はランダムに生成されます。 -
gfs2_jadd
コマンドは、以前のリリースよりもはるかに速い速度でジャーナルを作成します。 - GFS2 の man ページが改善されました。
dmpd
がバージョン 1.0.2 にリベース
dmpd
パッケージがバージョン 1.0.2 にアップグレードされました。主な変更点は、以下のとおりです。
- メモリーの安全性を確保し、複数のスレッドを使用してパフォーマンスを向上させるためにツールを Rust 言語で書き直しました。
-
システム起動に伴う LVM プールのアクティブ化の時間を節約するために
thin_check
ツールとcache_check
ツールを改善しました。これらのツールの実行に必要な時間は、以前のバージョンと比較して 10 倍以上改善されました。 -
スナップショットのメタデータ
btrees
の共有が失われないように、thin_dump
ツールとthin_restore
ツールを更新しました。これで、復元されたメタデータには、さらなるスペースが必要なくなりました。 -
新しい
thin_metadata_pack
ツールとthin_metadata_unpack
ツールを追加して、シンメタデータを通常、10 分の 1 のサイズに圧縮します。これは汎用コンプレッサーよりも優れています。このツールを使用すると、破損したメタデータを検査のために渡すことが簡単になります。
SCSI デバイス用に新しいデバイスごとのカウンターが追加される
SCSI 更新の I/O タイムアウト用に、新しいデバイスごとのカウンター iotmo_cnt
が追加されました。I/O リクエストの iorequest_cnt
数、iodone_cnt
I/O 完了数、ioerr_cnt
I/O エラー数に加えて、リクエストのタイムアウト数も確認できます。以下に例を示します。
/sys/devices/pci0000:16/0000:16:02.0/0000:17:00.0/host2/target2:2:0/2:2:0:0/iorequest_cnt /sys/devices/pci0000:16/0000:16:02.0/0000:17:00.0/host2/target2:2:0/2:2:0:0/iodone_cnt /sys/devices/pci0000:16/0000:16:02.0/0000:17:00.0/host2/target2:2:0/2:2:0:0/iotmo_cnt /sys/devices/pci0000:16/0000:16:02.0/0000:17:00.0/host2/target2:2:0/2:2:0:0/ioerr_cnt
Bugzilla:2171093[1]
mpathcleanup
は、device-mapper-multipath 内のマルチパスデバイスをフラッシュする
mpathcleanup
ツールは、SCSI ベースのマルチパスデバイス上で動作し、SCSI パスデバイスとともにマルチパスデバイスを削除します。一部のユーザーは、マルチパスデバイスとそのパスデバイスを定期的に削除する必要があります。以前は、マルチパスデバイスを削除するために使用できるツールはなく、この操作にはユーザー定義のスクリプトが必要でした。
この新しいツールを使用すると、ユーザーはマルチパスデバイスとその基盤となるストレージを簡単に削除できるようになり、この操作のためのスクリプトを作成する必要はありません。
Jira:RHEL-782[1]
nvme-cli
がバージョン 2.4 にリベース
nvme-cli
パッケージは、バージョン 2.4 にアップグレードされ、複数のバグ修正と機能拡張が提供されています。主な変更点は、以下のとおりです。
- TLS over TCP をサポートします。
-
/etc/fstab
ファイルを使用してファイルシステムをマウントするためのsystemd
自動接続サービスの誤った順序を修正しました。 -
u32
値の出力を修正しました。 - ストレージタグのサイズを正しく検証します。
-
ファブリックコントローラーの
nvme effects-log
コマンドをサポートします。
Bugzilla:2159929[1]