5.4. Debezium コネクターを実行するための MySQL の設定


Debezium をインストールおよび実行する前に、一部の MySQL 設定タスクが必要になります。

詳細は以下を参照してください。

5.4.1. Debezium コネクターの MySQL ユーザーの作成

Debezium MySQL コネクターには MySQL ユーザーアカウントが必要です。この MySQL ユーザーは、Debezium MySQL コネクターが変更をキャプチャーするすべてのデータベースに対して適切なパーミッションを持っている必要があります。

前提条件

  • MySQL サーバー。
  • SQL コマンドの基本知識。

手順

  1. MySQL ユーザーを作成します。

    mysql> CREATE USER 'user'@'localhost' IDENTIFIED BY 'password';
  2. 必要なパーミッションをユーザーに付与します。

    mysql> GRANT SELECT, RELOAD, SHOW DATABASES, REPLICATION SLAVE, REPLICATION CLIENT ON *.* TO 'user' IDENTIFIED BY 'password';

    以下の表はパーミッションについて説明しています。

    重要

    グローバル読み取りロックを許可しない Amazon RDS や Amazon Aurora などのホストオプションを使用している場合、テーブルレベルのロックを使用して 整合性スナップショット を作成します。この場合、作成するユーザーに LOCK TABLES パーミッションも付与する必要があります。詳細は、スナップショット を参照してください。

  3. ユーザーのパーミッションの最終処理を行います。

    mysql> FLUSH PRIVILEGES;
表5.20 ユーザーパーミッションの説明
キーワード説明

SELECT

コネクターがデータベースのテーブルから行を選択できるようにします。これは、スナップショットを実行する場合にのみ使用されます。

RELOAD

内部キャッシュのクリアまたはリロード、テーブルのフラッシュ、またはロックの取得を行う FLUSH ステートメントをコネクターが使用できるようにします。これは、スナップショットを実行する場合にのみ使用されます。

SHOW DATABASES

SHOW DATABASE ステートメントを実行して、コネクターがデータベース名を確認できるようにします。これは、スナップショットを実行する場合にのみ使用されます。

REPLICATION-SLAVE

コネクターが MySQL サーバーの binlog に接続し、読み取りできるようにします。

REPLICATION CLIENT

コネクターが以下のステートメントを使用できるようにします。

  • SHOW MASTER STATUS
  • SHOW SLAVE STATUS
  • SHOW BINARY LOGS

これは必ずコネクターに必要です。

ON

パーミッションが適用されるデータベースを指定します。

TO 'user'

パーミッションを付与するユーザーを指定します。

IDENTIFIED BY 'password'

ユーザーの MySQL パスワードを指定します。

5.4.2. Debezium の MySQL binlog の有効化

MySQL レプリケーションのバイナリーロギングを有効にする必要があります。バイナリーログは、変更を伝播するためにレプリケーションツールのトランザクション更新を記録します。

前提条件

  • MySQL サーバー。
  • 適切な MySQL ユーザーの権限。

手順

  1. log-bin オプションがすでにオンになっているかどうかを確認します。

    // for MySql 5.x
    mysql> SELECT variable_value as "BINARY LOGGING STATUS (log-bin) ::"
    FROM information_schema.global_variables WHERE variable_name='log_bin';
    // for MySql 8.x
    mysql> SELECT variable_value as "BINARY LOGGING STATUS (log-bin) ::"
    FROM performance_schema.global_variables WHERE variable_name='log_bin';
  2. OFF の場合は、以下に説明するプロパティーで MySQL サーバー設定ファイルを設定します。

    server-id         = 223344 # Querying variable is called server_id, e.g. SELECT variable_value FROM information_schema.global_variables WHERE variable_name='server_id';
    log_bin           = mysql-bin
    binlog_format     = ROW
    binlog_row_image  = FULL
    expire_logs_days  = 10
  3. 再度 binlog の状態をチェックして、変更を確認します。

    // for MySql 5.x
    mysql> SELECT variable_value as "BINARY LOGGING STATUS (log-bin) ::"
    FROM information_schema.global_variables WHERE variable_name='log_bin';
    // for MySql 8.x
    mysql> SELECT variable_value as "BINARY LOGGING STATUS (log-bin) ::"
    FROM performance_schema.global_variables WHERE variable_name='log_bin';
表5.21 MySQL binlog 設定プロパティーの説明
プロパティー説明

server-id

server-id の値は、MySQL クラスターの各サーバーおよびレプリケーションクライアントに対して一意である必要があります。MySQL コネクターの設定中に、Debezium によって一意のサーバー ID がコネクターに割り当てられます。

log_bin

log_bin の値は、binlog ファイルのシーケンスのベース名です。

binlog_format

binlog-formatROW または row に設定する必要があります。

binlog_row_image

binlog_row_imageFULL または full に設定する必要があります。

expire_logs_days

これは、binlog ファイルが自動的に削除される日数です。デフォルトは 0 で、自動的に削除されません。実際の環境に見合った値を設定します。MySQL による binlog ファイルのパージ を参照してください。

5.4.3. Debezium の MySQL グローバルトランザクション識別子の有効化

グローバルトランザクション識別子 (GTID) は、クラスター内のサーバーで発生するトランザクションを一意に識別します。Debezium MySQL コネクターには必要ありませんが、GTID を使用すると、レプリケーションを単純化し、プライマリーサーバーとレプリカサーバーの一貫性が保たれるかどうかを簡単に確認することができます。

GTID は MySQL 5.6.5 以降で利用できます。詳細は MySQL のドキュメント を参照してください。

前提条件

  • MySQL サーバー。
  • SQL コマンドの基本知識。
  • MySQL 設定ファイルへのアクセス。

手順

  1. gtid_mode を有効にします。

    mysql> gtid_mode=ON
  2. enforce_gtid_consistency を有効にします。

    mysql> enforce_gtid_consistency=ON
  3. 変更を確認します。

    mysql> show global variables like '%GTID%';

結果

+--------------------------+-------+
| Variable_name            | Value |
+--------------------------+-------+
| enforce_gtid_consistency | ON    |
| gtid_mode                | ON    |
+--------------------------+-------+

表5.22 GTID オプションの説明
オプション説明

gtid_mode

MySQL サーバーの GTID モードが有効かどうかを指定するブール値。

  • ON = 有効化
  • OFF = 無効化

enforce_gtid_consistency

トランザクションに安全な方法でログに記録できるステートメントの実行を許可することにより、サーバーが GTID の整合性を強制するかどうかを指定するブール値。GTID を使用する場合に必須です。

  • ON = 有効化
  • OFF = 無効化

5.4.4. Debezium の MySQL セッションタイムアウトの設定

大規模なデータベースに対して最初の整合性スナップショットが作成されると、テーブルの読み込み時に、確立された接続がタイムアウトする可能性があります。MySQL 設定ファイルで interactive_timeoutwait_timeout を設定すると、この動作の発生を防ぐことができます。

前提条件

  • MySQL サーバー。
  • SQL コマンドの基本知識。
  • MySQL 設定ファイルへのアクセス。

手順

  1. interactive_timeout を設定します。

    mysql> interactive_timeout=<duration-in-seconds>
  2. wait_timeout を設定します。

    mysql> wait_timeout=<duration-in-seconds>
表5.23 MySQL セッションタイムアウトオプションの説明
オプション説明

interactive_timeout

サーバーが対話的な接続を閉じる前にアクティビティーの発生を待つ時間 (秒単位)。詳細は MySQL のドキュメント を参照してください。

wait_timeout

サーバーが非対話的な接続を閉じる前にアクティビティーの発生を待つ時間 (秒単位)。詳細は MySQL のドキュメント を参照してください。

5.4.5. Debezium MySQL コネクターのクエリーログイベントの有効化

各 binlog イベントの元の SQL ステートメントを確認したい場合があります。MySQL 設定ファイルで binlog_rows_query_log_events オプションを有効にすると、これを行うことができます。

このオプションは、MySQL 5.6 以降で利用できます。

前提条件

  • MySQL サーバー。
  • SQL コマンドの基本知識。
  • MySQL 設定ファイルへのアクセス。

手順

  • binlog_rows_query_log_events を有効にします。

    mysql> binlog_rows_query_log_events=ON

    binlog_rows_query_log_events は、binlog エントリーに SQL ステートメントが含まれるようにするためのサポートを有効または無効にする値に設定されます。

    • ON = 有効化
    • OFF = 無効化

5.4.6. Debezium MySQL コネクターの binlog 行値オプションを検証する

binlog_row_value_options 変数を確認し、値が PARTIAL_JSON に設定されて いない ことを確認してください。このような場合、コネクターは UPDATE イベントの消費に失敗する可能性があります。

前提条件

  • MySQL サーバー。
  • SQL コマンドの基本知識。
  • MySQL 設定ファイルへのアクセス。

手順

  1. 現在の変数値を確認する

    mysql> show global variables where variable_name = 'binlog_row_value_options';
  2. 結果

    +--------------------------+-------+
    | Variable_name            | Value |
    +--------------------------+-------+
    | binlog_row_value_options |       |
    +--------------------------+-------+
  3. 値が PARTIAL_JSON の場合、次のようにしてこの変数の設定を解除します。

    mysql> set @@global.binlog_row_value_options="" ;
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