1.2. Ceph 設定データベース
Ceph Monitor は、Ceph オプションの設定データベースを管理します。これにより、ストレージクラスター全体の設定オプションを格納することで、設定の管理を一元化します。Ceph の設定をデータベースに一元化することで、ストレージクラスターの管理を簡素化します。
Ceph がオプションの設定に使用する優先順位は以下のとおりです。
- コンパイルされたデフォルト値
- Ceph クラスター設定データベース
-
ローカルの
ceph.conf
ファイル -
ceph daemon DAEMON-NAME config set
またはceph tell DAEMON-NAME injectargs
コマンドを使用したランタイムオーバーライド
ローカルの Ceph 設定ファイル (デフォルトでは /etc/ceph/ceph.conf
) で定義できる Ceph オプションはまだいくつかあります。ただし、ceph.conf
は Red Hat Ceph Storage 6 では非推奨となっています。
cephadm
は、Ceph Monitor への接続、認証、および設定情報の取得のための最小限のオプションセットのみが含まれる基本的な ceph.conf
ファイルを使用します。ほとんどの場合、cephadm
は mon_host
オプションのみを使用します。mon_host
オプションのためだけに ceph.conf
を使用するのを避けるために、DNS SRV レコードを使用して Monitor で操作を行います。
Red Hat では、assimilate-conf
管理コマンドを使用して、有効なオプションを ceph.conf
ファイルから設定データベースに移動することを推奨します。assimilate-conf
の詳細については、管理用コマンドを参照してください。
Ceph では、実行時にデーモンの設定を変更することができます。この機能は、デバッグ設定の有効化/無効化によりログ出力を増減する場合に役立ちます。さらに、ランタイムの最適化にも使用できます。
同じオプションが設定データベースと Ceph 設定ファイルに存在する場合、設定データベースのオプションの優先順位は Ceph 設定ファイルで設定されているものよりも低くなります。
セクションおよびマスク
Ceph 設定ファイルで Ceph オプションをグローバルに、デーモンタイプごとに、または特定のデーモンごとに設定できるのと同様に、これらのセクションに従って設定データベースで Ceph オプションを設定することもできます。
セクション | 説明 |
---|---|
| すべてのデーモンおよびクライアントに影響します。 |
| すべての Ceph Monitor に影響します。 |
| すべての Ceph Manager に影響します。 |
| すべての Ceph OSD に影響します。 |
| すべての Ceph Metadata Server に影響します。 |
| マウントされたファイルシステム、ブロックデバイス、RADOS Gateway など、すべての Ceph クライアントに影響します。 |
Ceph の設定オプションには、マスクを関連付けることができます。これらのマスクは、オプションを適用するデーモンやクライアントをさらに制限することができます。
マスクには 2 つの形式があります。
type:location
type
は CRUSH プロパティーで、例えばrack
やhost
などです。location
は、プロパティータイプの値です。たとえば、host:foo
は、foo
ホストで実行しているデーモンまたはクライアントにのみオプションを制限します。例
ceph config set osd/host:magna045 debug_osd 20
class:device-class
device-class
は、hdd
やssd
など、CRUSH デバイスクラスの名前です。たとえば、class:ssd
は、ソリッドステートドライブ (SSD) ベースの Ceph OSD にのみオプションを制限します。このマスクは、クライアントの非 OSD デーモンには影響しません。例
ceph config set osd/class:hdd osd_max_backfills 8
管理コマンド
Ceph 設定データベースは、サブコマンド ceph config ACTION
で管理できます。実施できるアクションは以下のとおりです。
ls
- 利用可能な設定オプションを一覧表示します。
dump
- ストレージクラスターのオプションの設定データベース全体をダンプします。
get WHO
-
特定のデーモンまたはクライアントの設定をダンプします。例えば、WHO は
mds.a
のようなデーモンになります。 set WHO OPTION VALUE
- Ceph 設定データベースに設定オプションを設定します。WHO はターゲットデーモン、OPTION は設定するオプション、VALUE は必要な値です。
show WHO
- 実行中のデーモンについて、報告された実行中の設定を表示します。ローカル設定ファイルが使用されていたり、コマンドラインや実行時にオプションが上書きされていたりすると、これらのオプションは Ceph Monitor が保存するオプションとは異なる場合があります。また、オプション値のソースは出力の一部として報告されます。
assimilate-conf -i INPUT_FILE -o OUTPUT_FILE
- INPUT_FILE から設定ファイルを同化し、有効なオプションを Ceph Monitor の設定データベースに移動します。認識できない、無効な、または Ceph Monitor で制御できないオプションは、OUTPUT_FILE に格納された省略された設定ファイルで返されます。このコマンドは、従来の設定ファイルから一元化された設定データベースに移行する際に便利です。設定を同化する際に、Monitor や他のデーモンが同じオプションセットに異なる値を設定している場合、最終的な結果はファイルを同化する順序に依存することに注意してください。
help OPTION -f json-pretty
- 特定の OPTION のヘルプを JSON 形式の出力で表示します。
関連情報
- コマンドの詳細は、実行時における特定設定の定義 を参照してください。