1.7. Open Virtual Network (OVN)
Open Virtual Network (OVN) は、仮想マシンやコンテナー環境において、論理的なネットワーク抽象化をサポートするためのシステムです。Open vSwitch のオープンソース仮想ネットワーキングと呼ばれることもある OVN は、OVS の既存の機能を補完し、論理 L2 および L3 オーバーレイ、セキュリティーグループ、DHCP などのサービスなど、論理ネットワーク抽象化のネイティブサポートを追加します。
物理ネットワークは、物理ワイヤー、スイッチ、およびルーターで設定されます。仮想ネットワークは、物理ネットワークをハイパーバイザーやコンテナープラットフォームに拡張し、VM やコンテナーを物理ネットワークにブリッジします。OVN 論理ネットワークとは、トンネルなどのカプセル化によって物理ネットワークから分離されたソフトウェアに実装されたネットワークです。これにより、論理ネットワークで使用される IP などのアドレス空間と物理ネットワークで使用されるアドレス空間が競合を起こすことなくオーバーラップするようになります。論理ネットワークトポロジーは、それらが実行されている物理ネットワークのトポロジーに関係なく配置できます。このため、論理ネットワークの一部である VM は、ネットワークを遮断することなく、ある物理マシンから別の物理マシンへ移行することができます。
カプセル化レイヤーは、論理ネットワークに接続された VM やコンテナーが、物理ネットワーク上のノードと通信することを阻止します。VM とコンテナーをクラスタリングする場合、これは許容範囲内であり、望ましい場合もあります。しかし、多くの場合、VM およびコンテナーは物理ネットワークへの接続整を必要とします。OVN では、この目的のために複数の形式のゲートウェイを提供します。OVN のデプロイメントは、いくつかのコンポーネントで設定されています。
- Cloud Management System (CMS)
- OVN 論理ネットワーク要素を管理し、OVN 論理ネットワークインフラストラクチャーを物理ネットワーク要素に接続することにより、OVN を物理ネットワークに統合します。いくつかの例には、OpenStack および OpenShift が含まれます。
- OVN データベース
- OVN の論理ネットワークと物理ネットワークを表すデータを格納します。
- Hypervisors
- Open vSwitch を実行し、OVN 論理ネットワークを物理マシンまたは仮想マシン上の OpenFlow に変換します。
- ゲートウェイ
- トンネルと物理ネットワークインフラストラクチャー間でパケットを転送することにより、トンネルベースの OVN 論理ネットワークを物理ネットワークに拡張します。