第2章 リソースの管理
2.1. QoS (Quality of Service)
Red Hat Virtualization では、環境のリソースがアクセスできる入出力、処理、およびネットワーク機能のレベルを詳細に制御する QoS エントリーを定義できます。QoS (Quality of Service) エントリーはデータセンターレベルで定義され、クラスターおよびストレージドメイン下で作成されるプロファイルに割り当てられます。これらのプロファイルは、プロファイルが作成されたクラスターおよびストレージドメインの個々のリソースに割り当てられます。
2.1.1. ストレージ QoS
ストレージ QoS はスループットの最大レベルと、ストレージドメインの仮想ディスクの入出力操作の最大レベルを定義します。ストレージ QoS を仮想ディスクに割り当てると、ストレージドメインのパフォーマンスを細かく調整でき、1 つの仮想ディスクに関連付けられたストレージ操作が、同じストレージドメインでホストされる他の仮想ディスクで利用できるストレージ機能に影響を与えないようにすることができます。
2.1.1.1. ストレージ QoS エントリーの作成
手順
-
をクリックします。 - データセンターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- QoS タブをクリックします。
- Storage で、New をクリックします。
- QoS Name と QoS エントリーの Description を入力します。
次のいずれかのラジオボタンをクリックして、Throughput Quality of Service を指定します。
- None
- Total - MB/s フィールドに最大許容合計スループットを入力します。
- Read/Write - 左のMB/s フィールドに読み取り操作の最大許容スループットを入力し、右の MB/s フィールドに書き込み操作の最大許容スループットを入力します。
次のいずれかのラジオボタンをクリックして、入出力 (IOps) の QoS を指定します。
- None
- Total - IOps フィールドに 1 秒あたりの入出力操作の最大許容数を入力します。
- Read/Write - 左の IOps フィールドに 1 秒あたりの入力操作の最大許容数を入力し、右の IOps フィールドに 1 秒あたりの出力操作の最大許容数を入力します。
- をクリックします。
ストレージ QoS エントリーが作成され、データセンターに属するデータストレージドメインのそのエントリーに基づいてディスクプロファイルを作成できます。
2.1.1.2. ストレージ Quality of Service エントリーの削除
既存のストレージ QoS (Quality of Service) エントリーを削除します。
手順
-
をクリックします。 - データセンターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- QoS タブをクリックします。
- Storage でストレージの QoS エントリーを選択し、Remove をクリックします。
- をクリックします。
そのエントリーに基づくディスクプロファイルが存在する場合、それらのプロファイルのストレージ QoS エントリーは自動的に [unlimited]
に設定されます。
2.1.2. 仮想マシンのネットワーク QoS
仮想マシンネットワーク QoS は、個々の仮想ネットワークインターフェイスコントローラーの受信および送信トラフィックの両方を制限するためのプロファイルを作成できる機能です。この機能により、複数のレイヤーで帯域幅を制限し、ネットワークリソースの使用を制御できます。
2.1.2.1. 仮想マシンのネットワーク QoS エントリーの作成
仮想マシンネットワーク QoS エントリーを作成し、仮想ネットワークインターフェイスコントローラー (vNIC) プロファイル (仮想マシンネットワークインターフェイスプロファイル) に適用される際にネットワークトラフィックを規制します。
仮想マシンのネットワーク QoS エントリーの作成
-
をクリックします。 - データセンターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- QoS タブをクリックします。
- VM Network で、New をクリックします。
- 仮想マシンネットワーク QoS (Quality of Service) エントリーの Name を入力します。
- Inbound および Outbound ネットワークトラフィックの制限を入力します。
- をクリックします。
仮想ネットワークインターフェイスコントローラーで使用可能な仮想マシンネットワーク QoS エントリーが作成されました。
2.1.2.2. New Virtual Machine Network QoS および Edit Virtual Machine Network QoS ウインドウの設定の説明
仮想マシンのネットワーク QoS 設定により、3 つの異なるレベルで送受信トラフィックの両方に帯域幅の制限を設定できます。
フィールド名 | 説明 |
---|---|
Data Center | 仮想マシンのネットワーク QoS ポリシーを追加するデータセンター。このフィールドは、選択したデータセンターに応じて自動的に設定されます。 |
Name | Manager 内の仮想マシンネットワーク QoS ポリシーを表す名前。 |
Inbound | 受信トラフィックに適用される設定。Inbound チェックボックスを選択または選択解除して、これらの設定を有効または無効にします。
|
Outbound | 送信トラフィックに適用される設定。Outbound チェックボックスを選択または選択解除して、これらの設定を有効または無効にします。
|
Average、Peak、または Burst フィールドで許可される最大値を変更するには、engine-config
コマンドを使用して MaxAverageNetworkQoSValue
、MaxPeakNetworkQoSValue
、または MaxBurstNetworkQoSValue
の設定キーの値を変更します。変更を反映するには、ovirt-engine サービスを再起動する必要があります。以下に例を示します。
# engine-config -s MaxAverageNetworkQoSValue=2048 # systemctl restart ovirt-engine
2.1.2.3. 仮想マシンのネットワーク QoS (Quality of Service) エントリーの削除
既存の仮想マシンネットワーク QoS (Quality of Service) エントリーを削除します。
手順
-
をクリックします。 - データセンターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- QoS タブをクリックします。
- VM Network で、仮想マシンネットワーク QoS (Quality of Service) エントリーを選択して Remove をクリックします。
- をクリックします。
2.1.3. ホストネットワーク QoS
ホストネットワーク QoS は、ホスト上のネットワークを設定し、物理インターフェイス経由のネットワークトラフィックの制御を可能にします。ホストネットワーク QoS により、同じ物理ネットワークインターフェイスコントローラー上のネットワークリソースの使用を制御することで、ネットワークのパフォーマンスをより細かく調整できます。これにより、1 つのネットワークが原因で、同じ物理ネットワークインターフェイスコントローラーにアタッチされている他のネットワークがトラフィックの輻輳により機能しなくなる状況を防ぐことができます。ホストネットワーク QoS 設定により、これらのネットワークは、輻輳問題なしに同じ物理ネットワークインターフェイスコントローラー上で機能できるようになります。
2.1.3.1. ホストネットワーク QoS エントリーの作成
ホストネットワーク QoS エントリーを作成します。
手順
-
をクリックします。 - データセンターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- QoS タブをクリックします。
- Host Network で、New をクリックします。
- QoS Name と QoS エントリーの説明を入力します。
- Weighted Share、Rate Limit [Mbps]、および Committed Rate [Mbps] に必要な値を入力します。
- をクリックします。
2.1.3.2. New Host Network Quality of Service および Edit Host Network Quality of Service ウィンドウの設定の説明
ホストネットワーク QoS 設定により、送信トラフィックの帯域幅制限を設定できます。
フィールド名 | 説明 |
---|---|
Data Center | ホストネットワーク QoS ポリシーを追加するデータセンター。このフィールドは、選択したデータセンターに応じて自動的に設定されます。 |
QoS Name | Manager 内のホストネットワーク QoS ポリシーを表す名前。 |
Description | ホストネットワーク QoS ポリシーの説明 |
Outbound | 送信トラフィックに適用される設定。
|
Rate Limit [Mbps] または Committed Rate [Mbps] フィールドで許可される最大値を変更するには、engine-config
コマンドを使用して MaxAverageNetworkQoSValue
設定キーの値を変更します。変更を反映するには、ovirt-engine サービスを再起動する必要があります。以下に例を示します。
# engine-config -s MaxAverageNetworkQoSValue=2048 # systemctl restart ovirt-engine
2.1.3.3. ホストネットワーク QoS エントリーの削除
既存のネットワーク QoS エントリーを削除します。
手順
-
をクリックします。 - データセンターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- QoS タブをクリックします。
- Host Network で、ホストネットワーク QoS エントリーを選択して Remove をクリックします。
- プロンプトが表示されたら をクリックします。
2.1.4. CPU QoS
CPU QoS は、仮想マシンが実行されているホスト上で仮想マシンがアクセスできる処理能力の最大量を定義します。これは、そのホストで使用可能な処理能力の合計に対する割合で表されます。CPU QoS を仮想マシンに割り当てると、クラスター内の 1 つの仮想マシンのワークロードが、そのクラスターの他の仮想マシンで利用できる処理リソースに影響を与えないようにすることができます。
2.1.4.1. CPU QoS エントリーの作成
CPU QoS エントリーを作成します。
手順
-
をクリックします。 - データセンターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- QoS タブをクリックします。
- CPU で New をクリックします。
- QoS Name と QoS エントリーの Description を入力します。
-
QoS エントリーで許可される最大処理能力を Limit (%) フィールドに入力します。
%
記号は含めないでください。 - をクリックします。
CPU QoS エントリーが作成され、データセンターに属するクラスターのそのエントリーに基づいて CPU プロファイルを作成できます。
2.1.4.2. CPU QoS エントリーの削除
既存の CPU QoS エントリーを削除します。
手順
-
をクリックします。 - データセンターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- QoS タブをクリックします。
- CPU で CPU QoS エントリーを選択し、Remove をクリックします。
- をクリックします。
そのエントリーに基づく CPU プロファイルが存在する場合、それらのプロファイルの CPU QoS エントリーは自動的に [unlimited]
に設定されます。