4.7. ネットワーク
ethtool
ユーティリティーの PTP 機能出力形式が変更されました
RHEL 8.4 以降、ethtool
ユーティリティーはカーネルとの通信に ioctl()
システムコールではなく netlink
インターフェイスを使用します。したがって、ethtool -T <network_controller>
コマンドを使用すると、Precision Time Protocol (PTP) 値の形式が変更されます。
以前は、ioctl()
インターフェイスでは、ethtool は
ethtool
-internal 文字列テーブルを使用して機能ビット名を変換し、ethtool -T <network_controller>
コマンドは次のように表示しました。
Time stamping parameters for <network_controller>:
Capabilities:
hardware-transmit (SOF_TIMESTAMPING_TX_HARDWARE)
software-transmit (SOF_TIMESTAMPING_TX_SOFTWARE)
...
netlink
インターフェイスを使用すると、ethtool は
カーネルから文字列を受け取ります。これらの文字列には、内部の SOF_TIMESTAMPING_*
名は含まれません。したがって、ethtool -T <network_controller>
は次のように表示されます。
Time stamping parameters for <network_controller>:
Capabilities:
hardware-transmit
software-transmit
...
スクリプトまたはアプリケーションで ethtool
の PTP 機能出力を使用する場合は、それに応じて更新してください。
(JIRA:RHELDOCS-18188)
XDP に条件付きサポートを追加
Red Hat は、以下の条件がすべて適用されている場合に限り、eXpress Data Path (XDP) 機能をサポートします。
- AMD または Intel 64 ビットアーキテクチャーに XDP プログラムを読み込みます。
-
libxdp
ライブラリーを使用して、カーネルにプログラムを読み込みます。 - XDP プログラムが XDP ハードウェアオフロードを使用しません
RHEL 8.4 では、XDP プログラムで XDP_TX
および XDP_REDIRECT
の戻りコードに対応するようになりました。
サポートされていない XDP 機能の詳細は、テクノロジープレビューとして利用できる XDP 機能 を参照してください。
NetworkManager をバージョン 1.30.0 にリベース
NetworkManager
パッケージがアップストリームバージョン 1.30.0 にアップグレードされ、以前のバージョンに対するバグ修正や機能強化が数多く追加されました。
-
DHCP サーバー ID NetManager が拒否すべきリース提供を定義するために、
ipv4.dhcp-reject-servers
接続プロパティーが追加されました。 -
カスタムの Vendor Class Identifier DHCP オプション値を送信するために、
ipv4.dhcp-vendor-class-identifier
接続プロパティーが追加されました。 -
active_slave
ボンディングオプションが非推奨になりました。代わりに、コントローラー接続でprimary
オプションを設定します。 -
nm-initrd-generator
ユーティリティーが、インターフェイスを示す MAC アドレスに対応するようになりました。 -
nm-initrd-generator
ユーティリティージェネレーターが InfiniBand 接続の作成に対応するようになりました。 -
NetworkManager-wait-online
サービスのタイムアウトが 60 秒に増えました。 -
RFC4361 に準拠するように
ipv4.dhcp-client-id=ipv6-duid
接続プロパティーが追加されました。 -
ethtool
オフロード機能が追加されました。 - WPA3 Enterprise Suite-B 192-bit モードに対応するようになりました。
-
仮想イーサネット (
veth
) デバイスのサポートが追加されました。
主な変更の詳細は、アップストリームのリリースノートを参照してください。
iproute2
ユーティリティーでは、イーサネットヘッダーの前に MPLS ヘッダーを追加するためのトラフィック制御アクションが導入されました。
今回の機能強化により、iproute2
ユーティリティーが 3 つの新しいトラフィック制御 (tc
) アクションを提供するようになりました。
-
MAC_push
:act_mpls
モジュールは、元のイーサネットヘッダーの前に MPLS ラベルを追加するこのアクションを提供します。 -
push_eth
:act_vlan
モジュールは、パケットの最初にイーサネットヘッダーを構築するこのアクションを提供します。 -
pop_eth
:act_vlan
モジュールは、外部イーサネットヘッダーを削除するためにこのアクションを提供します。
これらの tc
アクションは、イーサネットヘッダーの前にマルチプロトコルラベルスイッチ (MPLS) ラベルを追加することで、レイヤー 2 の仮想プライベートネットワーク (L2VPN) を実装するのに役立ちます。これらのアクションは、tc filters
をネットワークインターフェイスに追加する際に使用できます。
MPLS 自体はテクノロジープレビュー機能であるため、Red Hat は、これらのアクションをサポート対象外のテクノロジープレビューとして提供します。
これらのアクションとそのパラメーターの詳細は、man ページの tc-mpls(8)
および tc-vlan(8)
を参照してください。
(BZ#1861261)
nmstate
API が完全にサポートされるようになりました。
以前はテクノロジープレビューとして使用されていた nmstate は、ホストのネットワーク API で、RHEL 8.4 で完全対応になりました。nmstate
パッケージは、ライブラリーと nmstatectl
コマンドラインユーティリティーを提供し、ホストのネットワーク設定を宣言型で管理できます。ネットワークの状態は事前定義済みのスキーマで説明されています。現在の状態と、必要な状態への変更の報告は、両者ともこのスキーマに一致します。
詳細は、/usr/share/doc/nmstate/README.md
ファイルおよびネットワークの設定および管理の mnstatectl
セクションを参照してください。
(BZ#1674456)
新しいパッケージ: rshim
rhsim
パッケージは、Mellanox BlueField rshim user-space ドライバーを提供します。これにより、外部ホストマシンから BlueField SmartNIC ターゲット上の rshim リソースにアクセスできるようになります。現行バージョンの rshim user-space ドライバーは、ブートイメージのプッシュおよび仮想コンソールアクセス用にデバイスファイルを実装します。さらに、BlueField ターゲットに接続する仮想ネットワークインターフェイスを作成し、内部 rshim レジスターにアクセスする方法を提供します。
仮想コンソールまたは仮想ネットワークインターフェイスを機能させるには、ターゲットが tmfifo
ドライバーを実行している必要があることに注意してください。
(BZ#1744737)
iptraf-ng
が 1.2.1 にリベースされました。
iptraf-ng
パッケージがアップストリームバージョン 1.2.1 にリベースされ、バグ修正および機能強化が複数追加されました。以下に例を示します。
-
iptraf-ng
アプリケーションは、削除されたインターフェイスの詳細な統計を表示する際に、CPU の使用率が 100% にならなくなりました。 -
printf()
関数の安全でない処理引数が修正されました。 - IPoIB (IP over InfiniBand) インターフェイスに部分的なサポートが追加されました。カーネルはインターフェイスでソースアドレスを提供しないため、この機能を LAN station monitor モードで使用することはできません。
-
iptraf-ng
が、マルチグラウンドの速度でパケットをキャプチャーできるように、パケットキャプチャーが追加されました。 -
Home
、End
、Page up
、およびPage down
のキーボードキーを使用してスクロールできるようになりました。 - アプリケーションは、破棄されたパケット数を表示できるようになりました。