第5章 外部カーネルパラメーターへの重要な変更
本章では、システム管理者向けに、Red Hat Enterprise Linux 8.4 に同梱されるカーネルの重要な変更点の概要を説明します。変更には、たとえば、proc
エントリー、sysctl
および sysfs
のデフォルト値、ブートパラメーター、カーネル設定オプション、または重要な動作の変更などが含まれます。
5.1. 新しいカーネルパラメーター
- bgrt_disable = [ACPI, X86]
- このパラメーターは、BGRT (Boot Graphics Resource Table) を無効にし、Original Equipment Manufacturer (OEM) ロゴのフォッチを避けるようにします。
- radix_hcall_invalidate = on [PPC/PSERIES]
- このパラメーターは、Radix GTSE 機能を無効にし、トランスレーションルックアサイドバッファー (TLB: Translation Lookaside Buffer) に hcall を使用します。
- disable_tlbie = [PPC]
- このパラメーターは、Translation Look-Aside Buffer Invalidate Entry (TLBIE) 命令を無効にします。現在、KVM、ハッシュメモリー管理ユニット (MMU)、または整合性のあるアクセラレーターを使用します。
- fw_devlink = [KNL]
このパラメーターは、ファームウェアをスキャンして、コンシューマーとサプライヤーの関係を推測することにより、コンシューマーとサプライヤーデバイス間にデバイスリンクを作成します。この機能は、ドライバーがモジュールとしてロードされ、以下のようなタスクが適切に順序付けされるようにします。
- デバイスのプロービング (サプライヤー、コンシューマーの順)
- サプライヤーブートの状態がクリーンアップされます (すべてのコンシューマーがプローブした後でのみ)。
Res suspend、resume、および runtime Power Management (PM) (コンシューマーを最初に、その後にサプライヤー)
形式: { off | permissive | on | rpm }
-
off
: ファームウェア情報からデバイスリンクを作成しません。 -
permissive
: ファームウェア情報からデバイスリンクを作成しますが、起動の状態がクリーンアップする (sync_state()
呼び出し) にのみ使用してください。 -
on
: ファームウェア情報からデバイスリンクを作成し、それを使用してプローブおよび中断または再開の順序を実施します。 -
rpm
: パイルはon
になりますが、ランタイム PM にも一致させるためも使用されます。
デフォルト値は permissive
です。設定された値は /proc/cmdline
ファイルで確認できます。
- init_on_alloc = [MM]
このパラメーターは、新しく割り当てられたページとヒープオブジェクトをゼロで埋めます。
形式: 0 | 1
カーネル
CONFIG_INIT_ON_ALLOC_DEFAULT_ON
の設定によりデフォルトで設定されます- init_on_free = [MM]
このパラメーターは、空きページとヒープオブジェクトをゼロで埋めます。
形式: 0 | 1
デフォルトでは、
CONFIG_INIT_ON_FREE_DEFAULT_ON
で設定されます- nofsgsbase [X86]
- このパラメーターは、FSGSBASE 命令を無効にします。
- nosgx [X86-64,SGX]
- このパラメーターは、Intel Software Guard Extensions (SGX) カーネルサポートを無効にします。
- rcutree.rcu_min_cached_objs = [KNL]
-
1 つの CPU ごとにキャッシュされ、保持されるオブジェクトの最小数。オブジェクトサイズは
PAGE_SIZE
と等しくなります。キャッシュを使用すると、ページアロケーターの無関係を軽減できます。また、メモリーが少ない状態でより適切に動作するアルゴリズム全体にします。 - rcuperf.kfree_rcu_test = [KNL]
-
このパラメーターは、
kfree_rcu()
関数のパフォーマンスを測定するために使用されます。 - rcuperf.kfree_nthreads = [KNL]
-
kfree_rcu()
のループを実行するスレッドの数。 - rcuperf.kfree_alloc_num = [KNL]
- 反復で実施される割り当て数および解放の数。
- rcuperf.kfree_loops = [KNL]
-
割り当ておよび開放 の
rcuperf.kfree_alloc_num
番号を実行するループ数。 - rcupdate.rcu_cpu_stall_ftrace_dump = [KNL]
-
このパラメーターは、Read-copy-update (RCU) CPU が停止された警告をレポートした後に
ftrace
バッファーをダンプします。 - nopvspin = [X86,KVM]
-
このパラメーターは、Para-virtualization(PV) の最適化を使用して qspinlock の
qspinlock
パスを無効にします。これにより、ハイパーバイザーがロック競合時にゲストを idle することができます。