3.2. 仮想マシンの変換準備
virt-v2v
は、libvirt で管理される KVM を使用する Red Hat Enterprise Linux で実行するように、異種のハイパーバイザーの仮想マシンを変換します。変換される仮想マシン用の libvirt ドメインは自動的に作成されます。
図3.1 仮想マシンの変換
仮想マシンを変換する前に、以下の手順が完了していることを確認してください。
手順3.1 仮想マシンの変換準備
- 移行されるストレージ用にローカルストレージドメインを作成します。
virt-v2v
はインポート中に、ゲスト仮想マシンのストレージをローカルで定義された libvirt ストレージプールにコピーします。このプールは、任意の libvirt ツールを使用して、任意のタイプに定義することができます。新規プールを作成する最も簡単な方法は、virt-manager
を使用する方法です。virt-manager
またはvirsh
のいずれかを使用したストレージドメインの詳しい作成方法については、『Red Hat Enterprise Linux 仮想化管理ガイド』を参照してください。 - ローカルネットワークインターフェースを作成します。ローカルマシーンには、変換された仮想マシンの接続先となる適切なネットワークが必要です。これは、ブリッジインターフェースとなる可能性が高くなります。ブリッジインターフェースは、ホスト上の標準ツールを使用して作成することができます。libvirt バージョン 0.8.3 以降では、
virt-manager
を使用してブリッジの作成および管理を行うことも可能です。libvirt を使用する、ブリッジされたネットワークについての詳しい情報は、『Red Hat Enterprise Linux 仮想化ホスト設定およびゲストインストールガイド』または 『Red Hat Enterprise Linux 仮想化管理ガイド』を参照してください。 virt-v2v.conf
でネットワークマッピングを指定します。このステップはオプションであり、大半のユースケースでは必要ありません。仮想マシンに複数のインターフェースがある場合、/etc/virt-v2v.conf
を編集してすべてのインターフェースのネットワークマッピングを指定する必要があります。-f
パラメーターを使用すると、代替のvirt-v2v.conf
ファイルを指定することができます。仮想マシンに単一のネットワークインターフェースしかない場合は、virt-v2v.conf
を変更するのではなく、--network
または--bridge
のパラメーターを使用してより簡単に指定することができます。virt-v2v.conf
に変換用プロファイルを作成します。この手順はオプションです。プロファイルは変換メソッド、ストレージの場所、出力形式、割り当てポリシーを指定します。プロファイルを定義すると、--profile
を使用して呼び出すことができるので、-o
、-os
、-of
、-oa
のパラメーターを個別に指定せずに済みます。詳しくは virt-v2v.conf(5) を参照してください。
3.2.1. Linux を実行する仮想マシンの変換準備
Linux を実行する仮想マシンを変換する前には、以下の手順が完了していることを確認してください。
手順3.2 Linux を実行する仮想マシンの変換準備
- ソフトウェアの取得
virt-v2v
は、変換プロセスの一環として、仮想マシンに新たなカーネルとドライバーをインストールする場合があります。変換する仮想マシンが Red Hat Subscription Manager (RHSM) に登録されている場合は、必要なパッケージが自動的にダウンロードされます。Red Hat Subscription Manager (RHSM) を使用できない環境の場合には、virt-v2v.conf
ファイルに、この目的で使用する RPM の一覧が参照されるため、対象の仮想マシンに適切な RPM を Red Hat カスタマーポータルから手動でダウンロードして、path-root
設定要素で指定されているディレクトリー (デフォルトでは/var/lib/virt-v2v/software/
) で使用可能な状態にする必要があります。特定の変換を行うために依存するソフトウェアが使用できない場合、virt-v2v
は 例3.1「パッケージが不足している場合に表示されるエラー」 のようなエラーを表示します。例3.1 パッケージが不足している場合に表示されるエラー
virt-v2v: Installation failed because the following files referenced in the configuration file are required, but missing: rhel/6/kernel-2.6.32-128.el6.x86_64.rpm rhel/6/ecryptfs-utils-82-6.el6.x86_64.rpm rhel/6/ecryptfs-utils-82-6.el6.i686.rpm
- ご使用の環境に適した RPM を取得するには、不足しているパッケージごとに以下の手順を繰り返してください。
- Red Hat カスタマーポータル (https://access.redhat.com/) にログインします。
- Red Hat カスタマーポータルで、ダウンロード > 製品のダウンロード > Red Hat Enterprise Linux を選択します。
- 希望の Product Variant、Version を選び、Packages タブを選択します。エラーメッセージに表示されているパッケージ名と全く同じになるように、Filter フィールドに入力します。例3.1「パッケージが不足している場合に表示されるエラー」 の例では、最初のパッケージは kernel-2.6.32-128.el6.x86_64 です。
- パッケージの一覧が表示されます。エラーメッセージに表示されたのと全く同じパッケージ名を選択すると、パッケージの詳細情報が記載された詳細ページが表示されます。または、パッケージの最新版をダウンロードするには、希望のパッケージの横の Download Latest を選択します。
- ダウンロードしたパッケージを
/var/lib/virt-v2v/software
内の適切なディレクトリーに保存します。Red Hat Enterprise Linux 6 の場合、ディレクトリーは/var/lib/virt-v2v/software/rhel/6
です。