第2章 Red Hat High Availability クラスターのアクティブ/パッシブ Apache HTTP サーバー
本章では、pcs コマンドを使用してクラスターリソースを設定し、2 ノードの Red Hat Enterprise Linux High Availability Add-On クラスターでアクティブ/パッシブな Apache HTTP サーバーを設定する方法を説明します。このユースケースでは、クライアントはフローティング IP アドレスを使用して Apache HTTP サーバーにアクセスします。Web サーバーは、クラスターにある 2 つのノードのいずれかで実行します。Web サーバーが実行しているノードが正常に動作しなくなると、Web サーバーはクラスターの 2 番目のノードで再起動し、サービスの中断は最小限に抑えられます。
図2.1「2 ノードの Red Hat High Availability クラスターの Apache」 クラスターのハイレベルの概要を表示します。クラスターはネットワーク電源スイッチおよび共有ストレージで設定される 2 ノードの Red Hat High Availability クラスターです。クライアントは仮想 IP を使用して Apache HTTP サーバーにアクセスするため、クラスターノードはパブリックネットワークに接続されます。Apache サーバーは、ノード 1 またはノード 2 のいずれかで実行します。いずれのノードも、Apache のデータが保持されるストレージにアクセスできます。
図2.1 2 ノードの Red Hat High Availability クラスターの Apache
[D]
このユースケースでは、システムに以下のコンポーネントが必要です。
- 各ノードに電源フェンスが設定されている 2 ノードの Red Hat High Availability クラスター。この手順では、1章Pacemaker を使用した Red Hat High Availability クラスターの作成 で提供されるクラスターの例を使用します。
- Apache に必要なパブリック仮想 IP アドレス。
- iSCSI、ファイバーチャネル、またはその他の共有ネットワークブロックデバイスを使用する、クラスターのノードに対する共有ストレージ。
クラスターは、Web サーバーで必要な LVM リソース、ファイルシステムリソース、IP アドレスリソース、Web サーバーリソースなどのクラスターコンポーネントを含む Apache リソースグループで設定されます。このリソースグループは、クラスター内のあるノードから別のノードへのフェールオーバーが可能なため、いずれのノードでも Web サーバーを実行できます。クラスターにリソースグループを作成する前に次の手順を行います。
- 「Web サーバーの設定」 の説明に従い web サーバーを設定します。
- 「ボリュームグループのアクティブ化をクラスター内に限定」 の説明に従い、
my_lv
を含むボリュームグループの作動はクラスターでしか行えないよう限定し、またボリュームグループが起動時にクラスター以外の場所で作動しないようにします。
上記の手順をすべて完了したら、「pcs コマンドを使用したリソースおよびリソースグループの作成」 の説明に従いリソースグループおよびそのグループに含ませるリソースを作成します。
2.1. LVM ボリュームを ext4 ファイルシステムで設定
このユースケースでは、クラスターのノード間で共有されるストレージに、LVM 論理ボリュームを作成する必要があります。
次の手順に従い LVM 論理ボリュームを作成しその論理ボリューム上に
ext4
ファイルシステムを作成します。この例では、LVM 論理ボリュームを作成する LVM 物理ボリュームを保管するのに、共有パーティション /dev/sdb1
が使用されます。
注記
LVM ボリュームと、クラスターノードで使用するパーティションおよびデバイスは、クラスターノード以外には接続しないでください。
/dev/sdb1
パーティションは共有させるストレージとなるため、この手順は一つのノードでのみ行います。
- パーティション
/dev/sdb1
に LVM 物理ボリュームを作成します。#
pvcreate /dev/sdb1
Physical volume "/dev/sdb1" successfully created - 物理ボリューム
/dev/sdb1
で設定されるボリュームグループmy_vg
を作成します。#
vgcreate my_vg /dev/sdb1
Volume group "my_vg" successfully created - ボリュームグループ
my_vg
を使用して、論理ボリュームを作成します。#
lvcreate -L450 -n my_lv my_vg
Rounding up size to full physical extent 452.00 MiB Logical volume "my_lv" createdlvs コマンドを使って論理ボリュームを表示してみます。#
lvs
LV VG Attr LSize Pool Origin Data% Move Log Copy% Convert my_lv my_vg -wi-a---- 452.00m ... ext4
ファイルシステムをmy_lv
論理ボリューム上に作成します。#
mkfs.ext4 /dev/my_vg/my_lv
mke2fs 1.42.7 (21-Jan-2013) Filesystem label= OS type: Linux ...