F.2. インストールログファイルの使用
デバッグの目的で、インストールプログラムは、/tmp
ディレクトリーにあるファイルに、インストールアクションのログを記録します。以下の表は、ログファイルのリストです。
ログファイル | 内容 |
---|---|
| 一般メッセージ |
| インストール時に実行したすべての外部プログラム |
| ストレージモジュールの詳細情報 |
| yum パッケージおよび rpm パッケージのインストールメッセージ |
|
インストールプログラムモジュールに使用される |
| 他のログに含まれず、インストール後のシステムにコピーされない設定情報 |
| ハードウェア関連のシステムメッセージこのファイルには、他の Anaconda ファイルからのメッセージが含まれます。 |
インストールが失敗すると、メッセージは /tmp/anaconda-tb-identifier
で一元管理されます。identifier はランダムな文字列になります。インストールに成功すると、このファイルは /var/log/anaconda/
ディレクトリー下のインストール済みシステムにコピーされます。ただし、インストールが失敗した場合、またはインストールシステムの起動時に inst.nosave=all
オプションまたは inst.nosave=logs
オプションを使用すると、ログはインストールプログラムの RAM ディスクにのみ存在します。これは、ログが永続的に保存されず、システムの電源が切れると失われることを意味します。永続的に保存するには、ファイルをネットワーク上の別のシステムにコピーするか、マウントしたストレージデバイス (USB フラッシュドライブなど) にコピーします。
F.2.1. インストール前のログファイルの作成
この手順に従って、インストールプロセスを開始する前にログファイルを作成する inst.debug
オプションを設定します。このログファイルには、たとえば現在のストレージ設定が含まれます。
前提条件
- Red Hat Enterprise Linux ブートメニューが開いている。
手順
- 起動メニューから Install Red Hat Enterprise Linux オプションを選択します。
- BIOS ベースのシステムで Tab キーを押します。または UEFI ベースのシステムで e キーを押して、選択した起動オプションを編集します。
オプションに
inst.debug
を追加します。以下に例を示します。vmlinuz ... inst.debug
-
キーボードの Enter キーを押します。システムが、インストール前のログファイルを
/tmp/pre-anaconda-logs/
ディレクトリーに保存し、インストールプログラムが開始します。 - ログファイルにアクセスするには、コンソールに切り替えます。
/tmp/pre-anaconda-logs/
ディレクトリーに移動します。# cd /tmp/pre-anaconda-logs/
F.2.2. インストールログファイルを USB ドライブへ転送
以下の手順に従って、インストールログファイルを USB ドライブに転送します。
前提条件
- USB ドライブからデータをバックアップした。
- root アカウントにログインし、インストールプログラムの一時ファイルシステムにアクセスできるようにする。
手順
- Ctrl + Alt + F2 を押して、インストールするシステムのシェルプロンプトにアクセスします。
USB フラッシュドライブをシステムに接続し、
dmesg
コマンドを実行します。# dmesg
最近の全イベントの詳細を記録したログが表示されます。このログの最後に、一連のメッセージが表示されます。以下に例を示します。
[ 170.171135] sd 5:0:0:0: [sdb] Attached SCSI removable disk
-
接続したデバイスの名前を書き留めます。上記の例では
sdb
です。 /mnt
ディレクトリーに移動し、USB ドライブのマウントターゲットとして機能する新規ディレクトリーを作成します。この例ではusb
という名前を使用します。# mkdir usb
USB フラッシュドライブを、新たに作成したディレクトリーにマウントします。ほとんどの場合、ドライブ全体ではなく、ドライブのパーティションをマウントする必要があります。
sdb
の名前は使用せず、ログファイルを書き込むパーティションの名前を使用してください。この例では、sdb1
という名前を使用します。# mount /dev/sdb1 /mnt/usb
デバイスにアクセスし、そのコンテンツをリスト表示して、正しいデバイスをマウントしたことを確認します。
# cd /mnt/usb
# ls
ログファイルを、マウントしたデバイスにコピーします。
# cp /tmp/*log /mnt/usb
USB フラッシュドライブのマウントを解除します。ターゲットがビジーであるというエラーメッセージが表示された場合は、作業ディレクトリーをマウント外 (たとえば /) に変更します。
# umount /mnt/usb
F.2.3. ネットワーク経由でインストールログファイルの転送
以下の手順に従って、インストールログファイルをネットワーク経由で転送します。
前提条件
- root アカウントにログインし、インストールプログラムの一時ファイルシステムにアクセスできるようにする。
手順
- Ctrl + Alt + F2 を押して、インストールするシステムのシェルプロンプトにアクセスします。
ログファイルが格納されている
/tmp
ディレクトリーに移動します。# cd /tmp
scp
コマンドを使用して、ネットワーク経由でログファイルを別のシステムにコピーします。# scp *log user@address:path
user には、ターゲットシステムの有効なユーザー名を入力します。address には、ターゲットシステムのアドレスまたはホスト名を入力します。path には、ログファイルを保存するディレクトリーへのパスを入力します。たとえば、IP アドレスが 192.168.0.122 のシステムに
john
としてログインし、ログファイルをそのシステムの/home/john/logs/
ディレクトリーに置く場合のコマンドは次のようになります。# scp *log john@192.168.0.122:/home/john/logs/
初めてターゲットシステムに接続する際に、SSH クライアントにより、リモートシステムのフィンガープリントが正しいことと、継続するかを尋ねられます。
The authenticity of host '192.168.0.122 (192.168.0.122)' can't be established. ECDSA key fingerprint is a4:60:76:eb:b2:d0:aa:23:af:3d:59:5c:de:bb:c4:42. Are you sure you want to continue connecting (yes/no)?
- yes と入力し、Enter を押して続行します。プロンプトが表示されたら、有効なパスワードを入力します。ファイルは、ターゲットシステムの指定されたディレクトリーに転送されます。