2.3. GNU Fortran コンパイラー


2.3.1. Fortran コンパイラーのインストール

Red Hat Developer Toolset では、GNU Fortran コンパイラーは devtoolset-12-gcc-gfortran パッケージで提供され、「Red Hat Developer Toolset のインストール」 の説明に従って devtoolset-12-toolchain で自動的にインストールされます。

2.3.2. Fortran コンパイラーの使用

コマンドラインで Fortran プログラムをコンパイルするには、以下のように gfortran コンパイラーを実行します。

$ scl enable devtoolset-12 'gfortran -o output_file source_file...'

これにより、現在の作業ディレクトリーに output_file という名前のバイナリーファイルが作成されます。-o オプションを省略すると、コンパイラーはデフォルト a.out でという名前のファイルを作成します。

複数のソースファイルで構成されるプロジェクトで作業する場合、各ソースファイルのオブジェクトファイルを最初にコンパイルしてから、これらのオブジェクトファイルをリンクすることが一般的です。これにより、単一のソースファイルを変更する場合は、プロジェクト全体をコンパイルせずにこのファイルのみを再コンパイルできます。コマンドラインでオブジェクトファイルをコンパイルするには、以下のコマンドを実行します。

$ scl enable devtoolset-12 'gfortran -o object_file -c source_file'

これにより、object_file という名前のオブジェクトファイルが作成されます。-o オプションを省略すると、コンパイラーは、ファイル .o 拡張子が付いたソースファイルからという名前のファイルを作成します。オブジェクトファイルをリンクし、バイナリーファイルを作成します。

$ scl enable devtoolset-12 'gfortran -o output_file object_file...'

この scl ユーティリティーを使用してコマンドを実行すると、これを Red Hat Enterprise Linux システムに優先して使用する Red Hat Developer Toolset バイナリーで実行することができることに注意してください。これにより、デフォルトで Red Hat Developer Toolset gfortran でシェルセッションを実行できます。

$ scl enable devtoolset-12 'bash'
注記

使用中の gfortran のバージョンを確認するには、以下を行います。

$ which gfortran

Red Hat Developer Toolset の gfortran 実行可能なパスは、/opt で始まります。以下のコマンドを使用して、バージョン番号が Red Hat Developer Toolset gfortran と一致することを確認することができます。

$ gfortran -v

例2.5 コマンドラインで Fortran プログラムのコンパイル

以下の内容を含むソースファイル hello.f について考えてみましょう。

program hello
  print *, "Hello, World!"
end program hello

Red Hat Developer Toolset の gfortran コンパイラーを使用して、このソースコードをコマンドラインでコンパイルします。

$ scl enable devtoolset-12 'gfortran -o hello hello.f'

これにより、現在の作業ディレクトリーに hello という名前のバイナリーファイルが作成されます。

2.3.3. Fortran プログラムの実行

プログラムを gfortran コンパイルすると、実行可能なバイナリーファイルが作成されます。コマンドラインでこのプログラムを実行するには、実行ファイルがあるディレクトリーに移動し、これを実行します。

$ ./file_name

例2.6 コマンドラインでの Fortran プログラムの実行

例2.5「コマンドラインで Fortran プログラムのコンパイル」 にあるように、hello バイナリーファイルを正常にコンパイルしたと仮定して実行できます。

$ ./hello
 Hello, World!
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