4.3. Autotools
GNU Autotools はコマンドラインツールのスイートで、開発者はこれを使うことでインストール済みパッケージや Linux ディストリビューションに関係なく異なるシステム上でアプリケーションをビルドできます。このツールは、開発者が
configure
スクリプトを作成する際の手助けとなります。このスクリプトはビルド前に実行され、アプリケーションのビルドに必要なトップレベルの Makefile
を作成します。configure
スクリプトは、現行システム上でテストを実行し、追加ファイルを作成し、ビルダーが提供するパラメーターのように他のディレクティブを実行することができます。
Autotools スイートの中で最も一般的に使用されるものは、以下のとおりです。
- autoconf
- 入力ファイル (例:
configure.ac
) からconfigure
スクリプトを生成します。 - automake
- 特定システム上でプロジェクト用の
Makefile
を作成します。 - autoscan
- 予備入力ファイル (つまり、
configure.scan
) を作成します。これは、autoconf
が使用する最終的なconfigure.ac
を作成するために編集可能なものです。
Autotools スイートの全ツールは、
Development Tools
グループパッケージの一部です。このグループパッケージをインストールして Autotools スイート全体をインストールすることも可能ですし、または yum
を使用してスイートの好みのツールのみをインストールすることもできます。
4.3.1. Eclipse 用の Autotools プラグイン
Autotools スイートは、Autotools プラグインで Eclipse IDE にも統合されます。このプラグインは、Autotools 用の Eclipse グラフィカルユーザーインターフェースを提供し、これはほとんどの C/C++ プロジェクトに適したものです。
Red Hat Enterprise Linux 6 では、このプラグインは 以下の 2 つの新規 C/C++ プロジェクト用テンプレートのみをサポートします。
- 空のプロジェクト
- "hello world" アプリケーション
空のプロジェクトのテンプレートは、すでに Autotools をサポートしている C/C++ 開発ツールキットにプロジェクトをインポートする際に使用します。Autotools プラグインへの将来的な更新には、共有ライブラリーや他の複雑なシナリオを作成するための新たなグラフィカルユーザーインターフェース (たとえば、ウィザード) が含まれます。
Autotools プラグインの Red Hat Enterprise Linux 6 バージョンでは、
git
や mercurial
は Eclipse に統合されません。このため、git
リポジトリーを使用する Autotools プロジェクトは、Eclipse のワークスペース 外 でチェックアウトする必要があります。その後に Eclipse 内のそのようなプロジェクトのソースの場所を特定することができます。すべてのリポジトリー操作 (コミット、更新など) は、コマンドラインで行います。