第48章 ストレージ
SCSI 向けのマルチキュー I/O スケジューリング
Red Hat Enterprise Linux 7 には、blk-mq と呼ばれるブロックデバイス用の新しいマルチキュー I/O スケジューリングメカニズムが同梱されています。scsi-mq パッケージにより、Small Computer System Interface (SCSI) サブシステムが、この新しいキューイングメカニズムを利用できるようになります。この機能はテクノロジープレビューのため、デフォルトでは有効になっていません。有効にする場合は scsi_mod.use_blk_mq=Y をカーネルコマンドラインに追加します。
blk-mq は、パフォーマンスを改善するために導入されていますが (特に低レイテンシーデバイス向け)、常にパフォーマンスが改善することは保証されていません。具体的には、特に CPU が多いシステムで scsi-mq を有効にすると、パフォーマンスが大幅に低下する場合があります。(BZ#1109348)
libStorageMgmt API の Targetd プラグイン
Red Hat Enterprise Linux 7.1 から、ストレージアレイから独立した API である libStorageMgmt を使用したストレージアレイの管理が完全サポートされています。提供される API は安定性と整合性を備え、開発者は異なるストレージアレイをプログラム的に管理し、ハードウェアアクセラレーション機能を使用できます。また、システム管理者は libStorageMgmt を使用して手動でストレージを設定したり、コマンドラインインターフェイスを使用してストレージ管理タスクを自動化したりできます。
Targetd プラグインは完全サポートされず、引き続きテクノロジープレビューとして提供されます。(BZ#1119909)
qla2xxx
ドライバーおよび lpfc
ドライバーで SCSI-MQ がテクノロジープレビューとして利用可能
Red Hat Enterprise Linux 7.4 で更新された
qla2xxx
ドライバーは、ql2xmqsupport=1
モジュールパラメーターで SCSI-MQ (multiqueue) を使用できます。デフォルトの値は 0
(無効) です。
qla2xxx
ドライバーまたは lpfc
ドライバーとともに使用する場合、SCSI-MQ 機能はテクノロジープレビューとして提供されます。
SCSI-MQ を使用してファイバーチャネルアダプター上での非同期 IO のパフォーマンステストを実施したところ、特定の条件下ではパフォーマンスが大幅に低下した点に注意してください。(BZ#1414957)
qla2xxx
ドライバーを使用して、Qlogic アダプターで NVMe/FC がテクノロジープレビューとして利用可能になりました。
qla2xxx
ドライバーを使用した Qlogic アダプターでは、NVMe over Fibre Channel (NVMe/FC)トランスポートタイプがテクノロジープレビューとして利用できます。
Red Hat Enterprise Linux に導入されていた RDMA (Remote Direct Memory Access) プロトコルに加えて、NVMe/FC が、NVMe (Nonvolatile Memory Express) プロトコルのファブリックトランスポートタイプとして追加されるようになりました。
NVMe/FC は、既存のファイバーチャネルインフラストラクチャーで、より高いパフォーマンスで低レイテンシーの I/O プロトコルを提供します。このことは、ソリッドステートストレージアレイで特に重要になります。NVMe ストレージのパフォーマンス上の利点を、別のプロトコル (SCSI) にカプセル化するのではなく、ファブリックトランスポートを通じて渡すことができるためです。
Red Hat Enterprise Linux 7.6 以降、NVMe/FC は、
lpfc
ドライバーを使用する Broadcom Emulex Fibre Channel 32Gbit アダプターで完全にサポートされます。新機能の部分にリストされている制限事項を参照してください。(BZ#1387768, BZ#1454386)