8.9. iPXE を使用したプロビジョニング時間の短縮


iPXE は、オープンソースのネットワークブートファームウェアです。HTTP サーバーからのブートなどの追加機能で強化された完全な PXE 実装を提供します。iPXE の詳細は、iPXE の Web サイト を参照してください。

重要

iPXE ネットワークブートは 非推奨 になり、今後のリリースで削除される予定です。

以下の制限により PXE を使用できない場合は、iPXE を使用できます。

  • マネージド外の DHCP サーバーのあるネットワーク。
  • ファイアウォールの制限などにより到達できない PXE サービス。
  • 低帯域幅ネットワークなどが原因で、信頼性の低い TFTP UDP ベースのプロトコル。

8.9.1. iPXE を使用するための前提条件

以下の場合は、iPXE を使用して仮想マシンを起動できます。

  • 仮想マシンが iPXE をプライマリーファームウェアとして使用するハイパーバイザー上で動作する。
  • 仮想マシンが BIOS モードにある。この場合、iPXE をチェーンブートし、HTTP プロトコルを使用してブートするように PXELinux を設定できます。

HTTP を使用して UEFI モードで仮想マシンを起動する場合は、代わりに 「UEFI HTTP ブートプロビジョニングを使用したホストの作成」 の説明に従います。

サポート性

Red Hat は、Red Hat Satellite での iPXE を正式にサポートしていません。詳細は、Red Hat ナレッジベースSupported architectures and kickstart scenarios in Satellite 6 を参照してください。

ホスト要件

  • プロビジョニングインターフェイスの MAC アドレスが、ホスト設定と一致する。
  • ホストのプロビジョニングインターフェイスには、有効な DHCP 予約がある。
  • NIC は PXE ブートが可能である。詳細は、supported hardware on ipxe.org のページで、iPXE ベースのブートディスクと機能することが想定されているハードウェアドライブのリストを参照してください。
  • NIC は iPXE と互換性がある。

8.9.2. iPXE 環境の設定

iPXE プロビジョニングに使用するすべての Capsule で iPXE 環境を設定します。

重要

Red Hat Enterprise Linux では、iPXE のセキュリティー関連機能はサポートされておらず、iPXE バイナリーはセキュリティー機能なしで構築されています。このため、HTTPS ではなく、HTTP のみが使用できます。詳細情報は、Red Hat Enterprise Linux HTTPS support in iPXE を参照してください。

前提条件

  • Satellite Server の代わりに Capsule Server を使用する場合は、Capsule Server が適切に設定されていることを確認してください。

    重要

    Capsule Server を Satellite Server 上の信頼できるプロキシーのリストに追加することが重要です。

    詳細は、Capsule Server のインストールホストの登録とプロビジョニングのための Capsule の設定 を参照してください。

手順

  1. Capsule で TFTP サービスおよび HTTPboot サービスを有効にします。

    # satellite-installer \
    --foreman-proxy-httpboot true \
    --foreman-proxy-tftp true
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  2. Capsule に ipxe-bootimgs パッケージをインストールします。

    # satellite-maintain packages install ipxe-bootimgs
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  3. iPXE ファームウェアを TFTP ディレクトリーにコピーします。

    • Linux カーネルヘッダーで iPXE ファームウェアをコピーします。

      # cp /usr/share/ipxe/ipxe.lkrn /var/lib/tftpboot/
      Copy to Clipboard Toggle word wrap
    • UNDI iPXE ファームウェアをコピーします。

      # cp /usr/share/ipxe/undionly.kpxe /var/lib/tftpboot/undionly-ipxe.0
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  4. SELinux ファイルコンテキストを修正します。

    # restorecon -RvF /var/lib/tftpboot/
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  5. HTTP URL を設定します。

    • 起動に Satellite Server を使用する場合は、Satellite Server を再設定します。

      # satellite-installer \
      --foreman-proxy-dhcp-ipxefilename "http://satellite.example.com/unattended/iPXE?bootstrap=1"
      Copy to Clipboard Toggle word wrap
    • 起動に Capsule Server を使用する場合は、Capsule Server を再設定します。

      # satellite-installer --foreman-proxy-dhcp-ipxe-bootstrap true
      Copy to Clipboard Toggle word wrap

8.9.3. 仮想マシンの起動

仮想化ハイパーバイザーの一部は、PXE ブートのプライマリーファームウェアとして iPXE を使用します。このようなハイパーバイザーを使用する場合は、TFTP および PXELinux なしで仮想マシンを起動できます。

仮想マシンの起動には、次のワークフローがあります。

  1. 仮想マシンが起動します。
  2. iPXE が DHCP を使用して、HTTP URL を含むネットワーク認証情報を取得します。
  3. iPXE は、Capsule から iPXE ブートストラップテンプレートをロードします
  4. iPXE は、Capsule から URL パラメーターとして MAC を使用して iPXE テンプレートをロードします
  5. iPXE が、インストーラーのカーネルおよび初期 RAM ディスクをロードします。

前提条件

  • お使いのハイパーバイザーが iPXE をサポートしている。以下の仮想化ハイパーバイザーは、iPXE をサポートします。

    • libvirt
  • iPXE 環境を設定している。詳細は、「iPXE 環境の設定」 を参照してください。
注記

以下で説明するように、Satellite に同梱されている元のテンプレートを使用できます。元のテンプレートを変更する必要がある場合は、テンプレートのクローンを作成し、クローンを編集して、元のテンプレートの代わりにクローンを関連付けます。詳細は、「プロビジョニングテンプレートのクローン作成」 を参照してください。

手順

  1. Satellite Web UI で、Hosts > Templates > Provisioning Templates に移動します。
  2. Kickstart default iPXE テンプレートを検索します。
  3. テンプレートの名前をクリックします。
  4. Association タブをクリックし、ホストが使用するオペレーティングシステムを選択します。
  5. Locations タブをクリックして、ホストがある場所を追加します。
  6. Organizations タブをクリックして、ホストが属する組織を追加します。
  7. Submit をクリックして変更を保存します。
  8. Satellite Web UI で、Hosts > Operating systems に移動し、ホストのオペレーティングシステムを選択します。
  9. Templates タブをクリックします。
  10. iPXE template リストから、Kickstart default iPXE テンプレートを選択します。
  11. Submit をクリックして変更を保存します。
  12. Satellite Web UI で、Hosts > All Hosts に移動します。
  13. Hosts のページで、使用するホストを選択します。
  14. Operating System タブを選択します。
  15. PXE LoaderiPXE Embedded に設定します。
  16. Templates タブを選択します。
  17. Provisioning TemplatesResolve をクリックし、iPXE template が必要なテンプレートに解決されることを確認します。
  18. Submit をクリックしてホスト設定を保存します。

8.9.4. PXELinux からの iPXE のチェーンブート

ネットワーク通信用の組み込みドライバー (ipxe.lkrn) またはユニバーサルネットワークデバイスインターフェイス (UNDI) (undionly-ipxe.0) を使用するように iPXE をセットアップできます。ネットワークハードウェアの機能と iPXE ドライバーの可用性に応じて、どちらのファイルをロードするかを選択できます。

UNDI は、TFTP クライアントを実装する最小限の UDP/IP スタックです。ただし、UNDI は HTTP などの他のプロトコルをサポートできません。iPXE で HTTP を使用するには、組み込みのドライバー (ipxe.lkrn) を備えた iPXE ビルドを使用します。

iPXE のチェーンブートには次のワークフローがあります。

  1. ホストの電源をオンにします。
  2. PXE ドライバーは、DHCP を使用してネットワークの認証情報を取得します。
  3. PXE ドライバーは、TFTP を使用して PXELinux ファームウェア pxelinux.0 を取得します。
  4. PXELinux は、TFTP サーバーの設定ファイルを検索します。
  5. PXELinux は、iPXE ipxe.lkrn または undionly-ipxe.0 をチェーンロードします。
  6. iPXE が、DHCP を再度使用して、HTTP URL を含むネットワーク認証情報を取得します。
  7. iPXE は、Templates Capsule から iPXE テンプレートをチェーンロードします。
  8. iPXE が、インストーラーのカーネルおよび初期 RAM ディスクをロードします。

前提条件

注記

以下で説明するように、Satellite に同梱されている元のテンプレートを使用できます。元のテンプレートを変更する必要がある場合は、テンプレートのクローンを作成し、クローンを編集して、元のテンプレートの代わりにクローンを関連付けます。詳細は、「プロビジョニングテンプレートのクローン作成」 を参照してください。

手順

  1. Satellite Web UI で、Hosts > Templates > Provisioning Templates に移動します。
  2. 必要な PXELinux テンプレートを検索します。

    • ipxe.lkrn を使用するための PXELinux chain iPXE
    • undionly-ipxe.0 を使用するための PXELinux chain iPXE UNDI
  3. 使用するテンプレートの名前をクリックします。
  4. Association タブをクリックし、ホストが使用するオペレーティングシステムを選択します。
  5. Locations タブをクリックして、ホストがある場所を追加します。
  6. Organizations タブをクリックして、ホストが属する組織を追加します。
  7. Submit をクリックして変更を保存します。
  8. Provisioning Templates ページで、Kickstart default iPXE テンプレートを検索します。
  9. テンプレートの名前をクリックします。
  10. Association タブをクリックし、ホストが使用するオペレーティングシステムにテンプレートを関連付けます。
  11. Locations タブをクリックして、ホストがある場所を追加します。
  12. Organizations タブをクリックして、ホストが属する組織を追加します。
  13. Submit をクリックして変更を保存します。
  14. Satellite Web UI で、Hosts > Operating systems に移動し、ホストのオペレーティングシステムを選択します。
  15. Templates タブをクリックします。
  16. PXELinux template リストから、使用するテンプレートを選択します。
  17. iPXE template リストから、Kickstart default iPXE テンプレートを選択します。
  18. Submit をクリックして変更を保存します。
  19. Satellite Web UI で、Configure > Host Groups に移動し、設定するホストグループを選択します。
  20. Operating System タブを選択します。
  21. ArchitectureOperating system を選択します。
  22. PXE Loader を設定します。

    • PXELinux BIOS を選択して、PXELinux から iPXE (ipxe.lkrn) をチェーンブートします。
    • iPXE Chain BIOS を選択して、undionly-ipxe.0 を直接ロードします。
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