8.9. ビルド実行ポリシー
8.9.1. ビルド実行ポリシーの概要
ビルド実行ポリシーでは、ビルド設定から作成されるビルドを実行する順番を記述します。これには、Build
の spec
セクションにある runPolicy
フィールドの値を変更してください。
既存のビルド設定の runPolicy
値を変更することも可能です。
-
Parallel
からSerial
やSerialLatestOnly
に変更して、この設定から新規ビルドをトリガーすると、新しいビルドは並列ビルドすべてが完了するまで待機します。 これは、順次ビルドは、一度に 1 つしか実行できないためです。 -
Serial
をSerialLatestOnly
に変更して、新規ビルドをトリガーすると、現在実行中のビルドと直近で作成されたビルド以外には、キューにある既存のビルドがすべてキャンセルされます。最新のビルドが次に実行されます。
8.9.2. 順次実行ポリシー
runPolicy
フィールドを Serial
に設定すると、Build
ビルドから作成される新しいビルドはすべて 順次実行になります。つまり、1 度に実行されるビルドは 1 つだけで、新しいビルドは、前のビルドが完了するまで待機します。このポリシーを使用すると、一貫性があり、予測可能なビルドが出力されます。これは、デフォルトの runPolicy
です。
Serial
ポリシーで sample-build 設定から 3 つのビルドをトリガーすると以下のようになります。
NAME TYPE FROM STATUS STARTED DURATION sample-build-1 Source Git@e79d887 Running 13 seconds ago 13s sample-build-2 Source Git New sample-build-3 Source Git New
sample-build-1 ビルドが完了すると、sample-build-2 ビルドが実行されます。
NAME TYPE FROM STATUS STARTED DURATION sample-build-1 Source Git@e79d887 Completed 43 seconds ago 34s sample-build-2 Source Git@1aa381b Running 2 seconds ago 2s sample-build-3 Source Git New
8.9.3. SerialLatestOnly 実行ポリシー
runPolicy
フィールドを SerialLatestOnly
に設定すると、Serial
実行ポリシーと同様に、Build
設定から作成される新規ビルドすべてが順次実行されます。相違点は、現在実行中のビルドの完了後に、実行される次のビルドが作成される最新ビルドになるという点です。言い換えると、キューに入っているビルドはスキップされるので、これらの実行を待機しないということです。スキップされたビルドは Cancelled としてマークされます。このポリシーは、反復的な開発を迅速に行う場合に使用できます。
SerialLatestOnly
ポリシーで sample-build 設定から 3 つのビルドをトリガーすると以下のようになります。
NAME TYPE FROM STATUS STARTED DURATION sample-build-1 Source Git@e79d887 Running 13 seconds ago 13s sample-build-2 Source Git Cancelled sample-build-3 Source Git New
sample-build-2 のビルドはキャンセル (スキップ) され、sample-build-1 の完了後に、sample-build-3 ビルドが次のビルドとして実行されます。
NAME TYPE FROM STATUS STARTED DURATION sample-build-1 Source Git@e79d887 Completed 43 seconds ago 34s sample-build-2 Source Git Cancelled sample-build-3 Source Git@1aa381b Running 2 seconds ago 2s
8.9.4. 並列実行ポリシー
runPolicy
フィールドを Parallel
に設定すると、Build
設定から作成される新規ビルドはすべて並列で実行されます。この設定では、最初に作成されるビルドが完了するのが最後になる可能性があり、最新のイメージで生成され、プッシュされたコンテナーイメージが先に完了してしまい、置き換わる可能性があるので、結果が予想できません。
ビルドの完了する順番が問題とはならない場合には、並列実行ポリシーを使用してください。
Parallel
ポリシーで sample-build 設定から 3 つのビルドをトリガーすると、3 つのビルドが同時に実行されます。
NAME TYPE FROM STATUS STARTED DURATION sample-build-1 Source Git@e79d887 Running 13 seconds ago 13s sample-build-2 Source Git@a76d881 Running 15 seconds ago 3s sample-build-3 Source Git@689d111 Running 17 seconds ago 3s
完了する順番は保証されません。
NAME TYPE FROM STATUS STARTED DURATION sample-build-1 Source Git@e79d887 Running 13 seconds ago 13s sample-build-2 Source Git@a76d881 Running 15 seconds ago 3s sample-build-3 Source Git@689d111 Completed 17 seconds ago 5s