36.4. OpenShift Online での OpenJDK のサイジング
デフォルトの OpenJDK 設定はコンテナー化された環境では機能しません。 コンテナーで OpenJDK を実行する場合は常に追加の Java メモリー設定を指定することがルールとなっているためです。
JVM のメモリーレイアウトは複雑で、バージョンに依存しており、本書ではこれについて詳細には説明しません。ただし、コンテナーで OpenJDK を実行する際のスタートにあたって少なくとも以下の 3 つのメモリー関連のタスクが主なタスクになります。
- JVM 最大ヒープサイズを上書きする。
- JVM が未使用メモリーをオペレーティングシステムに解放するよう促す (適切な場合)。
- コンテナー内のすべての JVM プロセスが適切に設定されていることを確認する。
コンテナーでの実行に向けて JVM ワークロードを最適に調整する方法については本書では扱いませんが、これには複数の JVM オプションを追加で設定することが必要になる場合があります。
36.4.1. JVM 最大ヒープサイズの上書き
数多くの Java ワークロードにおいて、JVM ヒープはメモリーの最大かつ単一のコンシューマーです。現時点で OpenJDK は、OpenJDK がコンテナー内で実行されているかにかかわらず、ヒープに使用されるコンピュートノードのメモリーの最大 1/4 (1/-XX:MaxRAMFraction
) を許可するようデフォルトで設定されます。そのため、コンテナーのメモリー制限も設定されている場合には、この動作をオーバーライドすることが 必須 です。
上記を実行する方法として、2 つ以上の方法を使用できます:
コンテナーのメモリー制限が設定されており、JVM で実験的なオプションがサポートされている場合には、
-XX:+UnlockExperimentalVMOptions -XX:+UseCGroupMemoryLimitForHeap
を設定します。これにより、
-XX:MaxRAM
がコンテナーのメモリー制限に設定され、最大ヒープサイズ (-XX:MaxHeapSize
/-Xmx
) が 1/-XX:MaxRAMFraction
に設定されます (デフォルトでは 1/4)。-XX:MaxRAM
、-XX:MaxHeapSize
または-Xmx
のいずれかを直接上書きします。このオプションには、値のハードコーディングが必要になりますが、安全マージンを計算できるという利点があります。
36.4.2. JVM が未使用メモリーをオペレーティングシステムに解放するよう促す
デフォルトで、OpenJDK は未使用メモリーをオペレーティングシステムに積極的に返しません。これは多くのコンテナー化された Java ワークロードには適していますが、例外として、コンテナー内に JVM と共存する追加のアクティブなプロセスがあるワークロードの場合を考慮する必要があります。 それらの追加のプロセスはネイティブのプロセスである場合や追加の JVM の場合、またはこれら 2 つの組み合わせである場合もあります。
OpenShift Online Jenkins maven スレーブイメージ は以下の JVM 引数を使用して JVM に未使用メモリーをオペレーティングシステムに解放するよう促します: -XX:+UseParallelGC -XX:MinHeapFreeRatio=5 -XX:MaxHeapFreeRatio=10 -XX:GCTimeRatio=4 -XX:AdaptiveSizePolicyWeight=90
これらの引数は、割り当てられたメモリーが使用中のメモリー (-XX:MaxHeapFreeRatio
) の 110% を超え、ガベージコレクター (-XX:GCTimeRatio
) での CPU 時間の 20% を使用する場合は常にヒープメモリーをオペレーティングシステムに返すことが意図されています。アプリケーションのヒープ割り当てが初期のヒープ割り当て (-XX:InitialHeapSize
/ -Xms
で上書きされる) を下回ることはありません。詳細情報については、「Tuning Java’s footprint in OpenShift (Part 1)」、「Tuning Java’s footprint in OpenShift (Part 2)」、および「 OpenJDK and Containers」を参照してください。
36.4.3. コンテナー内のすべての JVM プロセスが適切に設定されていることを確認する
複数の JVM が同じコンテナーで実行される場合、それらすべてが適切に設定されていることを確認する必要があります。多くのワークロードでは、それぞれの JVM に memory budget のパーセンテージを付与する必要があります。 これにより大きな安全マージンが残される場合があります。
多くの Java ツールは JVM を設定するために各種の異なる環境変数 (JAVA_OPTS
、GRADLE_OPTS
、MAVEN_OPTS
など) を使用します。 適切な設定が適切な JVM に渡されていることを確認するのが容易でない場合もあります。
JAVA_TOOL_OPTIONS
環境変数は常に OpenJDK によって考慮され、JAVA_TOOL_OPTIONS
に指定された値は、JVM コマンドラインに指定される他のオプションによって上書きされます。デフォルトで、OpenShift Online Jenkins maven スレーブイメージは JAVA_TOOL_OPTIONS="-XX:+UnlockExperimentalVMOptions -XX:+UseCGroupMemoryLimitForHeap -Dsun.zip.disableMemoryMapping=true"
を設定してこれらのオプションがスレーブイメージで実行されるすべての JVM ワークロードに対してデフォルトで使用されるようにします。この設定は、追加オプションが要求されないことを保証する訳ではなく、有用な開始点になることを意図しています。