3.3.2. GNU C++ 標準ライブラリー
libstdc++
パッケージには GNU C++ 標準ライブラリーが含まれています。これは ISO 14882 標準 C++ ライブラリーを実装するための進行中のプロジェクトです。
libstdc++
パッケージをインストールすると、リンクの依存関係が十分に満たされます (つまり、共有ライブラリーファイルのみ)。C++ 開発で使用可能なライブラリーおよびヘッダーファイルのすべてを活用するには、libstdc++-devel
もインストールする必要があります。libstdc++-devel
には、GNU 固有の標準テンプレートライブラリー (STL) の実装も含まれています。
Red Hat Enterprise Linux 4、5、6 では、C++ 言語およびランタイムの実装は安定しているため、
libstdc++
に互換性ライブラリーは必要ありません。ただし、Red Hat Enterprise Linux 2 および 3 では、これは該当しません。Red Hat Enterprise Linux 2 では、compat-libstdc++-296
のインストールが必要になります。Red Hat Enterprise Linux 3 では、compat-libstdc++-33
のインストールが必要になります。どちらもデフォルトではインストールされていないので、別個に追加する必要があります。
3.3.2.1. GNU C++ 標準ライブラリー更新
Red Hat Enterprise Linux 6 バージョンの GNU C++ 標準ライブラリーでは、Red Hat Enterprise Linux 5 バージョンと比べて以下の機能が向上されています。
- ISO C++ TR1 要素でサポートが強化。具体的には以下の通りです。
<tr1/array>
<tr1/complex>
<tr1/memory>
<tr1/functional>
<tr1/random>
<tr1/regex>
<tr1/tuple>
<tr1/type_traits>
<tr1/unordered_map>
<tr1/unordered_set>
<tr1/utility>
<tr1/cmath>
- 今後の ISO C++ 標準、C++0x の要素のサポート強化。以下の要素が含まれます。
<array>
<chrono>
<condition_variable>
<forward_list>
<functional>
<initalizer_list>
<mutex>
<random>
<ratio>
<regex>
<system_error>
<thread>
<tuple>
<type_traits>
<unordered_map>
<unordered_set>
-fvisibility
コマンドのサポート強化。- 以下の拡張子を追加。
__gnu_cxx::typelist
__gnu_cxx::throw_allocator
Red Hat Enterprise Linux 6 の
libstdc++
の更新に関する詳細情報は、以下のドキュメントの 『C++ Runtime Library』 セクションを参照してください。
- 『GCC 4.2 Release Series Changes, New Features, and Fixes』: http://gcc.gnu.org/gcc-4.2/changes.html
- 『GCC 4.3 Release Series Changes, New Features, and Fixes』: http://gcc.gnu.org/gcc-4.3/changes.html
- 『GCC 4.4 Release Series Changes, New Features, and Fixes』: http://gcc.gnu.org/gcc-4.4/changes.html