6.4.2. Perf の使用方法
プログラム実行に関する統計情報やサンプルの収集のために基本的な PCL インフラストラクチャーを使用する方法は簡単なものです。このセクションでは、全体の統計情報およびサンプリングの簡単な例を説明します。
make
およびその子についての統計情報を収集するには、以下のコマンドを使用します。
# perf stat -- make all
perf
コマンドは、多くの異なるハードウェアおよびソフトウェアカウンターを収集します。そして、以下の情報を表示します。
Performance counter stats for 'make all': 244011.782059 task-clock-msecs # 0.925 CPUs 53328 context-switches # 0.000 M/sec 515 CPU-migrations # 0.000 M/sec 1843121 page-faults # 0.008 M/sec 789702529782 cycles # 3236.330 M/sec 1050912611378 instructions # 1.331 IPC 275538938708 branches # 1129.203 M/sec 2888756216 branch-misses # 1.048 % 4343060367 cache-references # 17.799 M/sec 428257037 cache-misses # 1.755 M/sec 263.779192511 seconds time elapsed
perf
ツールはサンプルを記録することもできます。たとえば、make
コマンドおよびその子に関するデータを記録するには、以下のコマンドを実行します。
# perf record -- make all
これで収集されたサンプル数とサンプルが保存されているファイルが表示されます。
[ perf record: Woken up 42 times to write data ] [ perf record: Captured and wrote 9.753 MB perf.data (~426109 samples) ]
Red Hat Enterprise Linux 6.4 では、
{}
グループ構文に新機能が追加され、これによりコマンドライン上でイベントグループが指定されている方法に基づいてイベントグループが作成できるようになりました。
最新の
--group
および -g
オプションには変更はありません。記録、統計情報、トップコマンドが指定されていれば、指定イベントすべてが単一グループのメンバーになり、最初のイベントがグループリーダーとなります。
新たな
{}
グループ構文は、以下のようなグループの作成を可能にします。
# perf record -e '{cycles, faults}' ls
上記のコマンドを実行すると、cycles および faults イベントを含む単一のイベントグループが作成され、cycles イベントがグループリーダーになります。
すべてのグループはスレッドおよび CPU に関して作成されます。このため、CPU が 4 つあるサーバー上で 2 つのスレッド内のイベントは、8 つの異なるグループを作成することになります。
グループに標準イベント修飾子を使うことができます。これは、グループ内の全イベントにまたがるもので、各イベント修飾子設定を更新します。
# perf record -r '{faults:k,cache-references}:p'
上記のコマンドでは、
:kp
修飾子が faults に使われ、:p
修飾子が cache-references イベントに使われることになります。
Performance Counters for Linux (PCL) ツールと OProfile の競合
OProfile と Performance Counters for Linux (PCL) は同じハードウェアの Performance Monitoring Unit (PMU) を使用します。PCL perf
コマンドを使用する際に OProfile が実行中である場合は、OProfile 開始時に以下のようなエラーメッセージが表示されます。
Error: open_counter returned with 16 (Device or resource busy). /bin/dmesg may provide additional information. Fatal: Not all events could be opened.
perf
コマンドを使用するには、まず OProfile をシャットダウンします。
# opcontrol --deinit
その後に
perf.data
を分析してサンプルの相対頻度を測定することができます。レポート出力には、コマンド、オブジェクト、サンプルの機能などが含まれます。perf report
を使って perf.data
の分析を出力します。たとえば、以下のコマンドは最も多くの時間を消費する実行可能ファイルのレポートを作成します。
# perf report --sort=comm
出力は以下のようになります。
# Samples: 1083783860000 # # Overhead Command # ........ ............... # 48.19% xsltproc 44.48% pdfxmltex 6.01% make 0.95% perl 0.17% kernel-doc 0.05% xmllint 0.05% cc1 0.03% cp 0.01% xmlto 0.01% sh 0.01% docproc 0.01% ld 0.01% gcc 0.00% rm 0.00% sed 0.00% git-diff-files 0.00% bash 0.00% git-diff-index
左のコラムはサンプルの相対頻度を示しています。この出力では、
make
が xsltproc
および pdfxmltex
で最も多くの時間を消費していることを示しています。make
が完了する時間を短縮するには、xsltproc
と pdfxmltex
にフォーカスします。xsltproc
が実行する機能を一覧表示するには、以下のコマンドを実行します。
# perf report -n --comm=xsltproc
以下が生成されます。
comm: xsltproc # Samples: 472520675377 # # Overhead Samples Shared Object Symbol # ........ .......... ............................. ...... # 45.54%215179861044 libxml2.so.2.7.6 [.] xmlXPathCmpNodesExt 11.63%54959620202 libxml2.so.2.7.6 [.] xmlXPathNodeSetAdd__internal_alias 8.60%40634845107 libxml2.so.2.7.6 [.] xmlXPathCompOpEval 4.63%21864091080 libxml2.so.2.7.6 [.] xmlXPathReleaseObject 2.73%12919672281 libxml2.so.2.7.6 [.] xmlXPathNodeSetSort__internal_alias 2.60%12271959697 libxml2.so.2.7.6 [.] valuePop 2.41%11379910918 libxml2.so.2.7.6 [.] xmlXPathIsNaN__internal_alias 2.19%10340901937 libxml2.so.2.7.6 [.] valuePush__internal_alias