第3章 リリースの情報


本リリースノートには主に、今回リリースされた Red Hat OpenStack Platform のデプロイメント時に考慮すべきテクノロジープレビューの項目、推奨事項、既知の問題、非推奨となった機能について記載します。
Red Hat OpenStack Platform の本リリースのサポートライフサイクル中にリリースされる更新について情報は、各更新に対応したアドバイザリーの説明に記載されます。

3.1. Red Hat OpenStack Platform 12 GA

本リリースノートには主に、今回リリースされた Red Hat OpenStack Platform のデプロイメント時に考慮すべきテクノロジープレビューの項目、推奨事項、既知の問題、非推奨となった機能について記載します。

3.1.1. 機能拡張

Red Hat OpenStack Platform の今回のリリースでは、以下の機能拡張が提供されています。
BZ#1117883
今回の更新により、Keystone サービス用の Docker イメージが提供されるようになりました。
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BZ#1276147
今回の更新により OpenStack Bare Metal (ironic) には、Emulex ハードウェアの iSCSI (be2iscsi) ramdisk 向けのサポートが追加されました。
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BZ#1277652
今回の更新により、ホストに直接アクセスする必要なく、アンダークラウドからホストと IP 間のマッピングを特定できるコマンドが追加されました。

次のコマンドを実行すると、IP アドレスが割り当てられているホストとポートを表示することができます: openstack stack output show overcloud HostsEntry -c output_value -f value

結果を特定のホストに絞り込むには、grep コマンドを使用してください。

また、次のコマンドを実行すると、ホストをベアメタルノードにマッピングすることもできます: openstack baremetal node list --fields uuid name instance_info -f json
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BZ#1293435
Glance を使用した Cinder ボリュームとの間でのアップロードとダウンロードが Cinder バックエンドドライバーでサポートされるようになりました。

注記: 今回の更新には、Ceph RBD のサポートは含まれていません。Ceph ボリュームで RBD 操作を実行するには、Ceph バックエンドドライバーを使用してください。
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BZ#1301549
今回の更新で、オーバークラウドのネットワーク環境をチェックするための新しい検証機能が追加されました。これは、オーバークラウドのデプロイ時に IP アドレス、VLAN、割り当てプールの競合を防ぐのに役立ちます。
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BZ#1334545
"total_iops_sec_per_gb"、"read_iops_sec_per_gb"、および "write_iops_sec_per_gb" のオプションを使用して、ボリュームの GB サイズごとにスケーリングする QoS IOPS の上限を設定できるようになりました。 

たとえば、total_iops_sec_per_gb=1000 オプションを使用すると、1 GB のボリュームの場合は 1000 IOPS、2 GB のボリュームの場合には 2000 IOPS、というように上限がスケーリングされます。
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BZ#1368512
今回の更新により、デプロイまたはアップグレード前にアンダークラウド上のハードウェアリソースを検証する新機能が追加されました。この検証により、アンダークラウドが必要なディスク容量とメモリーの要件を満たしているかどうかをデプロイ/アップグレードの前に確認できます。
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BZ#1383576
今回の更新により、director UI を使用した「ノードの管理」のアクションが追加されました。このアクションにより、ノードは「管理可能」な状態となり、director の UI でイントロスペクションを実行することができます。
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BZ#1406102
director は、デプロイメントおよび更新段階中のカスタムネットワークの作成をサポートするようになりました。このような追加のネットワークは、専用のネットワークコントローラー、Ironic ベアメタルノード、システム管理に使用したり、異なるロール用に別のネットワークを作成するのに使用したりすることができます。

デプロイされるネットワークの一覧は、単一のデータファイル (「network_data.yaml」) で管理されます。ロールの定義プロセスはその設定を使用して、ネットワークを必要なロールに割り当てます。
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BZ#1430885
今回の更新により、デプロイメントのプログレスバーの粒度が高くなりました。これは、スタックリソースを取得する入れ子のレベルを増やすことによって実現しました。この変更で、より正確な デプロイメントの進捗状況が提供されるようになりました。
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BZ#1434929
以前は、OS_IMAGE_API_VERSIONと OS_VOLUME_API_VERSION の環境変数は設定されなかったため、Glance と Cinder はデフォルトの API バージョンにフォールバックしていました。Cinder ではこのバージョンはより古い v2 API でした。

今回の更新により、Glance と Cinder の API バージョンが指定Glance と Cinder の API バージョンを指定するための環境変数が overcloudrc ファイルで設定されるようになりました。
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3.1.2. テクノロジープレビュー

本項に記載する項目は、テクノロジープレビューとして提供しています。テクノロジープレビューの適用範囲のステータスに関する詳細情報およびそれに伴うサポートへの影響については、https://access.redhat.com/support/offerings/techpreview/ を参照してください。
BZ#1300425
Manila サービスでは、整合性グループ内にファイル共有を作成して、複数のファイル共有全体でスナップショットの整合性を保証することができるようになりました。ドライバーのベンダーは、この機能を報告し、バックエンドに応じて機能する関数を実装する必要があります。

この機能は、まだ実験的段階なので、実稼働環境のクラウドには推奨されません。
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BZ#1418433
本リリースでは、OpenStack File Share サービス (manila) のコンテナー化されたデプロイメントはテクノロジープレビューとして提供されています。Manila、Cinder、Neutron は、デフォルトでは引き続きベアメタルマシンにデプロイされます。
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BZ#1513109
POWER-8 (ppc64le) の Compute サポートがテクノロジープレビューとして提供されるようになりました。
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3.1.3. リリースノート

本項では、Red Hat OpenStack Platform の注目すべき変更点や推奨プラクティスなど、今回のリリースに関する重要な情報を記載しています。お使いのデプロイメントに最大限の効果をもたらすために、以下の情報を考慮する必要があります。
BZ#1463355
TLS Everywhere を有効にすると、HAProxy の統計インターフェースにも TLS が使用されます。その結果、個別のノードの ctlplane アドレスを介してインターフェースにアクセスする必要があります。これは、実際の IP アドレスまたは FQDN のいずれかです (<node name>.ctlplane.<domain> の形式を使用。例: overcloud-controller-0.ctlplane.example.com)。この設定値は、「tripleo-heat-templates」の「CloudNameCtlplane」パラメーターで設定することができます。HAproxy クラスの「haproxy_stats_certificate」パラメーターを引き続き使用可能で、設定されている場合には優先される点に注意してください。
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3.1.4. 既知の問題

現時点における Red Hat OpenStack Platform の既知の問題は以下のとおりです。
BZ#1552234
現在、既知の問題があり、ACL を使用してコンテナーをパブリックにして匿名アクセスを許可することはできません。この問題は、「X-Container-Read」または「X-Container-Write」の設定で「*」を指定して「POST」操作を Swift に送信する際に発生します。
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BZ#1321179
「python-requests」を使用する OpenStack のコマンドラインクライアントは、現在、 IP アドレスが SAN フィールドに記載されている証明書は検証できません。
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BZ#1384845
オーバークラウドのイメージに、バージョン 2.7.1-4 未満の 「tuned」 が同梱されている場合には、「tuned」 パッケージの更新をそのオーバークラウドに手動で適用する必要があります。「tuned」バージョンが 2.7.1-4 以降の場合には、「tuned」にコアの一覧を提供してプロファイルをアクティブ化する必要があります。以下に例を示します。

# echo "isolated_cores=2,4,6,8,10,12,14,18,20,22,24,26,28,30" >> /etc/tuned/cpu-partitioning-variables.conf
# tuned-adm profile cpu-partitioning

これは、Centos のリポジトリーで「tuned」のパッケージが提供されるようになるまでは既知の問題です。
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BZ#1385347
「openstack overcloud deploy」コマンドの「--controller-count」オプションは、「NeutronDhcpAgentsPerNetwork」パラメーターを設定します。OpenStack Networking (neutron) DHCP エージェントをホストするカスタムの Networker ロールをデプロイする際には、「NeutronDhcpAgentsPerNetwork」パラメーターが正しい値に設定されない可能性があります。回避策として、環境ファイルを使用して「NeutronDhcpAgentsPerNetwork」パラメーターを手動で設定します。以下に例を示します。

----
parameter_defaults:
  NeutronDhcpAgentsPerNetwork: 3
----

これで「NeutronDhcpAgentsPerNetwork」は正しい値に設定されます。
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BZ#1486995
Image サービス (glance) に NFS バックエンドを使用する場合には、イメージの作成を試みるとパーミッションエラーで操作が失敗します。これは、ホストとコンテナーのユーザー ID が異なるためです。また、puppet がコンテナー上では NFS エンドポイントを正常にマウントできないことも原因です。
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BZ#1487920
暗号化されたボリュームは、コンテナー化された環境のインスタンスには正しく接続できません。Compute サービスは「cryptsetup luksOpen」を実行します。この操作は、udev デバイスの作成プロセスが終了するのを待ちますが、そのプロセスは、実際には終了しないため、コマンドがハングしてしまいます。

回避策: docker のオプション「--ipc=host」を指定して、コンテナー化された Compute サービスを再起動してください。
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BZ#1508438
コンテナー化された OpenStack サービスには、設定ファイルが各コンテナーにインストールされるようになりました。ただし、一部の OpenStack サービスはまだコンテナー化されていないので、それらのサービスの設定ファイルは引き続きベアメタルノードにインストールされます。

コンテナー化されたサービスの設定ファイルにアクセスにしたり、編集したりする必要がある場合には、/var/log/config-data/<container name>/<config path> を使用します。コンテナー化されていないサービスの場合は、/etc/<service> を使用します。
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BZ#1516911
HP DL 360/380 Gen9 では、DIMM の形式が regex クエリーと一致しません。

これを渡すには、https://review.openstack.org/#/c/523315/ (tripleo-common) および https://review.openstack.org/#/c/523358/ (tripleo-heat-tempaltes) の HW パッチをチェリーピックする必要があります。
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BZ#1519057
現在、Red Hat OpenStack Platform の LDAP 統合には、既知の問題があり、「keystone.yaml」に「keystone_domain_confg」タグがないため、Puppet は必要な設定ファイルを適切に適用できません。その結果、LDAP と Red Hat OpenStack Platform の統合は適切に設定されません。回避策としては、「keystone.yaml」を手動で修正して、不足しているタグを追加する必要があります。これには、2 つの方法があります。

1. ファイルを直接編集する方法
  a. アンダークラウドに stack ユーザーとしてログインします。
  b. 任意のエディターで keystone.yaml を開きます。例:
       sudo vi /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/docker/services/keystone.yaml
  c. 不足している puppet タグ「keystone_domain_confg」を 94 行目に追記します。例:
        puppet_tags: keystone_config
        を次のように変更:
        puppet_tags: keystone_config,keystone_domain_confg
  d. 「keystone.yaml」を保存して閉じます。
  e. 「keystone.yaml」ファイルに不足していたタグが含まれるようになったことを確認します。以下のコマンドを実行すると「1」が返されるはずです。
    cat /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/docker/sercies/keystone.yaml | grep 'puppet_tags: keystone_config,keystone_domain_config' | wc -l

2. sed を使用してファイルをインラインで編集する方法
  a. アンダークラウドに stack ユーザーとしてログインします。
  b. 以下のコマンドを実行して不足している puppet タグを追加します。
     sed -i 's/puppet_tags\: keystone_config/puppet_tags\: keystone_config,keystone_domain_config/' /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/docker/services/keystone.yaml
  c. 「keystone.yaml」ファイルに不足していたタグが含まれるようになったことを確認します。 以下のコマンドを実行すると「1」が返されるはずです。
    cat /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/docker/sercies/keystone.yaml | grep 'puppet_tags: keystone_config,keystone_domain_config' | wc -l
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BZ#1519536
Red Hat Satellite に保存されている現在のコンテナーイメージの最新の Docker イメージタグは手動で検出する必要があります。詳しい情報は、Red Hat Satellite のドキュメントを参照してください: https://access.redhat.com/documentation/ja-jp/red_hat_satellite/6.2/html/content_management_guide/managing_container_images#managing_container_images_with_docker_tags
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BZ#1520004
Ceph storage サーバーは、ディスクデバイスが同種の場合にのみデプロイすることができます。
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BZ#1522872
OpenStack Compute (nova) は、RabbitMQ でバージョン管理された通知と管理されていない通知の両方を提供します。ただし、バージョン管理された通知のコンシューマーがないため、バージョン管理された通知のキューは急速に増え、RabbitMQ でエラーが発生します。これは、インスタンスやフレーバーの作成などの Compute の操作を妨げる可能性があります。Red Hat では現在、RabbitMQ と director の修正を実装中です。

https://bugzilla.redhat.com/show_bug.cgi?id=1478274
https://bugzilla.redhat.com/show_bug.cgi?id=1488499

以下の記事は、Red Hat がこの問題の修正プログラムをリリースするまでの回避策を記載しています。

https://access.redhat.com/solutions/3139721
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BZ#1525520
OVN を ML2 メカニズムドライバーとして使用するデプロイメントの場合は、外部ネットワークに接続可能なノードのみが、その上でルーターゲートウェイポートをスケジューリングする対象になります。 ただし、現在既知の問題があり、全ノードが対象となってしまうため、コンピュートノードが外部に接続できない場合には問題となります。その結果、ルーターゲートウェイポートが外部に接続できないコンピュートノード上でスケジュールされている場合には、外部ネットワークの受信および送信の接続は機能せず、その場合には、ルーターゲートウェイポートをコントローラーノードに再スケジュールする必要があります。回避策としては、全コンピュートノードに接続を提供することができます。また、NeutronBridgeMappings を削除するか、datacentre:br-ex に設定することを検討できます。詳しい情報は、https://bugzilla.redhat.com/show_bug.cgi?id=1525520 と
https://bugzilla.redhat.com/show_bug.cgi?id=1510879 を参照してください。
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3.1.5. 非推奨の機能

本項には、サポートされなくなった機能、または今後のリリースでサポートされなくなる予定の機能について記載します。
BZ#1417221
Panko サービスは、OpenStack バージョン 12 で正式に非推奨となりました。panko のサポートは、cloudforms からの使用のみに限定されます。cloudforms のユースケース以外での panko の使用は推奨しません。
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BZ#1427719
VPN-as-a-Service (VPNaaS) VPNaaS は Red Hat OpenStack Platform 11 で非推奨となり、Red Hat OpenStack Platform 12 では削除されました。
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BZ#1489801
MongoDB は Red Hat OpenStack Platform では使用されなくなりました。以前のリリースでは、Telemetry (現在は Gnocchi を使用) とアンダークラウド上の Zaqar (Redis に移行) に使用されていました。その結果、「mongodb」、「puppet-mongodb」「v8」は含まれなくなりました。
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BZ#1510716
Compute の REST API からファイルインジェクション。これは、API のマイクロバージョン < 2.56 を使用している場合には、引き続きサポートされます。ただし、この機能は最終的には Compute から削除される予定です。変更内容は以下のとおりです。
                      
- 'POST /servers' create server API と 'POST /servers/{server_id}/action' rebuild server API から、「personality」パラメーターは非推奨になります。これらのいずれかの API で要求の本文に 'personality' パラメーターを指定すると「400 Bad Request」エラーが返されます。 

- この変更により、'user_data' を rebuild server API に渡すためのサポートが追加されます。

-  'GET /limits' API から 'maxPersonality' と 'maxPersonalitySize' 応答値が返されなくなります。

-  'os-quota-sets' および 'os-quota-class-sets' API からの 'injected_files'、'injected_file_path_bytes'、'injected_file_content_bytes' の受け入れと応答が停止されます。

- サーバー、フレーバー、イメージの拡張機能を含む Compute API の拡張機能が削除されます。拡張機能のコードには、独自のポリシーがあり、API でそれらの機能拡張を有効化/無効化するオプションはないため、相互運用性の問題が生じます。

- サーバーの状態を設定してアドレスを隠したり、サーバーアドレスポリシーを隠したりする 'hide_server_address_states' 設定オプションが削除されます。また、'os_compute_api:os-hide-server-addresses' ポリシーは必要なくなったので削除されます。
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