第4章 IdM レプリカの設定
レプリカは基本的には既存の Identity Management サーバーのクローンで、同一のコア設定を共有します。レプリカのインストールプロセスは主に、既存の必要なサーバー設定をコピーし、その情報に基づいてレプリカをインストールするという 2 つの部分で構成されます。
4.1. サーバー/レプリカトポロジーの計画
IdM ドメインには、以下の 3 種のマシンタイプがあります。
- サーバー。ドメインの所属メンバーが使用する全サービスを管理します。
- レプリカ。レプリカは基本的にはサーバーの複製です (一旦複製されるとサーバーと全く同じです)。
- クライアント。サーバーに設定した Kerberos ドメインに属し、サーバーが発行する証明書およびチケットを受け取り、その他の一元管理サービスを使用して認証および認可を行います。
レプリカは、特定の IdM サーバーのクローンです。サーバーとレプリカは、ユーザー、マシン、証明書、および設定されたポリシーの内部情報が同じです。これらのデータは、レプリケーション と呼ばれるプロセスで、サーバーからレプリカにコピーされます。IdM サーバーが使用する 2 つの Directory Server インスタンス (IdM サーバーが使用する Directory Server インスタンスと、証明書情報を保存する Dogtag Certificate System が使用する Directory Server インスタンス) は、IdM レプリカにより使用される対応のコンシューマー Directory Server インスタンスに複製されます。異なる Directory Server インスタンスは、レプリカ合意 を使用して相互を認識します。初期レプリカ合意は、レプリカの作成時にマスターサーバーとレプリカとの間で作成されます。他のサーバーまたはレプリカに追加で合意を作成するには、ipa-replica-manage コマンドを使用します。
図4.1 サーバーとレプリカの合意
![サーバーとレプリカの合意](https://access.redhat.com/webassets/avalon/d/Red_Hat_Enterprise_Linux-6-Identity_Management_Guide-ja-JP/images/67353baaa2cb4ab82ae35e80eef6665d/ipa-replica.png)
レプリカは、 インストール後はサーバーと機能的に同じになります。
マルチマスターレプリケーションには、ガイドラインがあり、サーバー/レプリカトポロジー全体に制限を指定します。
- 1 つのサーバー/レプリカには、4 つ以上のレプリカ合意を設定できません。
- 1 つの Identity Management ドメインには 20 台以上のサーバーとレプリカを使用すべきではありません。
- すべてのサーバー/レプリカには、別のサーバーに障害が発生した場合に、孤立したサーバーまたはレプリカがないようにするため、最低でも 2 つのレプリカ合意が必要です。
最も耐障害性のあるトポロジーの 1 つとして、サーバー/レプリカのセル設定の作成が挙げられます。この設定では、少数のサーバーがセルにあり、すべてのサーバーには相互にサーバー合意が指定されており (厳密なセル)、そのセルの 外 では、サーバーごとに別のサーバーとレプリカ合意が指定されていて、そのセルと、ドメイン全体にある他のすべてのセルとを疎結合します。
図4.2 トポロジーの例
![トポロジーの例](https://access.redhat.com/webassets/avalon/d/Red_Hat_Enterprise_Linux-6-Identity_Management_Guide-ja-JP/images/3bc0588d0bedc3940d24eca95a33e799/ipa-replica-topo.png)
これを簡単に実現するための推奨の方法がいくつかあります。
- 各メインオフィス、データセンター、地域に、少なくとも 1 つの IdM サーバーを用意します。可能であれは、2 台の IdM サーバーを用意します。
- 各データセンターに用意するサーバーは 4 台までとします。
- サーバーやレプリカを使用する代わりに、小規模なオフィスでは、SSSD を使用して認証情報をキャッシュし、データのバックエンドとして、オフサイトの IdM サーバーを使用します。