5.5. アーカイブゾーンの設定 (テクノロジープレビュー)
アーカイブゾーンは、Red Hat Ceph Storage 7.0 専用のテクノロジープレビュー機能です。テクノロジープレビュー機能は、実稼働環境での Red Hat サービスレベルアグリーメント (SLA) ではサポートされておらず、機能的に完全ではない可能性があるため、Red Hat では実稼働環境での使用を推奨していません。テクノロジープレビュー機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。詳細は、Red Hat テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
ゾーンをアーカイブとして設定する前に、レルムがあることを確認してください。レルムがないと、デフォルトのゾーン/ゾーングループのアーカイブゾーンを通じてデータをアーカイブすることはできません。
Object Storage Archive Zone 機能を使用して、Red Hat Ceph Storage に存在するオブジェクトデータをアーカイブします。
アーカイブゾーンは、Ceph Object Gateway のマルチサイトレプリケーションと S3 オブジェクトのバージョン管理機能を使用します。アーカイブゾーンには、運用ファイルで削除された場合でも、使用可能なすべてのオブジェクトのすべてのバージョンが保持されます。
アーカイブゾーンには、アーカイブゾーンに関連付けられたゲートウェイを介してのみ削除できる S3 オブジェクトのバージョンの履歴があります。すべてのデータ更新およびメタデータを取得し、それらを S3 オブジェクトのバージョンとして統合します。
アーカイブゾーンの作成後には、アーカイブゾーンへのバケットの詳細なレプリケーションを使用できます。
バケットのライフサイクルポリシーを通じてアーカイブゾーンのストレージスペースの使用量を制御でき、オブジェクトに対して保持するバージョンの数を定義できます。
アーカイブゾーンは、論理的または物理的なエラーからデータを保護するのに役立ちます。これにより、実稼働ゾーンでバケットを誤って削除するなどの論理障害からユーザーを守ることができます。また、実稼働サイトの完全な障害など、大規模なハードウェア障害からデータを保存することもできます。さらに、不変のコピーも提供されるため、ランサムウェア保護戦略の構築に役立ちます。
バケットの詳細なレプリケーションを実装するには、ポリシーを有効または無効にする sync policies コマンドを使用します。詳細は 同期ポリシーグループの作成 および 同期ポリシーグループの変更 を参照してください。
同期ポリシーグループ手順の使用はオプションであり、バケットの詳細なレプリケーションで有効化と無効化を使用する場合にのみ必要です。バケットの詳細なレプリケーションを使用せずにアーカイブゾーンを使用する場合、同期ポリシー手順を使用する必要はありません。
ストレージクラスターをシングルサイトから移行する場合は、シングルサイトシステムのマルチサイトへの移行 を参照してください。
前提条件
- 稼働中の Red Hat Ceph Storage クラスターがある。
- Ceph Monitor ノードへの root レベルのアクセス。
- Ceph Object Gateway ソフトウェアのインストール。
手順
新しいゾーンの作成中に、
archive
層を使用してアーカイブゾーンを設定します。構文
radosgw-admin zone create --rgw-zonegroup={ZONE_GROUP_NAME} --rgw-zone={ZONE_NAME} --endpoints={http://FQDN:PORT},{http://FQDN:PORT} --tier-type=archive
例
[ceph: root@host01 /]# radosgw-admin zone create --rgw-zonegroup=us --rgw-zone=us-east --endpoints={http://example.com:8080} --tier-type=archive
関連情報
- 詳細は、Red Hat Ceph Storage Object Gateway ガイド の Ceph Orchestrator を使用したマルチサイト Ceph Object Gateway のデプロイ セクションを参照してください。
5.5.1. アーカイブゾーン内のオブジェクトの削除
S3 ライフサイクルポリシー拡張機能を使用して、<ArchiveZone>
要素内のオブジェクトを削除できます。
アーカイブゾーンオブジェクトは、expiration
ライフサイクルポリシールールを使用してのみ削除できます。
-
いずれかの
<Rule>
セクションに<ArchiveZone>
要素が含まれている場合、そのルールはアーカイブゾーンで実行され、アーカイブゾーンで実行される唯一のルールになります。 -
<ArchiveZone>
とマークされたルールは、非アーカイブゾーンでは実行されません。
ライフサイクルポリシー内のルールにより、いつ、どのオブジェクトを削除するかが決まります。ライフサイクルの作成と管理の詳細は、バケットのライフサイクル を参照してください。
前提条件
- 稼働中の Red Hat Ceph Storage クラスターがある。
- Ceph Monitor ノードへの root レベルのアクセス。
- Ceph Object Gateway ソフトウェアのインストール。
手順
<ArchiveZone>
ライフサイクルポリシールールを設定します。ライフサイクルポリシーの作成の詳細は、Red Hat Ceph Storage オブジェクトゲートウェイガイド の ライフサイクル管理ポリシーの作成 セクションを参照してください。例
<?xml version="1.0" ?> <LifecycleConfiguration xmlns="http://s3.amazonaws.com/doc/2006-03-01/"> <Rule> <ID>delete-1-days-az</ID> <Filter> <Prefix></Prefix> <ArchiveZone /> 1 </Filter> <Status>Enabled</Status> <Expiration> <Days>1</Days> </Expiration> </Rule> </LifecycleConfiguration>
オプション: 特定のライフサイクルポリシーにアーカイブゾーンルールが含まれているかどうかを確認します。
構文
radosgw-admin lc get --bucket BUCKET_NAME
例
[ceph: root@host01 /]# radosgw-admin lc get --bucket test-bkt { "prefix_map": { "": { "status": true, "dm_expiration": true, "expiration": 0, "noncur_expiration": 2, "mp_expiration": 0, "transitions": {}, "noncur_transitions": {} } }, "rule_map": [ { "id": "Rule 1", "rule": { "id": "Rule 1", "prefix": "", "status": "Enabled", "expiration": { "days": "", "date": "" }, "noncur_expiration": { "days": "2", "date": "" }, "mp_expiration": { "days": "", "date": "" }, "filter": { "prefix": "", "obj_tags": { "tagset": {} }, "archivezone": "" 1 }, "transitions": {}, "noncur_transitions": {}, "dm_expiration": true } } ] }
Ceph Object Gateway ユーザーが削除されると、そのユーザーが所有するアーカイブサイトのバケットにアクセスできなくなります。これらのバケットを別の Ceph Object Gateway ユーザーにリンクして、データにアクセスします。
構文
radosgw-admin bucket link --uid NEW_USER_ID --bucket BUCKET_NAME --yes-i-really-mean-it
例
[ceph: root@host01 /]# radosgw-admin bucket link --uid arcuser1 --bucket arc1-deleted-da473fbbaded232dc5d1e434675c1068 --yes-i-really-mean-it
関連情報
- 詳細は、Red Hat Ceph Storage オブジェクトゲートウェイガイド の バケットライフサイクル セクションを参照してください。
- より詳細は、Red Hat Ceph Storage 開発者ガイド の S3 バケットライフサイクル セクションを参照してください。