4.8. Ceph Object Gateway の高可用性
ストレージ管理者は、Ceph Object Gateway のインスタンス数を単一のゾーンに割り当てることができます。これにより、負荷の増加 (つまり同じゾーングループおよびゾーン) としてスケールアウトすることができます。ただし、高可用性プロキシーを使用するためにフェデレーションされたアーキテクチャーは必要ありません。各 Ceph Object Gateway デーモンには独自の IP アドレスがあるため、Ingress
サービスを使用して、多数の Ceph Object Gateway デーモンまたはノードで負荷を分散できます。Ingress
サービスは、Ceph Object Gateway 環境の HAProxy および keepalived
デーモンを管理します。HAProxy サーバーで HTTPS トラフィックを終了し、HAProxy サーバーと Ceph Object Gateway の Beast フロントエンド Web サーバーインスタンスの間に HTTP を使用することもできます。
前提条件
- 異なるホストで実行している 2 つ以上の Ceph Object Gateway デーモン。
-
異なるホストで実行されている
Ingress
サービスの 2 つ以上のインスタンスの容量。
4.8.1. 高可用性サービス
Ingress
サービスは、Ceph Object Gateway に可用性の高いエンドポイントを提供します。Ingress
サービスは、必要に応じて任意の数のホストにデプロイできます。Red Hat では、サポートされている Red Hat Enterprise Linux サーバーを少なくとも 2 台用意し、各サーバーに Ingress
サービスを設定することを推奨します。最小限の設定オプションを使用して、高可用性 (HA) サービスを実行できます。Ceph オーケストレーターは、フローティング仮想 IP アドレスで負荷分散を提供することで haproxy
および keepalived
デーモンを管理する ingress
サービスをデプロイします。アクティブな haproxy
は、利用可能なすべての Ceph Object Gateway デーモンに、すべての Ceph Object Gateway 要求を配布します。
仮想 IP アドレスは、いずれかの Ingress
ホスト (プライマリーホスト) でまとめて自動的に設定されます。Ceph オーケストレーターは、同じサブネットの一部として設定された既存の IP アドレスに基づいて最初のネットワークインターフェイスを選択します。仮想 IP アドレスが同じサブネットに属さない場合、既存の IP アドレスに一致するように Ceph オーケストレーターのサブネットリストを定義することができます。keepalived
デーモンとアクティブな haproxy
がプライマリーホストで応答しない場合、仮想 IP アドレスはバックアップホストに移動します。このバックアップホストが新しいプライマリーホストになります。
現在、IP アドレスが設定されていないネットワークインターフェイスに仮想 IP アドレスを設定することはできません。
セキュアソケットレイヤー (SSL) を使用するには、Ceph Object Gateway ではなく Ingress
サービスによって SSL を終了する必要があります。
4.8.2. Ceph Object Gateway の高可用性の設定
Ceph Object Gateway の高可用性 (HA) を設定するには、YAML 設定ファイルを作成します。また、Ceph オーケストレーターが Ingress
サービスのインストール、設定、および管理を行います。Ingress
サービスは haproxy
および keepalived
デーモンを使用して Ceph Object Gateway の高可用性を提供します。
前提条件
-
Ingress
サービスをインストールするための、Red Hat Enterprise Linux 8 以降を実行する 2 つ以上のホスト。 - 正常かつ実行中の Red Hat Ceph Storage クラスター
- 異なるホストで実行されている 2 つ以上の Ceph Object Gateway デーモン。
-
Ingress
サービスを実行しているホストへのルートレベルのアクセス。 - ファイアウォールを使用している場合は、HTTP 用にポート 80 を開き、HTTPS トラフィック用にポート 443 を開きます。
手順
新規
ingress.yaml
ファイルを作成します。例
[root@host01 ~] touch ingress.yaml
ingress.yaml
ファイルを開いて編集します。以下のオプションを追加し、環境に適した値を追加します。構文
service_type: ingress 1 service_id: SERVICE_ID 2 placement: 3 hosts: - HOST1 - HOST2 - HOST3 spec: backend_service: SERVICE_ID virtual_ip: IP_ADDRESS/CIDR 4 frontend_port: INTEGER 5 monitor_port: INTEGER 6 virtual_interface_networks: 7 - IP_ADDRESS/CIDR ssl_cert: | 8
例
service_type: ingress service_id: rgw.foo placement: hosts: - host01.example.com - host02.example.com - host03.example.com spec: backend_service: rgw.foo virtual_ip: 192.168.1.2/24 frontend_port: 8080 monitor_port: 1967 virtual_interface_networks: - 10.10.0.0/16 ssl_cert: | -----BEGIN CERTIFICATE----- MIIEpAIBAAKCAQEA+Cf4l9OagD6x67HhdCy4Asqw89Zz9ZuGbH50/7ltIMQpJJU0 gu9ObNtIoC0zabJ7n1jujueYgIpOqGnhRSvsGJiEkgN81NLQ9rqAVaGpadjrNLcM bpgqJCZj0vzzmtFBCtenpb5l/EccMFcAydGtGeLP33SaWiZ4Rne56GBInk6SATI/ JSKweGD1y5GiAWipBR4C74HiAW9q6hCOuSdp/2WQxWT3T1j2sjlqxkHdtInUtwOm j5Ism276IndeQ9hR3reFR8PJnKIPx73oTBQ7p9CMR1J4ucq9Ny0J12wQYT00fmJp -----END CERTIFICATE----- -----BEGIN PRIVATE KEY----- MIIEBTCCAu2gAwIBAgIUGfYFsj8HyA9Zv2l600hxzT8+gG4wDQYJKoZIhvcNAQEL BQAwgYkxCzAJBgNVBAYTAklOMQwwCgYDVQQIDANLQVIxDDAKBgNVBAcMA0JMUjEM MAoGA1UECgwDUkhUMQswCQYDVQQLDAJCVTEkMCIGA1UEAwwbY2VwaC1zc2wtcmhj czUtOGRjeHY2LW5vZGU1MR0wGwYJKoZIhvcNAQkBFg5hYmNAcmVkaGF0LmNvbTAe -----END PRIVATE KEY-----
Cephadm シェルを起動します。
例
[root@host01 ~]# cephadm shell --mount ingress.yaml:/var/lib/ceph/radosgw/ingress.yaml
最新の
haproxy
イメージおよびkeepalived
イメージを設定します。構文
ceph config set mgr mgr/cephadm/container_image_haproxy HAPROXY_IMAGE_ID ceph config set mgr mgr/cephadm/container_image_keepalived KEEPALIVED_IMAGE_ID
Red Hat Enterprise Linux 8
[ceph: root@host01 /]# ceph config set mgr mgr/cephadm/container_image_haproxy registry.redhat.io/rhceph/rhceph-haproxy-rhel8:latest [ceph: root@host01 /]# ceph config set mgr mgr/cephadm/container_image_keepalived registry.redhat.io/rhceph/keepalived-rhel8:latest
Red Hat Enterprise Linux 9
[ceph: root@host01 /]# ceph config set mgr mgr/cephadm/container_image_haproxy registry.redhat.io/rhceph/rhceph-haproxy-rhel9:latest [ceph: root@host01 /]# ceph config set mgr mgr/cephadm/container_image_keepalived registry.redhat.io/rhceph/keepalived-rhel9:latest
Ceph オーケストレーターを使用して新規
Ingress
サービスをインストールおよび設定します。[ceph: root@host01 /]# ceph orch apply -i /var/lib/ceph/radosgw/ingress.yaml
Ceph オーケストレーターが完了したら、HA 設定を確認します。
Ingress
サービスを実行しているホストで、仮想 IP アドレスが表示されることを確認します。例
[root@host01 ~]# ip addr show
Ceph クライアントから Ceph Object Gateway にアクセスしてみてください。
構文
wget HOST_NAME
例
[root@client ~]# wget host01.example.com
以下の例のような内容を含む
index.html
が返される場合、Ceph Object Gateway の HA 設定は正常に機能しています。例
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <ListAllMyBucketsResult xmlns="http://s3.amazonaws.com/doc/2006-03-01/"> <Owner> <ID>anonymous</ID> <DisplayName></DisplayName> </Owner> <Buckets> </Buckets> </ListAllMyBucketsResult>
関連情報
- 詳細は、Performing a Standard RHEL Installation Guide を参照してください。
- 詳細は、Red Hat Ceph Storage Object Gateway Guide の High availability service セクションを参照してください。
4.8.3. NFS-Ganesha への名前空間のエクスポート
Ceph Object Gateway で使用する新たな NFS Ganesha エクスポートを設定するには、Red Hat Ceph Storage Dashboard を使用する必要があります。詳細は、Red Hat Ceph Storage ダッシュボードガイド の Ceph Dashboard の NFS Ganesha エクスポートの管理 セクションを参照してください。
Ceph Object Gateway を使用する既存の NFS 環境では、現時点で Red Hat Ceph Storage 4 から Red Hat Ceph Storage 5 へのアップグレードはサポートされません。
Red Hat は、Ceph Object Gateway を使用した NFS バージョン 3 エクスポートをサポートしません。