第2章 RHEL 10 へのアップグレードの計画
インプレースアップグレードを使用すると、既存の設定やシステムのサブスクリプションを失うことなく、RHEL の最新バージョンにアップグレードできます。一般に、インプレースアップグレードは、RHEL の新規インストールよりも時間がかからず、コストもかかりません。ただし、すべてのシステムがインプレースアップグレードに対応しているわけではありません。RHEL 9 から RHEL 10 へのアップグレードを開始する前に、システム要件、制限事項、その他の考慮事項を確認してください。
2.1. RHEL 9 から RHEL 10 へのアップグレードの計画 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
インプレースアップグレードは、システムを RHEL の次のメジャーバージョンへ移行する手段として、推奨およびサポートされている方法です。
RHEL 10 にアップグレードする前に、次の点を考慮してください。
- Ansible - Ansible ロールを使用することで、インプレースアップグレードプロセスの一部を自動化できます。Ansible のロールを使用すると、多数のシステムを迅速かつ効率的にアップグレードできます。詳細は、Ansible ロールを使用した大規模デプロイメントのアップグレード を参照してください。
アプリケーション -
Leappユーティリティーを使用して、システムにインストールされているアプリケーションを移行できます。ただし、場合によっては、アップグレード中にLeappによって実行されるアクションを指定するカスタムアクターを作成する必要があります。たとえば、アプリケーションの再設定や特定のハードウェアドライバーのインストールなどのアクションです。詳細は、Handling the migration of your custom and third-party applications を参照してください。Red Hat は、カスタムアクターに対応していません。重要SHA-1 アルゴリズムは RHEL 9 で非推奨となりました。システムに RSA/SHA-1 署名付きのパッケージが含まれている場合、アップグレードが拒否されます。アップグレードする前に、これらのパッケージを削除するか、RSA/SHA-256 署名を含むパッケージについてベンダーに問い合わせてください。詳細は、SHA-1 deprecation in Red Hat Enterprise Linux 9 を参照してください。
- ブートローダー - RHEL 9 または RHEL 10 では、ブートローダーを BIOS から UEFI に切り替えることはできません。RHEL 9 システムで BIOS を使用しており、RHEL 10 システムで UEFI を使用する場合は、インプレースアップグレードではなく、RHEL 9 の新規インストールを実行してください。詳細は、Is it possible to switch the BIOS boot to UEFI boot on preinstalled Red Hat Enterprise Linux machine? を参照してください。
- カスタマイズ - カスタムリポジトリーを使用するには、ナレッジベース記事 Configuring custom repositories を参照してください。
- ダウンタイム - アップグレードプロセスには数分から数時間かかる場合があります。
- 高可用性 - 高可用性アドオンを使用している場合は、ナレッジベース記事 Recommended Practices for Applying Software Updates to a RHEL High Availability or Resilient Storage Cluster に従ってください。
-
言語: すべての
Leappのレポート、ログ、その他の生成されたドキュメントは、言語設定に関わらず、英語で表示されます。 オペレーティングシステム - オペレーティングシステムは、次の条件に該当する場合、
Leappユーティリティーによってアップグレードできます。アップグレード元の OS バージョンが、次のいずれかのサポートされているアーキテクチャーを備えたシステムにインストールされている。
- AMD および Intel 64 ビットアーキテクチャー (x86-64-v3)
64 ビット ARM アーキテクチャー (ARMv8.0-A)
重要64 ビット ARM アーキテクチャーの場合、インプレースアップグレードは
4kページサイズのカーネルを実行しているシステムでのみサポートされます。システムが64kページサイズのカーネルで起動されている場合、leapp ユーティリティーはインプレースアップグレードをサポートしません。- IBM Power Systems (リトルエンディアン) (POWER9)
64 ビット IBM Z (IBM z14 または IBM LinuxONE II 以降)
詳細は、Red Hat certified hardware を参照してください。
- RHEL 10 の最小 ハードウェア要件 が満たされている。
- 選択したアップグレード元およびアップグレード先の OS バージョンの最新コンテンツにアクセスできる。詳細は、アップグレードに向けた RHEL 9 システムの準備 を参照してください。
パブリッククラウド
Pay-As-You-Go
- RHUI - インプレースアップグレードは、Red Hat Update Infrastructure (RHUI) を使用するオンデマンドの Pay-As-You-Go (PAYG) インスタンスでサポートされています。これは、Amazon Web Services (AWS) ではすべてのサポート対象アーキテクチャーで、Microsoft Azure および Google Cloud では Intel アーキテクチャーでのみ利用できます。SAP HANA 環境を除き、RHUI を使用するすべてのサポート対象クラウドおよびアーキテクチャーの PAYG インスタンスでは、最新のアップグレードパスのみがサポートされます。
CDN - インプレースアップグレードは、Red Hat コンテンツ配信ネットワーク (CDN) を使用するオンデマンド Pay-As-You-Go (PAYG) インスタンスでサポートされています。
注記redhat-cloud-client-configuration-cdnパッケージがインストールされていることを確認することで、RHEL クラウドインスタンスが CDN からの RHEL コンテンツを使用しているかどうかを確認できます。このパッケージがインストールされていない場合は、RHUI からのコンテンツを使用していることになります。
- Bring Your Own Subscription - インプレースアップグレードは、RHEL サブスクリプションに RHSM を使用している、すべてのパブリッククラウド上の Bring Your Own Subscription インスタンスでサポートされています。
- Red Hat OpenStack Platform の Real Time for Network Functions Virtualization (NFV) - リアルタイムシステムでのアップグレードがサポートされています。
- RHEL for Real Time - リアルタイムシステムでのアップグレードがサポートされています。
- SAP HANA をご利用の場合は、代わりに SAP 環境を RHEL 9 から RHEL 10 にアップグレードする ガイドに従ってください。SAP HANA を使用した RHEL のアップグレードパスは異なる場合があることに注意してください。
Satellite
- クライアント - Satellite 経由でホストを管理する場合、Satellite Web UI を使用して複数のホストを同時に RHEL 9 から RHEL 10 にアップグレードできます。詳細は、次の Red Hat Enterprise Linux メジャーリリースへのホストのアップグレード を参照してください。
- Server および Capsule - Satellite 6.16 以降では、Satellite Server および Capsule をアップグレードできます。詳細は、Leapp を使用した Satellite または Capsule の RHEL 9 へのインプレースアップグレード を参照してください。
セキュリティー - アップグレード前にセキュリティーの側面を評価し、アップグレードプロセスが完了したら追加の手順を実行してください。特に以下の点を考慮してください。
- アップグレードの前に、システムが準拠する必要があるセキュリティー標準を定義し、RHEL 10 でのセキュリティーの変更点 を確認します。
-
アップグレードプロセス中、
Leappユーティリティーにより SELinux モードが permissive に設定されます。 -
Leappは、Federal Information Processing Standard (FIPS) 140 モードの RHEL 9.6 以降のシステムから RHEL 10 FIPS モード対応システムへのインプレースアップグレードをサポートしています。FIPS モード は、アップグレードプロセス全体を通じて有効なまま維持されます。 - アップグレードが完了したら、セキュリティーポリシーを再評価し、再適用します。セキュリティーポリシーの適用と更新の詳細は、セキュリティーポリシーの適用 を参照してください。
ストレージとファイルシステム
バックアップ - アップグレードする前に必ずシステムをバックアップしてください。たとえば、Relax-and-Recover (ReaR) ユーティリティー、LVM スナップショット、RAID 分割、仮想マシンのスナップショットを使用できます。
注記ファイルシステム形式はそのままです。つまり、ファイルシステムには最初に作成されたときと同じ制限があります。
- 暗号化 - ストレージが Clevis TPM 2.0 トークンで設定された LUKS2 形式を使用している場合は、暗号化されたストレージを備えたシステムをアップグレードできます。詳細は、TPM 2.0 ポリシーを使用して LUKS 暗号化ボリュームの手動登録を設定する を参照してください。
Leapp ユーティリティーの主な既知の制限は次のとおりです。
既知の制限 - 現在、
Leappの主な既知の制限は次のとおりです。- イーサネットまたは Infiniband を使用するネットワークベースのマルチパスおよびネットワークストレージは、アップグレードではサポートされていません。これには、FCoE を使用した SAN と FC を使用した SAN からの起動が含まれます。なお、FC を使用した SAN はサポートされています。
- Ansible Automation Platform がインストールされているシステムでは、インプレースアップグレードはサポートされていません。RHEL 10 で RHEL 9 の Ansible Automation Platform インストールを使用するには、Red Hat ナレッジベースソリューション How do I migrate my Ansible Automation Platform installation from one environment to another? を参照してください。
- Red Hat JBoss Enterprise Application Platform (EAP) は、RHEL 10 へのアップグレードではサポートされていません。アップグレード後に、システムに手動で JBoss EAP をインストールして設定する必要があります。
- Stratis ファイルシステムのアップグレードはサポートされていません。
Red Hat Lightspeed を使用すると、Red Hat Lightspeed に登録したシステムのうち、どのシステムに RHEL 10 のサポート対象のアップグレードパスが適用されるかを確認できます。Advisor の推奨事項では、RHEL 9 のマイナーバージョンのみが考慮され、システムのアップグレード前の評価は実行されないことに注意してください。Advisor サービスの推奨事項の概要 も参照してください。